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【SS】異世界に咲く、白百合の花(アサルトリリィ×きららファンタジア)
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1 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/03 21:55:27 ID:RMyPYf55.W
お久しぶりです。そうでない人は初めまして。
以前このBBSで、以下のSSを投稿させてもらった者です。

【SS】ハッピーシュガーライフ×きららファンタジア
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=775&ukey=0&log=past

【SS】小鳥と不死鳥と(機動戦士ガンダムNT×アニマエール)
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=1471&ukey=0&log=past

最初に投稿したSSを基に、ハピシュガの人というコテハンを使いたいと思います。
今回は、昨年アニメが放送され、現在アプリゲームが配信中のアサルトリリィときらファンのクロスSSを書きました。
今回は10万3千字ほどの文章を、何回かに分けて投稿したいと思います。
全15章分、お付き合いのほどよろしくお願いします。
今回はさっそく、第1章と2章を投稿します。

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286 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:12:59 ID:BufMOCEUB7
すると一同の元に、リリィ達にとっては見慣れた顔が飛び込んできた。

雨嘉「梅様!それに二水と鶴紗も!」

神琳「皆さん良くご無事で!」

梅「雨嘉、神琳、それにミリアムも!」

二水「あの、梨璃さん達は・・・?」

ミリアム「すまん、こちらには・・・」

二水「そんな・・・」

鶴紗「隊長たちなら大丈夫。きっと私たちの所に戻ってくる」

梅「ああ、あの三人がそう簡単に倒れるわけがない!」

287 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:13:48 ID:BufMOCEUB7
そういうと梅はアルシーヴの方に向き直る。

梅「今から梅たちはフォーメーションを組む!だからクリエメイトのみんなには、そのサポートをしてほしいんだ!」

アルシーヴ「しかし、おまえ達だけを矢面に立たせるのは!」

雨嘉「数は多いけれど、この規模と戦うのは初めてじゃない」

神琳「皆さんとは共に戦う仲間として、互いに背中を預け合いたいんです」

鶴紗「差し出がましいけれど、決断は早くしたほうが良い。もうあなた達の仲間が持ちそうにない・・・!」

288 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:14:17 ID:BufMOCEUB7
見ると、音楽祭の準備をしていたクリエメイトたちが、懸命に応戦しているが、相手の規模と強大さの前に、全く戦闘になっていなかった。

289 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:14:51 ID:BufMOCEUB7
ロコ「おいなんだよこれ!まるで攻撃が効いてないぞ!?」

はゆ「こ、こんなの無理だよお・・・」

ヒュージ「!!」

衣乃「はゆちゃん危ない!」

そういって攻撃を防ぐ衣乃。だが盾が弾き飛ばされてしまう。
更に悪いことに、ヒュージがその盾を文字通り飲み込んでしまった。

290 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:15:50 ID:BufMOCEUB7
衣乃「嘘ぉ!?」

仁菜「これなら・・・、えい!」

仁菜がフラスコを投げつける。
溶液を浴びたヒュージから力が抜けていく。だがそれも長くは持たないだろう。

291 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:16:40 ID:BufMOCEUB7
ロコ「今のうちに逃げるぞ!」

衣乃「は、はい!」

他にも、現地に居合わせたよさこい部や軽音部、チア部らが迎撃を試みたが、どれも似たような結果に終わった。

292 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:17:50 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「ぐっ・・・!」

二水「私は主に後方支援が担当ですが・・・、それでも、敵の眼前に立つことは初めてじゃありません!」

ミリアム「わしらはリリィじゃ!初めて見る顔じゃろうが、どうかここは信じてくれ!」

アルシーヴ「・・・分かった。こちらも最大限にサポートを行う!」

神琳「感謝いたします」

293 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:18:53 ID:BufMOCEUB7
そこに折良く、里からクリエメイトと七賢者たちが集まってくる。
皆、ココアやチノ、それにソラの話を聞いて駆けつけたのだ。

フェンネル「アルシーヴ様!」

アルシーヴ「フェンネルか!ここに陣と救護所を築く。突破されないよう、ここにいるリリィ達を全力で支援するんだ!」

フェンネル「了解です!」

アルシーヴ「腕に覚えのあるものは前に出て、ウツカイを中心に討伐してくれ!あの怪物・・・、ヒュージには可能な限り手出しするな!」

294 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:19:42 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴの号令の元、皆が動き始める。
ようやく配置が済み、きらら達とも連絡が取れた頃に、更なる厄災が舞い込んだ。
地面が突如大きく揺れたかと思えば、遠くで大地が裂け始めたのだ。

295 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:19:55 ID:BufMOCEUB7
フェンネル「アルシーヴ様!あれを!」

アルシーヴ「あれは・・・本当に龍だとでも言うのか?」

296 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 19:20:42 ID:BufMOCEUB7
大地の裂け目から何かが姿を現す。
それは間違いなく、一柳隊が追っていたギガント級そのものだった。
耳をつんざくような咆哮を立てた後、敵はその背中から何かを射出する。

297 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 19:20:58 ID:BufMOCEUB7
リリィ達にもお見舞いした、種と泥の爆弾だ。手下を巻き込むことも厭わず、あちこちで派手な爆発が巻き起こる。その一部は後方の救護所にまで届いた。
辛うじて魔方陣を送り、通信を切るアルシーヴ。
その心中には、隠せない焦りが見え始めていた。

298 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 19:21:40 ID:BufMOCEUB7
今回の投稿はここまでです。
深夜帯に6章を投稿します。

299 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:39:22 ID:BufMOCEUB7
投稿を再開します。
今回は第6章です。

300 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:39:43 ID:BufMOCEUB7
第6章 ヤマデブリ(覚悟)

里の手前の平原。今ここでは、敵を里に、ひいては神殿に通すまいと防衛線が張られている。
だが、突然のことに対し動揺しているのと、見ず知らずの敵に対し、クリエメイトたちは押され気味だ。
そんな前線を実質的に支えていたのは、たった六人の少女だった。

301 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:40:19 ID:BufMOCEUB7
あれから爆発に巻き込まれ、フルーツタルトの面々は逃げ遅れてしまった。

衣乃「きゃああああ!!!!」

はゆ「死ぬー!!はゆたちこのままだと死んじゃうー!!」

仁菜「ふぇぇぇ、縁起でも無いこと言わないでぇぇぇ!!」

ロコ「外来生物の駆除とか、アイドルはアイドルでも私らの分野じゃないだろー!!」

刹那、そこに弾けた金属片が降り注ぐ、まともに当たれば全身がズタズタになるだろう。

302 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:40:48 ID:BufMOCEUB7
仁菜「嫌あああああ!!!!」

雨嘉「任せて!」

神琳「はああああ!!」

そこにすかさず、雨嘉と神琳が飛び出す。雨嘉は銃撃で、神琳は自らのチャーム、媽祖聖札(マソレリック)で金属片を弾き飛ばし、四人を守ったのだ。

303 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:41:19 ID:BufMOCEUB7
衣乃「あ゛、あ゛り゛がどぉぉぉぉ〜!!」

はゆ「もうその武器を中華鍋みたいなんて言わない〜!!」

泣きじゃくるアイドルらに微笑み返し、二人が指示を飛ばす。

神琳「ここは私たちが死守します!」

雨嘉「みんなは後方で怪我人の手当を!」

ロコ「わ、分かった!」

304 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:41:41 ID:BufMOCEUB7
陣の後方、ここにはアルシーヴらが待機し、簡単な司令所および救護所を作っていた。
だが、救護の方はともかく、ここにおいて戦闘司令を飛ばしているのは、彼女ではなかった。

305 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:42:46 ID:BufMOCEUB7
二水「10時の方向、敵ヒュージおよび特型・・・じゃなかった、ウツカイが計20!こちらに進行中のため、近くのミリアムさんは迎撃をお願いします!加えて、12時方向のギガント級が炎を吐き出しています。鶴紗さん、今は近づかないようにしてください!」

ミリアム「合点承知じゃ!」

鶴紗「了解。熱くて敵わないなこれ」

二水「・・・」

306 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:43:30 ID:BufMOCEUB7
鶴紗「心配してるの、二水?」

二水「だって鶴紗さん、すっかり傷だらけで・・・」

鶴紗「これは私が自分で志願したこと、だから二水はそっちに集中して。大丈夫、私は必ず戻るよ」

二水「・・・はい!」

307 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:43:52 ID:BufMOCEUB7
紅く目を光らせ、通信を飛ばす二水。
彼女のレアスキルは“鷹の目”。戦場全体を将棋の盤面やゲームのマップのように俯瞰して見渡し、そこにある情報を混乱せず正確に処理できるという能力である。信頼できる味方との連携があって、初めて活きる力と言えるだろう。

308 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:44:18 ID:BufMOCEUB7
救護所の防衛、および戦場の司令塔という大役を、彼女は担っていた。
勿論、そのような大役を果たせるかという緊張が二水にはあった。だが、現状としてこのように自らの任務をしっかりとこなしている。その様子に、アルシーヴは感嘆していた。

309 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:44:49 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「・・・あの歳で、よくあそこまで」

フェンネル「先ほどの爆発で、怪我を負ったクリエメイトが十数名運ばれてきています。アルシーヴ様、やはりもう・・・」

アルシーヴ「すまないな・・・。だが、先ほど連絡を入れたきららとリリィ達がここに来るまで、そう時間はかからないはずだ。その間に私が前に出る。フェンネル、救護の指揮は任せたぞ」

310 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:45:14 ID:BufMOCEUB7
フェンネル「そんな!アルシーヴ様にもしものことがあれば、それこそ一大事です!ここはわたくしめが!」

アルシーヴ「・・・敵の力が未知数な以上、最も力を持った者が前に出た方が時間は稼げる。頼むフェンネル、分かってくれ・・・」

311 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:45:39 ID:BufMOCEUB7
ぐっと唇を噛みしめるフェンネル。悔しさのあまり、その端から血が流れ出る。

フェンネル「・・・承知しました。でも、必ず戻ってきてください!」

アルシーヴ「分かっているさ。ここで死ぬつもりはない」

そう言うと彼女は、戦線へ駆けていく。

312 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:46:04 ID:BufMOCEUB7
その戦線では、腕に覚えのあるクリエメイトらが粘っている。
だが、ウツカイはともかくヒュージに対しては何ら有効打を見いだせていなかった。

313 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:46:40 ID:BufMOCEUB7
メリー「何なのよコイツら!?殴ったこっちの方が痛くなる・・・!」

ジンジャー「ちくしょう!このままだとバットの方が折れちまう!」

エンギ「泣き言を言うな!ここで我々が倒れたら、里は、神殿はどうなる!?」

シュガー「そうは言ってもげんどってものがあるよ〜」

胡桃「くそっ、“あいつら”みたいにシャベルで一撃とはいかねえか」

314 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:47:06 ID:BufMOCEUB7
やすな「あ、熱!熱い!あちこち燃え残ってる!!」

ソーニャ「なんでお前はこっちにいるんだよ!!無駄に硬いのが取り柄なんだから後方で守り固めてろ!!」

やすな「いや、その腕に覚えがあって・・・」

ソーニャ「言ってろ!!」

315 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:47:29 ID:BufMOCEUB7
そんな中、一陣の風が戦場に吹きすさぶ。
何かがとてつもない速さで駆け回っているのだ。

316 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:47:52 ID:BufMOCEUB7
梅「あはは!ほらほら、そんなモタモタしてると刀のサビだゾ!!」

レアスキル、“縮地”。
文字通り、距離そのものを縮めるかのような高速移動を可能とする、攻防一体のスキルである。
梅ほどの使い手ともなれば、それは瞬間移動しているのとそう違いは無い。
そのスピードを乗せた刃は、並み居る敵をスッパリ切り裂いていく。それは伝承に伝わるかまいたちそのものであった。

317 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:48:28 ID:BufMOCEUB7
エンギ「ヒュージをいとも容易く・・・」

ソーニャ「凄いなアイツ・・・。どんな訓練してきたんだ?」

ソーニャもクリエメイトの中では相当素早い方である。
だが目の前のそれは、そういったレベルを超えているように見えた。

318 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:48:49 ID:BufMOCEUB7
辺りのヒュージを殲滅すると、梅はその場に立ち止まり、ギガント級のいる方向を見やる。
その目は何かを強く心配しているようだった。

319 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:49:17 ID:BufMOCEUB7
ソーニャ「・・・何か心配なのか?」

梅「い、いや、なんでもないゾ!」

ジンジャー「隠さなくても良い。あっちにいる仲間が・・・、鶴紗のことが心配なんだろう?」

320 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:49:49 ID:BufMOCEUB7
梅「・・・鶴紗のことだから、絶対無茶してるに決まっているんだ。可愛い後輩のことを私は放っておけない」

シュガー「だったら行ってあげなよ!鶴紗おねーちゃんの力になってあげて!」

胡桃「こっちはあんたのおかげでヒュージがほとんどいなくなった。ウツカイならアタシらでもやれる!」

梅「・・・感謝するゾ!!」

321 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:50:32 ID:BufMOCEUB7
そう言うと彼女は、縮地で皆の前から姿を消した。

メリー「夢路が好きそうね。ああいうノリ」

やすな「ようし!あとひと踏ん張りだよ!」

ソーニャ「お前が言うと何かムカつく」

やすな「なぜ!?why!?」

322 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:50:51 ID:BufMOCEUB7
後方へ下がる者。
前へ進む者。
見送る者。

皆それぞれ、リリィの姿を思い出していた。

323 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:51:19 ID:BufMOCEUB7
ロコ「どうしてアイツらは、見ず知らずの私たちのために、あそこまで戦えるんだ・・・」

衣乃「きっと、クリエメイトの皆さんと同じなんですよ・・・。困っている誰かを放っておけないんだと思います・・・」

はゆ「でも、あの娘たちのはちょっと度を越していないかな・・・」

仁菜「あんな怖い敵、逃げ出したっておかしくないのに・・・。少なくとも私は責めたりしないよ・・・」

ロコ「それでも笑顔だったんだ、アイツらは」

一同「・・・」

324 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:51:42 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「まだあどけない少女たちに全てを託して・・・、お前はそれでも大人か!アルシーヴ!!」

325 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:52:25 ID:BufMOCEUB7
胡桃「きっとアイツらも、戦わなきゃ生きていけなかったんだ」

エンギ「あの目を見れば分かる。あれは哀しみを知りつつも、それでも前を向こうとする者の目だ」

ジンジャー「そりゃあよ、クリエメイトの世界だって平和な世界ばかりじゃないのは分かる。でもさ、それとはまた違う外様の世界がどんなものかを、こう間近に体験しちまうと、な」

326 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:52:49 ID:BufMOCEUB7
敵の薄い方面、およびウツカイが多い方面をくぐり抜けながら、アルシーヴはようやく最前線に辿り着く。
そこにはあの龍が、否、ギガント級が待ち受けていた。

327 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:53:11 ID:BufMOCEUB7
全身から生やした大量のエトワリウム、無機質な体、黒い肉と触手が蠢く口内、爛々と光る眼、醜く開いた背中の孔。
何より、絶望のクリエを周囲に垂れ流し、それを隠そうともしない素振り・・・。
それはまさしく、許されざる命であった。

328 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:53:49 ID:BufMOCEUB7
ギガント級「!!!!!」

アルシーヴ「くっ、なんて咆哮だ!」

絶望のクリエに頭痛を覚えながら、彼女は岩陰に移動する。
そこであるものを発見した。

329 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:54:18 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「おい、しっかりするんだ!目を開けろ!!」

鶴紗「・・・ああ、少し意識が飛んでたのか」

そこにいたのは、気を失い倒れていた鶴紗だった。
火傷、打撲、擦り傷に深い切り傷・・・。
一人でギガント級を食い止めていた代償は、大きなものだった。

330 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:54:45 ID:BufMOCEUB7
鶴紗「・・・行かなくちゃ」

アルシーヴ「何を言っているんだ!その出血で動いたら死ぬぞ!」

鶴紗「大丈夫、私は“普通じゃない”から」

アルシーヴ「それはどういう・・・」

331 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/06 23:55:05 ID:BufMOCEUB7
そう言い終わらない内に、鶴紗の体に変化が訪れる。
全身の傷が、まるで時を巻き戻すかのように治癒していく。しばらくすると、そこには傷一つ無い彼女が立っていた。

332 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:56:11 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「・・・その体、何をされたんだ」

鶴紗「察しが良いんだね」

アルシーヴ「腐っても魔術を極めようとする人間だ。それが生まれつきのものじゃないことぐらい、私にも分かる」

333 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:56:39 ID:BufMOCEUB7
鶴紗「今の仲間、一柳隊のみんなに出会う前・・・。汚い大人たちに全身弄くり回されてこうなった」

アルシーヴ「っ・・・!」

鶴紗「最初は・・・、いや、今でもこの体のことは呪いだと思ってる。一生消えない咎、戦犯の娘の証・・・」

334 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:57:23 ID:BufMOCEUB7
それでも、と彼女は続ける。

鶴紗「こんな私のために、泣いてくれた奴が、体を張ってくれた奴らがいたんだ。私は私だって、誰でもない、一柳隊の仲間なんだって」

アルシーヴ「・・・」

鶴紗「誰に強制されたんでもない。ここには私の意思で来たんだ。これが今私に出来る精一杯のこと。もう嫌なんだ、こんな奴らのために誰かが涙を流すのは!」

そう言って彼女は、頭上のそれを睨み付ける。

335 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:57:48 ID:BufMOCEUB7
鶴紗「だから止めないでくれ」

アルシーヴ「・・・そんな足取りで、一人で行こうとしてるのか」

鶴紗「・・・」

いくら傷が治るといっても、心までは、精神までは治らない。
憔悴した彼女の足取りは、誰が見てもふらついていた。

336 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:58:13 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「お前の仲間がそうであったように、私もお前を一人になどさせない!」

鶴紗「でも、あなたが倒れたらこの世界の一大事でしょ?偉い人だってことぐらい、私にも分かるよ」

337 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:58:48 ID:BufMOCEUB7
その言葉に、アルシーヴは思わず岩壁に彼女を押しつける。

アルシーヴ「あまり私を舐めてもらっては困る!!貴様と昔関わった大人が、どんな下衆だったかは推し量れないものがある・・・。だがな、ここにいる私は、少なくとも子供一人を見殺しにするような利口さは持ち合わせていない!!」

鶴紗「あなた・・・」

338 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/06 23:59:18 ID:BufMOCEUB7
アルシーヴ「お前が戦犯の娘だというなら、私は咎人そのものだ!かつて大切な方を救おうとするあまり、かけがえのないものを壊そうとしたんだ・・・」

鶴紗「・・・」

339 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:00:00 ID:BufMOCEUB7
やがてアルシーヴは自嘲する。

アルシーヴ「そういう意味では、私も汚い大人だ。お前が最も嫌う人間だ。だがな、それでも私はお前の援護をする。後ろから撃たれようとも、決して辞めたりしないからな!!」

340 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:00:27 ID:BufMOCEUB7
そんな彼女の言葉に、鶴紗はそっと微笑む。

鶴紗「本当に汚い大人は、自分の罪を振り返ったりしない」

アルシーヴ「・・・」

鶴紗「私たちの世界の大人が、みんな百合ヶ丘の人や、あなたみたいだったら良かったのにね」

341 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:00:56 ID:BufMOCEUB7
そこにまた、ギガント級のうなり声が響く。
ついに岩陰が発見されてしまったのだ。

鶴紗「後悔しない?」

アルシーヴ「二度も同じことを言わせるな」

鶴紗「・・・分かった!」

342 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:01:32 ID:BufMOCEUB7
敵と対峙する二人。
そこに銃撃が起こり、何かが素早く舞い込んでくる。

梅「遅れてすまない!ここに来るまで、周囲の敵はあらかた蹴散らしてきたんだが・・・」

そう言いかけながら、梅は二人の様子を見た。

343 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:02:26 ID:BufMOCEUB7
梅「ふふ、なんか良さげな雰囲気じゃないか。先輩嬉しいゾ」

鶴紗「茶化さないでください」

アルシーヴ「成すべき事を成そうとしているだけだ。私も鶴紗も。梅、お前もそうなのだろう?」

梅「もちろん。だから今は・・・」

そういって三人は、眼前の敵を見上げる。

344 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:03:02 ID:BufMOCEUB7
梅「コイツを食い止めるんだ!」

鶴紗「梨璃たちももうすぐ来る。それまで絶対倒れるもんか・・・!」

梅「お、レアスキルか?」

鶴紗のレアスキルはファンタズムといい、ごく近くに起こる未来を垣間見ることが出来るものだ。だが、彼女は静かに首を横に振る。

345 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:03:22 ID:BufMOCEUB7
鶴紗「そんなことしなくても分かりますよ」

梅「・・・ああ、そうだな!」

アルシーヴ「来るぞ、覚悟を決めろ!」

346 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 00:03:38 ID:BufMOCEUB7
誰も一人じゃない、一人になどさせない。
そう意気込むように、三人の戦いが始まった。

347 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 00:04:31 ID:BufMOCEUB7
今回の投稿はここまでです。
明日は時間を分けて、7章と8章を投稿したいと思います。

348 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:11:11 ID:BufMOCEUB7
少しだけリリィの解説をしたいなと思います。
今回は梅、鶴紗、二水の三人です。

349 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:15:47 ID:BufMOCEUB7
吉村・Thi・梅(声・演:岩田陽葵)

日本人とベトナム人のハーフ。
明るい性格で気遣いも出来る、隊のムードメーカー。
元はベトナムのガーデンで学んでいましたが、ヒュージの襲撃を受け、大切な弟と生き別れてしまった、という過去を持ちます。
演じる岩田さんは高校生の頃から舞台に立つ、生粋の役者さんでもあります。

350 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:22:45 ID:BufMOCEUB7
安藤鶴紗(声・演:紡木吏佐)

無愛想だけれども、根は優しいネコ好きの少女。
アニメ(ゲーム)とそれ以外とで、かなり設定の違うキャラクターでもあります。
父親は軍人でしたが、無謀な戦いを仕掛けて静岡陥落の原因を作ったとして、戦犯の娘という扱いを受けるに至ります(本当は一か八か戦うしかない状況だった)
家族全員と死に別れた彼女は、半ば売り飛ばされるような形でゲヘナに徴収され、そこで身体強化手術を受けさせられた・・・。という流れになっています。

351 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 00:27:24 ID:BufMOCEUB7
二川二水(声:演 西本りみ)

リリィのことになると興奮し、口が早くなるオタク女子。
学院の新聞部から許可をもらい、校内新聞を独自に発行しています。
各リリィの特製把握、戦術眼などに優れ、レアスキルと合わせて縁の下でこそ力を発揮するタイプ。
演じる西本さんはバンドリでPoppin'Partyのベースも担当されています

352 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 18:53:45 ID:sB33ZZJ1/W
投稿を再開します。
この時間帯は7章を投稿し、深夜帯に8章を投稿したいと考えています。
全15章の折り返し地点ですが、お付き合いお願いいたします。

353 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 18:56:53 ID:sB33ZZJ1/W
第7章 タンジー(戦いを宣言する、抵抗)

救護所付近もまた戦場となっていた。
戦線から漏れ出た敵を倒すため、二水とミリアム、そして用心棒として待機していたクリエメイトらが応戦していた。

354 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 18:57:19 ID:sB33ZZJ1/W
二水「たあああ!!」

ミカン「へえ、あなたやるじゃない!」

二水「そういうミカンさんと桃さんこそ凄いです!特に桃さん、拳でヒュージに応戦するなんて・・・」

355 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 18:58:02 ID:sB33ZZJ1/W
桃「こういうわけの分からない敵は、拳に魔力を込めて殴るに限る。とはいえ効き目は薄いけど」

ミリアム「いやいや通じているだけで凄いことじゃ。しかし異世界で本物の魔法少女に会えるとはのう」

リリス「正義の魔法少女が続々と・・・。余は化け物よりこっちの方が恐ろしいかもしれん」

356 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 18:58:27 ID:sB33ZZJ1/W
二水「リリィと魔法少女は違うと思いますけど・・・」

シャミ子「いえ、悪いまぞく的なものをぶちころがす点では同じかと・・・」

ミリアム「ならお主みたいな良いまぞくなら問題ないじゃろ」

桃「私もそう思う」

シャミ子「何でしょう、褒められているのにこの敗北感」

357 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 18:59:21 ID:sB33ZZJ1/W
そこに魔方陣が展開されていく。ついにきらら達が戻ってきたのだ。

琉姫「転移に随分と時間がかかったわね・・・」

カルダモン「ヒュージから発せられる魔力のせいで、術式が安定しなかったからね」

きらら「遅れた分を早く取り戻さないと!」

358 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 19:00:13 ID:sB33ZZJ1/W
梨璃「二水ちゃん!それにミリアムちゃんも!!」

二水「梨璃さん!それに夢結様に楓さん!」

楓「無事でしたのね、ちびっこコンビ!」

ミリアム「ちびっこいうな!」

359 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:00:58 ID:sB33ZZJ1/W
夢結「良かった・・・。二川さん、他のみんなは?」

二水「神琳さんと雨嘉さんなら、おそらくこちらにもうすぐ・・・」

神琳「皆さん!ご無事だったんですね!」

雨嘉「また会えるって、信じてた・・・」

二水「神琳さんと雨嘉さんは見ての通りです。鶴紗さんと梅様はギガント級の足止めに・・・」

夢結「梨璃」

梨璃「はい!体勢を整えて、すぐにでも向かいましょう!」

360 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:02:11 ID:sB33ZZJ1/W
そんなやり取りを、恍惚の眼差しで見つめる者と、更にそれを見つめる者がいた。

かおす「あばぁ〜。一柳隊の皆さんが続々と〜」

雨嘉「ネコ耳フード、可愛い・・・」

楓「ほらお二人とも、惚けている場合じゃありませんわよ!」

ミリアム「なんじゃあいつ、わしらのこと知っとるのか?」

夢結「込み入った話だから後にするわね」

361 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:02:42 ID:sB33ZZJ1/W
ところで、とランプが尋ねる。

ランプ「アルシーヴ先生はどこに?」

カルダモン「そういえば姿が見えないね」

そこにフェンネルが駆けてくる。遠くからでも、その切羽詰まった表情が分かる。

362 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 19:03:12 ID:sB33ZZJ1/W
フェンネル「カルダモン!あなた無事だったのね!」

カルダモン「おかげさまで、と言いたいけれど、リリィの皆がいなかったらどうなっていたことか」

フェンネル「・・・そう、そちらも大きな借りを作ってしまったのね」

そう言ってフェンネルは呼吸を整える。

363 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:03:40 ID:sB33ZZJ1/W
フェンネル「・・・アルシーヴ様は、化け物の親玉を食い止めに行かれたの」

カルダモン「何だって!」

二水「こちらからも観測できます。三人とも持ちこたえてはいますが、急いだ方が良いかと!」

364 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:04:16 ID:sB33ZZJ1/W
ミリアム「しかし、あのギガント級をどう食い止める?」

神琳「ノインヴェルト・・・、とはいかないでしょうね」

雨嘉「敵はだいぶ掃討したけど、この数だと間違いなく妨害される」

楓「インチキバリアも健在なのでしょう?弾は残り一発である以上、慎重に向かうべきですわ」

365 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:04:42 ID:sB33ZZJ1/W
二水「それに、鶴紗さんは気力も体力も限界です。まともにノインヴェルトに参加できる状態じゃありません」

梨璃「怪我人も多い・・・。今私たちが散開して、ここが襲われでもしたら・・・」

366 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:05:13 ID:sB33ZZJ1/W
頼みのノインヴェルトが使えない以上、他の方法を模索しなければならない。
そこで夢結が、一計を案じる。

夢結「考えがあるの」

彼女の案を聞く一柳隊。そこに楓が率直な意見をぶつける。

367 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 19:05:36 ID:sB33ZZJ1/W
楓「夢結様、やれますの?」

夢結「鶴紗さんに梅、それにこの世界の皆が粘っているの。私だけ無様を晒したりなんてしないわ」

368 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 19:06:09 ID:sB33ZZJ1/W
それでも、と彼女が付け加える。

夢結「梨璃、もしもの時は頼める?」

梨璃「もちろんです。だからお姉様は思いっきり戦ってください!」

夢結「ありがとう梨璃・・・。ミリアムさん、この作戦の要はあなたです。必ず成功させて!」

ミリアム「ああ、大船に乗ったつもりでまかせんかい!」

369 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:07:28 ID:sB33ZZJ1/W
話がまとまった一柳隊が、クリエメイトに打診する。

夢結「これからミリアムさん、楓さん、雨嘉さん、神琳さん、そして梨璃とで、ギガント級にアタックを仕掛けます。二川さんは後方待機!私は敵残存勢力を一掃します!」

370 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/07 19:07:58 ID:sB33ZZJ1/W
桃「待って、一人でやる気?」

きらら「あの時、共に戦う仲間だって確かめ合ったじゃないですか!」

梨璃「みなさん、本当にお優しいんですね・・・。でも、今はお姉様に従ってほしいんです。お願いします!」

371 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:08:35 ID:sB33ZZJ1/W
そんな二人の話を聞いて、何をするのか察したクリエメイトが皆に呼びかける。

翼「ここは二人の言うとおりにして」

ミカン「でも!」

かおす「そうじゃないんです!その、私たち自身のためにも、指示に従った方が・・・」

小夢「多分、“あれ”を使うんだよね?」

琉姫「お願いみんな!伊達や酔狂でああ言っているわけじゃないの!」

372 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:09:03 ID:sB33ZZJ1/W
まんが家の必死の説得に、後方へ下がるクリエメイトたち。
それを見た夢結と梨璃が微笑む。

373 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:09:51 ID:sB33ZZJ1/W
夢結「ありがとう、みんな」

梨璃「ではみなさん、行ってきます。一柳隊、散開!」

そういって駆け出すアタックチームの面々たち。
それを見送った夢結は、一つ深呼吸をする。

374 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:10:16 ID:sB33ZZJ1/W
夢結「忌々しいこの力・・・、それでも、皆を救えるのなら!」

そして彼女は叫んだ。

夢結「ルナティックトランサー!!」

375 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:10:37 ID:sB33ZZJ1/W
直後、彼女の周りに瘴気が走る。

リリス「うおお何じゃあ、この禍々しい魔力は!?」

シャミ子「ごせんぞ、あれ!」

376 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:10:58 ID:sB33ZZJ1/W
見ると、彼女の髪は白に染まり、目は血のような紅に輝き始めている。
負のマギをこれでもかと周囲に放つその姿は、恐ろしくもどこか神秘的だった。

377 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:11:24 ID:sB33ZZJ1/W
ミカン「あれって・・・」

桃「闇堕ち・・・」

カルダモン「かおす達の言っている意味がようやく分かった・・・」

フェンネル「あれは抜き身の刃そのものね・・・」

378 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:11:47 ID:sB33ZZJ1/W
やがて獣のような、喉を潰さんとするばかりの咆哮を上げ、夢結は戦場へ跳ぶ。
直後、各所で爆発が巻き起こり、敵がまとめて弾け飛んでいった。

379 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:12:22 ID:sB33ZZJ1/W
うつつ「え、なにあれこわい」

二水「夢結様のレアスキル、ルナティクトランサーです・・・」

かおす「体内に、ヒュージのそれと同じ負のマギを宿して戦うんです」

380 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:12:55 ID:sB33ZZJ1/W
マッチ「おい!それって絶望のクリエを宿して戦うようなものじゃないのか!?」

小夢「見ての通り、凄まじい力と引き換えに、理性が弾け飛んじゃうの・・・」

ランプ「暴走・・・」

琉姫「彼女、いつもあの力に苦しんでいたわ。それで精神も不安定になったりして・・・」

きらら「それでも、皆を巻き込むまいとしてくれたんですね・・・」

381 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:13:18 ID:sB33ZZJ1/W
保護する対象だからではなく、戦う仲間だからこそ、敢えて皆を遠ざける。
その不器用な優しさを、一同はひしひしと感じていた。

382 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:13:49 ID:sB33ZZJ1/W
シャミ子「でも、何か力になってあげられないんですか?」

リリス「あんなもの、そう長くは持たんぞ」

かおす「・・・梨璃さんを信じてください」

リリス「梨璃とは先ほどののちみっ子か?何だか頼りなく見えるが・・・」

二水「梨璃さんは頼りなくなんかありません!」

383 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:14:37 ID:sB33ZZJ1/W
そう真っ先に反論したのは、共に生死を分かつ仲間であった。

二水「梨璃さんの行動力とひたむきさに、これまで夢結様は、いいえ、一柳隊は救われてきました。いつだって梨璃さんの周りに人が集まって、どんな困難も成し遂げてきたんです!」

384 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:15:14 ID:sB33ZZJ1/W
その後に続くように、まんが家たちが言葉を添える。

翼「物語として見てきたから分かる。彼女を迎えに行けるのは梨璃だけなんだ」

琉姫「あの二人は心から強く結ばれているの」

小夢「とらわれのお姫様が待っているのは、いつだって心に決めた王子様だよ!」

385 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/07 19:15:49 ID:sB33ZZJ1/W
リリス「王子と姫が逆の気もするが・・・」

小夢「いやいや、王子様は梨璃ちゃんだよ!」

二水「そこまでハッキリされると、こちらが恥ずかしくなってきます・・・。でも、間違っていない気もします」

かおす「はい!そんな梨璃さんだからこそ憧れるんです!」

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名前 age
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