お久しぶりです。カレルと申すものです
これで14作目になります。前作の『兎和「虎徹先輩がコタツにくるまっている…」』(卯年と兎和と)の続きの話になっています。前作を見ていない方はこちらから
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3943&ukey=0
今作は”稲葉兎和誕生日記念”作品になっています。ですが最後まで完成ができていないので、できているところまででの投稿になります。理由は後述します。
こちらは「アニマエール!」の二次創作になります
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
等が含まれるので苦手な方は注意してください
[週末]
『…はやく着すぎましたか』
私は心の中でつぶやいた
水曜日に虎徹先輩と出かけることを約束し、集合場所に選んだ公園。
ショッピングモールに程よく近く、公園の中央の広場には大きな噴水があり、そこにある時計が特徴的なので待ち合わせに人気のスポットだ。
前日の寒さがウソのようなポカポカの陽気で、この広場には犬の散歩をしているひと、ベンチにゆったりと腰をかけているひと、ジョギングをしているひともいて活気がある。その中には私と同じように待ち合わせをしているのか、持っているスマホと広場の時計とを見比べている人もいる。
視線のさきにこの公園のランドマークである時計がある。件の時計の外観は抽象的で何を表そうとしているのかわからないデザインで、赤や青などの棘が時計を囲むように伸びている。調和もなく混沌とした風貌であるがこのくらい特徴がある方が逆に良いのではないかと無責任に考えた。実際にこの変な時計を一目見るために市内外からそこそこの人が来るらしいので成功と言えば成功だ。
これもひづめ先輩の4コマのように私が理解できていないだけかもしれない。
奇抜な時計の文字盤に目を移すと外観とは正反対にゴシック調の落ち着いたフォントが使われており、この時計の“変さ”を際立たせている。しかし、文字盤まで変なデザインであったのなら、もう私の理解の埒外に行ってしまうのでそこだけでもまともでよかったと思う。
そんな文字盤の数字は9時30分ちょうどを指している。虎徹先輩との待ち合わせの10時で、約束の時間までは30分もある。
時間にも余裕があるのでメモ帳を片手に少し周りを散策することにした。
公園内を見渡すといろいろな景色が飛び込んできてアイデアが湧いてくるように思える。
“少し早い春の景色が覗く公園の一角での新しい出会い、そこから始まるストーリー…
なんて考えてみたが、これを形にするのは時間がかかりそうなのでメモに書く程度にとどめて、歩き出した
〜〜
公園の敷地を歩き回っていると、時計の作者の作品と思われるようなオブジェが複数個設置してある。そのどれもこれも赤と青の棘がオブジェから飛び出しているよう風貌でそれが違和感もなくそこに存在している。
そこにいると異世界に迷い込んだように錯覚する。
「急に異世界に召喚されて現地の人と仲良くなって無双する」
というテンプレートな異世界転生ストーリーを考えたが、その異世界には赤と青の色しか存在せず自分の色が入り込む余地が存在しない。
これは自分が求めるものとは違うので、そのオブジェから空に目を移し、それから地面に移り、最後にメモ帳に着地した。
メモ帳にはいろいろなことが書いてある。スケッチブックとは別に、ふと頭に浮かんだアイデアを書き留めておくためのもの。他にもチアの構成や先輩方の様子なども書いてある。率直に思ったことをいろいろ書いてあり、本人たちに見せるといろいろな弊害が生まれると思うのでひとりの時にしか使わない。
もっとも、こはね先輩をはじめ純粋に尊敬できる方々ばかりなのでそれは問題ないが、私の思考を知られるという点が恥ずかしいのでこれは墓場まで持っていこうと思う。
最後にはメモ帳からも視線を外し、公園の端をめざし歩き始めた。
『虎徹先輩と2人でお買い物…』
これは私にとって初めての経験だ
自分のことはインドア派だと思っているので友達、または仲のいい人と一緒に出掛けるといった経験がほとんどない。親とも出掛ける機会が少ないし、ましてや部活の先輩と出掛けるなんてありえない。チアのメンバーとして集まって虎徹先輩と二人っきりでいることはあるけれど最初から二人っきりということはない。
どんなことを話そうか?何を食べようか?など週末になるまでにぼんやりと考えていながら、週明けのテスト勉強をしたり、新聞を読んで過ごした。
ひづめ先輩の4コマは初見の衝撃が強すぎるためにまだ読んではいない。もっとも、ひづめ先輩には悪いけれど何かヒントになるようなものはないと直感したので、気が向いた時に読もうと思っている。
そんなことを考えながらふとスマホの時計を見ると時間は9時55分を指していた。
待ち合わせの時間に遅れてしまう。
私は急いで噴水の広場に戻った。
―――――
[公園]
虎徹「え〜っと、時間は9時59分かぁ 結構ぎりぎりだけど兎和ちゃんは着いてるかな?」
兎和「虎徹先輩 お待たせしました」ゼエゼエ
虎徹「兎和ちゃん!?」
兎和「なんとか間に合いました」
虎徹「兎和ちゃん大丈夫? 休んでいく?」
兎和「だ、だいじょうぶです」フゥー
虎徹「兎和ちゃん、私も走ったからベンチで少し休もうよ」
兎和「…わかりました」
〜〜
虎徹「はぁ〜 今日は冬なのにあったかいね コートを着てきたから汗かいてきちゃったよ」ヌギヌギ
兎和「虎徹先輩」
虎徹「ん? なぁに?」
兎和「タオルをどうぞ 汗が冷えると寒くなるので使ってください」
虎徹「…」ジッ
兎和「だいじょうぶです 私は使っていないので清潔ですよ」
虎徹「あっ! そういうわけじゃなくて なんだか悪いな〜と思ってね」
兎和「タオルは2つ持っているので問題ないです」
虎徹「そうなの、じゃあ使わせてもらうよ」
虎徹「兎和ちゃん、ありがとう! 洗って返すね」
兎和「別に大丈夫ですよ 使い終わったら渡してくれれば」
虎徹「だめだよ!兎和ちゃん」
兎和「!?」
虎徹「タオルの貸し借りは洗って返すまでがマナーです」バーン
兎和「…知りませんでした」
虎徹「って、ひづめちゃんにタオルを貸した時に言っていたの」
兎和「ひづめ先輩が… なら間違いはないですね」
虎徹「うんうん! ひづめちゃんはたまに変なこともいうけど、だいたいいいことを言ってくれるからね」
兎和「そうですね」
〜〜
虎徹「兎和ちゃん、思ったんだけど」
兎和「なんですか?」
虎徹「この公園を待ち合わせ場所に選んだのもなんだけど、ここって変な公園だよね」
兎和「そうですね 特にこの時計などはちょっと理解に苦しみます」
虎徹「あはは… そういえばテレビで似たような雰囲気の像を見たことがあるんだけど それと同じ作者なのかな それともインスパイア系?」
兎和「ちょっと調べてみます…」
虎徹「兎和ちゃん、わざわざありがとう!」
兎和「………」
兎和「ありました」
虎徹「わかった?」
兎和「はい、えっとこの時計のオブジェは“水の癒し”というタイトルらしいです」
虎徹「えっ! このどこに“癒し”要素が?」
兎和「…まったくわかりません ですがそういうタイトルであることは間違いないです」
虎徹「ちょっとスマホを見せてね」
兎和「はい」
虎徹「ほんとだ“水の癒し” え〜っとなになに? “水の周りに集まる人と生物の協調を生み出すものである”ってかいてあるね ありがとう」
兎和「虎徹先輩、理解できました?」
虎徹「ううん… ここまできたら大喜利みたいなこじつけみたいだよね」
兎和「このオブジェは何を表しているかみたいなことですか?」
虎徹「そうそう、でそのなかで“水の癒し”が出て採用されたんじゃないかって」
兎和「…タイトルですか」フムフム
虎徹「兎和ちゃん、どうしたの?」
兎和「いいえ、なんでもないです そろそろ行きましょうか」
虎徹「うん、そうだね 体の火照りもとれたし行こっか!」
―――――
[ショッピングモール]
虎徹「着いたね」
兎和「結構人がいますね」
虎徹「週末だからね 今の時間はご飯を食べるひとも多いし結構待つことになりそうかな、兎和ちゃんはどうする?」
兎和「えっと… 私は大丈夫です」
虎徹「う〜ん でもせっかく来たんだし、待ち時間で午前を消費するのはもったいないし後でいいかな?」
兎和「はい、だいじょうぶです 私も買いたいものがあるのでご飯はそれが終わったらくらいにしましょうか」
虎徹「うん、わかった この時間なら間食をしてもいい感じにお腹が空きそうだね」
兎和「虎徹先輩、今日は何を食べるんですか?」
虎徹「そうだね〜 まずはたこ焼きでしょ、それにクレープ、極めつけにアイスなんて〜」
兎和「虎徹先輩…」
虎徹「あっ… えっと…気になったものを上げただけだから食べるって決めたわけじゃないよ!」///
兎和「はい、わかっています」
虎徹「もう、思っていないでしょ」
兎和「虎徹先輩!」
虎徹「な〜に?」
兎和「虎徹先輩!食べているところをスケッチしていいですか?」グイッ
虎徹「えっと… いいけど」
兎和「ありがとうございます よくよく考えたら私もお昼を食べるのでスケッチブックを使えないことに気づいて、ちょっと悩んでいたんです」
虎徹「へ、へぇ〜 そうなんだ…」
虎徹「あっ!そういえば兎和ちゃん、買いたいものがあるって言っていたけど何を買いたいの?」
兎和「え〜っと 新しいペンが欲しいので文具屋さんに行きたいのと本屋さんに行きたいです」
虎徹「本屋さんかぁ、私はあんまり行く機会がないからちょっと楽しみだな〜」
兎和「虎徹先輩ならお菓子の本とか買っていそうですけど」
虎徹「ああ、それはお母さんがお菓子をよく作ってくれたからレシピ本が家にたくさんあるんだよね、だからあんまり本屋さんには縁がなくて」
兎和「ううん… ならダイエッ…」ハッ
虎徹「兎和ちゃん…」ゴゴゴ
兎和「…えっと 健康の本とか…」
虎徹「…まぁ読むだけならいいかな」
兎和「いろんな本があって楽しいですよ」
虎徹「そういえば、兎和ちゃんは何を買うの?」
兎和「私ですか? 私は漫画雑誌を買おうと思っています 今日発売なので」
虎徹「へぇ〜 漫画雑誌なんて漫画の資料に最適だもんね」
兎和「いいえ…」
虎徹「えっ! 違うの?」
兎和「はい、単純に楽しむために買います」
虎徹「そうなんだ、てっきり勉強のためかと」
兎和「そうですね そういう見方もありますが純粋に楽しめなくなるので私はやっていません」
虎徹「あっ、ごめんね 適当なこと言っちゃって…」
兎和「いいえ、アイデアなどは得られるので、合っているといえば合っているので」
虎徹「あっ、そうだ! 兎和ちゃん甘いものって好き?」
兎和「虎徹先輩、なんですか? えっと好きですけど…」
虎徹「よかったぁ、 じゃあ行こっか」
――――――
兎和「クレープですか」
虎徹「そう、このお店のクレープはねトッピングのフルーツの量が結構多くてね豪華なんだよ」
兎和「確かに写真からもおいしさが分かるくらいです」
虎徹「ううん、兎和ちゃんこの写真の1.5倍くらいは現物はすごいから覚悟しておいてよ♪」
兎和「!? これよりすごいんですか?」
虎徹「そう、私も初めて注文した時に大きくて驚いちゃったもん」
兎和「そんなに大きいなら食べきれるのでしょうか…」
虎徹「そうだ!兎和ちゃんが心配なら一緒に食べる?」
兎和「……なんというか女子高生みたいです」
虎徹「ん〜? よくわからないけど買ってくるね」
兎和「あっ、虎徹先輩、お金…」
虎徹「いいよ、私は先輩だし一度奢ってみたかったんだ」
兎和「わかりました」
〜〜
虎徹「お待たせ〜」
兎和「確かにすごいボリュームですね」
虎徹「うん♪ 特に生地がもちもちしていてね、一口食べると優しい甘さが広がっていってね、ホイップの甘みとイチゴの酸味をうまく調和させてねなんとも言えない味なんだ!」
兎和「すごい熱量です」
虎徹「それでね!中にはバナナと練乳が入っていてね味が変わっていくんだよ、でもそれじゃあ甘みだけで単調になっちゃうから真ん中にカットしたキウイが入っていてね酸味で味がしっかりして二重に楽しむことができるんだよ!」
兎和「…」メモメモ
虎徹「兎和ちゃん、なに書いているの?」
兎和「…!? ビクッ 何でもないです サッ」
虎徹「…まっ、いっか はやくクレープを食べないとね♪」
兎和「虎徹先輩、待ってください」
虎徹「ああ、そうだったね」
兎和「はい、準備できました」
虎徹「じゃあ、いっただきま〜…」チラッ
兎和「…」ジーッ カリカリ
虎徹『ううっ…食べにくい』
虎徹「あの、兎和ちゃん…」
兎和「…」キラキラ
虎徹『ますます食べにくい…』
虎徹「あの〜… 兎和ちゃん、こんなに真剣に見られると思っていなかったから食べにくくて…」
兎和「はっ! すみません… つい集中してしまって、そこまで頭が回りませんでした」
虎徹「動画とか撮るのはどうかな?」
兎和「いいんですか?虎徹先輩はあまり録画をみるのが好きではないみたいですし」
虎徹「兎和ちゃん一人だけしかみないものならだいじょうぶ…」グッ
兎和「わかりました ではスマホで撮りますね」
虎徹「うん、これならあまり気にしないで食べられるし、兎和ちゃんも味わって食べられるね」
兎和「そうですね」サッ
虎徹「うん♪ じゃあ、いただきます」パクッ
虎徹「んん〜! おいしい!」キラキラ
兎和『虎徹先輩、幸せそうな顔ですね 見ているとこっちも幸せになるような不思議な感覚』
虎徹「兎和ちゃん、撮れた?」
兎和「はい、ばっちりです 今見たままのことを描けないのは残念ですが、なにか良いものが掴めるようなきがします」
虎徹「それはよかったぁ はい、兎和ちゃん」
兎和「ありがとうございます では、いただきます…」パクッ
兎和「…!! おいしいです」
虎徹「でしょ! 兎和ちゃんが満足してくれているようでうれしいよ」
兎和「虎徹先輩、どうぞ」サシダシ
虎徹「ううん、兎和ちゃんが全部食べていいよ」
兎和「いいんですか? たしかさっきの話では真ん中にバナナやキウイがあって味が変わるんですよね?」
虎徹「兎和ちゃんは初めてでしょ?」
兎和「はい、初めてですね」
虎徹「それが重要なんだよ!」ビシッ
兎和「…そうなんですね」
兎和『?』
兎和「では、いただきます」パクッ
虎徹「うん!」
兎和「………………」モグモグ
兎和「おいしいです 特にキウイと一緒に食べるとさっぱりとしておいしいです」
虎徹「うんうん 兎和ちゃんもわかってるね でも兎和ちゃんが食べているのをみたらお腹空いてきちゃったね」
兎和「虎徹先輩、次は何を食べるんですか?」
虎徹「う〜ん 今甘いものを食べたからしょっぱいもの系かな?」
兎和「虎徹先輩がさっき言ってたたこ焼きですか?」
虎徹「うん、それにしようか そうだ、兎和ちゃんはたこ焼き食べる?」
兎和「いえ、私は遠慮しておきます まだクレープも食べ終わっていないですし、これを食べ終わったらご飯までは何もいらなくなりそうですし」
虎徹「うん、わかったよ じゃあ私が食べているところだけ撮るってかんじだね」
兎和「はい、お願いします」
兎和「…」モグモグ
兎和「ごちそうさまでした」
虎徹「じゃあ、行こっか」
―――――
今日は兎和の誕生日、兎和は5巻で初登場しあまり出番こそなかったものの夢へ向かっていく姿勢であったり、情熱を垣間見ることができました。兎和は言葉にこそあまり多くはしませんが心の中でしっかりとした“自分”というものを持っているキャラだと思っています。これは私個人の兎和の解釈なので別の見方もあると思いますが、そんな兎和の面を描写していけたらな、と思っています。
あとは、言い訳を言っているだけなので無視していただけたら…
理由(言い訳)
前回、本作の前に1作品投稿すると言っていましたが諸事情でできなくなってしまいました。頭文字Eに追われていたためでありますが、私の見通しが甘かったことが原因です。ただ2月に入ってしまえば諸般の問題が終わるのでそこまで待っていただけたら幸いです。
こ、こてつのグルメ……
後輩の初めてを奪っていく先輩…この2人だとほのぼのとした日常、という感じになりますね。
※さすがにリアル優先が良いと思います
拝読しました! 実に自然なこてとわでーと...!
面倒見の良い虎徹先輩がとても素敵。こてつかわいい。
描写のほのぼの感で癒されるし、虎徹さんの食レポでおなかすいちゃうし、色んな「初めて」を記録に残そうとする兎和さんが健気かわいいし、もう最高ですねハイ。
上の方も仰っていますが、カレル様自身の予定が最優先です。どうか無理はなさらずに! 私はいつまでも楽しみに待たせていただきます!
そして兎和さん、Happy Birthday!
>>25
コメントありがとうございます
言い方に語弊がありそうですが…
虎徹と兎和のコンビは色々な想像ができそうな感じです
>>26
ペンギノンさん、いつもありがとうございます
兎和は口数こそ多くないからこそ虎徹が食レポ要素を一身に背負ってもらっています。ただ虎徹の表現を一番近くで見ているので心のなかでは…
[続き]
兎和「虎徹先輩どうですか?」
虎徹「へぇ〜 これが…」
兎和「はい、これが私の好きな作品です」
虎徹「これってどんな感じなの?」
兎和「そうですね、口で説明するのは難しいですが一言で言うと“死なない主人公が天を戴く物語”です」
虎徹「…なんか壮絶な物語みたいだね、表紙が骸骨でなんかおどろおどろしいし」
兎和「そうですね、結構人を選ぶ内容だと思いますし まだ完結していないのでおすすめしずらいですし…」
虎徹「へぇ〜…… 漫画研究部でみた漫画とかなり違うね…」
兎和「そうですね」
虎徹「あっ、そうだ 兎和ちゃんはなんで漫画研究部じゃなくてチア部に入ってくれたの? 今まで聞く機会がなかったからね」
兎和「そうですね… 実は漫画研究部は体験入部したのですが、雰囲気が私と合わず入部には至らなかったんです」
虎徹「あはは… 確かに兎和ちゃんには合わないかも」ポワポワ
―――――
漫研部長「修羅場なの」
部長「二徹してて、寝たら落ちちゃうから…」
〜〜
部長「原稿完成! さてと、次の原稿を」フラフラ
部員たち「いいの、漫画描くの好きだから!」フラフラ
部員たち「いっそ楽しくなってきたからね」
―――――
虎徹「確かにね」ブルブル
兎和「虎徹先輩、興味があるならお貸しするので言ってください」
虎徹「うん、ありがとう」
兎和「虎徹先輩、もうすぐ2時になりそうです」
虎徹「ええっ! もうそんな時間なの」
兎和「飲食店も空きだす時間帯でしょうし行きましょうか」
虎徹「うん♪ 行こっか」ルンルン
〜〜
兎和「虎徹先輩、いろいろ食べていましたがお腹は大丈夫ですか?」
虎徹「ん? 別に大丈夫だよ だいぶセーブして食べたからそんなに体重は増加しないし、帰る分でチャラになるしね!」
兎和「セーブ…?」
虎徹「うん!」
虎徹「そういえば兎和ちゃんは何がたべたい?」
兎和「そうですね… オムライス専門店というものがあると見たのでそれが食べたいと思っています」
虎徹「オムライス! おいしいよね、トロトロの卵とケチャップライス想像しただけでお腹が空いちゃうよ…」グー
虎徹「あっ…」///
兎和「…行きましょうか」
虎徹「うん…」
―――――
兎和「私は…このこだわりオムライスをおねがいします」
虎徹「私はチーズインオムライスをお願いします」
店員「はい! かしこまりました」
虎徹「はーい♪」
虎徹「楽しみだね、兎和ちゃん」
兎和「そうですね、オムライスじたい久々なのでとてもたのしみです」
虎徹「そうなの、私は自分でもたまに作るけどお店でやっているようなふわふわにするのがむずかしいんだよね」
兎和「虎徹先輩、お菓子作りもできて料理もできるんですか」
虎徹「そうだよ、そんな凝ったものはできないけどたまに、ね」
兎和「虎徹先輩すごいです」キラキラ
虎徹「もう! 褒めても何も出ないよ」///
兎和「虎徹先輩の料理、食べてみたいですね」ボソッ
虎徹「あっ! 兎和ちゃん 来たよ!」
兎和「はい? ああ、きましたか」
店員「お待たせしました オムライスとチーズインオムライスです」
虎徹「ありがとうございます」
店員「ごゆっくりどうぞ」
〜〜
兎和「おいしそうですね」
虎徹「うん!そうだね きれいなラグビーボール型で真ん中にはケチャップがかかっていて見た目から楽しいよね」
兎和&虎徹「いただきます」パクッ
兎和「うん、おいしいです」
虎徹「ん〜 トロトロの卵と濃厚なチーズが酸味のあるチキンライスとうまく融合していて、1口、2口とどんどん食べたくなる味だね」
兎和「こっちも卵がトロトロでおいしいです」モグモグ
虎徹「ケチャップを付けて食べるとトマトの風味が強くなってさっぱりと食べられるね」
兎和『虎徹先輩、食べるのはやいですね もう半分くらいまで減ってる』
虎徹「う〜ん♪ やっぱりおいしい♪」パクパク
兎和『やはり本当においしそうにたべますね この様子を録画できないのは惜しいことです』
虎徹「う〜ん♪ オムレツ単品でもおいしい♪」
…
虎徹「はぁ、最後の一口かぁ」パクッ
兎和「…あの虎徹先輩、私のオムライスたべますか? 私にはちょっと量が多かったみたいなので」
虎徹「えっ、いいの」パァー
兎和「ええ」
虎徹「はっ! 兎和ちゃんが困っているからね、助けるのは当然だよね」
兎和「はい、ありがとうございます」
虎徹「どのくらいでいいの?」
兎和「これくらいですね どうぞ」サシダシ
虎徹「うん、いただきます あ〜ん」パクッ
兎和「どうですか?」
虎徹「うん!おいしいよ♪」
兎和「あと1口ですね どうぞ」
虎徹「あ〜ん うん!おいしい♪」
兎和『虎徹先輩、かわいいです』
〜〜
虎徹「はぁ〜 おいしかった ごちそうさまでした」
兎和「ごちそうさまでした」
虎徹「よーし! 最後はデザートかな〜」
兎和「えっ、まだ食べるんですか?」
虎徹「うん、デザートは別腹ってよく言うよね、それだよ」
兎和「はぁ… それで何を食べるんですか?」
虎徹「アイスが食べたいな〜って思っていたんだよねだから、ナインティーンアイスに行こうかなって」
兎和「冬にアイスですか…あんまりイメージがわきませんね」
虎徹「まあまあ、騙されたと思って」グイッ
兎和「あっ、虎徹せんぱい」
―――――
虎徹「はい、兎和ちゃん ポッピングフォールだよ」サシダシ
兎和「ありがとうございます」
虎徹「これおいしいよね、食べると口の中でパチパチと弾けて楽しいし」
兎和「はい、いつもここに来るときはこれを頼んでいます 虎徹先輩は…」
虎徹「ああ、これ? 期間限定のフレーバーだよ、おいしそうだったから頼んでみたよ」
兎和「冬にも限定の味があるんですね」
虎徹「うんうん、いろんな味があるから毎回迷っちゃうけど新しい味がでると優先して頼んじゃうんだよね」
兎和『…私も何かチャレンジした方がいいのでしょうか?』
兎和「あの、虎徹先輩」
虎徹「ん? なあに?」
兎和「シェアしませんか?」
虎徹「うん、もちろんだよ! いろんな味を楽しめるからこっちから言いだそうとしたけど先越されちゃった」
兎和「そうなんですか」ホッ
虎徹「兎和ちゃん、どうぞ え〜っと…味は“ストロベリーレッドマカロン”だね 見た目もかわいい♪」
虎徹「兎和ちゃん はい、あ〜ん」
兎和「…」
兎和『直接食べさせてくれるんですか!?』
虎徹「どうしたの?」
兎和「あっ、はい…」パクッ
虎徹「どう?」
兎和「…おいしいです マカロンを食べたことがないですが食べているような気分になります」
虎徹「ふっ、あははっ それってどういう感想」
兎和「えっと… そうです…」オドオド
虎徹「うん、きっと本物に負けないくらいおいしいってことだよね」ニコッ
兎和「…そうです」///
虎徹「私も兎和ちゃんのをもらうね」
兎和「はい」サシダシ
虎徹「うん、ありがとう」パクッ
虎徹「うん! チョコの甘さとミントの爽やかな香りとパチパチとはじけるキャンディー…やっぱりこれが一番おいしいなぁ〜」
兎和「はい、冬のアイスもなかなかいけます」パクッ
虎徹「そうだよね… !」
兎和『虎徹先輩の表現を漫画に取り入れたら食事のシーンが華やかになるでしょうか?』
兎和「虎徹先輩、ご飯を食べるときはどんな気持ちで… あれ?」
兎和「虎徹先輩?」キョロキョロ
虎徹「ごめ〜ん ちょっと歩いてた」
兎和「いきなりいなくならないでくださいよ」
虎徹「ごめんね」
兎和「あの、アイスがとけて垂れていますよ 早く食べないと」
虎徹「ああ!はやく食べないと! 暖房であったかくなっているから油断してるとすぐとけちゃうよ」
兎和「私は溶けたアイスを飲むのも悪くないと思います 幸いですカップですし」
虎徹「だから兎和ちゃんはカップにしてたのね、私のはコーンだからはやく食べないと手がべたべたになっちゃうね」アセアセ
〜〜
虎徹「兎和ちゃん、手が汚れちゃったからトイレに行ってくるね」
兎和「はい、わかりました そこのベンチで待っていますね」
虎徹「うん、早く戻ってくるね」
―――――
「ふぅ…」
ベンチに腰を下ろし一息をついた
初めての先輩とのお出かけ、これがハプニングもなく楽しく過ごすことができている。虎徹先輩は普段から何かを食べていることが多かったので驚かないつもりだったのに、想像以上に多くを食べておどろいている。
それに、食べるものどれもを本当においしそうに食べ、見ているこっちも幸せになるほどの食べっぷりだ。
バッグからスマホとスケッチブックを取り出し、記憶を思い起こすためにギャラリーのアプリを起動した。
トップには虎徹先輩が恥ずかしがる表情がサムネイルとなっていて動画があった。タップをするのに少し罪悪感を覚えたがタップし動画を再生した。
虎徹先輩がたこ焼きを食べている2分程度の動画が再生された
周りの迷惑にならないようにミュートにしているが、その時の会話は憶えているので問題はない。
彼女の表情に注目し、スケッチブックに鉛筆を走らせる。食べるときの至福の表情を何度も巻き戻しながら…
手元のスケッチブックにはどんどんと彼女の像が明らかになっていく。
「はぁ…」
記憶の笑顔と動画の笑顔、そしてスケッチブックの笑顔を見比べると自然と漏れてしまった。
私はスマホとスケッチブックをバッグにしまい、時計を確認した。
時間は4時を指している。
〜〜
虎徹「おまたせ〜」
兎和「おつかれさまです」
虎徹「えっと、あとは文具屋さんだったっけ?」
兎和「はい、新しいペンが欲しいので」
虎徹「たしか文具屋さんは、1階にあったっけ? じゃあいこっか」
兎和「はい!」
―――――
虎徹「はぁ〜 外はもう夕暮れだね」
兎和「冬は日が落ちるのがはやいですから」
虎徹「暗くなる前に帰らないとね」
兎和「いまの時間に帰れば完全に日が落ちるまでには帰れそうです」
兎和「……………」
虎徹「兎和ちゃん!楽しかったね」
兎和「!! はい! とても楽しかったです 今日は私のわがままに付き合ってくれてありがとうございます」ペコリ
虎徹「そんなに改まらなくていいよ」アセアセ
兎和「はい…ですが、いろんなものが食べられてよかったです 一人だったら食べることすれできなかったものですからいろいろと新鮮で学びもありました」
虎徹「うんうん、私も兎和ちゃんの夢を応援したいからね、これくらいしかできないけど役に立てたならよかったよ」
兎和「いえ!とんでもないです そんなに考えていただけたとは…」
虎徹「もちろんだよ 兎和ちゃんは私とは違ってすごいからね」
兎和「えっと… 虎徹先輩はすごいです! お菓子作りもお料理もできる、それにピアノもできる 私にはできないことだらけです」
虎徹「兎和ちゃん…」
兎和「……」///
虎徹「かえろっか」
兎和「はい…」
……………
虎徹「さ〜て、明日はどんな日になるのかな?」
兎和「??」
兎和「えっと…良い一日になればいいですね?」
虎徹「あははっ! 明日はテストだからね、頑張らないと」
兎和「!! 忘れていました」
虎徹「でも兎和ちゃんは大丈夫そうだよね」
兎和「…でも少し不安です」
虎徹「じゃあ、次の週末においしいごはんを作ってあげるよ」ニコッ
兎和「!? …聞いていたのですか」///
虎徹「ふふっ… さぁ行くよ」タタッ
兎和「あっ! まってください!」
[完]
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます
虎徹と兎和のほのぼのグルメ道中はいかがでしたか?
今回は食をとおして兎和が新しい発見をするみたいなコンセプトで書き始めました。おいしそうにご飯を食べる姿は絵になりますから、そういう系をテレビで見ているのでそこからももってきました。
途中で兎和が好きだ、といった作品は完全に私の趣味です。たぶんきららを読む層とは重なり合わない作品なので、「ふ〜ん」ていどにしておいてください
あと最後に前作のコメントでいただいた要望の具体的なアイデアが浮かんだのでいつになるかわからないですが書くと思います。よろしくお願いします。
と、いうわけで次の作品でお会いしましょう
飯 テ ロ の 極 み
拝読しました! いっぱい食べる君がすき (至言)
こてっちゃんの動画を何度も何度も巻き戻しちゃう兎和ちゃん、初々しくてかわいい。
ていうか、食べさせあいっこってほんとさぁそういうとこだよ君たtダパパパパパパ (砂糖吐症
兎和ちゃんの呟きをちゃんと聞いてただけでなく、その願いを叶える形で週末の予定まで取り付けるこてっちゃん、まじ虎徹先輩...
甘すぎるあまあまな雰囲気、存分に楽しませていただきました!!
基本的には食べてるだけの中、楽しそうなところやお互いに思いやるところとか、(やや語弊がありますが)きらら的優しい世界でした。間接…に後から気付いてあ…//とかなったりするんでしょうか。
>>47
ペンギノンさん、いつもありがとうございます
懐かしいですねその言葉、たしか何かのCMだった気がします
ご飯は分け合うともっとおいしくなりますからね、それといろんな味が楽しめるので、こてっちゃん的にも物語的にも◎。
最後に、兎和と虎徹の話はあと1作考えているのでお楽しみに
>>48
コメントありがとうございます
今回は食に重きを置いたお話になっていますからね、お買い物は本当にサブの位置づけといった感じです。
間接…に気づくのは兎和だけだと思います。録画を見返しながら当時のことを思い出して赤面して、虎徹はご飯と別のことに夢中で気づかないと思いますし(笑)
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