お久しぶりです。そうでない人は初めまして。
以前このBBSで、以下のSSを投稿させてもらった者です。
【SS】ハッピーシュガーライフ×きららファンタジア
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=775&ukey=0&log=past
【SS】小鳥と不死鳥と(機動戦士ガンダムNT×アニマエール)
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=1471&ukey=0&log=past
最初に投稿したSSを基に、ハピシュガの人というコテハンを使いたいと思います。
今回は、昨年アニメが放送され、現在アプリゲームが配信中のアサルトリリィときらファンのクロスSSを書きました。
今回は10万3千字ほどの文章を、何回かに分けて投稿したいと思います。
全15章分、お付き合いのほどよろしくお願いします。
今回はさっそく、第1章と2章を投稿します。
ギガント級が口を開く。
その中にいたのは、間違いなくヒナゲシだ。
彼女は正面から飛来するマギスフィアめがけ、黒い矢を放つ。
梅が縮地を用い阻止に向かうが、紙一重の差で矢はマギスフィアへ命中する。
刹那、マギスフィアは漆黒に染まり、その余波で梅は吹き飛ばされてしまった。
黒く、絶望のクリエに染まったマギスフィアが命中する。
それは敵を討つどころか、多大なエネルギーを与える結果になった。
ギガント級の身体に変化が起こる。
全身が白黒に明滅し、体表のエトワリウムは漆黒に染まって肥大化した。
背中から触手が生え、それらが翼のように寄り集まる。
手足と首、尾がスラリと伸び、全体的なフォルムが大きく変化する。
それはまさしく、西洋に伝わる邪龍そのものだ。
ギガント級「!!!!!」
ギガント級が触手を地面に突き刺す。
瞬間、地を混ぜるほどの大地震が発生し、陣形が大きく崩され、前方と後方が入り乱れてしまう。
やがて敵は触手を翼状に戻し、それを大きく広げる。そこからはバチバチと耳障りな音が響いていった。
龍は、余剰となったエネルギーを雷として一面に降らす。
地を砕き割り、全てを切り裂き、燃やし尽くす一撃だ。
辛うじて対応できたナイト達がとっておきを用い、防御を全体に敷く。
一部のそうりょたちも支援を行っているが、とても間に合わない。
やがて力の奔流は弾け、全員を襲った。
しばらくして、かおすはむくりと目を覚ます。
だいぶ遠くに吹き飛ばされたようで、全身がズキズキと痛むが、何とか生きているらしい。
だが、眼前の光景を見て、かおすはあの光景を思い出してしまった。
否、思い出したという表現は正しくないだろう。そこに広がっていたのは、あの悪夢さながらの光景だったのだったから。
かおす「そんな、あれが正夢に・・・」
焦燥感に駆られた彼女は、辺りを見回す。
すると遠くに、見知った顔を見つけることが出来た。
小夢「うう・・・」
梨璃「はあ、はあ・・・」
かおす「・・・!!二人とも大丈夫ですか!?」
かおすは少し安堵した。あの夢と違い、まだ皆が生きている。
だが、予断を許さない状況に変わりはない。加えて、動けるのは自分しかいないらしい。その認識が彼女を再び強い不安へ駆り立てた。
ヒナゲシ「良いのかおすちゃん?このままだと夢と同じになるよ?」
かおす「・・・!」
龍の口元から、ヒナゲシが降り立つ。
それはまさに、あの夢の声の主だった。
第13章 エーデルリリィ(イノチ感じるほどに)
二水「まさか、ヒュージの体内に隠れていたなんて・・・!」
ヒナゲシ「木を隠すなら森の中・・・。あなたの目でも中までは見えないでしょ?」
神琳「ですが、それではあなたも無事で済むはずが・・・!」
ヒナゲシ「分からないの?あの子が私に力をくれたんだよ」
見れば、ヒナゲシから不気味なオーラが立ちこめている。
それは絶望のクリエだけでなく、負のマギもない交ぜになったものだった。
夢結「本当にヒュージと心を通わせた、とでも言うの?」
ヒナゲシ「うふふ、だからこーんなことも出来ちゃうよ?」
ヒナゲシが虚空から大量の矢を取り出す。
それを空に向かって放つと、たちまちウツカイへと変化した。
ヒナゲシ「あいつを押さえて」
ウツカイ「ウツツ!」
鶴紗「ぐっ・・・!」
梅「鶴紗!」
ヒナゲシ「傷が癒えても、動けないなら意味ないよね?」
逼迫する状況。そこにエンジン音が響いていく。
ポルカとカンナがバイクで駆けつけたのだ。
ポルカ「おい!どうなってるんだよこれは!?」
カンナ「向かっている途中、凄まじい音がしたと思えばこれか・・・!」
ヒナゲシ「・・・例のものを奪って」
再び矢を放ちながら、そう呟くヒナゲシ。
彼女の願いに応え、虫型に姿を変えたそれは、二人に大群で襲いかかった。
カンナ「ポルカ!飛び降りろ!!」
ポルカ「お、おう!」
二人がバイクから飛び降りた直後、ウツカイがそこに群がる。
バイクは瞬く間に爆破炎上した。
だが、それで済ますほど敵は甘くない。
まるで鳥葬のように二人に覆い被さり、目当ての品を探し始める。
カンナ「ぐっ・・・、どけ、どくんだ!!」
ポルカ「やめろ!それを持って行くんじゃねえ!!」
二人の抵抗も虚しく、最後の希望たる特殊弾頭も奪われてしまう。
怪物はそれを丁寧に掴むと、主の元へ届けた。
ヒナゲシ「良い子だね」
ウツカイの頭を撫でながら彼女はそう言い、懐から最後の黒い矢を取り出す。
きらら「あれは・・・」
アルシーヴ「遠目でも分かる・・・。なんて禍々しい気だ!」
ミリアム「それをどうする気じゃ!」
ヒナゲシ「うん?こうするんだよ」
そう微笑むと、彼女は矢と弾頭をコツンとぶつけ合わせる。
するとどうだろうか、矢が霧のように霧散し、弾頭へと吸い込まれていく。
彼女の手元には、黒い球体が出来上がっていた。
楓「あれは、マギスフィア?」
雨嘉「でも、あんなの見たことない・・・!」
ヒナゲシ「それはそうなの。これは特製なんだから」
ボウリングほどのそれを手に、彼女はかおすの下へ歩み寄る。
そしてマギスフィアを強引に、彼女の杖へとねじ込んだ。
たちまち杖も黒く染まっていく。
ヒナゲシ「どうすれば良いかは、分かっているよね?」
かおす「・・・」
ヒナゲシ「ほら、あれを見て?」
ヒナゲシが指さす方向には、あのギガント級がいる。
敵はゆっくりと、だが確実に、翼へと再びエネルギーを貯めていた。
ヒナゲシ「このままだと、みんな死んじゃうよ?夢の通りになっちゃうの」
かおす「・・・」
ヒナゲシ「でもね、あの子の体はもう限界なの。無理もないよね、傷ついた体に無理やりエネルギーを入れたんだから」
かおす「・・・」
ヒナゲシ「だからさ、それ持ってぶつかれば倒せるよ・・・?」
ミリアム「いかん!そんなことをすれば確実に死ぬぞ!!」
神琳「それに、あなたが自ら希望を砕くような真似をするとは思えません!」
翼「どう考えても罠だ!」
ヒナゲシ「でも仮に罠だとして、これ以外に状況を切り抜ける手段がある?」
琉姫「それは・・・」
先ほどの一撃を受けて、かおす以外は体を動かすことさえままならない。
動ける可能性のある鶴紗、カンナ、ポルカも拘束を受けている。
楓「全てあなたの仕組んだことでしょうに・・・!」
ヒナゲシ「何とでも言えば良いの。それにあなたとはお話ししてない」
そういうと彼女は、他の面々にもウツカイを取り付かせる。
強い拘束を受けて、皆が苦しそうに呻き声を上げる。
ヒナゲシは満足げな顔をすると、再びかおすに声をかける。
ヒナゲシ「夢では助けが来てくれたけど、現実はいつも無情で、残酷で、冷酷なの」
かおす「・・・結梨ちゃん」
ヒナゲシ「うん、だからその結梨ちゃんも来ないんだよ」
彼女は一方的に話を続ける。
ヒナゲシ「愚図でのろまで、何の取り柄もない自分が嫌いなんだよね?だから物語に憧れるんだよ。でも、所詮そんなものは自分を助けてくれない。」
かおす「・・・そうですね。私はずーっと自分のことをそう考えて、いいえ、今でもそう考えてしまいます」
小夢「かおす、ちゃん・・・!」
ヒナゲシ「最後に勝利して、みんな笑顔なんて幻想なんだよ。これは戦争なの。何かを犠牲にしなければ戦いは終わらない」
夢結「どの口が言うの・・・!」
ヒナゲシ「ふふ、でもあなた達の世界だって同じでしょ?あの子も人間同士がいざこざを起こした結果生まれたんだから。私はそれに乗っかっただけなの」
ヒナゲシ「だからさ、最低限の犠牲でことを成し遂げたら、何者でも無い自分に・・・、ヒーローになれると思わない?」
かおす「・・・ええ、犠牲は最低限に。私も同じ考えです」
雨嘉「駄目だよ、そんなの詭弁だよ!」
皆の言葉に対し、かおすは押し黙ったままだ。
そこに、少女はトドメの言葉を投げかけた。
ヒナゲシ「だからさ、“いって”」
その言葉を受け、かおすが走り出す。
皆の叫び声も尻目に、彼女は速度を上げていく。
それを見て、ヒナゲシは勝利を確信した。
ヒナゲシ『うふふ、倒せるって言葉に嘘はないの。でもその後のことは知らないよ・・・?』
夢で洗脳の下地を作り、攻撃から敢えて彼女を外すことで、同様の状況を作り出す。
そしてかおすが龍にぶつかれば、彼女ごとその体は四散するだろう。
だがそれは、負のマギに汚染されたヒュージ細胞が、広範囲に撒き散らされるのと同義である。
やがて細胞は、寄生、増殖、分裂を繰り返し、ヒュージとしてネズミ算的に増殖する。そうなればもはや対処は不可能だ。
あとはじんわりとエトワリアを汚染し、女神を喰らわせ、聖典の世界も汚染すれば良い。それが彼女の企てであった。
だがそれだけなら、弾頭を奪い汚染した時点で、彼女自身がそれを投げつければ良かったのである。
かおすを利用したのは完全な余興であり、リリィやクリエメイトに対する意趣返しでしかない。
ヒナゲシ『大切な仲間が、憧れを持ってくれた人が、命と引き換えに最悪の事態を引き起こすのを、ゆっくりと眺めると良いの。それがあなた達への復讐なんだから・・・!』
かおすは転びそうになりながらも、必死に走る。
そうして段々と龍に近づき、そして・・・。
ヒナゲシ「は・・・?」
ヒナゲシは何が起こっているのか、一瞬把握できなかった。
かおすは自分の思い通りに動くはずだったのだ。
だが、その目に映る彼女は・・・。
かおす「梨璃さん!しっかり!!」
梨璃「かおすちゃん・・・」
かおすは龍ではなく、梨璃の下へ駆け寄っていた。
黒く染まった杖を、マギスフィアごと梨璃のチャームに重ねている。
そして必死に回復の術を唱え、憧れの人へとかけていた。
梨璃「ありがとう、かおすちゃん。少しだけ元気が出てきたよ」
かおす「梨璃さん!」
梨璃「うん、分かってる!」
そういって彼女はカリスマを発動する。
杖がふれ合った先から、段々と桜色に戻っていく。
二人が武器を掲げると、そこには黒く肥大化したマギスフィアが乗っていた。
ヒナゲシが思わず叫ぶ。
ヒナゲシ「なんであなたはそんなことをしているの!萌田薫子!!」
かおす「確かに私は愚図でのろまです。だから一柳隊の皆さんに憧れました。自分に持っていないものを皆さんは持っているように思えたから・・・」
ヒナゲシ「なら!」
かおす「でも、触れ合って改めて知ったんです。皆さんも私たちと同じで、感性豊かな女の子なんです。何度も挫けて迷って、それでも前に進もうとしてるだけなんです!」
ヒナゲシ「それが何だというの!?そんな力でマギスフィアを浄化できるわけない!」
かおす「出来るどうかじゃありません!犠牲は誰も出さない!私たちと変わらないリリィがヒーローでヒロインなら、私だって今のままでヒーローにもヒロインにもなれる!それを証明するためにも、私たちはやってみせます!!」
梨璃「残念だったね。かおすちゃんはあなたが思っているよりもずっと優しくて、そして強い娘なんだから!!」
ヒナゲシ「ああ、そう」
ヒナゲシ「やっちゃえ」
直後、二人は大量のウツカイに囲まれる。
龍もボロボロの体でとはいえ、チャージを続けている以上、有利不利は変わっていない。
ヒナゲシ「あはは。お馬鹿さんにはお似合いの末路なの」
だが、そんな彼女に一種の不快感が押し寄せる。
何か暖かで、強い波動が戦場を包んでいく。
ウツカイが苦しみだし、動きを鈍らせていった。
ヒナゲシ「今度は何!?」
彼女は遠くを見やる。
するとそこには、驚くべき人物が立っていた。
アルシーヴ「ソラ様!?何故ここに!?」
セサミ「申し訳ございません!強大かつ邪悪な力を感じ取り、外へ飛び出されてしまったのです・・・」
フェンネル「驚きました。私たちより速く走っていくんですもの・・・」
ハッカ「しかし皆、満更でもない」
シュガー「うん!けーごよりこっちの方がシュガーにはあってる!」
ソルト「ふふ、今日は珍しく意見が合いますね」
ソラが優しく、だが強くアルシーヴに語りかける。
ソラ「ごめんなさい。お説教なら後でいくらでも聞くから!」
アルシーヴ「全く何を考えているのですか!皆あなたを守るために戦っているのですよ!それが前線に出てくるだなんてそんなことあり得ますか!?」
ソラ「もう!!だって守られてばかりなんて嫌なんだもの!!」
アルシーヴ「・・・でも」
アルシーヴもまた、優しく呟く。
アルシーヴ「そのお顔を見られて、正直ホッとしました」
ソラ「うんうん、それで良し!」
ソラが皆に勅命を下す。
ソラ「女神ソラが命じます。みんな、立ち上がって!!」
ヒナゲシ「させないの!!」
そういって矢を雨のように放つヒナゲシ。
だがそれら全てを弾かれてしまう。
セサミ「それはこちらの台詞です」
フェンネル「ふん、こんなものアルシーヴ様の技に比べれば!」
ハッカ「ここには皆がいる。このようなもの、そよ風と同じ」
シュガー「おりゃおりゃー!!」
ソルト「皆さん!立ち上がってください!!」
アルシーヴ「そして滅ぼしてくれ、歪んだ未来を!!」
カルダモン「ソラ様・・・」
ジンジャー「やるぜ!ここから逆転サヨナラ満塁ホームランだ!!」
きらら「行こう三人とも!」
ランプ「ええ!負ける気がしません」
マッチ「ああ!僕らの力、見せてやろう!」
うつつ「いやあんた具体的に何してたのよ」
翼「かおす・・・」
琉姫「見ないうちに立派になって・・・」
小夢「何だか泣けてくるよ〜」
鶴紗「未来を視るまでもないさ。今の私たちなら・・・!」
梅「ああ!どんな奴にだって負けない!」
夢結「この世界の暖かさ、絶対に奪わせはしない!!」
二水「全くもって同意です!!」
ミリアム「紆余曲折あったが、あの弾頭も活かせそうで何よりじゃわい!!」
雨嘉「神琳!楓!」
神琳「ええ、参りましょう。テスタメント!!」
楓「逃げも隠れもしませんわ。何故ならあとは勝利をつかみ取るだけですもの!レジスタ!!」
神琳と楓がレアスキルを発動し、戦場全域の仲間に力を与える。
梨璃のカリスマも効果が跳ね上がり、マギスフィアも瞬く間に浄化されていく。
更にその余波を受け、龍も苦しみ出す。チャージも完全に止まってしまった。
夢結「梨璃!萌田さん!」
かおす「はい!」
梨璃「お姉様に、届けぇぇ!!」
マギスフィアを夢結へパスする二人。
その重さを、彼女は確かに感じ取っていた。
梅「夢結!今度はこっちだ!」
夢結「ええ!!二人が繋いでくれた希望・・・。今度は私たちが!」
夢結から梅へ、そして今度は二水へパスが回される。
梅「頼むぞふーみん!!」
二水「せ、責任重大ですぅ!!」
そう口では言いながらも、彼女は確かにそれをキャッチする。
しかし、敵もそれを見逃すほど甘くはない。
ヒナゲシ「させないって言っているの!!」
僅かに残ったヒュージやウツカイが二水めがけて襲いかかる。
ヒナゲシも矢をまとめて束ね、巨大なウツカイを次々に創り出していた。
二水も懸命にかわしていくが、遂にマギスフィアを取りこぼしてしまう。
二水「そんな・・・!」
梅「ふーみん!!」
夢結「待って、今そっちにいく・・・」
だが、それを拾ったのはリリィでも、ましてや敵でもなかった。
カルダモン「ここは・・・!」
ジンジャー「任せろお!!」
二人がすんでの所でマギスフィアを拾う。
だがチャームと違い、クリエメイトの武器はマギを扱うようには出来ていない。
かおすの杖はともかく、強大なマギを前に武器は砕けるしかないのだ。
カルダモン「ヒビが・・・!」
ジンジャー「ええい!ボールなことに変わりはねえ!!」
そう言うとジンジャーはバットでマギスフィアを空高く打ち出す。
ジンジャー「野球は得意だろ!なあ、おまえら!!」
粉々になったバットを振り下ろしながら、ジンジャーはそう叫ぶ。
マギスフィアが飛んだ先にいたのは・・・。
珠姫「くぅぅぅ!!!」
詠深「ナイスキャッチだよ、タマちゃん!」
珠姫「気をつけてヨミちゃん!とんでもない暴れ馬だよ!!」
詠深「逆に燃えるね、それ!」
珠姫「・・・ほんとに手を燃やさないようにね?」
詠深「うん!!」
その一球は、焼けるように熱い。
だが彼女は正確なコントロールで、それをある方向に投げた。
詠深「球技は野球だけじゃない・・・。そうでしょ、みんな!!」
遥「もちろん!」
かなた「受け止めて弾くなら、私たちの得意分野だから!」
詠深から受け取ったそれを、ビーチバレーを志す者たちが繋げていく。
エミリ「今度はリリィのみんなに!」
クレア「うん、アタシたちの全部を託そう!」
成美「まさか、あなた達と共闘だなんてね」
彩紗「でも悪くないね、こういうのも!」
あかり「かなたさん!そちらにパス飛びました!」
かなた「分かった!最後は遥・・・お願い!」
遥「任せて!!」
そう言って、彼女は高くトスを打ち上げる。
それを鶴紗が空中で受け取った。
鶴紗「みんなの全力、無駄にはしない!!」
落下しながら、次のパス目標を探す鶴紗。
一方で、龍も動きに感づき、攻撃の手を強める。
背中からは爆弾を放ち、口からは火炎、尾の先からは水をカッターのように噴出している。加えて、触手も滅茶苦茶に展開し、彼女を捉えようとした。
鶴紗「こんな所で、引き下がるわけにはいかないんだ!!」
冠「メロディ、力を貸して・・・!えーい!!」
冠がその姿を変える。
それはかつて心通わせた、サンリオの仲間のものだった。
彼女がステッキを振るうと、そこに虹の橋が出来上がる。
その上に降り立つ鶴紗。そこに見知った顔が駆けつけ、攻撃を払っていく。
栄依子「仲間を信じ助けろ、ってね!」
シュガー「シュガー様の参上だよ!ここまで全力で走ってきたんだから!」
鶴紗「みんな・・・」
ハッカ「我々の力、譲渡」
そうハッカが言うと、四人のクリエが集まって、マギスフィアへと吸収されていく。
やがて冠と、その友人も集う。
冠「ここは任せて」
花名「そう、ゆっくりでも少しずつ、確実に・・・」
たまて「みんなの心が一つになってきてますよ!!」
鶴紗「・・・そうだね、本当にその通りだ!」
少し涙をにじませながら、鶴紗は集まった希望を打ち出す。
鶴紗「ミリアム!頼んだ!!」
ミリアム「任せんかい!!わしの全力も重ねてやる!フェイズトランセンデンス!!」
己の全てを注ぎ込むミリアム。当然の帰結として枯渇を起こし、その場に倒れ込んでしまう。
だが、彼女は一人では無い。
ミリアムへと飛んだ攻撃を、ある一団が防ぐ。
衣乃「ミリアムちゃんは・・・」
仁菜「私たちが守る!!」
はゆ「おちこぼれにだって、やれることはあるもん!!」
ロコ「リリィにばっか良いカッコさせるか!!」
ミリアム「お主ら・・・」
そっとマギスフィアを受け取る衣乃。
衣乃「後は任せてください」
ミリアム「・・・ああ!」
ロコ「大丈夫か衣乃?緊張してトイレ近づいてないか?」
衣乃「そ、そんなことありませんよ!ちょっとだけですもん!!」
はゆ「ちょっとは・・・」
仁菜「あるんだ・・・」
衣乃「とりあえず行きますよ!誰か受け取ってくださーい!!」
ミリアム「あ、誤魔化した」
その盾を再び砕きながら、衣乃はマギスフィアを繋いでいく。
それを受け取ったメリー達に、変化が訪れる。
薗部「おや・・・」
メリー「この姿は・・・」
優「きっと、さっきの冠ちゃんに反応してるんだ!」
はなこ「わーい!クロミちゃんも力を貸してくれるんだね!!」
アリス「そうだよね、ずっとみんなで笑い合える世界にしたい・・・、気持ちは同じなんだ!」
メリー「なら行きましょうか、キティ!!」
薗部「そちらに投げるので受け取ってくださいまし、葉子様」
音符やリンゴ、菓子の形をしたエネルギーがマギスフィアと同化していく。
例え遠く離れていようと、思いは一つだ。
葉子「確かに受け取ったわ、薗部!」
ゆの「暖かな陽だまりを・・・!」
ゆずこ「ゆるっとした日常を!」
青葉「夢を!」
こはね「誰かを応援する気持ちを!」
平沢 唯「音楽を!」
なる「踊りを!」
苺香「誰かが大好きって気持ちを!」
千矢「つなごう、みんなで!・・・なでしこ!!」
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