こんにちは、カレルと申すものです
27作目ですね。
こちらは「きららファンタジア」と「アニマエール!」の二次創作になります。
本作は『プレゼント騒動』の後の話となっています。なので、そちらを先に読むことをオススメします。
「プレゼント騒動」
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3931&ukey=0!
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
*オリジナルキャラクター
等が含まれるので苦手な方は注意してください
[私の願いが届くなら]
いつも同じ夢を見ている。
私の姉が黒い龍に喰い殺されている夢だ。そのなかではいつも私は何かをすることなく姉がヤツに吞み込まれていくのを無力に見つめている。私の意志は夢に干渉ができず、ただそれだけを延々と繰り返す。
喉が潰れるほどひたすら叫び、血反吐を吐こうとも姉が死んだ事実は変わらない。私は暗闇の中をただ死んだ目をして歩き回っていた。幽鬼のように目の前にあらわれた獲物に喜色を浮かべて襲い掛かっては、殺し、殺しては襲いを繰り返した。満たされることの無い狂乱の果てに、最後は逆に殺される。
夢のようだった。やっと姉と同じ場所に行ける。その時思ったのはそれだけだった。
でも、少し心残りがあった。死ぬ直前に会った1人の少女のことだ。その子は暗い世界で光を持っていた数少ないうちの1人だった。中でもとびきり光が強く、昏い瞳すら照らせるのだと思うほどだった。
私はきっと惜しいことをした。死に至る道の中であのように心を動かされたことは無い、彼女の声が。
「死なないで」と。
鼓膜も破れていたはずなのに、はっきりと聞こえた。その後に体を流れた癒しは心地よく、まるでぎゅっと手を握って貰ったかのようであり、温かかった。もう何年も経験していない他者の温もりだった。でも、自ら手放した。きっと不幸にしてしまうから、私を育ててくれた人はすぐに死んだ。手から零れ落ちるのはもう沢山だから。
ここで死ねたのは神様の恩寵、そう思うことにして眠るために瞼を閉じた。
また暗闇がこの身を包んでいる。しかし、この闇は以前とは異なり、私を拒絶するように激しく動いている。まるで生きているかのように。
死んだ後でも生に固執しているのかと苛立ちを覚えたが、どうやらそうではないらしい。心拍は停止しているし、もちろん呼吸もしていないはず。なのに、不思議と生の実感が私の周りを廻って離れない。
『生きたいか?娘よ』
声がどこからか聞こえた。
その言葉はこちらを試すかのように重厚に響いてくる。どこまで冷たく私のことなど微塵も興味のないような口ぶりだが、嫌味は感じなかった。尤も嫌味があったとしても死んでいるのだから腹を立てる感情さえ起こらなかっただろう。
その瞬間、欠損した手足が戻ってくるのを感じた。潰された瞳にも光が戻っている。
きっと彼女の姿も幻ではないのだろう。
私が何を口にしたかは覚えていない。
ただ、貴女が笑いかけてくれるからそのほかのことは気にならなかった。
拝読しました! わぁお、いつになくシリアスだァ...
『プレゼント騒動』の続きということでしたが、これはロザリアさんのお話という理解でいいんですかね? (間違ってたらごめんなさい)
思い返せば、ロザリアさんはあのとき明らかに無事じゃない重傷を負っていますし、あの状態から復活するまでの詳細な描写は確かぼかされていた気がするので、かなり気になっていたところでした。今後の展開が楽しみです!
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