こんにちは!カレルと申すものです
12作目ですね。今回は前回『ひづめ「私が一番欲しいもの分かりますか」』の内容を含んだ完全版です。前回と重複する内容があるのでご了承ください。
今回内容が長くなったので前中後編でお送りします
オリジナルキャラクターも登場するのでそちらが苦手な方は注意を!
一部過激な表現があるのでご注意ください
こちらは「きららファンタジア」と「アニマエール!」の二次創作になります
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
*オリジナルキャラクター
*過激な表現
等が含まれるので苦手な方は注意してください
「はぁ… あぁ…くそっ…つえ…ぇ… ははっ…しにかたは…ある…めりあとい…っし…か…よかった…なロザリア!! はぁ…ちなまぐさ…いつきだ…」
ロザリアはドラゴンを潰れた瞳で睨みながら恨み言を言っている。
「ロザリア! 死なないで!!」
あたしは持ってきた杖で回復魔法を唱えようと近づき、彼女に触れた。
何かが壊れる音がしたが気にする余裕もなく回復魔法を唱える
「はぁ…はぁ… か…な に…げ…」
『口調がもとのロザリアに戻った…』
「はぁ!? あたしはロザリアを置いて逃げるなんて絶対にいやよ!」
「……がい…わたしの…あねのよ…うにめの…まえで…しんでほし…く……から…」
【メスメライズ】 【ブレス】 【テレポーテーション】
「ごめん……ね」
…………
ひづめ「花和さん!?」ガタッ
宇希「!? どうした急に!」
ひづめ「…どうやら恐れていた事態が起きてしまったようです」
こはね「どうしたの!? 何かあったの?」
ひづめ「はい… 花和さんのところに今すぐにでも駆けつけないと!!」
宇希「ひづめ! 落ち着いて、花和がどこにいるのかアテはあるのか?」
ひづめ「…当てはないですが、でも!!」
虎徹「ひづめちゃん! 私、きららちゃんを呼んでくるよ、きららちゃんならパスを辿って花和ちゃんの場所がわかるんじゃないかな?」
宇希「そうだな! 私たちもカルラさんに相談しに行くよ!」
ひづめ「みなさん…ありがとうございます 私も里へ情報収集に行きます!」
兎和「ひづめ先輩、私もお供します 似顔絵を描いた方が分かりやすいと思うので」
ひづめ「ええ、ありがたいです では行きましょうか!」
〜〜
[食堂]
ライネ「いらっしゃい」
ひづめ「ライネさん!!」
ライネ「あらあら、どうしたの?二人ともそんなに慌てて」
ひづめ「ライネさん!いきなりですみませんが、花和さんを今日見かけませんでしたか?」
ライネ「見ては…ないけど…どうしたの?」
ひづめ「じつは、花和さんがなにかピンチな状況に陥っているらしいのです」
ライネ「そうなの! なら協力は惜しまないわ 何でも言って」
兎和「ライネさん、この花和先輩の似顔絵をもとにここのお客さんに聞いてくれますか…」ペラッ
ライネ「まぁ、そっくりね これなら花和ちゃんを知らない人もわかるかもしれないわね」
ひづめ「ありがとうございます!」
ライネ「みんな〜聞いて〜!」
客「ん? なんだ?」
客2「ライネさん この紙は?」
客3「何か重要なことか?」
ライネ「みんな〜 この絵の子に見覚えはあるかしら、知っていたら教えてほしいの 教えてくらたらドリンクをサービスするわよ」
ザワザワ あの子ってよく里でチアしてる子だよね ザワザワ
ザワザワ そうだね、よくかけてる でも今日はみていないぞ ザワザワ
ザワザワ なんでさがしてるんだろ? 行方不明かな? ザワザワ
ライネ「なにか情報があったら教えてほしいの」
客「ライネさん! 今日の朝方にこんな見た目の子をみたよ」
ライネ「ほんとう!?」
ひづめ「すみません!! ほかに何か情報はありますか!」グイ
客「え!?ええと… 薄着の子と一緒にいたかな、獣耳の子で里ではあまり見ない子だったから覚えてるよ」
ひづめ「獣耳の子 情報提供ありがとうございます!」
ライネ「獣耳の子ね それなら私も一人心当たりがあるわ」
兎和「ライネさん そのひとはどんな人ですか?」
ライネ「その子の名前はロザリアよ ロザリアちゃんは私の弟子なの」
ひづめ「ロザリアさんですか、その方が手掛かりですね ライネさん、ほかにロザリアさんについてわかることはありますか?」
ライネ「う〜ん あの子とは最近会っていなくて、心配していたのだけど…」
ひづめ「そうなのですか… でも花和さんと一緒にいると仮定すると、目撃情報がまだあると思うのですが…」
客1「あの〜 実はコルクのお店から花和さんとロザリア?さんがでてくるところを見た気がするってツレがいってるんですけど」
ひづめ「本当ですか!!」ガバッ
客2「は、はい!」
ひづめ「詳しく教えていただけますか」
客2「えっと、3日前に似顔絵の花和って子と、獣耳の子がコルクの店から揃って出てきてるのを見てね すれ違ったことを思い出したんだよ」
ひづめ「なんと! すれ違ったときに何か二人は言っていませんでしたか?」
客2「う〜ん そういえば里の北にある大峡谷に行くっていうのは聞こえたかな」
ひづめ「峡谷ですか…」
ライネ「峡谷…まずいわね」
ひづめ「? ライネさん、峡谷に何かあるのですか」
ライネ「いえ、峡谷にはあまり問題はないと思うわ。ただ峡谷に行くまでの道がかなり危険なのよ、そこに行くまでの道に“魔物の巣“と呼ばれる比較的強いモンスターの生息地があってね、行きにくいのよ」
ひづめ「花和さんはそこでモンスターに襲われて立ち往生してるんじゃ…」
ライネ「ただ、花和ちゃんも強いしロザリアちゃんもかなり鍛えているから巣は抜けられと思うのよね 問題があるとしたなら…」
ひづめ「ライネさん! いてもたってもいられません、すぐさま行かないと!!」
ライネ「ちょっとまって! 先にコルクちゃんのお店に行って情報と地図を借りないと、無策で行くのは自殺行為よ」
ひづめ「…わかりました コルクさんのお店にいってきます」
ライネ「地図を借りたらここに戻ってきて、あとこれをコルクちゃんに渡してね もうすぐ閉店の時間だから、あなたが帰ってきたら私も一緒にいくわ」
ひづめ「はい!たしかに受け取りました では兎和さん、行きますよ」
兎和「わかりました…」
―――――
[コルクの店]
コルク「いらっしゃい」
ひづめ「コルクさん、花和さんたちが三日前にこちらにいらしたとの話を聞きました、それは本当ですか?」
コルク「うん、三日前にここに来た」
ひづめ「コルクさん、お二方がなぜ峡谷に向かったのか教えていただけませんか?」
コルク「…すまない、それはできない」
ひづめ「!? なぜですか!」
コルク「…私は商人、信用を第一にしている 顧客の情報を漏らすのは信用を損なう行為」
ひづめ「…そうですか、では峡谷までの地図とライネさんから預かったものを渡しておきます」
コルク「すまない…力になれなくて…」
ひづめ「ええ、大丈夫です 急に押しかけて申し訳ありません…」
コルク「ちょっとまって!!」
ひづめ「なにか?」
コルク「奥に来て、話したいことがある ひづめだけ来て」
ひづめ「はい、兎和さん少し待っていてくださいますか?」
兎和「わかりました」
〜〜
ひづめ「お待たせしました」
コルク「ひづめ、単刀直入言う 花和たちは“角柱”を峡谷に採りに行った」
ひづめ「え!? どうして教えてくださるのですか?」
コルク「それに関してはノーコメントでお願い」
ひづめ「はぁ…わかりました」
ひづめ「では、その“角柱”というものはどのようなものなのですか?」
コルク「使う対象が一番欲しい“もの”を映し出してくれる代物」
ひづめ「ふむ、それを花和さんたちは求めたのですね… お話していただきありがとうございます」
コルク「あと、ロザリアから貰った峡谷周辺の魔物の情報もあるから持って行って」ペラッ
ひづめ「ありがとうございます!」
コルク「うん、警戒する魔物はかなりいるから頭に入れておいて」
ひづめ「何から何までありがとうございます」
コルク「うん ひづめ、このことは他言無用でお願いする」
ひづめ「はい、絶対に漏らしません ありがとうございます!!」
コルク「幸運を祈っている」
ひづめ「はい!」
〜〜
ひづめ「兎和さん、お待たせしました」
兎和「ひづめ先輩、なんの話だったんですか?」
ひづめ「すみません、他言無用なので話せないです」
兎和「…わかりました」
ひづめ「では行きましょうか ライネさんと合流したら、皆さんと合流しましょう」
兎和「はい」
―――――
ひづめ「…おおかた情報は出そろいましたね 花和さんのパスも北の方に続いているということなので確定と考えていいでしょう あとはこはねさんたちが帰ってきてくれれば出発しましょう」
きらら「たしか北には強い魔物が群れている地域があるんですよね?」
ライネ「そうね、私も全員を守れるわけじゃないから、きららちゃんが参加してくれるのは心強いわ」
虎徹「強い魔物… 私たち足手まといにならないかな」
ひづめ「そうですね… 里から峡谷まではかなりの距離がありますし、体力に自信がなければここで待っているほうがいいのかもしれませんね…」
ライネ「そうね、さっきも言ったけれど私が全員を守れるわけじゃないから安全は保障できないわね…」
…
兎和「…虎徹先輩」コソッ
虎徹「ん? なに兎和ちゃん」
兎和「こはね先輩を含めて、私たちは確実に足手まといになると思います なのでここで待っているのがいいと思います」コソッ
虎徹「たしかに、チア部メンバーで戦いについていけそうなのはひづめちゃんと宇希ちゃんぐらいしかいないもんね」コソッ
…
虎徹「ひづめちゃん!私たちは足手まといになるだろうしお留守番してるよ」
兎和「はい」コクコク
ひづめ「わかりました… ではこはねさんたちが戻ってくるまでは待機ですね」
〜〜
こはね「お待たせ!!」
宇希「いま帰った!」
ひづめ「お疲れ様です カルラさんとは連絡が取れましたか?」
宇希「いや、神殿に行ったけどアルシーヴさん曰く、三日前から辺境の調査に行って不在だって」
ひづめ「そうですか…」
…
虎徹「宇希ちゃん…」コソッ
宇希「ん?」
…
こはね「それとは別に朗報だよ アルシーヴさんがこの作戦に協力してくれることになったよ!」
ひづめ「!? それはかなり朗報ですね」
こはね「アルシーヴさんが転送魔法で送ってくれるって言ってたよ」
きらら「これで一直線に峡谷へ向かえそうですね」
ひづめ「はい、アルシーヴさんと合流するために行きましょうか こはねさん案内していただけますか」
こはね「うん アルシーヴさんは里のゲートで待っているって言っていたよ」
…
宇希「こはね! こはねはここで待っていてほしいんだ」
こはね「え〜!」
宇希「お願いこはね、花和がピンチということは確実に危険な場所にでる それにひづめが無理をしないとも限らないから こはねを守れなくなる」
こはね「ちょっと〜 私を見くびりすぎだよ 私だって…」ガッ
虎徹「はい、こはねちゃん、こっちにいこ」ズルズル
こはね「ちょっと! こてっちゃん〜 あ〜!宇希―!」
…
ひづめ「宇希さん、来てくれるのはありがたいですが自分の身は自分で守れるので、あなたの手は煩わせませんよ」
宇希「そうだな… ‘こはねと同じくらい危なっかしいところもあるけどな’」ボソッ
ひづめ「? なにか?」
宇希「いいや、何でもない さぁアルシーヴさんのところに行こうか」
ライネ「みんな! 花和ちゃんとロザリアちゃんを助けることが目的だけれど、無茶をして怪我だけは絶対にしないでね」
きらら「はい、必ず全員笑顔で帰りましょう!」
〜〜
アルシーヴ「きたか」
ひづめ「はい こはねさんから話は聞きました」
アルシーヴ「なら改めて説明する必要はないな 座標はわかっているな」
ひづめ「はい、地図上でここに転送してください」
アルシーヴ「わかった 『転送魔法』」
…
アルシーヴ「…はじかれた!?」
ひづめ「!? 何が起こったのです こんなこと初めてです」
宇希「…これは本格的にヤバいんじゃないかな」
きらら「確信は持てないですけど、峡谷になにか特別な力が働いてるかもしれません… アルシーヴさん、ライネさん原因がわかりますか?」
ライネ「う〜ん ここからだと距離が遠すぎて感じ取れないわね 」
アルシーヴ「なにか強大な力に阻まれている、といった感覚だ 直接は行けないようだ… ぐっ!かなり精神が削られた」
ライネ「なかなか強い妨害が働いているみたいね 転送もあと一回が限界かしら…」
アルシーヴ「いいや! 問題ない、峡谷の外は力が及んでいないようだからそこに送ることができれば問題ない」
ひづめ「アルシーヴさん! 休んでください、危険な状態なのでしょう」
宇希「アルシーヴさん、肩を貸します 立っているのもつらいはずですし…」
アルシーヴ「大丈夫だ! クリエメイトの危機はエトワリアの危機 私が休んでいる暇はない 今の状態では私自身を転送することは不可能だが、送ることはできる」
ライネ「アルシーヴちゃん、私も力を貸すわ」
アルシーヴ「だがライネ、一緒に送れなくなるぞ」
ライネ「いいわ、みんなを送った後に追いつくわ」
アルシーヴ「はっ…伝説の勇者が言うと現実可能に聞こえるな… わかった!あなたの力を借りよう」
きらら「どうやら、私たち三人で行くことになるようですね…」
宇希「ライネさんが一緒に来れないのは残念だけどしょうがない、ひづめ!」
ひづめ「はい!私たち三人で必ずできると思っています アルシーヴさん!ライネさん! “魔物の巣”の前に転送をお願いします!」
アルシーヴ&ライネ「わかった(わ)『転送魔法』」シュン
〜〜
アルシーヴ「はぁはぁ… とりあえず成功だな…」
ライネ「さぁ、あなたを宿に送ったら私もいきましょうか」
アルシーヴ「ああ、情けないことに動けそうもないようだ…」
ライネ「よいしょっと」
アルシーヴ「すまない、手間をかける…」
ライネ「いいわよ …ただ懸念点はあるわね」
アルシーヴ「ん? なんだ?」
ライネ「私の弟子のことだけれど…」
アルシーヴ「ライネの弟子か…」
ライネ「そう… で、その子は自分を大切にしないきらいがあるからそこが心配で」
アルシーヴ「…なんとも、昔の私のようだな」
ライネ「あの子はあまり過去のことをはなそうとしないから、たぶんなにかあったのね」
アルシーヴ「そうか…」
ライネ「強さだけでは何も救うことはできないのはつらいわね」
アルシーヴ「…勇者ともあろうものが弱音とはな」
ライネ「…そうね」
アルシーヴ「ただライネ、強くなければ誰も守れない そうだろ」
ライネ「そうね… あの子たちは絶対に笑顔で帰ってくると信じてるわ」
アルシーヴ「そうだな、それまでは私たちは用無しだな」
ライネ「そうね…」
…………
[中編 完]
大峡谷突入〜Sideひづめまでが中編です
中編はロザリアというキャラクターの本質的な要素を出してみました。完全なキャラクター設定は後編に載せる予定です。
さて、ロザリアと花和はどうなってしまうのでしょうか?
そして大峡谷に向かった三人は花和に無事に再会できるのか?
次の更新も1週間後を予定しているのでよろしくお願いします
余談ですが、今月号のきららMAX(2月号)の読者プレゼントに当選しました。これで通算7回目です
前中編共に拝読しました!!
後日談でチア部入りしてただけあって、オリキャラの設定に深みがあっていいですね。武人系のキャラかと思いきや、懐いた花和には地を出しまくる結構癒し系のキャラなの。けもっ娘なんですね...
同時に初対面のロザリアに心を開いて、ひづめやチア部のことを嬉しげに語る花和もすこです。
前半の、キョウコクウサギとかの時点で予感はしましたが、結構シリアスですね...まさかこんなに血が出てくるとは..続きが怖くも気になります。.私もss、きらファン編でオリキャラ+戦闘入れるので参考にさせていただきます。
中編投稿お疲れ様です! 拝読しました! やはりけもみみは正義...。
ほのぼの! バトル! 料理! シリアス! よくばりセット過ぎておなかいっぱいですもっと食わせろください (白目)
ロザリアさん (?) が名乗った "カルミア" という名前... 更に、断片的ながら語られた幾つかのキーワード... 彼女の背負ってきたものもかなり重そうですね。
そしてそのロザリアさんは...。行き着く未来の方向性は既に明かされているとはいえ、どうか無事であってほしいと願わずにはいられません。
チア部の面々の思いを背負い花和救助に向かった、ライネ ・ アルシーヴ ・ きららのドリームチームが見たものとは...。ますます、後編の投稿が待ち遠しいです!!
>>101
求道者さん、コメントありがとうございます
ロザリアは後日談だとネタバレを極力避けるために描写をほとんど入れることができなかったので、変な喋り方だけが出ていましたからそう思われるのも致し方なし
後半は今時点で最後の調整に入っています、今になっても足したい描写、削る描写がそこここにあってとても楽しいです
私の作品を参考にしてくださるのはとても光栄ですね、参考の戦闘シーンは言わずもがなだと思いますが…
>>102
ペンギノンさんいつもありがとうございます
そしてここに宣言します、「私は尻尾派です!!」と
「【SS】ひづめ「私が一番欲しいもの分かりますか?」」の投稿時点では中編は8000字程度だったのですが、楽しくていろいろ書いたのでよくばりセットになってしまったのだと思います。
今になって思うと、後日談の話を先に投稿したのは良い判断だったですね、ある程度安心してこのSSを読んでいただけていると思うので。
〜中編のあらすじ〜
峡谷に突入した花和たちが見たものは雄大な自然だった。ウサギを捕らえたり、カレーを作った花和たちだが、ドラゴンの急な乱入により戦闘になってしまう。その結果ロザリアは瀕死になり花和はロザリアに逃がしてもらう。
花和はどうなってしまうのか、そしてロザリアの運命とは?
後編へ続きます〜
[後編]
硬質な印象を受けるほど真っ白いベッドの上で目を覚ました、天井は異常に高く岩肌が露出した野性味を感じるものだった。
めざめた場所は他より一段高い場所にあるのか部屋の様子がよくわかる。見渡してみるとただただ、だだっ広い広間のような場所で、どこにも照明の類がないにもかかわらず部屋全体がよく観察できるほど明るい。
あたしはここに至るまでの経緯を思い出そうとした…が思い出せない。
今日は何日かわからないがひづめの誕生日プレゼントを渡すために“誰か”と“何処か”へ行ったことはぼんやりと思い出せる。
しかし、今に至るまでの過程を思い出そうとすると靄がかかったように消えていってしまう。
とりあえずこの場所からは出ていこう、そうすればこの深い霧を晴らすヒントがあるかもしれない。そう思いながらベッドから体を起こし動き出そうとした…
《あれ? 気分はもういいの?》
どこからともなく声が聞こえてきた
この声はどこからか発せられたものではなく、頭に直接響いてくるような不思議な気分になるような声だった。
「誰!?」
あたしは謎の声に問いかけた
《わたし? わたしは「〣」だよ》
すぐにあの謎の声が響いてきたが、一部分がノイズがかかったように聞き取れなかった。
まるで翻訳された言語が不具合で文字化けして雑音が混じったような不快感
《あっ、ごめん わたしの名前は今、エトワリアでは使われていない言語だったね 改めて、わたしの名前は‘エミーリア’だよ》
「エミーリア」謎の声は答えてくれたが根本的な疑問は解決されていない、そもそも謎の声はどこから発せられているのか?またはその声を発しているものの正体それが知りたい。
聞けばエミーリアと名乗る謎の存在は教えてくれるのか?いろいろな疑問が頭の中で浮かんで溜まっていく。
肘で体を支える体勢で謎の声を聴いていたが、この体勢を維持しながらわけのわからないことについて考えるのはつらいのでベッドにまた身を委ねることにした。
《また寝るんだね》
謎の声がまた聞こえてきた
正直考えてもいい案が浮かぶとは限らないので、いったん思考を放棄し純白のベッドへダイブした。
「はぁ… やわらかい」
飛び込んだ白はまるで雲のようにあたしを再度迎えてくれた。
柔らかさと適度な反発があり少し体が浮かんで沈み込んだ。
非常に安心感があり、深い眠りへとあたしを誘っている。
その誘惑に誘われるまま眠ろうとするときどこからか声がした。
「お……………きて」
どこかで聞いたことのある声がしたような気がしたが、眠気の方が強いので声を無視して瞼を閉じた
「ちょっと!! おねえちゃん!起きてください!!」
…どこかで聞いたことがあったような声
「………………………………。」
「!? ロザリア!!」
急に思い出し、ベッドから飛び起きて声の方向を見た。今まで忘れていたことも信じられないほどだ
「ロザリア…」
さっきまでドラゴンにボロボロにされていたはずのロザリアが目の前に立っている、足はちゃんとあるし紫の瞳も輝いている。
「ロザリア? ぼくはカルミアですよ ロザリアは今寝ているけど…? …まぁいいか、ロザリアのことは後で説明するので、エミーリアさんにお礼を言った方がいいですよ ぼくたちの治療をしてくれたんですよ あと、ごはんができてるから食べに来てください」
ロザリア?はそれだけ言うと部屋を出て行ってしまった。
今の状況はまだ呑み込めていないが、いまはロザリアが生きていたことと「謎の声」ことエミーリアが私たちを助けてくれたということだけはわかった。
さっきのはなしで眠気が一切吹き飛んだのでベッドから身を起こし部屋の出口に向かうため縁に腰かけた。
《カルミアちゃんのところへ行くの?もっとここいてもよかったけど…》
またどこからともなくこえが聞こえてきた…カルミアの話だとあたしたちを助けてくれたひと?らしいが現状声だけの存在なので、カルミア?はその声が作り出した幻覚ということも考えられる。
「あなたはここにいるの? ひとなの?それとも声だけの存在なの?」
謎の声に問いかけた
《わたしの正体? 知りたいならそこから降りて10歩進んだあとに振り返ってごらん きっと君が欲しい答えがあるはずだよ》
またもすぐに答えは返ってきた
相変わらず妙に頭に響く声に辟易するが、従うことにする。ベッドから完全に体を離し、1歩1歩確実に前に進んでいく。
『3…4…5……6………7…………8………………9…………………』
あと一歩で謎の声が指定した10歩目になる、あたしはついに正体を掴めるワクワク感とそれ以上にどんな正体なのだろうと怯える気持ちが混ぜこぜになり足が震えてきた。
足の震えが全身に伝わり、10歩目を踏み出す空中で止まってしまった。
いわれもない不安が体の隅々までいきわたり、その場で動けない。
あたしはここで宇希が「幽霊が怖い」と言っていることに初めて納得した。
普段は彼女のビビりをなんの気にも留めていなかったのに、自分が奇妙な立場に置かれると超常的な現象に言いようもない恐怖がついてくることが理解できた。
あと一歩で疑問が解消されるのにその一歩が踏み出せない。こんな時に誰かがいてくれたらと心から思っている。
声を上げてロザリアを呼ぼうにもあのロザリアが来てくれる保証がどこにもない。
さっきあたしの前に現れたロザリアはもうすでに殺され、偽物として彼女の皮を被って謎の声が“カルミア”とふるまっているのかもしれない。
そんな突拍子もない予想も出てくるほど頭が混乱してきた。
ロザリアをさっきの見た時はうれしさで肯定的にとらえてしまったが、よくよく考えたらあの状態で生きている方が不思議だ。夢を見ているのだろうか、それともあたしもあのドラゴンに殺されて死後の世界を見ているのだろうか。
悪い想像が駆け巡り思考を支配し、うすら寒い感覚があたしをゆっくりと覆っていく
その冷気が頭から顔、肩、指先とだんだんと降りて全身にまで伝わっていく。
「おねえちゃん、遅いですよ」
「!?」
あたしの凍えた思考にアイスピックを刺すようなこえが聞こえ、その瞬間、足が地面につき謎の声が指定した10歩目となった。
「どうしたんですか? 汗びっしょりですけど何かありましたか?」
ふと気づくとロザリアは目の前で不思議そうな顔でこちらを見ていた。彼女のきれいな紫の瞳があたしを映している。
その声は悪意などなく、ただ純粋にあたしを心配してくれている。そう思うと今までの思考の逡巡が急に馬鹿らしく感じてきた。
「はぁ… よしっ!」
深呼吸をし、“謎の声”の正体を確認するため振り返った
視線の先には信じられないものが横たわっていた。
純白の体躯、そこから大きな翼が突き出し、その頂には渦ようにねじれた角のようなもの生えているのが確認できる。
目の前にいる存在は間違いなくロザリアを瀕死にしたドラゴンだった。
そして、あたしを捉えている一対の瞳は優しく慈悲に溢れているような…
《さっきぶりだね、花和 君を助けるのも大変だったんだよ って聞いていないか…》
『なんで?』
その言葉以外が思いつかない、別の言葉を思い浮かべようとしてもすべて『なんで!?』で上書きされる
ロザリアを瀕死の状態にしたのにここにいる!そしてロザリアが逃がしてくれたのにここにいる!!なんでここに!!全く理解ができない。
あのドラゴンは何者なのかもわからない!
「ロザリア!! あなたは生きているの それとも死んでいるの」
「えっと、ぼくは…」
「ああ!もういいわ なんかよくわかんなくて」
《花和、落ち着いて 鎮静魔法『息吹』 》
《どうだい、話を聞く気になった? ちなみにロザリアは死んでいないよ》
「はぁ…」
なぜか急に気持ちが落ち着いてきた
まだこのドラゴンには不信感は大きいが話を聞くことはしていいように思えてきた
「ええ…まぁいいわよ」
《そうか、よかった》
落ち着いたと同時に、この頭に響く声に対する不満が大きくなった。何度も聞いていると気分が悪くなる
「ねぇ、その話し方やめてくれない 頭に響いて気持ち悪くなるの」
《……わかった》
声は渋々そう答えると目の前のドラゴンが光りだし、光に包まれ小さくなった。
ドラゴンを包んでいた光はだんだんと人の姿を形作り、輪郭が露わになっていった。
その光が取り除かれると、中から私と同じくらいの年齢の少女が出てきた
「はい、お望み通り話せるようになったよ」
その少女は透き通るような肌と髪が目立ち、この世のものではないような印象をうけた。ドラゴンの姿の美しくも禍々しい姿とは別の強力な存在感を出している。
非常に優雅で繊細な雰囲気を纏っており、彼女が“女神”だと言われれば疑いもなく納得してしまうほどだ…
「これが真の姿…」
意識せずにこの言葉が出てきた
「いいや わたしは“神龍”だからね ドラゴンの状態が本来の姿だよ それにこの状態だと魔法が使えなくなるし不便だからあまり変身したくないんだけどね」
「…」
あまりのことに何も言うことができない、急に気持ちが落ち着いた今でも目の前の状態をうまく形容する言葉は無いように思えた。
「ねぇ、もしかしてあんなに大きい姿からこんな小さい姿になって驚いた? わたし的には君みたいにもうちょっと胸があったら文句はなかったんだけどね っていうか胸がでかい娘が多くて参っちゃうよ」
少女は神秘的なみためとは裏腹にフランクな口調で怖さというより驚きを覚えたが、気持ちが急に落ち着いたことも気になるし、このひと?がロザリアにしたことは忘れたわけではない。
あたしはこの得体の知れない存在について信用することができないので黙っていることにした
「あの〜 ごはんが冷めえちゃうので食べながら話しませんか?」
この沈黙に耐えかねたのか遠慮がちにカルミアが言った。
「そうだな じゃあ食堂へいこう!」
そう言うとエミーリアは一目散に食堂があるらしい扉をめがけて突撃していった。
「おねえちゃん、行きましょうか」
あたしも異論はないのでカルミアの後を歩いて食堂に向かった
…………………
エミーリア「久しぶりにこの姿になったしこの状態を全力で楽しもうかな」
花和「えっと…」
エミーリア「エミーリアだよ」
花和「エミーリア、なんで私たちを襲ったの? それにロザリアもカルミアと名乗っているし何が何だか」
エミーリア「ああ、それね、わたしが君たちを襲ったというのは誤解だよ 勇者の匂いを感じて挨拶しに行ったら、急に君のとこのロザリアって子が襲い掛かったから対処しただけ う〜ん うまい」モグモグ
カルミア「はい、それは間違いないですね」
花和「っていうかそもそもカルミア、あなたは何者なの あの時と明らかに口調が違うし、それにロザリアはどうなったの?」
カルミア「それは…おねえちゃ」
花和「ちょっと! あたしをおねえちゃんと呼ばないで あたしはまだあなたたちを疑っているの そう気安く呼ばないで」
カルミア「わっ… ごめんなさい…」シュン
エミーリア「おっと! か〜な!言い方がきついんじゃないか? カルミアちゃん落ち込んじゃったよ」
花和「…」
花和「…はぁ カルミア、きつい言い方して悪かったわ 花和って呼んで あと良ければロザリアのことを教えてくれないかしら?」
カルミア「…うん 花和さん…わかりました…」
花和「ええ、おねがい」
カルミア「ぼくはロザリアのドラゴンへの憎しみの心から生まれた存在みたいなものらしい…」
花和「らしい、っていうのは」
カルミア「エミーリアさんがいうには“激しい憎しみから心を守る存在”らしいんだけどぼくは別にドラゴンへの憎しみなんてないしロザリアを守りたいだけなんだ」
エミーリア「そうだな、この子からは“ペロペロ”しても何か邪悪なものは一切感じなかったからここにいるんだよ まぁ、かかっていた魔法は邪悪そのものだったけど…」
花和「ええ… えっ!? ペロペロ!?」///
エミーリア「?? そんな驚くかね? わたしの最上位治療行為だよ? それに詠唱を必要としないから使い勝手がいいし」
エミーリア「で話を戻すけど、古代魔法で“双子”<ジェミニ>っていう魔法があって、それで」
花和「!?」ガタッ
カルミア「花和さん、どうしたんですか?」
花和「…そういえばカルミアが助けてくれたって言ってたけど… アレ、あたしにもやったの!」
エミーリア「ん? ああやったよ! ほんとロザリアの術を取り除くのに苦労したよ なんども丁寧にペロペロしてやっと落ちたんだから」
花和「っ!!」///
花和「その“ペロペロ”って表現やめてください!!」
エミーリア「!? なにを言うんだ!これはれっきとしたわたしの魔法だぞ! 神聖な魔法だぞ!」
花和「そんな、ペロペロされただなんて 恥ずかしくて…」
エミーリア「…たしかに君たちの価値観だと変に捉えられてしまうかもしれないけど、癒し手のプライドもあるからね」
花和「…」ジトーッ
エミーリア「…そんなに言うなら、君が名前を考えてくれよ わたしが気に入ったら採用するから」
花和「…考えておきます」
カルミア「ちょっと、なんの話をしているんですか!?」
エミーリア「ああ、そうだったね なんの話だったっけ?」
カルミア「ぼくが危険な存在じゃないってことを話していました」
エミーリア「ああ、そうだったね カルミアの豹変はロザリアの感情に引っ張られて表面化したって感じかな だから今はこんなにかわいいカルミアちゃんだよ!」ナデナデ
カルミア「えへへ エミーリアさん♪」ブンブン
花和「はぁ… なんでロザリアはドラゴンをそんなに憎んでいるのかしら?」
カルミア「う〜ん ぼくが知っているのはこれだけですね ロザリアの過去自体、ぼくは知らないですし ロザリアが起きたら直接本人に聞いてくださいね」
花和「ええ、ありがとう」
エミーリア「誤解は解けたかな?」
カルミア「花和さん、“ぼくたち”のせいでこんなことになってしまって申し訳ありません」
花和「えっ!? いいわよ、気にしなくてもいいわ…」
カルミア「でも…」
花和 「…あの!カルミア あたしもいままでの態度を謝らせてほしいの」
カルミア「ええ!? いいですって別に気にしていないですし なんとなくですがぼくが花和さんを「おねえちゃん」と呼んだのはロザリアがあなたに感じている感情に影響されてだと思うので…」
花和「いいえ、カルミアに謝りたいの… ごめんなさい」
カルミア「…花和さん」
エミーリア「はい! カルミアちゃん、手を出して仲直りの握手だよ」グイグイ
カルミア「はい!! 花和さん!」サシダシ
花和「カルミア…」ギュッ
エミーリア「よーし 一件落着だしカルミアちゃん、ちょっと取りに行ってほしいものがあるからお願いできるかな?」
カルミア「はい、わかりました!」
エミーリア「え〜っと… ここにあるからお願いね」
カルミア「はい! わかりました〜」ピューン
エミーリア「カルミアちゃんは行ったね… 花和、君に渡したいものがあるんだ はい」
花和「!! これは!?ひづめからもらった髪飾り 壊れてる…」
エミーリア「いや〜 すごかったよ、あんな力が出るなんてね、流石クリエメイトだよ
…まぁ、実を言うとね、わたしはロザリアを殺すつもりだったんだ」
花和「!? 殺すって、何も問題はないんでしょ!」
エミーリア「カルミアちゃんは問題ないね 問題はロザリアだ、彼女が唱えた魔法は性質が禁術に非常に近く、理をゆがめる力を持っている どこであんな魔法を覚えたのかはわからないけど」
花和「…なんでそんなことをあたしに教えるんですか」
エミーリア「それはね… 君がロザリアを助けたからだよ あの場で君がロザリアを見捨て逃げたらその場で彼女を殺したからね まぁ、見捨てなくてもどのみち失血で死んでいた」
花和「死んでいたって…あなたが助けたんじゃ…」
エミーリア「どちらかが死ぬまで「呪い」を発動し続ける そういう魔法だ それを“君たち”が解除したから今があるんだ」
花和「…ちょっと意味が分からないんですけど」
エミーリア「ふふっ、いずれわかると思うよ」
エミーリア「あっ、そうだ もう一度あの魔法を発動したら今度は“奇跡”を受け付けないかもね」
花和「…」
…
カルミア「おまたせしました… ってなんか空気が…」
花和「何でもないわよ!!」
カルミア「そう? はい!エミーリアさん、これでいいですか?」
エミーリア「おお!ありがとう」パカッ
エミーリア「はい どうぞカルミアちゃん、花和」
花和&カルミア「? これはなんですか?」
エミーリア「ん? 角柱だよ」
花和&カルミア「えっ!えええ!!」
エミーリア「うん? これが欲しくてきたんじゃないの?」
花和「って!なんで持っているんですか?」
エミーリア「ああ、それはね“角柱”はわたしの鱗がはがれ落ちたものだからね なぜか強力な魔力を帯びてしまって処分に困っていたんだよ」
カルミア「そうなんですか! でもこれでロザリアも大喜びですね」
エミーリア「そうだ! 花和、ロザリアに伝えたいことがあるから伝えてくれないかな?」
花和「なんですか?」
エミーリア「君がたぶん探している“貴族の剣”は存在しているって伝えておいて」
花和「なんですか? 貴族の剣って」
エミーリア「えっと、不滅のドラゴンを完全に殺せる武器だよ “ブルーブラットソード”と言った方がいいのかな?」
花和「!? そんなものがあるんですか というか不滅って?」
カルミア「花和さん、強大な力を持ったドラゴンは倒されても、時間が経てばまた復活するらしいんです」
花和「へぇ〜 そんなものが…」
エミーリア「そうだね、わたしたち“神龍”は基本的に死なないから その不滅性を消し去る力を持っている武器だよ ちなみに人間の状態だとわたしは魔法が使えないから普通に死ぬけどね」
カルミア「でも、なぜそんな重要な情報を?」
エミーリア「ん? いいって、それにわたしが作った武器だし」
花和「!?」
エミーリア「まぁ、友人の「・・・」 …まぁ、友人だ!そいつにあげた後の行方はわからないけどね」
花和「は、はぁ…」
エミーリア「それで二つ目の話をロザリアに伝えるかは君の判断にゆだねるよ」
花和「なんですか?」
エミーリア「ええと カルミアちゃん耳をふさいでくれるかな?」
カルミア「は、はいっ!」ペコッ
花和『かわいい』
エミーリア「準備はできたかい?」
花和「ええ、お願いします」
エミーリア「じゃあ、いうよ “君は確実に死ぬ”」
花和「…!?」
エミーリア「おっと!誤解しないでよ 現段階では確実に死ぬ、といっただけだから」
花和「…つまり、変化がないと死んでしまうということですか」
エミーリア「のみ込みが早いね まぁ、わたしは預言者じゃないからハッキリしたことは言えないけど ロザリアのドラゴンへの憎しみを緩和する必要があるね」
花和「ドラゴンへの憎しみ… 確かに常軌を逸するほどの怒りは感じたけれど、その理由は…」
エミーリア「まぁ、今すぐってわけでもないし 話すことでもやわらげられるしね」
花和「わかりました…」
エミーリア「さっきも言ったけど、伝えるかは君の判断に任せる それがおもりになるようなら伝えなくてもいいよ」
花和「…この話を伝えるかは考えさせてください」
エミーリア「うん、一人で抱え込む必要もないからさ、悩んだらわたしも相談にのるよ はい!これ」
花和「これは… 結晶?」
エミーリア「遠距離通信機だよ 昔、私の鱗を加工して作ってもらったんだ 名付けて「☆もしもし・君に届け☆」だよ」
花和『ダサい… いまは気分が沈んでるのに無性に腹が立ってきた』
花和「エミーリアさん… 「スマホ」って名前でいいですか?」
エミーリア「ん? 何が?」
花和「その結晶の名前よ!」バン!
エミーリア「え〜! 「☆もしもし・君に届け☆」かわいくてかっこいい名前じゃん?」
花和「スマホでいいですね!!」グッ
エミーリア「…グヌヌ はぁ…わかったよ「スマホ」でいいよ」
花和「うんうん、その名前の方がはるかにかっこいいわ」
エミーリア「でも花和、だいぶお話しできるようになったね 魔法の効果が切れても安定してるみたいだし」
花和「やっぱり、急に落ち着いたのは魔法なんですね」
エミーリア「君が混乱しすぎて話をする状態じゃなかったからね」
花和「別にいいですよ あなたは別に悪いひと…ひと?」ウーン
エミーリア「あ〜っと、ひとでいいよ」
花和「…あなたは悪いひとじゃないみたいですし」
エミーリア「それはよかった わたしも君に会えてよかったよ クリエメイトなんてそうなかなか会える存在じゃないからね 」
花和「そうなんですか? ランプや神殿関係者以外のリアクションがそんなでもないので大したことないのかと」
エミーリア「そのランプっていう子は?」
花和「あの子は女神候補生って言っていましたね」
エミーリア「そうかぁ〜 女神候補生かぁ」シミジミ
花和「ランプになにかあるんですか?」
エミーリア「ん? いや、なんか昔を思い出してね」
カルミア「すみません! 何を楽しくお話してるんですか? すっごく気になるので耳を塞ぐのやめてもいいですか?」ブンブン
花和「あっ!カルミア!?」
エミーリア「おっと、完全に忘れていた」
花和『思いっきり口に出しているんですけど!』
エミーリア「すまない、もういいよ」ナデナデ
カルミア「もう、ぼくを置いて楽しそうにお話しするのはずるいです」ヒコーキミミ
花和『なんだかんだでロザリアとそっくりなのね』
カルミア「ん? なんですか花和さん ぼくの顔に何かついてますか?」
花和「いいえ、何でもないわ」
カルミア「そうですか」パタパタ
エミーリア「カルミアちゃんの耳めっちゃふわふわしてるね」ナデナデ
カルミア「そうですか? ぼくも撫でられているとなんだか落ち着きますね」パタパタ
エミーリア「そういえば、カルミアちゃんの尻尾も柔らかそうだし触っていい?」
カルミア「え〜っと…まぁ、いいですけどロザリアの体なのでほどほどにお願いしますよ」
花和『へぇ〜 あたしも後でロザリアにお願いして触らせてもらおうかしら… 今は中身はカルミアだし、その間にトイレに行きたいわね』
花和「あの、エミーリアさん トイレってどこにありますか」
エミーリア「え〜っと、トイレはこの扉から出た右の突き当りにあるよ」
花和「ありがとう!じゃあ行ってくるわね」
カルミア「いってらっしゃい」
花和「ええ」ササッ
〜〜
エミーリア「カルミアちゃん、では失礼して… う〜ん!ふわふわしてていいね!」モフモフ
カルミア「!?」ビクッ
エミーリア「ん!? どうしたの?」
カルミア「え、え〜っとなんでもないです たぶん急に触られてビックリしただけです」モジモジ
エミーリア「ごめん 次は丁寧に撫でるよ」
カルミア「はい、お願いします…」
…
エミーリア「うん、尻尾もふわふわで最高!」モフモフ
カルミア「ひゃっ…… んっっ……」///
エミーリア「ん〜」モフモフ
カルミア「あ、あの… エミーリアさん…」///
エミーリア「ん? なぁに♪」スンスン
カルミア「えっと… ひゃっ!な、なんでもないです…」
エミーリア「そうなの、嫌だったら言ってね、すぐ止めるから」モフモフ
カルミア「ひゃ!ひゃい」///
エミーリア「それにしてもかわいい声だね ワイルドなカルミアちゃんもいいけどこう控えめな君もいいね」
カルミア「そ、そうですか… んっ……」
エミーリア「わたしはロザリアはあんまり好きじゃないけど カルミアちゃんはかわいくて大好きだよ」サスサス
カルミア「はぁはぁ… そ、それはうれしいです…」
エミーリア「まったく カルミアはかわいいな!」モフモフ
カルミア「ひゃん! はぁ…はぁ…エミーリアさん…なんだか体が熱くて…変な気分に…」
エミーリア「ん……? あっ!! ごめん!」バッ
カルミア「エミーリア…さん…」///
エミーリア「ま、まさかそこが君のあれであれだったとは…」アセアセ
カルミア「はぁ…はぁ…」
エミーリア「え〜っと…」
カルミア「エミーリアさんのえっち…です」ボソッ
〜〜
花和「戻りました〜…って、なにが起こっていたの!?」
エミーリア「いや! 君は知らなくていいことだ 君もロザリアの尻尾は大切に扱った方がいいと思うぞ!」///
花和「!? エミーリアさん… だいたいわかりました…」ドンビキ
エミーリア「…!! そういえば花和はまだごはん食べていないよね?」
花和「えっ!? はい」
エミーリア「それはよかった! わたしが美味しいご飯を作るから待ってて〜〜」ビューン
花和「行っちゃった」
カルミア「はぁ… 行っちゃいましたね」
花和「カルミア、大丈夫だった? あのひとに変なことされていたんじゃ」
カルミア「いえ! そんなことされていないです!」///
花和「…そうなのね」
〜30分後〜
エミーリア「お待たせ!」
花和「わ〜っ いい匂いですね」
カルミア「エミーリアさん料理できたんですね」
エミーリア「ああ、できるぞ 昔、友人たちと一緒に魔法の研究とかしていた時期があって、そこで覚えたんだ」
カルミア「あの、そのご友人とはどのような関係で」グイグイ
エミーリア「まぁ…その話はまた今度ということで、召し上がれ」
花和「本当においしそうですね」
カルミア「ぼくもいただいていいんでしょうか?」
エミーリア「ああ、もちろんだよ みんなで食べる方がおいしくなるからな」
花和「ではいただきます!!」
―――――
エミーリア「もうすぐ朝になるね すぐに君たちをもとの場所に戻せるよ」
花和「えっ! もうそんな時間なんですか!」
エミーリア「花和は3時間くらい寝てたからね」
カルミア「エミーリアさん!ぼくたちがあなたを殺そうとしたのに親切にしてくださってありがとうございます!」
エミーリア「いいって、それに暇つぶし程度にはなったし、それとロザリアはもうすぐ起きるかな?」
カルミア「そうですね 眠気がちょっと強くなったようなきがします」
エミーリア「うん! ロザリアの覚醒が近いみたいだね あっ!そうだ、花和」
花和「はい?」
エミーリア「さっき話したこと忘れないでね」
花和「…わかりました」
カルミア「?? なんのことですか?」
エミーリア「最後花和に助言を、見えるものに拘泥すると本当に欲しいものは手に入らなくなるかもね それじゃ、じゃあね」パリーン
花和「まって! それってどういう!?」グッ
―――――
カルミア「ここは…峡谷ですかね そろそろロザリアもおきそうですし、花和さんロザリアをよろしくお願いします」
花和「ええ、カルミア 短い間だったけどまた会えるわよね?」
カルミア「うん!おねえちゃん、またね!」フラッ
花和「わっ! カルミア!?」グッ
ロザリア?「んん… あっ!花和大丈夫?」
花和「あなた、ロザリア?」
ロザリア 「そうだよ!って言える立場じゃないか… いままでごめんね、自分のこと話す話すって言っておきながら話してなかったし 巻き込んじゃったし」
花和「ええ、おかげさまでえらい目にあったわ」
ロザリア「…そうだよね 私のこと嫌いになったよね…」シュン
花和「まったく!」ベシッ
ロザリア「痛いよ」
花和「まったく!見くびるんじゃないわよ あんたよりはるかにめんどくさい子もいるのよ、そんなことで嫌いになったりなんか絶対にないわ それに私は“おねえちゃん”だからね」
ロザリア「えっ えええ!!」///
花和「もう! つらいときはみんなで支え合うそれができて1人前よ」
ロザリア「…うん、そうだね 少しずつでも話せるようにがんばるよ」
花和「あっ、そうだ伝言を預かってるの」
ロザリア「えっ! 私たちを助けてくれた人?」
花和「ふふっ、そうね この朝の空のように白い‘誰か’さんからよ」
………………………………
宇希「はぁ、なかなか魔物が手ごわくてもう夜明けだよ」
きらら「ライネさんとの合流も今のところできなそうですしね」
ひづめ「仕方ないです、私たちが今できることをやるしかないです 幸いにももう少しで抜けられそうです」
宇希「やっとか 魔物の情報がなかったらいろいろやばかったからやっと気が休まるよ」
きらら「そうですね 特にあのカエルは魔物を大量に呼んで大変でしたからね」
ひづめ「少し休んだら出発しましょうか」
きらら「わかりました!」
宇希「おっけー!」
宇希「それにしても、ロザリアさん?だったっけ?」
ひづめ「はい? ああ、そうですねライネさんのお弟子さんです」
宇希「道中でグリズリーの死体があったけど、たぶんロザリアさんがやったんだよね? きれいに頭が切断されてるし、相当強いみたいだよね」
きらら「そうですね、どんな方なのかはわからないですけど、怖いひとじゃないといいですね」
ひづめ「大丈夫じゃないでしょうか? 花和さんと一緒に行動しているのですから」
宇希「そうだな ロザリアさん自体はそんな心配することはないか」
きらら「ひづめさん 花和さんのパスはこの方角から動いていないのでこのままいけば夜明けには会えそうです」
ひづめ「そうですか 花和さん無事だと良いのですが」
〜〜
ロザリア「…そうかぁ」
花和「あたしたちを助けてくれたひとが言っていたのはこれで全部ね ロザリア、大丈夫?」
ロザリア「うん、ありがとう…」
ロザリア「う〜ん、よしっ! 沈んでてもしょうがないし今は帰ろう花和!!」
花和「ええ、そうね 帰ってからいろいろ考えましょうか」
ロザリア「わかった! また魔物の巣を越えなきゃだから気を引き締めないとね」
花和「はぁ… またあの陰気な場所を通らなきゃならないのイヤだわ」
ロザリア「まぁまぁ、そういわずに帰るまでが冒険だから」
花和「そういえばロザリア、欲しいものは見えた?」
ロザリア「うん、私はバッチリだよ 花和は?」
花和「…あたしは、よくわからなかったわ それに髪飾りを壊しちゃったからひづめにどう謝ろうか今は考えることにするわ」
ロザリア「…それはストレートに言った方がいいんじゃないかな」
花和「それしかないのかしら…」
ロザリア「まぁ、いまは帰ることに集中しようよ 油断してるとそれが命取りになるからね」
花和「そうね… わかったわ!行きましょう!」
〜〜
??「誰かの声が聞こえます」
??「こんな時間に人が?」
??「もしかして花和たちじゃないか」
〜〜
花和「この声は…」ダッ
ロザリア「え!? 待ってよ花和」
花和「ひづめ!!」
ひづめ「花和さん!?」
花和「どうしてここにいるんですか?」
ひづめ「花和さん…」
ひづめ「…ばかっ! 花和さんはおおばかものです!!」
花和「えっ!?」
ひづめ「どうして私たちに相談なしでそんな危険な場所に行ってしまうのですか! 今回は無事のようなので良かったですが、もしものことがあったらどうしようというですか!私は心配で心配でたまらなかったですから!!反省をしてください!」
花和「…すみません」
ひづめ「はぁはぁ…まだまだ言いたいことはありますが… おかえりなさい、花和さんが無事でよかったです」ギュッ
花和「ひづめ…ただいま戻りました…」
宇希「何とか解決? なのかな」
ロザリア「すみません」
宇希「! あなたがロザリアさん?」
ロザリア「はい! ロザリアです ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
宇希「いや!いいって 頭を上げて 私たちは付き添いだし なぁ、きらら」
きらら「はい! それに全員無事で安心しました」
ライネ「そうね、何とか解決ね」
ロザリア「し、師匠! いつの間に」
宇希「いや、私たちも同じ感想なんだけど…」
ライネ「いやね、追いつくの大変だったわ〜 後は帰るだけね」
ロザリア「あ、あの師匠…」
ライネ「ロザリアちゃんは帰ったらお話があるから覚悟しておいてね」
ロザリア「は、はい!」ビシッ
ライネ「みんな〜 遅れてごめんなさ〜い さぁ帰るわよ!」
ひづめ「花和さん、髪飾りを出してください」
花和「ひづめ! すみません壊してしまって… せっかくいただいたものなのに…」
ひづめ「花和さん、これのお陰であなたの異変に気付くことができたのですよ」
花和「へぇっ! それって?」
ひづめ「さぁ、帰りましょう、みんなが待っている里へ」
………………………………
[里]
12/08(木)
花和「ひづめ、散歩に行きませんか?」
ひづめ「ええ、いいですよ」
花和「眺めが良い場所を見つけたんですよ ひづめもきっと気に入ると思いますよ」
ひづめ「それは楽しみです こうやってふたりで一緒にいる機会がなかったので嬉しいです」
花和「そ、そうですね…」
〜〜
ひづめ「はぁ〜 寒いですね、12月はまだ始まったばかりだというのに」
花和「そうですね、でも里はクリスマスシーズンで建物にイルミネーションが飾り付けされてきれいになっているみたいですよ」
ひづめ「そうなのですか!あまり夜に出歩いたことがないので楽しみです」
花和「…ひづめ!」
ひづめ「はい!?」
花和「えっと… 実は今から向かう場所はイルミネーションが特別綺麗にみられるところなんですよ!」
ひづめ「ふふっ、それは特別楽しみですね」
〜〜
ひづめ「…それにしても、最近いろいろなことがありましたね」
花和「はい、わりとバタバタしていましたからね、特に宇希が小さくなったのには肝を冷やしましたよ」
ひづめ「大事に至らなかったからよかったですが、花和さんも気を付けてくださいよ、あんな危ないことして気が気じゃなかったですから」ビシッ
花和「はい…あのことは十分反省しています」
ひづめ「すみません! せっかく誘っていただいたのにこんなつまらないことを言ってしまって」
花和「いえ! あれはあたしの考えが至らなくて起こった結果です!それにロザリアの強さに甘えて動けなかったあたしの責任です」
ひづめ「…いえ!このことをポジティブに捉えましょう こはねさんマインドを取り入れて… 例えば、ロザリアさんと仲を深めることができたりなど、良いこともたくさんあったはずです!」
花和「確かに!ひづめの言う通りですね この一件があったから、ロザリアがチア部を手伝ってくれてますもんね」
ひづめ「そうです! その調子です」
花和「はい! そのお陰でひづめに…」ハッ
ひづめ「?」
花和「な、何でもないです! あっ!今にも雪が降りそうな雲ですよね!」
ひづめ「…ふふっ、そうですね 今から雪が降ったら帰るときは大変ですね」
花和「ひづめ、もうすぐで目的の場所につきますよ」
ひづめ「小高い丘の上ですね、これなら里のイルミネーションがよく見えますね」
花和「そうなんですよ! さっ!行きましょう」グッ
ひづめ「はい! 行きましょう」
〜〜
ひづめ「素晴らしい景色ですね! この光一つ一つが魔法だなんてすごいですよね」キラキラ
花和「いいえ、感動するのはまだ早いですよ! みんな!」サッ
ひづめ「花和さん?」
みんな「ひづめ! 誕生日おめでとう!!」
<ピカーン>
ひづめ「皆さん!?」
こはね「サプライズ大成功だね」
宇希「こはね、それは花和の台詞だろ」
花和「いいわよ、それにまだやっていないこともあるもの」
花和「ひづめ! 誕生日プレゼント、受け取ってください!」
ひづめ「…花和…さ…ん」ポロポロ
花和「えっ!? な…」オロオロ
ひづめ「…ありがとうございます!」ニコッ
花和『女神!』グッ
ひづめ「開けてもいいですか?」
花和「はいっ! もちろんです!」
ひづめ「…これはシューズですか」パカッ
花和「はい! ひづめの靴、使い込んでいてぼろぼろだったので」
ひづめ「ありがとうございます!! 嬉しいです、そんな小さなところまで見てくださっていたとは…」
花和「当然です! ひづめの喜ぶ顔が見られて感無量です!」
〜〜
虎徹「ひづめちゃん、花和ちゃん! 乾杯しようよ!」キラキラ
ひづめ「そうですね ゴホン 皆さん、私の為にこんな素敵な会を開いていただきありがとうございます!」
花和「では、みんな!ジュースは持ったかしら?」
みんな<はーい>
花和「乾杯!!」
みんな<乾杯!>
〜〜
ひづめ「この料理すごくおいしいですね 何かホッとするような味です」
花和「この料理はライネさんに作ってもらったんです あと、この会場はロザリアがカンナさんに頼んで作ってもらったものなんですよ」
ひづめ「そうなのですか!」
ひづめ「ロザリアさん!」
ロザリア「ひづめさん、お誕生日おめでとうございます」
ひづめ「花和さんから話を伺いました ロザリアさんがカンナさんに頼んでいただいたと」
ロザリア「いや、感謝されるほどのことではないし恩返しも兼ねているから、それに花和」クイッ
ロザリア「カンナさんと話す口実ができてよかったよ あと、頑張ってね」コソッ
花和「そうね…」コソッ
ひづめ「??」
虎徹「ロザリアちゃ〜ん あの魔法かけてよ〜」
ロザリア「すまない、コテツ殿に呼ばれたからこれで失礼する」
ひづめ「はい、また後で」
宇希「お〜い ひづめ、誕生日おめでと」
こはね「ひづめ 誕生日おめでとう!」
ひづめ「宇希さん、こはねさん、ありがとうございます!」
宇希「はい、私達からも誕生日プレゼントだよ」
ひづめ「わぁ、ありがとうございます!」
クレア「ひづめさん! 私も!育てたお花を貰ってください」
宇希「クレアはお花かぁ、私たちは羊羹だから、完全に花と団子だな」
ひづめ「いえ、どちらもとてもうれしいです、帰ったら早速花を生けますね」
クレア「喜んでいただいてとてもうれしいです♪」
きらら「あの… ひづめさん、私からも誕生日プレゼントでとれたて新鮮なツンツーンをどうぞ!」
ひづめ「ありがとうございます! これはなかなかのものですね、蕎麦の薬味に丁度良いですね」
きらら「ひづめさん、じつはランプも来る予定だったんですけど、アルシーヴさんに止められているらしく、来られないみたいなので…もう一つのツンツーンをランプの代わりに」
ひづめ「それは残念ですが、ありがたく頂戴します」
きらら「あとメディアさんの分とうつつの分です」ドッサリ
ひづめ「こんなにたくさんありがとうございます! 当分はツンツーンに困らないとおもいます」
〜〜
虎徹「ほんとおいしいよね!」モグモグ
花和「なんか虎徹食べ過ぎじゃない?」
虎徹「えへへ 大丈夫だよ、ロザリアちゃんの魔法があるからね」
花和「虎徹…あんまりロザリアを頼るのも考え物よ、本人は修行の一環と喜んではいるけど…」
虎徹「うん、そうだよね… これからは気を付けるよ」
虎徹「それはそうと、ひづめちゃんお誕生日おめでとう! 誕生日プレゼントだよ!」
ひづめ「虎徹さん、ありがとうございます! これはぬいぐるみですか」
虎徹「そうだよ! うまのぬいぐるみを作ってみたんだ、手触りにも拘って作ったからきっと気に入ると思うよ」
ひづめ「はい、大切にしますね」
兎和「あの…先輩誕生日プレゼントです…」トントン
ひづめ「兎和さん!? ありがとうございます!」
ひづめ「これはまんが用のペンですか?」
兎和「はい、以前ひづめ先輩が漫画を描いているとおっしゃっていたのでお手伝いになれたらと…」
ひづめ「嬉しいです そして、できたら真っ先に兎和さんに見せますね」
兎和「ひづめ先輩の漫画を読んだことがないので楽しみです」
コルク「ひづめ、誕生日おめでとう 前に欲しがっていたポッキィを…」
ひづめ「ありがとうございます、人気商品なのにいただけるとは」
コルク「問題ない、今日入荷したばかりだから」
ポルカ「よっ! ひづめ、修理終わったぞ はい」
ひづめ「ありがとうございます! …これで花和さんに」コソッ
ポルカ「そうだな、ひづめは今日誕生日だからな、サービスしておいたぞ」コソッ
〜〜
ひづめ「おおかた挨拶は終わりましたね うれしいことにたくさんの方に祝ってもらい感無量ですよ」
花和「そうですね…」
ひづめ「どうしました?」
花和「いえ…」
ひづめ「いただき物を置いてきますが花和さん一緒に来ますか?」
花和「は、はい ぜひ」
ひづめ「では行きましょうか」
〜〜
ひづめ「うんしょっと…… これで身軽になりましたね」
花和「はい… ひっ!冷た!」
ひづめ「おっと、雪が降ってきましたね 花和さん折り畳み傘を持っているので寄ってください」
花和「…」
ひづめ「はぁ… 綺麗ですね… ライトアップに白い雪が映えています」
花和「そうですね…」
ひづめ「花和さん!!」グッ
花和「は、はい!!」///
ひづめ「花和さん、私が一番欲しいもの分かりますか?」
花和「…………」
花和「…わからなかった…です」
ひづめ「それはですね…」
ひづめ「花和さん、目をつぶっていただけますか」
花和「はい」
花和『わぁ…ひづめの指が髪に当たってる… 何かを付けた?のかな』
ひづめ「はい、終わりました さぁ目を開けてください」
花和「わぁ〜!!髪飾りが治っている…」キラキラ
ひづめ「花和さん、わかりましたか?」
花和「えっ!?」
ひづめ「私が一番欲しいものです」
花和「…すみません まだわからないです」
ひづめ「…わかりました では1度しか言わないのでよく聞いてくださいね」
ひづめ「私は貴方の笑顔が一番欲しかったんです」コソッ
花和「え! はわわ!!」///
ひづめ「花和さんは笑顔が一番素敵です」
…
花和「ひづめ、あなたに渡したいものがあります 受け取ってもらえますか!!」
ひづめ「ええ! 喜んで!」
花和「ひづめ、これです 重複になりますが、お誕生日おめでとうございます!」
ひづめ「これは…ブローチですか」
花和「はい、角柱を加工して作ってもらったものです」
ひづめ「花和さん… ありがとうございます! 一生大切にしますね」
ひづめ「そろそろお開きの時間なので戻りましょうか」
花和「はい…」///
…………
宇希「あれ? ひづめと花和は何処に行ったのかな?」
虎徹「主役がいないと終われないよね」
兎和「もうそんな時間なのですね…」
こはね「う〜ん」
宇希「どうした? こはね」
こはね「えっとね、ひづめとはなわちゃんが荷物置きに行っていたのを見たんだよ」
宇希「ならもうすぐ帰ってくるかな」
ロザリア「ふむ、こっちに向かっている…」
宇希「おっ!ロザリアはそんなことまでわかるのか」
虎徹「なら心配することはないね」
〜〜
ひづめ「皆さん、お待たせしました」
こはね「あっ! ひづめとはなわちゃん、おかえり〜」
こはね「なんか雰囲気がかわったね」
ひづめ「ふふっ、このブローチのお陰でしょうか」
花和「…」///
こはね「わーっ!きれいだね! はなわちゃんもお揃いだし髪飾りも似合ってるね」
ひづめ「はい! これは宝物です!」ニコッ
ロザリア「ひづめさん、閉会の言葉を…」
ひづめ「そうですね、名残惜しいですが…」
ひづめ「みなさん! ありがとうございます!」
[完]
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます!
まさかこんなに長くなるとは思っていませんでした、書いているうちに楽しくなってしまっていろいろ書いていましたが無事に完結させることができてよかったです。
本作はひづめの誕生日を祝うために執筆したもので、花和がひづめの誕生日プレゼントを探すために奮闘するというお話になっています。過激な表現もあるので誕生記念というには合わないと思いますが…
ロザリアというオリジナルキャラクターを登場させたのですがどうだったでしょうか?
受け入れて頂けると幸いです
(作中で使用した魔法は元ネタがあるので探してみると面白いかもしれません)
5月に初めてここに投稿してもう年末ということで早いものです。今まで生きてきて小説などの文章を一切書いてなかったのに、まさかハマるなんて思ってもみませんでした。
そして継続は偉大です。
というわけで今年はこれで最後になります。また新年にお会いしましょう
では「よいお年を!!」
―――――
名前:ロザリア 歳:16歳 身長:166cm(耳まで含めると171cm)体重:68.2kg
金髪紫眼の少女、匂いに敏感で匂いだけで相手の状態や強さが大体わかる
ライネに師事しており、多彩な補助魔法と剣を使って戦う
ドラゴンを心の底から憎んでいて、見つけると攻撃的な言動や性格になる。そのさいに禁術に近い魔法を唱えて排除しようとする。
普段の性格は頑張り屋で人懐っこい
[魔法]
アサルト:自身の物理攻撃と行動速度を特大アップさせる
ファスト:自他の移動速度をアップさせ、腹ペコを付与する
サイレント・ステップ:音を立てずに行動ができる(攻撃をすると解除される)
テレポーテーション:物体、または人物を選んで移動させる
ブレス:全体を祝福し状態異常の耐性を高める
【禁忌魔法】
・憑物 <Possession>・神格化 <Apotheosis>・生命の淵 <Living on the Edge>
・死神とダンス <Dance with Death> ・ペインチェーン <Shackles of Pain>
・魅了 <Mesmerize> 祝福(呪い)<Bless>
*イラストはAIに描いてもらいました
―――――
花和メインの話ではあるけどひづめ→花和が強くて良いです。
カルミアって結構物騒な花なんですね(調べた)。
危ない橋を渡ってはいても誰も不幸にならない、誤解やすれ違いはあっても本質的な悪人はいない、というのがきらららしいと思います。
SSを一度書き始めると何か楽しくなるというのはわかります。
☆ も し も し ・ 君 に 届 け ☆
拝読しました! 完結お疲れ様です! ぼくっ娘すき!!!! (発作)
人懐っこいが憎き相手には容赦しないロザリアちゃん、無邪気かわいく稀に荒々しいカルミアちゃん、そして強者な割にフランクな『神龍』エミーリアさん。オリキャラの設定凝ってるなぁ、と感心してしまいます。
その中でも太い芯を持ち続け、目標を達成するばかりでなくロザリアとカルミアの命も結果的に救った花和さん。最高にかっこいいぜ、あんた...。
そして最後はイケひづめさんと乙女花和さん! 12月8日の作品では明かされなかった「ひづめさんが一番欲しかったもの」が、ここで明かされるという展開。好きです。
不穏さも影を落としつつ、今後の作品展開により一層期待が高まる感じの良い作品でした! カレル様も、良いお年を!!
P.S. エミーリアさんが自分の名前を名乗るところ、文字化けしていた箇所を解読したらエトワリアどころか現代人が誰も常用してなさそうな文字 (数字?) が出てきたのですが... え、なにこれ、こわ...
>>177
ひづめがプレゼントした髪飾りが重要な役割を果たしているのでかなり影響が強いですね。
花の方のカルミアですね、ロザリアも花の名前なのでそれつながりで考えました。ただ花言葉に従うかはわかりませんが
結末は平和にと考えていたので何とかまとめることができてよかったです。
>>177
コメントありがとうございます!
明けましておめでとうございます
(入れるの忘れていました、ごめんなさい)
>>178
ペンギノンさんいつもありがとうございます
そしてあけましておめでとうございます!!
カルミアはロザリアの体で話しているのでぼくっ娘なのかもしれませんね。実はカルミアの性別は不明としているので好きな方で考えて頂けるとありがたいです。
12月8日時点では、ひづめが欲しいものを明確に考えていませんでした。執筆途中に「何がいいんだろう?」と思いを巡らせ最後のオチを考えました。花和にプレゼントを渡した時の笑顔をもう一度みたいといった感じです。
この「きららファンタジアシリーズ」は最終目標があり、結末もちゃんと決めています。ただ、最終目標にいつ至るかは未定ですがそこまでお付き合いお願いします。
エミーリアの名乗った名前は”古代魔法”というものに関わるものになっています。いつか明かすかもしれません
ついでなのでカルミアとエミーリアの設定も後で載せておきます。
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名前:カルミア 種族:ウィスプ 歳:13歳 性別:不明
ロザリアの精神を守るために生み出された存在
特定の姿は持たず、ロザリアの体に憑りついて動かすことができる。その際には体の感覚の一切を共有し肩代わりしているため憑かれたロザリアは苦痛を負うことがない。
彼または彼女は存在が希薄であるため他人に触られることを好まない。触れようとすると身を翻して避けようとする。
だがエミーリアには触られると安心するため嫌いではない。
性格は控えめだがロザリアの感情に影響され一人称が「ぼく」から「オレ」に変化し好戦的な性格になる。
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名前:エミーリア 種族:龍 歳:不明 性別:女性
“神龍”と呼ばれる強大な存在で恐れられている白龍
大昔からエトワリアに存在して悠々自適に生活をしている。たまに勇者と戦って倒されたりしているが本人は不滅なので死ぬことはない。本人曰く「勇者ライネが一番つよかった」らしい。
会話をするときはテレパシーを使うが直接口から言葉を発すると意図がなくても魔法が発動するので封印している。それを解消するために人間に変身するが、胸が大きくないのがコンプレックスであるため変身はしたがらない。
性格はのんきで誰とでも基本友好的に接するがロザリアはあまり好きではない、ただカルミアは特別気に入っている。
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