きららBBS新参者のルナ・ソレイユと申します。
別の所で投稿した作品ですが、細かいところ(場合によっては大きなところ)が違う加筆修正版になります。
あとそこそこ百合要素強めなので注意です。
今、私はとってもそわそわしています。
なぜなら、今日は花名さんとお花摘みにいくからです!
「栄依子ちゃん、冠ちゃん、たまちゃん、またねー!」
花名さんが来ました!…栄依子さんたちの前ではあんな笑顔するんですね…。私は、私は花名さんにとって…。
「クレアちゃん!?はわわわわ…どうしよう…時間間違えちゃったかなぁ…。」
「違いますっ花名さん!わ、私3時間くらい前からいたので!」
「ふぇ、私3時間も遅刻しちゃったの!?」
「い、いえっ!花名さんはあってます!私が早く来すぎただけで…。」
「そ、そうだったんだ…よかった…。」
花名さんと話していたら、いつのまにかさっきまでのブルーな気持ちはなくなっていました。
えへへ、今日は花名さんとせっかくのお出掛けなんですから、楽しみましょう!
* * *
「うーん…前にたまちゃんたちと来たときにはこの辺りにあったんだけど…。」
「見つからないですね…。」
まだギリギリシーズンのはずですが…。私たちはお花探しに難航中です。
「こ、こうしてるうちに、また雨になったら…。」
「それは大丈夫です!今日は1日晴れです!」
「な、何でわかるの?」
「コルクちゃんのお店で売ってた道具を使ったんです!」
「なんでも置いてあるんだね…。」
話していると、あっという間に奥の方まで来ました。
「なかなか見つからないね…あっ!」
「花名さん、どうしたんですか?」
「こ、これだよね!」
花名さんが指で示した先には、探していたお花がありました!
「花名さん、すごいです!」
「い、いや、全然大したことじゃないよ!」
* * *
「どこに飾ろうか?」
「どうしましょう?」
「おぉ!花名ちゃんにクレアちゃん!お花は見つかったんですか?」
里に戻ってすぐ、たまてさ…たまちゃんに会いました。
「うん!それで、どこに飾ろうかって話してて…。」
「ほほう、なるほど…。残念ですが、私には思い当たる場所はないですね…。」
「こっち、きて。」
「わかりました!あ、それではー!」
そう言ってたまて…たまちゃんはコルクちゃんの方へ。お店の手伝いでしょうか?
「うーん…どうしようか…。」
じーっと考えている花名さん。…とってもかわいいです。天使です。はなちゃん…
「クレアちゃん?どうしたの?」
「ふぇ!?な、何でもありましぇん!」
いつのまにか花名さんを見つめてしまっていました!申し訳ないです…。
「あら?クレアに花名じゃない。」
「ん。花、見つかった?」
続いて歩いてきたのは栄依子さんに冠さん。
「うん、見つかったよ!それでね、どこに飾ろうか迷ってるの…。」
「うーん、そうねぇ…。ちょっとクレア、いい?」
そういうと栄依子さんは私を花名さんから離していきます。
「え、栄依子さん?」
「ねぇ、クレア、」
声を潜めて栄依子さんは言います。
「花名のこと、好きなんでしょ?」
「ふぇ!?にゃんでわかったんでしゅか!?」
驚きすぎて、噛みまくりです…。
「見たら分かるわよ。恋する乙女の顔だもの。」
「…。私は、花名さんのことは聖典を読んで知ってはいたんです。でもその時はまだ、かわいい娘だなとしか思っていなかったんです。」
私は気づいたら語りだしていました。
「でも、この前、きららさんといっしょに召喚を行ったときに…」
『一之瀬花名、です』
「って。今思うと、多分一目惚れでした。ですが、その時はまだはっきりとは気づいていなかったんです。ちゃんと気づいたのも、このまえの雷雨の時、木の中でのことでした。」
私の中のふわふわした気持ちが言葉になって出てきます。
「あのとき花名さんがいなかったら、私、のろしを上げることもしていなかったかもしれません。花名さんがいてくれたから、勇気が出てきたんです。私は、これからもずっと、花名さんといたいですっ!」
「はい、よく言えました。それじゃあ、少し手伝ってあげる。…花名もそうだし…ね。」
なんと、栄依子さんが手伝ってくれるそうです!でも、どうやってでしょう?
「ねぇ、花名。その花、召喚の館の中がいいんじゃない?」
栄依子さんは花名さんのところに行ってそんなことを言いました。
「確かに、えーこの言う通り。」
冠さんも賛成します。
「うん、そうだね!じゃあクレアちゃんの召喚の館にしよう!」
「それじゃあ、私たちはこれで。」
「じゃあね、花名。」
「うん!ありがと!」
あれ、お二人とも帰ってしまいました…。
「それじゃあ、いこっ!クレアちゃん!」
こちらに微笑みかけてくる花名さん。かわいい、かわいいですよぉ…。
というわけで、よくわからないまま召喚の館に着きました。
「それじゃあ、開けますね。」
扉を開いて中に入ります。
「うーん…どこがいいかなぁ…」
2人でお花を飾る場所を探します。
その時、外でガタン、という音がしました。
「どうしたのかな…あれっ」
花名さんがドアに手をかけますが、開きません。
…栄依子さんの手伝いってこれですか!
「と、閉じ込められちゃったよぉ〜!」
「…ここまでお膳立てされちゃったらやるしかないです…!」
「クレアちゃん?」
「あのっ、花名さん!」
私は花名さんに向かって言います。
「えぇっと、その…わ、私っ、その…」
花名さんがポカンとしています。…何をやっているんですか、私は!たった2文字ですよ!
「花名さんのことが、、す、す、」
「クレア…ちゃん?」
「好きですっ!付き合ってください!」
…言えた?言えましたよね!
「クレアちゃん、」
でも、ここからです。ドキドキしています。
「わ、私、私も、すっすすすす好きです!ここっこちらこそ、よろしくお願いします!」
と、いうことは、
「花名さん、いいんですか!」
「うん!クレアちゃんだもん…」
「イベントスチルですよ〜!」
ドアがばっと開いて、そこに立っていたのは、たまてさ…たまちゃん!
「こらこら、邪魔しちゃダメでしょ。…でも、おめでとう。」
「ん。おめでと。」
後ろからは栄依子さんに、冠さんまで!
「オメデトウゴジャイマース!」
「お、おめでとうございます!」
「…好きって、美味しいのかな?」
「おめでとー!…ここの壁、お肉みたい!お腹すいたー」
さらにその奥からは里の人たちがたくさん…私の告白、こんな人数に聞かれていたんですね…
「ふえええ…」
花名さんがふらふらしています。でも、
「…!」
こっちをみて微笑んでくれました。
「クレアさんと花名様が付き合うって本当ですかー!」
「こら、ランプ。人の恋路に邪魔しちゃダメだよ。」
* * *
数日後。
「クレア、召喚しよっか!」
「はい!…開きますよ…!」
「病気やケガをしたらすぐに言ってください!」
「い、一之瀬花名です!」
「そ、そうりょの一之瀬花名…」
「えっと、クレアさん?10人全員花名さんなんだけど…」
「す…」
「す?」
「す、すごいです!次回も頑張ります!」
「いや、普通に召喚してください!」
というわけで第1話終了です。
内容的には「友達の友達は友達大作戦」のイベント直後のストーリーです。
BBS投稿は初めてなので至らない点がありましたらよろしくお願いします。
初出:2018年4/22 pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9512637
(第1話終わりましたしageてもいいですよね…?)
拝読させていただきました!
花名クレ、いいですよね…!告白の場面、2人の甘酸っぱい女の子同士の恋の描写がクレアの正直な気持ちを綴るモノローグと相まって、図らずもキュンキュンさせられてしまいました…!
素敵な作品をありがとうございます!
(pixivもフォローさせていただきました!よろしくお願いします!)
尊い…。
えーこちゃんいい仕事しましたね!
いつのまにか花名ちゃんを見てしまったり、えーこちゃんにバレて噛みまくってるクレアちゃん、可愛いすぎる。
地の文(?)がクレアちゃんの心情を上手くかけてて良かったです。
花名ちゃんとクレアちゃんの絡みは改めて見ると素晴らしいです
誰が喋っているか、読んでいたら分かる表現だったので、なかなか斬新な表現方法でした。
本当に素晴らしい作品でした。これからも頑張ってください(私も頑張らなければ・・・並行執筆中の作品が大量に)
>>14 >>15 >>16
あばばばっ!まさかきららBBSを代表するss書きのお三方に読んでいただけるとは!ありがとうございます!
皆様の作品も楽しみにしています!
(アヤヤクスの人様、フォローありがとうです!実は以前から非公開でですがフォローさせていただいておりました!)
pixivに投稿されてる方が新たに現れるとは…。
イベントシナリオを踏まえた後日談、という感じで元シナリオとオリジナル要素が上手くかみ合ってて良かったです。
百合要素は警告するほどでもないように思いました。(←警告なしでTrick、警告ありの場合は百合子作りとか投稿する人)
>>18
お読みいただきありがとうございます!
一応このあとゴニョゴニョ…な予定(pixivに上げてるのでネタバレでもないですが)なので警告させていただきました。
それではこれから第2話…ではなく、第1話のおまけを投稿していきます。えーこちゃん視点で、クレはな分はほぼない補完的な位置のおまけです。この話に関しては特に重要とかでもないので読み飛ばしてもらって大丈夫です。
〜おまけ〜
「それじゃあ、私たちはこれで。」
「じゃあね、花名。」
「うん!」
よし、クレアの告白を成功させるために、一肌脱ぎますか!
「えーこ、なにするの。」
「ふふっ。かむにはわかったかー。」
私はかむにクレアと花名のことを話す。
「なるほど。」
話しながら、見つからないようにそっとついていく。
「それじゃあ、開けますね。」
クレアたちが中に入ったわね。
私たちは急いでドアのそばへ。コルクのところで買った南京錠をつける。
「おや、お二人とも、どうしたんですか?」
「うん、ちょっとね。」
「お、ここから見えますね、…なるほどぉ〜。イベントスチルですねぇ〜!」
もう、たまは相変わらずなんだから…
「オハヨウゴジャイマス!クレアはいマスか?」
「えっと、今は無理かな」
「ワォ!コクハクってやつデスね!」
「あ、わかった?」
相変わらずカレンは元気ねー。
「こ、告白ですか!?」
声をあげてるのは青葉さんね。
「えぇ、そうなんですよ。」
「誰に、なんですか!…って女の子同士じゃないですか!」
「食べ物?食べ物なの?」
「恋って甘酸っぱいって言うしねー」
二人で来たのは千矢とるん。今日はトオルはいないのかしら。
…ゴンって音がしたのをみてみると、かむが頭を抱えてた。
「痛い。」
「あれっ、閉じ込められちゃったよぉ〜!」
「あのっ花名さん!…その…」
うーん、よく聞こえないし、見えないわね…
「おお、クレアちゃん、いきますか?」
「よく聞こえないデース!」
「好きですっ!付き合ってください!」
お、しっかりとした声。ちゃんと言えたみたいね。さて、花名は…
「クレアちゃん、わ、私も好きですっ!こちらこそ、よろしくお願いしますっ!」
うん。これで、私の役目はおしまい。南京錠をはずして、と…
「イベントスチルですよー!」
…うん。まあこうなるわよね。
「こらこら、邪魔しちゃダメでしょ。…でも、おめでとう。」
目を回している二人。でも幸せそう。
…さて問題なのは。
「………。」
この固まってるたまの方かな。
おまけ終了です。第2話も近いうちに投稿しますのでそちらは読んでいただけると嬉しいです!
初出:2018年4/22 pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9512637
お待たせいたしました!第2話です。この話は花名視点です。
pixivには未投稿の作品です。楽しんでいただければ幸いです。
「それで?あの告白から3日たったけど。」
うぐっ
「恋人らしいことはしたの?花名?」
うぐぐっ栄依子ちゃんがぐいぐいくるよ…
「えっと…ほら!おととい、クレアちゃんに召喚してもらったよ!」
「それはクリエメイト全員、でしょ?」
「うぅっ。そ、それじゃあ恋人っぽいことってどんなことなの?」
「うーん…そうねえ…一緒に住んでみる、とか?」
「ふえぇ!?いいいいっしょに!すすすすすすむ!?」
「いいです!いいですよそれ!花名さん、一緒に住みましょう!」
あれれっ!クレアちゃん!?
「大丈夫です!お部屋はたっぷり空いてます!」
「こ、心の準備が…」
「大丈夫です!私はバッチリです!」
「それに、人が一人増えたら迷惑だと思うし…。」
「全然迷惑じゃないですよ!むしろうぇるかむです!」
クレアちゃんは優しい。でも…
「ごめんね、やっぱ無理っ!」
私は恥ずかしくなって、走って逃げちゃった。
「…花名さん。」
* * *
よくよく考えたら、なんで私に告白したのか分からない。
こんな私に告白するとしたら…罰ゲーム?それならありえるかも。
あのときは告白されて舞い上がっちゃってOKしちゃったけど、本当は断ったほうがクレアちゃんのためだったのかな…
「あれ、花名。」
「コルクさん!なんでここに…」
「なんでって…ここ、商店。」
あ、本当だ。私、こんなところまで歩いてきちゃったんだ…。
「浮かない顔。私で良ければ相談に乗る。」
「コルクさん…私、わからないんです。クレアちゃんが私に告白なんかしてくれた理由が。私にはいいところなんてないし、そんな私に告白したのもなにかの罰ゲームだったりするのかなって…。」
「…花名はいくつか大きな勘違いをしている。」
「え?」
「花名にいいところがない訳、ない。もしも本当にいいところがないなら、私達も友達になっていない。」
そ、そうなの、かな…?
「それに、クレアはそんなことで告白するような人じゃない。そんなことをする前に、その罰ゲームを考えた人を怒る。そんな人。」
そっか。クレアちゃんはそんなことしない。
「花名さーん!」
クレアちゃんの声!
「クレアちゃん!」
「ごめんなさい。一緒に住むのは早すぎましたよね…。花名さんの気持ちも考えず…」
「ううん、私の方こそごめんね。いろいろ勘違いしちゃっていて…。クレアちゃん、私からお願い。いっ一緒に住んでくだひゃいっ!」
「花名さん…!さっそく婚姻届…じゃなくて、転居届を出さないと、ですね!」
「うんっ!よろしくね、クレアちゃん!」
クレアちゃんの笑顔。えへへ、明日からは毎日見られるかな?
「…同居の話だったのか。」
* * *
「今日からここがお家…」
「そうです!花名さんと私のお家です!それにしてもずいぶん遅くなっちゃいましたね…。今日はもう寝ましょうか。」
「そうだね…あ、でも私の布団がない!」
「それなら、私のベッドで寝ましょう!」
翌日、布団を持ってきたからそれぞれ別に眠ろうとしたんだけど、寂しくなって結局同じベッドで寝たの。えへへ、クレアちゃんの寝顔…。
というわけで少し短めですが第2話終了です。
もうすでに作成している作品の間に新たなストーリーを挟むの苦労しますね…!
第3話も近日中に投稿しますのでお読み頂けると嬉しいです!
初出:書き下ろし
あぁ〜今回も尊い!
そのまま婚姻届だしてしまえ!!
今回は花名ちゃん目線ですか。告白を断ろうかなと考えてるちょっとネガテイブな所があるけど、それでも良い方向に持って行けてるのが良かったです。
(自分も作品を急ピッチで仕上げて投稿しないと…)
>>34
ありがとうございます!はなたまもいいですよね!
>>35
前回に引き続きありがとうございます!脱出かおすの人です様の次の入れ替わりのSS、楽しみにしています!
長らくお待たせいたしました。第3話です。
時系列ではイベント「けいおん!エトワリアライブ!」直後です。
もともと他のキャラクターも登場していたのですが、「ゆっくりでも、がんばりますっ」に投稿するに際し、他のキャラクターはカットしました。そのため、一部わかりづらい部分があると思いますがご了承ください。
「それでね〜、なんとか勝てたんだよ〜」
唯さんが、ほかの地域であった音楽祭について話してくださっています。
「すごいなぁ…。私なんかがステージに立ったらきっと大変なことに…。」
「そんなことないです!花名さんならできます!」
全く、花名さんは本当に弱気です…。そこがいいんですけど!
「お、ゆいゆいにぐいぐいにはなっちじゃーん!なんの話してるの?」
「おっ、テルちゃん〜!あのね〜音楽祭があってね〜」
照さんがやって来ました。あ、でもこの音楽祭のことを話すと照さんは…。
「そんな面白そうなこと、何で誘ってくれなかったの〜!よし、こうなったら、この里で音楽祭をやろう!フル☆フル再結成だよ!」
「ふるふる?」
こうなりますよね…。
実現するんでしょうか?…しそうな気がします。もしするなら…。
「花名さんと出たい…。」
「クレアちゃん?」
「え、口に出てましたか?」
「うん…。私は、人前で歌うのはちょっと…。」
「ですよね…。」
それでも、花名さんと出たいです…。
* * *
「なるほど…。」
「…やっぱり、いっしょに出てもらうのは無理でしょうか…。」
花名さんと同じ世界から来た栄依子さんたちに相談しているのですが…。
「無理って訳では…ないと思いますけど…。」
「がんばれ」
たまてさ…たまちゃんも冠さんも、あまりいい案はないみたいです…。
「…あぁ、もう言っちゃっていいかしら…。」
「えーこ、どうしたの。」
「実は少し前、花名が私のところに来たのよ。」
「そうなんですか?」
「えぇ。あなたたちって似てるわね。…花名も、クレアから誘いを受けたって相談しに来たの。」
…どう断るかの相談でしょうか。
「そんな暗い顔しない。花名は、クレアといっしょに出たいけど、うまく歌ったり踊ったり出来る気がしないって。」
「花名さん、私といっしょに出たい。…ふふっもう、そんなことなら早く言ってくださいよぅ…。」
私は、花名さんがいるであろう召喚の館に向けて走り出しました。
「全くもう、あの二人は。」
* * *
その日、召喚の館に帰ると、花名さんは部屋に籠ってしまっていました。ドアをノックすると、
『クレアちゃん?ごめんね、今はちょっと…。明日の朝にしてくれると嬉しい…かな。』
っていったきりです。昨夜は久しぶりに一人で寝ました。
そして長い夜を経て朝です。
「クレアちゃん。あの…えっと…。」
す、すごくいいづらそうです…。
「私ね、色々調べてみたんだ。ダンスの本、歌の本。エトワリアの聖典も読んでみた。…それでね、私、クレアちゃんとこれ、音楽祭で踊りたい!…です…。どうかな。」
そう言って花名さんは一冊の本を渡してきました。
…私、花名さんと音楽祭に出たいっていうことしか頭にありませんでした。
「やっぱり、花名さんはすごいです。」
「ふぇぇ、そんなことないよっ。…私が、こうやって調べたのも、栄依子ちゃんに相談したからで…。そ、それで、どうかな…。」
花名さんの持っている本に載っていたのは、巫女服で踊る鎮霊の儀。これなら…
「私、小さい頃踊ったことあります!」
「本当?じゃあ、いっしょに…。」
「出ますっ!出ますっ!むしろ教えさせてくださいっ!手取り足取りっ!」
「う、うん、よろしくね…。」
よぅし、そうと決まったら、トレーニング場に急ぎますよ〜!
* * *
その後は毎日練習しました。そしてついに本番です。
「ややっやっぱり無理だよ…」
怯えて震えてる花名さんも可愛いですが、
「大丈夫です。あれだけ練習したんですよ?それに、その巫女服も似合ってます!自信持ってください!」
「クレアちゃん…!そうだよね、クレアちゃんが一緒にいるんだもん…。」
こうやって気合いを入れている花名さんも可愛いです!
『続きまして、エントリーナンバー5番、フラワーフラワーズです』
…私達の番です。この階段を登ればステージです。けれども急に失敗したらどうしよう、そんな考えが頭に浮かんで…もしも花名さんの足手まといになってしまったら…
「クレアちゃんも可愛いよ。」
それは魔法の言葉でした。足の震えが取れて、花名さんだけが見えるようになっていました。
「いくよっクレアちゃん!」
「はいっ!花名さん!」
私達はステージに上がって行きました。
* * *
「お、終わった…。」
「かわいかったですよ、花名さん。」
「そんな…クレアちゃんこそ。」
頬を染めて照れる花名さん、かわいいです!
「それでは、おうちに帰りましょうか。」
「うん。」
お互いに手を出し合い、それを繋ぐ。
…まだ、キスもしてないですけどね。
第3話これにて終了です。
他のチームに関しては、pixiv版をご覧下さい。
クレはなだけ残すと結構短くなりますね…pixiv版の方はどちらかといえばフル☆フル組がメインなので少し印象が違って見えると思います…というか違いすぎて私がびっくりしています。
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9946137 ・書き下ろし
第4話です。
イベント「海の家オブザイヤー」とほぼ同じ時期になります。
「私、海にいってきます。」
クレアちゃんが唐突にそんなことを言ってきました。
「ど、どうしたの?急に」
「いえ、ランプさんにイベントのゲスト審査員を頼まれてしまって…。」
「…そうなんだ。」
「あ、でもでも、イベントが終わったら、大急ぎで帰ってきます!心配しないでください!」
…でも、クレアちゃんはみんなの水着姿を見て帰ってくる。なのに私は家で、いつもの僧侶の格好で…。く、クレアちゃんに飽きられちゃう!
…そっか。好きな人に水着姿を見せたいって、こういう気持ちだったんだ。
「クレアちゃん!私もついていっちゃ…だめ?」
きっとクレアちゃんは迷惑だって思っているんじゃないかな。
それでも私は、クレアちゃんがいない生活に耐えられる気がしない。一日だって嫌だ。
「…!もちろんですっ!花名さんの水着…えへへ…。」
よかったぁ…。
でも…やっぱりクレアちゃんは私の事花名さんって呼んでる。
ランプちゃんを見てたら、私たちクリエメイトがこの世界でどれだけ重要な立ち位置かはわかる。わかる、けど…
『カレン様!すごいです!見事な金髪です!』
『そ、そんな!呼び捨てなんて無礼なこと!』
『花名様と付き合うって本当ですかー!』
…変なことまで思い出しちゃった。思わず顔が赤くなる。
「…クレアちゃん。水着、いっしょに選んでくれる?」
慌てて思考を別のことに切り替える。
「いやです。」
「それじゃあこれから用意を…って、え?」
つまりクレアちゃんは、私の水着姿を見たくないってこと…?
まっまさか、もうとっくに飽きられて…
「花名さんの水着は、海で見せてください!今どんな水着か知っちゃったら、お楽しみが減っちゃうじゃないですか!」
クレアちゃんはそんなことをいってくれた。そんなこと言われちゃうと、気合が入っちゃうよ!
私は荷物をもつと、コルクさんの雑貨屋に行った。
* * *
水着って、やっぱりすごい種類あるな…。
どれを着たら、クレアちゃんにアピールできるかな…?
ピンク…はクレアちゃんと被っちゃうよね。オレンジや水色はいつもの服の色と変わらないし…。
「ご所望は?」
後ろからコルクちゃんが話しかけてきた。
「え、えぇと…クレアちゃんってどんな水着がいいのかな?」
「花名の来た水着ならどれでもクレアは喜ぶ。」
「それは…」
確かに、どれを選んでも、クレアちゃんは微笑んで、かわいい、といってくれると思う。けどそれじゃあ…だめだよ。
全力でアピールして、クレアちゃんにまだまだ一緒にいたいって思ってもらわなくちゃ。
* * *
結局、あれから一時間ほど悩んで、ちょっと攻めたライムグリーンの水着を買ってきた。
とりあえず、明日の用意をしないと。
水着は服の下に着ていくとしてあとは…日焼け止めと、ビーチサンダルと、タオルと…よしっ、これくらいでいいかな。
あとは…。
「クレアちゃん、おやすみ!」
「花名さん、お休みなさい!」
しっかり寝て、体力を温存させとかないと。
私たちはいつも通り布団のなかで抱き合って寝た。
* * *
次の日。パジャマから着替えて昨日準備したバッグを持った。もうすでに下に行っていたクレアちゃんと合流する。
「えへへ、それでは行きましょう!」
クレアちゃんの花のような笑顔。かわいいな…。
「は、花名さん?どうしたんですか?」
…!いけないっ!クレアちゃんにいつの間にか思いっきり抱きついちゃってた!大急ぎで体を離す。
「あ…。」
「クレアちゃん?」
「…いえ、なにも。」
クレアちゃんのテンションが下がってる。これ絶対私が抱きついたからだよね…?
「よし。」
クレアちゃんが小声で気合いをいれて、
「花名さん、繋ぎましょう。」
手を差し出してきてくれた。やっぱり優しいな…。
海についたら離れ離れになっちゃうけど、今だけはクレアちゃんを独占したくて、
クレアちゃんの手を握った。
* * *
「海ですよー!」
クレアちゃんが走り出す。
「ま、待ってよクレアちゃーん…」
字面だけ見たら微笑ましいかもしれないけれど…
「まっ…もご」
息も絶え絶えに走ってたから転んじゃった…。
「は、花名さん、大丈夫ですか!?」
クレアちゃんが助け起こしてくれる。えへへ、クレアちゃんの手…。
海沿いにある海の家へ。宿も併設されてるみたい。
「それでは…ミーティングがあるので…行ってきます。」
「あ…うん。」
クレアちゃんがいっちゃった…。
* * *
しばらく待ったけれど…帰ってこない。
もう4時間経ったよねと思って時計を見ても4分しか進んでなかった。
私は鞄に入れてきたアルバムを取り出した。
その名もクレアアルバム。略してクレア!
「不思議だな…。まだクレアちゃんと出会って4ヶ月しかたってないなんて…。もう何年も経った気がするよ…。」
アルバムのページをめくると、クレアちゃんとはじめてあったときの写真。
『す、すごかったです!次回も頑張ります!』
私が聞いたクレアちゃんの最初の言葉。
そしてそのあとすぐ風邪を引いちゃって…。
今思えば、その風邪を引かなければ私、クレアちゃんと仲良くなってなかったんだな…。
風邪に感謝、だね。
『友達の友達は友達大作戦です!』
友達が一人もできなかった私のために頑張ってくれたクレアちゃん。
『もうっ!何で花名さんはそんなに優しいんですかぁ!』
酔ったときのクレアちゃんの写真もあった。怒りながら人を誉めてたクレアちゃん。
『大丈夫です!ちょっと待っててください!』
お花を探しにいったところで迷って大雨になって。もう帰れないんじゃないかって諦めていた私とは違って、クレアちゃんは帰る方法をずっと考えていた。
そんなクレアちゃんに憧れた。
でもそれだけじゃない。
木の中にいたときのちょっと弱気なクレアちゃんを守っていたくなった。
誰よりも華やかに笑うクレアちゃんを、ずっと見ていたくなった。
気配りができて優しいくて時にちょっとドジなクレアちゃんと、ずっといっしょにいたくなった。
私はきっと、最初からクレアちゃんのことが好きだったんだと思う。
* * *
アルバムを見ていたら、3時間くらいたっていた。
でもクレアちゃんが帰ってくる気配がない。
私は服を脱いで水着姿で外に出た。
「ちょっと陽子!」
「学園生活部のみんなも来ればよかったのに…。」
「いきマスよ…そぉい!」
「そんなに強く、打たないでよ…。」
「眼福です!」
「こーら、何見てるのかなー?」
クレアちゃんは…居た!
「おーい、くれ…」
呼ぼうとして気づいた。
「もう、やめてくださいよ由紀さん…」
私がいなくても…いや、私がいない方が楽しそう。
「…帰ろう。」
私は後ろを向いて駆け出して…。
「へぴっ」
転んだ…
そういえば、今日の朝も同じように転んで…
「は、花名さん、大丈夫ですか!?」
そう、こんな風にクレアちゃんが…ってクレアちゃん!?
「なんで、帰ろうとしていたんですか?」
「だってクレアちゃんが…。私がいなくても楽しそうに…」
「それは違いますっ!」
「だって!く…」
反論を言いかけた私の口を、何かが塞ぐ。
やわらかくて、あたたかくて、やさしいもの。
…これって、もしかして、
「ぷはっ」
と思ったところで唇が自由になった。
「あ、ほえ、い、いみゃにょっふぇ…」
違った。まだ自由じゃなかった。うまくしゃべれないし、頭もぼーっとする。
「これでも、信じてもらえませんか?」
でもクレアちゃんの言っていることはわかる。
「花名さんは自分がいなくても、なんて考えないでくださいっ!私、花名さんのせいで、花名さんの事しか考えられなくなったんですから、責任とってくださいね!」
私、勘違いしてたのかも。
飽きられたらどうしようって勝手に暴走して、勝手に思い違いをして、勝手に諦めて…。
「ちなみにですけど、今の、はじめてだったんですよ?」
クレアちゃんはそう言って、小悪魔っぽく笑った。
* * *
「クレアちゃんといっしょに来た、一之瀬花名です…ええと、ええと、以上、です。」
私はなぜか、クレアちゃんが審査員してたイベントのお疲れさま会二次会に参加しています。…全員水着で。
「るんちゃんが花名とクレアが付き合ってるって言ってたけど、本当?」
私は思わずお茶を吹き出しかけた。
「そ、それはその!」
「もちろん付き合ってます!さっきキスもしたんですよ!」
「あら、花名もやるじゃない。」
「オメデトウゴジャイマース!」
「秋月くんが喜びそうなシチュ…」
「…あれ?女の子同士だよね?」
「私もよくわかりませんが…。この間よりもパスが強くなってる気が…。」
ちょっと大変だったけれど、居心地はそんなに悪くなかった。
「クリエメイトの方々とキスだなんて…。」
「おーい、ランプ?」
* * *
「花名さん?着替え終わりましたか?」
「…クレアちゃん。」
「どうしました?」
「…下着忘れた…。」
「…貸しましょうか?」
「いいの?」
「はい!…ちゃんと保存しておきましょう…」
「何か言った?」
「い、いえ!何も!」
〜おまけ クレアのひとりごと〜
「クレアちゃん!えいっ!」
「もう、やめてくださいよ由紀さん…それは花名さんにやってもらうつもりだったんですよ?」
「そーなんだ!ごめんね…?」
別にいいですけど…
ってあれは花名さんじゃないですか!花名さんの水着花名さんの水着花名さんの水着花名さんの水着花名さんの水着…
…あれ、海の家の後ろに入っていきますが、向こうは帰り道しかないはず…ま、まさかっ!花名さんはなかなか帰ってこない私に愛想を尽かして…
いやっ!いやですっ!花名さん!行かないでくださいっ!
私は夢中になって飛び出しました。
第4話終了です。
…よく考えたらこの作品、終わりが無いのでどこかで終わらせないとです…
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9996305 (本編)・書き下ろし(おまけ)
クレアが積極的になってたり、変化を感じられるのが良いです。
終わらせなくても、短編集、オムニバス的な感じで発想が出てくる限りor飽きるまで続けるのもいいと思います。(自分がそんな感じのことをやってますが、だんだん更新が遅くなってきてますね…)
>>65
引き続きありがとうございます!
発想が出てくる限り、ですか!頑張ってみます!
あと934…どこまで埋められるかですね!(違う、そうじゃない)
「責任とってくださいね!のところがすごい良かったです。
って、まさか1000レス目指すのですか!?ハピシュガの人超えますよ!?
>>67
ありがとうです!
さすがに1000レスは冗談ですよ!行けるとこまで行って、飽きるか思いつかなくなったら辞めるというのを実践しようかと。
ハピシュガssは初めて見たときは負けたと思いましたね…。あれだけの量であれだけのクオリティ…
第5話です。
それぞれの視点で進んでいきますが、まずは花名からです。
今日も、いつも通りクレアちゃんと同じベッドで目覚めた。
今日は私が先に起きたみたい。…クレアちゃんの寝顔、かわいいな…。
「えへへ…。」
クレアちゃんは夢を見ているのかな?どんな夢を…
「ダメだよポルカぁ…。」
…。
私、夢ではポルカさんに負けてるのかな…?
* * *
「花名さん…?」
私は今、朝御飯を食べてる。
「花名さん…。」
食べて…。
「花名さんっ!」
「!クレアちゃん?」
「どうかしたんですか?さっきからサラダつついてるばかりですけど…。」
「…なんでもないよ。」
「そうですか…。」
「…私、ちょっと一人で出掛けてくるね。」
「…!なら私も…。」
「…今日は一人で行きたい、かな。」
「でも、お出掛け中に『コール』されたら…。」
「今回もパーティーには組み込まれてないから大丈夫。」
「…そう、ですか…。」
私は朝ごはんに全く手をつけずに館を出た。
* * *
「いらっしゃい!ってお?花名じゃねーか!どした?マスターロッドでも強化しに来たか?」
私は鍛冶屋にやって来た。…クレアちゃんとの関係を聞き出さないと!
「あ、あのっ!ポルカさんは、クレアちゃんとどういう関係なんですかっ!」
「え、クレアと?…幼馴染み?」
疑問形、怪しい…。でもこれ以上の情報ももらえなさそう…かな。
「…わかった。ありがとう…。」
「ちょ、ちょい?」
私は鍛冶屋を出た。
* * *
「花名か。スロウライフリゾートに何か置きたいのか?」
「い、いえ、そういう訳じゃなくって、その…カンナさんって、ポルカさんと幼馴染みですよね?」
「まあそうだが?それがどうした。」
「じゃあ…ポルカさんとクレアちゃんって、どういう関係なのっ!」
「どういう…と言っても、普通の友達だったな。」
「ほ、本当に?」
「何を気にしているのかわからないが…。クレアはお前にぞっこんだぞ?昨日も見回りと称してのろけに来たしな。」
「そこまでクレアちゃんは…えへへ…。」
ってそうじゃなくて!
それじゃあクレアちゃんは、いったいなんの夢を見ていたの?
* * *
建築屋から出て、一人歩いていると、
「あ、花名ちゃんだ!やっほー!」
「優さん…だよね?」
「もーっ!優ちゃんってよんでよー!なんか違和感しなかないよー!」
なんか後ろからSBJKな視線を感じるけど…無視しておこう…。
「それで…。なにか悩んでたの?…クレアちゃんがらみ?」
「…!何で分かったの?」
「だって花名ちゃんが悩むことってそれしかないでしょー?」
「私も他の事で悩んだり…するよ?」
「例えば?」
頭のなかでクレアちゃんがくるくるしてよく考えられないや…。
「まーま、それより、なにか少しでも気になったことがあったら、直接聞いた方がいいと思うよ?」
「ちょ、直接…?」
「そう!…本当に大切に思っているならさ、クレアちゃんだって、今の花名ちゃんの事見て、なにかおかしいって思うはずだよ?だからさ、少なくとも何でもない、で済まされることは無いと思うよ?ほら、ばしっと聞いてきちゃいなっ!」
「う、うん。」
それもそうかもしれない。そうと決まったら、今すぐ館に帰らなきゃ…!
* * *
というわけで、私は召喚の館に帰ってきた。
「ただいま、クレアちゃん。」
「おかえりなさい、花名さん。」
…。
「「あのっ!」」
「あ、先にいいよ…。」
「いえ、お先に…。」
「いやいやっ!先に…。」
…なんか無限に続きそう…。
「…クレアちゃん、今日、なんの夢を見ていたの?」
「え、夢、ですか?えぇっと、花名さんと、えっと、その…今よりも、その親密に、その…なる夢です…。」
「ポルカさんは出てきたの?」
「ポルカ、ですか?あ、なんかちらっと出てきた気も…。なんか唐突に部屋に入ってきて、私が今はダメって…。」
「本当に…?」
それじゃあ私は、なんの罪もないクレアちゃんを疑っちゃったってこと…!?私は思わずクレアちゃんに
「クレアちゃんっ!」
「うわっ!急にどうしたんですかっ!」
抱きついた。
「ごめんねっ!私、クレアちゃんの寝言、一部分だけ聞いて誤解しちゃってた!」
「いえっ!私もすみませんっ!花名さんっ!私、花名さんが悩んでいたの気づいていたのに、なにもできず、浮気まで疑ってました!」
「…じゃあクレアちゃん。これからは私の事、花名って呼んで?」
「…!それでしたら、私の事もクレアって呼んでくださいっ!」
「じゃあ、…クレア。」
「はい…花名さん。」
私たちは、そのまま流れるように、
キスをした。
何か焚きつけてしまったでしょうか…w
シリアス長編とほのぼの短編は比べるものでもないですからね。皆さんが言ってるように書きたいものを書いていくのがいいと思います。
今より親密になる夢…実践しようと言い出さないのが花名ちゃんの奥ゆかしいところですね。
恋愛物って、交際開始で終わることが多いから、その後のとりとめのない会話で笑ったりすれ違ったりを書いていくのは貴重だし尊いです。
>>78
いえいえ!そこそこ先まで構想はありますし、それまでは書ききりたいなと。
このあとちょこっとシリアスになったり、またほのぼのになったり、方向性は定まりませんが…
実はこの作品も元は1話だけだったのですが、ここでは第3話に充てている「里の学園祭!」にちょい役で出したときにもっと書きたい、と思ったので続編を書いた…みたいな経緯があったりします。なので別に書きたくないものを書いたりとかそういったことはないです!
尊い…
あの寝言を使うところとキスの流れが[クレア→花名]から
[クレア→←花名]になったところが良かったです。
>>80
ありがとうございます!
あの寝言はどこかで使いたいと思っていたんです!
ビーチバレー絡みもどこかで使いたいです!
クレアは私が書くとなぜか愛の重い変な娘になってしまってクレア→花名感が強くなってしまうのですが、この回から花名も壊れてくるかなという印象です。
後半です。クレア視点です。
内容としては花名視点と全く同じです。
今日はなんだか花名さんの様子がおかしいです。
「花名さん…?」
私たちは朝ごはんを食べているのですが…。
「花名さん…。」
反応が帰ってきません。
「花名さんっ!」
「!クレアちゃん?」
やっと気づいてくれました。
「どうかしたんですか?さっきからサラダつついているばかりですけど…。」
「…なんでもないよ。」
「そう、ですか…。」
「…私、ちょっと一人で出掛けてくるね。」
「…!なら私も…。」
「…今日は一人で行きたい、かな…。」
花名さんからの拒絶。でも、私は諦めきれなくて、聞きます。
「でも、お出掛け中に『コール』されたら…。」
「今回もパーティーに組み込まれてないから大丈夫。」
「…そう、ですか…。」
あえなく撃沈。
花名さんは朝ごはんにほとんど手をつけずに家を出ました。
うぅっ。花名さん、心配すぎますっ!私は花名さんの跡をつけることにしました。
* * *
最初はポルカの鍛冶屋。
…なんでここなんでしょう?
あ、花名さんが出ました!私は鍛冶屋にすぐさま入ります。
「お、おう、いらっしゃい、クレア。どうしたんだ?」
「さっき花名さん、いましたよね?」
「お、おう…。」
「なんの話をしていたんですか?」
「なんか花名にクレアとの関係を聞かれただけだぞ?」
どういう事でしょう…?私は考えながら鍛冶屋を出ました。
「あ、ちょっと待て、クレア!…。どうしたんだ今日は?」
* * *
その後花名さんはカンナさんのところにも行ったみたいですが、こちらも同じような内容の話でした。あまり収穫のないまま建築屋を出ると、
「優ちゃんのバカぁ…。何で花名ちゃんとあんなに楽しそうに…。」
「春香…さん?」
「…!く、クレアちゃん!…見てた?」
「えっと…。」
「あれ、そういえば、クレアちゃんは花名ちゃんと付き合っているんだよね?」
「そうです…。」
「じゃあ、優ちゃんは私という親友を、花名ちゃんはクレアちゃんという恋人を捨てて、2人でいちゃいちゃしているってこと…?」
そ、そんなっ!
「で、でもっ!花名さんはそんなこと…」
「優ちゃんだってそんな事する子じゃないもん!だけど…。」
『本当に大切に思ってる…花名ちゃんの事…』
『え、ええと………うん。』
「これってどう聞いても告白でしょ!?」
い、いや、よく聞こえないですし、さすがに飛躍しすぎでは…。
「優ちゃんのバカぁ!こうなったらとことん問い詰めてやるぅ!クレアちゃんもそうした方がいいよ!」
そういうと春香さんは走っていきました。
私にも聞きたいことはありますし、花名さんより先に召喚の館で待っていましょう。
* * *
私が館に帰って少しした後、花名さんが帰ってきました。
「ただいま、クレアちゃん。」
「おかえりなさい、花名さん。」
…。
「「あのっ!」」
「あ、先にいいよ…。」
「いえ、お先に…。」
「いやいやっ!先に…。…クレアちゃん、今日、なんの夢を見ていたの?」
「え、夢、ですか?」
唐突に聞かれました。
…。思わず赤くなる。もう…花名さんの、えっち…。
「えぇっと、花名さんと、えっと、その…今よりも、その親密に、その…なる夢です…。」
「ポルカちゃんは出てきたの?」
「ポルカ、ですか?」
斜め上の質問です!
「あ、なんかちらっと出てきた気も…。なんか唐突に部屋に入ってきて、私が今はダメって…。」
「本当に…?…クレアちゃんっ!」
「うわっ!急にどうしたんですかっ!」
花名さんに急に抱きつかれました!
「ごめんねっ!私、クレアちゃんの寝言、一部分だけ聞いて誤解しちゃってた!」
「いえっ!私もすみませんっ!花名さんっ!私、花名さんが悩んでいたの気づいていたのに、なにもできず、浮気まで疑ってました!」
「…じゃあクレアちゃん。これからは私の事、花名って呼んで?」
「…!それでしたら、私の事もクレアって呼んでくださいっ!」
「じゃあ、…クレア。」
「はい…花名さん。」
私たちは、そのまま流れるように、
キスをしました。
というわけで第5話終了です。
前半と大して変わらない内容ですが、少しの違いを楽しんで頂けると嬉しいです!
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10066254
ちょこっと便利かも機能
うまくいけば次回からは何話終了ですとか書いてるあのレスに(具体的には >>88 みたいなやつ)組み込もうかと思います。
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
花名とクレアのめんどくささ(悪い方に考えすぎるようなところ)が、繊細な心理描写と合っていて良いです。それ故に実はカップルとしての相性はあまり良くないのでは?という部分を周囲が上手く支えられているように思います。
>>90
ありがとうございます!
むしろあのシーンを書きたいがために前半に優ちゃんを出した経緯も…
「視点を変えて同じ話」は結構私も使う手なのでそう思ってもらえたなら成功です!
>>91
ありがとうございます!
「カップルとしての相性はあまり良くない」バレてしまった感が…!
周りの人も今まで不安定だった花名やクレアが落ち着ける相手を見つけたから応援している感じはありますよね!
少し遅くなってしまいましたが、第6話…前半です。今回もクレア編と花名編がありますが、今回は第5話と違って書き出しと最後以外は全く別の話になる予定です。
あと一つ申し訳ないことが…
第5話前半、後半、共にラストシーンで「花名さん」と呼んでいますが誤字です。正しくは、「はい…花名。」となります。本当に申し訳ないです…
目が覚めて、一発目で赤面しました。
『じゃあ、…クレア。』
『はい…花名。』
花名さんを呼び捨てだなんて!
あのあと、夜ご飯を食べて、お風呂に入って、寝て…ずっと無言でした。
きっと…花名さんも同じ気持ちなのでしょう。
…恥ずかしいんです!
あのときはムードがあったから言えたんです!でも今は…
「えへ…くりぇあ…ん…えへへ…」
だめですっ。花名さんの顔を見るだけで顔から火が出そうですっ!
私は朝ごはんを作って、コルクちゃんのお店で買った保存容器に入れて、私の分のおにぎりを食べて、大急ぎで館を出ました。
* * *
…気恥ずかしさに館を出ましたが…どうしましょう。
「あれ、クレアさんですか?」
「かおすさん!おはようございます!」
「今日は花名さんと一緒じゃないんですね…ってゴミ以下の私が気にすることではありませんでした!すみません!」
「い、いえっ!そんな!…私の方こそ、花名さんと…」
「…?どうかしたんですか?」
かおすさんがあばあばするのをやめて私に聞きました。
「…実は、花名さんのことを呼び捨てするって話になっていたんです。ですが…恥ずかしさのあまり、館を飛び出してしまって…」
「お二人が呼び捨て!あばば…尊…!」
「か、かおすさん!?」
「はっ!す、すみませんミジンコ以下の私が呆けてしまって…」
「いえっ!そんなことないですよ!」
「…でも、いいですね。互いに認めあっているっていうか、かけがえのない、これ以上ない宝物っていうか。…って、呼び捨てできないという話でしたよね!申し訳ございません!」
互いに認めあっている…宝物。その言葉は、意外にも私の中にすっと入っていきました。
「ありがとうございます!解決しましたっ」
私は館へ駆け足で戻りました。
「あばっあばばばばば!?私、何も言ってないですよ!?」
* * *
館の中には、誰もいませんでした。その代わり、机の上にはメモが。
『お昼までには戻ります。』
もう、几帳面なんですから、花名さん…いえ、花名は。
あぁっもう!大好きです。
なにもかも。
「たっただいま…クレアちゃ…あっ」
「おかえりなさい、花名さ…あっ」
「2人で見つめ合って笑います。」
「えへへ。ただいま、クレア。」
「はい。おかえりなさい、花名!ふふっ」
というわけで第6話前半終了です。後半は花名編ですが、今までよりは長くなるかもしれません(変わらないかもしれません)。
もしかしたら少しお時間いただくことになるかもしれませんがご了承ください。
初出:書き下ろし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
>>お風呂に入って、寝て
一緒に⁉っていう関係ではまだなさそうですね。
春ぽっぽやかおす先生といったゲスト(?)が通常運転でいながら橋渡しが出来てるのいいですね。
>>100
ありがとうございます!あとageもありがとうございます…
そうですね。寝てから先は…って何言わせるんですか!
クレアと花名以外もなるべく平常運転で書く努力をしています。(それでも掴みきれていないキャラもいてうまく表現できてなかったりも…)
クレアちゃんがどんどん花名ちゃんにたいする愛が大きくなってるところが良いです。
特に心の台詞でも意識して呼び捨てするところと、何もかもが大好きってところが、良かったです。
クレアが花名を大切に思ってるけどまだ照れが残っている初々しさがとても良いです!
ラストの呼び捨てで呼び合うシーンも照れてる2人の映像が浮かびました…!
>>102
ありがとうございます!
クレアの花名に対する愛は際限なく大きくなっていくので…心配になってきます。
>>103
ありがとうございます!
クレアの愛は大きいんですけど、性格的に大々的には出せない…そんな感じだと考えています。
それでは第6話後半…行く前にお詫びです。レス98番にて間違いがありました。
誤:「2人で見つめ合って笑います。」
正:2人で見つめ合って笑います。
5話に引き続き申し訳ありません!
それでは6話後半になります。
昨日のことを思い出すと、顔を覆いたくなる。
だって…
『じゃあ、…クレア。』
『はい…花名。』
名前呼び捨てだよ!
クレアちゃんは朝からいないし、帰ってきたら恥ずかしいし…。
もう、どうしたらいいんだろう…。
「クレアはいるか?」
わぁっ!…突然入ってきたのは金髪でツインテールの…えっと…。
「花名だけだったか。…じゃあこれだけ返しておいてくれるか?」
そう言って渡されたのは小さなスコップ。
「それじゃあな。」
あっ、せっかく人が来たのに帰っちゃう…!
「あのっ!相談に乗ってもらっても…いいですか…?」
* * *
「それで、相談ってなんだ?」
ところ変わってスティーレの二号店。金髪ツインテさんの都合的にここがいいんだって。
ちなみに館にはメモを置いてきた。だって、クレアちゃんが困っちゃうと思うし…。
「はい。クレアちゃんとのことについてなんですけど、…クレアちゃんのことを呼び捨てで呼びたいんです。」
「呼び捨てか…私は基本的に呼び捨てだからな…。」
「おや〜?お困りですか?」
「来たか。先に要件の方だが…」
あぎりさんが来て金髪ツインテさんが話し始めちゃった…。私が聞いてていいものなのかな…?
「…了解しました〜。ところで、花名さんを放りっぱなしでは?」
「あっ…す、すまない。」
「い、いえっ。私の方こそ…」
「…呼び捨てについての話ですね〜?でしたら、とっておきの忍術、お教えしますよ?」
「聞き流す程度にしておいたほうがいいぞ、花名。」
「いえいえ〜。まず、その相手の髪の毛を用意します〜。」
「いや、持ってないだろ。」
私はポケットからチャック付き袋を取り出す。
「これ?」
「いや、なんで出てくるんだ、クレアの髪の毛…。」
「…はい、ではその髪の毛を輪にしてください。」
言われたとおり輪にする。
「それではその髪の毛を指に巻き付けさせてもらいます。2回ですね〜。そして私が残った部分で四角を作りまして、指の上からかぶせます〜。」
わわっ!巻いたはずなのに髪の毛が取れちゃった!しかも髪の毛は輪っかのまま!
「…それで、呼び捨ての話は。」
あ…。
「はい、注文のお茶とコーヒー。なんか楽しそうだったからって待っててあげたわけじゃないんだからねっ!」
「なぁ、夏帆。花名から相談があるみたいだが。」
「えぇ!?」
「私よりも夏帆のほうが適任だと思うが?」
「そっかそっか!花名ちゃんの相談なら乗るよ!ちょっと待ってて。…麻冬さん、少しの時間外れていい?」
「…今なら私一人で回せるから、花名の悩みなら聞いてあげなさい。」
「ありがと!…それでどうしたの、花名ちゃん?」
「えっと…クレアちゃんのことを呼び捨てしたいんだけど…うまく行かなくて。」
「花名ちゃんは、クレアちゃんのこと呼び捨てしたくないの?」
「そうじゃないよ!ただ、恥ずかしくって…。」
「そっか!花名ちゃんはクレアちゃんのこと、本当に好きなんだね。」
「もちろん!愛してるよ!」
「そしたら大丈夫。呼び捨てっていうのは、愛情表現なんだから。」
「そっか…キスと同じなんだ…」
「うんうん!…え、キス?」
夏帆さんのおかげで考え方がわかってすっきりした。好きっていう気持ちを、『クレア』って呼び方に込めるんだね。
「…クレア。…ふふっ」
「花名ちゃん?」
「ありがとう、夏帆さん!」
「あー、えっと…う、うん!」
「ところでクレアさん、今家に帰ったみたいですよ〜?」
「え!?」
私は大慌てでお金を払って、家に帰ることにした。
「はい、丁度だね!ありがとう!……花名ちゃんたち、キスしてたの!?すでに!?」
「むしろ呼び捨てじゃなかったのが不思議なくらいよ。」
「ところで…花名さん、『ソーニャ』という名前、覚えてなかったみたいですね〜。」
「…花名がいるときに言ってくれ…。」
* * *
館の前まで帰ってきた。ほんとに帰ってきてる!クレアの残り香からすると…大体5分くらい前かな。
私は館の扉に手をかける。
「たっただいま…クレアちゃ…あっ」
「おかえりなさい、花名さ…あっ」
2人で見つめ合って笑う。
「えへへ。ただいま、クレア。」
「はい。おかえりなさい、花名!ふふっ」
これにて第6話終了です。長さは大して変わりませんでした!ただ、前後編なのに2日ほど空いてしまって申し訳ありません。
初出:書き下ろし
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各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
第6話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res105
乙
自分達はキャラクターとして認識してるからすぐ覚えただろうけど、知り合いとかで「ソーニャ」ていう名前は確かに覚えにくいだろうな。
今までは「クレアの愛がやばい。どんどん大きくなってる」と思ったけど、なにかと花名も進歩してましたね。
ほかのクリエメイト達もただフォローするだけでなく、2人の関係にツッコミ入れたりするのも良かったです。
>>113
ありがとうございます!
花名ちゃんもどんどん大変なことに…というより今まで抑えていた分反動がすごい感じですね!
他のクリエメイトも他の作品では主人公や主要キャラなので、ただただフォローするだけだともったいないなと感じてしまうんです…。
第7話です。今回はどちらかといえばシリアスより…というかしばらくシリアスよりな回が続きます。
クレア視点です。
「おはようございます、花名。」
「うん、おはよう、クレア。」
私はポストを確認して、確認しなければよかったと後悔しました。
『きららちゃんから連絡。花名ちゃんをコールするから準備しておいて欲しいそうよ。 ライネ』
手紙の隅には明後日の日付が書かれていました。
「ねえ、花名。明後日って何でしたっけ?」
「明後日は明日の次だよ?もー、忘れちゃったの?」
「そうでしたねー、えへへー。」
…憂鬱です。
「花名はかわいいですねー。」
「もークレアの方がかわいいでしょー?」
コールされても戦いが終わるか負けると帰って来ます。…ですが、
『イヤーっ!くろ、クロモンソルジャーが、わた、私をおおおっ!』
『どっドーダイ、倒さなきゃ…。コ、コトネのために…。』
『私は…負けた、のか…。』
今までに負けて帰ってきたやすなさん、しずくさん、くるみさん。
みなさん一様に混乱されていました。…そんな花名さんを見たくはありません。
「…ねぇ、クレア。どうしたの?ポスト見に行ってから少し様子が変だけど…。」
「…なんでもありま…」
先日はお互いの情報不足で喧嘩してしまったんですよね…。
「…花名。ポストの中にこんな手紙が入っていました。」
花名に手紙を渡します。花名はそれを見て目を…輝かせました。
「ついに私も…戦えるんだね!」
…失念していました。
コールは、呼び出した者の意思に、無意識に従うようクリエメイトのみなさんに働きかけます。今回クリエメイトのみなさんがコールされた理由は戦うためです。
そのため、戦える、と聞いて本来以上に興奮してしまうのです。
「花名、…本当に行くんですか?」
「もちろん!だってきららさんが私を呼んでくれたなら、戦うしかないよ!」
「そう、ですよね…。」
いくら花名の意思ではないとはいえ、花名さんにここまで言われたら納得するしかありません。
「わかりました。…それじゃあ、朝ごはんにしましょう!」
私は明るく言ったつもりでしたけど、うまく笑えていなかったかもしれません。
* * *
「ポルカっ!」
「うわ、クレア、どうしたんだよ!」
「花名さんの…花名さんの専用武器は、できてますかっ!」
私は鍛冶屋に入るなり叫びました。
…専用武器。それは一人一人に合わせた武器の事。その分競争率は高くて、実績順にもらえるそうです。
「悪い、今はカレンのを作っててな…。」
「そう、ですか…。」
「あ、でもな、うまくできたマスターロッドならあるぞ?」
「もらってもいいですか!?」
「お、おう…。いいぞ?」
「ありがとうございました!」
* * *
「カンナさん!」
「ん?どうした?家具なら少し待ってくれ。もう少しでプリンセスベッドが完成するからな。」
「違いま…それ買います!あと、スロウライフリゾートとすべての僧侶育成徐の強化をお願いします!」
* * *
建築屋から出ると、私は近くの森へ走りました。今日は月の力の強い日なので、種や新芽を多く持ってるモンスターが集まってきます。入り口の方なら私でも戦えます。
護身用の短剣でぽぽたんに襲いかかります。
「…!」
ぽぽたんは私に体当たりをして、逃げていきました。ちょっといたいです…。
私は日がくれるまでぽぽたんを追いかけました。
* * *
「ただいま帰りました…。」
「お帰りクレ…クレア!?どうしてそんなボロボロに…?」
館について花名が駆け寄ってきます。
「花名、これを持ってきました!」
「月の子種がこんなに…。」
「あと新品のマスターロッドです!」
「でも、何で…。」
「花名さんのために…」
「私、そんなクレア、見たくない!」
「私だって、戦って傷ついて帰ってくる花名なんて、見たくありません!」
気づいたら私は、そんなことを口走っていました。
「私、嫌なんです。花名が傷ついて帰ってきても、私はそれを見ていることしかできません。私には、何も無いんですから!」
「そんなことないよ!」
花名が普段からは考えられないような大声で叫びました。
「私、嬉しかったよ。私のために、子種をこんなに取ってきてくれて、武器まで。私、そんなクレアが大好き。だからそんなこと言わないで。私、クレアちゃんのために帰ってくるから!」
花名が続けます。
「私、気づいちゃったの。…私、本当は戦いたくないんだって。図書館で調べてみたら、コールの力だって。…怖い。けれども、クレアがここで待っててくれるから、私、戦って来ようって思える。だから、」
花名は目に涙をためて、笑顔で言いました。
「絶対に帰ってくるから、クレアも、どこにも行かないで、ね?」
「…はいっ!」
* * *
「それじゃあ今回も行ってみまショー!」
「わおー!」
「え、本当にこの格好でいくの!?」
「えっと、このパーティ、シノがいないんだけど、どうすればいいいの?」
パーティメンバーのクリエメイトが館に集まりました。
「じゃあ、いってくるね。」
「はい。帰ってきてください。」
私たちは軽い口づけをします。
「ワオ、本当にキスしてマス!」
「…子作りの話?」
「うわ、凛がいなくてよかった。」
「…シノぉ…。」
二人してちょっと赤くなります。
…地面に魔方陣が展開されました。
クリエメイトの方々が光ります。そして、粒子になって消えました。
「…少し、よろしいでしょうか…?」
館の外から声が聞こえました。
「はい…たまてさ…たまちゃん!」
「相変わらず言い間違えますね…。」
「そ、それは…すみません…。」
「いえ、別に大丈夫ですよ。ところで…花名ちゃんはいきましたか?」
「はい。…きっと今ごろ、きららさんのところで…。」
「なら!」
たまて…たまちゃんの大声!びっくりしました…。
「クレアちゃんに話があります。花名ちゃんから離れてはいただけませんか?」
「突然ですね!?」
「私は気づいてしまいました。…半年ほど前でしょうか。花名ちゃんとクレアちゃんの告白イベのときです。私、こういうイベントは好きなはずなのですが、ドキドキわくわく、しなかったんです。それからというもの、花名ちゃんがクレアちゃんと里で歩いているのを見かけるたびに胸が張り裂けそうで…。これが、恋、というものだと分かったんです。ですから、改めて言わせていただきます。花名ちゃんから…」
「お断りします。」
私はきっぱりと返事をしました。
「私たち相思相愛ですっ!花名は…誰にも渡しません!」
「まあだいたいわかってました。なので…こうしてはいかがでしょう。年中水着ギャルのはるかなペアから聞かせていただきました。この世界には、絆の試練というものがあるそうです!私とクレアちゃんが、それぞれ花名ちゃんと挑むのです。ゴールにたどり着けた方が花名ちゃんを…」
「私が…どうしたの?」
「「花名!」ちゃん!」
いつのまにか、花名たちクリエメイトさんたちが帰っていました。
「ハナがワンパンで倒しちゃったのデス。」
「いつのまにか強くなってたんだね!」
「私…水着になった意味は…?」
「シノに会いに行かなきゃ!」
なるほど…。
「それで、どうしたの?たまちゃん。」
「え、えぇと、それは…。…わかりました。言っちゃいますよ…。花名争奪大会、in絆の試練、開催します!はい、イベントスチルっ!」
……
「え、えぇー!?」
かくして、花名争奪大会が決定してしまいました。
「…私、クレアちゃんが好きなのに…。」
これにて第7話終了です。
まずお詫びから…119と121のクレアのセリフがまた「花名さん」になってしまっていました…以後気をつけます…。
それから注意です。この回に出てくる「コール」の説明、および専用武器に関する説明は公式のものと異なる場合があるのでご了承ください。
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10209137
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各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
第6話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res105
第7話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
おぉ、恋のライバル、『本編での相手』が現れましたね!
エトワリアとクリエメイトの存在意義といったシリアスな場面を思い出す良い機会になりました。
>>127
満を持して…という感じですよね!
エトワリアの住人かクリエメイトかという違いは今後も2人を襲うのでしょうね…
第8話を投稿いたします。
注意があります。
1:7話までに増して急展開です。
2:7話までに増してキャラ崩壊がひどいです。
ご了承頂いた上でお読み下さい。
side花名
試練の島については、私も前から知っていた。
『ちょっと遥!えっと…恥ずかしいよ…。』
『だって私達の友情の証なんだよ?着けなきゃ損じゃん!』
あの2人の幸せそうな顔。私もいつか行ってみたいとは思っていた。けど、
「ハナ争奪大会、in試練の島デス!」
こんな形で来るとは思わなかったよ…。
「たまてさ…たまちゃんに花名は渡しません!」
「私の方こそ!花名ちゃんは私のものです!」
なんで、こんなことに…。
「さあ、先行はクレアとハナデス!それでは…Let's go!デース!」
「カレンさん、テンション高いね…。」
「カレン様ですから!」
なぜか私達は、みんなに見送られながら、潮が引いて出来た道を歩いていった。
* * *
route花名
入って早々、クレアと別れた道に。
さっきまではクレアと一緒にいたから平気だったけど、一人になるとすごく怖いな…。
「…あれ、花名?」
「クレア!どうしてここに…」
「すぐそこの…」
「…ちがう。あなたはクレアじゃない!」
「な、なぜですか!?」
偽クレアが慌てる。だって、
「クレアの立ち方と違うもん!もう少しこうで…」
「え、ええっ!?」
「それだけじゃない、クレアが喋るスピードはもっとゆっくりのはずだし、」
「ウ、ウウ、ゴ、ゴウカクダカラ、ユルシテ…」
「それに…って、どこに行ったんだろう?」
偽クレアがいつのまにか消えていた。
そして、
「…あれ、花名?」
少し先の道から、本物のクレアが出てきた。
* * *
routeクレア
入って早々、花名と別れてしまいました…。
花名が居ないとこの森、すごく怖いです…。
「あ、クレア!」
「花名!」
「怖かったよ、クレ…」
「…なんで花名の半端な真似しているんですか…?」
「わ、私だよ!一之瀬…」
「その名前を言わないでください。」
「っ!」
「…帰ってください。」
「……」
偽物は帰っていきました。試練ってこの程度なんでしょうか?
そのまま道を進んでいくと…
「あれ、花名?」
本物の花名がいました。
* * *
sideクレア
「クレアー!」
「花名です!本物です!」
…っと、そんなことをしている場合ではありません!
「花名、行きましょう!私達の愛の証を取りに行くんです!」
「うん!」
私達は意気揚々と道を進んでいきました。途中に石の扉がありましたが、2人で普通に押したら開きました。演出でしょうか。
そして、
「どうくつ、だね…。」
「どうくつ、ですね…。」
暗いどうくつが目の前にありました。他に道はないので、この中が正しい道なのでしょう。
「行くよ、クレア。」
「はい。」
私達は2人で中に入りました。そのとたん、
「わわっ!」
「きゃあっ!」
2人仲良く落とし穴に落ちました…。
「いたた…。大丈夫ですか、花名?」
「うん…大…ダメ…。」
「花名!」
「お花畑が見えるよ…。」
「だめです、花名!」
「いや、本当に周りがお花畑だよ!」
そう言われて回りを見てみると…本当です!
「これが次の試練…?」
「みたいですけど…何をすればクリアになるのでしょうか…?」
「えーと…あっ!分かった!クレア、あのお花だよ!」
「あのお花…あ、あのときの!」
そもそも、花名と親しくなったのも、それがきっかけでした。
「それを見つけることが、クリアの条件ですね!」
「たぶん…。でも、どこにあるのかな?」
「わかりません…。ところでここ、どうくつの中なのに風が吹いているんですね。」
「そうだね、とっても気持ちいい…。」
…もしかして、この周りにあるお花って、
「花名、このお花、覚えていますか?」
「忘れるわけがないよ!火をつけると、色のついた煙が出るお花だよね?」
「そうです!そして、」
私はお花に火をつけます。
「この煙が指す方向に進むんです!」
「クレア頭良い!」
そしてそれは正解でした。
「あった!」
「ありました!」
空からペンダントが降りてきました。私達の、私達だけの愛の証です。
周りはいつのまにかどうくつの出口になっていました。
* * *
sideたまて
お二方が帰ってきました!さあ次は私の番で…
「えへへ、花名との愛の証です!」
「ほら、くっつけるとハートの形になるよ!」
「わぁー!本当です!」
…。
「あ、たまちゃん!」
「たまて…たまちゃん、次は…」
「負けました。」
「「え…?」」
「負けました!だって、そんな花名ちゃんの顔を見たら…見ちゃったら…」
気がつくと、私は涙を流していました。
「だから、これまでも、これからも私だけを好きになる人じゃなきゃ…嫌なんですよ…。なのに…なぜ、花名ちゃんのこと、好きになってしまったんでしょうね…。」
「たま…ちゃん…。」
そして私は、言ってしまったら確実に傷つけてしまう言葉を言ってしまいました。
「ま、まあ、もとの世界に帰ればまだチャンスはありますし!そ、それでは…!」
私は全力で逃げ出しました。
* * *
sideクレア
試練の島から帰ってきました。
「ねぇ、クレア、大丈夫?相談、乗るよ?」
「…花名。さっき、たまてさんが言っていたこと、覚えていますか?」
「うん。確か『もとの世界に帰れば、まだチャンスはありますし!』だよね?」
「はい。…クリエメイトである皆さんは、いつでももとの世界に戻ることができます。…しかし、もとの世界に戻ってしまったら、エトワリアのことは思い出せません。花名は私のことすら、忘れてしまうんです。」
「そんな…。」
「それだけではないんです。…クリエメイトの方々は、この世界の危機を救うために召喚されたんです。つまり、それが解決してしまうと、皆さんは…」
「……。」
そして、私は、
「私達、これ以上仲良くなりすぎると、別れたときにきっと大変なことになってしまいます。」
「クレア!?」
決定的なことを、
「いつか、別れてしまうときがくるなら、いっそ今のうちに…」
「言わないで、クレア!」
言いました。
「別れましょう、花名…いいえ、花名さん。」
というわけで第8話終了です。
次の回でシリアス回は終了ですがちょっと長いので2回に分けるかもしれません。
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10681133
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第一話から一気読みしました。
最後の呼び捨てからさん付けに戻ってしまうところが切ないですね。
不器用な二人という印象ですが、幸せになってほしいです。
あと、個人的には第六話の「クレアの残り香からすると…」がお気に入りです。クレアに対する愛と「えっ!?」ってなるような面白さを感じました。
>>137
おぉっ!1話からっ!ありがとうございます!
不器用な二人、というのは最初から一貫しているテーマだったりします。
クレアと花名の愛は若干行き過ぎてるようにも見えますけど、相思相愛なのは変わらないので、(生)温かい目で見守ってもらえれば!
本当の試練はここからだった…
やはりエトワリアの人とクリエメイトとは結ばれないのか…!?
たまてとクレア、同じ花名を愛する人だけど、立場が違う感じが
よりこの作品のシリアスさを引き立ててます。
>>139
ありがとうございます!
シリアス…とはいえ、この作品はほのぼのと花名とクレアのラブストーリーを綴っていく作品なので、あまり身構えずに読んでいただけると嬉しいです。(その割には試練が多いですが)
第9話を投稿いたしますが、前回に引き続き注意があります。
1:8話に増して急展開です。
2:8話に増してキャラ崩壊がひどいです。
3:8話までに増してストーリーの組み立てがひどいです。
4:半分くらいがっこうぐらしな上、原作の設定が上手く生きてない/設定の食い違いがあります。
ご了承頂いた上でお読み下さい。
sideきらら
星彩石も溜まったし、皆さんの友達を連れてくるためにも、召喚しましょう!
「クレアー!召喚するよー!」
「えへへー、花名、本当にお芋好きですねー。…え、もっと食べたいですか?もうー、今日の花名はあまえんぼうですねー。」
クレアが何もない空間に料理を差し出し、落とす。
「…ク、クレア?」
「あ、花名、ちょっと待っててくださいね!…はい、きららさん、召喚しましょう!」
「大丈夫?」
「何がですか?私は幸せですよ?」
「……」
「それでは、開きますよー!」
「……」
「これはっ!金髪!金髪!金髪!」
「……」
「yeah!九条カレン、参上デー…。これは、何があったデス?」
「次回も頑張ります!…花名ー!…ええ、そうなんですよ!今日はカレンさんが…」
「oh…クレア…」
「…カレンさん、この前、私達用事があるって言って先に帰ったよね?」
「Yes。その後キララの故郷の近くで、クルミとユノの修練してたんデスよね?」
「はい。なのでクレアと花名さんの間に何があったのか、詳しくは知らなくて…。」
「…ハナとクレアが試練の島から帰って、それを見たタマテが急に負けたって言ったんデス。」
「そこまでは…予想通りかな。」
「その後、タマテが負け惜しみを言ったんデス。」
「なんて言ったの?」
「えっと確か、『もとの世界に戻ればまだチャンスはありますし!』だったハズデス。」
「それだね…。多分クレアは、それを考えすぎて別れよう、みたいな話になっちゃったんだと思う。」
これは、花名さんの方も見に行ったほうがいいかもしれません…!
* * *
side由紀
「ご近所さんが増えたんだし、ご挨拶はしないとね!」
2日前に引っ越してきた花名ちゃん。
…クレアちゃんと別れたのかな?
「こらこら、そんなふうに考えちゃだめでしょ、丈槍さん。」
そうだね、めぐねえの言うとおり!
「今は、新しいご近所さんに挨拶しないと!」
「なんで2回言ったんだよ…。」
「えーっと、気分?」
「何だそれ。」
苦笑しながら前を歩くくるみちゃん。
「っと、ここだな。大丈夫か、由紀?」
「そうよ、ちゃんと粗相のないようにね?」
「もう、くるみちゃんもめぐねえも心配しすぎ!だいじょぶだよ!」
「っ…。そうだな。」
「めぐねえじゃなくて、佐倉先生でしょ?」
私は扉をノックしようとして、中から声が聞こえることに気づいた。
「クーレア!えっへへ〜、何でもないよー!」
…今はお邪魔かな?
「どうした?」
「中でクレアちゃんと仲良くしてるみたいなんだよ。」
「そうなのか?」
くるみちゃんが扉の近くで耳を澄ます。
「え、ひゃん!もう、クレアは急だよ…」
「……」
「あ、クレア、これ持ってくれる?」
がらがらっと大きな音がした。
「…っ!」
くるみちゃんがノックをする。
「あ、お客さん。クレア、待っててね!」
扉が開く。
「どちらさ…あ、くるみちゃんとゆきちゃん!いらっしゃい!」
…こっちを見ているようで見ていない目…。部屋の中はすごい散らかりよう…。中にはクレアちゃんなんていないし…。
こんなこと、わたしどこかで…
『丈…さん。電車止まって…から………待っ………。』
『かれ……前の記………っているって……の?』
『くっ……るぞ!』
『でも………えが!めぐ………!』
何かが頭の中に出てきそうになる。苦しい。怖い。気持ち悪…
「とりあえず、花名をクレアのところに連れて行こう。」
くるみちゃんの声で、現実に引き戻される。
「うん、そうだね!」
私は答える。いつも通りに。
めぐねえは、いつの間にか帰っていた。
* * *
sideきらら
くるみさんと由紀さん。そして、ぼんやりとパスを感じるめぐね…慈さんが花名さんを連れてきてくれましたが、クレアも花名さんも反対を向いて噛み合わない会話をしています。
「召喚の館、たった3日前なのに、なんだか懐かしく感じるね!」
「はい!私もいつか行ってみたいです!星尾女子高校!」
「…恋愛って、大変なんだね…。」
「流石にここまではなかなかないと思うデース…。」
その時、すごい勢いで扉が開いた。
「花名様ー!」
「もう、ランプ。もう少し静かにね。」
「ん。花名、心配。」
ランプと栄依子さん、冠さんが来ました。
「きららさん、何があったんですか?」
「実は…」
私は簡潔に説明する。
「そっか…。」
「ん。たま、今日も元の世界に戻っていった。」
手詰まり状態。そんなとき、口を開いた人がいた。
「クレアちゃんと2人でお話したい。」
それは、由紀さんだった。
* * *
side由紀
「そ、それは…」
「いいんじゃないか?」
きららちゃんが止めようとしたところを、くるみちゃんが制す。
「で、でも…!」
「大丈夫。由紀を信じろ。」
「ハナ、外出るデース!」
「う、うん…。ほら、クレアも…」
「まかせました。」
「うん。」
扉が閉まる。
「…由紀さんは帰らないんですか?」
「うん。クレアちゃんと話をしたいの。」
「私は花名と…」
「いないよ。」
「え?」
何を言っているのかわからないって顔でこっちを見る。
「花名ちゃんは、ここにいないよ。」
「……」
「私…ね。好きな先生がいたんだよ。」
「先生、ですか。」
「うん。勉強は嫌いで、補習も受けたくなかったけど、その先生と一緒にいた補習の時間は楽しくて、大切な時間だったの。」
クレアちゃんはあいづちを打って聞いてくれてる。
「…でもね。そんなのは、一瞬でなくなっちゃったんだよ。」
「……」
「本当にどうしようもなくなったとき、め…先生が私達をかばってくれたの。それっきり、先生とは会えなくなっちゃったんだ。」
「……」
「私はその後、先生が『視える』ようになったの。私の中だけで、日常は滞りなく進んでいった。」
「……」
「その先生は偽物だった。」
「……」
「その先生は私が生み出したまがい物で、先生がせっかく残してくれた最後の言葉を、忘れてたんだ。」
「……」
「…クレアちゃんは、花名ちゃんとまだ会えるんだよ。目の前にいるのに、一緒にいないなんて…うまく言えないけど…違う気がする。花名ちゃんはクリエメイトだから、ずっと一緒にいられないのはわかる。だからこそ、その人を…花名ちゃんを覚えておかなきゃいけないんじゃないかな。」
私は、頭が良くないから、うまく言えないけど。いいたいことは伝わったかな…?
「…私、実は今まで、人と深く関わってこなかったんです。」
そして、クレアちゃんが口を開いた。
* * *
sideクレア
由紀さんの言葉を聞いて、私は気づいたら話していました。
「もちろん、ポルカとかライネさんとかコルクちゃんとか、仲良くしていた人はいたんですが、常に劣等感が強かったんです。みなさんは色々なことができるのに。…花名と直接会ったのは、つい半年前です。召喚されてきて、あの健気に自己紹介する姿に一目惚れしました。風邪を引いて、みなさんと仲良くなれなかった花名を手伝っている最中も、自らの優しさで、どんどん友達を作っていく花名を尊敬しました。…そして、二人でお花を探しに言って、雨に降られたとき、私は何の役にも立たなかったって言ったら、花名はそんなことないって真剣に言ってくれたんです。わたしは…もうだめでした。あそこまでされて、好きにならないわけがないじゃないですか。…私の勝手な希望ですが、」
私は息を吸って言いました。
「私は、花名一緒に居たいですっ!花名がそこにいる限り、ずっと!」
「私もだよ!」
そこには、本物の花名がいました。
* * *
side花名
「えぇー!くるみちゃんたち、外で話聞いてたの!?」
「あぁ、悪い。でも、手っ取り早く…な。」
「むー。」
みんなのおかげで、またクレアに会えた。
「今回、私、何の役にも立ってないデース…。」
カレンちゃんも、私のことをぐいぐい引っ張って中の声を聞かせてくれたから…。
「でもよかった。突然別れようなんて言われたから、嫌われちゃったのかと思ったよ。」
「まったくです。クレアさん、クリエメイトの皆様を不安にさせるなんて…」
「はいはい、ランプは帰りましょうね?」
「で、ですが…。」
栄依子ちゃんがランプちゃんを連れて行った…。
「…花名。」
「どうしたの、冠ちゃん?」
「クレアも。…たまが言ってた。花名やクレアに、悪いこと言ったって。よく分からなくなって、つい言っちゃったって言ってた。」
そっか。たまちゃんもそうなるほど、私のことを想ってくれてたんだ。
「きららちゃん、たまちゃんを呼んでくれる?」
「はい。…コール!」
空中に魔法陣が現れて、中からたまちゃんが出てきた。
「呼ばれましたですよー!…あ…。」
たまちゃんがこっちをみて、気まずそうな顔をする。
「…えっと…その…なんといいますか…後で冷静になって考えてみましたところ…花名ちゃんとクレアちゃんに多分に申し訳ないことをいたしまして…えぇと…誠に申し訳ありません…。」
たまちゃんはそう言うと、急に顔を上げて、
「ですがっ!花名ちゃんが私を好きになってくれるよう、精一杯アプローチしますから!花名ちゃん、覚悟しておいてくださいね!」
「私はクレアが好きだから、その気持ちには応えられないけど…今まで通りお友達としてなら、よろしくね?」
「おお、これは脈ありですよ?」
「ないですよ!花名は私のことが好きなんですから!」
私達には、いつか明確な終わりが来る。けれど私は今、ここに…クレアの隣にいられるだけで幸せだから。二人の思い出を、少しでも多く作っていきたい。
というわけで第9話終了です。
7後半,8,9話に関しては、恋のライバルを出そうとして、その過程を作ろうとしたのですが…
結構重い話になってしまった上、上手くまとまってなかったり、キャラ崩壊がすごかったり…
さて、このままだとかおすぱいらるに陥ってしまうので今後の話を。
この回までで、pixiv投稿分が終わってしまいました。まだpixivにも投稿していない回が1話、執筆中の回が1話という状況になっており、今までよりも投稿ペースは落ちてしまうと思われます。が、反対に言えば、ここから先なら皆様のリクエストやアドバイスを受けられるということです!皆様、ぜひリクエストやアドバイスをよろしくお願いします!(なお、リクエストやアドバイスに関して、100%応えられるわけではないのと、pixivやその他の場所で使われる可能性があることをここに明記しておきます。)
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11440948
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他作品のキャラを絡めて物語を進行できる文章力が凄いと思いました。
この先どうなるかは分かりませんが、ひとまず仲直りできたみたいでよかったです。
>>150
ありがとうございます!
それでも2作品までのクロスオーバーが限界ですね…もっと精進せねば…!
そうですね!ひとまず…!
今まではただ周りの人が普通にフォローしてた感じだったが、
クレアと花名の禁断症状を由紀の経験で解決するという、
「特定の人しか理解できない悩み」と「2人の愛の重さ」を同時に再現するところが凄いです。
たまちゃんもちゃんと謝れてとりあえず、一件落着かな?
るーちゃん関連の事でりーさんのために話を合わせていたときのゆきちゃんみたいな感じでしょうか…
ゆきちゃんだからこそ気持ちも理解できたし、踏み込めたんでしょうね
普段は手を焼きつつもなんだかんだゆきちゃんを信頼してるくるみちゃんもらしいな〜と思いました
>>152
ありがとうございます!
正直なところ、ここまできらファンやスロウスタート以外の作品に踏み込むことはこの先ないかなというレベルには大変でした…
「とりあえず」一件落着ですね!
>>153
ありがとうございます!
きらファンに召喚されているクリエメイト達は、基本的にアニメから来ている印象があったので、アニメの後の由紀の性格を出すことにだいぶ悩みました…
結果、アニメでもラスト若干覚醒していたし大丈夫だろうという結論に至りました。
なんだかんだくるみも由紀のことを信頼してるんですよね!
お久しぶりです。第10話です。
7〜9話のシリアス路線を楽しんで頂いた方には申し訳ないのですが、今回からはまた平常運転のほのぼの系に戻ります。ご了承ください。
side花名
「クレア、本当に、私が行ってもいいのかな?」
「大丈夫です!私が許可もらいましたから!それに、花名がいないなら私も行きません!」
今日は喫茶店『ラビットハウス』のオープン日。それえ、ラビットハウスオープンのために手伝った人たちに向けたお疲れ様会があって、そのお疲れ様会に私も来ていいって言われたんだけど…本当に大丈夫なのかな?
* * *
sideクレア
「あなたが花名ちゃん?えへへ、かわいいね!妹にならない?」
「え!?えーっと…」
「だめです。」
ココアさんの妹攻撃はブロックします。
「えーいいじゃんー!…え、なになにきららちゃん…え!?えっと…花名ちゃんはクレアちゃんに返すね!」
きららさんがココアさんに耳打ちしていたみたいです。
「全く、ココアさんは落ち着いてください。…クレアさんと花名さんですね。こちらに席を用意していますので、どうぞ。」
チノさんの先導で椅子に座ります。
「それでは皆様、この度はラビットハウスの開店にご協力いただき…」
「もうっ、かんぱーい!」
「えぇ、ちょ、ココアさ…」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
「あ、あれれ…」
「チノちゃん長いよ?」
「…納得いきません。」
…花名はコーヒーを見つめています。…もしかして…
「花名…」
「あっ、ごめんね!なんでもないから!」
「大丈夫です。…思い出してしまったんですか?」
「うん。クレアにはお見通しだね…。えへへ、ちょっとうれしい、かな。クレアには、私のこと全部、知っててもらいたいから。」
「花名…!」
「クレア…!」
私達は目をつむって、唇を近づけて…
「おーい、お二人さん?こっちのこと、忘れてないか?」
「はうっ!」
「へぴっ!」
忘れてました…
「まぁ、別にいいけどな?アタシも昔色々あったし。」
「ちょっと、カンナ!」
「別にいいじゃないか、ライネ?」
「そ、それは…だめ…」
「…ま、まあアタシたちはいいんだが、そこのラビットハウス組、固まってるぞ?」
わ、悪いことしちゃいました…。
「よ、よーしチノちゃん!私達もやろっか!」
「な、なんでですか。…コーヒーのおかわりはいりますか。」
「お、おねがいします!」
「お願いできる?」
「花名さんとライネさんの分ですね。少々お待ちください。」
チノさんがコーヒーを淹れに行きました。
「あ!忘れるところだった!この前、コルクちゃんのお店でロシアンルーレットチョコ買ってきたんだー!」
「はずれって何が入ってるんですか?」
「わかんない!」
「おいおい…」
ココアさんが真ん中にチョコの箱を置きます。ちなみにチノさんには別のチョコを買っているそうです。
「それじゃあいくよ!せーの!」
んっ!これはおいしいです!あたりれすね〜!
「く、クレア!?顔が真っ赤だよ!」
「もうっはなっ!はなはいっつもそうれす!いつもわらしのことをみてくれれ、うれしいんれすよ!わかってますかぁ!」
「く、クレア!?」
「れすから、はなにおしおきれす!」
「うわぁ!クレア!急に押し倒して…だめだよ!…むぐっ」
「んっ…もう、なんれ…らんれはならかありーんれうあ!」
「も、もう何言ってるかわからないよっ!」
「れすあら、ろーういーれうららい!わらしら、はなろおろあ、らあーいすき!」
* * *
side花名
あぁぁ、クレア、寝ちゃった…。
「…もう、クレアったら。」
酔った寝顔もかわいいよ、クレア…
「ねぇ、花名ちゃん?」
うぐっ
「流石にあれはないんじゃないかしら?私達もいるのよ?」
「お待たせしました。こーひ…何があったんですか、ココアさん?」
「な、なにもしてないよ!」
「えっと…ライネさん?」
「…チノちゃんにはまだ早いわよ。」
…15歳以上対象になっちゃった…
* * *
sideクレア
「んぅ…あれ…?」
目が覚めると、そこは見慣れた天井。
「花名?…あ、わ、わた、わたた…」
「クレアだけ恥ずかしがらないでよ。私だって…恥ずかしかったんだよ…?」
「うぐっ、す、すみません…できれば…その…忘れていただけると…」
「だめ。あれだってクレアなんだから。」
「ううぅ…それじゃあせめて、話題にしないでください…」
「…それじゃあ、その敬語。やめてくれたら考えてあげる。」
「…花名の悪魔。」
「だって、もう出会ってだいぶ経ってるのに、クレアはずっと敬語なんだもん。ランプちゃんとかは敬語じゃないから、私はランプちゃんより下なのかなって…」
「…花名の小悪魔。」
…花名はいじわるです。
「…こっ、これでいい?花名。」
「クレア…!」
「や、やっぱり、はずかしいよぉ…」
「大丈夫だよ!さっきのよりは、恥ずかしくないでしょ?」
「あぁー!言ったよね!話題にしないって!」
「えへへ、考えるだけって言っただけですー!」
「花名のばかばかばかばかばなな!」
でも、花名に敬語を使わずに話す口実ができて、とても嬉しかったのは内緒です。
というわけで、少し短めですが第10話終了です。
10話ですよ!アニメだったらあと2話で終わりですがそこはss。まだまだ頑張っていきますよ!なんなら誰も読んでなくても細々と続けますよ!
初出:pixiv・BBS同時投稿
pixiv: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11628770
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第7話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
第8話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res129
第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
花名クレ以外の登場人物も通常運転の安心感がありますね。
全く喫茶店でけしからんことをする人たちです。(自分が書いた話棚上げ)
お返事が遅くなって申し訳ありません!
>>164
ありがとうございます!
あの二人は冒険者時代のパーティだったらしいですし、色濃い沙汰の一つや二つはあったのでしょう!
>>165
ありがとうございます!
(棚の上に上がってるミルク色の異次元や千矢紺をちらりと見ながら)本当にけしからんですよね!
>>166
途中送信してしまいました…申し訳ありません。
>>166
ありがとうございます!
確かに桜trick勢(特に春香)がいたら恐ろしいことになってたかもしれません…!
SS拝見させて頂きました。そうか思い出はエトワリアでしか持っていられなかったんでしたね、あっちの世界に帰ったらまた平和な日常があるけど、大好きな花(クレア)の存在を花名は覚えてはいない……そしてクレアだけは自分を愛してくれた花の名前を覚えている、ゲートときららが存命な内は永遠だけど、その思い出は不確かで有限、そしてある種の一方通行なのですね(語彙力)
あとやっぱりクレアちゃんにお酒飲ませるのは止めよう(戒め)
追伸:由紀サイドの心の闇、インスパイアします!
>>169
ありがとうございます!
最初は友達の友達は友達大作戦の続きを書きたくて書き始めた作品だったのですが、書き進めて、設定の裏を取るために色々調べていたら、あれ、これは悲劇の恋なのでは!?となって現在に至ります。
一人で花名のことを覚えているクレア、というのも寂しいものですね…
そうですね。お酒、ダメ、ゼッタイ!
どぞどぞ、楽しみにしています!
クレアスレ等で最近出てきた(悲恋含む)花名クレはこのSSがきっかけの一端なんでしょうか。(以前はあまり見なかった)
シャミ悪とか、ある種のムーブのきっかけって、「このキャラ、この組み合わせならありそう」と思わせるものがありますね。
>>177
はわわ!?そんな、恐れ多い…
実は私がこのシリーズを書き始めたとき、そこまで長くするつもりはなく、pixivのほうでも短編扱いで投稿していました。ところが、ちょうど「海の家インザカップル」(このスレで言う第4話)を投稿した直後あたりに、 https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=134&ukey=0!#res49 こちらのssを発見しまして(実は当時から見てました)、まだクレ花名を書きたいと思ってシリーズを作成を決めました。(シリーズ名が決まらず実際の作成には時間がかかりましたが)すなわち、きっかけって輪廻のようにくるくる回っているものな気がします。
ちなみに、pixivの方に投降した「コールパニック!」は「ランプ「最近きららさんがコールをしていない」に触発されてたりもしてます。
つまり、みんなすごい(語彙力)
第11話ももうそろそろ完成しますのでお待ちいただければと思います!
>>172
そのきららンプの話、確か私が初めてスレ立てしたSSですね。それこそ恐れ多いことです。
私もいろんなところで有形無形の影響を受けてますし、そういうものなんでしょう。
第10話です。
9/13にもうそろそろ完成とか言っていたら1ヶ月経っていました…遅くなって申し訳ありません。
…あれ、身体が変です。
いつもと比べて、頭が軽い…
それに、身体の中に強いクリエを感じます。このクリエの反応は、まさか…!
私は身体を鏡に映します。するとそこには…
透き通ったようにきれいな瞳、可愛らしい鼻、ぷるんとした唇…
愛らしいをそのまま具現化したような人、つまり、
「わ、わわっ、私、花名になってます!」
そして私を襲うのは激しい渇望感。私が花名と一緒にいないと感じるあの症状にそっくりです。
まさか…。私はベッドで眠る私…というか花名に近づいて手を握りました。
あぁ、この満たされていって、渇望感が充実感に変わる感じ…!間違いありません。花名欠乏症…いえ、相手が私なわけですから、クレア欠乏症ですね。
…そう考えると同時に耳まで赤くなります。だってこれ、花名が私のことをこんなにも考えてくれているってことですよ!
もうだめですっ!今すぐ花名を抱きしめたいっ!
でも…花名は今、私です。自分で自分を抱きしめるのは…違います。
「ん…ぁ…クレア…?」
あ、花名が起きたみたいです。
「…って私!?え、じゃあ私はどこなの!?」
「花名、落ち着いて、鏡を見てっ!」
「えっ…あれっ、く、クレア!?じゃっじゃじゃじゃじゃあ、そこに居る私は…」
「うん。私はクレア。」
「どっどどっどうしようっ!」
慌て方は花名のままですね。
「…そういえば以前、聖典でキスをすると入れ替わる話を読んだよ…?」
「じゃ、じゃあ…」
私達は唇を重ねます。
「んっ…ぷはっ。…だめだね…」
「そっそれじゃあ、私は一生クレアとして生きるしかないの!?…いやだっ!クレアを眺めることも、クレアと抱き合うことも、クレアとキスをすることもできなくなるなんて…」
「花名…!私だっていやだよっ!花名と話せないし、花名の匂いもかげないし、花名の寝顔を見ることだってできない…」
私達はお互いにうなずき合いました。
「「元に戻る方法を見つけよう!」」
* * *
「ん。入れ替わる薬?」
「そうなんで…そうなの。は…えっと、クレアと入れ替わってみたいなって。」
私はアルケミストの冠さんのもとへ。花名の振りをして話しかけます。
「つくれる。けど、2,3日が限度。」
「そうなんだ…」
「あと、なりきるときはもっと堂々としてたほうがいい。」
あれ、バレてます!?
「花名と居る時間は伊達じゃない。」
そう言うと冠さんはくるっと後ろに向き直り、
「ついてきて。」
と言ってとてちてと歩いていきました。
* * *
冠さんに連れられてきた森には私…ではなく花名がいました。そしてもう2人、妖精さん…それも強い力を持っている妖精さんがいました。
「花名っ…」
「しずかに。」
冠さんに押さえられました…。
「かっ、身体をもとに戻してくださいっ!」
「お断りだ。そう願ったのは花名、お前だろ?」
「私は、身体を入れ替えてなんて頼んでないっ!ただ…クレアに私の気持ちを知ってほしくて…。」
「だから入れ替えたんだ。花名のからだに染み付いたあれこれをクレアが感じている。これ以上の解決策があるか?」
「そ、それは…」
もうっ!私はいてもたってもいられなくなって、木の影から飛び出しました。
「クレアっ!?」
「花名っ!私はずっと前から、花名の愛情を受け取ってる!」
「クレア…」
「だから…花名は心配しなくていいよ。私は花名のもの。花名は私のもの。これはこの先も変わらないものなんだから。」
「うん、クレアっ!」
花名が抱きついてきます。姿が違っても、間違いなく花名でした。
「…もういいか?オレは帰るぞ…な、アモル。」
「ごめんなさいっ!」
「…アモル。」
「入れ替わりは私のせいなの。」
「待てよアモル!魔力の暴走だろ?アモルのせいじゃ…」
「ごめんなさい。オルバにも嘘ついてた。」
アモルさんはそう言うと、私達の方を見ました。
「私、オルバのことが好きなの。」
「お、おい…」
「でも、運命がそれを許さなかった。私は成就、オルバは破局の妖精。で、力関係が崩れると、どちらかが存在ごと消えてしまう関係なの。人々の願いは破局の願いが圧倒的に多くて、オルバの力は大きくなっていった。ちょっと前、とあるクリエメイトの子たちのおかげで、一時的に私達の力関係は均衡になったけど、それは一時しのぎに過ぎなかったの。この祠が作られた後も、私達に破局の願いをする人は絶えなかった。私達が一緒に居ることは絶望的だった。…そのとき、花名さんが来たの。あなた達の愛の力は凄まじかった。それこそ、二人の力だけでオルバとほぼ同等の力が生まれるほど。私はあなた達に嫉妬した。…私はオルバの近くにいられないのに、あなたたちはそんなに愛を育んでいる。だから、すこしいじわるしたくなって、入れ替わりの魔法をかけたの。…今から解くわね。」
アモルさんは光を空中から生みだし、その光を私達にかざしました。…刹那。一瞬のめまい。それが落ち着いたときにはもう、私達の身体は元に戻っていました。
「本当にごめんなさい。私のできることなら何でもさせてもらうから…」
「ふふっ。私はもう十分です。恋の妖精に嫉妬してもらえたんです。」
「私もクレアと同じ。これ以上のことはないよ。」
「それは…そうかもしれないけど…でも…。」
「でしたら、私達のことを応援してください。」
「…そんなことで、いいの?」
「うん。…だって、私達にとって十分すぎるくらいなんだから。」
そう言って笑う花名は、とても愛おしかったんです。
* * *
「…なあ、今の人間たち、片方はクリエメイトだったよな…?」
「えぇ。もうひとりは、この世界の人間だったわね…」
「…進む先は破滅なのに、なんであそこまで笑えるんだろうな…。」
というわけで第11話でした!一応この話のおまけもありますので、遅くとも明後日までには投稿しようと思います。
大変お待たせしまして申し訳ありませんでした!
初出:書き下ろし
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各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
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第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
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第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
「私が私を見つめてました」の一形態?(どうでもいい話)
確かに、花名って自分の気持ちが伝わってるか必要以上に気にするタイプのような気がします。めんどくさ尊い感じ好きです。
>>182
ありがとうございます!
そうですよね!愛の力は偉大。偉大故に様々な問題も起きますがそれも愛の力で超えられるあたり愛の力は偉大なのです!
>>183
ありがとうございます!
「なんで?なんで?二人…居ない!?」
花名が花名である所以ですよね!
すみません、今日中には11話おまけ挙げられそうにないです…(主に自爆のせいでやられたメンタルのせいで)
5秒で読める回なのに投稿遅れて申し訳ありません…
メンタルも少し回復したので投稿します。
遅くなってすみません!
第11話おまけです。3秒で読み終わります。
…身体に違和感がある。
ちょっと頭が重いし、来ているのはピンクのパジャマ。
そして、目の前には目を輝かせた…私!?
「どっどどどどどどういうこと!?」
「ふふっ、実は冠さんに頼んで入れ替わりの薬を作ってもらったの!」
「冠ちゃんが!?」
「これで花名にあんなことやこんなことを…」
「…も、戻れるんだよね…?」
「もちろん、元に戻す薬も作ってもらったし、1日経てば戻るんだって。」
「そっか。それなら…」
安心したら、自分の今の状態が気になってきた。
これが、クレアの身体…
すべてがクレアのものなのに、私が動かしている…。
「じゃあ私は、お部屋に戻ってるね!」
クレアが部屋に戻っちゃった…。
…わ、私も自分の部屋に戻ろうかな…い、いやっ、他意はないよっ!自分の部屋に帰るだけっ!帰るだけなんだからっ!
第11話は以上となります。
さて、書くのも10秒読むのは2秒のこの回を投稿出来なかったのは申し訳ありませんでした!
12話以降の話になりますが、そろそろマンネリかな…とも思うので、最終回に向けて舵切りするかもしれません(しないかもしれません)。
書きたいシチュエーションはまだまだあるのですが、同じような回が続いてもな…という心境です。
初出:書き下ろし
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第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
第11話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res186
アモル達から聞き捨てらならない言葉が…。
破局を願う人が多い辺り、やはり平和なエトワリアにもそういう所あるのですね…w
>>189
ありがとうございます!
今思い返せばフェアリーズトリックからただ平和な世界じゃないんだぞ、という片鱗はあったのですよね…
>>190
ありがとうございます!
「はーなー?あれから自分の部屋で何してたの?」
「な、なんでもないよ…」
「じゃあ、なんでこの服、ちょっと冷えてたのー?」
「な、なんでだろうね…?」
第11.5話を投稿します。
第12話につながる話となります。
sideクレア
「えへへっ。」
花名はとてもごきげんです。なぜなら、
「まさか私にも、専用武器を作ってもらえるなんて…!」
先日ちょっとした事件がありまして、その事件の話をポルカにしたら、なんと優先で専用武器を作ってもらえたんです!
「これはクレアとの努力の証だね!」
花名の笑顔が眩しいです!
「でも、いいのかな。私だけこんなに幸せで。」
「大丈夫ですよ!私も幸せだし!」
「うん。なんだけど、ほら。お母さんに報告とか出来てないし…。」
ご両親へのご挨拶…そうですよね。
そもそも花名の世界からはたまてさん、冠さん、栄依子さんしか召喚出来てません。
…花名の世界の人をもっと召喚したら、喜んでくれるのでしょうか…?
という訳で11.5話終了です。
次は第12話となりますが、今までに比べて恐ろしく長くなります。投稿は明後日頃になると思います。
初出:書き下ろし
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第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
第11話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res186
第11.5話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res192
お待たせしました!第12話です!
今までの回が3,000字ほどだったのに対し、今回は1万字程となっております。
ぜひ、きらら展の待ち時間などにお読みください。
side花名
私は杖のお手入れ、クレアは鍵の整備。
静かだけど、心地良い時間。
「ね、花名。」
不意に、クレアが私に声をかける。
「花名は志温さんや葉月さん、光希さんに万年さん…。花名のもとの世界の方々を召喚したら、嬉しいですか?」
難しい質問してくるな…。
「確かに、みんなが来てくれたら嬉しいかな…。でも…」
「やっぱり、そうですよね…。よしっ。このあと、きららさんが来るんです。頑張るので、見ててくださいね!」
「あ…うん。」
無理、しないといいんだけどな…。
…こんこんこん、とノックの音がして、1人の女の子…きららさんが入ってきた。
「クレア、来たよー!」
「きららさん、お待ちしておりました!」
私は部屋の奥へ。他の人が魔法陣近くに居ると危険だから、いつも少し離れて見てる。
ただ今日は…今日も先客がいた。
「…きんぱつ、きんぱつ、きんぱつ、きんぱつ…。」
「忍ちゃん…。」
「花名ちゃん!今日は金髪少女、出ますかね!」
「う、うーん…。」
私達が話してる間にも、クレアときららちゃんは集中し、床に光の魔法陣を展開している。
「…開きますよ。」
鍵を魔法陣の中心に突き刺し、回す。
いつもより長いのって、もしかして…
『頑張るので、見ててくださいね!』
もう、クレアは…
私はクレアのもとに歩いて…
「花名っ!来ないでっ!」
「花名さんっ!来てはいけません!」
きららちゃんとクレアの声に一瞬怯んで、…あっ
「花名っ!」
転んだ拍子に、クレアの鍵に手をついてしまった。
そこで頭が白くなって…何も考えられなくなった。
* * *
sideきらら
座標指定中、花名さんが走ってきました。
「花名っ!来ないでっ!」
「花名さんっ!来てはいけません!」
しかし、かえって驚かせてしまったみたいで、足をもつれさせて…
鍵に触ってしまいました。
その瞬間、花名さんの体が光の粒子になりました。その粒子は鍵に吸い込まれ、魔法陣の中に放出されて…
「花名っ!?」
「落ち着いて、クレア!」
「でもっ!」
「花名さんを召喚するよ!」
「…!」
その言葉でクレアは、花名さんの世界を再び探し始めました。
「花名っ…。」
まだ、繋がりません。
「花名っ。」
繋がりません。
「…花名っ!」
…!つ、繋がりました…。
クレアの恋心に尊敬の念をいだきつつ、私は魔法陣に集中します。…絡んだパス。その中からクリエメイトの気配を探します。…これは、たまてさん。…たまてさんからのパスが多い…。っ!一本だけ太いパスがっ!…いましたっ!花名さんです!…慎重に、花名さんを喚びます。…。…これは…。
「花名のクリエの気配です!」
「…ごめんね。」
「な、何を謝って…。」
魔法陣の上に人の形が作られる。そして、
「え、ええっと…ここはどこでしょうか…?」
周りを見回している少女は、紛れもなく花名さんでした。
* * *
side花名
「どこまで、覚えていますか?」
杖を持った女の子が聞いてくるけど…周りは見覚えのない部屋。
…ま、まま、まさか、ゆゆ、誘拐っ!?
「…花名…だよね…?」
「なな、なななななんで私の名前を…。」
「…忍さんっ!」
「は、はいっ!」
「…冠さんと栄依子さん、それからたまてさんを呼んできてください。」
冠ちゃんに、栄依子ちゃんに、たまちゃんまで…いったい、どうなってるんだろう…。
忍、と呼ばれたこけしみたいな少女はこのお家のドアを出ていった。
「きららさんっ!花名の記憶の召喚は、できないんですかっ!」
青い紙の女の子が叫ぶ。私の…記憶?
「…さっきのときに全てが消えちゃったみたいで…。…ここにいる花名さんは、私達が初めて召喚した花名さんなんだよ…。」
「そう…ですか。」
「…クレア?」
「…え、エトワリアへようこそ!こ、この世界…世界、では…」
「…クレア。」
感情を押し殺して説明している青い髪の女の子は、全く知らない私から見てもとても痛々しく見えた。
* * *
sideたまて
かむちゃんやえーこちゃん、それからトレーニング帰りだというカレンちゃんと共に、商店街を歩いています。こんな時、花名ちゃんも一緒なら…
「『花名ちゃんも一緒なら良かったんですが…』でしょ?」
「えーこちゃん、人の心を読まないでくださいよ!」
「誰から見てもわかる。」
「むしろわからないわけがないデース!」
「…本当ですか、えーこちゃん?」
「あら、このハンカチの刺繍、全員が金髪の妖精族の金髪を使ったものなんですって!」
「いろいろあって、仕入れたほうが他の商品が安かった。」
「シノが喜びそうデース!」
「ちょっと、聞いてくださいよぷきー!」
「み、みつけました、みなさん!」
「うわさをすれば」
「見て下サイシノ!このハンカチ、金髪少女の金髪で…」
「カレン!もっと詳しく教えて下さい!」
「いやいや、それどころじゃない慌て方してたけど…。」
「はっ!そうでした!みなさん、今すぐ召喚の館に来て下さい!」
「はて、どうしてでしょう?」
「花名ちゃんが大変なんです!」
「花名が…?」
「ん。なら早く向かうべき。」
「そ、そのまえに、その金髪少女のハンカチ…って高いですね!?」
「え、そうデスか?」
「…でも気になります!コルクさん、このハンカチについて教えて下さい!」
「カレン、早く行くわよ!忍は…無理ね。」
一体、何があったというのですか、花名ちゃん!
* * *
side花名
…本当に、異世界なんだ。
私は、目の前で起こった出来事に、ただただ驚いていた。
こけしみたいな女の子が呼んできてくれたのは、たまちゃん、冠ちゃん、栄依子ちゃん…と金髪の女の子だった。
たまちゃんは光を飛ばす剣、冠ちゃんは爆発するフラスコ、栄依子ちゃんは何もないところから風を起こしてくれた。
「それにしても…花名ちゃんは何も覚えていないってことですよね?」
「うん。だから、皆とやったことを覚えていないのは残念、かな。ね、何があったのか教えて?」
「「「「「「………」」」」」」
「ど、どうしたの、皆黙っちゃって…。」
「そ、それでは花名さん、里を案内しますよ!」
「う、うん…。」
どうしたんだろう…。
* * *
side春香
「ねぇ春香?」
「どうしたの、優ちゃん?」
「あれ、クレアちゃんと花名ちゃん、だよね?」
優ちゃんが示した先には、たしかに二人が。
「じゃあ私達はあっちに行こっか!二人の邪魔になっても…」
「そうじゃなくてね、二人とも、いつもと違うように見えるよ?」
「違うって、どういうふうに?」
「うーん、なんかね、花名ちゃんがクレアちゃんと話してるとき、全然笑顔がないなって。」
「気づいてしまったデスか…」
私達の後ろから声をかけたのは、カレンちゃん!
「実は…」
カレンちゃんの話は、私達を凍りつかせるには十分すぎる内容だった。
「私はあの二人を見て『恋』というものがどういうものか、何となく分かった気がするデス。…だからこそ、私は二人に、二人自身に乗り越えてほしいと思ってマス。」
…私達にできることは、何もないのかな…。
* * *
sideカレン
「それじゃあ、私は再び追いかけに戻るです。何かあったら問題デス。」
私はハルカとユウに別れを言って二人を追いかけ…二人からかなり離れてしまいマシタ…。
「…<メモリア・ラウズ>。」
地面に剣を打ち付けて加速…こっちのほうが初速が出るデス。
それにしても、ハナのあの目…
『…本当に、何もしないの?』
自分の思考が、問いかけてきマス。
『これは、第三者が介入してもどうにもならないことデス。』
自身を正当化するデス。
でも…。こんな時、アリスなら…私のヒーローならどうするデショウ…。
…自分でも知らないうちに疲れてたみたいデス。
そして、自分が周りをよく見ずに移動していたことに気付きマシタ。
…森の中に入って、何をするデス…?
* * *
sideクレア
…変わってない。
あのときも同じように、こんなふうにお花が咲いていました。
「…クレアちゃん、ここ、里の中じゃ…。」
「花名さん…いえ、花名…っ!本当に覚えてないの!?ここの事、少しもっ!?」
「…ごめんね。」
…やはり、花名さんの中に、花名の記憶は残ってないんですね…。
「…クレアちゃん。」
「…里に、帰りましょうか。」
…痛々しいでしょうか。…醜いでしょうか。
…でも今は、今だけは、強がらせて下さい。
強がっていないと。
せめて、花名さんの前では強がっていないと、壊れてしまいそうですから…。
* * *
sideたまて
ふと、月を見たくなりました
真夜中なのは承知の上です。
…クエストゲート広場にでると、先客がいました。
「あ、たまちゃん。」
「花名ちゃん…。」
花名ちゃんの隣に失礼します。
「私達の世界と、月って似てるんだね。」
「…そうですね。」
……。
「花名ちゃん。一つ、聞いていただいてもいいでしょうか。」
「え?」
「花名ちゃんとしては、この世界に来たばかりで、不安ばかりかもしれませんが…。」
「聞くよっ!何でも言って?」
「…では、お言葉に甘えまして。」
…本当に、私はずるい人間です。
「…私、好きな人が居るんです。」
「そ、そうなんだ…。」
「でもその人は、他の人と付き合っていて、他の誰もが入り込めないほど相思相愛なんです。」
「…そうなんだ。」
「だけれどある日、アクシデントでその二人は離れてしまったんです。」
「……。」
「そんな時、私はどうすればいいのでしょうか…。」
「……。」
「なーんて、それだけですよ、気にしないで下さい!」
私は立ち上がって、家に帰ろうと…
「待って!」
花名ちゃんが声を上げて、立ち上がろうとし、石畳に足を引っ掛けました。って、こっちに倒れて…
「…んっ!」
「んんっ…!」
…今の…感触は…!
「ご、ごごごごごごごごめんね!?ききっききききき…」
「花名ちゃん、落ち着いてください!」
「で、でも、たまちゃん、好きな人が居るって…」
「その人って、花名ちゃんです。」
「え?」
「私が好きなのは、一之瀬花名ちゃんなんです!」
…言ってしまいました。
「え、ええ、えええええええええええええっ!?」
その時、視界の隅に、青い髪が映りました。
…あれは、まさか、
「クレアちゃん!?ち、ちがうんです!い、いまのは…」
それでもクレアちゃんは足を止めず、走り去っていきました。
* * *
sideクレア
うそっ!うそですうそですうそですっ!
花名が、私以外の人とキス…。
絶対嘘です!
……。
…分かってます。あれは事故だし、そもそも花名がああなってしまったのも私に責任があります…。
…なので絶賛、引きこもり中です…。
『クレアなら、そうやって塞ぎ込んじゃうかなって思ってた。』
幻聴、でしょうか。花名の声が聞こえます。
『…もう、少しは信じてよ。私は花名。本物だよ?』
…本当に、本物なんですか…?
『あーっ!クレア、敬語になってる!じゃあ私もクレアちゃんって呼ぼうかな?』
…本当に、花名だ…!でもそれなら、なんで私の中から聞こえて…そもそも、どうやって…
『すこしだけ、いいかな。…私は鍵に触った時、ものすごい勢いで鍵に吸い込まれたの。そのときに私の殆どの部分はゲートの中に放出されちゃったんだけど、私の大切な部分は無意識に、流れに逆らってクレアの中に入ったみたいなの。』
「それが、今の花名…。」
…花名が今、残っているなら、花名をもとに戻せるのでは…?
『さ、さあ、どうかな…?で、でも、このままなら、『クリエメイト』が帰った後でも、私は残れると思うし…。」
ダメだよ、諦めちゃ!…そうだ、魔法なら、オルバさんやアモルさんが詳しいんじゃ…よし、行ってみよう、ね、花名!
『…う、うん…。』
* * *
「そりゃ、また厄介なことになってるんだな…。たしかに、戻す方法は少ない。」
「でも、ないわけじゃないのよ?」
オルバさんとアモルさんに話すと、二人はそう言って、森の外を指しました。
「向こうに、記憶を封じ込める宝石、というものがある。本来は忘れたい記憶を封印するためのものだが…」
記憶を封印する宝石…。またそれを取りに行かないといけないんですね…。
「その顔は知ってるって顔ね。それなら話は早いわ。…今、花名さんはクリエの状態なの。そして、その宝石は記憶をクリエに変換して保持する。記憶はクリエのまま取り出すこともできるから、それくらいなら応用が効くの。」
「…ただ、以前にその宝石で記憶をいじったことがあるって言うなら、花名は気づいていたんじゃないか?」
「…そうなの、花名?」
『…うん。』
「な、なんで…。」
『私、クレアとずっと一緒にいられるなら、このままでもいいって。そう思ったの。クレアと一緒にいられるチャンスがあるのなら、そのチャンスを逃したくないって。…そう思っちゃダメって、分かってはいるんだけど…。』
「…花名さんをもどしたら、もうあなたに戻すことはできないわ。よく考えて使ってね。」
そういったオルバさんとアモルさんは、静かに箱へと戻っていきました。
「…ね、花名。一つ提案があるんだけど…。」
* * *
side花名
えぇっと…どういう状況なの…かな?
目の前には不思議な液体の入ったフラスコ。
そして、どうぞ飲んでくださいとばかりにこっちを見るクレアちゃん…。
ももっ、もしかして、あなたは本物の花名じゃないから死んでくださいってこと!?
「…飲むん…だよねこれ。」
「はい、飲んでくだ…え、いいじゃん。花名じゃなくて、花名さんだし…そう、花名は特別なんだから。…あ、すみません。飲んでください。」
…すっごく不安なんだけど…。
「先に飲んでみてもらえる…かな?」
「わかりました。」
…クレアちゃんがフラスコの半分を飲んじゃった…。
「ほら、花名さんも飲んでください。」
…害はないってことだよね。…えいっ!
クレアちゃんが私の手を握っ…
な、なにこれ…すごくくらくら…する…。
『ごめんね。入れ替わりの薬を飲んでもらったの。』
…すごく聞き覚えのある声。
その声は…!
「私!?あれっ!?」
身体が、クレアちゃんに…
『私の意識は、クレアの身体に紐付いているみたいだから。…私は、一之瀬花名。あなたが来る前にいた私。』
…ここに、その記憶があるってことは、もしかして、私に記憶を戻したりすることができるってことなのかな。なら…
「私、あなたに私を返したい。」
『え…?』
「元々、私はここにいるべきじゃないと思う。だって、私よりも先にあなたが来たんだし、それに…あなたはクレアちゃんが好き、なんでしょ?」
『…でも私、ここにいればずっとクレアと一緒だし…。』
「触れ合えなくてもいいの?それに恋人ってことは、きっと将来、き…キス、とかもするだろうし…。私は、『私』にちゃんと生きてほしい、かな…。」
『…そっか。私、むしろ遠くの利益だけを見ちゃってたんだね。…ありがとう、花名。』
「ううん、どういたしまして、花名。…クレアちゃん。」
「はい。…それでは、これを飲んでください。」
戻るのも薬なんだ…。
* * *
私が、このエトワリアにいるのもあと少し。
「あれ、花名ちゃん!」
「あ…えっと…春香ちゃん。」
「…どうしたの?」
「…私、『私』を私に返すことになったんだ。」
「…えっと…うん?」
「だから、私の…この気持ちも消えちゃうんだなって。」
「…この気持ち…?」
「うん。私がたまちゃんを好きな気持ち。」
「そう、なんだ。」
「あはは、おかしいよね。同じ人なのに、好きな人が違うなんて。」
「…うーん。…いいんじゃないかな。」
「え?」
「だって、私だって優ちゃんに声をかけてもらえなかったら。私と優ちゃんは親友になってなかったんだもん。…何を経験したか、でその人の好きな人って変わると思うんだ。」
「…私と私は、私だけど、私じゃない、別の経験をした人間なんだね。」
「…ところで、ちょっと顔青いけど、…結構無理してる?」
「…じつはしてます…。」
緊張でがちがちだったけど、春香ちゃんと話して、少し楽になった…かな。
* * *
sideたまて
…私個人としてはとても気まずいのですが…。
「では、宝石を取りにでかけましょう!」
…なぜ、私は呼ばれたのでしょうか?
「…たまてさん、迷わないでください。花名さんたっての希望です。」
…昨日の、キスの件でしょうか…。
怒られる!絶対怒られます!
「たまちゃん、よろしくね?」
…花名ちゃん、少し顔を赤くしています。あのときのことを変に意識されてますねこれ…。
…では、私を呼ばなければ恥ずかしがる必要もないはず…。
「改めて説明します。以前の騒動のあと、宝石はもとの場所に戻しました。なので、また取りに行かなければいけません。宝石を回収したら、私の中にいる花名をふぉーまっとします。その後、花名さんに宝石からの記憶を読み取って、吸収してもらいます。」
事前に言われたことの再確認ですが、何度聞いても不思議な気持ちになりますね…。
「…それじゃあ、行こう。」
* * *
sideクレア
「…ここ…でいいんだよね?」
「はい。」
宝箱の中から宝石を取り出します。
「…花名、いい?」
『うん。……』
花名が集中した瞬間、宝石が白く光りました。
「花名さん、準備は良いですか。」
「…うん。大丈夫。」
私が花名さんに宝石を渡そうとしたその時。
「グルルルルルル…」
魔物に、宝石を取られてしまいました!?
「これは…とんだデジャヴですね…。」
「お、追いかけましょう!」
…それから5分後。
「…完全に見失いましたね。」
「ど、どうしましょう!あの宝石には、花名がいるのに…」
『落ち着いて、クレア。前の時のこと、思い出して。』
「前の時…は確か…」
私は息を吸いました。そして、
「ま、魔物さーん!ありがとうございまーす!お礼に1割を差し上げまーす!」
「え、ええぇー…」
「よ、よく覚えてましたね…」
「…グルルルルル…。」
「…さっきの魔物だよ!」
「花名ちゃん、援護お願いしますっ!」
たまてさんが行きます。しかし…。
「な、なんですかこいつ!前にいたのと、行動パターンが全然違いますよ!」
目くらましに光球…前の魔物とは別個体みたいです…!
「ま、まずいですよう!?」
たまてさんに魔物が接近して…!
「カレン、参上デース!」
たまてさんの前にカレンさんが超高速で跳んでいきました!
「人の恋路を邪魔するやつは、許さないデス!」
そしてカレンさんが集中します。
「…!…今だけ…力を貸して下サイ…!」
すると、カレンさんの剣に異変が起こりました。
とても長い、です。魔力で補強された剣は、少なくともカレンさんの身長の1.5倍はありそうです。
「<必殺エターナル波動剣>デス!」
そして、カレンさんが跳躍します。
「<月夜の鬼コーチ侍>!!」
すると、魔物が大きくのけぞり、宝石が中を舞って…花名さんの手に収まりました。
「できた、デス…。」
カレンさんはもとの大きさに戻った剣を突き刺し、身体を支えました。
「…ハナ!ハナがクレアのことを好きなように、ハナにも好きな人がいるのではないデスか!?…今伝えずに、いつ伝えるんデスか!?」
「…!な、何で…」
「見てたら気づいたデス。…今しかないデスよ!」
「…うん!」
すると、花名さんはたまてさんの方に歩いていって一言、なにかささやきました。
そして。
* * *
side花名
「ただいま、クレア。」
私はクレアに向かって一言。これだけで、クレアには通じたみたい。
私は杖を構え直す。今度は私が…クレアを元気にするんだから!
その時、杖が光った…!ななな、何が起こってるの!?
私はあわあわしつづけて…そして、この光の暖かさに気づいた。
…これは!
わたしは、杖を天に掲げて叫んだ。
「<秘めた思いを胸に>っ!」
すると、私と、クレアと、たまちゃんの前に半透明のパネルが現れた。
私達の攻撃は通るけど、向こうからの攻撃は通らないみたい。
「どんな攻撃でも耐えられますよ!」
「花名、すごいです!」
私にも何でできたかわからないけど…。あぁ、そっか。あなた、なんだね。
魔物の攻撃は、全てバリアに弾かれた。私達は少しずつ魔物を追い詰めていって…。
私達を倒せないと悟った魔物は、森の奥に逃げていった。
「よ、良かったぁ〜。」
つい気が抜けて、倒れそうになる。
「よっ。」
でも、クレアがそれを支えてくれる。
「ふふっ」
「えへへっ」
「それじゃあ、帰ろっか。」
「うん。」
私達は、存在を確かめ合うかのように、強く手を握りあった。
* * *
side???
「何故、私を手助けしてくれたデスか…?」
* * *
sideクレア
「…クレア。話しておかなきゃいけないことがあるの。」
夜、ベッドの中で、花名がいつになく真剣な表情で言いました。
「実はね、クレアの中に入ったことで、クレアとのつながりが強くなったみたいなの。」
「…えっと…つまり?」
『つまり、こういうこと。』
花名の声が、頭に…!
「それからね、クレアの記憶、見えちゃったんだ。」
わ、私の記憶、全部見られっ…!
「ね、クレア。」
な、なんで、パジャマのボタンを外して…
「私、見ちゃったの。」
不要になった衣服が、下着が、ベッドの外に追いやられます。
「クレアが前に見た、『もっと親密になる夢』。」
続いて、花名の手は、私の服のボタンを外します。
「…私、そういうこと知らなかったのに…。」
花名は焦らすように優しく、私の服を脱がせていきます。
「だからさ、クレア。」
花名の手は私の下着を脱がして、一度止まりました。
「…しよ?」
* * *
ふわふわした足取りで、部屋から出ました。
「はぁ…好きぃ…」
まだ、余韻が消えません。
「…く、クレア、おはよう…。」
「お、おはよう!」
「……。」
「……。」
「さ、流石にこのままじゃ…だめだよね…。」
「お、お風呂入ろっか…。」
…1時間後。
なんとか身支度を整えた私達は、朝ごはんを作ろうと思い、立ち上がりました。すると、こんこんこん、とノックの音が聞こえます。
「はい、どなたですか?」
「はい、百地のたまちゃんでいす!本日はおすそ分けに参りました!」
そう言いながら入ってきたたまてさんが持っていたのは、お赤飯。
思わず花名と顔を見合わせます。
「今日はお二人のお付き合いからちょうど1年じゃないですか!」
…!そうでした。
「あ、それでは、邪魔者はこれにて…」
「ちょっと待って。」
…花名?
「昨日、『私』から託されたの。たまちゃんに渡してって。」
そう言って花名が出したのは、記憶を封じる宝石でした。
そしてそれを受け取ったさんは、崩れ落ちました。
「…はな、ちゃん。」
たまてさんは宝石を見つめ…そして、ちょっと悲しそうな、嬉しそうな複雑な笑顔をして言いました。
「花名ちゃん、ありがとうございます。宝石を、渡してくれて。」
そう言い残し、たまてさんは館を出ました。
「たまちゃん、大丈夫かな…。」
「大丈夫だよ。だって、あの顔は、なにか大事なものを見つけたって顔だったから。…ところで花名、今日は私達の付き合って1年の日なんだって。」
「う、うん。…もしかして、忘れてたの?」
「わわ、わすれてないですよー?」
完全に忘れてました…
「完全に忘れてました…って思ってるでしょ?」
ぎくっ!
「ふふっ。でも日付単位では覚えてたんだね。付き合い始めて365日って覚えてて。365日と1年がつながらなかったんでしょ?」
「…そこまでわかるなら、私がどこに行きたいか分かるんでしょ?」
「でも、それはクレアから聞きたいな。」
「もう、花名ったら。」
この一年間、いろいろなことがありました。
花名と出会って、楽しいことも辛いこともたくさんあったけど。
きっと、そのどれもがかけても、今の私達はありませんでした。
「…花名。」
私は、花名が好き。だから。
「私と、あのお花を摘みに行きませんか…?」
と、いうわけで。本編としては最終回となります。
近いうちに(もしかしたら今日中かもしれないレベルで)各話解説、登場作品紹介などをして基本的には終わりです。
…気が向いたら、自己満足のほのぼの回などは投稿するかもしれません。
初出:書き下ろし
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各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
第6話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res105
第7話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
第8話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res129
第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
第11話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res186
第11.5話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res192
第12話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res195
きれいに話がまとまっていて面白かったです。
きらファンの武器や技名を用いた戦闘も斬新でした。
シリアスな中でのこけしみたいな少女でクスッとしまた。
>>211のたまちゃんに「なにか」をささやくのも素敵でした。
とても良かったです。
三角関係でも、単純な負けヒロインみたいにならないところに優しさを感じました。
エトワリア特有の事情がうまくストーリーに組み込まれてると思います。
>>217
ありがとうございます!
専用武器の技名が台詞寄りじゃなくて助かった…という感じです。
中々ネタが仕込めない中、唯一自然に仕込めた笑いどころです…!ありがとうございます!
>>218
ありがとうございます!
どちらかといえばクレはな派な私ですが、はなたまも好きなんです…!
エトワリアだからこそできる作品を書きたくて…そう感じていただけたなら良かったです!
さて、登場作品紹介と各話解説です。
これで(一応)ラストとなります。
原作・イメージレスポンス作品一覧です。
きららファンタジア
https://kirarafantasia.com
スロウスタート
https://slow-start.com (アニメ)
きんいろモザイク
http://www.kinmosa.com (アニメ)
NEWGAME!
http://newgame-anime.com (アニメ)
うらら迷路帖
https://www.tbs.co.jp/anime/urara/ (アニメ)
Aチャンネル
https://www.a-ch.jp (アニメ)
けいおん!
https://www.tbs.co.jp/anime/k-on/k-on_tv/ (アニメ)
ステラのまほう
http://magicofstella.com (アニメ)
がっこうぐらし!
https://gakkougurashi.com (アニメ)
桜Trick
http://www.tbs.co.jp/anime/sakura/ (アニメ)
こみっくがーるず
http://comic-girls.com (アニメ)
キルミーベイベー
http://killmebaby.tv/top.html (アニメ)
ブレンド・S
https://blend-s.jp/sp/ (アニメ)
はるかなレシーブ
http://www.harukana-receive.jp (アニメ)
ひだまりスケッチ
https://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/ (アニメ)
ご注文はうさぎですか?
https://gochiusa.com (アニメ)
すわっぷ⇔すわっぷ
http://www.dokidokivisual.com/comics/book/past.php?cid=1108 (コミック)
天王寺渚「冒険者稼業に飽きた最強パーティーのリーダーが仲間と金髪少女を拝みに遠征へ行くことになった話」
http://kirarabbs.com/index.cgi?read=334&ukey=0 (SS)
THE REASON ~Why Karen Draws Her Dear Sword in This World~
http://kirarabbs.com/index.cgi?read=1480&ukey=0! (SS)
(以上、登場順)
第1話「花名とクレアと友達と」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
元々、イベント「友達の友達は友達大作戦」の続きが書きたいと思い、投稿した作品です。1話完結にする予定だったのですが、様々な経緯からそこそこの長さの作品になりました。
ちなみに私は召喚した10人が全員花名ちゃんだったことは一度もありません。
第2話「一緒のお家で」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
pixiv版では投稿しなかった回です。何故か私の中では花名がクレアと一緒に住んでいるのがデフォだったので、この二人が一緒に住むことになった経緯を書いてなかったんです。なので急遽追加した回となっています。ちなみに、婚姻届はバレンタインイベントを見て思い付きました。
第3話「里の音楽祭!〜Claire & Hana Pickup Version〜」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
おそらく、pixiv版と一番大きく変わった回です。pixiv版ではメインがフル☆フルのメンバー(もっと言えばテルさん)だったのですが、クレはな以外のシーンを基本的にカットしました。
ちなみにpixiv版でコルクがマイクを作っている描写がありますが、あれはカンナが忙しすぎて手が回らず、コルクがマニュアルとにらめっこしながら作った経緯があります。
第4話「海の家インザカップル」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
海の家オブザイヤーの時系列です。
元はクレアが花名のことを本当に好きなのかを悩む回だったのですが、第2話で使ってしまったので飽きられてしまう、という内容に変更しました。
花名ちゃんの水着実装はよ!!
第5話「勘違いと真実と」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
BBSでは初めての「違う視点で同じ話」です。pixiv版ではメリーが出てきますが、ストーリー変更に伴いカットされ、可愛そうなことになりました。ちなみにこの回の春香さんはお気に入りです。
第6話「大切な名前」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
pixiv版ではうっかりしていた呼び捨ての回です。あとあぎりさんのキャラつかめない問題がすごいです。
花名のクレアへの愛の大きさを表す回でもあります。
第7話「花名の初仕事」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
コールは召喚、召喚は基本的には使役魔法とセット…という連想からコールの設定を作成しました。
あとたまてはかなりキャラ崩壊してしまいましたね…たまて好きの皆様、申し訳ないです。
第8話「天国と地獄と」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res129
試練の島をはるかな以外のメンバーが攻略したら…というところからイメージをいただきました。余談ですが煙のなびく方向にゴールがあるというのはゼルダの伝説ブレスオブザワイルドがモチーフだったりします。
第9話「それも私達だから」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
がっこうぐらし色が強い回です。前にも書いた気がしますが、由紀のアニメ範囲外の設定を使うのに少し躊躇がありましたがアニメでもラスト覚醒してたよねということで覚醒させました。
第10話「あなたの体温」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
酔わせたかった!酔わせたかったんです!クレアちゃんを!!!酔わせたかったんです!!!!あと花名ちゃんのちょっと毒を吐くとこを表現したかったんです。
第11話「私はあなたの中で」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
実は入れ替わりネタも好きな私です。アモルちゃんの嫉妬もかわいいと思うんです。
あとおまけは趣味全開です
第12話「ゆっくりでも、がんばりますっ!」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res195
メモクエは「専用武器を入手するためのストーリー」と自己解釈しています。あと最終進化スキルは本当にピンチのときに、様々な条件で発動するものだと考えています。そして、全体の前半部分にはほぼ全話にカレンが登場します。なのでカレンの成長としてカレンの最終進化スキルを登場させました。
あとはなたまも好きです。
途中でコメントしていただいた皆様、とても励みになりました!
あと、疑問などがあればできる限りお答えします。今後の作品の参考にも致しますので、ぜひお願いします。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
改めてお疲れ様でした。
遠回りしながら、愛を深めていく物語が尊かったです。各話のゲストも個性や設定が活きていました。
二人の関係がより親密(意味深)に……二人の絆、この均衡を保つ為に神々が力を合わせてエトワリアを守らなきゃですね
>>224
ありがとうございました!
例えメインキャラで無くても、そのキャラが何をしていたのかを考えながら書いています。なので、そう言っていただけるのはとても嬉しいです!
>>225
ありがとうございました!
いやー、一線こえちゃいましたね〜
いつこえてもおかしくはないと思ってましたが…
>>226
ありがとうございました!
親密に…ですね!
よし、課金しましょう(そこじゃない)
あと念の為言っておきますが、Rー18作品ではないですからね?
ちなみに、近いうちにpixivの方にまとめたものを投稿する予定なのでそちらもよろしくお願いします!
直接BBSとは関係なく申し訳ありませんが、pixivに「きららファンタジア -ゆっくりでも、がんばりますっ! 〜Blessing Bloom Story〜-」としてこちらのまとめを投稿しました。
基本的に誤字修正以外はベタ移植ですが、おまけとして1本BBS未投稿の回を収録しておりますのでぜひご覧ください!
なお、おまけ回は後日こちらにも投稿させていただく予定です。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799
これより、えくすとら第1話を投稿します。
内容はpixivに投稿したものと同一になりますのでご注意ください。
side花名
朝。私が机の横にかばんをかけると、後ろからすごい衝撃が襲ってきた。
「はーな!」
「ひゃあっ!もう、クレア…びっくりしたよ…。」
「ふふっ。ごめんなさい。でも、花名に会うのが待ち遠しくて…。」
「クレア…。」
「あらあら、朝から熱いわね〜。」
横から声をかけてきたのは栄依子ちゃん。冠ちゃんとたまちゃんも一緒。
「朝からアツアツ。」
「でもあんまりいちゃいちゃしてると、たまが拗ねるわよ?」
「なっ!なにをいいますかえーこちゃん!拗ねてませんよ!」
「ふふっ。花名は私のものですよ?」
「い、いくら彼女といえども、花名ちゃんを私物化はいけないですよ!」
いつもの朝。授業が始まる前の憩いのひととき。
「…ねぇ、栄依子?何で私達、朝から昼ドラ見せられてんの?」
「アハ、いつものことじゃない。」
* * *
sideクレア
「はい、じゃあ分かる奴は手を挙げろー。…つっても誰も挙げないよな…」
じゃあ、と私の名前を呼ぶ榎並先生。
私は数学があまり得意ではありません。この問題も、あっているかどうか…。
私は左隣にいる花名をちらりと見ます。すると、
「!」
両手で小さくガッツポーズ。それだけで、私の不安は消え去ります。
「…あー、正解なのは良いんだが、授業中は二人の世界に浸らないように。」
花名と二人で赤くなります。
「じゃあ先生との世界もだめなんですかー?」
「駄目だ。」
「えー、けちー。」
「テストまでに範囲が終わらなくなるだろ?」
「えー、良いじゃないですか少しくらい。」
「…栄依子。」
「な、何故名前で…」
「別に良いだろ、栄依子?…で、何かあるんじゃないのか?」
「い、いえっ…何でも…ないです…」
「そうか?遠慮はいらないぞ?」
「本当に…なんでも…」
「そうか。…じゃあ授業を再開するぞ…」
ふ、二人の世界でした…
* * *
side花名
「一之瀬さん。日誌とごみ捨て、どっちが良い?」
今度は、ちゃんと。
「じゃ、じゃあ、日誌を持っていくね。」
「わかった。じゃあ私はごみ捨てね。」
私は日誌を持って先生のところへ。
「ご苦労だったな、一之瀬。」
「は、はいっ!」
「…どうだ、学校生活は。」
「はい。楽しいです。」
「…そうか。…彼女ができたみたいだが。」
「え!?えぇと…はい…。クレアには、その…浪人のことも話してあって…。」
「頑張ったんだな。…。あー…。こういうの苦手なんだよなぁ…。まあ、学業に支障が出ないようにしろよ?」
「は、はい…」
私は、失礼しましたと声を出して職員室を出る。すると、
「…花名。」
「クレア?」
「…私、もう我慢できません。」
「ふふっ。本当にクレアは好きだね。…今は人もいないし、少しだけ、だよ?」
「はいっ!」
私達は目をつむって唇を重ねる。もう何百回もやったのに、今でもドキドキする。
花名、とクレアが呼びかけてくる。クレア、と呼びかけ返す。
唇がふさがっていても、感覚だけで分かる。
…やがて、唇を離す。誰かが来たら困るから。
「それじゃあ、帰ろっか。」
「はい!」
二人で手をつないで、私達は学校を出た。
* * *
sideきらら
クレアさんに呼ばれてきましたが…花名さんもクレアさんもぐっすり眠ってますね。召喚はまた今度にしておきましょう。
というわけで、えくすとら第1話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
初出:pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799
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各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第1話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res20
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第5話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res82
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
第6話後半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res105
第7話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
第8話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res129
第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
第11話おまけ: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res186
第11.5話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res192
第12話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res195
えくすとら第1話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res229
夢魔に憑かれてないですか?
先生を召喚すればエトワリアで学校を再現できますよクレアさん
>>233
ありがとうございます!
憑かれてるかもしれないですね…!()
エナセン実装はよ!
>>234
ありがとうございます!
はい、二人ともとても幸せそうです!
いつかこの光景も現実になってほしい…
>>235
ありがとうございます!
そうですね!二人とも暇さえあればキスばかりですし()
>>237
ありがとうございます!
そうですね!二人共、同じ願望を持っていて、それが繋がっている…この手の話はそこがとても尊いと思います!
>>238
ありがとうございます!
クレアちゃんが星尾女子にいる話はずっと書きたいと思っていたので…!ありがとうございます!
>>239
ありがとうございます!
次回も頑張りますっ!
sideクレア
今日は聖典世界ではスティック型チョコの日です。
実はこのスティックチョコ、エトワリアにも似たようなものがあるんです!
…ですが、私がしたいのはこのチョコをただ食べることではありません。
…スティックチョコゲーム。
このゲームは、二人でスティックチョコを別々の端から食べていって…そして最後は…!
スティックチョコゲーム、花名とやりたいです…!
「…どうしたの、クレア?」
「は、花名っ!なんでもないよ!」
花名が来て慌てて取り繕います。
「ほ、ほんとになんでもないよー」
「……」
若干の疑いの目を向けつつ、花名は立ち上がります。
「それじゃあ、ちょっと買い物してくるから。」
「何を買ってくるの?」
「な、内緒っ!」
花名は顔を真っ赤にして館を飛び出していきました。
…怒らせてしまったでしょうか。
* * *
side花名
はわわわわ…飛び出してきちゃったよ…
…今日はスティックチョコの日。スティックチョコと言ったら…スティックチョコゲーム…だよね。
…クレアちゃんとやりたいよ…。
「あれ?花名ちゃん!」
「あ、裕美音ちゃん…」
「どうしたの?なにか悩んでる?」
「あ…うん。えっと…その…クレアちゃんとスティックチョコゲームをしたいなって…」
「ふむふむ…。しちゃえばいいんじゃない?チャンスは今日だけだよ?」
「あ、うん。そうなんだけど、その…エトワリアにそういう文化があるのかなって…。」
「あー、そっか。…あ、でもそのシチュ良いかも…」
「しちゅ?」
「『ほら、反対側咥えろよ…』『で、でもそんなことしたら、お前…』『いいから…』そしてそのまま歯止めの聞かなくなった二人は…ふへへ…」
は、歯止めが効かなくなってるのは裕美音ちゃんのほうだよね…?
「あっ!花名ちゃんごめん!」
「あ、ううん、大丈夫だよ。」
「…でも、クレアちゃんなら受け入れてくれると思うよ?それに、聞いてみなくちゃわからないし。」
「クレアなら…そうだよね、聞いてみなくちゃわからないよね!ありがとう、裕美音ちゃん!」
私は裕美音ちゃんと別れてお店に走った。
「まったく。…さて、私は構想をふくらませるとしますか…」
* * *
sideクレア
「ただいま、クレア。」
「あ、おかえり、花名!」
花名が何かをためらっています。
…やがて、意を決したように後ろを向きました。
そして、再びこちらを向いた時、花名はスティックチョコをくわえていました。
…花名も、同じ気持ちだったんですね。
おそらく説明しようとしているのでしょう。口を開こうとして、チョコが揺れて慌てて閉じてます。そんなところもかわいいですが、このままだとスティックチョコが落ちてしまいます。
私は花名のくわえていない方の端をくわえ、そしてそれを少しずつ食べ進めます。
チョコを食べるたび、少しずつ距離が近づいていきます。
やがて、その距離はゼロに達して…
というわけで、えくすとら第2話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
初出:書き下ろし、pixiv同時投稿
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えくすとら第2話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res242
読ませていただきました
花名ちゃんがポッキーゲームをしたくて、くわえているけど、説明ができない、というところが不器用な花名ちゃんらしくて良かったです
今日はポッキーの日ですからポッキーゲームssは定番ですね。
花名はクレアがポッキーゲームを知っていることを知ってどういう反応をしたのかが気になります。
なるほど、敢えてその先を書かないという技法ですか。
クリエメイトの影響をある程度受けてるあたりエトワリアっぽいです
きっとチョコより甘いキスだったことでしょう。
この二人だと本数分、いやそれ以上にやってそう。
>>245
ありがとうございます!
花名ちゃんは不器用ですが、それでも必死になるあたりがかわいいですよね!
>>246
ありがとうございます!
そうですね!ポッキーゲームは定番…ですがとても尊いシチュだとも思います!
>>247
ありがとうございます!
そうですね、きっとなんちゃらトリックとかあっちなんちゃらとかの聖典からの影響なのでしょう…
>>248
ありがとうございます!
この二人のことですからね…!この後のことも想像に難くないです()
「ね、クレア。クリスマスって知ってる?」
「うん、もちろん知ってるよ。去年も里でやったの。」
「そ、そっか。」
もうすぐクリスマス。
クレアにプレゼントを贈りたくて、でもクレアがクリスマスを知らなかったら申し訳ないなって思ってたけど、それは杞憂だったみたい。
そわそわ、そわそわ。
クレアに何をあげようかな…。
クレアの喜ぶ顔がみたい。そう思いながら私は必死に頭を悩ませていた。
「は、花名?」
「あ、ううん、なんでも無いよ!」
「そう?ならいいんだけど…」
そう言うとクレアは立ち上がって、窓の方に歩き出す。
「ふんふんふ〜ん♪」
クレアが鼻歌を歌いながら、お花に水やり。クレアの日課。
…そういえばあのじょうろ、ずっと使ってて、そろそろ買い換えなきゃって言ってたな…。よしっ。
「クレア、ちょっとお出かけ!」
私はそう言うと、館を出た。
「あ、花名!…ふふっ。いってらっしゃい。」
* * *
私は勢いだけで出てきたことに後悔していた。
完全にノープランだよ…。
「あれ、花名じゃねーか!」
でも、もう出てきちゃったし…。
「おーい、花名?」
どうしよう…。
「花名!」
「ひゃ、ひゃいっ!」
急に後ろから声をかけられてびっくりした…。
「ぽ、ポルカさん?」
「まったく…3回も呼んだぞ?」
「さ、3回…」
「ま、それはいいや。それで…そんな浮かない顔してどうしたよ?」
「あ…はい。えっと…。クレアのクリスマスプレゼントをじょうろにしようかと思ったんですけど…クレア、喜んでくれるかなって。」
「なんだ、そんなことか!大丈夫、クレアなら絶対喜ぶ!…そうだ、何なら作ってみるか?」
「つ、つくる!?」
「おうよ!おれがしっかり教えてやるから!クレアもそっちのほうが、絶対嬉しいと思うぜ!」
「…私…やってみたいです!」
「よしきた!それじゃあ中にはいって待っててくれ!オレは材料をとってくる!」
「おじゃましまーす。」
「ん。作業するとこ、みに来た。」
「おう、いらっしゃい。ただ…悪い。今日は花名のプレゼント作りに付き合っていて…。」
「あら、じゃあそれを見ていこうかしら。」
「ん。花名、応援する。」
カン、と打って一度手を止める。ふぅ、結構疲れるな…。
ふと、視線を感じて振り返ると、
「やっほ、花名。」
「ん。見に来た。」
「え、栄依子ちゃんに冠ちゃん!?」
「クレアへのクリスマスプレゼントなんでしょ?」
「ん。応援する。」
「二人とも、ありがとう…。」
そして私は、日が暮れるまで作業をしていた。栄依子ちゃんも冠ちゃんも、それに付き合ってくれた。
* * *
次の日の夜。
「ね、ねえ、クレア!」
「どうしたの、花名?」
「あ、あのっ!これ…クリスマスプレゼント…。」
私はクレアに、昨日作ったじょうろを渡す。
「わぁ…これ、花名の手作り…!ありがとう…!それじゃあ私からも…。」
そういってクレアが持ってきたのは植木鉢だった。
「ここにはね、種が撒いてあるの。それで、このお花を、花名と一緒に育てたいなって…」
「クレア…!最高のプレゼントだよ…!」
私は植木鉢を置くと、こらえきれずにクレアに抱きついた。
「メリークリスマス、クレア!」
というわけで、えくすとら第3話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
そして、もしかしたら近いうちに(年内は無理ですが)もう一本はなクレあげるかもしれませんので、そのときはまたよろしくお願いします。
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#21 )同時投稿
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誤字がありましたので修正させていただきます。 >>251 より
誤:「よしきた!それじゃあ中にはいって待っててくれ!オレは材料をとってくる!」
正:「よしきた!それじゃあ中にはいって待っててくれ!おれは材料をとってくる!」
ご迷惑をおかけしまして、大変失礼いたしました。
>>254
ありがとうございます!
この二人ならいつでもロマンチックになりますが、クリスマスということで、ロマンチックさにも磨きがかかったのではないでしょうか!(?)
こんこん、とスロウライフリゾートの扉を叩く。
「だ、誰だっ!」
「い、一之瀬花名です!
「おお!花名ちゃんではないか!」
「大会さんこんにちは…今日はこれから、エトワリアの案内をまたしようかと…。」
「それはありがたい!」
最近エトワリアに召喚された大会さん。ただ、知らない人が怖いっていうのと、呼ばれてすぐの…び、ビキニアーマーの件ですっかりエトワリアを怖がっちゃったから、心配で…。
でも、クレアは私のことを気にしていて…
『花名が心配しているのは分かっているんです。でも、理解するのと納得するのは違うんです…。』
今日は少し早く帰ろうかな。
* * *
「クレア、ただいま!」
「…お帰り、花名。」
クレア、やっぱり怒ってるよ…。
「ね、ねえクレア、その、大会さんのことは…。」
「私、大会さんのことは一言も…。」
確かに、一言も言ってないよね。…でも。
「『大会さんに花名を取られたくない。』」
この言葉に、クレアはぎくり、とする。
ずるいって思われてるけど、いいの。クレアのことは何だって知りたいんだから。
「ねぇ、クレア…。」
私はクレアのことを抱きしめる。
「大丈夫、どこにも行ったりしないから。」
優しく、クレアを撫でる。…だけど。
「…足りない。」
「え…?」
気づいたら、クレアに押し倒されていた。
「く、クレア…?」
「花名が、足りないの…。」
私は、クレアにされるがままになっていった。
* * *
…気がついたら、次の日の朝だった。
「ふふっ、おはよう、花名。」
「お、おはよう、クレア…。」
なんでこんなところで寝ちゃってるんだろう…しかも裸で。
「ほら、花名…朝ごはんができたよ。」
クレアがこっちに歩いてくる。
机の上に食器とパンを置いて、私の方に手を伸ばす。
私はその手を掴むと、クレアが私を引っ張り上げて、
「…愛しているよ、花名。」
その一言だけで、全部思い出しちゃう。
クレアは私のことを抱きしめて、耳元で、
「ずっと一緒だからね、花名…。」
その言葉は、私の心を甘く溶かしたのでした。
というわけで、えくすとら第4話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
以前言っていたもう一本はこれではないです()
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#23 )同時投稿
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あ、あと別のssの話になりますが、総合スレに投稿した「ホントとウソ」(https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=134&ukey=0!#res300)にも多くの反応をいただき、ありがとうございました!
「308 名無しさん
ヒバりーもありですが、やはり原作カプが落ち着きますね」
ヒバりーもはなヒバもとても好きなカプなので、どちらを書くかとても迷ったのですが…結果的にはなヒバが主になりました!ヒバりー主体も書いてみたいです!
「309 リゾチウマーΛ
嫉妬するはなこが新鮮で面白かったです。こっちの二人がこれからどうなるのか楽しみです。」
確かに原作では嫉妬するはなこはあまり見ませんでしたね…!
ヒバリちゃんも満更ではなさそうですし…?
クレアちゃんが愛が強すぎて病んできた・・・
ヤンデレクレアもよいです。
浪人経験者仲間とか、花名が(唯一)強気に出れる相手とか、同じ屋根の下住みとか、出不精同士とか、はなひろは充分あり得るんですよね。(これ以上は☆5が出ない呪いがかかります)
>>261
万年さんの場合、他のクリエメイトと違って本当に引きこもる恐れがあるので。
また、花名ちゃんは交友関係が狭い分、親しくなった人のことは気になるタイプですからね。
クレアちゃんがかわいかったです。あと、万年さんが召喚されたときの騒動がこちらではどうだったのかが気になりました。
万年さんへの嫉妬から強引な手に出るクレアも良いですね!
花名もそういうことしそうなイメージもあるしなんだかんだでお似合いな二人です
>>261
ありがとうございます!
大会さんのキャラシナリオからの連想でこのような関係にしてみました!
>>262
ありがとうございます!
むしろ今までなんで病んでいなかったのか…(もしくはすでに病んでいた…?)
はなひろもとても好きなので、もしかしたら今後出番も増えるかも…?
>>263
ありがとうございます!
一応大会さんが召喚されたときの騒動に関しても設定はあるので、どこかで出せれば、と…!
>>264
ありがとうございます!
クレアちゃんも欲求不満だったんでしょうね…!
花名ちゃんも結構あっさりこうなりそう…
これより、えくすとら5話を投稿します。
本編を先に読むことをおすすめいたします。
「この世界の花名ちゃんの様子を見たい…ですか?」
不意に、宝石から声が聞こえました。
……と言っても別に宝石が喋ったわけではありません。この宝石の中に、別の花名ちゃんの魂が入っているんです。
…ちょっと分かりにくいですね。詳しくは『ゆっくりでも頑張りますっ!Blessing Bloom Story』の最終話をご覧ください。
『たまちゃん?誰と話してるの?』
「なんでもないですよ、花名ちゃん。それで…この世界の花名ちゃん、ですよね。」
『うん。この世界の私が積み上げてきたもの、見てみたくなって。』
「分かりました!それでは、花名ちゃんの様子を見に行きましょう!」
『うん!』
* * *
『様子を見に行く、とは言ったけど…』
私と花名ちゃんは、クレアちゃんと花名ちゃんの跡をつけています。館に着いたとき、二人が出かけるところでした。
「はいす、ですからこうやって花名ちゃんたちを見て…」
『これじゃあただのストーカーだよ!』
「おや?でもこの世界の花名ちゃんはいつもやっていますよ?」
『そ、そうなの?じゃあいいのかな…?』
…花名ちゃんの将来が心配です。
それはそれとして、花名ちゃんたちは楽しそうに話しながら歩いています。
『幸せそう、だね。』
「……そう、ですね。」
クレアちゃんと花名ちゃんに私達を重ねようとしてみても、今の花名ちゃんには実体がありません。
…今の私には、覚悟がありません。
なにもかも、足りないんです。
『たまちゃん?』
「な、なんでもないですよ!ほら、早く花名ちゃんたちを追いかけましょう!」
『う、うん…』
…花名ちゃん達は草原の方へ歩いていきます。黄金平原のお隣にある草原です。
「そういえば、近々この時期にしか咲かないお花が咲くって花名ちゃん張り切ってましたねぇ。」
『…たまちゃん?』
「ど、どうしたとですか?」
『たまちゃんは、私の知らないところで花名と会っていたの…?』
「は、花名ちゃん?」
『やっぱり、体がある方がいいよね…。大丈夫、責めたりはしないよ。』
「そ、そんなわけ…!」
『あ、あの…たまちゃん?』
「ちがう…違うんです…」
『う、後ろ…』
「…後ろ?」
「…たまちゃん?」
「は、花名ちゃん…!」
後ろには、紫色のお花が植えられた鉢を持った、花名ちゃんとクレアちゃんがいました。
「なんでここにいるの?」
「そ、それは…そのぅ…花名ちゃんが、この世界の花名ちゃんの生活を見たいと言うので…」
「…そう、なんだ。」
申し訳ない、という顔をする花名ちゃん。
私は、そんな顔をさせたかったわけではない…ないんです……。
「そ、それでは帰りますよ!」
「う、うん!気をつけてね!」
私は、また逃げるのでしょうか。
私は、いつか向き合えるのでしょうか…。
『…もう、持たないかもしれないな…。』
というわけで、えくすとら第5話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
「ゆっくりでも、がんばりますっ」としては約2ヶ月ぶりということでお久しぶりです…!
今後についてですが、えくすとら6を投稿した後、ちょっと長めの話を投稿したいな、と考えております。
まだまだお付き合いいただくことになりそうですが、よろしくお願いします。
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#25 )同時投稿
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>>私は、また逃げるのでしょうか。
>>私は、いつか向き合えるのでしょうか。
むつかしい話ですよね・・・。
>>271
ありがとうございます!
そうですね…たまちゃんは花名ちゃんのことを諦めきれず、でも手に入らないことを分かってる…。
とても辛いと思います…
>>272
ありがとうございます!
とても不穏です…!
たまちゃんがどうなるか、ぜひ(気長に)お待ちいただければと思います!
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訂正があります。
>>270 のリンクが間違っておりました。正しくは
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#24 )同時投稿
となります。大変申し訳ございませんでした。
「ねぇ、花名!今日はいつもと違ったところにお花を摘みに行かない?」
クレアからの提案。
「いつもと違ったところ?」
「そう!この時期にとっても綺麗に咲くお花があるの!私のとっておきの場所っ!」
クレアのテンションが高い。きっと素敵な場所なんだろうなぁ……
「私も見てみたい!クレアのとっておき!」
「よかった!それじゃあ…」
そう言ってクレアは地面に置いてあるかばんを引き寄せた。この前、私がプレゼントしたじょうろも一緒。
「準備完了!ほら、花名もはやくっ!」
もう、気が早いなぁ…っと。
私は、お部屋の隅においてあるかばんを拾い上げる。
「花名っ!?分かってたんだ…」
「サプライズでお出かけしたいって思ってたことだけだよ?」
「じゃあどこに行くのかは…」
「しらなかったよ…」
「本当?よかった…。」
クレアがほっと胸をなでおろす。
クレアがせっかく一緒に行きたいって思ってくれたんだから、先に心を読んでクレアの想いを踏みにじることはできないよ。
「それじゃあ、いこっ!」
クレアに腕を引かれて、私は館を出た。
* * *
「わっ…わわわわわっ…!」
目的地には、沢山の青い、可愛らしいお花。それが一面に咲いていた。
「ふふっ…きれいでしょ?去年は色々あって来れなかったけど…今年は花名と来られて、2倍…ううん、何十倍も幸せだよ…!」
「もぅ、クレアったら…。」
クレアはそう言いながら、入り口の方に咲いているお花を一つ、根っこを傷つけないようにそうっとシャベルで掘り返して、持ってきた植木鉢に植え替える。
「こうやって、毎年一本だけ持って帰ってるの。」
「そうなんだ…ふふっ…素敵なお花だね…。」
「あまりにもきれいすぎて、憑かれたように歩いて、消えていっちゃう人もいるみたいだよ?」
「そ、それはちょっと怖いなぁ。」
「それもあって、妖精の花って呼ばれているの。」
「妖精…神秘的だね…!」
クレアは作業を終えると、
「それじゃあ、戻ろっか。」
と言った。
* * *
「妖精……」
少し短い(上に投稿形式を間違えて一行開けるのを忘れましたが)、えくすとら第5話でした!
お付き合いいただき、ありがとうございました。
次の話については、6月6日に投稿しようと考えております。
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#25 )同時投稿
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最初前の話の花名たち視点かと思いましたが違うようですね。要請が絡みそうな気配がします。どうなるのか楽しみです。
>>277
ありがとうございます!
果たして妖精の花がどう絡むのか…もしくは一切絡まないのか…()
>>278
ありがとうございます!
あっさり気づかれましたがその通りです!たまちゃんたちとあったのは別の日です!
>>279
ありがとうございます!
クレはなは不滅なのです!
続きは本日の午後投稿予定です!
これより、あぺんどを投稿します。
えくすとらとは方向性が違うため、サブタイトルを変更しました。
少し長くなりますがお付き合いよろしくお願いします。
−sideクレア−
あれから、1年ほどでしょうか。
…私は、そこに確かに居た存在を思い出していました。
* * *
−side花名−
クレアの様子がおかしい。
妖精の花を摘んで来てからずっとうわの空みたい…。
「ね、ねぇ、クレア?どうかしたの?」
「う、ううん、なんでもないよ!」
ちらり、と戸棚に目をやるクレア。そこには、クレアのアルバムが収まっていた。
今まで一度もクレアから見せてもらっていないアルバム…。
私は棚に近づいて、アルバムに手をかける。
「だ、だめっ!」
クレアがアルバムを抑えようとして、手を滑らせる。そして床に落ちてページが開いた。
「あっあわわわわわわ…。」
クレアは必死に隠そうとするけど、その小さな手じゃ隠しきれてなくて…。
その隠せてない部分から不思議な生き物が顔を出していた。
「ねぇ、クレア…これは…?」
するとクレアは、少しためらいながら…それでも観念したように口を開く。
「…それは、フワリーと呼ばれる妖精の一種。多分、エトワリアに一番多い妖精さんなんじゃないかな。…それでね、妖精と人間は契約ができるの。人間は魔力を、妖精さんは魔法をそれぞれ提供し合う…。」
「それじゃあ、このアルバムにいる青いフワリーって…」
クレアに確認する。するとクレアはうなずいて、
「この子は私が契約していた妖精さん。あのじょうろを依り代にして、力を貸してくれていたの。」
「そ、それじゃあ今は?」
すると、今度は首を横に振って、
「今は…居ないの。まだ契約は残ってるみたいだけど、私が鍵の管理を任されるようになる少し前に、どこかに消えちゃって…。」
「じゃあ、探しに行こうよ!クレアの大切な妖精さんなんでしょ?ね、最初はどこで会ったの?」
「え!?さ、最初は…西部の方の町の近くにあるオアシスで…」
「あばばばばっ!」
急にドアが開いて、誰かが倒れてきた。慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか…ってかおすちゃん!?どうしてここに…。」
「じ、じつは、次の漫画の取材しに、西部の町に行かなければいけないのですが、一人だと心細いので花名ちゃんに付き添ってもらおうと思いまして…それでここに来たのですが、まさかこれからお二人が向かうとは…。わ、私もついていっていいですか!ご迷惑はおかけしないので…。」
少し震えながら聞いてくるかおすちゃん。私はクレアと目配せをして、
「うん、もちろんいいよ?一緒に行こう?」
「あばばばば…恐れ入りますぅぅ…。」
そうして、西部への遠征が幕を開けたのです。
* * *
−sideクレア−
花名とかおすさんとの遠征の準備をします。
きららさんとライネさんに許可をもらって、荷物の準備。
といっても、持っていくものはそれほど多くはありません。旅費、食料、野営道具…。
その他諸々をかばんに詰めると、一着の服を取り出します。
お花のつぼみをあしらった衣装。もちろん、ただの服ではなく、暑さを防ぐ力があります。それに…かわいい。これを着た花名を見るのが楽しみで仕方ありません。花名のサイズにリメイクをしましょう!
…そして、ふと正気に帰ります。私には、もう大切な人がいるのに、また、あの子に会いに言って良いのでしょうか…。
* * *
−side花名−
「かおすちゃん、次はどんな漫画を描くの?」
「は、はい!西部劇な感じにしようと思ってます!」
次の日、かおすちゃんが館に来て、準備完了!…と思ったんだけど。
クレアは何か準備をしてるみたい。
「保安官さんが助手さんと一緒に悪い人を薪割りで倒していくんです!」
「そ、そうなんだ!」
…薪割り?
なんて話してたら、クレアが部屋から出てくる。そして、
「花名、ちょっときて。」
「う、うん!」
呼ばれていくとそこには、つぼみがあった。
「…クレア?これって…。」
「耐熱服だよ!花名のサイズに合わせて、仕立て直しちゃった!」
「耐熱服!?えっと…ちょっと恥ずかしい…かな…。」
「そんなぁ…着て…くれないの…?」
そんな顔で見られちゃったら…着るしかないよ…
「よっ…うん…しょっ…あれっ…えっと…ここがこうで…できたっ!ど、どうかな…?」
「似合ってるよ、花名!」
「そ、そうかな?」
「うんっ!とっても!」
そこまで褒められると別の意味で恥ずかしいよ…。
「でへへ…尊いですねぇ…あ、私のことはお気になさらず、どうか続けてください!」
後ろから覗いていたかおすちゃんが言う。思わず、
「ふふっ」
「あははっ」
「お、お二人とも!?」
「な、なんでもないよかおすちゃん!」
「そ、それよりも、花名も、かおすさんも準備できましたね?」
「うん!」
「はい!」
「それでは…出発!」
* * *
−sideクレア−
「ここが西部の町ですか…。」
「なんと言うか、こう…西部っ!って感じだね」
花名とかおすさんがそれぞれに言います。
近くに、あの妖精さんがいる、それは確かです。
「ね、ねぇ、花名…かおすさんと一緒にこの町で、妖精さんの噂とか集めてもらえないかな…?私は町の周りを探すから。」
「………わかった。それじゃあかおすちゃん、行こっか!」
「は、はいっ!」
花名がかおすさんを連れて町の中へ。私は別の方向へ歩きます。
…とても、花名の前では考えられません。
妖精さんは一年とちょっと前、居なくなってしまいました。それなのに、今になって私の中に出てきたのって…妖精の花の影響…なんでしょうか…。
…妖精さんとの契約は一対一。私にはもう花名がいるのに、再び妖精さんに会ってしまって大丈夫なんでしょうか…。
「あれ?クレアちゃん?」
「本当だ!こんなところで会うなんて!」
「金髪少女召喚への修行の旅ですか?」
突然声をかけられて少しうろたえます。
声をかけられるまで気づかなかったなんて、どれだけぼうっとしてたのでしょう…。
「い、いえ、色々ありまして…。みなさんはどうされたんですか?」
「私達はね、カレンちゃんを探しに来たの!」
「カレンさん、ですか?」
「そうなの。カレン、最近ずっと里に帰ってきてないから…。」
「それは心配ですね…。」
「いえ、大丈夫です!カレンはまだこのあたりに居ます!金髪の気配がびんびんするんです!」
「な、なるほど…?」
相変わらずな皆さんの様子に少しほっとします。
「穂乃花さんはカレンさんのためにこんなところまで追ってきて…すごいです。」
「そ、そうかな?…そうだったらきっと、私のカレンちゃんへの愛だよ!」
「愛…ですか?」
私が聞き返すと、穂乃花さんはそう!と首を大きく振ります。
「カレンちゃんは私にとって、憧れなんだ。元の世界でカレンちゃんと出会ってからずっと。そんな、私の心の大部分を占めているような人のためなら、私はなんだってできる。そんな気がするんだ。」
「もしも、カレンさんと離れないといけなくなったとき、どうするんですか?」
「いやだなぁ…考えるのも。私達は高校生だから、いつかは別れるかもしれない。…ううん、別れると思う。カレンちゃんだって、イギリスの学校に進学すると思うから。…そうなったとしても、私はカレンちゃんのそばにいたい。だから、何度だって会いに行くよ。」
「穂乃花ちゃん…!」
「なんだかんだで、カレンの方が日本に行きそうだけどね。」
…そう、ですよね。いれる限り一緒にいたい。そう思うのは当然じゃないですか…!
最初から答えは出ていました。私にとっての一番は花名だって…!
「迷ってたみたいだけど…もう大丈夫、かな?」
「はい!穂乃花さん、ありがとうございました!」
私はそう言って妖精さんのいるオアシスに走っていきました。
「カレンちゃん…」
* * *
−side花名−
「あばっ…あばばばばっ…!」
なんか変な人に絡まれたり、へんなこけしが出てきたり、変な格好をしたカレンちゃんとリンちゃんに助けられたりしたけど、無事にランプちゃんと宿で会えたかおすちゃんは絶賛修羅場中みたい。
「ほら、頑張ってください、かおす様!…いえ、かおす先生!」
…クレアは絶対変なことで悩んでる。たとえば、私と妖精さんとどっちの方が大切なのか、みたいなことで。
それでも、真意はわからない。
妖精さんのことを思い出したクレアの心が読めない。妖精さんの影響か、クレアが無意識に拒絶してるのか。
だから私が何か言っていいのかなって。そう考えてしまう。
「…花名様。私には、お二人の関係について、口出しする権利はないかもしれませんが…。」
ランプちゃんがそう前置きして話す。
「お二方は、お互いに遠慮し過ぎだと思われます。相手を傷つけないようにと…。それでお互いに悩んでしまって、気まずい状態になってるように見えます。お二方なら、もっと踏み込んでも良いのではないでしょうか。」
そっか…また自分の中で解決しようとしちゃってる。それはきっと、私とクレアの悪い癖。
「ありがとう、ランプちゃん!」
私は荷物を持って、宿を飛び出した。
「…ところで…どうしてかおす様は土下座しているのでしょうか?」
「あまりにも尊すぎて…その…ありがとうございますぅぅ…!」
* * *
−side花名−
町を出たは良いけど、クレアちゃんが言ったのってどっちだろう…闇雲に走り回ってもみつからないだろうし…。
「へぴっ」
「ギャッ」
いたた…前を見てなかったから、誰かにあたっちゃった…。
「ご、ごめんなさ…」
「お前は昼の…ちょうど良いんだギャー!これを先生に連れていけば…」
お、お昼の変な人っ!
どうしよう、もうリンちゃんとカレンちゃんは居ないのに…!
「ーー!!!」
「ギャギャッ!?」
そのとき、視界の外からものすごい勢いの光が目の前の変な人にぶつかった。
「!!」
その光はすごい勢いで点滅して…逃げろっていってるのかな?
「わかった!」
私はそこから離れるために一目散に逃げ出す。
………それなりの距離を走った(つもり)でへとへとになった私は、光に声をかける。
「あの…あなたは、妖精さん…?」
「!」
空中でくるっと一回転して、光が弱くなる。そこには黄色い妖精さんが居た。
「助けてくれてありがとう!…それで重ねてで申し訳ないんだけど…。クレアちゃんと契約している、青い妖精さん、知らないかな…?」
「!!」
すると妖精さんはくるっとまわって進み始める。ついてこいってことだよね?
私は休み休み妖精さんについていった。
…そして。
突然現れた大きなオアシス。その湖の中央に妖精さんは居た。
「花名っ!」
「クレア!?」
クレアが植物に縛られていた。
「どうして…どうして、そんなことをっ…!」
「…!!」
水の矢を売ってくるクレアの妖精さん。
お話、聞いて貰えそうにないな…
でも、私には癒やす力はあっても戦う力はないし…。
「…!…?」
「え?力を…貸してくれるの?」
「!!」
「そっか!じゃあおねがいできる?」
するとくるっとまわった妖精さんが私の頭についてる、大きなつぼみに飛び込んだ。そして、そのつぼみがおおきく、なって…つぼみだった耐熱服は、おおきなお花に変化した。
「…新しい私、見せますっ!!」
私は空中に生まれたオーブを手に取り、それをクレアの妖精さんに投げつける。
光の力をまとったオーブは妖精さんまで飛んでいき、妖精さんが生み出した水の壁に阻まれてしまう。
「そんなっ!」
なんども攻撃してみる。けど…
「!」
阻まれちゃう。
私じゃ、クレアのこと助けられないのかな…。
「花名ー!頑張ってーっ!」
…クレアの声。それは私の力の源…!大丈夫、まだまだやれる…!
「お、思いっきり行くからねっ!〈ホットケーキの具になれちゃう?〉!」
私の渾身の一撃で、クレアの妖精さんの頭の上にホットケーキが生み出されて妖精さんを叩きつける。
あまりにも不意打ちだったみたいで、ふらふら…と湖の上へおちていく。
「あぶないっ!」
するとホットケーキクッションが妖精さんの下に現れて、妖精さんを支えた…。
* * *
−sideクレア−
妖精さんを町につれて帰りました。
部屋に入ってしばらくして、妖精さんが目を覚まします。
「ごめんなさい、妖精さん…。それでも私、やっぱり花名がいいんです…!」
「……」
しゅんとする妖精さん。本当にごめんなさい…
「クレア、やっぱりそう思ってたんだね。…妖精さんも大切なんでしょ?連れて帰ろう?」
「…いいんですか?」
「だって…クレアも妖精さんもその方が良いと思うし…。」
「花名…ありがとうっ!」
やっぱり、花名は私のことを分かってくれています。
…妖精さんは花名の作ってくれたじょうろが気に入ったみたいですし、花名にも新しいお友達ができたみたいです。
…それでも、どんなににぎやかになっても、あなたは私の大切な存在であり続けるでしょう。
私は、そっと花名の肩にもたれかかりました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
クレアちゃんも生誕祭ということで、おめでとうございます!!
さて、求道者様のアイデアをぱk……参考にして、アンケートを作成してみました!
アンケートの結果次第で様々なことが決まったり決まらなかったりしますので、ぜひお答えください…!
初出:書き下ろし、pixiv( https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#26 )同時投稿
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
各話ジャンプ
第1話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res1
第2話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res26
第3話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res37
第4話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res47
第5話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res69
第6話前半: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res93
第7話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res115
第8話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res129
第9話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res141
第10話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res155
第11話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res174
第12話: https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res195
えくすとら第1話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res229
えくすとら第2話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res241
えくすとら第3話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res250
えくすとら第4話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res256
えくすとら第5話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res266
えくすとら第6話:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res274
あぺんど:https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res281
アンケートはこちらになります。
ぜひご協力をお願いしますっ!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfqMP6iiWXJm5H0xbMDL4m0_uvkfBbbOW-eRGmvt8NejX9a-w/viewform?usp=pp_url
ルナさんのクレアちゃんの扱いは、素晴らしいのに対して、私が今日投稿した記念作品でのクレアちゃんの扱いはひどいなと感じてしまいましたwww(クレアちゃんへの愛の差を感じます)
早速アンケートを書いて送りました。あれなことを少し書いてしまいましたが許してください。
妖精さんとの感情は恋とは違うようですね。
今後、恋人の行為を妖精さんに見られながらすることに…?
花名とクレアの2人がお互いを心から支え合ってる描写良いですね〜
重めになりそうな話もかおす先生や穂乃果達の登場でコミカルになって読みやすかったです!
>>296
ありがとうございます!
いえいえ、そんなことはないですよ!
ピースケさんのssもとても読み応えがありました!
>>297
ありがとうございます!
エトワリアでは1、2を争うクリエメイトの知識量でいてほしいですね…!
>>298
ありがとうございます!
いえ、大丈夫ですよ!アンケートの質問などに関しては後日こちらでお答えすることになると思います!
>>299
ありがとうございます!
なんとなく公開処刑な感じがしますね…
妖精さんとの感情についてはご想像におまかせします…!
>>300
ありがとうございます!
二人にはこれからも支え合っていてほしいですね…!
第12話ではひたすら重かったので、それと対になるように、なるべくコミカルになるようにしてみましたので、そう感じていただけて嬉しいです!
アンケートの方も2票の回答を頂きました!
ご協力いただいたお二方、本当にありがとうございます!
回答はまだまだ受け付けておりますので、ぜひご協力の程よろしくお願いします!
えくすとら1「ふたりのにちじょう」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res229
クレアちゃんがスロウスタートの世界に来たら…というコンセプトで書きました…と見せかけて、実はちょっと違うんです…!
えくすとら2「一本の…」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res242
ただただポッOーゲームをさせたかった回です()
Oッキーを指す言葉をかなり悩んだ結果スティックチョコになりました()
ポOキーもどきの中ではサクラクエストのロッキーが好きです
えくすとら3「気持ちを込めたプレゼント」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res250
この回で花名が贈っているじょうろが水着クレアが持っているじょうろ…という設定です。
ポルカのところで作ったことでぶきになりました。
えくすとら4「ひみつのよる」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res256
地味に大会さん初登場回です!
はなひろもいいですよね…(あっちへフラフラ)
そのまたひみつという裏バージョンもあります。この回の直後をふくむバージョンで、pixivにてなんらかの方法で見ることができます。
えくすとら5「デートと尾行と私の…」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res266
たまてが語り部になるのは最終回以来です。
宝石にいる花名の方にも色々あるみたいですが、それはまた別のお話。
えくすとら6「あおいすず」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res274
この回に出てくる「妖精の花」には実はモデルがあります。ちょっと調べてみると面白いかもしれません。
あぺんど「大切な貴方と」
https://kirarabbs.com/index.cgi?all=1&read=1563#res281
えくすとらがOVAならあぺんどは劇場版のつもりで書きました。
水着クレアのとっておき「ウォーター・スピリット」を掘り下げてみたくて書いたので、ストーリーも妖精主体で動いています。
おまけ
「突撃!隣の晩恋人!」
皆様!こんばんは!私、インタビュアーのランプです!
本日は花名様に起こしいただきました!
花名(以下花)「こ、こんにちは!」
視聴者の皆様から花名さまへ質問が届いております!
といっても一問だけなのですが…
花「一問だけなの!?」
…はい、それでは行きますよ!
花「無視!?」
アンケートより、「花名とクレアの行為の頻度を教えてください」
花「一問が濃い!濃いよ!」
さあさあ花名様、ぜひご回答を!
花「えっ…えぇっと…」
さあさあ!
花「えぇっと…3日に一回……です………」
おや、案外少ないですねぇ…
花「少ない…?」
い、いえっ!なんでもっ!
花「そうなの?…最初は一週間に一回だったけど段々……その頻度が……その…………」
ほうほう、そうなんですね!…おや、もうこんな時間ですね。ゲストは一之瀬花名様でした!本日はどうもありがとうございました!
花「え、えぇと…こちら…こそ?」
質問はまだ受け付けておりますよっ!
去年10月の完結から約半年、スローペースに気の向くまま書かせていただきました。
約半年……何なら第一話から完結までよりも長い期間ですね()
本編がおわっても感想などを下さり、支えてくださってありがとうございました!
なお、本編の各話解説とともに明日、pixivファンボックスの方でも公開する予定です(無料)。ファンボックスの方ではおまけも用意しております。クロスワードパズルを解くと読めるようになる…という予定だったりするのでよろしければお楽しみください!
(なお、このおまけはこちらに投稿する予定はございません。pixivでのBlessing Bloom Storyとしては投稿する予定です。)
ファンボックスの方にも投稿しました!
クロスワードパズルを解くとおまけが読めます()
ゆっくりでも、頑張りますっ!BBS第一話〜第十二話解説|ルナ・ソレイユ|pixivFANBOX https://luna-soleil-00.fanbox.cc/posts/1170410?utm_campaign=post_page&utm_medium=share&utm_source=twitter
ゆっくりでも、頑張りますっ!BBSえくすとら&あぺんど解説|ルナ・ソレイユ|pixivFANBOX https://luna-soleil-00.fanbox.cc/posts/1170432?utm_campaign=post_page&utm_medium=share&utm_source=twitter
この花名とクレアは少しずつ親しくなってるのが魅力ですね。少ないという感想を持つということはランプはもっと多いと。花名クレより体力ありますからね、特にきららさん。
おまけ関係のめんどくさい企画をめんどくさがらずに実践する行動力には敬意を表します。
>>307
ありがとうございました!
そうですね、なるべくスロウに花名とクレアの関係を書いていくつもりで物語を進めていくようにしました。
ランプとそのお相手に関しては…ご想像におまかせします!
いえいえ、作っていて楽しかったのでめんどうではないですよ!
初期から応援頂いて本当にありがとうございました!
告知になって申し訳ありませんが、pixivの方でえくすとら7を一般公開いたしました。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11859799#26
これにてBBSでの展開はとりあえず終了となります。
ありがとうございました!
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