タイトルからは分からないとは思いますが、このSSは棺担ぎのクロととある非きらら作品のクロスSSとなっております。
以下注意書き
・ちょい長
・その割に盛り上がるのは中盤以降
・ちょい長なので分割で週一くらいのペースで投稿しようかと思案中
・完成させたものの投稿なので投げ出したりはしない(はず)
・キャラ崩壊はしないように頑張ったつもり
・二つの作品の設定を都合よく解釈したご都合主義とも取れる展開あり
・全くグロくないとは言い難い
・きらファン成分は二摘み
こんな感じですがそれでよければ読んでみてほしいです。
ちなみに何となくですがこの段階ではクロス先作品のタイトルは伏せておこうかなと思います。すぐに分かるようにはなっているんですが。有名な作品ですよ。
――船上
ニジュク「しまみえた〜」
サンジュ「おおきいしま〜」
セン「やれやれ、やっと着いたか」
クロ「……ああ、そのようだね」
セン「おめえはずっと甲板で横になりっぱなしだったな」
クロ「センが悪いんだよ」
クロ「センが私を担いで海を飛んで行ってくれなかったからね」
セン「蝙蝠に過剰な期待をすんな。そういうことは鳥類にでも頼みな」
――港
ニジュク「ついた〜」
サンジュ「た〜?」
セン「やれやれ、まずは詳しい情報収集と宿の確保だな」
クロ「まずは休憩だ。セン、二人から目を離すなよ」グッタリ
セン「おいやめろ。人の視線があるのに地べたに寝転がるな」
――数十分後
クロ「さあ、行こうか」スクッ
セン「さっきまでの船酔いを無かったことにしようとしても無駄だからな」
サンジュ「クロちゃんがげんきになった」
ニジュク「クロちゃつよい」
およそ1900年前、南海ベオルスカの孤島に巨大な縦穴が発見された
直径約1000m。深さは、今も分かっていない
その不可思議な姿は、人々を魅了した
貴重かつ危険な原生物達や、理を越えた不思議な遺物が
一獲千金を狙う冒険家を呼び寄せ
いつしかそこには、巨大な街が築かれた
長年に亘って、未知へのロマンと、数多の伝説を餌に
多くの人々を飲み込んできた、世界唯一最後の深淵
その名をアビスという
――大穴の街 オース
セン「……それがこの縦穴か」
クロ「巨大な穴の周囲に街を築いてきたんだね……」
セン「街も中々栄えちゃいるが、それでも穴の大きさには及ばねえな」
セン「まあ、穴がこの島の大部分を占めてるから当然と言えば当然なんだが……」
クロ「話には聞いていたけど、聞くのと見るのとじゃ全く違うね」
セン「ああ、まさかこれほど巨大だとはな……」
セン「なんか1000mよりはるかに巨大な気がするんだが……」
ニジュク「おおきい!!」ピョンピョン
サンジュ「でかい!!」ピョンピョン
クロ「まあ気にしてもしょうがないよ」
セン「それもそうだな。どっちにしろ、俺達がやることは何も変わらねえ」
セン「いつも通り、魔女に関する聞き込みだな」
クロ「それと、この縦穴に関しても色々と聞いておかないとね」
セン「そうだな。外からじゃ今一つはっきりとした情報が得られなかったからな」
クロ「何やら色々と常識が通用しない場所らしいからね」
クロ「少しでも魔女に繋がる何かを得られればいいのだけれど……」
ニジュク「クロちゃおかしかって〜」
サンジュ「かってかって〜」
クロ「今日一日大人しくできたら買ってあげよう」
「魔女?そんな奴は知らねえなあ」
「なんだお前ら。人探しか?探窟家志望じゃねえのか?」
「さあ、知らないねえ。でも、アビスの中に入ればそんな奴もいるかもしれないねえ」
----
--------
------------
クロ「どうやら街には魔女らしき人間はいないようだね」
セン「しっかし話を聞く限り、あのアビスとかいう縦穴は想像以上にヤバいらしいな」
クロ「この世に知られている生態系を明らかに逸脱した生物や植生が数多く生息している」
クロ「中には人間を捕食対象としている者も少なくない……、か」
クロ「極め付けはアビスの呪いとかいうのだけど……」
セン「そうだよ、それだよそれ。真偽のほどは定かじゃねえが、それが一番ヤバすぎる」
クロ「潜った深さに応じて昇る時に体に不調をきたすってやつだったね」
セン「本当ならそんな胡散臭い話は酒の肴にもなりゃしねえが」
セン「今となっては俺達自身が呪いの生き証人だからな」
クロ「あながちただの与太話じゃないのかもね」
ニジュク「あいすおいしい」ペロペロ
サンジュ「あまくておいしい」ペロペロ
セン「で、どうする?」
クロ「何をだい?」
セン「これからどうするかだよ。帰らない人間が後を絶たない曰くつきの大穴に俺達は飛び込むのか?」
クロ「もちろん。魔女の手掛かりを掴むためだったらどこにだって行くさ」
クロ「こんな不可思議な所を見過ごす手はないよ」
セン「まあ、それもそうだな」
ニジュク「あのあなにはいるの?」
サンジュ「どれだけふかいの?」
セン「どれだけ深いかは、入ってみなくちゃ分からねえな」
ニジュク「たのしそう〜♪」
サンジュ「ぼうけんぼうけん〜♪」
クロ「……さて、どうしたものかね」
クロ「まあ、今日はもうすぐ日が沈む。準備を整えて出発は明日にしよう」
セン「そうだな」
ニジュク「あしたたのしみだね〜」
サンジュ「なにがあるかな〜」
クロ「と、その前に確認しておきたいことがあるんだ」
セン「奇遇だな。俺もだ」
――奈落門前
クロ「あそこが一番利用される出入り口か……。聞いた通り、見張りがいるようだね」
セン「探窟家の証である笛を持たない俺たちは正面から堂々と入ることができないわけだな」
セン「で、どうする?探窟家になる手続きでも踏むか?」
セン「聞いた話じゃ、一日二日ではなれそうにないが」
クロ「まさか。方法なら他にいくらでもあるだろう。何せあれだけ大口を開けているんだ」
セン「だな」
――南区 岸壁街
クロ「この辺りはなんだか物々しい雰囲気だね」
セン「スラムだな。どこにでもあるんだよなあ、こういう場所」
セン「おいクロ。二人の手をちゃんと掴んでおけよ」
クロ「分かってるさ」
ニジュク「おててにぎるの?」
サンジュ「ぎゅ〜ってするの?」
----
--------
クロ「セン。あれ」
セン「お。中々お誂え向きな場所じゃねえか」
ニジュク「ふかい〜」
サンジュ「くらい〜」
クロ「ここなら柵を飛び越えれば簡単に穴に入れてしまうね」
セン「飛び込んだが最後、奈落の底まで一直線って感じだなこりゃ」
クロ「見張りもいないし、明日はここから穴に入ってみようか」
セン「そうだな。じゃあ今日の所はもう宿で休むか」
クロ「おっと。その前に」
セン「なんだ?まだ何かあるのか?」
クロ「ちょっと穴に入って中の様子を確かめてきてくれないか?」
セン「……まあ、薄々そうなる気はしてた」
クロ「周囲の様子とちゃんと着地できる場所があるかだけでいいんだ」
セン「はいはい。そりゃ俺なら出入りし放題だもんな」パタパタ
ニジュク「わたしたちも〜」ジタバタ
サンジュ「いくの〜」ジタバタ
クロ「君達は明日私達と行くまで我慢だ」
――数分後
セン「戻ったぜ」
ニジュク「おかえり」ムスッ
サンジュ「センだけずるい」ムスッ
セン「何剥れてやがる」
クロ「どうだった?」
セン「なかなか自然豊かな場所だったぜ。入り口付近だからか危険そうな生き物も特には見当たらなかったな」
セン「安全さえ保障されてりゃ遠足にもってこいの場所だったろうぜ」
クロ「……そうかい。ありがとう、セン」
クロ「じゃあ宿に行こうか」
----
--------
ニジュク「あしたたのしみ〜」パタパタ
サンジュ「ぼうけんぼうけん〜」ピョンピョン
クロ「二人とも、あまり私達から離れないでくれよ」
ニジュク・サンジュ「は〜〜い」
クロ「ところでセン」
セン「なんだ?クロ」
クロ「アビスの呪いっていうのは何か感じたかい?」
セン「いやそれがよ……。戻ってくるときになんか少し気持ち悪くなってな……」
セン「偶然かと思ったんだがよ……。穴から出たら症状がピタリと止んだんだ……」
セン「入り口付近でこの有様だ。あそこは俺達の想像以上にヤバい場所かもしれねえぞ」
クロ「そうか……。まいったな……」
クロ「それと……、あの二人はどこに行ったんだい?」
セン「ん?ああ……、どっか行ったな」
クロ「……………………」
セン「……………………」
クロ「ちょっと探してきてくれないか」ガコガコバサバサ
セン「畜生!!お前が目を離すからだぞ!!」バサバサバサバサ
今日はここまでということで。
ニジュクとサンジュはこの後無事に保護されました。
続きはまた来週に。
因みに改めてですがクロス先作品は「メイドインアビス」です。
序盤がイマイチ盛り上がりに欠けるのはメイドインアビスの登場人物が誰一人として登場しないからかもしれませんね。
そして次の投稿でも登場しません。
――翌朝 宿屋
ニジュク「ぼうけん〜」
サンジュ「クロちゃん、はやくはやく〜」
クロ「焦らなくても冒険は逃げないよ」
セン「おいクロ。やっぱりこいつらを連れてくのは止めた方がいいんじゃねえか?」
セン「アビスの呪いに加えて危険な生物に遭遇しない保証もねえんだ」
セン「後悔するようなことが起きても後の祭りだぜ?」
クロ「ああ。私もそう思うよ」
クロ「だから今日は様子見さ。穴に入って小一時間くらい辺りを散策したらすぐに戻るよ」
セン「まあ……、それくらいなら……」
――南区 岸壁街
クロ「それじゃあ二人とも。準備はいいかい?」
サンジュ「うん」
ニジュク「だいじょぶ」
クロ「それじゃあセン。頼むよ」
セン「あいよ」バサバサバサバサ
新たな冒険者達
その胸に溢れるのは勇気と知恵と好奇心
その行く手には希望と絶望が等しく転がっている
セン「なんだそりゃ」バサバサ
クロ「昨日貰った観光客向けの冊子に書いてある」バサバサ
セン「この大穴もまさか観光客を呼び寄せるために利用されるとは思わなかったろうぜ」バサバサ
ニジュク「わたしたちがぼうけんしゃ!!」バサバサ
サンジュ「むかうはしんえん!!」バサバサ
セン「どこで覚えた。そんな言葉」バサバサ
クロ(しかし……、随分と深いな……)バサバサ
クロ(サンジュの言う通り、まるで深淵に誘われているような……)バサバサ
クロ(永遠にこの暗闇が続く気さえする……)バサバサ
セン「安心しな」バサバサ
セン「直に開けた場所に出る」バサバサ
セン「そら。もう下の方から光が差し込んできたぜ」バサバサ
――深界一層 アビスの淵
クロ「ここは……、随分と美しい場所だね」バサバサ
セン「だろ?渓谷に近い環境だな」バサバサ
ニジュク「おっきなたき〜」バサバサ
サンジュ「はやくおりよ〜」バサバサ
セン「オイこら暴れるな」バサバサ
クロ「とりあえずあの辺りに降りようか」バサバサ
セン「よし来た」バサバサ
クロ「ふう……。お疲れ様、セン」
セン「おう」
サンジュ「ひろい〜」
ニジュク「クロちゃ。どっちいくの?」
クロ「もう少し下に降りてみようか」
ニジュク・サンジュ「は〜い」
クロ「セン、今のでどのくらい降りたのかな?」
セン「さあなあ。まあ、三百メートルくらいじゃねえか?よく分からん」
クロ「穴の深い方に踏み出すだけでセンの力を借りれば際限なく降りることができそうだね」
セン「まあ、戻ることを考えなければな」
----
--------
クロ「川か……。少し休憩していこうか」
ニジュク・サンジュ「は〜い」
セン「すげえな。随分と川の水が透き通ってやがる」ノメルゼ
クロ「それだけ人の手が加えられてないってことなんだろうね」
セン「じゃあやっぱここの曰くは洒落じゃねえってことなんだろうな」
クロ「まあそれ以前に……」
ギャース ギャース
クロ「遭遇したら洒落では済まなそうな生き物が向こうに飛んでいるね」
セン「まさか入って早々あんなトンデモ生物を拝めるとはな」
セン「加えてだ。今までお目にかかったことが無い植生があちこちにあるぜ」
クロ「さしずめ未開の地ってところかな」
ニジュク「ちょうちょ〜」ジタバタ
サンジュ「まって〜」ジタバタ
クロ「離れないでくれよ?」グィィィ
セン「あんな蝶も見たことねえや。ここじゃそこら中にいるのかもしれんが」
キエェ…
クロ「……何か奇妙な鳴き声が聞こえたね」
セン「あの岩場の奥からだな」
キェェ…
クロ「ちょっと見てくるよ。皆はここで待っててくれ」
セン「おう。気を付けろよ」
ソロ~リ
クロ(なんだ……?鳥か……?随分大きいな……)
クロ(ニジュクとサンジュなら丸飲みされてしまいそうだ……)
クロ(これは近寄らない方が賢明かな……)
キエェ…
セン「おいクロ!!その二人を捕まえろ!!」
クロ「え?」
ニジュク「たいへん!!」ダッ
サンジュ「たすけてあげなきゃ!!」ダダッ
クロ「あ!!こら!!二人とも待て!!」
クロ「そいつに近づくな!!食べられでもしたらどうするんだ!!」グィィ
ニジュク「でもでもクロちゃ!!」ジタバタ
サンジュ「このこけがしてる!!」ジタバタ
「きえぇぇ……」
クロ「……………………」
セン「ああ……、そういうことか……」
ニジュク「なおしてあげて!!クロちゃ!!」
サンジュ「いたくてないてるの!!」
クロ「……仕方がない。可能な範囲で治療をしてあげようか」
クロ「ニジュク。サンジュ。大人しくするように言い聞かせてくれるかい」
ニジュク・サンジュ「は〜い!!」
クロ「さてと……。どこを怪我しているのかな?」
ニジュク「ひだりのはねがいたいって」
サンジュ「いわにぶつかってけがしたっていってる」
セン「ここだな。まずは折れた羽軸を抜いてやれ。その後に消毒と止血だな」
クロ「わかった」
クロ「しかし、君は随分とモフモフしてるな」
セン「だな。そんでもってまん丸で愛くるしいことこの上ない姿形をしてやがる」
「きえぇ」
セン「ん?アイツらどこ行った?」
クロ「まさかまた勝手に何処かに……」
ニジュク「ここだよ〜!!」ズボッ
サンジュ「ふわふわしててあったかい!!」ズボッ
セン「うおっ!?なんだ羽毛の中に潜り込んでいたのか」
クロ「遠くに行ってなくてよかったよ。しかし奇怪な絵面だね」
セン「鳥の身体から頭部だけ突き出てやがる」
――数十分後
クロ「さて……。大体こんなものかな」
「きえぇぇぇぇぇぇぇ」
ニジュク「クロちゃありがと〜」
サンジュ「もうだいじょうぶだね」
クロ「あくまでも応急処置だからね。治るまではあまり動かさないように言っておいてくれるかい」
ニジュク・サンジュ「は〜い」
セン「やれやれ。なんで野生動物の傷の手当てなんぞしなきゃなんねえんだ」
クロ「おや?治療方法を的確に教えてくれたのはどこの誰だったかな?」
セン「足止めされるのが決まっちまったんなら早く終わらせるしかやりようがねえじゃねえか」
クロ「まあ……、そういうことにしておこうか」
セン「それで?思わぬ足止めを食っちまったがこれからどうする?まだ降りるのか?」
クロ「……いや、一度戻ろう。このあたりでアビスの呪いというものを体感しておきたい」
セン「わかった。おいニジュク、サンジュ。もうそろそろ行くぞ」
ニジュク・サンジュ「は〜い」
ニジュク「あれれ〜?こっちはきたみちだよ?」
サンジュ「もうもどるの?クロちゃん?」
クロ「二人はまだ戻りたくないのかい?」
ニジュク「もどりたくない!!もっとぼうけんしたい!!」
サンジュ「わたしも!!」
クロ「うん、そうだね。でもごめんよ。今日はもう戻ることにしたんだ」
クロ「それにきっと、二人もすぐに戻りたくなってしまうよ」
ニジュク「……ならないもん」
セン「ほら、行くぞ二人とも」
ニジュク・サンジュ「ぶ〜〜」
セン「何剥れてやがる」
- WEB PATIO -