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【SS】異世界に咲く、白百合の花(アサルトリリィ×きららファンタジア)
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1 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/03 21:55:27 ID:RMyPYf55.W
お久しぶりです。そうでない人は初めまして。
以前このBBSで、以下のSSを投稿させてもらった者です。

【SS】ハッピーシュガーライフ×きららファンタジア
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=775&ukey=0&log=past

【SS】小鳥と不死鳥と(機動戦士ガンダムNT×アニマエール)
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=1471&ukey=0&log=past

最初に投稿したSSを基に、ハピシュガの人というコテハンを使いたいと思います。
今回は、昨年アニメが放送され、現在アプリゲームが配信中のアサルトリリィときらファンのクロスSSを書きました。
今回は10万3千字ほどの文章を、何回かに分けて投稿したいと思います。
全15章分、お付き合いのほどよろしくお願いします。
今回はさっそく、第1章と2章を投稿します。

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686 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:30:39 ID:364Kpy7gnV
しばらく皆が呆然としていると、ポルカがその場にやってくる。

ポルカ「お〜い、もうみんな集まってるぞ?」

ミリアム「は!いかんいかん!詮索はまたの機会に!」

梨璃「わわ!迎えに来たのに遅刻したら話にならないよ〜!」

翼「私たちも急ごう!」

琉姫「さあ走って!」

小夢「ふえええ、そんなあ」

かおす「待ってくださあい・・・」

一同はその場を後にした。

687 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:30:59 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴから全員に知らされたのは、ギガント級の足取りを掴んだという情報だった。
あの放送の後、エトワリア全域での捜索が始まったのだが、海をテリトリーとする海賊、そしてリュウグウパレスから、海洋生物の様子がおかしいとの情報が入ったのだ。
曰く、一部海域の生物たちが、酷く何かに怯えていたらしい。

688 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/10 23:31:42 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴ「そこで彼女らと協力し、ここ数日で海中を捜索したのだが・・・」

セサミ「かなり奥深くに、洞窟への入り口があったのです」

アルシーヴ「そこから異様な絶望のクリエを感じてな。中に入ったところ、一部が空洞・・・、つまり陸上と同じように呼吸できる場所があったのだ」

689 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/10 23:32:21 ID:364Kpy7gnV
セサミ「残念ながら既にもぬけの殻でしたが、数々の痕跡、および残留したクリエから考えるに、ギガント級がそこに潜んでいたのは間違いないかと」

アルシーヴ「平原から掘り進んできたのだろう。もっとも、その際に使用した穴は丁寧に埋められていたが」

夢結「足取りを掴ませまいとしたのね」

楓「それで、敵は何処に?」

690 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:33:00 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴ「それ以上掘り進んだ痕跡が見当たらない代わりに、異様に壁が削れた箇所があったのだ。まるで空間ごと穴を空けたような・・・」

ミリアム「ケイブを作って逃げんたんじゃな」

セサミ「はい、今はそこに潜伏しているものと考えられます」

691 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:34:10 ID:364Kpy7gnV
それを聞いた一柳隊の面々は、困惑の色を隠せなかった。

神琳「・・・厄介ですね」

雨嘉「うん、これじゃどこから出てくるか分からない・・・」

鶴紗「なんなら、神殿の真横にケイブを張られる可能性もある」

梅「そうしたら防ぎようがないな・・・」

692 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:34:38 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴ「ところが、そうでもないのだ」

二水「と、言いますと?」

アルシーヴはソルトを呼び寄せる。
彼女の口から、ギガント級の行方について説明が行われた。

693 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:35:17 ID:364Kpy7gnV
ソルト「まず結論から述べますと、敵は平原に再び出る可能性が高いです」

楓「根拠を挙げて頂けますか?」

ソルト「はい。捜索が始まったタイミングに合わせて、絶望のクリエの観測を私たちは行っていました。あれだけのものを撒き散らす存在です。何か動きがあればすぐに分かります」

694 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/10 23:36:28 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴ「それまでは海底に潜んでいたため、反応が見当たらなかったのだが・・・」

ソルト「アルシーヴ様が海底調査を行った前後に、平原付近で濃い絶望のクリエが観測され始めたんです。それも日増しに強くなっています」

アルシーヴ「空間も不安定になってきている。ここに再び出るぞと、我々を挑発しているかのようだ」

梨璃「もしかすると、ケイブの向こうで準備を整えているのかもしれません」

ソルト「その可能性は高いでしょうね」

695 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:37:07 ID:364Kpy7gnV
そこに梅が口を挟む。

梅「しかし敵さん、なんでそんな回りくどいことを?」

きらら「・・・リベンジ、なのかもしれません」

夢結「それはどういう?」

きらら「以前、ヒナゲシと私たちが戦った話はしましたよね?」

マッチ「彼女、一柳隊にコテンパンにされたこと込みで、僕らを強く恨んでいるんじゃないかなあ」

うつつ「・・・逆恨み」

ランプ「だからこそ、敗北の地で今度は勝利し、自尊心を満たそうとしているのかと・・・」

696 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:37:48 ID:364Kpy7gnV
神琳「しかし、それは彼女の意思であってギガント級の意思ではないのでは?」

ミリアム「・・・クリエとマギは似ているようで違い、違っているようで似ておる」

翼「案外、心を通わせたのかもしれない」

二水「ええ!?ヒュージとコミュニケーションを!?」

楓「それはいくら何でも飛躍のし過ぎでは?」

697 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:38:26 ID:364Kpy7gnV
ミリアム「じゃがのう、現にリリィと交流の多かったかおすの杖からは、明らかにマギが検出されとる」

梨璃「さっき、私のチャームとかおすちゃんの杖が激しく共鳴したの」

かおす「・・・」

ミリアム「この世界については分からないことだらけじゃ。似たようなことが敵の間で起こったとしても、仮定としてはアリだと思うぞい?」

雨嘉「世界が憎いもの同士が、意気投合したってこと?」

楓「それが本当なら迷惑千万ですわね」

698 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:39:25 ID:364Kpy7gnV
アルシーヴが話を切り替える。

アルシーヴ「平原の反応を見るに、Xデーは明後日の早朝だと思われる」

ソルト「日の出と共にケイブ・・・、すなわちワームホールが開かれて、敵がなだれ込んでくる可能性が高いかと」

小夢「明後日・・・」

琉姫「明日じゃないだけマシね」

699 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:40:05 ID:364Kpy7gnV
夢結「ええ、敵が日数分強くなるのだとしても、私たちも同様に強くなれるわ」

かおす「・・・やりましょう」

翼「かおす・・・」

かおす「この杖に宿った何かが、“頑張れ”って呼びかけてくれている気がするんです。だったら、それに応えてあげたいなって」

ランプ「・・・なんだか、かおす先生が少し強くなられた気がします」

小夢「憧れの梨璃ちゃんの影響かな?」

梨璃「そうなの?」

かおす「あばば!否定はしませんが恥ずかしいです・・・」

700 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:40:27 ID:364Kpy7gnV
場に暖かな笑いが巻き起こる。
かおすはどこかばつが悪そうで、それでいてどこか嬉しそうだった。

701 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:40:48 ID:364Kpy7gnV
ポルカ「さて、一段落したとこで今度はおれたちの番だな」

ミリアム「ああ、わしらの成果を見せてやろうぞい。・・・といっても、“あれ”はもう少し調整が必要じゃがな」

それから、二人のプレゼンが行われたのだった。

702 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:41:08 ID:364Kpy7gnV
話し合いとその日の訓練を終え、一同が帰っていく。
勿論、一柳隊とまんが家も例外ではない。
だが、その日は様子が違っていた。

703 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:41:43 ID:364Kpy7gnV
楓「こ、これが梨璃さんのドール・・・!!」

かおす「えへへ、本物そっくりですよね」

梨璃「何だか恥ずかしいよお・・・」

楓「かおすさん。言い値で買い取らせて頂けませんか?」

704 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:42:16 ID:364Kpy7gnV
かおす「ええ!?か、楓さんのお願いでもそれは駄目ですぅ!」

楓「・・・と、言いたいところですが、梨璃さんを愛する気持ちは痛いほど分かります。ここは手を引きましょう」

かおす「楓さん・・・」

楓「そのドール、大切にするんですのよ」

鶴紗「と言いつつ、手が震えてるぞ」

楓「そこ、お黙りなさい!」

705 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:42:39 ID:364Kpy7gnV
最初は梨璃の一言がきっかけだった。
決戦を迎える前に、互いに親睦を深めたいと。
それがあれよあれよと膨らんで、一柳隊が全員で寮に訪ねることになったのである。

706 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:43:16 ID:364Kpy7gnV
ミリアム「おお!魔法少女ものの漫画ではないか。わしこういうの好きでのう」

美姫「そうなの?なら嬉しいな。それ描いてるの私なの」

ミリアム「なんと!いやこれは素晴らしいぞ。お主がどれだけ魔法少女を愛しているのかが、読めば読むほど伝わってくる」

美姫「でも、皆さんは魔法・・・というより魔力を使って戦う本物の魔法少女ですよね?何だか気が引けちゃうなあ」

707 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:44:01 ID:364Kpy7gnV
ミリアム「なーに言っちょる。魔法少女はもっとこうヒラヒラ〜としてて、可愛い使い魔を連れて、キラキラしたエフェクトに囲まれているもんじゃ。ゴツい武器持って、硝煙と汗にまみれて、お子様が見たら刺激が強い戦いしてるわしらが魔法少女なら、それは外道の類だわい」

美姫「そこまで言わなくても・・・」

ミリアム「いやのう、麻冬という姉さまに面と向かってわし言われたんじゃよ、『申し訳ないけれど、あなた達は何か違うわね』と・・・」

美姫「ああ麻冬さん、魔法少女大好きだからなあ・・・」

ミリアム「つまりはそういうことじゃ」

708 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:44:58 ID:364Kpy7gnV
怖浦「クッキーあるけど良ければどお?」

二水「う゛ええ!?なんですかこれえ!?」

怖浦「自信作なのお〜!」

二水「クッキー見てグロテスクって感想抱いたの初めてです・・・」

梅「見た目はアレだけど、中々イケるゾこれ」

二水「そしてそれをボリボリいってる梅様にも驚きです・・・」

709 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:45:48 ID:364Kpy7gnV
怖浦「・・・」

翼「あ、先輩が案外驚いた顔してる」

琉姫「あんなに物怖じしない人、初めて見たのかもね」

梅「ふーらだっけ?前髪伸ばしたままだと目に悪いゾ?ほら、結んであげるから」

怖浦「あ、いやその・・・」

710 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:46:23 ID:364Kpy7gnV
梅「結構可愛い顔してるじゃないか。隠すだなんてもったいないゾ」

怖浦「ああ、そんなことされたら私成仏して・・・」

梅「ん〜?ちゃんと足ついてるから大丈夫だろ」

怖浦「翼ちゃ〜ん、琉姫ちゃ〜ん、助けて〜!!」

翼「おーこれは中々見られない光景」

琉姫「ふふ、頼りがいがあるわね」

711 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:47:07 ID:364Kpy7gnV
神琳「少年漫画とは、こんなに心躍るものなのですね」

雨嘉「この恋愛ものも良い・・・」

小夢「そう言ってもらえると作家冥利に尽きるよ〜」

翼「私もみんなの戦いを見て、インスピレーションが湧いて来そうなんだ。だから感想があればドンドン言って」

712 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:47:44 ID:364Kpy7gnV
夢結「こちらの漫画は何かしら?」

琉姫「ああそれは駄目ぇ!!!」

夢結「〜〜〜〜っ!?!?!?」

神琳「あらあらこれは・・・」

雨嘉「そんな。大事なところがはだけて・・・」

琉姫「嫌ぁぁぁぁぁ!!!!」

小夢「ありゃー遅かったね」

翼「琉姫はその、ティーンズラブ担当なんだ」

713 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:48:18 ID:364Kpy7gnV
梨璃「お姉様、どうされたんですか?あ、私も一緒に読みたいです!」

夢結「駄目よ梨璃!!梨璃はどうか清らかなままでいて!!」

琉姫「私は不健全・・・、存在そのものが不健全・・・」

梨璃「・・・どうされたんですか皆さん?」

神琳「梨璃さんにはまだ早い世界がある。ということですよ」

梨璃「うーん・・・」

714 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:48:49 ID:364Kpy7gnV
思い思いの時間を過ごす少女たち。
だが、楽しい時間ほど早く過ぎるのは世の道理である。
明日が最後の訓練になると、それぞれの住処に戻る一同。
名残惜しさを感じるかおすに、梨璃が声をかける。

715 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:49:29 ID:364Kpy7gnV
梨璃「ちょっとだけ、付き合ってもらえるかな?」

かおす「・・・もちろんです!」

そうして二人だけ、寮の近くで話をすることになった。
草むらの上に座り込む少女たち。
かおすが先に口を開く。

716 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:50:00 ID:364Kpy7gnV
かおす「良かったんですか?戻らなくて」

梨璃「うん、お姉様にはきちんと話してあるから」

かおす「そっか」

717 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:50:41 ID:364Kpy7gnV
今度は梨璃から話題を振る。

梨璃「その杖のことなんだけど・・・」

かおす「結梨さん・・・ですか?」

梨璃「やっぱり知っていたんだね」

718 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:51:07 ID:364Kpy7gnV
一柳結梨。
天真爛漫で、梨璃の妹や子のようでもあった存在。
梨璃を守るため現実に立ち向かい、帰ることのなかった少女・・・。

719 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:52:00 ID:364Kpy7gnV
かおす「私、内容は朧気なのですが、ここ数日怖い夢を見ていた気がするんです」

梨璃「・・・」

かおす「もう駄目だって、そう思ったときに誰かに助けてもらったような。それはとても暖かくて、良い香りがして、でも悲しくてたまらなくて・・・」

720 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:53:06 ID:364Kpy7gnV
梨璃「・・・結梨ちゃんのことだって、確信に変わったのは?」

かおす「梨璃さんのチャームと杖が反応したとき、私思ったんです。まるで姉妹や親子が呼びあってるみたいだなって」

梨璃「姉妹、か・・・」

かおす「私の杖に、どうして結梨さんのマギが宿ったのかは分かりません。でもきっとそれは、強い意味を持っていると思うんです」

721 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/10 23:53:41 ID:364Kpy7gnV
一瞬の沈黙の後、梨璃が口を開く。

梨璃「私はね、あの娘に何もしてあげられなかったの」

かおす「・・・」

梨璃「結梨ちゃんに、世界の美しさや素晴らしさをもっと教えてあげたかった。この星空を見せてあげたかった」

722 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:54:09 ID:364Kpy7gnV
梨璃はさらに言葉を紡いでいく。そこには、言いようのない憂いが含まれていた。

梨璃「そんな私なのに、結梨ちゃんは夢で私を励ましてくれたの。だから悲しんでいる暇なんてないんだって、私はもっと強くならなきゃいけないんだって」

723 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:54:37 ID:364Kpy7gnV
でもね、と彼女は続ける。

梨璃「やっぱり涙があふれて止まらないんだ。今もこうしてかおすちゃんを通じて、あの娘に見守ってもらっているんだと思うと、自分が本当に情けなくて、近くにいるのに言葉を交わせないのがもどかしくて」

724 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:55:39 ID:364Kpy7gnV
泣きじゃくる彼女に、かおすが声をかける。

かおす「今の話を聞いて、少しだけ夢の続きを思い出したんです」

梨璃「続き・・・?」

かおす「やっぱりあれは結梨さんでした。そして太陽みたいな笑顔で私に言ったんです。“梨璃によろしく”って」

梨璃「はは、やっぱり見守ってもらってばかりだ」

かおす「それは違います!」

725 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:56:03 ID:364Kpy7gnV
かおすが語気を荒げて梨璃に迫る。
いつもは大人しい彼女が、そうした姿を見せたことに、梨璃は驚いていた。

726 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:56:40 ID:364Kpy7gnV
かおす「あれは、本当にその人が大好きだって笑顔です。結梨さんは確かに梨璃さんを見守っているんだと思います。でもそれは心配で仕方ないとかじゃなくて、心はいつでも一緒だよって、そう伝えたいだけなんです」

梨璃「心はいつでも一緒・・・」

かおす「だから、そんなに自分を責めないでください。その方がよっぽど結梨さんは悲しみます・・・」

727 名前:ハピシュガの人[sage] 投稿日:2021/03/10 23:57:14 ID:364Kpy7gnV
梨璃はかおすの杖を見やる。
相変わらずそれは、薄く紫がかった桜色に光っている。
その光に、彼女の心も少しだけほぐれた。

728 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:57:56 ID:364Kpy7gnV
梨璃「・・・そうだね。昼間にあんなことがあったから、心がざわついていた。ごめんねかおすちゃん、情けないところ見せちゃったね」

かおす「私にとって梨璃さんは憧れです。梨璃さんはヒーローで、ヒロインで、私の目標なんです。その気持ちは近くで姿を見るほどに、どんどん強まっていきました」

梨璃「やだな、恥ずかしいよ・・・」

かおす「だから、できる限り笑っていてください。きっと気持ちは結梨さんも同じです。どうか、私や結梨さんの憧れの人を貶さないでください・・・」

729 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:58:34 ID:364Kpy7gnV
それを聞いた梨璃は涙を拭って、そっと立ち上がる。

梨璃「分かったよかおすちゃん。もう泣かない・・・、とまでは言えないけど、できる限り、笑顔でいられるように頑張ってみるよ」

かおす「えへへ、やっぱり梨璃さんには笑顔が似合います」

梨璃「聖典の世界を、そしてみんなのことを・・・」

かおす「守りましょう。私たちで」

730 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:59:03 ID:364Kpy7gnV
仲睦まじく、決意を固める二人。
それをそっと見守る者がいた。

731 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:59:34 ID:364Kpy7gnV
夢結「・・・妬けちゃうわね」

楓「足が震えてましてよ、夢結様」

梅「楓もだゾ」

小夢「物語の憧れの人と一緒に居続けるなんて、どうなるのかなって一時期は思ったけど・・・」

翼「中々どうして、良い方向に転がったじゃないか」

琉姫「私たちも頑張りましょう。全てを守るために」

732 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/10 23:59:57 ID:364Kpy7gnV
次の日も、彼女たちは特訓に明け暮れた。
真摯に参加する者、愚痴をこぼしつつも、その手は休めない者。皆を縁の下から支える者。
そこには、これまで以上に笑顔が溢れていた。

そして、一同は運命の日を迎える。

733 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:00:21 ID:364Kpy7gnV
その日は、まるで戦いを案じるかのように、朝日が空を紅に染めていた。
平原近くで、皆が待機をしている。

734 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:00:47 ID:364Kpy7gnV
ポルカ「すまねえな、こいつの調整が終わったらすぐ届けに行く!」

カンナ「それまで、よろしく頼む」

735 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:01:12 ID:364Kpy7gnV
ポルカの手に握られている一つの弾丸。
それは、エトワリウムで出来たノインヴェルト戦術用の弾丸だ。
この日のために、リシュカや発明家の老人の手も借りたとっておきの代物。
だがマギとクリエという、異なる力のすり合わせに難航し、今に至る。

736 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:01:45 ID:364Kpy7gnV
ミリアム「心配するでない、あくまでそれは保険じゃ」

鶴紗「それを使う前に、カタをつければ良い」

きらら「そのために皆さん、作戦を練って、ここまで努力をされてきたんですから」

737 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:02:31 ID:364Kpy7gnV
そう声をかける一同の元に、二水の声が響く。

二水「ケイブ、来ます!!」

それは、予想どおりあの平原へと展開されていく。
ワームホールが開くと、そこからギガント級と、大量のヒュージ並びにウツカイが雪崩れ込んできた。

738 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:03:15 ID:364Kpy7gnV
カルダモン「あの時より多い・・・!」

ランプ「見たことないヒュージもいます!」

二水「落ち着いてください。確かに形態は違いますが、私たちの世界でも普通に確認されるヒュージばかりです!」

アルシーヴ「少しタネを変えたところで、我々のやることは変わらない!」

フェンネル「クロモンから伝令・・・。神殿への結界構築、およびソラ様の避難完了しました!」

739 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:03:40 ID:364Kpy7gnV
その報告を聞き、梨璃ときららが号令をかける。

梨璃「一柳隊、出撃!!」

きらら「クリエメイトの皆さん、これが最後の戦いです!リリィに続いてください!!」

駆けだしていく一同。
今、ここで全てが決まる。

740 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 00:04:28 ID:364Kpy7gnV
今回の投稿はここまでです。
明日は第12章を投稿します。
物語も佳境ですが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

741 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:04:02 ID:SDa0620o5x
投稿を再開します。
今回は第12章です。

742 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:04:44 ID:SDa0620o5x
第12章 アジサイ(冷淡、移り気、冷酷、無情、高慢、辛抱強さ)

犬とトカゲを組み合わせたようなもの、両腕をナタのように振り回すもの、高速で飛び回り熱線を撃つもの、壁のように立ち塞がるもの・・・。
以前はいなかったヒュージがウツカイと共に、荒れ果てた平原へ跋扈する。
だが、皆はそれに怯むことなく応戦していた。

743 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:05:09 ID:SDa0620o5x
リゼ「押せー!!ナイトが中心になってガップリ組み合うんだ!!」

衣乃「盾も新調してもらったんです!みんなのためにやりますよ!」

やすな「ダテにナイトやってないとこ、見せちゃうよー!」

千矢「お山や自然を荒らすなら許さないんだから!」

744 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:05:40 ID:SDa0620o5x
守りに特化したナイトが大勢いる。
これはリリィにはないアドバンテージだった。
そこでナイトが中心となって前線を支え、後方に攻撃役と支援役を控えさせる、という戦いの基本を突き詰めたのである。

745 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:06:21 ID:SDa0620o5x
ナイトが守りを固める隙間から、攻撃に長けたクリエメイトたちが進撃を始める。

胡桃「この野郎、食らいやがれ!!」

宮子「ズバーンといっちゃうよ!!」

カレン「みんなカタナのサビデース!」

ジンジャー「あの時のリベンジだ!」

746 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:06:47 ID:SDa0620o5x
せんしが斬りかかるのは緑色をしたヒュージだ。
相性込みでもタフなヒュージに対し、一人ではなく複数で斬りかかるのも作戦の内である。
敵は触手を伸ばして応戦するが、それを皆が切り裂いていく。

747 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:07:19 ID:SDa0620o5x
ヒュージ「!?!?」

胡桃「でやあ!!」

カルダモン「これでトドメ!」

カレン「セイヤー!!」

748 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:07:41 ID:SDa0620o5x
相手が怯んだ隙に、三人が全力で斬りかかる。
敵は深い傷を負い、そのまま動かなくなった。

749 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:08:24 ID:SDa0620o5x
ジンジャー「いよっしゃあ!!」

胡桃「しかし、緑色してるのにあたしの攻撃通じるのは変な感覚だな・・・」

カルダモン「まあね、でも以前、同じ色のヒュージに炎で攻撃したら効き目がなかったんだ」

カレン「つまりカタナそのものが効いてるんデース!」

宮子「神琳の読みどおりだねー」

750 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:08:52 ID:SDa0620o5x
別の箇所では茶色をし、金属光沢をもつヒュージの討伐が行われている。
だが、それは風属性の仕事ではない。

751 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:09:28 ID:SDa0620o5x
悠里「燃え尽きなさい!」

なでしこ「調理してやるんだから覚悟しなよー!」

こはね「フレフレみんな!っと私も戦わなきゃね」

752 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:09:50 ID:SDa0620o5x
茶色をしたヒュージに立ち向かうのは、火属性のまほうつかい達だ。
複数の大火力を浴びせられた敵は、溶けるように燃えていく。

753 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:10:42 ID:SDa0620o5x
かなた「効いてる・・・!」

乃々「あんな地獄の特訓したんだから、これで効かなかったら訴訟ものですよ」

千夜「まあまあ、結果オーライじゃない。クリスマス衣装になったかいがあったわ〜」

コウ「ねえあたし水着なんだけど・・・」

りん「大丈夫よ、怪我を負っても私が回復させてあげるから」

コウ「・・・なんでりんはそうりょなのに攻撃部隊混じってるの」

754 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:11:01 ID:SDa0620o5x
五行思想。
古代中国から伝わる自然哲学の思想であり、この世界は木、火、土、金属、水から成り立っている、と捉えるのが特徴である。
勿論、五行にも得意不得意が存在する。だがそれはエトワリアのそれや、ヒュージが元来持つものとは異なっていた。

755 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:11:42 ID:SDa0620o5x
神琳「木は金属、つまり斧や剣で切り倒される。金属は火に溶かされ、火は水に消し止められる。水は土にせき止められ、土は木から養分を吸われる・・・」

ミリアム「件のマッドサイエンティスト、そんな改造を施してたんじゃな」

アルシーヴ「今回の場合、土は金属と統合されているのだな」

神琳「皆さんの話を統合すると、この可能性しか考えられなかったんです」

756 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:12:35 ID:SDa0620o5x
この場合、木は炎を燃やす燃料とはなるが、それは互いの相性の良さとし、得手不得手とはしないのが五行である。
また、五行において木属性は存在するが、風属性は存在しない。
なまじ土は水に、水は炎に効くことは共通していたので、無用な混乱が生じていたのだ。

757 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:13:23 ID:SDa0620o5x
神琳「ですが、タネが割れてしまえばどうと言うことはありません。それに従ってフォーメーションを組み直すだけです」

アルシーヴ「するとバリアの残り一枚はやはり・・・」

神琳「ええ、金属でしょうね。戦いを見て予想が確信に変わりました」

758 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:13:46 ID:SDa0620o5x
今日までの特訓は、これまでに無い相性の敵と戦うためのものだ。
実際それは功を奏し、クリエメイトでもヒュージ相手に戦えるようになっていた。
だがマギではなくクリエによる攻撃な以上、複数人が一斉に攻撃しないと効果は出ない。
実際、あちこちで討ち漏らしが生じると共に、ラージ級といった巨大な体躯をもつ敵には、まるで攻撃が効いていなかった。

759 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:14:17 ID:SDa0620o5x
ソーニャ「手強い・・・!」

ココア「でも、作戦どおりだよ!」

梅「その通り!」

梨璃「そのための私たちです!!」

760 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:14:44 ID:SDa0620o5x
残った敵や、巨大な敵をリリィが討っていく。
こうすることで互いの負担を減らし、ギガント級にアタックを仕掛ける下地を作るのだ。

761 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:15:35 ID:SDa0620o5x
琉姫「攻撃は効かなくたって・・・!」

仁菜「サポートなら出来るんだから!」

冠「ん、食らっとくと良い」

雨嘉「みんなのことは守ってみせる・・・!」

エンギ「ああ、それが私たちの使命だ!」

小夢「私も水着ならナイトだからね!」

762 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:15:56 ID:SDa0620o5x
リリィや一部のナイトが付き添いながら、アルケミストによる攻撃も行われていた。
属性に寄らない弱体化は、ヒュージに対しても有効である。

763 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:16:42 ID:SDa0620o5x
夢結「感謝します!」

鶴紗「いつもより戦いやすい!」

普段は討伐に手を焼くラージ級も、こうすることで比較的楽に倒せるのだ。

764 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:17:11 ID:SDa0620o5x
だが敵とて愚かではない。ナイトが守る後方めがけて、ギガント級が爆弾を放ち、一部のヒュージが熱線を放つ。
それらはたちまち火の雨となって襲いかかる。

765 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:23:50 ID:SDa0620o5x
二水「上空、二時の方向からです!」

花名「させない!」

きらら「みんなに、守りの力を!!」

由紀「元気のおすそ分けだよ!」

766 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:24:10 ID:SDa0620o5x
花名が炎から守りを固める術を使い、きららがそれをサポートする。
そこに由紀が癒やしの術を施すことで、被害を最小限に食い止める。
こうした対応が出来るのも、二水のおかげだ。
それでも流れてきた弾は、そうりょの中でも別格の者たちが対応に当たる。

767 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:24:36 ID:SDa0620o5x
なる「そうりょだからって、戦えないわけじゃない!」

榎並「払いのけてやるさ!」

かおす「みなさんに戦う力を!」

シャミ子「行きますよー!!」

768 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:24:56 ID:SDa0620o5x
戦闘力が高いそうりょに、他の者が支援を行う。
力を得た二人は、迅速に流れ弾を撃ち落とし、薙ぎ払っていく

769 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:25:25 ID:SDa0620o5x
きらら「これならいけます!」

ゆの「私たちは、前で戦うみんなに元気を分けなくちゃ!」

春香「優ちゃんだって頑張っているんだもん。私も・・・!」

こうして皆は、戦いを上手く回していた。

770 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:25:51 ID:SDa0620o5x
神琳「アルシーヴさん、わたくし達も前に出ます!」

アルシーヴ「ああ、準備は任せておけ!」

ミリアム「では行ってくる!ポルカ達がきたらよろしくの!」

そういって前へ跳ぶ二人。着地地点では楓たちが戦っていた。

771 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:26:17 ID:SDa0620o5x
楓「お二人とも、遅いですわよ!」

神琳「そうは言いつつ、余裕はありそうですね」

桃「みんなが力を合わせてるおかげ」

翼「この調子で、どんどん数を減らそう!」

ミリアム「ああ!!」

772 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:27:01 ID:SDa0620o5x
それから数時間。
皆の奮闘により、雑兵はかなりの数を減らすことが出来た。
現在リリィは、後方にいた二水を含め全員でギガント級を釘付けにしている。
邪魔立ての入らない今をおいて、作戦の決行タイミングはない。
だが、一部の者は懸念を抱いていた。

773 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:27:36 ID:SDa0620o5x
ランプ「きららさん、先生、ヒナゲシの姿を見たという者がいません」

きらら「普段から隠れるタイプとはいえ、少し不自然かもしれないね」

うつつ「でもさあ、今を逃したら作戦は決行できないんじゃないの?」

マッチ「ギガント級が兵隊を産み出したらまた逆戻り・・・。いいや、状況は悪化するだろうね」

アルシーヴ「・・・」

774 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:27:56 ID:SDa0620o5x
クリエメイトたちが優勢に戦っているとはいえ、体力や魔力には限界がある。
もう一度兵を整えられれば、前線は一気に崩壊するだろう。
また、余力に限りがあるのはリリィも同じだ。過度に消耗し、作戦の決行が出来なくなれば本末転倒である。
元から背水の陣である。余裕のある内に本丸を叩けなければゲームオーバーだ。

775 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:28:31 ID:SDa0620o5x
アルシーヴ「・・・作戦を決行しよう。どちらにせよ、今を逃せばチャンスは二度と無いからな。不服があれば、正直に申立ててくれ」

ランプ「・・・いえ、不安でないと言えば嘘ですが、同意見です」

きらら「私もランプと同じ気持ちです」

アルシーヴ「・・・感謝する。周囲の警戒は最大限に行ってほしい」

ランプ「はい!」

776 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:28:53 ID:SDa0620o5x
不確定要素に注意は払いつつも、今目の前にある確かなチャンスを見据える。
それがアルシーヴの決断だった。
皆が呼びかけを行い、後方で準備が行われる。

777 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:29:20 ID:SDa0620o5x
アルシーヴが用意したのは、エトワリウム製のカプセルだ。中には言の葉の樹から採れた若枝、葉、実、樹液を煮詰めたものが、ギッシリと詰まっている。
このカプセルが五行における金属と木の役割を果たすのだ。
バレーボール大のそれを、アルシーヴは上空に浮かべ、あの時のように属性のエネルギーをまとわせていく。

778 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:30:18 ID:SDa0620o5x
そんな彼女に対し、そうりょ達が力を分け与えていった。
やがて上空には、日、月、炎、風、土、水の他に、金属と木の属性を帯びた球体が出来上がった。仲間のサポートもあり、以前のものと比べても巨大だ。
この球体によって五属性のバリアを破壊し、丸裸になった敵に対して、残り一発のノインヴェルトを仕掛ける。これが作戦の全貌だ。

779 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:30:48 ID:SDa0620o5x
アルシーヴ「みんな、離れろ!!」

そう叫んでアルシーヴは掲げたそれを打ち出す。
だいぶ力を使ったのだろう、彼女はがくりと膝をついた。
球体は地面を抉り、雑兵を消し飛ばしながら進んでいく。
やがてそれはギガント級の目前まで迫った。

780 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:31:14 ID:SDa0620o5x
夢結「始まったのね!」

梨璃「皆さん、一旦退避してください!」

781 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:32:25 ID:SDa0620o5x
敵の親玉から離れるリリィたち。
直後、球体はギガント級へ直撃する。
敵はバリアを張り応戦するが、音を立ててそれらは割れていった。
表の四枚が消失し、最後の一枚が顔を現す。
やはりそれは金属光沢を持つ、とっておきの一枚だった。
だがそのバリアも、全力の攻撃の前にあっさりと割られていく。
属性の奔流を全身に浴びたギガント級は、文字通り大火傷を負ったのだった。

782 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:32:53 ID:SDa0620o5x
ギガント級「!!!!」

ギガント級が悲鳴を上げる。今が最後のチャンスだ。
残り一発の特殊弾頭を、梨璃が打ち上げる。

783 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:33:21 ID:SDa0620o5x
梨璃「二水ちゃん、お願い!」

二水「はい!」

ノインヴェルトによるマギスフィアが、順調にパス回しされていく。
最後にそれを受け取ったのは夢結だった。

784 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:33:48 ID:SDa0620o5x
楓「夢結様、あとは頼みました!」

夢結「ええ!これで決める!!」

マギスフィアが彼女の元から離れ、敵に打ち出されていく。
防ぐ術が相手にない以上、勝敗は確実なものだ。
だが、現実とはいつも移り気で無情なものだ。
鶴紗のレアスキルが直感と共に、ごく近くの未来を見せる。

785 名前:ハピシュガの人[age] 投稿日:2021/03/11 23:34:16 ID:SDa0620o5x
鶴紗「待って!何かがおかしい!!」

雨嘉「え、あれって・・・!?」

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名前 age
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