【SS】透「あ、あの… 女の子同士って……どう思う?」【きもすき】
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1 名前:カレル[age] 投稿日:2023/12/08 19:04:33 ID:OzFq9cTIEd
こんにちは
本作は「きもちわるいから君がすき」の二次創作です。
今回は、霧乃ちゃん視点で描きました。あと、少しだけセンシティブな表現を含むので注意してください。

2 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:05:02 ID:OzFq9cTIEd
 今日も軽く咳払いをし「静粛に」を叩いて西宮透ちゃんに注意を促す。

「アッ……スイマセン……」

 透ちゃんのぼそぼそとした返答が私との間の書棚の本におおかた吸収され、こちらに届く声は僅かになっている。ある程度話をした関係ではあるが、まだよそよそしい。注意され少し紅潮した頬を逸らし、彼女は読書を再開した。

3 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:05:20 ID:OzFq9cTIEd

……私だけのお姫様……

 お姫様を陰ながらに守護る騎士として、できることをやっている。漫画や小説のように派手なことは一切起きないけれど、お姫様からの黄金は万国共通で存在している。ともなれば、私が彼女を守護ることは必然といえる。

4 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:05:38 ID:OzFq9cTIEd

……幸せな空間……

 私はそう思っている。放課後の図書館には二人きりでこの時間を邪魔するものはどこにもいない。貸出カウンターという特等席でいつでも透ちゃんを見ていることができる。
 彼女は恥ずかしがり屋さんで視線が合うことはほとんどない。いわゆる片想い。それでも見ているだけで満たされるものがある。その横顔と真剣な表情は私に笑顔をもたらしてくれている。
 だからこそ、見ているだけでは満たされないものもある。

5 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:06:00 ID:OzFq9cTIEd
 それから本のページをめくっていると、陽が西にかなり傾いていたことに気づいた。冬なので日没までが早く、図書館の奥の本棚は背表紙の色が判別できないまでになっている。こんな状態ではやがて読書はおろか、彼女を見ることすらできない。そう考え立ち上がったが、それと同時に興味深い光景を目にした。

「寝てる……」

 思わずそう呟いてしまったが、すぐに口を手で覆って防音対策をした。もし、他の人に聞かれてしまったら一大事だ。それに机に突っ伏しているが寝ていない可能性などごまんとある。
 すぐに椅子に座り直し、平静を装うと、およそ寝ている彼女を視線の中心に捉え脳内会議を始めた。

6 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:06:42 ID:OzFq9cTIEd
 まず、はじめに考えたことは部外者を入れないことだった。起こすにしても起こさないにしても、今この図書室に入られるのは都合の悪いことで、それに対する明確な回答は入口の扉を施錠することだ。図書室の出口は1つしかない。そうすれば二人きりを邪魔するような不届き者は存在しないことになる。経験的にこの時間に図書館を訪れる者は皆無。だが、念には念を入れる。

 我ながら名案だ。思い立ったら即行動。素早く、そして静かに閃光の速さで入り口に鍵をかけると感情の滾りが静かにやってきた。

7 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:07:01 ID:OzFq9cTIEd

 まったく……衝動とは恐ろしいものだ。透ちゃんと密室になれる環境をつくるためにここまでできてしまう。だが、彼女を襲いたいがために密室を作った訳では無い。……そういった感情が無かったと言えば嘘になるが、それは「0.001秒の悪魔」の仕業で本心ではない。
 私の今の目的は彼女と親密になることだ。しかし、それの手段を気取られてはいけない。あくまでさりげなく、そして印象に深く残るようなものでなくてはいけない。

 興奮冷めやらぬまま、次の思考を展開した。それは、どうしたら透ちゃんに”らぶちゅっちゅ”してもらえるかである。それが一番の問題だ。

8 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:07:27 ID:OzFq9cTIEd
 見立てでは、透ちゃんは対人関係の免疫がなくよわよわで、結構ちょろいように見える。おおよそ普通の女の子同士の“手つなぎ”や“だきつき”は恥ずかしがっても許してくれるだろう。しかし、キスは話が別だろう。
 私だって、透ちゃん以外の人とそんなことするなんて想像もできないし、したくない。つまり、至難の業になることは想像に難くないということだ。だからこそ、この密室の生成が一石を投じる出来事になってほしいと心から願う。

 そうこう考えているうちに、興奮は収まりついに思考が纏まった。用心してまた彼女に目をやると、まだ机に突っ伏して寝ている。さあ、行動の時だ。
……その前に、紙に文字を書いておく、特に理由はない。

9 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:07:52 ID:OzFq9cTIEd

 ペンを置き、おもむろに彼女に近づくと、スースーと可愛らしい寝息が聞こえてきた。これは狸寝入りではなく、本当に寝ているのだろう。等間隔で聞こえてくる寝息は心地よく、いつまでも聞いていたいように思えたが、そこをグッと我慢して肩を揺らした。

「起きて、透ちゃん おきて」……起きない。
「……僕は……ふふっ……」

 それから何度か揺すっても起きない。かなり眠りが深いようで気持ちよさそうに眠りをかみしめているように見え、透ちゃんはまだ夢の中にいるようだ。
「仕方ない……」

10 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:08:23 ID:OzFq9cTIEd

 その時、悪魔的な発想が閃いた。揺すっても起きないのなら、起こすためにキスをしてもいいのではないだろうか。まさに千載一遇のチャンス、まるで天啓が下りたようにスーッと思考になじんでいく。
 また、心臓がキューっと高まるのを感じた。これは期待感だろうか、それとも背徳感だろうか。あるいはその両方か。だがそんなことはどうでもいい。もっとも重要なことはキスをしてしまったらどうなるかだ。やってしまったらもう二度と以前のような目では彼女をみられない。起きたら当然「拒絶」という最悪の状況もありえる。

 悪魔か天使か、私はどちらを選ぶだろう?……いや!私はすべてを選ぶ!!

11 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:08:58 ID:OzFq9cTIEd

「きっと、うまくいく」

 そう心に誓って、透ちゃんを抱き起し膝上に座らせた。彼女は軽く、温かい。優しく頭をなでてやると、小さく動き、まるで赤ちゃんのようだ。そして、私はお母さん……。

……もっと触れてもいいかな、透ちゃんは寝ているし、ちょっとぐらいなら……

12 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:09:36 ID:OzFq9cTIEd

 肌と肌が触れ合う「ガチ恋距離」
 さらさらと指になびく薄桃色の髪は、シャンプーとコンディショナーの優しく香る匂いによって優雅に装飾され、私の劣情を刺激している。
 これまででの行動で私の理性が消失しないかが心配だ。きっと、接吻などしてしまったらどうなってしまうのか、恐ろしくもあり、愉しみでもあった。変わらず心臓は早鐘を打っており、呼吸も荒くなってきた。視界は狭まり一点、彼女にだけ意識が向けられている。
 まずは指で彼女の唇に触れてみた。桜色の唇は私の指を押し返すほどの弾力があり、びっくりして指を引っ込めてしまった。彼女に触れた指を忘れないうちに私の唇に触れさせ、疑似的に感触を愉しむ。

……透ちゃんと本当の間接キス……

13 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:10:09 ID:OzFq9cTIEd
 視線を彼女の唇に戻すと、もう押し込んだ指の跡は消えて、少しだけ色が濃くなっている。
 私の中の天使が「これくらいにしておいて健全に起こそうよ」と盛んに警告している。だが、せっかくのチャンス、その程度で満足できるほど無欲でもなければ嘘つきでもなかったから、もう少しこの時間を愉しんでいたかった。
 ここまで近くにいると、体温は伝わってくるし、不健全なことも頭に浮かんでくる。例えば、彼女の味はどうなのだろう、ということだ。よく、漫画などでキスの味に言及するものがあるが、透ちゃんからはどんな味がするのだろうか。やっぱり、花の蜜のような甘い味なのだろうか、それとも柑橘系のような爽やかな味、興味が止まらなかった。

14 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:10:27 ID:OzFq9cTIEd
 そう考えていると、もっと深く触れたくなった。今この時、明確に性的な目で見ている。この気持ちはなんだろうか、愛おしくてたまらない。
 このままキスをして彼女を味わって、起きるまで続けていたらどうなるのだろうか、唇を触れさせるだけでなく、舌を挿れてみたらどうなるのだろうか。それか、無理やり起こして、彼女の小さな唇を奪ったらどんな顔をしてくれるのだろうか、そんな下劣な興味が止まらなかった。

15 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:11:06 ID:OzFq9cTIEd
 絡みつく髪とリボン以外に、その小さな体を征服した証を私と彼女に刻みつけ私のモノにしたい。透ちゃんは私のモノであるように、周囲に見せつけるように、なんて許されるかな。きっと、私は犯罪者かな、傷害罪、準強制性交等致傷罪、やったらすべて失える。
 迷いは少しあるけど、寝ているのでこちらに引き寄せるだけだ、そう寝ているんだ。触れるだけ、キスするだけならいいんじゃないのか。
 甘酸っぱくて、温かい汗の臭いも交じってゾクゾクとした昏い興奮は最高点に達した。まるで、私は犯罪者の……下劣な思考は少しは……いや、ほんのちょっぴり、微粒子レベルでは理解できる。こんなに隙だらけでかわいいのに手を出さないなんて、やっぱりおかしい。

……ほんとうに透ちゃんは不用心だね、悪い人に何されてもしらないよ……

16 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:11:45 ID:OzFq9cTIEd

「……うぅ……眠ってた……の」
「!!??」

 可愛らしい声が聞こえた。なのにハンマーで頭を殴られたかのような衝撃があった。
「透ちゃんが起きた!」
 私はぎょっとして声を出しそうになった。視界がぼんやりとし、思考を放棄して行動しそうになったが、すんでのところで堪えた。

 やばいヤバいヤバいとんでもなくやばい!とんでもないことだ。
 今の状態は顔を近づけてキスする寸前。この状況を彼女に正しく認識されてしまったら、私は終わり。まるで、脊髄に零度下まで冷やされた鉄棒を押し付けられているような、芯まで冷える恐怖を味わっているが、意外と冷静に脳は考えてくれている。思考を放棄しなかったご褒美だろうか。
 幸いなことに制服には手を付けていないのでごまかしは利く。あのときでも理性は死んではいなかったようだ。しかし、生き死には相手次第、どうでるか……。

17 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:12:12 ID:OzFq9cTIEd

「あれ……、僕は……って神戸さん!?」
「おはよう、透ちゃん」
「アッ!……おはよう……ございま、す? えっ……この状況は……?」
「ああ、誰かのイタズラで図書室に閉じ込められてしまったようで、起こそうとしてた」

 自分でも驚くほどスラスラと言葉が出てきた。これでは御影のことをとやかく言う資格はないな。だが、冷静になったおかげで本質を思い出した。
 私は『お姫様を守護る騎士』、劣情に屈して彼女を害することなどあってはならないのだ。仮にするとしても、彼女が完全に私を受け入れる、信頼に基づくものでなくてはならない。「らぶらぶ」とはそういうものだと認識している。

18 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:12:37 ID:OzFq9cTIEd

「そ、そうなん……ですか?」
「ええ、困ったものね。でも透ちゃんが起きてくれたから降ろす」
「あっ、ありがとう……ございます…」

 温もりが体から離れていく。とても寂しい感覚だ。しかし、これ以上密着をしてしまえば私の理性などいとも容易く屈することがわかったので、彼女を守るためには必要なことだ。

「あっ……あの 閉じ込められているんだよね………えっと…確認してきてもいいですか……」
「ええ」
 からかっていると思われているのだろうか、不安な表情のまま扉に歩いていったが、カウンターにある紙を拾って、そのまま出口に手をかけた。

19 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:12:59 ID:OzFq9cTIEd

「……開かない やっぱり、この紙…… もしかして〇〇しないと出られない部屋……!!」紙と扉とを見比べている。
「マルマルしないと出られない部屋…?」

 そう聞き返したが、その言葉で思い浮かんだのは「SAW」という小説だった。密室で片方を殺さないと出られない部屋、だったはず……。彼女はそのことを言いたいのだろう。さすが読書家の透ちゃんだ。

20 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:13:37 ID:OzFq9cTIEd

「あっ!いや……えっと…… 特定の条件を満たさないと出られない部屋で……」
「それ、私も知ってるよ でも安心して、大丈夫だから」
「えっ!? 知って……いるんですか……」
「小説で同じようなものを読んだことがあるから」
「へ、へぇ〜……神戸さんもそういうの……読むんだ……っ」

 彼女は驚きの表情とともにもじもじとしだし、桜色に染まった頬は少しの期待と不安を孕んでいた。
 私はその様子に違和感を持ったが、問いただすのは控えて、彼女に話を合わせるのが賢明だと判断した。完全下校のチャイムがなれば、先生が見回りにくることもわかっているだろうし、なにより鍵はポケットに。ただ、騒ぎは起こしたくないので、適当なタイミングで鍵まで誘導する必要がある。

21 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:14:18 ID:OzFq9cTIEd

「……あ、あの カウンターに置いてあった紙は見た……の…?」
「いいえ、私も寝ていたから気づかなかったわ」
「そ、そうなんだ」
「ん? ちょっと見せてくれない?」
「えっ!?……と、ちょっと…かな」

 躱された。一体私はあの紙に何を書いたのだろうか、とても気になる事実が彼女の手に握られている。あの時のことは、特に理由もなく文字を書いたと記憶しているが、何を書いたかまでは興奮によって流されてしまって存在していない。だが、決して自分が不利になるようなことを書いてはいないだろうという根拠の無い自信が溢れている。私と普通に話せている、軽蔑する様子がないイコール気づかれていないということも手伝っていた。

22 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:14:47 ID:OzFq9cTIEd

「とりあえずここからでる方法を考えよう。2人で考えたらいい案が浮かぶかもしれないし近くに来て、透ちゃん」
「ち!近く! えぇっと……うん…わかった……」

 やはり何か違和感が……。やはり透ちゃんが紙を見た瞬間からおかしい。明らかに頬が上気しているし、声が変に上ずっている。チラチラとこちらを見る視線が……恐れているというよりは、恥ずかしがっているような様子だ。また膝に乗せられると思っているのだろうか。でも、安心して欲しい。私は騎士として心を入れ替えて貴女を守護るつもりだから。

23 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:15:13 ID:OzFq9cTIEd

「どうしたの? 顔赤いけど……あれは起こすためにやったことだから忘れてちょうだい」
「あ、あの……神戸さん 女の子同士って……どう思う?」

 藪から棒だ。確か小説では男性同士だったはず。つまり逆も有り得るということ。

「そうね、有り得るかも 好みの問題ね」
「そ、そうなんだ…………」
「ふぅ、なんども言うようだけれど、心配しないで。すぐに出してあげるから ………ん??………って、聞いてる?」
「えっ! な、なにかな……ちょっと考えごとしてて……」
「ふーん」

24 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:15:37 ID:OzFq9cTIEd

 相変わらず彼女の様子はおかしい。何か深く考え込んだと思ったら、急に耳が真っ赤に染まったり、手に持った紙を私に見せないように必死に守ったりしている。そんないじらしい態度に否応なしにも視線が向いてしまう。
 薄桃色の髪とそれに隠れた菫色の瞳。やはりあまり目を合わせてはくれないけれど、稀に合うと溜息が出そうなほど惹きこまれる。言葉を発さずとも聞こえる背中とは別の魅力にあふれていて、これ以上彼女を形容する言葉はいらなかった。

25 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:16:06 ID:OzFq9cTIEd

「え〜っと、あの〜神戸さん……」
「……! なぁに? 透ちゃん?」
「あっ…えっと…… 何でもない!ちょっと脱出できる場所がないか見まわしてくるね」
「ん」

 そう言うと、書棚に入っている本を指の腹でなぞりながら歩きだした。その間でもこちらをチラチラとみる行為は変わらず繰り返していた。私に対する不信感だろうか、緊張する。
 陽が先ほどより下がり、この図書館の薄暗さがピークに達していた。これよりは不可視の領域が創生されるだけなので、私も椅子から立ち上がり照明を付けた。その後は透ちゃんが部屋の中を歩き回る様子に注視していたため、何もしていない。そして、鍵を誘導する作戦も考えついていたので近づく。

26 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:16:37 ID:OzFq9cTIEd

「透ちゃん」
「あっ、神戸さん、やっぱり出られないね」
「そうね、出口はあの扉しかないし、窓からも危ない」
「あっ……………の…………………。」
「?」



「…………………………。」
 私たちは沈黙した。私は別に言う必要が無いから黙っているだけ、特別に考えることは無い。しかし、彼女の方はバツが悪そうだ。彼女は何か言いたいように口をパクパクさせていたり、驚きの表情を作っているが肝心の言葉が聞こえてこない。
 とても可愛いと思った。しかし、見惚れてばかりもいられない。さすがにこの状態での放置は心象に悪いだろう。

27 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:17:42 ID:OzFq9cTIEd

「どうしたの? 透ちゃん」
「……あのっ!! 神戸さん!」
「!?」

 はっきりとした意志を感じた。彼女を取り巻く曖昧さのようなものが消えたのが原因かもしれない。だが、なぜそう思ったのかは論理的に説明できない。

「神戸さん! ちょっと…っ……!目をつぶってて……!」
「ん!」

 彼女がなぜそんなことを言ったのかは分からない。しかし、目をしっかりと見て言われると心が踊る。
「閉じたけど……!?」
 そう言った瞬間、ふわっと甘い匂いが香った。
 頬に柔らかい感触……??これは……………………………………。

28 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:18:02 ID:OzFq9cTIEd

 何?!えっ、いま何をされた……柔らかい感触……甘い香り、感じたことない?!?!!!!?どうだ?あるか?
なんだ??!!一瞬だった、すぐに離れる気配!!足音……目を開けられない!開けたらどうにかなってしまいそうで怖い!!!既に体は気がついている、あとは脳が認めるだけ!!熱の正体!!
 きっと「チュー」された!これは間違いがない、喜びと困惑が同時に私を掻き乱していく。触れられる時間は一瞬でも、この感触を無限に思い出そうと脳がフル回転している。
 熱いあつい、暑い!!脳が、いや!全身が暑い!!いや、沸騰している。きっといま彼女を見たら喜び狂って取り乱してしまう。なんで透ちゃんはこのタイミングで私にKissをしたんだ!!いや、落ち着け、嬉しい!! 両思い!!!!

29 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:18:41 ID:OzFq9cTIEd

 いや、おかしい。まだ好感度は……なんでこんなことをする。たしか……紙を見てから様子がおかしかった。それにマルマルしないと出られない部屋」、……そうだ!私はあの紙に「キス」と書いた。なぜ書いたのか??どうでもいい。そうだ!キスだ、キスをしないと出られない部屋」そう透ちゃんは解釈したんだ。それでこの行動に説明がいく。
 思ったより積極的だった、私の動揺は驕りから来るものだ。こんなことないとタカを括っていた。もし別の言葉を書いていたら、例えば…………。どうなっていたのだろう?透ちゃんはやってくれたのか……。いや!今は考えるな!思考が鈍る。

30 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:19:04 ID:OzFq9cTIEd

「ごっ、ごめんなさい、神戸さん ……いきなりして……しまって」
「ええ……っ!……大丈夫、よ」

 俯いて思いっきり二の腕をつねってごまかした、目は血走っている本当は舌も噛んでしまいたい。痛みを増やせば、きっと私は正常だ。
 もうこのタイミングしかない、一か八か。目を合わせないようにそして気づかれないようにポケットに手を突っ込んで鍵をしっかりと握ると、彼女のスカートのポケットに手を入れた。

31 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:19:28 ID:OzFq9cTIEd

「えっ……!何を?」
「今!カチって鍵の音がした」
「……えっ」
「ほら、鍵があった ……たぶん、最初からあった」

 私はわざとらしく取り出した鍵を目の前でカチカチと鳴らす。子供だましの手法、果たして上手くいくのだろうか。

「えっ……気づかな、かった……ももも!!!もしかしていらなかったの!!」
「……そうみたい 私も少し動揺していたから気づかなかった 犯人はスペアの鍵で脱出」

32 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:19:56 ID:OzFq9cTIEd

 と聞き終わるやいなや、透ちゃんのほっぺがリンゴみたいになった。きっとさっきのことを思い出しているのだろう。痛みで誤魔化しているがそれが無かったら私も恥ずかしさで同じ状態だ。

「……神戸さん!! えっと、このこと……」
「ええ、忘れる 私は気にしないから ……でも言わせて」
「えっ……な、なんですか…………」

 何を言われるのかと身構える彼女の耳元まで行って囁く。これは嘘偽りのない私の気持ち、伝えたい。
「体を張ってくれてありがとう透ちゃん、すごく……カッコよかったよ」

33 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:20:29 ID:OzFq9cTIEd
 透ちゃんはその言葉を消化するのに時間がかかってフリーズしている。どんな反応をするのかな、楽しみだ。
「えっ!? えぇっ!!」

 今度は耳の芯まで真っ赤になっている。反応も可愛くて、もっと好きになってしまう。

「もう少しで完全下校の時間ね 先生に報告してくるけど、透ちゃんは帰る?」
「えっ、報告……? 忘れたんじゃ……」
「ああ、委員会の話だよ、それは忘れた」
「…………あっ、ハイ」
「で、帰る? 透ちゃん、一緒に?」
「えっ……いっしょ…………?? !!いいの?」
「ええ、というか絶対! 透ちゃん1人では危ない」
「……は、はいっ!!」
「よろしい」

34 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:20:56 ID:OzFq9cTIEd
 私たちは図書室の鍵を開けて、職員室に向かっている。透ちゃんは少しうしろを黙って着いてきてくれていて、視線を熱いほどに感じる。きっとさっきのことが頭から離れないのだろう。私も顔の火照りがまったく収まらない、あの時の感触がまるで灼けているように、鮮烈に刻まれているようだ。
 しかし、良かった。緩んだ顔を見られずに済むから。でも、いつかは彼女に自然に笑いかけて、ぎこちなくても微笑んでもらいたい。君の手を取って、そして「好き」の言葉もいつか伝えられる、そうなりたい。
 私の密かな恋は、負けないようにゆっくりと進んでいく。
 
―fin―

35 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/12/08 19:21:37 ID:OzFq9cTIEd
ここまで読んでくれてありがとうございます!

 霧乃ちゃんは依子と同じように、他者との関わりに渇いていますがかなりの違いがありますね。依子は自分のことを見てほしいという、承認欲求。霧乃ちゃんのほう自分に振り向いてほしいという独占欲ですかね、そんなことを小説に落とし込みました。完成されている依子と司さんの関係より、霧乃ちゃんと透の関係のほうが面白い(小説を書く立場では)です。

 あと、余談ですが最近対話形式の話を何故かあんまり書けていないんですよね。なので修学旅行を待ってくれている人には申し訳ないですが、たぶん年内には更新できないと思います。
 今月の24日か25日に何か新しい作品を投稿するのでよろしくお願いします。

36 名前:ペンギノン (あおちゃんSSの人) [age] 投稿日:2023/12/24 22:54:23 ID:0TYCkygRHF
拝読しました! 〇〇しないと出られない (実は出られる)
所々の描写がバトル漫画みたいで笑いました。やっぱりきもすきってバトル漫画だったんだ...
というか! なんですか、このあまあまな雰囲気は! けしからんもっとください!!
霧乃さん、自分で書き込んだ紙で勝手にピンチになっててかわいい... まぁ、おかげで最高の思いができたしよかったんじゃないですかね?

37 名前:カレル[age] 投稿日:2023/12/29 23:11:46 ID:Hy/5MAcn2w
コメントありがとうございます。

やはり不意打ちの一撃こそ、致命傷になりえますからね、霧乃ちゃんのハートにかなり強力な一撃が響いたと思います。

個人的には、発展途上の透ちゃんと霧乃ちゃんのカップリングがすごい妄想が捗ります。ちょっとエッチというか、だいぶR-18なことを思いついて、今書いています。ただ、そういうものはここ(きららBBS)には投稿できないのであまり関係ないですが…。

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名前 age
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