お久しぶりです。そうでない人は初めまして。
以前このBBSで、以下のSSを投稿させてもらった者です。
【SS】ハッピーシュガーライフ×きららファンタジア
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=775&ukey=0&log=past
【SS】小鳥と不死鳥と(機動戦士ガンダムNT×アニマエール)
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=1471&ukey=0&log=past
最初に投稿したSSを基に、ハピシュガの人というコテハンを使いたいと思います。
今回は、昨年アニメが放送され、現在アプリゲームが配信中のアサルトリリィときらファンのクロスSSを書きました。
今回は10万3千字ほどの文章を、何回かに分けて投稿したいと思います。
全15章分、お付き合いのほどよろしくお願いします。
今回はさっそく、第1章と2章を投稿します。
うつつ「・・・未だにさ、ああいうノリはついて行けないけど、まあ悪い気はしないよね」
マッチ「素直じゃないなあ」
うつつ「・・・謎饅頭に言われたくない」
マッチ「思うんだけどさ、なんか前より辛辣になってない?」
うつつ「うるさい」
コホン、と楓が咳を入れる。
楓「決意が固まったところ申し訳ございませんが、わたくしたちにはまず対策すべきことがあります」
アルシーヴ「あのバリアだな」
マッチ「緑、赤、青、茶なんだろ、なら風、火、水、土の属性じゃないのかい?」
アルシーヴ「それにしては妙だ。全ての属性を込めた攻撃で、赤と青は完全に破壊できたが、緑と茶に関しては健在だった。それに・・・」
雨嘉「それに・・・?」
アルシーヴ「あの四枚の奥に、更なる力場を感じた。おそらく隠れて見えないバリアがあるのだろう」
梨璃「ええ!?つまり最低でもバリアが五枚?」
二水「あうう、ますます分からなくなってきました・・・」
夢結「ヒュージも属性を持つことがありますが、それは風、水、火と、こちらの世界よりも単純な物です」
梅「相性もまあお察しの通り、簡単な三すくみだ。それに火が風に有効なのは同じだから、緑も壊れなきゃおかしいんだが・・・」
ランプ「つまり、エトワリアの属性とも、皆さんの世界の属性とも違っている・・・?」
きらら「うーん・・・」
皆が困惑する中、一人何かを考え込んでいる者がいた。
神琳「・・・」
雨嘉「どうしたの、神琳?」
神琳「・・・前提からして異なっているのかもしれません」
マッチ「と、言うと?」
神琳「ギガント級のバリアや攻撃、そして産み出すヒュージは、体内に宿した属性に依拠しているはずです。ですが、エトワリアの属性だと噛み合わないものがありませんか?」
アルシーヴ「そうか、緑か!」
神琳「ええ、緑が風を司るのであれば、それにまつわる攻撃をするはずです。ですが、あのギガント級は違いました」
梨璃「赤が炎、青が水の弾、茶が泥と金属の爆弾なら・・・」
うつつ「緑は種の爆弾・・・、あれ、風じゃない!?」
きらら「そういえば、火属性の皆さんが違和感を覚えていました。緑なのに火が効かないって・・・」
ソラ「剣で切った方がまだ効いた。とも言っていたわ」
夢結「この場合、緑が差す物は・・・」
神琳「ええ、植物・・・、有り体に言えば木だと思います」
神琳は更に話を続ける。
神琳「アルシーヴさん、伺いたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
アルシーヴ「ああ、何でも聞いてくれ」
神琳「今度は茶・・・、つまり土についてなのですが、エトワリアのそれも、土の攻撃に金属が混じるものなのですか?」
アルシーヴ「いいや、岩が混じることなら珍しくないが、金属はまず混じらないな」
ランプ「そういえば、茶色のヒュージに関しても報告が相次いでました。間違いなく土なのに、風属性が通らないと・・・」
神琳「ありがとうございます。続いて楓さんに伺います」
楓「ええ、良くってよ」
神琳「ギガント級を産み出した研究所について、何かご存じでしょうか?」
楓「・・・お父様から伺った話では、ゲヘナの中でも特に中華資本が注がれた研究所とのことでした。勿論、研究員も中華系の方が大半を占めていましたの」
神琳「研究員については?」
楓「その所長が、優秀ではあるものの、独自の思想と倫理観を持つ・・・、有り体に言えばマッドサイエンティストですわね。何でも愛国心に溢れ、風水に入れ込んでいたとか。まあ、今回の騒ぎで落命したようですが」
それを聞いて、神琳がはにかむ。
神琳「ふふ、属性の謎が解けたかもしれません」
皆が彼女の話に耳を傾ける。
長い夜は、もうしばらく続きそうだ。
幕間2 ヘリコニア(注目・風変わりな人)
ライネの店の奥、鶴紗はそこに寝かされていた。
柔らかなベッドの感触、ふにふにとした何か別の柔らかなもの・・・。
鶴紗「・・・はい?」
その感触に違和感を覚え、目を覚ました鶴紗。
先の戦闘で大量のマギを消費していたため、かなり空腹であった。
腹の虫を鳴らしながら、ぼぉっとする頭で周囲を見渡す。
鶴紗「何だこれ・・・」
両隣を見れば、それぞれ別の少女が眠っている。
かなり大きなベッドだなあなどと、どうでも良いことを考えつつ、鶴紗はその顔を覗き込んだ。
一人はシュガーだ。きっと様子を見に来てくれたのだろう。そんな彼女の頭を、鶴紗はそっと撫でた。
もう一人は・・・、彼女が全く知らない少女だ。
鶴紗「いや本当に誰だこれ・・・」
小学生ぐらいだろうか。白くふわふわとした髪に、あどけない顔立ち。頭にはリボンを結んでいる。
両脇には白猫と黒猫を抱えている。良く懐いているのだろう。すやすやと眠っている。
鶴紗「可愛い・・・」
だが、寝起きで混乱気味の彼女に、それを激しく愛でる気力はなかった。
もう一眠りしようにも、空腹がそれを許さない。
鶴紗「どうしろと・・・」
そこに助け船が入る。また別の少女たちが部屋に入ってきたのだ。
栄依子「あら、起こしちゃった?」
ハッカ「客人、起床」
鶴紗「あなた達は・・・」
栄依子「十倉栄依子、そこに猫抱えて寝てる冠・・・、千石冠の友達」
鶴紗「友達にしては、だいぶ歳が離れているようだけど・・・」
栄依子「ふふ、冠は私と同い年の高校生よ?」
鶴紗「はあ!?」
栄依子「ビックリしたでしょー」
一柳隊にも背が低い仲間はいるし、他レギオンにも幼い印象を与える人物はいた。
更に言えば、鶴紗自身もそこまで背が高いわけではない。
だが、隣で眠っている少女はそれ以上に幼く見えた。栄依子から話を聞かされても、鶴紗はそれを信じられずにいる。
ハッカ「見た目は幼いなれど、冠は高校に通う学びの徒。これ、真実なり」
鶴紗「ええと、そっちは・・・」
ハッカ「七賢者が一人、ハッカ。冠たちとは懇意にさせてもらっている」
鶴紗「七賢者・・・、ああ、シュガーの同僚か」
ハッカ「左様」
少女たちの正体が分かったところで、隣の二人と二匹が起き出す。
シュガー「ふわああ・・・。あ、鶴紗おねーちゃん起きたんだ!大丈夫?体どこも痛くない?」
鶴紗「おかげさまでこの通り、ピンピンしてるよ」
シュガー「そっか、良かったあ・・・」
冠「ううん・・・」
栄依子「おはよう、冠」
冠「ん、おはようございました」
鶴紗「なんだそりゃ」
冠「鶴紗・・・だっけ?おはよう」
鶴紗「ああ、おはよう」
冠「ほい、なごみちゃんとすごみちゃん」
そう言うと彼女は、鶴紗の元になごみとすごみを預ける。
二匹は腕を上げて、どこか嬉しそうだ。
鶴紗「これって・・・」
シュガー「鶴紗おねーちゃん、猫が好きなんでしょ?」
ハッカ「なれば、同好の士を連れてきた」
栄依子「冠も、里を守ってくれたお礼がしたいって同意してくれたの。本当は人見知りなのに、勇気出してここまで来たんだから」
冠「猫好きに悪い人はいない、これ常識」
鶴紗「そうだったのか・・・」
鶴紗の胸に、温かいものがじんわりとこみ上げる。
アルシーヴの件も合わせて、このエトワリアがどのような世界なのかを、彼女は実感しつつあった。
鶴紗「ところでこの二匹、やたらテンション高くないか?」
栄依子「うーん、里を守ってくれた英雄の腕に抱かれるなんて栄光っス!感激の嵐っス!って言ってるんじゃない?」
鶴紗「いや何だよその口調」
冠「ん、ネコ耳人間になったときそんな口調だったから間違いない」
鶴紗「ネコ耳人間!?それはそれで見たかったな・・・」
ハッカ「このエトワリアもまた、理の支配する世界。なれど、その範疇であれば何が起きても不思議にあたわず」
先にベッドから抜けていたシュガーが、皆の元に舞い戻る。
シュガー「鶴紗おねーちゃん!ご飯の準備が出来たってライネお・・・ねえさんが言ってるよ!」
鶴紗「あれ、その人って炊き出しやってたんじゃ」
栄依子「一段落したから戻ってきてくれたみたい。私たちもご相伴にあずかりましょうか」
ハッカ「食後の菓子も多く用意したとのこと」
冠「最近の女子高生は食後にケーキを五個食べるからよゆー」
鶴紗「そうなのか?」
冠「・・・冗談」
一同は食堂の方へ向かっていった。
一方、きらら達も一通り話し合いを終え、互いに歓談をしていた。
ミリアム「おお、そちらも終わったようじゃの」
梨璃「ミリアムちゃん!」
ミリアム「鶴紗はきちんと休んどるか?」
アルシーヴ「私の部下とクリエメイトが付き添っている。あちらから報告がない以上、問題なく休んでいるのだろう」
ミリアム「そうかそうか、そりゃあ良かったわい」
残された日々で何を準備し、どう戦うか。
大まかな方針を共有し、ミリアムも腰を落ち着ける。
梅「鶴紗にも後で教えないとだな」
きらら「はい!」
そんな最中、ソラがこほんと咳を入れる。
ソラ「さーて、会議も一段落したところで・・・」
雨嘉「ところで・・・?」
ソラ「ここからは、ガールズトークと行きましょう!!」
夢結「・・・はい?」
ソラ「だって、クリエメイトじゃない女の子と出会えるなんて、そうそう無い機会じゃない!!」
ランプ「私も興味があります!!」
神琳「・・・あれが素なのですか?」
アルシーヴ「すまないな。あれがソラ様本来の姿だ」
楓「国どころか世界を統べる方と伺いましたが・・・」
二水「だいぶフランクな方なんですね」
ミリアム「それではさっそく聞きたいことがあるんじゃが」
ランプ「はい!ミリアム様どうぞ!!」
ミリアム「うーむ、急にテンション変わってついてくの難しいぞい」
ミリアムが質問したのは、なぜ一部のクリエメイトが自分たちのことを知っているか、という点だった。
事情を知るきらら、そして梨璃たちが改めて皆に説明をする。
神琳「夢物語に聞こえますが、現実がそうである以上、信じざるを得ませんね」
雨嘉「私たちのあれそれが物語として筒抜け・・・、恥ずかしい・・・」
マッチ「まあ、クリエメイトのみんなに関してはいつもそんな感じだからもう慣れちゃったみたいだけど」
楓「なーにをおっしゃいますの雨嘉さん、わたくしと梨璃さんのあれそれに隠すようなことも、恥ずべきこともあるわけないじゃないですか!」
二水「ぶれませんねホント」
ミリアム「平行世界論、マルチバース理論・・・、言い方は色々あるじゃろうが、それを物語として観測できるというのは興味深いの」
夢結「気になるのだけど、私たちの物語は、どこまで観測されているのかしら?」
ランプ「ええと、かおす先生によると、皆さんが他のレギオンと同盟を組んだところまでは話を追っている、とのことです」
梅「ヘルヴォルに、グラン・エプレのみんなだな」
きらら「レギオンってどれくらいあるんですか?」
夢結「難しい質問ね。百合ヶ丘だけでも十は超えるし、ガーデンごとにそれこそ多くのレギオンが存在するわ」
アルシーヴ「ガーデンというのが、前線基地たる学び舎なのだな?」
二水「はい、ガーデンは世界中に存在し、多くのリリィが戦っています。日本だけでも幾多のガーデンがあるんですよ」
そんな中、うつつがモジモジとしながら言葉を紡ぐ。
うつつ「あ、あのさ・・・」
二水「はい、なんでしょうか?」
うつつ「ええと・・・。聞いて良いことなのか分かんないけどさ」
梨璃「私たちは仲間なんですから、遠慮はなしですよ」
うつつ「じゃあ・・・」
うつつは決心を固め、疑問をぶつける。
うつつ「その、あんたたちの世界では、女の子同士がイチャコラするのは普通のことなの?」
梨璃「え・・・?」
うつつ「だってそのあんた・・・、お姉様とやらとフツーに手繋いだり、抱きしめ合ったりしながら砂糖吐きそうな台詞をさあ」
場に何とも言えない空気が流れる。
それをすぐ察したうつつは、自己嫌悪に陥っていた。
うつつ「ああああやっぱりド陰キャが人のプライバシーなんかに踏み込むんじゃなかった・・・!そうだ、今すぐあの焚き火に飛び込んで死のう・・・」
ランプ「わー死んじゃダメですよお!!」
だが、一柳隊の面々からの返答は、意外なものだった。
梅「・・・疑問に思うようなことだったのか、それ?」
うつつ「・・・へ?」
二水「皆さんは、そうじゃないんですか?」
神琳「そもそも、ガーデンってほぼ女の子しかいませんものね」
雨嘉「だったら、好きな子とは一緒にいて良いんじゃないかな」
楓「同性同士でお付き合いすることに違和感は無いのか、という疑問であれば、そんな前時代的なこと誰も考えていない、というのが答えですわ」
ミリアム「まあ、百合ヶ丘に関してはシュッツエンゲル制度もあるからの」
きらら「シュッツエンゲル・・・?」
ミリアム「下級生が上級生を守護天使に見立て、血の繋がりに関係なく姉妹関係を結ぶ制度のことじゃ。梨璃と夢結様がそうじゃし、わしも百由様と契りを結んでおる」
梨璃「はい!だから私はお姉様のシルト・・・妹なんです」
夢結「まだ至らないところの多いシルトだけど・・・、それでも私にはかけがえのない存在なの」
梨璃「お姉様・・・」
夢結「ふふ、梨璃・・・」
楓「そこ!言ったそばからイチャイチャしない!」
ランプ「つまりあれですね。以前クリエメイトの皆さまから教えて頂いた“トーエンの誓い”みたいなものですね!」
ミリアム「桃園の誓いのことかの。いや間違ってはおらんが何か違う気も・・・」
それを見たうつつがぼやく。
うつつ「世界観そのものが違った・・・」
マッチ「あはは、何かみんな堂々としてるよね」
ソラ「でも、素敵だと思うわ」
アルシーヴ「その世界における愛のカタチ、か」
皆が盛り上がる中、今度は梅が質問をする。
梅「なあなあ、聞きたいことがあるんだけど」
きらら「はい!何でも聞いてください」
梅「ホントか!じゃあ遠慮無く!」
この時、エトワリアの皆は誰も予想していなかった。
まさかあのような爆弾が投下されようとは。
梅「みんなやたら露出多いけど、こっちだと普通のことなのか?」
笑顔でそう尋ねる梅。
その一方で、エトワリアの皆は凍り付いていた。
梅「ありゃ・・・、聞いちゃいけないことだったかな」
アルシーヴ「い、いや、そうではないんだ。ただ・・・」
神琳「ただ・・・?」
きらら「ええと、感覚が麻痺していたというか、その・・・」
普通に考えれば、皆の格好はエトワリアにおいても大胆なもの、という認識のはずだった。
だが、クリエメイトが増えるに連れて、そうした感覚も薄れていったのである。
雨嘉「ここにいるみんなは普通の格好だけど・・・」
二水「クリエメイトの皆さん、へそ出しどころか腹出しファッションの方がいますよね」
楓「胸元を大胆にはだけている方も多いですわね。正直驚きました」
ミリアム「フルーツタルト?じゃったかのう。あれ一体どんな服なんじゃ?下とか上が大変なことになっとったぞ。あれでアイドルして大丈夫か?」
梨璃「七賢者のセサミさん、凄い格好してました・・・。でもその姿で堂々と歩いていたことの方がもっと驚いたというか・・・」
アルシーヴ「あれは秘書の正装なんだ。大目に見てほしい・・・」
梨璃「ええ!?」
神琳「水着で往来を歩いてらっしゃる方もいましたね。しかもそれが普通のことのようでした」
梅「見間違いじゃなければ、ビキニアーマーをマント一枚で隠していた人もいたような」
夢結「私たちはあそこまで肌を晒すことがないので、見ていてドキリとしましたし、あの姿で戦って問題はないのかとも・・・」
リリィ全体を見た場合、大胆な服装をした者も確かにいる。
だが、一柳隊および彼女らと交流のあるリリィに関しては、露骨に肌を晒す者は見受けられない。
元より、リリィには品行方正であることが求められる。制服の改造こそ、かなり自由に認められているが、それにも限度はある。
だからこそ、クリエメイトの姿を見た一柳隊は、ある種のカルチャーギャップを覚えたのだ。
そんなリリィたちにこの世界の長たるソラが声をかける。
ソラ「う〜ん、みんな可愛いから問題ないわ!」
ランプ「全く以て同意ですぅ!!」
二水「ええ・・・」
楓「本当にこの女神様で大丈夫ですか・・・?」
アルシーヴ「一度、このことについて話し合った方が良いのかもしれん・・・」
きらら「あはは・・・」
そこに鶴紗たちが戻ってきた。わちゃわちゃとした一同の様子を見て、どこか呆れ気味に、だがどこか楽しげに呟く。
鶴紗「本当に賑やかだね。この世界は」
冠「ん、毎日楽しい」
栄依子「お祭りみたいよね」
シュガー「お〜いソラ様〜、アルシーヴ様〜」
アルシーヴ「む、シュガーか」
二水「鶴紗さん!お体は大丈夫なんですか?」
鶴紗「おかげさまで」
梨璃「良かった・・・」
こうして夜も更けていった。
うつつちゃんに言いたいこと。クリエメイトも皆さんもこれほどではないがなかなかイチャコラしてると思うよ。(桜trickとかあっちより過激)
それは置いといてアサルトリリィとのクロスオーバー楽しく読んでます!梅様の過去話マジで知らなかった…全15章完走まで頑張って!支援
>>552
作者です。梅様周りの設定はこんな感じになってるんですよね
https://mobile.twitter.com/assault_lily/status/1251158508231258113
今後アニメやゲームでどう拾われるか気になるところでもあります
うつつちゃんに関しては、エトワリアに来て日が浅いのでこんな反応もありかなあと思いながら書いてみました
第9章 ピンクグラジオラス(たゆまぬ努力、たゆまぬ愛)
アルシーヴ「では、ここを使ってくれ」
ソラ「こちらにいる間は、自由に行動してもらって構わないわ」
夢結「寛大な処置に感謝します」
アルシーヴ「何を言う。皆には感謝してもしきれないんだ」
一柳隊の皆は、アルシーヴらに宿泊所を案内されていた。
ちょうど使っていない建物があったため、そちらを用意されたのだ。
アルシーヴ「本来は研修用の施設なのだが、あまり使うことがなくてな」
梅「全員分の部屋があるのか、これは凄いな」
神琳「掃除も行き届いている・・・。きちんと管理されているのですね」
鶴紗「電気に水道、仕組みは違うけどガスまであるのか」
ミリアム「儂らの世界とは異なる技術体系・・・、隅々まで見て見たいのう」
梨璃「でも、一番びっくりしたのは・・・」
かおす「ひょえ〜!一柳隊の皆さまがまさかこんな近くに寝泊まりされるだなんて!!」
小夢「ほんとびっくりだよねえ」
美姫「まさかうちの近くの研修所に・・・」
琉姫「あの研修所、時々掃除のお手伝いはしてたけど、誰か使うのは初めて見たかも」
翼「画材置き場として間借りはさせてもらってたけどね」
偶然にも、研修所はまんがか寮の目と鼻の先にあった。
そのような状況において、かおすの興奮は最高潮に達していた。
かおす「ああ、皆さまが一堂に会している・・・。これは夢なのでしょうか・・・」
梅「夢じゃないゾ」
かおす「あばば!?梅様!?!?」
ミリアム「お主かの、わしらの活躍を追いかけているまんが家というのは?」
かおす「ミ、ミリアム・ヒルデガルド・V・グロピウスさん!?」
ミリアム「お、わしの名前を噛まずに言えるのか!こりゃ嬉しいのう」
二水「皆さんのことがお好きなんですよね?何だか親近感を感じます」
かおす「そ、そんな。二水さんだってこんなに可愛らしいじゃないですか!」
二水「ふぇ!?そんな風に言われたの初めてです・・・」
雨嘉「ちっちゃくて可愛い・・・」
鶴紗「ネコ耳帽子、子猫みたいな雰囲気・・・」
神琳「こ〜ら、二人とも。お持ち帰りしてはダメですよ?」
かおす「雨嘉さん、神琳さん、鶴紗さん・・・。皆さんにならお持ち帰りされても本望ですぅ。えへへ、へへ・・・」
翼「始まってしまったか」
小夢「こうなると、しばらく止まらないよね」
その傍らでは、美姫が梨璃たちにお礼の言葉を述べていた。
美姫「お姉ちゃんたちを助けてくれて、本当にありがとうございました!本当に、心配でたまらなくて、胸が張り裂けそうになって・・・」
楓「良いんですのよ。大切な誰かと誰かが健やかに生きる日常・・・。それを守るのがリリィの勤めなのですから」
琉姫「私からもお礼を言わせて。あの時、二人が攻撃を防いでくれていなかったら、私はもう・・・」
梨璃「あの時、本当に間に合って良かった・・・」
夢結「これからも姉妹、仲麗しくね」
美姫・琉姫「はい!」
そこに突然、何かがヌラリと駆け込んでくる。
それは梨璃の背後に回り・・・。
怖浦「あなたが梨璃ちゃん・・・?純朴そうで脅かしが・・・、愛でがいがありそうねぇぇぇ!!!!」
梨璃「ひょええええ、お化けぇぇぇ!?!?」
琉姫「ええ!?いきなりどこから!?」
かおす「ぎゃー!!怖浦先輩だあああああ!!!!」
夢結「梨璃!後ろに下がって!!」
楓「魑魅魍魎であろうと、梨璃さんに手出しはさせませんわ!」
怖浦「あら綺麗な黒髪・・・。こっちの娘はフランス人形みたい・・・。ねぇ、触っても良いぃい!?!?」
夢結「え・・・!?」
楓「な、なんですこの方!?」
二水「た、大変です!皆さんが悪霊に!!」
小夢「ごめんね、あれうちの先輩なの・・・」
翼「ホラーまんが家なんだ。あ、ちゃんと生きてるし足もついてるから大丈夫だよ」
梅「ふーむ、あの夢結と楓が推され気味なのはレアかもな」
鶴紗「混沌極まってるな」
そこにコホン、とアルシーヴが咳を入れる。
アルシーヴ「夜も遅い。今日はここで解散にしよう」
ソラ「みんな、早く寝ないとダメよ?」
神琳「そうですね。夜更かしは肌にも悪いですし」
翼「それじゃあ先輩を連れ戻してきますね」
怖浦「みんな待って〜」
梨璃「きゃあああ!!」
夢結「あ、悪霊退散!!」
楓「どなたか十字架を〜!」
アルシーヴ「・・・頼む」
翼と琉姫が怖浦を連れ戻し、その場は解散となる。
一人、ミリアムだけは外せない用事があると言い、ポルカの下へ向かった。
名残惜しそうなかおすに、一柳隊はまた明日も会えるから、と諭したのであった。
かおす「え!皆さんと明日も会えるんですか!?」
夢結「それはそうよ。詳しくは明日話すけれど、クリエメイトの皆さんには一緒に特訓をしてもらうのだから」
かおす「・・・はい?」
雨嘉「みんなの攻撃が、ヒュージに通るかもしれないの」
琉姫「本当!?」
神琳「ですが、それには綿密な連携が必須です」
夢結「であればこそ、皆さんには真摯に特訓を受けてもらいます。遅刻は無論だけれど、理由無くサボタージュした場合は、連行してでも参加させるのでそのつもりでいるように!!」
そうかおすにチャームを向けて言い放つ夢結。
世界の命運がかかっているため、その表情は真剣そのものだ。
かおすは思わず、両手を挙げながら返事をした。
かおす「は、はいぃ!!」
梨璃「かおすちゃん、一緒に頑張ろうね!」
かおす「・・・これは身が持たないかもしれません」
夢結「そこ!小言を挟まない!!」
かおす「はい!!」
話を終え、かおすはうなだれるようにその場を後にする。
かおす「戦いの前に死んでしまうかもしれません・・・」
翼「それはないでしょ、多分」
小夢「私も自信ないけどがんばろー?」
そんな話をしていると、かおすは首筋にチクリとするものを感じた。
思わず声を漏らし、首に手をやる彼女。
それを仲間は心配した。
怖浦「大丈夫?」
かおす「へ、平気です。虫に刺されただけですし・・・」
美姫「でも、痕になったら大変です」
琉姫「戻ったら薬を塗ってあげるわ」
かおす「面目ないです」
あまりの小ささかつ、暗闇で一瞬のことだったので、誰も分からなかったのだ。
その虫が、緑と黒の二色模様だったなどと。
その夜、かおすは息苦しさで目を覚ました。
あれから自分はどうしたのだろう。確か寮に戻って薬を塗ってもらい、それからすぐ就寝したはず。
上手く回らない頭でそんなことを考えつつ、周囲を見る。
かおす「・・・!!」
辺りは燃えさかり、分厚い煙で覆われている。
あまりの熱に、呼吸をするのさえ苦しい。
そこには傷ついた仲間と、一柳隊の皆が倒れている。
自分を除き、誰もピクリとも動かなかった。
かおす「あ、ああ・・・」
思わず彼女は、倒れていた小夢に手をやる。
その手を見れば、自分のものでない血がべったりとくっついていた。
これは夢だ。それもとびきりの悪夢だ。
頭ではそう理解していても、あまりにも生々しい感触に、彼女は叫びだし、その場を駆け出す。
その後ろでは、怪物の咆哮が木霊していた。
直後、彼女はベッドから飛び起きていた。
寝汗が酷いが、それも無理はないだろう。先ほどまであのような悪夢を・・・。
かおす「あれ・・・?」
自分が何を見ていたのか、彼女は全く覚えていなかった。
それどころか、夢を見たという感覚すら彼女の中には残っていなかった。
かおす「何でこんなに汗かいてるんだろ・・・」
そう言うと彼女はシャワーを浴びに向かった。
夢を見たという感覚さえあれば、その手の者に相談し、解決が出来ただろう。
この世界には夢の専門家が何人もいるのだから。
だが、彼女はその機会を封じられてしまったのだ。
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