こんにちは!カレルと申すものです
12作目ですね。今回は前回『ひづめ「私が一番欲しいもの分かりますか」』の内容を含んだ完全版です。前回と重複する内容があるのでご了承ください。
今回内容が長くなったので前中後編でお送りします
オリジナルキャラクターも登場するのでそちらが苦手な方は注意を!
一部過激な表現があるのでご注意ください
こちらは「きららファンタジア」と「アニマエール!」の二次創作になります
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
*オリジナルキャラクター
*過激な表現
等が含まれるので苦手な方は注意してください
[エトワリア某所]
ひづめ「今日はここで終わりにしましょう 皆さんかなり上達してきましたね」
花和「はい! そうですね」
宇希「ああ そうだな、だいぶ完成度が上がってきたな」
こはね「はぁはぁ… そ、そうだね! これなら完璧かもね」
虎徹「こはねちゃん、セリフと顔が全く合ってないよ…」ハァハァ
宇希「兎和は大丈夫か?」
兎和「はい、大丈夫です… これまでの基礎トレで体力がついてきたので、付いていけるくらいはできます」ハァハァ
ひづめ「お二人の体力に少し心配が残りますが、パフォーマンスとしては問題ないですね」
こはね「はぁはぁ 私もだいぶできるようになったよ!」ドヤッ
宇希「うんうん! こはねはほんとよくできてるよ! 特にこはねの後ろ姿が凛々しくて」ナデナデ
花和「…。 また始まったわね…」ガサゴソ
虎徹「確かにこはねちゃんはうまくなってるけどドヤ顔するほどじゃないね」
こはね「ぐっ!」バタン
宇希「虎徹の言葉の刃は切れ味がすごい…」
兎和「流石…虎徹先輩 非情ですね」
虎徹「え〜! ごめんね、こはねちゃん!」
ガヤガヤ
ひづめ「花和さん? お出かけになるのですね」
花和「はい、この後用事があるのでちょっと出かけてきます」
ひづめ「…そうですか ではまた」
花和「お疲れさまです」
こはね「はなわちゃん!おつかれー」
宇希「花和、お疲れ」
虎徹「お疲れ様―」
兎和「花和先輩、お疲れ様です」
花和「うん、お疲れ」ガラガラ
〜〜
ひづめ「花和さん、行ってしまわれましたね…」
宇希「ひづめ、どうした?うかない顔して」
ひづめ「宇希さん…実は花和さんが心配なんですよ」
宇希「?? どうした急に」
ひづめ「花和さんの誕生日にみんなで髪飾りを渡したじゃないですか」
虎徹「ああ! ひづめちゃんの誕生日が近いから無理して高い買い物をしないか花和ちゃんを心配してるってことだよね」
こはね「あ〜! そういうこと!」
兎和「確かに… 花和先輩はしそうなイメージがありますね」
宇希「ん〜、でも流石にそんなことはないと思うんだけどな〜」
虎徹「宇希ちゃん、宇希ちゃんは自分のことを棚に上げすぎだよ〜」ポン
宇希「もう、私はそんなんじゃないって こはねからも何か言ってよ」
こはね「う〜ん 確か誕生日に宇希からはドレスをプレゼントされたっけ フリフリがたくさんついててすっごくかわいかったよ」
虎徹「ほら」ビシッ
宇希「ん〜 それって普通じゃないか? なぁひづめ」
ひづめ「そうですね、私も兄がたまに小物を作ってくださるのでそれと同じじゃないでしょうか」
虎徹「ぐっ! いつもは宇希ちゃんがツッコミ側なのに、花和ちゃんもいないし負担が…」ハァハァ
虎徹「兎和ちゃ〜ん! たすけてよー」グッ
兎和「…無理です 私には荷が重すぎて入る自信がないですし」カキカキ
宇希『兎和はなんかキラキラしてスケッチブックに書いてるな…』
虎徹「とーわーちゃん」グイグイ
兎和「虎徹先輩、揺らさないでくださいうまく描けません」ムッ
虎徹「あっ… すいません…」
宇希「…兎和は漫画のこととなるとなかなか強情だな」
ひづめ「皆さん! 話を戻しますよ」パンパン
こはね「あれ? 最初は何のはなしだったっけ?」
宇希「ひづめが最初話したことは、ひづめの誕生日に花和が無理して高い買い物をするんじゃないかって心配してる、っていう話だな」
こはね「あれ? でもなんでそんなこと心配しているの?」
宇希「それは、花和の誕生日にみんなで髪飾りをプレゼントしたから、それに見合うものを用意したくなる気持ちはわかるからな そんなことをひづめは私たちに相談しているわけだな だよな、ひづめ」
ひづめ「そ、そうですね 私が言いたかったことすべて言われてしましましたね」
虎徹「宇希ちゃんがまとめてるけど、宇希ちゃんのせいでこんがらがったんだけどね」ジトー
宇希「うっ、 ごめん…」
こはね「で、ひづめ 具体的に私たちは何をすればいいの?」
ひづめ「そうですね…」
〜〜
花和『う〜ん ひづめの誕生日プレゼント、何がいいのかしら』ザッザッ
花和「あたしの誕生日には髪飾りをプレゼントしていただいて、そのお返しに見合うものが良いのだけど」ザッザッ
花和『まぁいいわ! ひづめの誕生日までは2週間あることだしコルクの店にでもよって考えようかしら』タッタッタ
―――――
[コルクの店]
コルク「いらっしゃい 花和」カランカラン
花和「こんにちは、コルク」キョロキョロ
コルク「花和、すまない…」
花和「なによ、いきなりあやまって」
コルク「花和たちが前欲しがっていたポッキィはさっき完売した…」
花和「いやいや!! きょ、今日はポッキィは目当てじゃないから大丈夫よ…」///
コルク「ならよかった… では用件は?」
花和「う〜ん なにかいいものがあったらいいかなってふらっと寄ったの…」
??「お邪魔する、店長! 貴方の話を聞きたくて来た」カランカラン
コルク「花和」チラッ
花和「うん」コクッ
コルク「いらっしゃい 用件は」
??「店長殿、貴重な素材が出たという噂を聞いて、貴方の話を直接聞きに来た」
花和『貴重な素材?』
??「1番欲しいものに導いてくれる鉱物についてだ」
コルク「…確かに知ってる」
??「それを教えていただけないか もちろんただとはいかないだろうが」
コルク「では、商談」
??「そこの君」
花和「? 私ですか」
??「ああ すまないが席を開けて頂けないだろうか」
花和「…えっと」
??「?」
花和「…あ、あの! 横から失礼かもしれませんが、私もそのお話聞かせていただけないでしょうか? もちろんお金は払います!」
??「う〜ん お金が浮くのはいいが…」
??「…店長殿は良いのか」チラッ
コルク「花和は常連だから問題ない、口は堅いことは保証する」
ロザリア「ふっ、承知した 私の名は ‘ロザリア‘ 貴女の名前は?」
花和「はい、私の名前は牛久花和です」
ロザリア「花和か、よろしく!」
花和「はい! よろしくお願いします」
コルク「では本題を… 珍しい素材の名前は“角柱”と呼ばれている」
ロザリア「角柱? 本当にそんな名前なのか…」
コルク「そう、話は続ける その“角柱“が里から北にある大峡谷にあるという情報を掴んだ」
ロザリア「そこか、あそこは強い魔物がうようよしているところだな、そこにあるのは納得と言えば納得か」
ロザリア「具体的な場所は見当がついているのか?」
コルク「もちろん、商人の情報網を舐めないで 地図を取ってくるから席を外す」サッ
花和『行っちゃった…』
ロザリア「なぁ、花和 君はどうして“角柱”だっけ、それを求めるんだい」
花和「えっと… 大切な人の誕生日で喜ぶ顔を見たいからですかね…」
ロザリア「ほう、ならその大切な人も今幸せだろうね」
花和「あの!ロザリアさんはどうしてその角柱がほしいんですか?」
ロザリア「私は求めているものがなかなか見つからなくて、それを探すためにね」
花和「そうなんですね!」
ロザリア「ああ! 今からワクワクしてるよ」
コルク「お待たせ」パラッ
コルク「ここが里の場所、で峡谷がこっち そして峡谷の地図」ペラッ
ロザリア「ふうむ 里からはあまり離れていないが、かなりの悪路だな」
花和「そうですね、複雑に入り組んでいて時間がかかりそうです」
花和「峡谷の中もかなり高低差があったり危険な場所みたいですね」
コルク「この地図で印をつけた場所が目的地」キュッ
ロザリア「最深部か… 情報提供ありがとう、これで足りるかな」チャリン
花和「私も」チャリン
コルク「…うん、問題ない 商談成立」
ロザリア「じゃあ、用事も終わったし外行こうか花和」
花和「はい!」
コルク「またの来店を待っている」カランカラン
―――――
ロザリア「ふ〜う 終わったわね、花和」
花和『あれ? なんだか雰囲気が柔らかくなったような』
花和「あの、ロザリアさん?」
ロザリア「ん?ああ! ロザリアでいいですよ 緊張しながらお店に入ったから気持ちが切り替えられなくて、変なテンションで話しかけちゃったから誤解を生んじゃったわね」
花和「えっ! なんか雰囲気が違いすぎるわね」
ロザリア「言わないでくださいよ 今思い出しただけでも恥ずかしい…」///
花和「なんだかちょっと雰囲気がカンナさんに似ていたわね」
ロザリア「…実は堂々としたカンナさんにあこがれていて 気合を入れようとするとあんな感じになっちゃうんです」///
花和「へぇ〜 そういえばロザリアはここら辺に住んでるの? あなたのような子はあまり里では見ないから」
ロザリア「う〜ん 探し物を探す途中なので一定の住居というものはないですね」
ロザリア「普段は山とかで獣を狩ったりして、あまり里にいないからですかね」
花和「確かに服とかも結構丈夫そうな見た目だものね」
ロザリア「そうですね、あと山以外では、今は師匠のところで稽古をつけてもらっています」
花和「あなたが言う師匠っていうのは?」
ロザリア「勇者ライネですね」
花和「ライネさんに稽古をねぇ…」
ロザリア「? なんですか?」
花和「ねぇ 師匠とどんな稽古してるの?」
ロザリア「どんな?ですか… え〜っと、まずは基礎レッスンですね 剣の素振りや剣技の指導をしてもらって」
ロザリア「それが終わったら軽い打ち込みとして“スーパーかかしくん“を2体くらい倒して」
花和「うん…」
ロザリア「その次に師匠との模擬戦です」
花和「え!? 師匠と戦うの?」
ロザリア「そうですね、最初は目隠し+足枷+手かせ+耳栓の状態で戦いましたね」
花和「聞かなくてもわかるけど、付けたのは…」
ロザリア「師匠ですね 私は抜き身の剣+補助魔法をかけて戦いました」
ロザリア「結果は師匠に完膚なきまでにボコボコにされました」
花和『っ… やっぱりライネさんは強すぎるわ』
ロザリア「そもそも、攻撃しても剣が周りの大気に押し戻されるんですからね、全く勝ち目がありませんでしたよ 何度も死のイメージが浮かびましたもん」
ロザリア「今でも目隠しと耳栓を取るに至っていないので、まだまだ精進が足りませんね」
花和『話をきいててわかったけど、この子も相当強いわよね』
ロザリア「そういえば、花和も結構強いよね それに何か別の力も感じるし」スンスン
花和「ちょっ、何するの!」///
ロザリア「あっ!いきなりごめんね 相手の匂いを嗅ぐと大体のことか分かるからつい」
花和「なんか変態的な特殊能力ね…」
ロザリア「うん… 癖になっちゃって 気を悪くしちゃったかな…」ウルウル
花和「ううん、気にしてないわ でも少し気になったことがあるわ」
ロザリア「ん??」
花和「師匠以外で強い人っていたのかしら?」
ロザリア「そうだね〜 う〜ん… ピンクの髪の子は師匠に迫るくらい強いと感じたね」
花和「そうなのね」
花和『ふふっ、うちの部長も入っているといいわね』
ロザリア「あっ! もうこんな時間だ」チラッ
花和「話に夢中になってしまったわね」
ロザリア「あっ!そうだ 今週末に峡谷に行こうと思っているけど、一緒に行ってくれないかな? 一人だと心細くて…」///
花和「ええ、いいわよ」
ロザリア「え!? ほんと! やったー! じゃあ週末の朝5時に里の北のゲートに集合でどうかな?」パーッ
花和「いいわ、あたしもロザリアと一緒に行けて心強いわ」
ロザリア「また今度ね」
花和「ええ、また今度」
〜〜
[チアアップハイスクール]
花和「ただいまー」
ひづめ「!? おかえりなさい、花和さん」ドドド
花和「? どうしたんですかそんなに慌てて」
ひづめ「いえ、少し花和さんの帰りが遅かったので迎えに行こうと準備をしていたので…」
花和『ひづめに心配をかけるなんてあたしのバカ! でも週末にはロザリアと一緒に峡谷に行くことになるしどうしたらいいかしら?』
花和「すみません ちょっと買い物中のおしゃべりに夢中になっていつも以上に時間がかかってしまったんです…」
ひづめ「そうなのですか… 私も心配しすぎでしたね、ご飯ができているので食べましょうか、今日は麻婆豆腐です」
花和「麻婆豆腐ですか! 楽しみです」
……….
[週末]
11/26(土) 04:45
花和『みんなには前日に説明したけれど、みんながまだ寝ているときに出発するのは罪悪感があるわね。 約束の時間まではまだ時間があるけれど、ロザリアはもう来ているかしら』
花和『空気が冷たくてもう冬ね、太陽もまだ出ていないし里も静まり返っているし寂しさすらかんじるわ …! 門に人影があるわね』
花和「おーい! ロザリア?」
ロザリア「その声は花和―! こっちだよ!」タッタッタ
花和「合流ね、って!すごい格好ね 寒くないの?」
ロザリア「ああ、この装備? これ自体に魔力が付与されているから案外寒くないんだよ、それに一番戦いに集中できるんだよね」
花和『そういえばロザリアはライネさんに師事しているんだったわ、ならこの格好はライネさんリスペクトなのかしら』
花和「へ〜 あっ!そうだ、集合までまだ10分くらいあるけど早かったわね」
ロザリア「当然、というか30分前からここにいたよ 楽しみすぎて」キラキラ
花和「ふふっ」
花和『なんかかわいいわね、初対面の印象とのギャップもあるけれど。多分あたしと歳はあんまり変わらないようなきがするわ』
ロザリア「え〜 なんで笑ったの〜 花和」グイグイ
花和「も〜 揺らさないの さっ、行くわよ」パッ
ロザリア「そ、そうだね、とりあえず前日に話し合った通り結構過酷になるからね、覚悟しておかないと」
花和「コルクにもらった地図は最新のものだから、順路に関しては問題ないと思うけど道中が魔物の巣になっているからきをつけなくちゃね」
ロザリア「でも花和は強いから心配ないね、私も微力ながら一緒に戦うよ」
花和「そうね、心強いわ」
花和『どう考えてもあたしよりも強いと思うけど…』
ロザリア「魔物につかまらなければ、半日でつきそうな距離だけど かなり厄介な魔物がひしめいていたからね」
花和「そうね、ロザリアの事前調査で物理攻撃が効かない魔物がたくさんいるから、ちゃんと魔法攻撃用のクリスタルを持ってきたわよ」キラッ
ロザリア「わーっ! ありがとー! 私は補助魔法くらいしか使えないから本当に助かっちゃうよ」ピョンピョン
花和「お安い御用よ」
ロザリア「花和、このまま歩いていても確実に時間がかかっちゃうから補助魔法をかけて足を速くするよ」
花和「わかったわ」
ロザリア「よーし!『ファスト』」ピロロ
花和「わっ!すごい! 力が湧いてくる」
ロザリア「花和、予定だとお昼くらいには魔物の巣の近くに行けると思うけど大丈夫?」
花和「いいわよ、あなたの魔法のおかげで予定より早くつきそうだものね」
ロザリア「まぁ、そんな万能でもないんだけどね」
花和「やっぱり、効果時間が短かったりするの?」
ロザリア「いや、そんなんじゃないけど、使うとおなかの減りが早くなる気がするんだよね」
花和「へぇ〜 そんなリスクがあるのね それってロザリアだけがなるのそれともかけられた全員がおなかが減りやすくなるの?」
ロザリア「う〜ん それがよくわからないんだよね 師匠がしきりに“ファスト”をかけてほしいって頼んでくるから他人には影響がないんじゃないかな あっ、かけた魔法の名前がファストっていうんだよ」
花和「そ、そうなのね…」
花和『割とRPGでよく聞くような魔法名ね、あたしたちは雰囲気で魔法を使っているけど、こっちの世界的にはどういう扱いなのかしら』
ロザリア「ちなみに効果は大体1時間続くよ」
花和「わかったわ、何か異常があったら教えるわ」
ロザリア「ふふっ」ブンブン
花和「?? どうしたの?急に」
ロザリア「いや、普段師匠といるとき以外はひとりでいるからなんか楽しくて」
花和「もう、ロザリア」ポンポン
ロザリア「花和!私の方が背は高いんだからね!」///
花和「はいはい」
〜三時間後〜
花和「里を出発しておよそ三時間ね だいぶ景色が変わってきたわね」
ロザリア「そうだね、ここからは魔物が徘徊しているところを通り抜けるから注意しないとね」
花和「ロザリアは大丈夫なの?」
ロザリア「ん? 何が?」
花和「三回“ファスト”を唱えているけどお腹は空いていないの?」
ロザリア「ああ、大丈夫だよ 空腹感は慣れてるから、それにあと2時間もすれば魔物の巣の近くにつくからそこまでは我慢かな」
花和「もう、無理しないの おにぎりなら動きながら食べられるでしょ」パッ
ロザリア「これって花和のお昼でしょ 受け取れないよ」
花和「まったく 無理しないの それにあたしのご飯が食べられないのかしら」ゴゴゴ
ロザリア「… 食べさせていただきます」ピシッ
花和「はい、あ〜ん」
ロザリア「ちょっと、私は子供じゃないんだからひとりで食べられるよ」グッ
花和「ほら、文句言わないの」グイッ
ロザリア「… あ〜ん」パクッ
ロザリア「うん! おいしい!!」
花和「当然よ」
ロザリア「よ〜し 元気出てきたよ」
花和「それはよかったわね、あとはお昼の時に取っておくわね」
ロザリア「えっ! また食べられるの」ジュルリ
花和「頑張っているからね、あたしからの労いよ」
ロザリア「よ〜し あと2時間頑張ろ〜!!」
〜2時間後〜
ロザリア「花和、やっと目的地が見えてきたよ そこの広場で休憩しようよ」
花和「ふ〜 何とかここまで来たわね」ハァハァ
ロザリア「花和、だいじょうぶ? ずいぶんと息をきらしてるけど…」
花和「ええ、大丈夫よ 一応の目的地の前だから少し気が緩んだだけよ」
ロザリア「そうならいいけど… じゃあ早速ご飯を作るね 花和が持ってきてくれたお弁当もあるから、そんなに作らなくてもいいかな」
花和「そうね、地図によると近くに川が流れているみたいだから水を汲んでくるわね」
ロザリア「うん、わかったけど、魔物の巣が近いから十分注意してね」
花和「わかっているわよ、じゃあ行ってくるわね」
ロザリア「行ってらっしゃい」
〜〜
花和『はぁ〜 めっちゃ疲れたわ 「ファスト」かなりお腹が減るわね まぁ、ロザリアの方があたしより2倍くらい減ってそうだから二人でいって正解だったわね、これ以上の人数で行くと彼女が干上がっちゃうわ』
花和『みんなには1日出かけることは伝えていたけど、目的は伝えていないからひづめはどう思っているのかしら ひづめには少し心配をかけてしまっているから終わったらちゃんと説明しないと』
花和『それにしても、ここら辺はもうほとんど草木が生えていないわね 目的の峡谷が近いんでしょうけどかなり過酷な環境ね それにそこにある‘角柱’はどんなものなのかしら コルクやロザリアの話しぶりに的にすごいものであることは確かなのだけれど、どうやって欲しいものに導いてくれるのかしら? 知りたいことだらけね 水を汲み終わったらロザリアに聞いてみようかしら』
花和『川についたわね ふ〜ん、なかなかきれいな川じゃない、透き通っていて直接でも飲めちゃいそう。 さっ、さっさと汲んで…あとは一応持ってきた“魔王のぶき”を使って消毒を…』ティロリロ
花和『うん、いいわね じゃあロザリアのところに戻ろうかしら』
〜〜
花和「ロザリア〜! 戻ったわよ」
ロザリア「あっ! 花和お疲れ、カレーの準備できてるよ」
花和「う〜ん、スパイスの匂いね それにしても準備が早いわね」
ロザリア「師匠がよくカレーを作ってくれるからね、私も作り方を覚えて作りまくってるからね もう師匠に迫るくらいにはおいしい自身があるよ」
花和「へぇ〜 それは楽しみね あっ!そうあたしも何か手伝えることはあるかしら?」
ロザリア「う〜ん… じゃあ、野菜を切ってサラダにしてほしいかな」
花和「わかったわ、エトワリアに来てそこそこ料理をしてきたし、あたしの実力を見なさい」シャッシャッシャッ
ロザリア「おお、はやいね それに滑らかな切り口」
花和「はい、終わったわよ」
ロザリア「ありがとう! 野菜はいため終わったから、カレー粉と水を入れて完成までは待機だね」
花和「もうカレーのいい匂いがしているわね」
ロザリア「そうだね〜 あと少しすれば食べられるから気長にね」
ロザリア「そうだ! 私に食べさせてくれたおにぎりは何個あるの?」
花和「え〜っと ロザリアが二時間前に食べた1個を入れて… 6個持ってきたから分け合って食べましょ」
ロザリア「ほんと! 嬉しいな、本当においしかったからまた食べられるなんて」ブンブン
花和「まったく、大げさよ」
ロザリア「いいや、あのおにぎりはなんだかポカポカするような不思議な感覚になるくらいおいしいんだよ!」
花和「もう、言いすぎよ ちょっと暑いじゃない」///
ロザリア「あっ! ごめんちょっと近すぎたね」
花和「はい、おにぎりよ よく噛んで食べなさいね」ガサゴソ
ロザリア「ありがと〜 うん、こっちもカレーができてるね 花和、カレーをよそうから食器取って」
花和「おっけ〜 はい、ロザリア」
ロザリア「ありがと、花和はどのくらいほしい?」
花和「え〜っと、このお皿に並々注いでくれればいいわ あと具は多めによそってくれないかしら」
ロザリア「うん、わかった」パカッ
ロザリア「う〜ん カレーのいい匂いがあたりに拡散してるね うん!とろみもいい感じについてるし今回は大成功だね」
花和「ロザリア? 気になったんだけどこの匂いで魔物とかが寄ってこないの?」
ロザリア「はい! 花和」
花和「ああ、ありがと」
ロザリア「ああ、魔物のことは問題ないよ 魔物が嫌がる香草をカレーに入れているから襲われる心配は皆無だよ!」
花和「そう、それなら心置きなく食事を楽しめるわね」
ロザリア「うんうん! それにそれを入れるとカレーに爽やかな風味が追加されてさらにおいしくなるんだよ!」
花和「それじゃあ、いただきましょうか」
ロザリア「そうだね、じゃあ『女神ソラに感謝を込めて』」パクッ
花和「いただきます」パクッ
………
花和「…ナニコレ」ボソッ
ロザリア「ん? 花和どうしたの」
ロザリア「あっ! ごめん!! 私の好みに合わせて辛めに作っちゃったから口に合わなかった… 花和…?」
花和「なにこれ!! すっごくおいしいんだけど!!」
花和『一瞬喉が焼けるような辛さが来たと思ったらすぐに風が吹き抜けたようなさわやかさが鼻を抜けていく なんておいしいの!』
花和「ロザリア!!」
ロザリア「へ? な、なんでしょうか!?」
花和「このカレーは師匠を超えているわよ」バッ
ロザリア「ちょっ! 花和近いよ」///
花和「ああ… ごめんなさい、少し興奮しすぎたわね カレーはみんなで食べるから基本は甘口でいつもトッピングで辛くしているから」
ロザリア「いいよ、私が作ったご飯でこんなに喜んでくれるなんて思ってもみなかったから」
花和「うん、うん本当においしいわ」パクパク
ロザリア「なんか花和の食べっぷりを見てると疲れなんか吹っ飛んだよ」
花和「ロザリアもいっぱい食べないといけないでしょ、あたしの分のおにぎりをあげるわ」
ロザリア「いいの? …じゃあお言葉に甘えて…」
〜食後〜
花和「ねぇ、今日の夕ご飯もカレーがいいんだけどいけるかしら?」
ロザリア「いけるけど…お肉はすべて使っちゃったから獣を狩らないといけないね」
花和「獣ね… うん!あたしのできる範囲でやるわ」
ロザリア「心強いけど、花和はいつも里にいるんでしょ? なら解体は私がやるから罠を作ってくれればいいかな」
花和「わかったわ」
ロザリア「はい、これが罠づくりの指南書だよ 20ページに書いてある罠を作ってくれるかな たぶん初心者でも30分くらいで作れると思うからよろしく」
花和『ロザリア、かわいい顔してかなりワイルドよね…』
ロザリア「さーて、食後に動くのは得策でないから少し仮眠を取ろうかな 花和も少しは寝た方がいいよ、ここまでノンストップで来たからね」
花和「香草がまだ残っているし、安全なうちに寝るのは得策ね うん、じゃあお休み」
ロザリア「お休み 大体1時間後に広場に集合しようね」
[里]
ひづめ「なんだか嫌な予感がします…」
宇希「どうした?」
ひづめ「花和さんのことです… 状況があの時と似ていて…」
こはね「ん〜 確かにね…」
ひづめ「そうです、花和さんが第二の「うきちゃん」さんになるのではないかと恐れているのです」
宇希「ひづめ、あの時ことをそんな名前で呼んでいたのか?」
虎徹「私もそう呼んでいたよ」
宇希「虎徹もか…」
宇希「まぁ!いいや で、花和が危機的状況になっていそうってことだよな」
虎徹「でも、花和ちゃんの場所が正確にわからない限りは難しいよね」
宇希「ひづめの心配しすぎってこともあるし、夜には連絡くれるって言ってたしそんな心配しなくていいんじゃないかな」
こはね「そうだね、ここは宇希の言う通りのんびり待とうよ」
ひづめ「そ、そうですね 私の心配が杞憂に終わってくれれば良いのですが…」
〜〜
〜1時間後〜
花和「ロザリア、おはよう」
ロザリア「うん、おはよう だいぶお腹が軽くなったしそろそろ出発しよう!」
花和「地図によるとここから道なりに進むと魔物の巣が道を塞いでいるようね」
ロザリア「ここから大回りすると、とんでもなく時間がかかっちゃうから突っ切るのが最善! よし行こう」タッタッタ
花和「出発ね」タッタッタ
花和「そうだわ、さっきロザリアが言っていた罠を作っておいたわ」トリダシ
ロザリア「おお!早いね ふむふむ、出来もなかなかだしかなり良いよ」
花和「それにしても小さい罠だけれどこれで何を捕らえるの?」
ロザリア「とる獲物は、「キョウコクウサギ」ていう‘うさぎ’だね そいつの肉がなかなかおいしいってはなしで密かに楽しみにしていたんだよね」
花和「へぇ〜」
花和『うさぎを食べるのね、少し気が引けるけどあたしたちが飢えない為だものね、覚悟を決めないと』
ロザリア「ただ、とんでもなく凶暴らしくてね、指や耳、はたまた体の半分を一瞬でかじり取られたってはなしが「キョウコクウサギ」関連でよく上がるんだよね」
花和「へ、へぇ〜」
花和『前言撤回! 別の意味で覚悟を決めないといけなそうね』
ロザリア「ほんと、魔物だけでなく小動物にも警戒しなくちゃいけないから大変だよね まぁ、罠で捕らえるから問題ないけどね」
花和「そ、そうね…」
花和『うわ! 一気にこの罠の信頼度が低下したけど、本当に大丈夫なのかしら?』
花和「ちょっと、ロザリア!」
ロザリア「ん? なに」
花和「参考までに聞きたいんだけど ほかに峡谷にはどんな生き物がいるの?」
ロザリア「生き物? う〜ん、そうだなぁ… 「ヒトクイブタ」とか「デススコーピオン」とか「カワハギ」とかかな?」
花和「ひぃ〜 めっちゃ名前が怖いじゃない」
ロザリア「ははっ! 大丈夫だよ、花和の強さだと自分から向かわない限りは襲ってこないよ それに、獣は積極的に人間を襲おうとしないからね」
花和「そんな怖い名前だらけなら「キョウコクウサギ」も何か別の意味があるんじゃないのかしら」
ロザリア「う〜ん… 名前の由来はあんまりわからないんだよね、コルクから借りた稀覯本に書いてあって、その本の写しを貰ってるから見てみて はい、どうぞ」
花和「ああ、ありがと」ペラッ
ロザリア「本文は古代エトワリア語で書いてあるから読めないけど、ちゃんと挿絵と翻訳があるから安心して 「キョウコクウサギ」は50ページにあるよ」
花和『あれ………? 日本語?っぽいけど全く読めないわね』
花和「50ページ…」ハラパラ
花和「あったわね「キョウコクウサギ」……………」
花和「確かに普通のうさぎっぽい見た目だけれど、挿絵に“叫哭兎”かしら?書いてあるわね」
ロザリア「へ〜 花和はその文字がよめるの!」
花和「う〜ん 文の意味は全く分からないけど単語だけなら」
ロザリア「すごいね! 単語だけでもわかるなんて、なんて書いてあるの?」
花和「なんか、やたらと物騒な単語があるけど……… 「キョウコクウサギ」の下に“美味”つまりおいしいと書いてあるわね」
ロザリア「おお! ならこの翻訳の精度はかなり良いということだよね」グイグイ
花和「ちょっと、揺らさないで…」パラパラ
花和「あっ! 一番最後のページにたぶん著者が書いてあるわね」
ロザリア「そうなの? ならこんな素晴らしいものを書いてくれた著者には感謝したいね」
花和「え〜と、著者は“花梨”とかいてあるわね、あとほかの人もいるけど“迦・・”読めないわね…」
ロザリア「う〜ん 墨で消されたみたいになってるね」
花和「まぁ、古代エトワリアの文字で書かれているということは、たぶん著者は大昔の人で会うことはできないと思うし気にすることないんじゃない」
ロザリア「それもそうだね、そんなおしゃべりしている間に魔物の巣についたね」
花和「ここを越えれば目的の大峡谷はすぐそばね」
ロザリア「そうだけど油断しないでよ、ここの魔物はかなり強いからね」
花和「わかってるわよ、じゃあ行きましょうか」
…………
ロザリア「魔物の巣に入ってから10分たつけど、そこら中から魔物の匂いがする…」
花和「まったく!一時も油断できないわね、さっきも後ろを何かが通ったし…」
ロザリア「私たちの近くに寄ってくる魔物は比較的弱い傾向があるからとにかく
隙は見せないで!」ザッザッ
花和『ロザリアは頼もしいわね、普段は少し抜けていたりかわいいところがあるのに、今は彼女がいるだけで安心感が半端ではないわ』
ロザリア「ちょっと、花和」
花和「? なに?」
ロザリア「そこの木が見える?」
花和「ええ、何か模様のようなものがあるわね」
ロザリア「そう、あれはこの巣の支配者「バクダングリズリー」の縄張りであることをアピールするマークだね」
花和「それが前言ってた物理攻撃を無効にする魔物?」
ロザリア「それとは違うけど、ヤツの血は発火性があるから似たようなものだけど、返り血を浴びたら瞬く間に窒息させられて死ぬから気を付けてね」
花和「わかったわ」ブルル
ロザリア「ちなみに物理攻撃を無効化してくるのは「パールスラッグ」っていう巨大なナメクジだよ」
花和「ナメクジ!? 出会ったら最悪ね 魔法使えなかったら諦めて逃げを選択するわ」
ロザリア「ただ、案外かわいい見た目をしているらしいよ」
花和「かわいらしくてもねぇ…」
ロザリア「まあ、まあ…って」
??「グルルルル」
ロザリア「噂をすればかな ひぃ、ふぅ、み…」クンクン
ロザリア「ざっと10体ってところか」
花和「もう、さっき言ってた巨大なナメクジもいるじゃない ちょっとかわいいのがムカつくわね」
ロザリア「さぁ、おしゃべりはここまでだね 花和、ナメクジは任せた 私はグリズリーをやる」
花和「ええ、任せて!」
ロザリア「最初っから本気だよ!!『アサルト』」
花和「ええ、ナメクジ殲滅ね!『エクストラ・アウェイク』」
…………
花和「はぁはぁ… あと2体ね… ロザリアは!!」
ロザリア「はぁ… こっちはあと3体、もう少しで片付く… “エクセキューション”!!」
グリズリー「ギュルワーーーーーー!!」スパッ
グリズリー「…」バタン
花和『このナメクジも相当強いわね、与えたダメージがすぐに回復して、倒しずらいことこの上ない』
花和「まったく、ロザリアが頑張っているのにあたしが弱気になっちゃだめよね“スター・シュート”」
ナメクジ「ズズズズズズズ」ジューッ
花和「はぁ… 何とか全部倒したわね…」
ロザリア「お疲れ〜 ふぅ〜、何とか倒すことができたね 」
花和「ほんと疲れたわよ、普段戦っている魔物とは比較にならないくらい強いのは予想外だったわ」
ロザリア「それは私も思ったんだよね、この巣全体の強さが上がっているみたい」
花和「何か原因があるのかしら?」
ロザリア「まぁ、それは歩きながら話そうか この調子だとここに長くとどまるとヤバい予感がするし」
花和「そうね、さっさとこんな陰気臭い場所からおさらばしたいわね」ザッ
〜〜
ロザリア「で、さっきの続きだけど魔物が強くなってる理由だけど、奥に行けばわかるかもね」
花和「奥、つまり峡谷に何かがあるってことね」
ロザリア「私たちが狙ってる「角柱」も関係あるかもね」
花和「もしかして、ドラゴンが居たりなんてね」
ロザリア「………ドラゴン…?」
花和「…ロザリア、どうしたの?」
ロザリア「…! ああ、ごめんちょっと考えてて」
花和「もう、しっかりしてよね、あなたが倒れたらあたしももれなくお陀仏よ」
ロザリア「私も花和が倒れたら同じ運命を辿るだろうね つまりは運命共同体だね!」
花和「ふん! まあ、あたしはロザリアとは運命を共にする気はないからしっかりやりなさいよ」
ロザリア「まったくひどいな〜 右の草陰に「トキシフロッグ」がいること教えないよ」
花和「はいはい、戦闘準備ね」
ロザリア「ちょっとまって」コソッ
花和「ん? なによ」コソッ
ロザリア「私が倒してくるから待ってて『サイレント・ステップ』」シュン
花和『音が消えた… それにしてもロザリアはやれることが豊富ね、あたしはひづめと一緒にいないと効果を発揮しない技が多いから彼女の力になれてるかわからないけど…』
トントン
花和「ん? なに?」クルッ
ロザリア「わぁ! 戻ったよ」
花和「うわっ!」ガスッ
ロザリア「痛っ!! 何も殴ることないじゃん!」ナミダメ
花和「あっ、ごめん ついびっくりして」
ロザリア「…うん、私もちょっと調子に乗っちゃってたね ごめん」
花和「まあ、いいわ、先を急ぎましょう カエルにナメクジと気持ち悪い魔物がたくさんいて、一刻も早く抜けることを考えているわ」
ロザリア「おお、それは幸運だったね さっきの倒したカエルは、敵を見つけると騒いで毒をまき散らしながら捕食者を呼び寄せる習性があるから先手で倒すことが必要なんだよ 、そのうえ毒で奴は狙われないから悠々と逃げていく」
花和「へぇ〜 っていうかそんな大事な情報を小出しにするんじゃないわよ!!」
ロザリア「えへへっ、その方が面白いかなぁ〜って」
花和「せっかくかっこいいって思ってたのに台無しね」
花和『…それにしてもロザリアの様子が少しおかしいわね、さっきまでパタパタと尻尾がかわいらしく動いていたのに… 「ドラゴン」と言った時に変な反応をしていたからそれかしら?』
花和「あの…ロザリア」
ロザリア「さっ、もうすぐで大峡谷だよ 運が良ければもう魔物と会わずに抜けられると思うから」
花和「…そうね、いきましょう」
ロザリア「よーし! じゃあ、しゅっぱーつ!!」
花和『まったく、誤魔化しかたがまるで“誰かさん”みたいね、でも確信が持てないからしばらくは様子見がいいわね』
…………
花和「…ロザリア、おにぎりがひとつ残ってるんだけど食べるかしら?」
ロザリア「… えっ! ほんと!! 食べる食べる!」
花和「はい、どうぞ」
ロザリア「わぁ! ありがとー」モグモグパクパク
花和「ふふっ、良い食べっぷりね」
ロザリア「ふぅ…ごめんね気を遣わせて」
花和「!? な、なんのことかしら…」
ロザリア「匂いでわかるんだ、花和の大体の感情が」
花和「…そういえばロザリアと初めて会ったときにそんなこと言ってたわね」
ロザリア「大丈夫だよ、花和が気にすることはないから…」
花和「まったくなに言っんの!」ベシッ
ロザリア「痛っ! 何すんの!」
花和「まったく、うぬぼれが強いわよ あたしはあんたがお腹がすいてると思っておにぎりをあげたの! それと話したくないことは言わなくていいけど、悩みがあるなら相談に乗るわ 仲間じゃないの」
ロザリア「仲間… そうか…そうだよね!!」ブンブン
花和「ん? 何よ」
ロザリア「いや、なんかね わかったよ」グイグイ
花和「暑っ苦しいから離れなさい」
ロザリア「ごめんごめん 悩みがあるんだけと聞いてくれるかな?」
花和「それはお安い御用だけど…」
ロザリア「だけど…」
花和「まずは目の前の魔物を倒してからね」
グリズリー「グギャガギャーー!!」
花和「さぁ! 片付けるわよ、ロザリア!!」
ロザリア「は、はいっ!!」
〜〜
花和「“ライジング・ショット” ロザリア!」
グリズリー「グガーーー」バチバチ
ロザリア「了解! “クラッシュ”!!」
グリズリー「ガーー」バタン
花和「ナイス! ロザリア さっきよりキレが増してるんじゃない?」
ロザリア「花和の援護があってこそだよ」
花和「怪我はないかしら?」
ロザリア「いや、まったくないね 完全勝利だよ」
花和「ふぅ… なんとかなったわね、もう目と鼻の先に峡谷の岩肌が見えるし、ひとつ目的達成ね」
ロザリア「うん! そうだね あっ!そうだ花和、さっきの相談“角柱”を取った後でいいかな?」
花和「ええ、いいわよ」
ロザリア「ありがとう、実はまだ言う準備ができていなくて…」
花和「わかったわ さぁ!行きましょうか、大峡谷へ」
[前編 完]
花和とロザリアの出会い〜大峡谷突入までが前編です
前編だけでも1作品くらいの長さになってしまいました、オリジナルキャラクターの設定をノリノリで考えていたのでそれに比例して長くなったのかもしれません
さて花和たちは無事に“角柱”を手に入れることはできるのでしょうか、そしてロザリアが花和に相談したいこととは…
次の更新は1週間後を予定しています
では、次の更新でお会いしましょう!
ここで現在公開できるロザリアの設定を載せておきます
―――――
名前:ロザリア 歳:16歳 身長:166cm
金髪紫眼の少女、匂いに敏感で匂いだけで相手の状態や強さが大体わかる
ライネに師事しており、多彩な補助魔法と剣を使って戦う
性格は頑張り屋で(ライネ談:【SS】クレア「すこし目をつぶってもらえますか?」レス5より)緊張すると変な喋り方になる
[魔法]
アサルト:自身の物理攻撃と行動速度を特大アップさせる
ファスト:自他の移動速度をアップさせ、腹ペコを付与する
サイレント・ステップ:音を立てずに行動ができる(攻撃をすると解除される)
*イラストはAIに描いてもらいました
―――――
AIを使いこなしていらっしゃる…
バラみたいな名前ですが、外見、特技、使用魔法等から獣人系のキャラという感じがしますね
毎度、アニマエールの各キャラとエトワリア世界がうまく噛み合ってて良いと思います
>>47
コメントありがとうございます!
ロザリアのイラストを描くために結構苦労しました。ただその過程はガチャを引いているみたいで楽しかったです。
バラの名前…もしかしてロゼリア(ポケモン)ですかね、それはあまり意識していませんでしたが、可憐な少女というところはあっていますね。
そんな愉快なロザリアと花和の珍道中をお楽しみに
拝読しました! まさかの前中後編! 壮大な作品の予感...
前作にちゃっかり登場していたろべr... ロザリアさん、遂に本格登場! においを嗅いで相手の様子を知るって、貴方は某白髪の野生児占い師ですか?
ていうかけも! けもみみ!! めちゃくちゃかわいい!! AI君もなかなかやりおる。
会話パートもそうですが、戦闘パートの描写が個人的にすごいなと思いました。私はそういう方向性が苦手なので、純粋に見習いたいと思うばかりです。
そして、二人が読んでいた文献の著者。もしや、これはまさか...
『角柱』は果たして手に入るのか、花和さんはひづめさんを喜ばせることができるのか... などといった点もさることながら、過去作との繋がりという点でも注目せずにはいられません。
中編の更新、楽しみにしております!
... ところで、度々発生していた花和さんとロザリアさんとのいちゃいちゃ... これ、もしかしてひづめさんにばれたら修羅場コースでは...?
... 大丈夫だよね、たぶん。そういうことにしておこう。
>>49
ペンギノンさんコメントありがとうございます!
この1週間、少し忙しくて返信する暇がありませんでした。
ただ、中編の更新は金曜日の予定からブレないので安心してください
ロザリアについてはいろいろと設定を考えているのであっ!と驚くような展開を予定しています。ロザリアは普段山で生活していたりと割とワイルドなので近いかもしれません。
戦パートを期待している貴方に朗報です!中編でも戦闘があるのでお楽しみに
文献の著者は今のところは関係はありませんが、ふとしたタイミングで出すかもしれません。
ロザリアは懐いた相手には距離が近くなるので必然的にイチャイチャしているように見えてしまうのかな?
きっとひづめもわかってくれるはず…
〜前編のあらすじ〜
ひづめへのプレゼントに悩んでいた花和、ふらっと寄ったコルクの店で“1番欲しいものに導いてくれる鉱物 “と言われている「角柱」を求めているロザリアと出会い、一緒に取りに行くことになった。
花和たちは魔物の巣を抜け、峡谷へ
果たして花和たちは「角柱」を手に入れることができるのか?
本編へ〜
[中編]
花和「わあ〜! なかなかすごい景色ね、グランドキャニオンとかもこんな感じなのかしら」
ロザリア「グランド…? なにそれ?」
花和「えっと…昔、本で読んだのよ 海の向こうにこんな景色があるってね」
ロザリア「へぇ〜 海の先かぁ、考えたこともなかったけど、私が見たこともないいろんな景色があるって考えるとワクワクするね」
花和「そうね…この景色もなかなか格別なものよ、日が傾いてきて岩壁がオレンジ色に染まってなんだか幻想的」
ロザリア「うん、一日の終わりって感じがしていいかもね でも、この景色に見惚れている時間はないよ 日が沈んだら「キョウコクウサギ」を捕まえられなくなっちゃうから急がないと」
花和「あれ、本気だったのね…」
ロザリア「そうだよ!うさぎはこの時間帯に活発になるからね、巣穴付近に罠を仕掛けておけば帰るときに自然に罠にかかってるって寸法だよ」
花和「わかったわ… じゃあ手分けして罠をおきましょうか この本によると“崖際の地面に穴を掘って巣にしている”って書いてあるし」
ロザリア「最初は一緒にやろうよ 道が入り組んでいて結構危険だし、もし「キョウコクウサギ」が襲い掛かってきても対処がしやすいと思うしね」
花和「そうね、確かに綺麗な景色に目が行きがちだけど慎重に動かないといけないわよね なんせ一瞬で指をかじり取ってくるうさぎだものね…」
「!!!!!!!!!???!??!!!」
ロザリア「あっちから何かが叫んでいる音が聞こえるからたぶん「キョウコクウサギ」が近くにいるよね」ピコピコ
花和「…とうとう「叫哭兎」との対面ね 心していかなきゃね」ゴクリ
ロザリア「花和ちょっと待って、今から“サイレント・ステップ”を使うから」
花和「さい…? ああ!あの技はそんな名前なのね」
ロザリア「まぁ、名前のことはいいから あれをかけると自分が出す音の一切がなくなるから、会話の為には筆談を使うね ということでハイ、メモ帳」
花和「…」カキカキ
花和<ありがと>
ロザリア「うん!」カキカキ
ロザリア<どういたしまして>
ロザリア「じゃあ『サイレント・ステップ』」
花和「…!!」
花和<すごいわね 大声出しても 聞こえない>
ロザリア<これで気づかれないように罠を設置して戻ってこよう>
花和<おけ>
〜〜
花和<これの効果時間はどのくらい?>
ロザリア<能動的に対象を攻撃しなければ1時間もつ>
花和<つまり誤ってこのウサギを踏んでも解除はされないのね>
ロザリア<そうだね>
花和『ならどうやって“サイレント・ステップ”を解除せずにカエルを狩れたのかしら?』
ロザリア<こちらからも音が聞こえないから注意が必要だけど、このウサギは音で獲物を探知するから相性バッチリだよ>
花和<それはいいけど、ロープを持ってきたからあなたに結んでおくわね>
ロザリア<わかった>
花和<これが巣穴ね>
ロザリア<さて罠を仕掛けて、クズ野菜を設置してあとは>
花和『急にナイフを取り出して何をするのかしら? …ナイフの刃を握って… !?』
花和<ちょっと、なにやってるの!!>『ボコッ』
ロザリア<?? 痛いよ! 何って、血をかけようとしただけだけど>
花和<ナイフをしまいなさい!!>
ロザリア<大丈夫だよ、自傷は解除条件に入っていないから>
花和<だから! ナイフを置きなさい!!>
ロザリア<わかったよ、「キョウコクウサギ」は“血を好む”と書いてあったからどのくらいか実験したくて>
花和<それって、その場合の“血を好む”は争いが好きみたいなニュアンスじゃないの? 翻訳の精度の問題もあるかもしれないけれど>
ロザリア<わかった、じゃあ戻ろうか>
花和<わかった>
…
ロザリア<こんな感じで罠を仕掛けて回ってくるね 私は東廻りでいくから逆をお願い>
花和<ロザリア! 無茶はしないでよ>
ロザリア<心に刻んでおくよ>
〜1時間後〜
ロザリア「おつかれ〜」
花和「ロザリア、掌を見せて」
ロザリア「? いいけど…」
花和「はぁ…よかったわ」
花和『約束を守ってくれたようね…』
ロザリア「手をまじまじと見られるなんて初めてで恥ずかしいよ」///
花和「ああ、ごめんなさい でもこれでカレーができるわね」
ロザリア「もう日が沈んでウサギも巣穴に帰ってる頃だし、捕まえているだろうな〜」ジュルリ
花和「はぁ… まぁいいわ さぁ、ウサギ狩りの開始ね!」
ロザリア「おーーー!!」
〜〜
ロザリア「いやぁ〜 大量だったね、花和!」
ロザリア「花和?」
花和「…なんて恐ろしい叫び声だったの…心臓が縮み上がったわよ!!」
ロザリア「サイレント・ステップを貫通してきたのは少し肝が冷えたけど まぁ、その後のご飯に比べたら屁でもないよ」
花和「…はぁ、おめでたいロザリアが羨ましいわよ」ドカッ
ロザリア「はいはい! 花和、休んでないの 私はウサギを解体してくるから、野菜を切って炒めておいて」
花和「ごめん、ロザリア ちょっと気分が悪くて、少し休んでていい?」
ロザリア「もう! 解体は結構大変なんだぞ、そんな悠長にやってると肉の鮮度が落ちるから、文句言わないの」プンプン
花和「えぇ… わかったわ!気持ちを切り替えて専念するわ」
ロザリア「その意気だよ じゃあ、また後で」
〜〜
まったく、この旅で驚きっぱなしね、見たことのない魔物、見たことのない動物、そして景色… 帰ったらひづめには誕生日プレゼント、みんなにはお土産話をたくさんしてあげられそうね。これもロザリアと出会わなければ起こらなかったことだわ、まだ彼女のことは知らないことが多いけれど、“友達”と間違いなく胸をはって言えるわ。
「!!!!!!?!?!!」
…なにやら後ろからとんでもない音が聞こえることは一切無視しましょう。
こういう時こそサイレント・ステップを使ってほしいと思うけど…
たぶん…ロザリアがウサギをと戯れているんだわ、そういうことにしておきましょう、すぐ戻ってくると思うからあたしも準備に取り掛からないといけないわね。
さぁ、まずは野菜の皮をむいて、切って、鍋に入れて、炎のオーブの下に設置して野菜を炒める。
「よし! 後はロザリアがきたらお肉を入れて煮込んでカレー粉を入れて完成ね」
〜〜
ロザリア「おつかれ〜」
花和「おつかれ、ロザリア」チラッ
花和『手がどす黒い色になっているわね…』
ロザリア「う〜ん 野菜のいい匂いが漂ってるね はい、お肉」
花和「あ、ありがと」
ロザリア「あっ!ごめん手を洗ってくるね」タタッ
花和「待って! 水はここにあるからここで手を洗ってきなさい 石鹸もあるから」
ロザリア「ありがたいね」ゴシゴシ
花和「じゃあ、お肉を入れて炒めて、水を注いでカレー粉を入れて煮込めば完成ね」
ロザリア「う〜ん! なかなかいい匂いだねフルーティーな香りもするし、何か違うスパイスをいれたの?」
花和「流石ロザリアね、実は乾燥ハバネロを刻んで炒めてみたの」
ロザリア「乾燥ハバネロ?それは舶来の品なの?」
花和「そうね、本当は生のハバネが良かったのだけれど、瓶詰は重いしかさばるのとで断念したわ それで乾燥タイプの辛みが強いものを買って保存しておいたの 有効活用できる機会があるなんて嬉しいわ」
ロザリア「へぇ〜 激辛かぁ〜 どんな感じなのか楽しみだね」
花和「完成するまでは少し時間があるし自由時間ね」
〜〜
ロザリア「花和、ちょっとアクセサリーを作ってみたんだけどみる?」
花和「なによ? どんなアクセサリー?」
ロザリア「さっき解体したウサギを使ったアクセサリーだよ 幸運のお守りとして有名らしいから作ってみたよ」
花和「へぇ〜… たしかにどこかでウサギは幸運の象徴とか聞いたことがあるけど」
花和『ロザリアのいままでの行い的にこの手の物はあんまり信用できないのよね… どうかまともなものでありますように』
ロザリア「えっと、「ウサギの脚」が幸運の象徴という話をどこかで聞いたので雰囲気で作ってみました」パチパチ
花和「雰囲気って… 確かにウサギの脚をモチーフにしたストラップとかは見たことがあるけど本物なんて見たことないわね…」
ロザリア「花和も本物は見たことないんだね なら! じゃーん! “キョウコクウサギの脚“のアクセサリーで〜す!」パーン
花和「うわっ…」ドンビキ
ロザリア「えっ…なんでそんな反応なの」
花和「いえ、なんかそのまんま“脚”だからビックリしただけよ」
ロザリア「…その反応なら、ウサギの眼球を使ったアクセサリーは見せない方がいいかな」ボソッ
花和「…? ロザリア、まだ何かつくったの?」
ロザリア「!? いいや! 何も作ってないよ!これで全部!」
花和「はぁ、よかったわ ロザリアならウサギの頭蓋骨のコップとか作りそうだものね」
ロザリア「いや! いくら私でもそんな趣味が悪いものは作らないよ!」ホッ
花和「そうね、ロザリアはワイルドなところもあるけどきちんと女の子だものね ウサギの脚もぱっと見は!かわいいし」
ロザリア「…なんか褒められてるような気がしないけど」
花和「いいえ、ちゃんと褒めてるわよ」ナデナデ
ロザリア「もう、花和ったら」ヒコーキミミ
花和『また可愛く尻尾が揺れているわね、安心しているのかしら?』
ロザリア「…なんか昔を思い出すよ」シミジミ
花和「なんだか私もロザリアを撫でていると落ち着くわね」
ロザリア「そうなの! 私ってなんかすごいのかな」ブンブン
花和「確かにすごいわね」
花和『主に尻尾が…』
ロザリア「よ〜し この調子で「角柱」確保頑張ろうね花和!」
花和「そうね、あなたと一緒ならきっとゲットできるわ」
〜〜
花和「そうだわ! みんなに連絡しないと ちょっと席を外すわ」
ロザリア「了解! 私も師匠に連絡でもしようかな…」
…
花和<……………>ザーザー
花和<…>ザーザー
花和「噓っ! 繋がらないわ」
ロザリア「花和、こっちも師匠と連絡がつかない!」
花和「ロザリア、あなたもなの! 原因は何かしら……… もしかして「角柱」が大きな力を出しているから歪んでいるのかしら」
ロザリア「その可能性も無くはないけど… 強大な存在が私たちを妨害している可能性もあるんだよ…」
花和「なら、すぐにここから離れないと」ガタッ
ロザリア「花和!!落ち着いて! 今ここを動くのは安全じゃないよ、カレーの香りで並みの魔物は寄ってこないからここが一番安全だ」
花和「並み以上の魔物が来たときは…」
ロザリア「その時は、そいつを私が殺す…」ゴゴゴ
ロザリア「ふふっ…なんてね まぁ、二つ目は可能性の話だから、カレーでも食べて落ち着こうよ」ブルブル
花和「えっ… ええ…」
ロザリア「はい、カレー」
花和「ありがと…」パクッ
花和「くぅーっ!! おいしいわ! フルーツのようなさわやかな香りが抜けたと思ったらだんだんと体を火照らせる熱気!」
ロザリア「うん からっ!!そしてさわやか〜 ふむ、なかなかだね 私もハバネロにはまっちゃうかも」
花和「そうでしょ、そうでしょ!」
花和「昔、ハバネロカレーを食べてこれだー!って思ったわけよ!」
ロザリア「ははっ! 花和、やけにハイテンションだね これもハバネロの効果かな」
花和「ほんと、お昼にロザリアが作ってくれたカレーも同じくらいおいしいわよ、また明日も作りなさいよ!」
ロザリア「う〜ん、野菜がこれで尽きちゃったから、明日はこの肉しかないんだよね」
花和「なら!カレー粉をまぶしたウサギ肉なんていいんじゃない! ほぼカレーよ」
ロザリア「いいね、これなら手持ちのスパイスだけでもおいしくできるね」
花和「ロザリア!おかわり!」
ロザリア「いい食べっぷりだよ はい」
〜〜
花和「はぁ〜 おいしかったわ」
ロザリア「私もいつもより食べたようなきがする」
花和「鍋の中はもう空ね、少しぐらい残しておきたかったわね」
ロザリア「まぁ、二日目のカレーは美味しいっていうけど、日を跨がせるほど私達は甘くないからね」
花和「それにしてもロザリアはよく食べるわよね、私なんか結局二杯が限界よ」
ロザリア「まぁ、体力を使って魔法を使うから、体力をつけるために多くて食べていたから胃袋が膨らんだのかもしれないね」
花和「あはは! 何それ」
ロザリア「それに消費量がべらぼうに大きいから太らないおまけつきだよ」
花和「ははっ!それはうちの虎徹が聞いたら食いついてきそうな内容ね」
ロザリア「ねぇ、その“コテツ”さんは花和の仲間なの?」
花和「そうね、私のチームメイトよ 「舘島虎徹」 それが虎徹のフルネームよ」
ロザリア「へぇ〜この辺ではあまり聞いたことない響きだね そういえば花和の名前もなんだか珍しい名前だけど、どこから来たの?」
花和「ん? う〜ん」
花和『そういえばあたしがクリエメイトであることは話していないわね 一応私たちはこの世界では有名人?らしいから伝えた方がいいかしら』
ロザリア「もしかして海の向こうとか!」
花和「あの! ロザリア」
ロザリア「??」
花和「あなたはクリエメイトって知ってる?」
ロザリア「ん? ああ、知ってるよ 私自身はそんなに詳しくないけどあの里にはクリエメイトが生活してる、って師匠が言っていたから」
花和「あたし、そのクリエメイトなの」
ロザリア「あっ、そうなの?」
花和「… なんだか反応が薄いわね
ロザリア「う〜ん だって花和は花和だし クリエメイトのことはよく知らないし」
花和「…それもそうね」
ロザリア「あっ!なら花和のことよく知りたいな まだそんな話していなかったからね」
花和「ああ、そういえばそうね」
ロザリア「私は「角柱」が手に入ったら話すっていう約束をしているけど、花和のこと先に聞いても良いかな?」
花和「ええ、いいわよ」
ロザリア「うん じゃあ、花和はなんで「角柱」を求めているの?」
花和「ええとね、あたしの尊敬する人の誕生日で何を渡そうか迷っていて、その時にロザリアの話を聞いて、これなら相手が欲しいものをピンポイントで渡すことができていいんじゃないかと思ったの」
ロザリア「へぇ〜 尊敬する人のためにかぁ… 花和は立派だね」
花和「そ、そんな立派じゃないわよ」///
ロザリア「いいや、すごいよ 私は割と自分のために取りに来たと言って過言ではないからね」
花和「そのひと… ひづめの笑顔が見たいっていう個人的な気持ちが強いだけだわ」
ロザリア「ひづめさんっていうのね、その尊敬するひとは」
花和「そうね、私の尊敬する人だわ 子供の頃ね、ひづめの「自分をしっかり持って、進んでいく」そんな姿に憧れて“先輩”と呼んで慕っていてね、でもしばらく離れ離れになっちゃったの」
ロザリア「離れ離れ… それはきついな、でも再会できたんでしょ」
花和「そう、再会できた時は運命と感じたわ でも再会した時にはひづめは少し変わってしまっていた」
ロザリア「!? ひづめさんに何があったんだ!!」
花和「ちょっと、ロザリア落ち着いて」
花和「私が病気で一週間休んでいるときに、昔所属していたチームと諍いになってひづめが辞めてしまったの」
ロザリア「花和は!昔のチームのことはどう思っているの?」グイグイ
花和「まぁ、そのチームの人たちとは和解が済んでいるから、いまは何でもないけど」
ロザリア「はぁ…よかった…」ホッ
花和「ちょっと、反応が大げさすぎるわよ」
ロザリア「ごめん、なんか他人ごとじゃなくて」
花和「続けるわよ、それで再会したのが今のチームで、でも最初はメンバーにひづめのことや変化を受け止められなくてつらく当たってしまったの」
ロザリア「うんうん!」
花和「で、それでもうちの部ちょ…リーダーのこはねって子はそんな私を受け入れてくれてね、最初は慣れなかったけどひづめや他のメンバーとの距離もだんだん近づいてきてね、成長できたと思うの その恩返しも兼てね」
ロザリア「うん! 花和はとても素晴らしい出会いをしていたんだね、私も師匠に面倒を見てもらわなきゃどうなっていたかわからないからね」
花和「そうなのね、ロザリアは… うん…ロザリアの話は「角柱」をゲットした後だったわね」
ロザリア「いや、今話した方がいいかな せっかく花和が話してくれたのに」
花和「じゃあ! 話しごらんなさい」
ロザリア「ははっ、花和は形から入るタイプ?」
花和「ちょっと! せっかく雰囲気を作ったのに恥ずかしいから言わないでよ!!」///
ロザリア「そうだね、じゃあ、どこから話そうかな〜? !! …花和!伏せて!!」
花和「えっ!何!?」
ロザリア「たぶんヤツが来る!」
花和「奴って!」
ロザリア「ちっ! 警戒していたのに…」
…………
『何が!』
そんな疑問の言葉が強烈な風にかき消された、その風と共に何か巨大なものが地面にぶつかったような衝撃と爆音があたしの意識を一瞬奪った。
「な、なんなの…?」
さっきの衝撃で焚火の炎が消え暗闇に包まれている、隣にいるはずのロザリアの姿を探して、手を伸ばすがその手は空を切り、闇を撫でることしかできていない。
月の光も厚い雲に覆われており無暗に動くことができない。
「どこなの、ロザリア!!」
彼女の名前を呼ぶが帰ってくる様子がない。その間にあたしの目はだんだんと暗闇に慣れ、襲来したものの輪郭がぼんやりと浮かび上がってきた。視界に映ったものは山のように巨大な“何か”だった。
よく目を凝らすとその山の中腹から大きな翼のようなものが突き出し、その頂には渦ようにねじれた角のようなもの生えているのが確認できる。
闇に慣れた目で見えたものは間違いなく「ドラゴン」だった。
「何なの! ドラゴンなの…」
目の前の存在に自然と口から零れた
何度もドラゴンを退治したり、退治されるところを見たことはあるが、目の前にいる「ドラゴン」はある種、別格の存在だと確信した。
圧倒的な存在感に片時も目を離すことができずに地面に釘付けにされているような感覚。まさしく恐怖だ。
体は震え、恐怖から逃れるために仲間の名前をしきりに叫んだ
『ロザリア! たすけて!』
でも、あたしの叫びが声になることはなく、峡谷に吹きすさぶ風に消えてしまった。
永遠ともとれる沈黙の中で声にならない叫び何度上げたかを忘れたころ、あたしの背中に何かが響く感触があった。
「花和 大丈夫、私が奴を殺すから… もうあんなことにはならない!」
確かにそう聞こえたあと、静寂を裂く衝撃があたしを開放してくれた。
「はぁはぁ… ロザリア… あなたなの?」
彼女に問いかけるも、聞こえていないのか歩幅を変えることもなく“ドラゴン“に向かって歩いている。その背中からは同一人物とは思えないほどの邪悪なオーラが感じ取れる。
「…コロス…ドラゴン…コロス…」
と、うわごとのように繰り返し進んでいる。
【ポゼッション】 【アパシオシス】 【リビング・オン・ジ・エッジ】
ロザリアが補助魔法を発動したのか、光が彼女を包み始めた。
「ロザリア…」
彼女の援護をしようにも足がすくんで動けない、これ以上彼女を進ませてしまうと後戻りができないそう感じているのに、何もできないもどかしさをかみしめ、みていることしかできない
魔法の発動が終わったのか、彼女を包んでいた光が大きくなり峡谷を昼間のように照らした。今まで聞こえていた風の音の一切が止み静かになった。
昼間のように明るい中で“ドラゴン”全体が露わになった。
全身が純白のうろこに覆われており、私たちをみる瞳もどこか慈愛に満ちたまなざしのようにも見える。それなのに他者を一切寄せ付けないほどの圧倒的な“存在感”という暴力が呼吸をすることを許していない
「うわっ!このドラゴンはなかなかやばいんじゃないの?おれでも死ぬんじゃないかな? 止まってる時間もあと十秒しかないし作戦はどうしようか?」
【ダンス・ウィズ・デス】
ロザリアからそんな声が聞こえてきた。彼女の表情はこちらからは見えず、性格が豹変したような発言に動揺を隠せない。
「あなた… ロザリアなの?」
ハッと、呼吸を取り戻し彼女の名前を呼んだ
後ろを向いたままの様子で返事が返ってくる様子がないがピリピリと張りつめた空気が伝わってくる。身の毛がよだつほどの異様な気配と不快感。
しかし、それら一切を無視しまた同じ質問を彼女に投げかけた。
「答えなさい! あなたは誰なの!!」
再びの沈黙がその場を支配したが、この零度の空気には僅かだが熱が伝わっているようだ。
しばらくの沈黙のあとしびれを切らしたのかロザリアが背を向けたまま口を開いた
「…っ! うるせーな! おれはロザリアじゃなくてカルミアだ! 覚えておけ!」
【ペインチェーン】
何かを嚙みつぶしたような悲痛な声と、その後の粗暴な言葉遣いの“カルミア”という名前。ロザリアはそれだけ言ってドラゴンに向かって行ってしまった。
光が収束し闇がまた峡谷を支配し始め、その瞬間吹き抜ける風の音が煩く鳴りだした。
空気が破裂したような音が峡谷に響き渡り、ロザリアの歓喜の声とドラゴンの叫び声が交差する。暗闇から時折、ロザリアの剣とドラゴンの爪がぶつかりいたるところで火花が飛び散り、花火のように闇の中で咲いている。
あたしはその景色に目を奪われ無心でその戦闘を眺めていた。空気を裂くように金属音が響き渡り、骨が折れる音や何かが裂けるような生々しい音が響き渡った。
『音がやんだ…』
あの騒乱が嘘のように静まり返った峡谷。吹き抜ける風は濃厚な鉄の匂いが混じってむせ返りそうになる。この戦いの結果を確認するがごとく、厚い雲の間から月が顔を出してきた。
月に照らされた結果にあたしは息を吞んだ。
ドラゴンの牙と牙の間にロザリアの左手が挟まっている。きれいな金髪は血に汚れ、透き通るほどの紫の瞳は潰され、いたるところの肉がえぐられ出血をしている、足があった部分からは、だらだらとどす黒い血が流れている。
「ろ、ロザリア!! なんで!! まだあなたから話を何も聞いていないのに!!」
目の前の恐怖を忘れて彼女に駆け寄った
「う…うる…せえな… おれ…は カルミ…アだっ…ていった…だろ…」
弱弱しいが反応が返ってきた
ドラゴンは興味をなくしたのか、ロザリアを地面に放り投げた。その時のドラゴンの瞳は凍えるような寒さを持っていたが、その中にひどく寂しい色が見えたような気がした。投げられた体は血だまりに落ち、ばしゃりと音がし飛沫が上がった。
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