[Attention!]
この作品は『きららファンタジア』を題材としたSSです。
あくまで本編とは一切無関係な所謂二次創作 (或は三次創作) です。
創作の関係上、大いに独自設定 ・ 捏造 ・ 原作を逸脱した点が存在します。
SSによくある会話形式ではなく、モノローグや背景描写などを多分に含みます。
その関係で文字が多く、読みづらいです。
また、本作はシリアスな作風となっております。その旨ご了承のほど。
書き溜めありです。と言うより、既に最後まで完成しています。
最後に、本作はソルトがシュガーのことを一人の女の子として好きになってしまうことから始まるシュガソルSSです。百合が苦手な方はご注意ください。
以上の点を了承してくださる方は、どうかお付き合いください。
「ねぇ、ソルト」
突然シュガーに話しかけられ、ソルトはそちらに顔を向けました。
「何でしょうか、シュガー」
見た目だけは平然そうに取り繕っていますが、実態がそうでないのはソルト自身が自覚しています。
「最近ね。ソルトが何だか、調子が悪そうに見えるの。それが気がかりで」
シュガーは、そう言いながらじっとこちらを見つめてきます。
お願い、そんなつぶらな瞳でソルトを見ないで。
胸の内が見透かされているみたいで、怖いんですよ。
「ソルト、びょーきなの?」
そんなことを、彼女は訊いてきました。
「い、いえ。そんなことは」
正直、今のソルトにはそうやり過ごすのが精一杯でした。情けないとはわかっていても、それ以上巧い返しは見つからなかったのです。
「ほんと? 無理しないでね」
本当に心配そうな声色で、シュガーは言います。
「あ、ありがとうございます」
辛うじて視線だけでもそらしつつ、ソルトは何とか返事をしました。
ちょっとした用事があるというシュガーを見送りながら、独りごちます。
誰のせいでこうなっていると思ってるんですか、全く。
こんな感情は、きっと間違っているんです。許されるものではないことなど、百も承知なのです。
ソルトは、あくまでシュガーの姉でいるべきなのです。若しくは、七賢者の同僚として立ち振る舞うべきなのです。
でも、いつからでしょうか。シュガーの見え方が、ソルトの中で変わっているのに気付きました。
微笑むシュガーがとても眩しくて、目がくらみそうになって、それでも、いつまでも見守ってあげたくなります。シュガーとあまり話せなかった日は、いつもよりちょっとだけ寂しい気持ちになります。シュガーと一緒なら、あまり得意でない甘いものも、いくらでも食べられる気がします。
大体、こんなにシュガーのことで頭がいっぱいになること自体、以前なら考えにくい事態だったのです。
「ソルトは、おかしくなってしまったのでしょうか」
空虚な独り言は、誰にも聞かれることなく空に溶けていきます。
ソルトは、合理性を重要視します。作戦を立てる際にも、考えうるあらゆる可能性を洗い出し、それに対する対応策も一通り練って作戦に組み込むようにしています。
そんなソルトが、よりにもよって、こんな非合理の塊みたいな悩みを抱いてしまうとは。
よりにもよって、双子の妹に対して、恋愛感情を抱いてしまうとは。
きっと、シュガーにソルトのことを好きか尋ねたら、十中八九「好き」と返ってくるでしょう。これは驕りというより、長年共に暮らしてきた故の自信です。
でも。ソルトが抱える「好き」の気持ちはきっと、シュガーの「好き」とは別のもの。いっそ、気の迷いとか勘違いであってほしいと嘆きたいくらいの、危うさを内包した凶器なのです。
この凶器を、ソルトはどう扱えばよいのでしょうか。
悩んでも、悩んでも、答えなんか出せっこない。
結局、思考は、堂々巡り。
「... もどかしいですね、本当に」
答えの出ない問いは、あまり好きではありません。
時々、自分でも信じられないくらい気分が悪い日があります。
気付かれないようにしているはずなのに、必ず周囲に悟られてしまい気遣われるのが常です。ソルトに限らず、誰もがそういう経験があるはずです。
そして、それに対して妙に鋭い周囲の人たちもしばしばいるものです。特にアルシーヴ様はちょっとした変化に聡く、あの方の前では隠し事は通用しないと考えた方が良いくらいです。
ただ、対象がソルトだった場合は、アルシーヴ様より先に気付く者がいます。それが、シュガーです。
いつもは鈍感なくせに。どうして、ソルトのときだけ。
尤も、ソルトもシュガーの変化には鋭い方ですが。
思えば、昔からソルトたちはそうやってきました。
神殿で七賢者としてアルシーヴ様にお仕えするようになる、ずっと前から。まだソルトたちがただの少女だった、あの頃から。
それだけに、ソルトは余計に戸惑ってしまいます。これまでは気付かなかったり、気付いても何ともなかったりしていた、シュガーの小さな変化にいちいちどきっとしてしまう、自分自身に。双子の妹を一人の女の子として意識している、不純で倒錯的な自分自身に。
何より、それが自分自身であるということが、猛烈につらいのです。
シュガーは、どちらかというと直感型で、熟考型のソルトとは隔たりがあります。
どちらが悪いという話ではありません。実際、ソルトが考えすぎて動けない間に、シュガーがさっさと仕事をこなしてしまったこともあります。
ただ、彼女の優柔不断ぶりには散々振り回されてきましたから。その分だけ、誰よりもシュガーのことを理解しているつもりです。
それでも、シュガーがソルトのことを本当はどう思っているのかについては、未だに把握できていません。面倒くさいとか、うざったいとか、目障りだとか、そういう風に思われていなければ良いのですが。
正直な話、絶対に好意的に捉えられていると言える自信は、ありません。
シュガーのことを大切に思うからこそ、小言みたいなことを口うるさく言ってきました。それが彼女にとって苦痛でない保証など、どこにあるというのでしょうか。
いつか。そう遠くない、未来。シュガーが、ソルトと一緒じゃなくても大丈夫なくらい、大きく成長する頃。
... ソルトは、あるいは捨てられてしまうのでしょうか。
それにしても、シュガーの距離感はちょっとおかしいです。
クリエメイトを「おねーちゃん」と呼び、親しげに接するのが日常風景。アルシーヴ様がオーダーをしていた頃ですら、当のシュガーが捕らえていたゆのにべったりしていたといいます。
そんなシュガーの態度が... 実のところ、少しだけ面白くない自分がいます。
シュガーにはソルトがいるのに。ソルトには、シュガーしかいないのに。
嗚呼。醜い。醜い醜い醜い。ソルトは、何て、醜いのでしょう。
本当は、わかっているのです。シュガーが誰と話そうが、誰と遊ぼうが、誰と一緒に居ようが、シュガーの自由なのです。ソルトが横から口を出す権利など、これっぽっちもないんです。
ソルトは、シュガーの姉で、同僚。ただ、それだけだから。
それだけで、留めておかなくては、ならないのだから。
突然、ぐっと胸が締め付けられて、息苦しくなって。それの正体を頭では理解しながら、体裁上は知らないふりをして。
また、そうやって、自分に嘘をついて。
こんなに苦しいのなら、こんなに苦しまなくてはならないのなら、いっそのこと。
「恋をする心なんて、なくなっちゃえばいいのにな」
言ってはいけない一言を、言ってしまった気がしました。それがたとえ、誰にも聞こえない独り言だったとしても。
暇な時間ができたので、ソルトは神殿の図書館で読書をしています。
読書は良いものです。紙をめくる度に、大小様々な発見があります。
先程まで穏やかでなかった心も、多少は落ち着きました。時には、こうして半ば無理矢理凪を作ることも、有効なアプローチです。
ただ、そうですね。このもやもやした気持ちの根本は、この程度では断てません。
当然の話です。これはあくまで、気分転換ですから。
せめて、今の時間くらいは、忘れさせてほしい。ただ、それだけですから。
ページをめくり、文を目で追い、記述されたことを脳で処理して理解する。そのプロセスの繰り返しが、いつしか読了したときの満足感や達成感を構築する材料となります。
しかし、今日は選ぶ本を間違えたのでしょうか。それとも、最近忙しかったからでしょうか。瞼が、少し重いです。
それでも本を読み進めようとしましたが、だんだんと耐えきれなくなってきます。せめて本を汚したり傷つけたりしないよう脇にどかすと、本格的に睡魔が襲ってきます。
あ、駄目だ。このままだと、ソルトは...。
「あれ? ソルトは、一体何をしていたのでしょうか」
どうやらここは、夕焼け空の公園のようです。おかしいですね。確か先程まで、ソルトは図書館にいたはずなのに。
「ソルト」
「はいっ!? ... ってあれ、シュガー...?」
声のした方を振り返ると、シュガーがこちらを見つめていました。夕陽に照らされて、どこか大人っぽくみえてしまうのは、ソルトの気の所為でしょうか。
「そーだよ。もう、ぼぉっとしてどうしたのさ」
シュガーが頬を膨らませています。そんな仕草も、愛おしく映ります。
「な、何でもないです」
「そっか。それでソルト、お話ってなに?」
お話...? シュガーの問いかけの意味がよくわかりません。
「えっと... ごめんなさい、少し記憶が混濁しているみたいで。思い出せません...」
「えぇー!? そしたらシュガー、何しにここに来たのさー!?」
「ほんと、ごめんなさい...」
正直な話、一番困惑しているのはソルト自身です。
「それじゃ、シュガー帰るね」
「あっ...」
シュガーが去ろうとするのを見て、つい余計な気の迷いが、生まれてしまったソルトは。
「ちょっと、待ってください。お話、思い出しました」
本当に思い出したわけではないのに、そう言ってシュガーを呼び止めてしまいます。ソルトの声に応じて、シュガーはくるりとこちらを振り返りました。
どきどきと、心臓が音を立てます。今、言わないと。冷静な判断なんて、最早期待できません。
「シュガー...ソルトは、シュガーのことが好きです。その... 一人の、女の子として」
言ってしまいました。伝えてしまいました。シュガーに、ソルトの気持ちを。
「... ソルト、どうしちゃったの? ちょっと言ってる意味が理解できないんだけど」
... え?
「ショックだよ、ソルトがそんな目でシュガーを見てたなんて」
見ると、シュガーの視線が氷のように冷たくなっていました。それは、彼女がソルトの前で一度も見せたことのない表情でした。
「ごめん、ソルト。シュガーは、ソルトを受け入れられない」
その瞬間、ソルトは思い知りました。これは、決して叶わぬ恋だったのだと。
とっくに解は示されていたはずの、簡単で残酷な方程式だったのだと。
「あ、あぁあ...」
声にならない呻きが、漏れ出てきます。身体の震えは、止まりそうにありません。
「じゃあね、ソルト。シュガーはもう行くから」
「ま、待ってください! お願い、行かないで!」
情けない声で、我武者羅にシュガーを呼び止めようとしましたが。
「... さよなら」
最後に届いた一言は、残る全ての希望を打ち砕くのには、余りにも充分すぎるものでした。
... いやだ。いやだよ。こんなの...。
「嫌だぁーーっ!!」
思い切り叫びながら、突っ伏していた机から顔を上げます。ぼんやりしたまま辺りを見渡すと、そこは神殿の図書館。先程の出来事は、もしや全て夢...?
ソルトとしたことが、図書館の中で騒いでしまいました。反省しなければ。静かに席を立ち、読んでいた本を元の場所に戻します。
しかし、いやにリアルな夢でした。率直に言って、二度と見たくない類の。
脳裏に焼きついた、シュガーの表情。もう自分には関わらないでほしいと言わんばかりの、こちらに対する関心をすっかり失った表情。ソルトに放った、「ショックだ」という言葉。
去り際に一度「じゃあね」と口にした後、わざわざ「さよなら」と言い換えた。それが何を意味するのかを推し量るのに、労力は不要です。
思い出したくない。できることなら、忘れてしまいたい。
せめて救いなのは、これらが現実に起こったことではないということ。しかし、それに安堵する間もなく、ソルトは考えてしまいました。
もし、あの夢の出来事が現実に起きたなら。
もし、あの夢のように、シュガーに嫌われてしまったなら。
ばきっ。明らかな異音が、胸の内で鳴りました。何かが割れるような、不快で不快で仕方ない音が。
この音を、止めたい。何としても、今すぐに。
そのことだけに躍起になって、そそくさと図書館を後にして走り出しました。
通路を抜けて、正門を抜け出して、外へと。ただ我武者羅に、逃げ出して。
視界はぐちゃぐちゃに乱れて、まともに前も見れません。きっと、今のソルトを他の人が見たら、それは酷い顔で泣き崩れているのでしょう。
こんなはずじゃなかったんです。ソルトは、ソルトの思いは、変質してしまったんです。
七賢者として不適当。彼女の姉としても、不適当。このままでは、こんな自分では。
こんな自分では、シュガーに二度と顔向けできません。
走って、走って、転んでも走って。気付けばソルトは、町外れの公園に辿り着いていました。
公園に居るのは、ソルト一人。地面を見ても、直近で誰かが訪れたような形跡は見当たりません。
足を休めるために、ベンチに腰を下ろします。場所によっては一部が朽ち果てていたりしていたので、場所選びに苦労しました。
普段感じている忙しさがまるで嘘のように、あるいは先刻までの余裕のなさが虚構であったかのように、ゆっくりと時は流れています。
例えば、風の通る音。そよ風にはちょっと強いくらいの風が、涙に濡れた頬を撫で、髪の隙間を抜けていきます。少し肌寒くて、思わず身震いしました。
例えば、遊具。どこの公園にもあるような、ポピュラーな遊具です。どれも古くなっていて、長期に渡ってメンテナンスされていないようにも見えます。今度、担当の者を点検に向かわせてもいいかもしれません。
例えば、におい。言葉や文章にするのは難しいですが、何となく公園を連想させるにおいが、確かに感じられました。
例えば、空の色合い。時刻は夕方。濃淡のある橙色と、少しの群青がグラデーションを作っています。数時間もしないうちに、この公園から見える空は漆黒のビロードを纏い、悠大な天体のショーを演出するのでしょう。
この公園を訪れたことは、一度もありません。神殿からは意外と離れていないことくらいしか、知っていることもありません。
それなのに、どうしてこんなに懐かしいのでしょう。どうして、ぼんやりとした既視感を憶えるのでしょう。
徐に立ち上がって歩きだし、ぶらんこに改めて腰を下ろして、一息。ゆっくり後ろに下がり、ぱっと足を浮かせると、ぶらんこは振子となってゆらゆらと前後に揺れ始めます。
ゆらり、ゆらり。全ては、力学の法則に従って。
こうしてぶらんこを漕いだのは、いつぶりでしょうか。そう考え込んでしまう程度には、遠い記憶です。ここではないどこかの公園で、ソルトの身体はあのときも確か、こんな風に揺れていました。
思い出せる記憶は、ほんの僅か。七賢者の業務に就いたことで、概ねの記憶は多忙な毎日に上書きされてしまったのは否めません。
ただ... そうです。あのとき、ソルトの傍には。
─ あははっ! ぶらんこたのしいね、ソルト!! ─
にこにこと笑う薄桃髪の少女が、ソルトと同じようにぶらんこを漕いでいた。それだけは、比較的くっくりと思い出せる記憶でした。
... そこまで思考を巡らせて、やっと思い当たりました。初めて訪れたこの公園に対し、何とも言えない既視感を抱いてしまった理由 (わけ) を。
今日、図書館で見た夢。夕暮れ時の、寂れた公園。ソルトは何故だかそこに立っていて、そしてそこで...。
「ソルト、やっと見つけた! もう、勝手にいなくならないでよ」
「ひぃっ!? ど、どうしてここが...」
あぁ、もう。これではまるで、あの最悪な夢の再現ではないですか。
「シュガーね、ソルトがいなくなっちゃったのを知ってから、色んなところを探し回ったんだよ。割と遠くの方も探したんだけど、思ってたより近くにいて安心したよ」
彼女の特徴とも言える天真爛漫さを見せつつ、どこか気を遣うような慎重さも感じさせる様子で、シュガーはソルトにそう言います。よく見ると、シュガーの服は少しほつれて傷もついているようでした。
ぶらんこを漕ぐのは、とっくにやめていました。傍目から見ると、不貞腐れて家出した妹を姉が迎えに来た、とでも映るのでしょうか。
尤も、ここにはソルトとシュガー以外は誰もいないし、そもそも姉はタッチの差でソルトの方なのですが。
「シュガーも隣、乗っていい?」
いつになに落ち着いた声で、シュガーはソルトに問いかけました。
「... 許可など取らずに、好きに乗ればいいじゃないですか」
意図が読めず、つい素っ気ない態度をとってしまう自分が、本当に情けない。心のどこかで、自己嫌悪の感情を憶えました。
そんなソルトを横目に、シュガーはソルトの左隣のぶらんこに腰掛けます。
「えへへ。これでやっとソルトと同じ目線だね」
そのまま漕ぎ始めると思いきや、どうやらぶらんこを漕ぐつもりはないらしく、シュガーは続けて口を開きました。
「懐かしいね。昔もこうやって、二人で公園に行って一緒に遊んだっけ」
「え?」
「ソルトったら、シュガーが他の遊びに誘わないといっつもぶらんこに乗ってるんだもん。今もぶらんこに乗ってるし、よっぽど好きなんだねぇ」
「そうでしたっけ? 記憶が定かでないですね」
これは半分嘘で、半分本当。シュガーと公園で遊んでいたことは思い出しましたし、そのときに乗っていたのもぶらんこですが、それ以上のことは何も憶えていません。
「えー、忘れちゃったんだー。ちょっとショックかも」
シュガーは、明らかに消沈しています。
「ご、ごめんなさい」
慌ててフォローしようとしましたが、咄嗟に出たのは謝罪の一言だけ。こういう重要な局面に限って、単純な思考しかできないでいます。
「ううん、謝ることないよ。シュガーも、あんまりはっきり憶えてるわけじゃないんだしさ」
気さくにシュガーが笑みを浮かべます。また、彼女に救われてしまいました。
「... ありがとう、ございます」
またも、単純な言葉しか出ませんでした。ぶらんこの鎖を握る手が、小刻みに震えているのを感じます。
「... ソルト、どうしてここに来たの? 昔遊んだ公園はもっとずぅっと遠くだよね? そんなにぶらんこに乗りたかったの?」
「違いますよ、何言ってるんですか」
口ではそう返して呆れたふりをしましたが、ソルトはわかっています。シュガーは、ソルトをリラックスさせるためにわざとお道化てみせたのだと。
それでも、答えることはできません。今までの経緯を話すということは、知られてはいけない『想い』までも知られてしまうことを意味します。あんな光景は、絶対に繰り返したくありません。
「... そっか。言いたくないんだね。それなら仕方ないか」
暫く沈黙が続いた後、シュガーがそう切り出しました。シュガーの表情は、ソルトを責め立てるようなものでも、逆に見限るようなものでもないように映りました。
「よいしょっと」
刹那、シュガーがぶらんこから下りてこちらに歩み寄り、手を差し出して一言告げました。
「ソルト。折角だし、ちょっと遊んでいこっか」
「久しぶりだよね、公園で一緒に遊ぶのって」
シュガーの身体が持ち上がって、ソルトの身体が下がって。
「七賢者になってからは、お互いに用事があったりして、なかなか予定が合いませんでしたからね」
ソルトの身体が持ち上がって、シュガーの身体が下がって。
かこん、かこんと、小さな音と衝撃が、周期的に繰り返されます。シーソーという遊具を考えだした人も、なかなか目の付けどころがあると思います。
「へぇ、ソルトも何だかんだシュガーと遊びたかったんだねー。へぇー」
「なっ!? そ、そんなことは一言もっ」
ソルトは慌てて訂正を図りますが、最早手遅れ。今後数ヶ月はこのネタでからかわれるでしょう。
「ふふっ。シュガーが皆に今のことを喋っちゃうと思ってるんでしょ?」
いたずらに笑うシュガー。ソルトは咄嗟に言葉が出ず、俯いて頷き応えます。
「安心して、ちゃんと黙ってるよ。そうしないと、折角できたシュガーとソルトだけの秘密が、なくなっちゃうもん」
「... はぁ、そうですか」
何となく含みがあって、シュガーにしては大人びた口調に多少違和感を憶えましたが、そんなこともあるのだろうと早合点。
それに... ソルトしか知らないシュガーの顔があるということ自体は、悪い気はしないと思っていたり。
表情を見る限り、シュガーはとても楽しそうです。昔から、子どもっぽいところは変わりません。とはいえ、ソルトたちの年齢を考えると何らおかしいことはないのですが。
むしろ、ソルトの方が堅苦しいのです。それくらい、わかっています。
それでも、シュガーを前にすると「もっとしっかりしなくちゃ」という気持ちが先行します。ソルトは、シュガーのお姉さんなのだから。
「ソルト、考え事してる? シュガーでよければ、お話聴くよ?」
シュガーは、時に観察眼が鋭い。隣で彼女を見ていると、そう感じる場面があるわけですが。今まさに、その瞬間が訪れています。
「なんでもないです」
今日だけで何回目かわからないこの言葉に逃げ込んでしまうソルトは、駄目な子なのでしょうか。
「ソルト、悲しいこと考えてるよね。なんとなく、わかるよ」
「... シュガーには、関係のないことです」
嘘です。この悩みは、この苦しみは、シュガーことを意識しているからこそなのですから。
「ふーん。そう返すってことは、悲しいことを考えてるっていうのは認めるんだ」
「... ノーコメントです」
こちらを真っ直ぐ見つめるシュガーから無理に視線を逸らしつつ、小さく歯軋り。突発的に口から出そうになった言葉を、押し潰しました。
間違っても、言えるはずがありません。
言ってしまったなら、あの夢の展開をなぞるだけに決まっています。
辺りには、再び沈黙が広がります。ただ、シーソーの動く音のみが、単調に鳴り響くだけ。会話の切れ間は、いつも寂しいものです。
こういうとき、先に沈黙を打ち破るのは大抵シュガーです。ソルトは、シュガーほど積極的な性格ではないので。
だから、今回も。
「ねぇねぇ、ソルト。シーソーって、どうやって動いてるの?」
この子に、先を越されてしまうんです。
「ふふっ。シュガーがそういうことに興味を持つとは、珍しい日もあるものですね」
やるせない悔しさを紛らわす意味も込めて、いじわるな言い回しをしてみます。シュガーは、頬を膨らませてしまいました。
「そういう日もあるのっ! ふつーにねっ」
やれやれ、少しやりすぎましたか。ソルトは、一旦シーソーを降り、問いかけました。
「シュガーは、てこの原理というものを知っていますか?」
シュガーは、予想通り首を傾げています。ただ、聞く耳は持ってくれています。難しい言葉は使わないよう、心掛けましょう。
「例えば、ソルトがさっきまで座っていた場所と今シュガーが座っている場所は、板の真ん中から見ると同じくらい離れていましたね。ですが、ソルトがもっと離れたところに座ると...」
高く上がってしまっている板を何とか手繰り寄せ、その端っこに腰掛けると、シュガーが座っている側は、逆に持ち上がっていきます。
「うわうわうわっ、た、高くて降りられないよぉ! どーいうこと!?」
シュガーの反応は、新鮮で愛らしいです。ソルトは、シュガーが怪我をしないようにゆっくり板から腰を上げました。シュガーの身体は、再び地面の近くへと降りていきます。
「今のが、てこの原理です。ソルトも本で読んだことくらいしか知らないですが、大事なのは板を支えている場所とソルトたちの距離、それからソルトたち『物体』の重さ。今の場合は、ソルトとシュガーの体重が同じくらいなので、ソルトがより遠い場所に座ったことでシュガーを簡単に持ち上げることができたというわけです」
シュガーの顔をうかがいます。限界というわけではなさそうでした。
「じゃあさ、もしシュガーがソルトより遠くに座ったら、逆にソルトを持ち上げられちゃうの?」
シュガーの問いかけに、ソルトは頷き応えます。
「えぇ、そういうことです。ソルトがこうやって、板を支えているところのすぐ近くに座っても...」
ソルトは、今しがた口にした場所に座ります。シーソーは、動きません。
「さっきのように、シュガーが持ち上がることはありません。そして、シュガーと同じくらい離れた場所に座れば」
ソルトは、最初に座っていた場所に戻ります。板は概ね水平になり、釣り合いの状態が作られました。
「こうして、元通りです。シーソーは、こういう原理で動いているんです」
シュガーが、少し考えるような仕草を見せています。間もなく、納得したような表情を見せました。
「あぁ、そっか。どう見ても同じ重さじゃないでしょって感じの男の子と女の子が、シーソーで遊んでるのを見たことがあったんだけど、女の子は男の子より板の端に近いところに座ってた気がする。あれは、そういうことだったんだ...」
「えぇ、まさにそういうことです」
シュガーは、ソルトが思っていた以上に理解力があるようです。
「へへんっ! シュガー、また一つ賢くなれたよ! ソルトのおかげだね!!」
「っ...!」
シュガーがこぼす、満面の笑み。それを見るだけで、胸がぎゅっと締め付けられます。
ずるい。本当に、シュガーはずるいです。
あっという間に、ソルトを追い越していくんですから。
シーソーゲームの一つくらい、させてくれてもいいじゃないですか。全く。
「うぅ... ちょっと寒くなってきたね」
シュガーが身震いしています。そろそろ陽もだいぶ落ちて、本格的に夜が始まろうとしています。より青が混じった橙色の空は、もうじき群青、そして漆黒に飲み込まれていくことでしょう。
「そうですね。風邪を引いてはいけないので、そろそろ帰りますか」
そう言って歩き始めようとして、シュガーの様子がおかしいことに気付きました。
「シュガー...? どうしましたんです?」
少しの沈黙の後、シュガーは徐に口を開きました。
「... ソルト。シュガーね、怖いことがあるの」
そう言いながら、シュガーは小刻みに震えていました。ソルトは驚いて、シュガーの方を振り向きます。
「今日のソルト、いつもよりどこか素っ気ない気がするの。もしかして、シュガーに興味がなくなっちゃったのかなって。シュガーは、ソルトのお荷物なのかなって」
「シュガー!? な、何を言って...」
慌ててシュガーの肩を掴みますが、シュガーは先程より大きく震えだしてしまいます。
「ソルト、シュガーのこと嫌い? シュガー、やっぱり悪い子だったかな? ごめんね、自分勝手でごめんね...」
ひどく落ち込んで俯くシュガーの姿を見て、ソルトは...。
「ひゃっ!? そ、ソルト...?」
咄嗟に、思い切りシュガーを抱きしめました。
「いつ、ソルトがシュガーのことを嫌いだと言いましたか。そんな事実は、決してありません。むしろ...」
そこまで口走って、はっとしました。今、ソルトは何を言おうとしていた? シュガーを不安にさせた挙げ句、その弱みに漬け込んで告白しようとしていたのですか? それは、シュガーとの関係を永遠に壊してしまうのでは?
脳裏に、あの悪夢の光景がよぎります。シュガーに想いを伝えて、シュガーに嫌われて、ソルトは独りぼっちになって。
シュガーのことを安心させてあげなくてはならないのに、余計な火種を愚かにもばら撒こうとしていた。ソルトのしようとしていたことは、要するにそういうことなのではないですか。
「... 続き、言ってくれないんだ。シュガーじゃ、頼りないかな。ソルトの力に、ちょっとでもなりたかったな。あはは...」
無理に笑おうとするシュガー。今すぐ、何かを言わなくっちゃ。そうでないと、シュガーをこれ以上傷つけてしまうことになります。そんなの絶対に駄目で、でも本当のことを言っちゃうのも怖くて...。
それでも。シュガーの大きな瞳から一粒の雫が溢れるのを、冷淡に見ていることなど。
「む、むしろソルトは、シュガーのことが... 一人の女の子して、大好きなんですっ!!」
できるわけが、ありませんでした。
遂に、遂に言ってしまいました。何があっても言わないって、決めていたのに。
案の定、シュガーは目を丸くしています。当たり前です。余りにも唐突に、双子の姉の正体を知ってしまったのですから。
「ご、ごめんなさい。こんなこと、言われても困りますよね」
そう言ってシュガーから離れようとすると、シュガーが強くソルトを抱きしめてきました。
「えっ、シュガー!?」
「それが、隠してたことなの? ソルトが悩んでたのって、そういうことなの?」
「そ、その、それは...」
「誤魔化さないで。大好きって気持ちは、嘘じゃないんでしょ?」
真剣な面持のシュガーに圧倒されるように、ソルトは逃げ道を失ってしまいました。
「は、はい...。いつ頃からか、シュガーのことを女の子として意識するようになってしまい、それを自覚した頃には...」
シュガーは、相変わらずソルトをハグし続けています。せめてもの、情けなのでしょうか。
「その... 気持ち悪いですよね、こんな気持ち」
シュガーは、何も言いません。その考えを、推し量ることができたらいいのに。いいえ、逆にそれは残酷なのでしょうか。
「ソルトは、きっとおかしくなってしまったんです。間違った気持ちを抱いてしまって、シュガーのことを正しく見れなくなって、それで...」
「好きだよ、シュガーも」
... え?
「ソルトのこと、好きだよ。ずっとずっと、前から」
え? シュガーは、今、何と言ったのですか? ソルトの気の迷いのせいか、有り得ない聞き間違いを...。
ソルトが盛大に混乱していると、シュガーが深い溜息を漏らしました。耳元に息がかかって、くすぐったさを感じます。そんな情けないソルトの様子を知ってか知らずか、更に畳み掛けるような囁き声で続けます。意図が読めなくて、余計混乱してしまいます。
「ソルトって、意外とにぶちんだよね。はっきり態度で示さないとわからないんだ」
「え? シュガー、一体何を... むぐっ!?」
一瞬、何が起こったのか理解できませんでした。視界のピントがぶれて、全身がとても熱くて、落ち着いて呼吸もできない。こんな経験、生まれて初めて...。
「... ぷはぁ。どーかな、ソルト? 流石に、わかんないなんて言わせないよ?」
数秒か、数十秒か、兎に角いくらかの時間が経ったあと、シュガーはそう言って微笑みました。あまりにも突然のことで、返す言葉も浮かびません。
この頬の火照りと、唇の湿り気。そして、尋常でない速さで拍動する心臓の音。全てが嘘ではない実体だと認識するまで、体感でも数秒はかかりました。
「しゅしゅしゅシュガー!? あ、あのあのあの...」
「だーめ。ちゃんとこっち、見て。これが、シュガーの答えだよ」
ぐるぐると目が回るソルトの顔を、半ば強引に自分の方に向けるシュガー。あ、やば。今のソルト、まっかっかで、これじゃまるで...。
「りんご、みたいだね」
「へっ!?」
「当たってるでしょ? 今、りんごみたいって思ったでしょ?」
シュガーは、得意そうに笑みを浮かべます。
「... 思ってません」
そうやって、投げやり気味に否定しようとしたところで。
「そっかぁ。ふふっ、そしたら、もっとソルトのこと知らないとね」
シュガーは、一枚上手な回答をしてみせるから。
肝心な時、ソルトはいつもシュガーに敵わない。そう感じずには、いられないのです。
寂れた公園を後にして、ソルトたちは帰路につきます。
寒空の下、ふたりきり。はぐれないように、手をつないで。
幾度か、似たような帰り道を辿った記憶があります。自負するのは恥ずかしいですが、ソルトたちはこれでも結構仲良し姉妹ですから。
ただ。今のこの時間は、それだけに留まりません。そして、これからも。
この先、どんなことを言われようとも。どんなに、傷つけられようとも。ソルトは、この手をずっと、握り続けたいから。
「ねぇ、ソルト」
隣から聞こえてくるシュガーの言葉に、ソルトは耳を傾けます。
「何ですか、シュガー?」
シュガーは、満足そうな顔でこちらに微笑みかけ、言いました。
「幸せだね、シュガーたち」
その一言に、ソルトは敢えて言葉を返さず、シュガーの手をもっと強く握りました。シュガーも、それに応じるように強く握り返します。
このまま神殿まで戻ったら、お互いの手に跡が残っちゃうかな。跡が消えるまで、どれくらいかかるかな。そしたら、もう一度つけちゃおうかな。お互いの手の形をした、愛のしるしを。
... いや、これは流石にきもちわるいですね。謝罪の意味も込めて、手の力を緩めておきましょう。
さっきよりちょっぴりアンバランスになった力加減。数十歩分進んだところで、シュガーの手の力も弱くなり始めました。
「ソルト、心変わり...? シュガーのことは、遊びだったの...?」
見ると、シュガーの表情がどことなく妖艶さを感じさせるものになっていて... え、何これ? ていうか、何処でそんな言葉覚えてきたんですか!?
「ち、違いますよ!? さっきは力いっぱい握りすぎてたので、シュガーが痛がってないかなって思いまして」
きもちわるい妄想のことは、言わないでおきましょう。
「それなら大丈夫! シュガー、全然痛くないよ!!」
シュガーの笑顔に、こちらまで笑顔になってしまいます。シュガーは、本当によく笑う子です。その笑顔に、何度救われたことか。
「それは良かったです。... それはそうとして、先程とんでもないこと口走ってませんでしたか?」
「あー、あれはね」
ま、どうせランプ辺りでしょう。きららも変な疑いをかけられて難儀ではあります。それにしても、シュガーとランプって、喧嘩ばかりしているように見えて意外と仲良しなんですよね。
「ソラ様がアルシーヴ様に言ってるのを聞いたの」
... そっちかぁー...。
「あのときと雰囲気似てると思ったから使ってみたけど、あれって結局どういう意味なのかな?」
「え、意味を理解せずに使っていたんですか!?」
では、あの表情も全部無意識...? それとも、ソルトの方にバイアスがかかっていたのでしょうか。
シュガー、恐ろしい子...。
「... 取り敢えず、あの台詞は今後使わないこと。心臓に悪いです」
「はーい」
シュガーに気付かれないように、さりげなく火種を消します。尤も、たとえ意味を知っていても使わせるつもりは毛頭ありませんが。
ソルトが本気ではないと誤解する隙なんて、絶対に与えませんから。
手をつないだ姉妹は、とことこと、舗装されていない道を歩んでいきます。
長く伸びた影法師は、いずれ闇夜と同化して見えなくなるでしょう。
こんな遅くまで外に出ていたなんて。神殿に戻ったら、まずアルシーヴ様に頭を下げないとですね。
ちらりと横隣に視線を移すと、シュガーが鼻歌を歌いながらにこにこしています。それがどうしようもなく愛おしいのは、姉としてか、恋人としてか。
その鼻歌がループしていることに気付いたソルトは、音程を覚えて口笛を重ねます。鼻歌でも良かったのですが、こういうのも乙なものでしょう。
驚くべきは、シュガーの対応力。一瞬戸惑いこそしましたが、その後は鼻歌を続行するばかりでなく、新しいフレーズまで披露するのです。
ソルトも負けじと音を合わせて、逆にこちらから新たなフレーズをぶつけてみたり。そんな不毛な対決は、お互い同時に音を外したところで終幕。その妙ちくりんな外し方がツボに入って、久しぶりに思いっきり笑いました。
「あははっ... ソルトって、そんなおっきな声で笑うんだね」
笑いすぎて少し涙目のシュガーに、こちらも涙目のソルトは返します。
「そりゃそうですよ、ソルトにだってそういう日はあります。何ですか、あの気の抜けた音は」
「ソルトこそ、猫に襲われた鳥さんでも出さないような超高音なんて出しちゃって。おかしいんだから」
そんな風に、きついようでそうでもない冗談を言いあいながら。ソルトとシュガーは、二人並んで。
「... ソルト。これからも、よろしくね」
シュガーの呟きに対して、ソルトが返す言葉は、既に決まっていました。
「勿論です。こちらこそ、よろしくお願いします」
お互い、静かに微笑みます。それだけで、最早充分通じあえるから。
神殿の入口までは、あと数分くらい。二人だけの秘密の帰り道は、もうすぐ終わってしまうけど。神殿を飛び出したときにはつらくて仕方のなかった今日の出来事は、今や大事な思い出に姿を変えました。
シュガーと一緒なら、何処にでも行けるし、何でもできる。そんな気がしてならないから。
それがきっと、ソルトとシュガーにしか造れない、幸せの形なのでしょう。
辺りもすっかり暗くなり、寒さもいよいよ際立つ夜道。そんな寒さを忘れてしまうほどのぬくもりを、ソルトはそっと、抱きしめるのでした。
シュガー、今日は本当にありがとう。ずっとずっと、大好きですよ。
--fin--
[あとがき]
はい、ということで終わりです。SS投稿を始めて1年が経ちました (!!)
投稿日をクリスマスに重ねてみましたが、本作は元々5月下旬から執筆を開始し、投稿予定はクリスマスどころか7月上旬でした (予想以上に執筆が難航した結果、この時期になりました) 。寒さを示唆する文章はあってもクリスマス要素は欠片もないのは、そのためだったりします。そんなのばっかりだな、私のSS。
閑話休題。
本作の登場人物だったシュガーとソルトの二人ですが、きらファン本編ではあくまで仲の良い姉妹といった感じだと私は考えています。雰囲気は『ごちうさ』の心愛と智乃がかなり近いでしょうか。
本作は、そんな二人の関係性に変化が生じたらどうなるのか、という『もしも』の物語です。姉妹百合という、二重の意味で禁忌扱いされかねない方向性ではありましたが、結果としてしっとりさとあまあまな雰囲気を両方摂取できるお話になったのではないかと勝手に思っています。
SS書きとしての私からの、皆様への拙くささやかなクリスマスプレゼントとでも思っていただければ、それに勝る喜びはありません。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
[これまで書いたSSリスト (順次追加) ]
・ 『あお 「くじら座の変光星の女の子」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3596&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29338408.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17271872
・ 『変な生き物 「遂に誰からも本名で呼ばれなくなった」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3602&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29371224.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17272934
・ 『クレア 「わたしは鍵の管理人」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3607&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29421806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17274145
・ 『クロ 「この丘から見える星空は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3619&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29460066.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17278807
・ 『きらら 「ツンツーンください!!!!!!!!」 サンストーン 「いきなりでけぇ声あげんなよ うるせぇよ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3637&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29571518.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17279756
・ 『みさ「みらがかわいすぎて生きるのがつらい」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3650&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29631528.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17280762
・ 『シャミ子 「杏里ちゃん、一緒に帰ろ?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3668&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29760440.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17285569
・ 『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29831832.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
・ 『スズラン 「飯奢ってくれ」 ロベリア 「図々しいわね、呪うわよ...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3702&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29946896.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17289587
・ 『シャロ 「貴方が教えてくれること」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3720&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30014131.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291478
・ 『みら 「あおー、ぼくの着替え知らない?」 あお 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3727&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30053806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291693
・ 『舞 「わたしが歩んできた道は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3742&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30108512.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17293779
・ 『千矢 「山で遊んだお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3754&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17318983
・ 『あお 「みらが知らない女性と仲良く話してる」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3764&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17415852
・ 『ランプ 「うつつさんがきらきらしています」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3770&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474617
・ 『ユウ 「クラスのみんなにおでこぱしーしまくってたら海果がすねた」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3775&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17523413
・ 『桃 「シャミ子、ごめんね...」 シャミ子 「...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3781&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17572005
・ 『あお 「君の心を覗きたいんだ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3793&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17654759
・ 『小春 「全然釣れないよー」 ??? 《諦めないで!》 小春 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3801&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17717125
・ 『みら 「このレンズの向こうには」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3809&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17771186
・ 『あお (幼) 「こんにちは」 ニコッ みら 「えっ...?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3824&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17916835
・ 『メディア 「よければ一緒に」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3830&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17952603
・ 『 琴音 「もふもふ」 ファー 「琴音、どうしたの?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3842&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18057909
・ 『ココア (2部) 「しゃーろちゃんっ♪」 シャロ 「こ、ココア!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3864&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18246741
・ 『 悠「セルリアンブルーの空に」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3888&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18480361
・ 『ランプ 「もし、わたしが貴方のことを好きだと言ったら、どうしますか?」 サンストーン 「いや知らないが」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3919&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18735570
・ 『シュガー 「ソルト、びょーきなの?」 ソルト 「い、いえ。そんなことは」』: このSS
砂糖と塩のどっちを吐けばいいんですか?シュガソルだけに
この秋は狸百合の季節だったので丁度良いタイミングになったのかもしれません
ココチノに近い、つまり相思相愛、結婚したも同然というわけですね?(錯乱)
ソラ様何やってるんですか……
隠していた想いが決壊して受け入れられる流れとても良いです
>>65
作者です! コメントサンキューデース! 狸百合とは。
砂糖と塩、迷ったら両方吐いちゃえ!! まぁどちらにせよ普通に病気ですgダパパパパパパパ
シュガソルは無自覚に周囲の胸焼けを誘発するタイプの仲良し姉妹です! あれ? やっぱりこの二人って (血の繋がりという違いはあれど) 実質ココチノじゃね?? あと、ソラ様はちょっと嫉妬深くなってるだけですホントウデス。
前進したくても、恐怖がそれをさせない。でも、隣に切っ掛けをくれる人がいて、震えながらも一歩踏み出す。そういう話が大好きなんです。素顔を隠して閉じ込め苦しめる壁なんて、ぶち壊してしまえばいいんです。勇気って、きっとそういうものだから。
狸百合……うちの師匠はしっぽがない(メインキャラが狸)と、ガンダム水星の魔女(主人公が狸顔と言われてる)が今期アニメで、ソルトはアライグマ説もありますが狸と思われるので奇妙な縁を感じてしまいまして……
ちなみに、ガンダムは今日の最新話で塩→砂糖→血の順に吐きそうな展開でした。
素敵なクリスマスプレゼント受け取りました!
今の関係が壊れてしまうという恐怖で動けない、けれど動かないと心が壊れてしまう。
そんなギリギリの心を見透かしてしまう好きなひと、めっちゃよかったです!(かなり好きなシチュエーションでテンションが上がっております)
対話形式でないからこそ出せる雰囲気ですね
ソルトの葛藤がダイレクトに伝わってきて、想いを伝えた後のくちづけはエモさ全開でした!
>>68
作者です! 続けてのコメントありがとうございます!
成程、そういう経緯が...。恥ずかしながらどちらの作品もノータッチだったため、ネタの把握ができませんでした (なので、今回の件に関しては完全に偶然の一致です)
ていうか、お話のとおりでしたらガンダム最新話えげつなくないです? 塩と砂糖は兎も角、最後の一つがどかんとね...。
荒んだ心は『ぼっち・ざ・ろっく!』で癒しましょう、最高の最終話でしたし。あ、本SSがお役に立つのならそれはそれで。
>>69
作者です! カレル様、いつもコメントありがとうございますー!! サンタクロースになれたようで何より (ここだけの話、深夜3時からこっそり投稿していたのもそういうことです) 。
こういうシチュは私もかなり好きでして、少しずつ形を変えていろんなSSに出てきてる気がします。ワンパターンとか言われそうで怖いです...。
モノローグや背景描写などを多用する書き方は、一応私の本来の執筆形態でもあるので、それ相応に力を入れて執筆しました。
語り手の内面を存分に盛り込めるので、シリアスな雰囲気の作品やエモエモな感じにしたい作品に向いている印象です。
抱いてはいけない恋心を抱いてしまったソルトの葛藤と苦悩も、そしてその先にあるシュガーとの幸せな時間も、かなり満足のいく形で書ききることができました。
お気に召したようで、本当に嬉しいものですね。
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