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【きらファンSS】ゆっくりでも、がんばりますっ
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1 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/05 16:37:41 ID:wDG7LGFm5m
きららBBS新参者のルナ・ソレイユと申します。

別の所で投稿した作品ですが、細かいところ(場合によっては大きなところ)が違う加筆修正版になります。

あとそこそこ百合要素強めなので注意です。

< 1234>
109 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/20 19:34:27 ID:ngHWL4ZwvS
「はい、注文のお茶とコーヒー。なんか楽しそうだったからって待っててあげたわけじゃないんだからねっ!」

「なぁ、夏帆。花名から相談があるみたいだが。」

「えぇ!?」

「私よりも夏帆のほうが適任だと思うが?」

「そっかそっか!花名ちゃんの相談なら乗るよ!ちょっと待ってて。…麻冬さん、少しの時間外れていい?」

「…今なら私一人で回せるから、花名の悩みなら聞いてあげなさい。」

「ありがと!…それでどうしたの、花名ちゃん?」

110 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/20 19:36:02 ID:ngHWL4ZwvS
「えっと…クレアちゃんのことを呼び捨てしたいんだけど…うまく行かなくて。」

「花名ちゃんは、クレアちゃんのこと呼び捨てしたくないの?」

「そうじゃないよ!ただ、恥ずかしくって…。」

「そっか!花名ちゃんはクレアちゃんのこと、本当に好きなんだね。」

「もちろん!愛してるよ!」

「そしたら大丈夫。呼び捨てっていうのは、愛情表現なんだから。」

「そっか…キスと同じなんだ…」

「うんうん!…え、キス?」

 夏帆さんのおかげで考え方がわかってすっきりした。好きっていう気持ちを、『クレア』って呼び方に込めるんだね。

「…クレア。…ふふっ」

「花名ちゃん?」

「ありがとう、夏帆さん!」

「あー、えっと…う、うん!」

「ところでクレアさん、今家に帰ったみたいですよ〜?」

「え!?」

 私は大慌てでお金を払って、家に帰ることにした。

「はい、丁度だね!ありがとう!……花名ちゃんたち、キスしてたの!?すでに!?」

「むしろ呼び捨てじゃなかったのが不思議なくらいよ。」

「ところで…花名さん、『ソーニャ』という名前、覚えてなかったみたいですね〜。」

「…花名がいるときに言ってくれ…。」

111 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/20 19:37:23 ID:ngHWL4ZwvS
   *   *   *
 館の前まで帰ってきた。ほんとに帰ってきてる!クレアの残り香からすると…大体5分くらい前かな。

 私は館の扉に手をかける。

「たっただいま…クレアちゃ…あっ」

「おかえりなさい、花名さ…あっ」

 2人で見つめ合って笑う。

「えへへ。ただいま、クレア。」

「はい。おかえりなさい、花名!ふふっ」

112 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/20 19:41:10 ID:ngHWL4ZwvS
これにて第6話終了です。長さは大して変わりませんでした!ただ、前後編なのに2日ほど空いてしまって申し訳ありません。

初出:書き下ろし

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113 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/08/20 22:27:10 ID:kiZRBkFo77

自分達はキャラクターとして認識してるからすぐ覚えただろうけど、知り合いとかで「ソーニャ」ていう名前は確かに覚えにくいだろうな。
今までは「クレアの愛がやばい。どんどん大きくなってる」と思ったけど、なにかと花名も進歩してましたね。
ほかのクリエメイト達もただフォローするだけでなく、2人の関係にツッコミ入れたりするのも良かったです。

114 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/21 18:32:03 ID:WmEwQGIueL
>>113
ありがとうございます!
花名ちゃんもどんどん大変なことに…というより今まで抑えていた分反動がすごい感じですね!
他のクリエメイトも他の作品では主人公や主要キャラなので、ただただフォローするだけだともったいないなと感じてしまうんです…。

115 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:31:47 ID:/W1KYqrVIA
第7話です。今回はどちらかといえばシリアスより…というかしばらくシリアスよりな回が続きます。
クレア視点です。

116 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:32:53 ID:/W1KYqrVIA
「おはようございます、花名。」

「うん、おはよう、クレア。」

 私はポストを確認して、確認しなければよかったと後悔しました。

『きららちゃんから連絡。花名ちゃんをコールするから準備しておいて欲しいそうよ。 ライネ』

 手紙の隅には明後日の日付が書かれていました。

「ねえ、花名。明後日って何でしたっけ?」

「明後日は明日の次だよ?もー、忘れちゃったの?」

「そうでしたねー、えへへー。」

 …憂鬱です。

117 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:34:15 ID:/W1KYqrVIA
「花名はかわいいですねー。」

「もークレアの方がかわいいでしょー?」

 コールされても戦いが終わるか負けると帰って来ます。…ですが、

『イヤーっ!くろ、クロモンソルジャーが、わた、私をおおおっ!』

『どっドーダイ、倒さなきゃ…。コ、コトネのために…。』

『私は…負けた、のか…。』

 今までに負けて帰ってきたやすなさん、しずくさん、くるみさん。

 みなさん一様に混乱されていました。…そんな花名さんを見たくはありません。

「…ねぇ、クレア。どうしたの?ポスト見に行ってから少し様子が変だけど…。」

「…なんでもありま…」

 先日はお互いの情報不足で喧嘩してしまったんですよね…。

「…花名。ポストの中にこんな手紙が入っていました。」

 花名に手紙を渡します。花名はそれを見て目を…輝かせました。

「ついに私も…戦えるんだね!」

118 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:35:03 ID:/W1KYqrVIA
 …失念していました。

 コールは、呼び出した者の意思に、無意識に従うようクリエメイトのみなさんに働きかけます。今回クリエメイトのみなさんがコールされた理由は戦うためです。

 そのため、戦える、と聞いて本来以上に興奮してしまうのです。

「花名、…本当に行くんですか?」

「もちろん!だってきららさんが私を呼んでくれたなら、戦うしかないよ!」

「そう、ですよね…。」

 いくら花名の意思ではないとはいえ、花名さんにここまで言われたら納得するしかありません。

「わかりました。…それじゃあ、朝ごはんにしましょう!」

 私は明るく言ったつもりでしたけど、うまく笑えていなかったかもしれません。

119 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:37:09 ID:/W1KYqrVIA
   *   *   *
「ポルカっ!」

「うわ、クレア、どうしたんだよ!」

「花名さんの…花名さんの専用武器は、できてますかっ!」

 私は鍛冶屋に入るなり叫びました。

 …専用武器。それは一人一人に合わせた武器の事。その分競争率は高くて、実績順にもらえるそうです。

「悪い、今はカレンのを作っててな…。」

「そう、ですか…。」

「あ、でもな、うまくできたマスターロッドならあるぞ?」

「もらってもいいですか!?」

「お、おう…。いいぞ?」

「ありがとうございました!」

   *   *   *

「カンナさん!」

「ん?どうした?家具なら少し待ってくれ。もう少しでプリンセスベッドが完成するからな。」

「違いま…それ買います!あと、スロウライフリゾートとすべての僧侶育成徐の強化をお願いします!」

120 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:38:21 ID:/W1KYqrVIA
   *   *   *
 建築屋から出ると、私は近くの森へ走りました。今日は月の力の強い日なので、種や新芽を多く持ってるモンスターが集まってきます。入り口の方なら私でも戦えます。

 護身用の短剣でぽぽたんに襲いかかります。

「…!」

 ぽぽたんは私に体当たりをして、逃げていきました。ちょっといたいです…。

 私は日がくれるまでぽぽたんを追いかけました。

121 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:39:15 ID:/W1KYqrVIA
   *   *   *
「ただいま帰りました…。」

「お帰りクレ…クレア!?どうしてそんなボロボロに…?」

 館について花名が駆け寄ってきます。

「花名、これを持ってきました!」

「月の子種がこんなに…。」

「あと新品のマスターロッドです!」

「でも、何で…。」

「花名さんのために…」

「私、そんなクレア、見たくない!」

「私だって、戦って傷ついて帰ってくる花名なんて、見たくありません!」

 気づいたら私は、そんなことを口走っていました。

122 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:40:17 ID:/W1KYqrVIA
「私、嫌なんです。花名が傷ついて帰ってきても、私はそれを見ていることしかできません。私には、何も無いんですから!」

「そんなことないよ!」

 花名が普段からは考えられないような大声で叫びました。

「私、嬉しかったよ。私のために、子種をこんなに取ってきてくれて、武器まで。私、そんなクレアが大好き。だからそんなこと言わないで。私、クレアちゃんのために帰ってくるから!」

 花名が続けます。

「私、気づいちゃったの。…私、本当は戦いたくないんだって。図書館で調べてみたら、コールの力だって。…怖い。けれども、クレアがここで待っててくれるから、私、戦って来ようって思える。だから、」

 花名は目に涙をためて、笑顔で言いました。

「絶対に帰ってくるから、クレアも、どこにも行かないで、ね?」

「…はいっ!」

123 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:41:51 ID:/W1KYqrVIA
   *   *   *
「それじゃあ今回も行ってみまショー!」

「わおー!」

「え、本当にこの格好でいくの!?」

「えっと、このパーティ、シノがいないんだけど、どうすればいいいの?」

 パーティメンバーのクリエメイトが館に集まりました。

「じゃあ、いってくるね。」

「はい。帰ってきてください。」

 私たちは軽い口づけをします。

「ワオ、本当にキスしてマス!」

「…子作りの話?」

「うわ、凛がいなくてよかった。」

「…シノぉ…。」

 二人してちょっと赤くなります。

 …地面に魔方陣が展開されました。

 クリエメイトの方々が光ります。そして、粒子になって消えました。

「…少し、よろしいでしょうか…?」

 館の外から声が聞こえました。

124 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:42:47 ID:/W1KYqrVIA
「はい…たまてさ…たまちゃん!」

「相変わらず言い間違えますね…。」

「そ、それは…すみません…。」

「いえ、別に大丈夫ですよ。ところで…花名ちゃんはいきましたか?」

「はい。…きっと今ごろ、きららさんのところで…。」

「なら!」

 たまて…たまちゃんの大声!びっくりしました…。

「クレアちゃんに話があります。花名ちゃんから離れてはいただけませんか?」

「突然ですね!?」

「私は気づいてしまいました。…半年ほど前でしょうか。花名ちゃんとクレアちゃんの告白イベのときです。私、こういうイベントは好きなはずなのですが、ドキドキわくわく、しなかったんです。それからというもの、花名ちゃんがクレアちゃんと里で歩いているのを見かけるたびに胸が張り裂けそうで…。これが、恋、というものだと分かったんです。ですから、改めて言わせていただきます。花名ちゃんから…」

「お断りします。」

 私はきっぱりと返事をしました。

「私たち相思相愛ですっ!花名は…誰にも渡しません!」

125 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/24 11:44:08 ID:/W1KYqrVIA
「まあだいたいわかってました。なので…こうしてはいかがでしょう。年中水着ギャルのはるかなペアから聞かせていただきました。この世界には、絆の試練というものがあるそうです!私とクレアちゃんが、それぞれ花名ちゃんと挑むのです。ゴールにたどり着けた方が花名ちゃんを…」

「私が…どうしたの?」


「「花名!」ちゃん!」

 いつのまにか、花名たちクリエメイトさんたちが帰っていました。

「ハナがワンパンで倒しちゃったのデス。」

「いつのまにか強くなってたんだね!」

「私…水着になった意味は…?」

「シノに会いに行かなきゃ!」

 なるほど…。

「それで、どうしたの?たまちゃん。」

「え、えぇと、それは…。…わかりました。言っちゃいますよ…。花名争奪大会、in絆の試練、開催します!はい、イベントスチルっ!」

……

「え、えぇー!?」

 かくして、花名争奪大会が決定してしまいました。

「…私、クレアちゃんが好きなのに…。」

126 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/24 11:50:34 ID:/W1KYqrVIA
これにて第7話終了です。
まずお詫びから…119と121のクレアのセリフがまた「花名さん」になってしまっていました…以後気をつけます…。
それから注意です。この回に出てくる「コール」の説明、および専用武器に関する説明は公式のものと異なる場合があるのでご了承ください。

初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10209137

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127 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/08/24 13:12:47 ID:es1Pf2qQ1c
おぉ、恋のライバル、『本編での相手』が現れましたね!
エトワリアとクリエメイトの存在意義といったシリアスな場面を思い出す良い機会になりました。

128 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/24 15:08:39 ID:/W1KYqrVIA
>>127
満を持して…という感じですよね!
エトワリアの住人かクリエメイトかという違いは今後も2人を襲うのでしょうね…

129 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:42:47 ID:MJV.v0/5Ld
第8話を投稿いたします。
注意があります。
1:7話までに増して急展開です。
2:7話までに増してキャラ崩壊がひどいです。
ご了承頂いた上でお読み下さい。

130 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:44:36 ID:MJV.v0/5Ld
side花名
 試練の島については、私も前から知っていた。

『ちょっと遥!えっと…恥ずかしいよ…。』

『だって私達の友情の証なんだよ?着けなきゃ損じゃん!』

 あの2人の幸せそうな顔。私もいつか行ってみたいとは思っていた。けど、

「ハナ争奪大会、in試練の島デス!」

 こんな形で来るとは思わなかったよ…。

「たまてさ…たまちゃんに花名は渡しません!」

「私の方こそ!花名ちゃんは私のものです!」

 なんで、こんなことに…。

「さあ、先行はクレアとハナデス!それでは…Let's go!デース!」

「カレンさん、テンション高いね…。」

「カレン様ですから!」

 なぜか私達は、みんなに見送られながら、潮が引いて出来た道を歩いていった。

131 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:46:38 ID:MJV.v0/5Ld
   *   *   *
route花名
 入って早々、クレアと別れた道に。

 さっきまではクレアと一緒にいたから平気だったけど、一人になるとすごく怖いな…。

「…あれ、花名?」

「クレア!どうしてここに…」

「すぐそこの…」

「…ちがう。あなたはクレアじゃない!」

「な、なぜですか!?」

 偽クレアが慌てる。だって、

「クレアの立ち方と違うもん!もう少しこうで…」

「え、ええっ!?」

「それだけじゃない、クレアが喋るスピードはもっとゆっくりのはずだし、」

「ウ、ウウ、ゴ、ゴウカクダカラ、ユルシテ…」

「それに…って、どこに行ったんだろう?」

 偽クレアがいつのまにか消えていた。

 そして、

「…あれ、花名?」

 少し先の道から、本物のクレアが出てきた。

   *   *   *
routeクレア

 入って早々、花名と別れてしまいました…。

 花名が居ないとこの森、すごく怖いです…。

「あ、クレア!」

「花名!」

「怖かったよ、クレ…」

「…なんで花名の半端な真似しているんですか…?」

「わ、私だよ!一之瀬…」

「その名前を言わないでください。」

「っ!」

「…帰ってください。」

「……」

 偽物は帰っていきました。試練ってこの程度なんでしょうか?

 そのまま道を進んでいくと…

「あれ、花名?」

 本物の花名がいました。

132 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:50:16 ID:MJV.v0/5Ld
   *   *   *
sideクレア

「クレアー!」

「花名です!本物です!」

 …っと、そんなことをしている場合ではありません!

「花名、行きましょう!私達の愛の証を取りに行くんです!」

「うん!」

 私達は意気揚々と道を進んでいきました。途中に石の扉がありましたが、2人で普通に押したら開きました。演出でしょうか。

 そして、

「どうくつ、だね…。」

「どうくつ、ですね…。」

 暗いどうくつが目の前にありました。他に道はないので、この中が正しい道なのでしょう。

「行くよ、クレア。」

「はい。」

 私達は2人で中に入りました。そのとたん、

「わわっ!」

「きゃあっ!」

 2人仲良く落とし穴に落ちました…。

「いたた…。大丈夫ですか、花名?」

「うん…大…ダメ…。」

「花名!」

「お花畑が見えるよ…。」

「だめです、花名!」

133 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:51:33 ID:MJV.v0/5Ld
「いや、本当に周りがお花畑だよ!」

 そう言われて回りを見てみると…本当です!

「これが次の試練…?」

「みたいですけど…何をすればクリアになるのでしょうか…?」

「えーと…あっ!分かった!クレア、あのお花だよ!」

「あのお花…あ、あのときの!」

 そもそも、花名と親しくなったのも、それがきっかけでした。

「それを見つけることが、クリアの条件ですね!」

「たぶん…。でも、どこにあるのかな?」

「わかりません…。ところでここ、どうくつの中なのに風が吹いているんですね。」

「そうだね、とっても気持ちいい…。」

 …もしかして、この周りにあるお花って、

「花名、このお花、覚えていますか?」

「忘れるわけがないよ!火をつけると、色のついた煙が出るお花だよね?」

「そうです!そして、」

 私はお花に火をつけます。

「この煙が指す方向に進むんです!」

「クレア頭良い!」

 そしてそれは正解でした。

「あった!」

「ありました!」

 空からペンダントが降りてきました。私達の、私達だけの愛の証です。

 周りはいつのまにかどうくつの出口になっていました。

134 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:54:43 ID:MJV.v0/5Ld
   *   *   *
sideたまて

 お二方が帰ってきました!さあ次は私の番で…

「えへへ、花名との愛の証です!」

「ほら、くっつけるとハートの形になるよ!」

「わぁー!本当です!」

 …。

「あ、たまちゃん!」

「たまて…たまちゃん、次は…」

「負けました。」

「「え…?」」

「負けました!だって、そんな花名ちゃんの顔を見たら…見ちゃったら…」

 気がつくと、私は涙を流していました。

「だから、これまでも、これからも私だけを好きになる人じゃなきゃ…嫌なんですよ…。なのに…なぜ、花名ちゃんのこと、好きになってしまったんでしょうね…。」

「たま…ちゃん…。」

 そして私は、言ってしまったら確実に傷つけてしまう言葉を言ってしまいました。

「ま、まあ、もとの世界に帰ればまだチャンスはありますし!そ、それでは…!」

 私は全力で逃げ出しました。

135 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/28 15:55:42 ID:MJV.v0/5Ld
   *   *   *
sideクレア

 試練の島から帰ってきました。

「ねぇ、クレア、大丈夫?相談、乗るよ?」

「…花名。さっき、たまてさんが言っていたこと、覚えていますか?」

「うん。確か『もとの世界に帰れば、まだチャンスはありますし!』だよね?」

「はい。…クリエメイトである皆さんは、いつでももとの世界に戻ることができます。…しかし、もとの世界に戻ってしまったら、エトワリアのことは思い出せません。花名は私のことすら、忘れてしまうんです。」

「そんな…。」

「それだけではないんです。…クリエメイトの方々は、この世界の危機を救うために召喚されたんです。つまり、それが解決してしまうと、皆さんは…」

「……。」

 そして、私は、

「私達、これ以上仲良くなりすぎると、別れたときにきっと大変なことになってしまいます。」

「クレア!?」

 決定的なことを、

「いつか、別れてしまうときがくるなら、いっそ今のうちに…」

「言わないで、クレア!」

 言いました。

「別れましょう、花名…いいえ、花名さん。」

136 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/28 16:01:45 ID:MJV.v0/5Ld
というわけで第8話終了です。
次の回でシリアス回は終了ですがちょっと長いので2回に分けるかもしれません。

初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10681133

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137 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/08/28 18:58:05 ID:Y3Sj/8ooGa
第一話から一気読みしました。
最後の呼び捨てからさん付けに戻ってしまうところが切ないですね。
不器用な二人という印象ですが、幸せになってほしいです。
あと、個人的には第六話の「クレアの残り香からすると…」がお気に入りです。クレアに対する愛と「えっ!?」ってなるような面白さを感じました。

138 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/28 19:24:50 ID:MJV.v0/5Ld
>>137
おぉっ!1話からっ!ありがとうございます!
不器用な二人、というのは最初から一貫しているテーマだったりします。
クレアと花名の愛は若干行き過ぎてるようにも見えますけど、相思相愛なのは変わらないので、(生)温かい目で見守ってもらえれば!

139 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/08/28 22:47:19 ID:H1s4Y7cWhn
本当の試練はここからだった…
やはりエトワリアの人とクリエメイトとは結ばれないのか…!?

たまてとクレア、同じ花名を愛する人だけど、立場が違う感じが
よりこの作品のシリアスさを引き立ててます。

140 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/29 10:41:18 ID:Tnqwz2AqGV
>>139
ありがとうございます!
シリアス…とはいえ、この作品はほのぼのと花名とクレアのラブストーリーを綴っていく作品なので、あまり身構えずに読んでいただけると嬉しいです。(その割には試練が多いですが)

141 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:11:31 ID:m/iEZ02fFO
第9話を投稿いたしますが、前回に引き続き注意があります。
1:8話に増して急展開です。
2:8話に増してキャラ崩壊がひどいです。
3:8話までに増してストーリーの組み立てがひどいです。
4:半分くらいがっこうぐらしな上、原作の設定が上手く生きてない/設定の食い違いがあります。
ご了承頂いた上でお読み下さい。

142 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:13:38 ID:m/iEZ02fFO
sideきらら
 星彩石も溜まったし、皆さんの友達を連れてくるためにも、召喚しましょう!

「クレアー!召喚するよー!」

「えへへー、花名、本当にお芋好きですねー。…え、もっと食べたいですか?もうー、今日の花名はあまえんぼうですねー。」

 クレアが何もない空間に料理を差し出し、落とす。

「…ク、クレア?」

「あ、花名、ちょっと待っててくださいね!…はい、きららさん、召喚しましょう!」

「大丈夫?」

「何がですか?私は幸せですよ?」

「……」

「それでは、開きますよー!」

「……」

「これはっ!金髪!金髪!金髪!」

「……」

「yeah!九条カレン、参上デー…。これは、何があったデス?」

「次回も頑張ります!…花名ー!…ええ、そうなんですよ!今日はカレンさんが…」

「oh…クレア…」

「…カレンさん、この前、私達用事があるって言って先に帰ったよね?」

「Yes。その後キララの故郷の近くで、クルミとユノの修練してたんデスよね?」

「はい。なのでクレアと花名さんの間に何があったのか、詳しくは知らなくて…。」

「…ハナとクレアが試練の島から帰って、それを見たタマテが急に負けたって言ったんデス。」

「そこまでは…予想通りかな。」

「その後、タマテが負け惜しみを言ったんデス。」

「なんて言ったの?」

「えっと確か、『もとの世界に戻ればまだチャンスはありますし!』だったハズデス。」

「それだね…。多分クレアは、それを考えすぎて別れよう、みたいな話になっちゃったんだと思う。」

 これは、花名さんの方も見に行ったほうがいいかもしれません…!

143 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:15:39 ID:m/iEZ02fFO
   *   *   *
side由紀

「ご近所さんが増えたんだし、ご挨拶はしないとね!」

 2日前に引っ越してきた花名ちゃん。

 …クレアちゃんと別れたのかな?

「こらこら、そんなふうに考えちゃだめでしょ、丈槍さん。」

 そうだね、めぐねえの言うとおり!

「今は、新しいご近所さんに挨拶しないと!」

「なんで2回言ったんだよ…。」

「えーっと、気分?」

「何だそれ。」

 苦笑しながら前を歩くくるみちゃん。

「っと、ここだな。大丈夫か、由紀?」

「そうよ、ちゃんと粗相のないようにね?」

「もう、くるみちゃんもめぐねえも心配しすぎ!だいじょぶだよ!」

「っ…。そうだな。」

「めぐねえじゃなくて、佐倉先生でしょ?」

 私は扉をノックしようとして、中から声が聞こえることに気づいた。

「クーレア!えっへへ〜、何でもないよー!」

 …今はお邪魔かな?

「どうした?」

「中でクレアちゃんと仲良くしてるみたいなんだよ。」

「そうなのか?」

 くるみちゃんが扉の近くで耳を澄ます。

「え、ひゃん!もう、クレアは急だよ…」

「……」

「あ、クレア、これ持ってくれる?」

 がらがらっと大きな音がした。

「…っ!」

 くるみちゃんがノックをする。

「あ、お客さん。クレア、待っててね!」

 扉が開く。

「どちらさ…あ、くるみちゃんとゆきちゃん!いらっしゃい!」

 …こっちを見ているようで見ていない目…。部屋の中はすごい散らかりよう…。中にはクレアちゃんなんていないし…。

 こんなこと、わたしどこかで…

『丈…さん。電車止まって…から………待っ………。』

『かれ……前の記………っているって……の?』

『くっ……るぞ!』

『でも………えが!めぐ………!』

 何かが頭の中に出てきそうになる。苦しい。怖い。気持ち悪…

「とりあえず、花名をクレアのところに連れて行こう。」

 くるみちゃんの声で、現実に引き戻される。

「うん、そうだね!」

 私は答える。いつも通りに。

 めぐねえは、いつの間にか帰っていた。

144 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:16:39 ID:m/iEZ02fFO
   *   *   *
sideきらら

 くるみさんと由紀さん。そして、ぼんやりとパスを感じるめぐね…慈さんが花名さんを連れてきてくれましたが、クレアも花名さんも反対を向いて噛み合わない会話をしています。

「召喚の館、たった3日前なのに、なんだか懐かしく感じるね!」

「はい!私もいつか行ってみたいです!星尾女子高校!」

「…恋愛って、大変なんだね…。」

「流石にここまではなかなかないと思うデース…。」

 その時、すごい勢いで扉が開いた。

「花名様ー!」

「もう、ランプ。もう少し静かにね。」

「ん。花名、心配。」

 ランプと栄依子さん、冠さんが来ました。

「きららさん、何があったんですか?」

「実は…」

 私は簡潔に説明する。

「そっか…。」

「ん。たま、今日も元の世界に戻っていった。」

 手詰まり状態。そんなとき、口を開いた人がいた。

「クレアちゃんと2人でお話したい。」

 それは、由紀さんだった。

145 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:19:09 ID:m/iEZ02fFO
   *   *   *
side由紀

「そ、それは…」

「いいんじゃないか?」

 きららちゃんが止めようとしたところを、くるみちゃんが制す。

「で、でも…!」

「大丈夫。由紀を信じろ。」

「ハナ、外出るデース!」

「う、うん…。ほら、クレアも…」

「まかせました。」

「うん。」

 扉が閉まる。

「…由紀さんは帰らないんですか?」

「うん。クレアちゃんと話をしたいの。」

「私は花名と…」

「いないよ。」

「え?」

 何を言っているのかわからないって顔でこっちを見る。

「花名ちゃんは、ここにいないよ。」

「……」

「私…ね。好きな先生がいたんだよ。」

「先生、ですか。」

「うん。勉強は嫌いで、補習も受けたくなかったけど、その先生と一緒にいた補習の時間は楽しくて、大切な時間だったの。」

 クレアちゃんはあいづちを打って聞いてくれてる。

「…でもね。そんなのは、一瞬でなくなっちゃったんだよ。」

「……」

「本当にどうしようもなくなったとき、め…先生が私達をかばってくれたの。それっきり、先生とは会えなくなっちゃったんだ。」

「……」

「私はその後、先生が『視える』ようになったの。私の中だけで、日常は滞りなく進んでいった。」

「……」

「その先生は偽物だった。」

「……」

「その先生は私が生み出したまがい物で、先生がせっかく残してくれた最後の言葉を、忘れてたんだ。」

「……」

「…クレアちゃんは、花名ちゃんとまだ会えるんだよ。目の前にいるのに、一緒にいないなんて…うまく言えないけど…違う気がする。花名ちゃんはクリエメイトだから、ずっと一緒にいられないのはわかる。だからこそ、その人を…花名ちゃんを覚えておかなきゃいけないんじゃないかな。」

 私は、頭が良くないから、うまく言えないけど。いいたいことは伝わったかな…?

「…私、実は今まで、人と深く関わってこなかったんです。」

 そして、クレアちゃんが口を開いた。

146 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:19:56 ID:m/iEZ02fFO
   *   *   *
sideクレア

 由紀さんの言葉を聞いて、私は気づいたら話していました。

「もちろん、ポルカとかライネさんとかコルクちゃんとか、仲良くしていた人はいたんですが、常に劣等感が強かったんです。みなさんは色々なことができるのに。…花名と直接会ったのは、つい半年前です。召喚されてきて、あの健気に自己紹介する姿に一目惚れしました。風邪を引いて、みなさんと仲良くなれなかった花名を手伝っている最中も、自らの優しさで、どんどん友達を作っていく花名を尊敬しました。…そして、二人でお花を探しに言って、雨に降られたとき、私は何の役にも立たなかったって言ったら、花名はそんなことないって真剣に言ってくれたんです。わたしは…もうだめでした。あそこまでされて、好きにならないわけがないじゃないですか。…私の勝手な希望ですが、」

 私は息を吸って言いました。

「私は、花名一緒に居たいですっ!花名がそこにいる限り、ずっと!」

「私もだよ!」

 そこには、本物の花名がいました。

147 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:21:17 ID:m/iEZ02fFO
   *   *   *
side花名

「えぇー!くるみちゃんたち、外で話聞いてたの!?」

「あぁ、悪い。でも、手っ取り早く…な。」

「むー。」

 みんなのおかげで、またクレアに会えた。

「今回、私、何の役にも立ってないデース…。」

 カレンちゃんも、私のことをぐいぐい引っ張って中の声を聞かせてくれたから…。

「でもよかった。突然別れようなんて言われたから、嫌われちゃったのかと思ったよ。」

「まったくです。クレアさん、クリエメイトの皆様を不安にさせるなんて…」

「はいはい、ランプは帰りましょうね?」

「で、ですが…。」

 栄依子ちゃんがランプちゃんを連れて行った…。

「…花名。」

「どうしたの、冠ちゃん?」

「クレアも。…たまが言ってた。花名やクレアに、悪いこと言ったって。よく分からなくなって、つい言っちゃったって言ってた。」

 そっか。たまちゃんもそうなるほど、私のことを想ってくれてたんだ。

「きららちゃん、たまちゃんを呼んでくれる?」

「はい。…コール!」

 空中に魔法陣が現れて、中からたまちゃんが出てきた。

「呼ばれましたですよー!…あ…。」

 たまちゃんがこっちをみて、気まずそうな顔をする。

「…えっと…その…なんといいますか…後で冷静になって考えてみましたところ…花名ちゃんとクレアちゃんに多分に申し訳ないことをいたしまして…えぇと…誠に申し訳ありません…。」

 たまちゃんはそう言うと、急に顔を上げて、

「ですがっ!花名ちゃんが私を好きになってくれるよう、精一杯アプローチしますから!花名ちゃん、覚悟しておいてくださいね!」

「私はクレアが好きだから、その気持ちには応えられないけど…今まで通りお友達としてなら、よろしくね?」

「おお、これは脈ありですよ?」

「ないですよ!花名は私のことが好きなんですから!」

 私達には、いつか明確な終わりが来る。けれど私は今、ここに…クレアの隣にいられるだけで幸せだから。二人の思い出を、少しでも多く作っていきたい。

148 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/08/30 18:36:48 ID:m/iEZ02fFO
というわけで第9話終了です。
7後半,8,9話に関しては、恋のライバルを出そうとして、その過程を作ろうとしたのですが…
結構重い話になってしまった上、上手くまとまってなかったり、キャラ崩壊がすごかったり…

さて、このままだとかおすぱいらるに陥ってしまうので今後の話を。
この回までで、pixiv投稿分が終わってしまいました。まだpixivにも投稿していない回が1話、執筆中の回が1話という状況になっており、今までよりも投稿ペースは落ちてしまうと思われます。が、反対に言えば、ここから先なら皆様のリクエストやアドバイスを受けられるということです!皆様、ぜひリクエストやアドバイスをよろしくお願いします!(なお、リクエストやアドバイスに関して、100%応えられるわけではないのと、pixivやその他の場所で使われる可能性があることをここに明記しておきます。)

初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11440948

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第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1

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149 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/30 18:38:13 ID:m/iEZ02fFO
>>148
リンクミスしました。

第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141

150 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/08/30 18:58:16 ID:G7YGUZcZih
他作品のキャラを絡めて物語を進行できる文章力が凄いと思いました。
この先どうなるかは分かりませんが、ひとまず仲直りできたみたいでよかったです。

151 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/30 20:46:18 ID:m/iEZ02fFO
>>150
ありがとうございます!
それでも2作品までのクロスオーバーが限界ですね…もっと精進せねば…!
そうですね!ひとまず…!

152 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/08/30 22:56:16 ID:YkiWrFKwaz
今まではただ周りの人が普通にフォローしてた感じだったが、
クレアと花名の禁断症状を由紀の経験で解決するという、
「特定の人しか理解できない悩み」と「2人の愛の重さ」を同時に再現するところが凄いです。
たまちゃんもちゃんと謝れてとりあえず、一件落着かな?

153 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/08/30 23:26:58 ID:yg5zHAlwUp
るーちゃん関連の事でりーさんのために話を合わせていたときのゆきちゃんみたいな感じでしょうか…
ゆきちゃんだからこそ気持ちも理解できたし、踏み込めたんでしょうね

普段は手を焼きつつもなんだかんだゆきちゃんを信頼してるくるみちゃんもらしいな〜と思いました

154 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/08/31 11:56:54 ID:gFDuFlc4MI
>>152
ありがとうございます!
正直なところ、ここまできらファンやスロウスタート以外の作品に踏み込むことはこの先ないかなというレベルには大変でした…
「とりあえず」一件落着ですね!

>>153
ありがとうございます!
きらファンに召喚されているクリエメイト達は、基本的にアニメから来ている印象があったので、アニメの後の由紀の性格を出すことにだいぶ悩みました…
結果、アニメでもラスト若干覚醒していたし大丈夫だろうという結論に至りました。
なんだかんだくるみも由紀のことを信頼してるんですよね!

155 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:11:40 ID:XbE3RKVAZS
お久しぶりです。第10話です。
7〜9話のシリアス路線を楽しんで頂いた方には申し訳ないのですが、今回からはまた平常運転のほのぼの系に戻ります。ご了承ください。

156 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:12:15 ID:XbE3RKVAZS
side花名
「クレア、本当に、私が行ってもいいのかな?」

「大丈夫です!私が許可もらいましたから!それに、花名がいないなら私も行きません!」

 今日は喫茶店『ラビットハウス』のオープン日。それえ、ラビットハウスオープンのために手伝った人たちに向けたお疲れ様会があって、そのお疲れ様会に私も来ていいって言われたんだけど…本当に大丈夫なのかな?

157 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:13:36 ID:XbE3RKVAZS
   *   *   *
sideクレア

「あなたが花名ちゃん?えへへ、かわいいね!妹にならない?」

「え!?えーっと…」

「だめです。」

 ココアさんの妹攻撃はブロックします。

「えーいいじゃんー!…え、なになにきららちゃん…え!?えっと…花名ちゃんはクレアちゃんに返すね!」

 きららさんがココアさんに耳打ちしていたみたいです。

「全く、ココアさんは落ち着いてください。…クレアさんと花名さんですね。こちらに席を用意していますので、どうぞ。」

 チノさんの先導で椅子に座ります。

158 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:14:54 ID:XbE3RKVAZS
「それでは皆様、この度はラビットハウスの開店にご協力いただき…」

「もうっ、かんぱーい!」

「えぇ、ちょ、ココアさ…」

「「「「「かんぱーい!」」」」」

「あ、あれれ…」

「チノちゃん長いよ?」

「…納得いきません。」

 …花名はコーヒーを見つめています。…もしかして…

「花名…」

「あっ、ごめんね!なんでもないから!」

「大丈夫です。…思い出してしまったんですか?」

「うん。クレアにはお見通しだね…。えへへ、ちょっとうれしい、かな。クレアには、私のこと全部、知っててもらいたいから。」

「花名…!」

「クレア…!」

 私達は目をつむって、唇を近づけて…

159 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:15:46 ID:XbE3RKVAZS
「おーい、お二人さん?こっちのこと、忘れてないか?」

「はうっ!」

「へぴっ!」

 忘れてました…

「まぁ、別にいいけどな?アタシも昔色々あったし。」

「ちょっと、カンナ!」

「別にいいじゃないか、ライネ?」

「そ、それは…だめ…」

「…ま、まあアタシたちはいいんだが、そこのラビットハウス組、固まってるぞ?」

 わ、悪いことしちゃいました…。

「よ、よーしチノちゃん!私達もやろっか!」

「な、なんでですか。…コーヒーのおかわりはいりますか。」

「お、おねがいします!」

「お願いできる?」

「花名さんとライネさんの分ですね。少々お待ちください。」

 チノさんがコーヒーを淹れに行きました。

160 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:17:15 ID:XbE3RKVAZS
「あ!忘れるところだった!この前、コルクちゃんのお店でロシアンルーレットチョコ買ってきたんだー!」

「はずれって何が入ってるんですか?」

「わかんない!」

「おいおい…」

 ココアさんが真ん中にチョコの箱を置きます。ちなみにチノさんには別のチョコを買っているそうです。

「それじゃあいくよ!せーの!」

 んっ!これはおいしいです!あたりれすね〜!

「く、クレア!?顔が真っ赤だよ!」

「もうっはなっ!はなはいっつもそうれす!いつもわらしのことをみてくれれ、うれしいんれすよ!わかってますかぁ!」

「く、クレア!?」

「れすから、はなにおしおきれす!」

「うわぁ!クレア!急に押し倒して…だめだよ!…むぐっ」

「んっ…もう、なんれ…らんれはならかありーんれうあ!」

「も、もう何言ってるかわからないよっ!」

「れすあら、ろーういーれうららい!わらしら、はなろおろあ、らあーいすき!」

161 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:17:54 ID:XbE3RKVAZS
   *   *   *
side花名

 あぁぁ、クレア、寝ちゃった…。

「…もう、クレアったら。」

 酔った寝顔もかわいいよ、クレア…

「ねぇ、花名ちゃん?」

 うぐっ

「流石にあれはないんじゃないかしら?私達もいるのよ?」

「お待たせしました。こーひ…何があったんですか、ココアさん?」

「な、なにもしてないよ!」

「えっと…ライネさん?」

「…チノちゃんにはまだ早いわよ。」

 …15歳以上対象になっちゃった…

162 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/09/04 19:19:16 ID:XbE3RKVAZS
   *   *   *
sideクレア

「んぅ…あれ…?」

 目が覚めると、そこは見慣れた天井。

「花名?…あ、わ、わた、わたた…」

「クレアだけ恥ずかしがらないでよ。私だって…恥ずかしかったんだよ…?」

「うぐっ、す、すみません…できれば…その…忘れていただけると…」

「だめ。あれだってクレアなんだから。」

「ううぅ…それじゃあせめて、話題にしないでください…」

「…それじゃあ、その敬語。やめてくれたら考えてあげる。」

「…花名の悪魔。」

「だって、もう出会ってだいぶ経ってるのに、クレアはずっと敬語なんだもん。ランプちゃんとかは敬語じゃないから、私はランプちゃんより下なのかなって…」

「…花名の小悪魔。」

 …花名はいじわるです。

「…こっ、これでいい?花名。」

「クレア…!」

「や、やっぱり、はずかしいよぉ…」

「大丈夫だよ!さっきのよりは、恥ずかしくないでしょ?」

「あぁー!言ったよね!話題にしないって!」

「えへへ、考えるだけって言っただけですー!」

「花名のばかばかばかばかばなな!」

 でも、花名に敬語を使わずに話す口実ができて、とても嬉しかったのは内緒です。

163 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/09/04 19:26:23 ID:XbE3RKVAZS
というわけで、少し短めですが第10話終了です。
10話ですよ!アニメだったらあと2話で終わりですがそこはss。まだまだ頑張っていきますよ!なんなら誰も読んでなくても細々と続けますよ!

初出:pixiv・BBS同時投稿
pixiv: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11628770

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第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141

第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155

164 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/09/04 19:59:30 ID:i0D//kmqDH
シリアスもいいけどほのぼの路線も和みますね。
クレア、花名以外にもカプがありそうな予感…

165 名前:人見知り◆tAB7QcnOfQk[age] 投稿日:2019/09/04 20:22:37 ID:RK22X8oQSq
花名クレ以外の登場人物も通常運転の安心感がありますね。
全く喫茶店でけしからんことをする人たちです。(自分が書いた話棚上げ)

166 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/09/05 07:32:32 ID:.KIA1W3bFw
R15指定は草
この場に桜trick勢がいなかったことが救いかもしれません。

167 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/09/06 20:49:21 ID:jTP7tWa5jP
お返事が遅くなって申し訳ありません!
>>164
ありがとうございます!
あの二人は冒険者時代のパーティだったらしいですし、色濃い沙汰の一つや二つはあったのでしょう!
>>165
ありがとうございます!
(棚の上に上がってるミルク色の異次元や千矢紺をちらりと見ながら)本当にけしからんですよね!
>>166

168 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/09/06 20:51:23 ID:jTP7tWa5jP
途中送信してしまいました…申し訳ありません。
>>166
ありがとうございます!
確かに桜trick勢(特に春香)がいたら恐ろしいことになってたかもしれません…!

169 名前:◆BaMzAK82VoE[age] 投稿日:2019/09/09 16:53:58 ID:4km5iHs7Y0
SS拝見させて頂きました。そうか思い出はエトワリアでしか持っていられなかったんでしたね、あっちの世界に帰ったらまた平和な日常があるけど、大好きな花(クレア)の存在を花名は覚えてはいない……そしてクレアだけは自分を愛してくれた花の名前を覚えている、ゲートときららが存命な内は永遠だけど、その思い出は不確かで有限、そしてある種の一方通行なのですね(語彙力)

あとやっぱりクレアちゃんにお酒飲ませるのは止めよう(戒め)

追伸:由紀サイドの心の闇、インスパイアします!

170 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/09/09 17:42:44 ID:1sOxHna/r6
>>169
ありがとうございます!
最初は友達の友達は友達大作戦の続きを書きたくて書き始めた作品だったのですが、書き進めて、設定の裏を取るために色々調べていたら、あれ、これは悲劇の恋なのでは!?となって現在に至ります。
一人で花名のことを覚えているクレア、というのも寂しいものですね…

そうですね。お酒、ダメ、ゼッタイ!

どぞどぞ、楽しみにしています!

171 名前:人見知り◆tAB7QcnOfQk[age] 投稿日:2019/09/12 22:37:40 ID:NLrWJOrP6N
クレアスレ等で最近出てきた(悲恋含む)花名クレはこのSSがきっかけの一端なんでしょうか。(以前はあまり見なかった)
シャミ悪とか、ある種のムーブのきっかけって、「このキャラ、この組み合わせならありそう」と思わせるものがありますね。

172 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/09/13 18:48:32 ID:xt4pHdVb.M
>>177
はわわ!?そんな、恐れ多い…
実は私がこのシリーズを書き始めたとき、そこまで長くするつもりはなく、pixivのほうでも短編扱いで投稿していました。ところが、ちょうど「海の家インザカップル」(このスレで言う第4話)を投稿した直後あたりに、 https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=134&ukey=0!#res49 こちらのssを発見しまして(実は当時から見てました)、まだクレ花名を書きたいと思ってシリーズを作成を決めました。(シリーズ名が決まらず実際の作成には時間がかかりましたが)すなわち、きっかけって輪廻のようにくるくる回っているものな気がします。
ちなみに、pixivの方に投降した「コールパニック!」は「ランプ「最近きららさんがコールをしていない」に触発されてたりもしてます。

つまり、みんなすごい(語彙力)


第11話ももうそろそろ完成しますのでお待ちいただければと思います!

173 名前:人見知り◆tAB7QcnOfQk[age] 投稿日:2019/09/13 21:46:55 ID:0VVbpXLhRI
>>172
そのきららンプの話、確か私が初めてスレ立てしたSSですね。それこそ恐れ多いことです。
私もいろんなところで有形無形の影響を受けてますし、そういうものなんでしょう。

174 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:15:28 ID:Mws95jPV0K
第10話です。
9/13にもうそろそろ完成とか言っていたら1ヶ月経っていました…遅くなって申し訳ありません。

175 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:15:43 ID:Mws95jPV0K
 …あれ、身体が変です。

 いつもと比べて、頭が軽い…

 それに、身体の中に強いクリエを感じます。このクリエの反応は、まさか…!

 私は身体を鏡に映します。するとそこには…

 透き通ったようにきれいな瞳、可愛らしい鼻、ぷるんとした唇…

 愛らしいをそのまま具現化したような人、つまり、

「わ、わわっ、私、花名になってます!」

 そして私を襲うのは激しい渇望感。私が花名と一緒にいないと感じるあの症状にそっくりです。

 まさか…。私はベッドで眠る私…というか花名に近づいて手を握りました。

 あぁ、この満たされていって、渇望感が充実感に変わる感じ…!間違いありません。花名欠乏症…いえ、相手が私なわけですから、クレア欠乏症ですね。

 …そう考えると同時に耳まで赤くなります。だってこれ、花名が私のことをこんなにも考えてくれているってことですよ!

 もうだめですっ!今すぐ花名を抱きしめたいっ!

176 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:17:14 ID:Mws95jPV0K
 でも…花名は今、私です。自分で自分を抱きしめるのは…違います。

「ん…ぁ…クレア…?」

 あ、花名が起きたみたいです。

「…って私!?え、じゃあ私はどこなの!?」

「花名、落ち着いて、鏡を見てっ!」

「えっ…あれっ、く、クレア!?じゃっじゃじゃじゃじゃあ、そこに居る私は…」

「うん。私はクレア。」

「どっどどっどうしようっ!」

 慌て方は花名のままですね。

「…そういえば以前、聖典でキスをすると入れ替わる話を読んだよ…?」

「じゃ、じゃあ…」

 私達は唇を重ねます。

「んっ…ぷはっ。…だめだね…」

「そっそれじゃあ、私は一生クレアとして生きるしかないの!?…いやだっ!クレアを眺めることも、クレアと抱き合うことも、クレアとキスをすることもできなくなるなんて…」

「花名…!私だっていやだよっ!花名と話せないし、花名の匂いもかげないし、花名の寝顔を見ることだってできない…」

 私達はお互いにうなずき合いました。

「「元に戻る方法を見つけよう!」」

177 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:18:06 ID:Mws95jPV0K
   *   *   *
「ん。入れ替わる薬?」

「そうなんで…そうなの。は…えっと、クレアと入れ替わってみたいなって。」

 私はアルケミストの冠さんのもとへ。花名の振りをして話しかけます。

「つくれる。けど、2,3日が限度。」

「そうなんだ…」

「あと、なりきるときはもっと堂々としてたほうがいい。」

 あれ、バレてます!?

「花名と居る時間は伊達じゃない。」

 そう言うと冠さんはくるっと後ろに向き直り、

「ついてきて。」

 と言ってとてちてと歩いていきました。

178 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:19:06 ID:Mws95jPV0K
   *   *   *
 冠さんに連れられてきた森には私…ではなく花名がいました。そしてもう2人、妖精さん…それも強い力を持っている妖精さんがいました。

「花名っ…」

「しずかに。」

 冠さんに押さえられました…。

「かっ、身体をもとに戻してくださいっ!」

「お断りだ。そう願ったのは花名、お前だろ?」

「私は、身体を入れ替えてなんて頼んでないっ!ただ…クレアに私の気持ちを知ってほしくて…。」

「だから入れ替えたんだ。花名のからだに染み付いたあれこれをクレアが感じている。これ以上の解決策があるか?」

「そ、それは…」

 もうっ!私はいてもたってもいられなくなって、木の影から飛び出しました。

「クレアっ!?」

「花名っ!私はずっと前から、花名の愛情を受け取ってる!」

「クレア…」

「だから…花名は心配しなくていいよ。私は花名のもの。花名は私のもの。これはこの先も変わらないものなんだから。」

「うん、クレアっ!」

 花名が抱きついてきます。姿が違っても、間違いなく花名でした。

179 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:19:59 ID:Mws95jPV0K
「…もういいか?オレは帰るぞ…な、アモル。」

「ごめんなさいっ!」

「…アモル。」

「入れ替わりは私のせいなの。」

「待てよアモル!魔力の暴走だろ?アモルのせいじゃ…」

「ごめんなさい。オルバにも嘘ついてた。」

 アモルさんはそう言うと、私達の方を見ました。

「私、オルバのことが好きなの。」

「お、おい…」

「でも、運命がそれを許さなかった。私は成就、オルバは破局の妖精。で、力関係が崩れると、どちらかが存在ごと消えてしまう関係なの。人々の願いは破局の願いが圧倒的に多くて、オルバの力は大きくなっていった。ちょっと前、とあるクリエメイトの子たちのおかげで、一時的に私達の力関係は均衡になったけど、それは一時しのぎに過ぎなかったの。この祠が作られた後も、私達に破局の願いをする人は絶えなかった。私達が一緒に居ることは絶望的だった。…そのとき、花名さんが来たの。あなた達の愛の力は凄まじかった。それこそ、二人の力だけでオルバとほぼ同等の力が生まれるほど。私はあなた達に嫉妬した。…私はオルバの近くにいられないのに、あなたたちはそんなに愛を育んでいる。だから、すこしいじわるしたくなって、入れ替わりの魔法をかけたの。…今から解くわね。」

 アモルさんは光を空中から生みだし、その光を私達にかざしました。…刹那。一瞬のめまい。それが落ち着いたときにはもう、私達の身体は元に戻っていました。

180 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/02 17:20:45 ID:Mws95jPV0K
「本当にごめんなさい。私のできることなら何でもさせてもらうから…」

「ふふっ。私はもう十分です。恋の妖精に嫉妬してもらえたんです。」

「私もクレアと同じ。これ以上のことはないよ。」

「それは…そうかもしれないけど…でも…。」

「でしたら、私達のことを応援してください。」

「…そんなことで、いいの?」

「うん。…だって、私達にとって十分すぎるくらいなんだから。」

 そう言って笑う花名は、とても愛おしかったんです。

   *   *   *

「…なあ、今の人間たち、片方はクリエメイトだったよな…?」

「えぇ。もうひとりは、この世界の人間だったわね…」

「…進む先は破滅なのに、なんであそこまで笑えるんだろうな…。」

181 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/10/02 17:26:19 ID:Mws95jPV0K


というわけで第11話でした!一応この話のおまけもありますので、遅くとも明後日までには投稿しようと思います。
大変お待たせしまして申し訳ありませんでした!

初出:書き下ろし

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182 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/10/02 18:12:11 ID:8Uyzo/WKi4
愛の力は偉大

183 名前:人見知り◆tAB7QcnOfQk[age] 投稿日:2019/10/02 21:26:05 ID:oeuuj54CqK
「私が私を見つめてました」の一形態?(どうでもいい話)
確かに、花名って自分の気持ちが伝わってるか必要以上に気にするタイプのような気がします。めんどくさ尊い感じ好きです。

184 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/10/02 22:39:19 ID:Mws95jPV0K
>>182
ありがとうございます!
そうですよね!愛の力は偉大。偉大故に様々な問題も起きますがそれも愛の力で超えられるあたり愛の力は偉大なのです!
>>183
ありがとうございます!
「なんで?なんで?二人…居ない!?」
花名が花名である所以ですよね!

185 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/04 19:48:13 ID:244gif6xQy
すみません、今日中には11話おまけ挙げられそうにないです…(主に自爆のせいでやられたメンタルのせいで)
5秒で読める回なのに投稿遅れて申し訳ありません…

186 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/05 10:43:57 ID:ZSBoyeHwTb
メンタルも少し回復したので投稿します。
遅くなってすみません!

第11話おまけです。3秒で読み終わります。

187 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/05 10:44:29 ID:ZSBoyeHwTb
 …身体に違和感がある。

 ちょっと頭が重いし、来ているのはピンクのパジャマ。

 そして、目の前には目を輝かせた…私!?

「どっどどどどどどういうこと!?」

「ふふっ、実は冠さんに頼んで入れ替わりの薬を作ってもらったの!」

「冠ちゃんが!?」

「これで花名にあんなことやこんなことを…」

「…も、戻れるんだよね…?」

「もちろん、元に戻す薬も作ってもらったし、1日経てば戻るんだって。」

「そっか。それなら…」

 安心したら、自分の今の状態が気になってきた。

 これが、クレアの身体…

 すべてがクレアのものなのに、私が動かしている…。

「じゃあ私は、お部屋に戻ってるね!」

 クレアが部屋に戻っちゃった…。

 …わ、私も自分の部屋に戻ろうかな…い、いやっ、他意はないよっ!自分の部屋に帰るだけっ!帰るだけなんだからっ!

188 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/10/05 10:54:49 ID:ZSBoyeHwTb


第11話は以上となります。
さて、書くのも10秒読むのは2秒のこの回を投稿出来なかったのは申し訳ありませんでした!

12話以降の話になりますが、そろそろマンネリかな…とも思うので、最終回に向けて舵切りするかもしれません(しないかもしれません)。
書きたいシチュエーションはまだまだあるのですが、同じような回が続いてもな…という心境です。

初出:書き下ろし

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189 名前:脱出かおすの人です[age] 投稿日:2019/10/05 13:15:23 ID:sQLkMQzOFX
アモル達から聞き捨てらならない言葉が…。
破局を願う人が多い辺り、やはり平和なエトワリアにもそういう所あるのですね…w

190 名前:名無しさん[age] 投稿日:2019/10/05 14:07:36 ID:Cd.Rwif8T1
自分の部屋で何するんですかねぇ…?

191 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[age] 投稿日:2019/10/05 17:47:25 ID:ZSBoyeHwTb
>>189
ありがとうございます!
今思い返せばフェアリーズトリックからただ平和な世界じゃないんだぞ、という片鱗はあったのですよね…
>>190
ありがとうございます!
「はーなー?あれから自分の部屋で何してたの?」
「な、なんでもないよ…」
「じゃあ、なんでこの服、ちょっと冷えてたのー?」
「な、なんでだろうね…?」

192 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/09 17:22:31 ID:w0iD2Oekte
第11.5話を投稿します。
第12話につながる話となります。

193 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/09 17:23:10 ID:w0iD2Oekte
 sideクレア
「えへへっ。」

 花名はとてもごきげんです。なぜなら、

「まさか私にも、専用武器を作ってもらえるなんて…!」

 先日ちょっとした事件がありまして、その事件の話をポルカにしたら、なんと優先で専用武器を作ってもらえたんです!

「これはクレアとの努力の証だね!」

 花名の笑顔が眩しいです!

「でも、いいのかな。私だけこんなに幸せで。」

「大丈夫ですよ!私も幸せだし!」

「うん。なんだけど、ほら。お母さんに報告とか出来てないし…。」

 ご両親へのご挨拶…そうですよね。

 そもそも花名の世界からはたまてさん、冠さん、栄依子さんしか召喚出来てません。

 …花名の世界の人をもっと召喚したら、喜んでくれるのでしょうか…?

194 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/09 17:27:51 ID:w0iD2Oekte


という訳で11.5話終了です。
次は第12話となりますが、今までに比べて恐ろしく長くなります。投稿は明後日頃になると思います。

初出:書き下ろし

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195 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:16:19 ID:aCGXbHewk.
お待たせしました!第12話です!
今までの回が3,000字ほどだったのに対し、今回は1万字程となっております。
ぜひ、きらら展の待ち時間などにお読みください。

196 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:17:48 ID:aCGXbHewk.
side花名
 私は杖のお手入れ、クレアは鍵の整備。

 静かだけど、心地良い時間。

「ね、花名。」

 不意に、クレアが私に声をかける。

 「花名は志温さんや葉月さん、光希さんに万年さん…。花名のもとの世界の方々を召喚したら、嬉しいですか?」

 難しい質問してくるな…。

「確かに、みんなが来てくれたら嬉しいかな…。でも…」

「やっぱり、そうですよね…。よしっ。このあと、きららさんが来るんです。頑張るので、見ててくださいね!」

「あ…うん。」

 無理、しないといいんだけどな…。

 …こんこんこん、とノックの音がして、1人の女の子…きららさんが入ってきた。

「クレア、来たよー!」

「きららさん、お待ちしておりました!」

 私は部屋の奥へ。他の人が魔法陣近くに居ると危険だから、いつも少し離れて見てる。

 ただ今日は…今日も先客がいた。

「…きんぱつ、きんぱつ、きんぱつ、きんぱつ…。」

「忍ちゃん…。」

「花名ちゃん!今日は金髪少女、出ますかね!」

「う、うーん…。」

 私達が話してる間にも、クレアときららちゃんは集中し、床に光の魔法陣を展開している。

「…開きますよ。」

 鍵を魔法陣の中心に突き刺し、回す。

 いつもより長いのって、もしかして…

『頑張るので、見ててくださいね!』

 もう、クレアは…

 私はクレアのもとに歩いて…

「花名っ!来ないでっ!」

「花名さんっ!来てはいけません!」

 きららちゃんとクレアの声に一瞬怯んで、…あっ

「花名っ!」

 転んだ拍子に、クレアの鍵に手をついてしまった。

 そこで頭が白くなって…何も考えられなくなった。

197 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:18:58 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideきらら

 座標指定中、花名さんが走ってきました。

「花名っ!来ないでっ!」

「花名さんっ!来てはいけません!」

 しかし、かえって驚かせてしまったみたいで、足をもつれさせて…

 鍵に触ってしまいました。

 その瞬間、花名さんの体が光の粒子になりました。その粒子は鍵に吸い込まれ、魔法陣の中に放出されて…

「花名っ!?」

「落ち着いて、クレア!」

「でもっ!」

「花名さんを召喚するよ!」

「…!」

 その言葉でクレアは、花名さんの世界を再び探し始めました。

「花名っ…。」

 まだ、繋がりません。

「花名っ。」

 繋がりません。

「…花名っ!」

 …!つ、繋がりました…。

 クレアの恋心に尊敬の念をいだきつつ、私は魔法陣に集中します。…絡んだパス。その中からクリエメイトの気配を探します。…これは、たまてさん。…たまてさんからのパスが多い…。っ!一本だけ太いパスがっ!…いましたっ!花名さんです!…慎重に、花名さんを喚びます。…。…これは…。

「花名のクリエの気配です!」

「…ごめんね。」

「な、何を謝って…。」

 魔法陣の上に人の形が作られる。そして、

「え、ええっと…ここはどこでしょうか…?」

 周りを見回している少女は、紛れもなく花名さんでした。

198 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:19:59 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
side花名

「どこまで、覚えていますか?」

 杖を持った女の子が聞いてくるけど…周りは見覚えのない部屋。

 …ま、まま、まさか、ゆゆ、誘拐っ!?

「…花名…だよね…?」

「なな、なななななんで私の名前を…。」

「…忍さんっ!」

「は、はいっ!」

「…冠さんと栄依子さん、それからたまてさんを呼んできてください。」

 冠ちゃんに、栄依子ちゃんに、たまちゃんまで…いったい、どうなってるんだろう…。

 忍、と呼ばれたこけしみたいな少女はこのお家のドアを出ていった。

「きららさんっ!花名の記憶の召喚は、できないんですかっ!」

 青い紙の女の子が叫ぶ。私の…記憶?

「…さっきのときに全てが消えちゃったみたいで…。…ここにいる花名さんは、私達が初めて召喚した花名さんなんだよ…。」

「そう…ですか。」

「…クレア?」

「…え、エトワリアへようこそ!こ、この世界…世界、では…」

「…クレア。」

 感情を押し殺して説明している青い髪の女の子は、全く知らない私から見てもとても痛々しく見えた。

199 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:21:44 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideたまて

 かむちゃんやえーこちゃん、それからトレーニング帰りだというカレンちゃんと共に、商店街を歩いています。こんな時、花名ちゃんも一緒なら…

「『花名ちゃんも一緒なら良かったんですが…』でしょ?」

「えーこちゃん、人の心を読まないでくださいよ!」

「誰から見てもわかる。」

「むしろわからないわけがないデース!」

「…本当ですか、えーこちゃん?」

「あら、このハンカチの刺繍、全員が金髪の妖精族の金髪を使ったものなんですって!」

「いろいろあって、仕入れたほうが他の商品が安かった。」

「シノが喜びそうデース!」

「ちょっと、聞いてくださいよぷきー!」

「み、みつけました、みなさん!」

「うわさをすれば」

「見て下サイシノ!このハンカチ、金髪少女の金髪で…」

「カレン!もっと詳しく教えて下さい!」

「いやいや、それどころじゃない慌て方してたけど…。」

「はっ!そうでした!みなさん、今すぐ召喚の館に来て下さい!」

「はて、どうしてでしょう?」

「花名ちゃんが大変なんです!」

「花名が…?」

「ん。なら早く向かうべき。」

「そ、そのまえに、その金髪少女のハンカチ…って高いですね!?」

「え、そうデスか?」

「…でも気になります!コルクさん、このハンカチについて教えて下さい!」

「カレン、早く行くわよ!忍は…無理ね。」

 一体、何があったというのですか、花名ちゃん!

200 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:22:26 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
side花名

 …本当に、異世界なんだ。

 私は、目の前で起こった出来事に、ただただ驚いていた。

 こけしみたいな女の子が呼んできてくれたのは、たまちゃん、冠ちゃん、栄依子ちゃん…と金髪の女の子だった。

 たまちゃんは光を飛ばす剣、冠ちゃんは爆発するフラスコ、栄依子ちゃんは何もないところから風を起こしてくれた。

「それにしても…花名ちゃんは何も覚えていないってことですよね?」

「うん。だから、皆とやったことを覚えていないのは残念、かな。ね、何があったのか教えて?」

「「「「「「………」」」」」」

「ど、どうしたの、皆黙っちゃって…。」

「そ、それでは花名さん、里を案内しますよ!」

「う、うん…。」

 どうしたんだろう…。

201 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:23:32 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
side春香

「ねぇ春香?」

「どうしたの、優ちゃん?」

「あれ、クレアちゃんと花名ちゃん、だよね?」

 優ちゃんが示した先には、たしかに二人が。

「じゃあ私達はあっちに行こっか!二人の邪魔になっても…」

「そうじゃなくてね、二人とも、いつもと違うように見えるよ?」

「違うって、どういうふうに?」

「うーん、なんかね、花名ちゃんがクレアちゃんと話してるとき、全然笑顔がないなって。」

「気づいてしまったデスか…」

 私達の後ろから声をかけたのは、カレンちゃん!

「実は…」

 カレンちゃんの話は、私達を凍りつかせるには十分すぎる内容だった。

「私はあの二人を見て『恋』というものがどういうものか、何となく分かった気がするデス。…だからこそ、私は二人に、二人自身に乗り越えてほしいと思ってマス。」

 …私達にできることは、何もないのかな…。

202 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:24:22 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideカレン

「それじゃあ、私は再び追いかけに戻るです。何かあったら問題デス。」

 私はハルカとユウに別れを言って二人を追いかけ…二人からかなり離れてしまいマシタ…。

「…<メモリア・ラウズ>。」

 地面に剣を打ち付けて加速…こっちのほうが初速が出るデス。

 それにしても、ハナのあの目…

『…本当に、何もしないの?』

 自分の思考が、問いかけてきマス。

『これは、第三者が介入してもどうにもならないことデス。』

 自身を正当化するデス。

 でも…。こんな時、アリスなら…私のヒーローならどうするデショウ…。

 …自分でも知らないうちに疲れてたみたいデス。

 そして、自分が周りをよく見ずに移動していたことに気付きマシタ。

 …森の中に入って、何をするデス…?

203 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:25:03 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideクレア

 …変わってない。

 あのときも同じように、こんなふうにお花が咲いていました。

「…クレアちゃん、ここ、里の中じゃ…。」

「花名さん…いえ、花名…っ!本当に覚えてないの!?ここの事、少しもっ!?」

「…ごめんね。」

 …やはり、花名さんの中に、花名の記憶は残ってないんですね…。

「…クレアちゃん。」

「…里に、帰りましょうか。」

 …痛々しいでしょうか。…醜いでしょうか。

 …でも今は、今だけは、強がらせて下さい。

 強がっていないと。

 せめて、花名さんの前では強がっていないと、壊れてしまいそうですから…。

204 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:26:53 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideたまて

 ふと、月を見たくなりました

 真夜中なのは承知の上です。

 …クエストゲート広場にでると、先客がいました。

「あ、たまちゃん。」

「花名ちゃん…。」

 花名ちゃんの隣に失礼します。

「私達の世界と、月って似てるんだね。」

「…そうですね。」

 ……。

「花名ちゃん。一つ、聞いていただいてもいいでしょうか。」

「え?」

「花名ちゃんとしては、この世界に来たばかりで、不安ばかりかもしれませんが…。」

「聞くよっ!何でも言って?」

「…では、お言葉に甘えまして。」

 …本当に、私はずるい人間です。

「…私、好きな人が居るんです。」

「そ、そうなんだ…。」

「でもその人は、他の人と付き合っていて、他の誰もが入り込めないほど相思相愛なんです。」

「…そうなんだ。」

「だけれどある日、アクシデントでその二人は離れてしまったんです。」

「……。」

「そんな時、私はどうすればいいのでしょうか…。」

「……。」

「なーんて、それだけですよ、気にしないで下さい!」

 私は立ち上がって、家に帰ろうと…

「待って!」

 花名ちゃんが声を上げて、立ち上がろうとし、石畳に足を引っ掛けました。って、こっちに倒れて…

「…んっ!」

「んんっ…!」

 …今の…感触は…!

「ご、ごごごごごごごごめんね!?ききっききききき…」

「花名ちゃん、落ち着いてください!」

「で、でも、たまちゃん、好きな人が居るって…」

「その人って、花名ちゃんです。」

「え?」

「私が好きなのは、一之瀬花名ちゃんなんです!」

 …言ってしまいました。

「え、ええ、えええええええええええええっ!?」

 その時、視界の隅に、青い髪が映りました。

 …あれは、まさか、

「クレアちゃん!?ち、ちがうんです!い、いまのは…」

 それでもクレアちゃんは足を止めず、走り去っていきました。

205 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:28:04 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
sideクレア

 うそっ!うそですうそですうそですっ!

 花名が、私以外の人とキス…。

 絶対嘘です!

 ……。

 …分かってます。あれは事故だし、そもそも花名がああなってしまったのも私に責任があります…。

 …なので絶賛、引きこもり中です…。

『クレアなら、そうやって塞ぎ込んじゃうかなって思ってた。』

 幻聴、でしょうか。花名の声が聞こえます。

『…もう、少しは信じてよ。私は花名。本物だよ?』

 …本当に、本物なんですか…?

『あーっ!クレア、敬語になってる!じゃあ私もクレアちゃんって呼ぼうかな?』

 …本当に、花名だ…!でもそれなら、なんで私の中から聞こえて…そもそも、どうやって…

『すこしだけ、いいかな。…私は鍵に触った時、ものすごい勢いで鍵に吸い込まれたの。そのときに私の殆どの部分はゲートの中に放出されちゃったんだけど、私の大切な部分は無意識に、流れに逆らってクレアの中に入ったみたいなの。』

「それが、今の花名…。」

 …花名が今、残っているなら、花名をもとに戻せるのでは…?

『さ、さあ、どうかな…?で、でも、このままなら、『クリエメイト』が帰った後でも、私は残れると思うし…。」

 ダメだよ、諦めちゃ!…そうだ、魔法なら、オルバさんやアモルさんが詳しいんじゃ…よし、行ってみよう、ね、花名!

『…う、うん…。』

206 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:29:01 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
「そりゃ、また厄介なことになってるんだな…。たしかに、戻す方法は少ない。」

「でも、ないわけじゃないのよ?」

 オルバさんとアモルさんに話すと、二人はそう言って、森の外を指しました。

「向こうに、記憶を封じ込める宝石、というものがある。本来は忘れたい記憶を封印するためのものだが…」

 記憶を封印する宝石…。またそれを取りに行かないといけないんですね…。

「その顔は知ってるって顔ね。それなら話は早いわ。…今、花名さんはクリエの状態なの。そして、その宝石は記憶をクリエに変換して保持する。記憶はクリエのまま取り出すこともできるから、それくらいなら応用が効くの。」

「…ただ、以前にその宝石で記憶をいじったことがあるって言うなら、花名は気づいていたんじゃないか?」

「…そうなの、花名?」

『…うん。』

「な、なんで…。」

『私、クレアとずっと一緒にいられるなら、このままでもいいって。そう思ったの。クレアと一緒にいられるチャンスがあるのなら、そのチャンスを逃したくないって。…そう思っちゃダメって、分かってはいるんだけど…。』

「…花名さんをもどしたら、もうあなたに戻すことはできないわ。よく考えて使ってね。」

 そういったオルバさんとアモルさんは、静かに箱へと戻っていきました。

「…ね、花名。一つ提案があるんだけど…。」

207 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:30:35 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
side花名

 えぇっと…どういう状況なの…かな?

 目の前には不思議な液体の入ったフラスコ。

 そして、どうぞ飲んでくださいとばかりにこっちを見るクレアちゃん…。

 ももっ、もしかして、あなたは本物の花名じゃないから死んでくださいってこと!?

「…飲むん…だよねこれ。」

「はい、飲んでくだ…え、いいじゃん。花名じゃなくて、花名さんだし…そう、花名は特別なんだから。…あ、すみません。飲んでください。」

 …すっごく不安なんだけど…。

「先に飲んでみてもらえる…かな?」

「わかりました。」

 …クレアちゃんがフラスコの半分を飲んじゃった…。

「ほら、花名さんも飲んでください。」

 …害はないってことだよね。…えいっ!

 クレアちゃんが私の手を握っ…

 な、なにこれ…すごくくらくら…する…。

『ごめんね。入れ替わりの薬を飲んでもらったの。』

 …すごく聞き覚えのある声。

 その声は…!

「私!?あれっ!?」

 身体が、クレアちゃんに…

『私の意識は、クレアの身体に紐付いているみたいだから。…私は、一之瀬花名。あなたが来る前にいた私。』

 …ここに、その記憶があるってことは、もしかして、私に記憶を戻したりすることができるってことなのかな。なら…

「私、あなたに私を返したい。」

『え…?』

「元々、私はここにいるべきじゃないと思う。だって、私よりも先にあなたが来たんだし、それに…あなたはクレアちゃんが好き、なんでしょ?」

『…でも私、ここにいればずっとクレアと一緒だし…。』

「触れ合えなくてもいいの?それに恋人ってことは、きっと将来、き…キス、とかもするだろうし…。私は、『私』にちゃんと生きてほしい、かな…。」

『…そっか。私、むしろ遠くの利益だけを見ちゃってたんだね。…ありがとう、花名。』

「ううん、どういたしまして、花名。…クレアちゃん。」

「はい。…それでは、これを飲んでください。」

 戻るのも薬なんだ…。

208 名前:ルナ・ソレイユ◆yodjdoerBO2[sage] 投稿日:2019/10/13 10:32:20 ID:aCGXbHewk.
   *   *   *
 私が、このエトワリアにいるのもあと少し。

「あれ、花名ちゃん!」

「あ…えっと…春香ちゃん。」

「…どうしたの?」

「…私、『私』を私に返すことになったんだ。」

「…えっと…うん?」

「だから、私の…この気持ちも消えちゃうんだなって。」

「…この気持ち…?」

「うん。私がたまちゃんを好きな気持ち。」

「そう、なんだ。」

「あはは、おかしいよね。同じ人なのに、好きな人が違うなんて。」

「…うーん。…いいんじゃないかな。」

「え?」

「だって、私だって優ちゃんに声をかけてもらえなかったら。私と優ちゃんは親友になってなかったんだもん。…何を経験したか、でその人の好きな人って変わると思うんだ。」

「…私と私は、私だけど、私じゃない、別の経験をした人間なんだね。」

「…ところで、ちょっと顔青いけど、…結構無理してる?」

「…じつはしてます…。」

 緊張でがちがちだったけど、春香ちゃんと話して、少し楽になった…かな。

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名前 age
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