メグ(──木組みの街のある日。もうすぐ夏も終わりかけで)
マヤ「あっっっっっっっっつぅ……」
メグ(降り注ぐ日差しの中、私とマヤちゃんはこの街を歩いあっっっっっっっっついね……」
マヤ「モノローグも思わず中断する暑さ……こんな暑い日こそジェラートだ! って思ったら臨時休業って何!? 外に出た意味!」
メグ「天気予報アプリも真っ赤……猛暑の色、夏の色だね……」
マヤ「だーっ! そんな暑い話聞きたくなーい! 夏っぽい色なんて他にもあるでしょ!?」
メグ「海の色の青とか、大自然の緑とか?」
マヤ「ここで私は夕焼けの色を提案するのだ。夕焼けは夏の季語。どんどん空が染まっていくあの感じが良いよね」
メグ「夏の夕焼け……赤……赤といえば猛暑……暑い……」
マヤ「オレンジ! オレンジにしよ? 私の推す夏の色は夕焼けのオレンジで! メグは何色推し?」
メグ「私は……」
メグ(青や緑も魅力的だけど、ここは私も夕焼けで……)
マヤ「わくわく」キラキラ
メグ(あ、れ……)
メグ「……黄色、かな?」
マヤ「黄色かー良いじゃん! メグさん、黄色の推しポイントはどのあたりなのでしょうか!?」
メグ「推しポイント!? えーっと、それは……どうしようマヤちゃん、選んだ理由が自分でもわかってない」
マヤ「え?」
メグ「急に黄色が浮かんじゃって……これじゃ黄色推し失格だよね」
マヤ「推すのに理由はいらないって聞くけど」
メグ「やっぱり私はこの猛暑に相応しい赤を選ぶしか……」
マヤ「黄色で良いから! ほら、私も一緒に理由考えるからさ。黄色、黄色にしよ? いやせめて赤は赤でも猛暑の赤はやめよう暑い暑い暑いあっっっっっっっっっっっっつい」
マヤ「てことで、さっそく夏の黄色を探しに行くよ!」
メグ「探しに行くってどこに?」
マヤ「まずは──」
マヤ「てな訳で遊びに来たよ。今日はシフト入ってないし。シャロいる?」
ナツメ「どういう訳か全然わからないんだけど」
メグ(マヤちゃんに連れられるままフルールに来たよ)
メグ「ってなんでフルール!? 黄色の話は!?」
マヤ「メグ、ツッコミ遅すぎ!」
ナツメ「遅いのはマヤの説明でしょ。なんでメグも訳を知らないの」
マヤ「説明すると短くなるんだけど」
ナツメ「じゃあ説明渋る理由ないじゃん」
マヤ「夏で黄色といえば?って感じのを探しててさ。これはもう、夏生まれで金髪なシャロに会うしかなくね!?」
メグ「マヤちゃんとシャロさんは夏生まれのうっかり日焼けコンビだもんね〜」
ナツメ「シャロさん今日休みだよ。ていうかマヤは知ってるはずでしょ? シフト表持ってるんだから」
マヤ「ごめん忘れてた」
メグ「日焼け以外でもうっかりしないで!?」
マヤ「ところで、ナツメはなんか夏っぽい黄色知らない? 名前に夏入ってるし、そういう訳で完璧な答えに期待してるよ」
ナツメ「どういう訳か全然わからないんだけど。たかが名前の一文字に寄せる期待の大きさじゃないでしょそれ!」
ナツメ「とりあえず、この店としてはやっぱりハーブティーを推したいけど」
マヤ「レモングラスとか?」
ナツメ「そうそう」
マヤ「シャロとハーブティー、二つ候補が出たけど……メグ、しっくり来そう?」
メグ「うーん……なんか違うかも」
マヤ「駄目かー。じゃあ次に行くしかない!」
メグ「今度は私が行く場所を決めていいかな? 次はね──」
メグ「冷たくておいし〜!」
マヤ「かき氷最高! こんな暑い日にはかき氷だね!」
エル「翡翠スノーマウンテン、氷削りたて仕様だよ!」
メグ(今度は甘兎庵にお邪魔します)
マヤ「和菓子も美味しいし甘兎は天国だね。モグモグ……ふぉふぉふぉふぇふぁんふぇふぁふぁふふぁ?」モグモグ
エル「何言ってるか全然わからないよ!?」
メグ「甘兎はエルちゃんがいるから。エルちゃんも夏生まれで金髪だし。今日シフト入ってること知ってたの」
エル「メグさん今のでわかったの!?」
メグ「私たちは以心伝心だから」
マヤ「ん、そーいや双子だからエルも夏生まれかー」
メグ「"も"?……ねぇマヤちゃん、さっきフルール寄ったのって、最初からシャロさんじゃなくてナツメちゃんに会いたかったんじゃ」
マヤ「てことで! エルは夏の黄色って何を想像する?」
メグ「誤魔化したね」
マヤ「誤魔化してない!」
エル「夏で黄色……もちろんナツメちゃん!」
マヤ「一瞬で話が戻ってきた」
メグ「マヤちゃん、聞かせてほしいな。ナツメちゃんへの熱い想いを」
エル「聞かせてほしいな!」
マヤ「熱い話なんてしたらかき氷の冷たさ帳消しになるから却下」
マヤ「で、エルかナツメでしっくりくる?」
メグ「どうだろう……あっ、ナツメちゃんがちょっと近い気がする……」
エル「ナツメちゃんが?」
マヤ「じゃあフルールに戻る?」
メグ「ううん、他も探してみよう。次はどこに行こうかな」
マヤ「ここまでフルールに甘兎と来たわけだし、次は──」
マヤ「スマイル一つ!」
フユ「(`・へ・´)」
マヤ「全然笑顔じゃねぇ!」
フユ「スマイルは鋭意製作中だから」
メグ(ブラバに来たよ。そしてもちろん私のやることは唯一つ)
メグ「なんでブラバ!?」
マヤ「ツッコミ待ってたよ!」
フユ「急にどうしたの二人とも」
マヤ「このやりとり今日3回目でさー。私たち今、メグの思う夏の黄色を探してるんだ。ここに来た目的は2つ。一つはもちろん、フユの考える夏の黄色を聞くこと」
メグ「もう一つは?」
マヤ「ナツメに近いって言ってたから、ブラバにヒントがあるかなって。てことで、フユの思う夏の黄色を教えて!」
フユ「ナツメに関係あるかはわからないけど、夏で黄色といえばひまわりとか? 流石にもう出てるかな」
マヤ「……全然気が付かなかった」
フユ「えっ」
メグ「今まで一度も出てないよ」
フユ「逆に今まで出たのは」
マヤ「レモングラスとシャロとエルとナツメ」
フユ「なんで? 夏って花火とかもあると思うんだけど」
メグ「花火……夏っぽい! すごいよフユちゃん!」
マヤ「本当にブラバにヒントがあった!」
フユ「ひまわりも花火もブラバ関係ないと思う」
フユ「ていうかナツメにも関係しないような……」
マヤ「メグ、ひまわりと花火、どっちかしっくり来る!?」
メグ「うーん、どっちかって言うと……ひまわり?」
マヤ「よーし! それじゃあひまわり探しに行こうぜ、メグ!」
メグ「うん! お花屋さんにも行こうね、マヤちゃん!」
フユ「……あっ」
マヤ「それじゃまたね、フユ!」
メグ「またねフユちゃん!」
フユ「……二人ともちょっと待って」
マヤ・メグ「「?」」
フユ「マヤ……スマイル一つ」
マヤ「えっ、私!? えーっと、こう?」ニコッ
フユ「メグ、どう?」
メグ「ど、どうって……」
マヤ「……これいつまで続ければいいの」ニコー
メグ(か……)
メグ「可愛い。マヤちゃん可愛いよ」
フユ「……私も可愛いと思う。それじゃ、二人ともまたね」
マヤ「待ってなんでいきなり私辱められたの(`・へ・´)」
フユ「マヤ、それ全然笑顔じゃない」
マヤ「──さーて、ひまわり探すぞー!」
メグ「おー!」
メグ(さっそく二人でひまわり探しです)
マヤ「花屋に行く前に、まずは街の中を探してみよう!」
メグ「ひまわり見つかるかなー?」
マヤ「夏だしすぐ見つかるでしょ!」
メグ「マヤちゃんそれフラグだよ」
〜10分後〜
マヤ「枯れてるの多いね」
メグ「もう夏の終わりだもんね。もう花屋さんに行っちゃう?」
マヤ「なんの! まだまだこれからでしょ!」
〜30分後〜
マヤ「あっっっっっっっっつ! 水飲まなくちゃ水」
メグ「暑いね〜」
〜1時間後〜
マヤ「ついに……」
メグ「見つけたね……!」
マヤ「……」
メグ「……」
マヤ「うん、やっぱり花屋さんが最強!」
メグ「うん、お花屋さんが最強だね!」
マヤ「ひまわり見つかったし、何なら買えたし! これでばっちりだね!」
メグ「1つずつ、買っちゃったね〜」
メグ(お花屋さんから撤収中です)
マヤ「それでどう? しっくり来る?」ワクワク
メグ(ひまわり、マヤちゃんに似合うなぁ)
マヤ「やっぱ夏の黄色って感じるするよねっ、メグッ!」ニコッ
メグ(それに、笑ってるマヤちゃんすっごく、可愛い、し……)
メグ「あ、れ……?」
マヤ「メグ!?」
メグ「今日、暑いね……」フラッ
マヤ「メグ、どうしたの!? 熱中症!?」
メグ「大丈夫、ちょっとふらついただけで平気だよ」
マヤ「ごめんメグ! 私が連れ回したから……」
メグ「ううん、マヤちゃんは悪くないよ。私が水分補給忘れてただけで……」
マヤ「忘れた!? なんで!?」
メグ「……マヤちゃんの可愛さに見惚れてて。えへへ」
マヤ「メグの頭がおかしくなってる! とりあえず建物の中に行かなきゃ。この近くなら──」
マヤ「チノ、水!」バンッ
チノ「何事ですか!?」
メグ(ラビットハウスに連れられたよ。そしてもちろん……)
メグ「なんでラビットハウス〜?」
マヤ「一番近い店だからだよ!」
メグ「ツッコミ返されちゃった……」フラッ
チノ「メグさん大丈夫ですか!? すぐに水を持ってきます!」
〜しばらくして〜
マヤ「メグ。調子、どう?」
メグ「もう大丈夫。ごめんねマヤちゃん。チノちゃんもありがとう」
チノ「いえいえ。ところで、どうしてこんな暑い日に外へ?」
マヤ「説明すると短くなるんだけど、メグの思う夏の黄色を探してた」
チノ「ほんとに短いですね。夏の黄色……それでひまわりを持ってるんですね」
マヤ「そういうこと。そうだ、チノの思う夏の色って何色? メグが黄色で、私は夕焼けのオレンジ。猛暑の赤はやめてね」
チノ「猛暑の赤とは……? 夏の色、そうですね……やっぱり青や黄色? でも確かに夕焼けも素敵ですね……迷います」
メグ「それじゃあ今から夕焼け見に行こうよ!」
マヤ「それ良いじゃん! もうすぐ夕焼けの時間だもんな!」ニコッ
メグ「やっぱり笑ってるマヤちゃん可愛いね」
マヤ「チノ、水もう一杯持ってきて? まだメグが治ってない」
マヤ「ていうかまだ言うかメグ! 今日それ3回目!」
メグ「だって、ほんとに可愛いんだもん」
チノ「3回目?」
マヤ「実は>>8 >>9ってことがあってさー」
チノ「ナツメさん?……あ、なるほど」
メグ「それじゃあ夕焼けを見に……」
チノ「夕焼けはマヤさんとメグさんの二人で見に行ってください」
マヤ「えっ!?」
メグ「なんで!?」
チノ「二人の黄色探しがまだ終わっていないからです」
マヤ「ひまわりはもう見つかって」
チノ「ほら店にいないで、早く見つけてきてください」グイー
メグ「えーっ!?」
マヤ「もう夕方なのにあっっっっっっっっつぅ……」
メグ(そんな訳で。夕焼けを見にマヤちゃんと高台を目指して歩いあっっっっっっっっついね……」
マヤ「水は?」
メグ「ばっちり! マヤちゃんかわいいね!」
マヤ「今すぐ飲んで」
メグ「もう着くから平気だもん」
マヤ「どっちみち屋外だからちゃんと飲んで。と無駄話をしているうちに、とうちゃーくっ!」
メグ「わぁ……! ここから見る夕焼け、ほんと綺麗……!」
マヤ「でっしょー? メグ、今からでも夕焼けのオレンジ色に推し変しない?」
メグ「うーん、どうしようかなー?」
マヤ「手強い。暑さでやられるのを待つしかない……?」
メグ「じゃあ水分補給をしっかりしなきゃね」
マヤ「そっかぁ、フラれちゃった」
メグ「マヤちゃんが黄色に推し変しても良いんだよ?」
マヤ「だって、空も街も、こーんなにっ、輝いてるじゃん!」
メグ(そう言いながら、その瞳を輝かせて)
マヤ「どんな絵だって負けないくらい綺麗な色で」
メグ(その瞳はそれに負けないくらい鮮やかで)
マヤ「どんな宝石にだって負けないくらい綺麗な光で」
メグ(その瞳はそれに負けないくらい透き通っていて)
マヤ「だから私はこの景色が、この色が好き」
メグ「あ……」
マヤ「でしょ、メグ!」キラキラ
メグ(その瞳は、夏の色に輝いていて)
マヤ「メグ……?」
メグ「黄色、だ」
マヤ「黄色? 今!?」
メグ「今。やっと分かったの。私はやっぱり、この色が好き」
マヤ「理由、わかったの?」
メグ「うん! だって、こーんなにっ、輝いてるんだもん!」
マヤ「輝いてるって、この夕焼けじゃなくて?」
メグ「夕焼けの方を向いちゃ駄目。こっち見て」グイー
マヤ「なんで!?」
メグ「やっぱり綺麗……私、この色が大好き。この色が、夏に生まれたんだね」
マヤ「この色って……まさか」
メグ「こんなに綺麗な色をマヤちゃんが持ってるから、黄色が夏の色。私にとっての夏の色だよ」
マヤ「な、な、な、なんだよそれ!」
メグ「あれ。マヤちゃん、顔が赤くなってる? 赤に推し変したほうが良いかな?」
マヤ「……猛暑の赤は暑いからやめて」
マヤ「それに、その理由なら赤色は秋でしょ」
メグ「え?」
マヤ「だって立冬より前だし」
メグ「それって……」
マヤ「まあ赤だとやっぱり暑そうだけど」
メグ「ちょっとマヤちゃん!」
マヤ「ねえメグ。メグがさ、夏にひまわりでも見て……私が、秋に紅葉でも見て」
マヤ「そしたらさ。離れちゃっても、いつまでもこの色は忘れられないね」
メグ「うん、絶対に忘れない……ずっと大好きだもん!」
メグ(今日はチマメ隊で集まることになっていあっっっっっっっっついね……」
チノ「あっっっっっっっっついですね……」
メグ「ジェラートでも食べたい気分だよ」
メグ(日差しがとっても強いから、今日もとっても暑くって)
チノ「甘兎でかき氷という選択も。ていうかマヤさん遅いですね。時間はもう過ぎてるのに」
メグ「また寝坊かな〜?」
メグ(そんな暑さに、ワクワクしてる)
チノ「あ、連絡きました。もうすぐ着くそうです」
メグ「あっ、いたよ!」
メグ(だって、今日もあの色は輝いていて)
マヤ「メグ! チノ!」
メグ「マヤちゃん!」
チノ「マヤさん!」
メグ(大好きな夏がやって来るから)
おわり
ここまで読んでくれてありがとう
夏ほんとあっっっっっっっっっっっっっっっっっっつい
メグが夏の色として黄色を思い浮かべた理由に驚きました。マヤの瞳の色は思い付きませんでした。メグマヤありがとうございました。
>>22
マヤってテーマカラーが黄色か青で、マヤの黄色だとやっぱ綺麗な瞳を推したいよねって思いながらキーボード叩いてました
マヤの瞳は綺麗!!!11111111
てかやっぱメグマヤ良いですよね
>>23
最近暑すぎて思わずSS内に暑いと打ち込んでしまい
暑いSSではなく熱いSSと思ってもらえるのはとても嬉しいです
せっかくなら気温より心を熱くしてもらいたいのでいやほんと気温高すぎ暑い暑い暑すぎる
拝読しました! あっっっt (ry
... 涼しいを通り越して肌寒くすらなってきた今更のコメントをお許しください...
過去の台詞を安価で言及するというテクニックに、個人的に驚きました。ここが匿名掲示板だからこそできる芸当ですね!
マヤナツてぇてぇ勢とマヤちゃん好き好き勢を激しく反復横飛びするメグちゃんかわいい。妹にしたい (ココア)
黃色を巡るひと夏のお出かけでしたが、色ってとても魅力的な執筆テーマなんだなと改めて思いました。それにしても、様々なところに黄色を探しに行った末に辿り着いた結論が秀逸で秀逸で... 最高でした!!
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