ランプ 「少しくらい話に乗ってくれてもいいじゃないですか」
サンストーン 「少しくらい乗りやすい話題にしてから投げかけてくれないか」
[Attention!]
この作品は『きららファンタジア 第2部 断ち切られし絆』を題材としたSSです。
あくまで本編とは一切無関係な所謂二次創作 (或は三次創作) です。
創作の関係上、大いに独自設定 ・ 捏造 ・ 原作を逸脱した点が存在します。
主役の二人の本編での関係性故、本作は湿度高めな作風となっております。一応ギャグ (のつもりで作者は書いてる) もありますが、ゆるーい雰囲気が好きな方はすぐさま避難することをお勧めします。
また、第2部7章までのネタバレも多分に含みます。なお、本作は第2部完結前に執筆したため、本編と矛盾しうる展開が存在します。
書き溜めありです。と言うより、既に最後まで完成しています。
最後に、これでも私は登場キャラたちを最大限愛しているつもりです。不器用でごめんなさい。
以上の点を了承してくださる方は、どうかお付き合いください。
[1時間程前]
サンストーン (見回りに向かったウツカイから、きららたちがこの街を訪れるという情報を入手した)
サンストーン (この小屋は見晴らしが良く、大きな商店から神殿施設に向かう道の途中にあるため、奴らは遅かれ早かれ間違いなくこのすぐ傍を通る)
サンストーン (これまでの戦闘から、あいつらには不意打ちが一番有効打になることが確実だ。住良木うつつが厄介だが、彼女さえどうにかできれば後は簡単)
サンストーン (きららを無力化し、絆などという脆い繋がりを今度こそ完璧に断ち切ってみせる)
サンストーン 「... しかし、暇だな」
サンストーン (本来こういう作戦は誰かと共に行うべきだが、今回は他の真実の手たちが全員他の業務についていた)
サンストーン (おまけに、ウツカイの数も慢性的に枯渇しつつあるという。結果的に、直ちに動ける人材が私しかいなかったが故の単独行動というわけだ)
サンストーン (独りというのは気楽で動きやすいが、暇な時間が多くなるのは良くない一面だ)
サンストーン 「せめて、話でもする相手がいれば違うのだが」 ボソッ
??? 「あれー? ここどこでしょう?」 ガチャ
サンストーン (くっ、誰か来たか。身を隠すとしよう) コソコソ
??? 「はぁ、完全に道に迷ってしまいました」
サンストーン (... 何てことだ、どこかで聞いた声だと思ったら)
ランプ 「きららさんもマッチもうつつさんも、どこに行ってしまったのでしょうか...」
サンストーン (よりにもよって、きららの仲間の女神候補生が入ってきてしまうとは)
----------
ランプ 「いい感じの小屋だったから誰かいるかもと思いましたが、無人ですか...。参ったなぁ」 ハァ
サンストーン (あのランプという少女の仕草からは、演技しているような素振りは感じられない。恐らく本当に道に迷ったのだろう)
サンストーン (しかし、今はそれどころではない。私が潜んでいることが相手に知られてしまったら、作戦の全てが崩壊する。ここは隠密に徹した方が安全だ)
ランプ 「取り敢えず、他をあたろうかな... おや?」
サンストーン (そうだ、そのままどこかに行ってくれ。何も気にすることなどないだろう)
ランプ 「外、雨が降ってる。ちょっと雨宿りしていこう」
サンストーン (!?)
ランプ 「丁度いい感じの小屋ですし、完全に無人っぽいですから大丈夫ですよね。怒られたらごめんなさいすればいいはず」
サンストーン (このドグサレがァーーッ!!)
サンストーン (いいわけないだろ、他人の所有物だぞッ!!)
サンストーン (...あ、私もやってることは似たようなものだった)
ランプ 「ふんふんふーん♪」 カキカキ
サンストーン (こいつ、呑気に鼻歌を...。それに、何か書いているようだ)
ランプ 「今日はきららさんがかわいかったなぁ。わたしの手でひゃんひゃん言っちゃって...」
サンストーン (姉さん!? 何されちゃってんの!?)
ランプ 「終わった後のとろーんとした顔、模写しとけばよかった」
サンストーン (どうしよう、この幼女怖すぎる) プルプル
ランプ 「今度はうつつさんにもやってあげようかな」
サンストーン (住良木うつつ逃げて、超逃げて) ガタガタ
[ここで補足]
ランプちゃんは、この日の朝きららさんにマッサージをしてあげたので、そのことを振り返ってます。
何か盛大に勘違いしちゃってるサンストーンちゃん、かわいいね。
それでは、続きをお楽しみください。
サンストーン (はっ! 駄目だ駄目だ、今私は身を潜めているんだ。物音でばれたら間抜けにも程があるぞ)
サンストーン (... しかし、別の意味でここから出られなくなってしまったな)
ランプ 「あー、でもうつつさんはメディア様のものですし、メディア様にお任せした方が良さそうですね」
サンストーン (もう嫌だこいつの仲間達、インモラルな関係が極まってるよ)
サンストーン (というか、女神候補生って皆そうなのか? 誰しもソラみたいなへっぽこになってしまうものなのか? そう考えると、やっぱりハイプリス様ってすごくね?)
ハイプリス 「くしゅん」 ガタッ
ハイプリス 「しまった、眠ってしまっていたか」
ハイプリス 「うぅむ、まさかくしゃみで目を覚ますとは」
ハイプリス 「それにしても... 随分と懐かしい夢を見たな。女神候補生時代の夢を」
ハイプリス 「メディア...。君とはもっと、色んな話をしたかった」
サンストーン (それはさておき、今はこの危機的状況を脱することが大事だ)
サンストーン 「ま、どうせバレないさ」 ボソッ
ランプ 「バレてますよ」 ジトーッ
サンストーン 「へごっ!?」 ビクッ
ランプ 「残念でしたね、わたしもそこまで馬鹿ではないんです」
サンストーン 「な、何故だ!? 何故気付かれた!?」
ランプ 「そのむちむちどすけべボディでバレないなんて考える方が無理ありますよ」
サンストーン 「...は?」 ムチムチッ
----------
サンストーン 「...」
ランプ 「...」
サンストーン (立ち去りたい。可及的速やかに。だがそれができない理由は、主に3つ)
サンストーン (まず1つ目。私は、間抜けなことにこの幼女に存在を知られてしまった。きららたちにまで情報が伝わってしまう前に何とかしなければならないが、その方法が思いつかない)
サンストーン (続いて2つ目。これは更に間抜けと言えるが、先程のごたごたの合間に武器を抑えられてしまった。今、あの剣はランプの傍にある。あれがないと、断ち切るものも断ち切れない。はっきり言って、今の私は無力だ)
サンストーン (そして、3つ目。恐らくランプもこの理由を共有しているのだが) チラッ
ザァァァァ
サンストーン (先程から降り出した雨が、物凄い豪雨になってしまった。流石にこの中を歩き回りたいと思う奴はいないだろう)
ランプ 「... 本格的に降ってきてしまいましたね」
サンストーン 「... そうだな」
ランプ 「いつか、止むでしょうか」
サンストーン 「そうしてくれなくては困るだろう。私も、お前も」
ランプ 「そうですね」
ランプ 「...」
サンストーン 「...」
サンストーン (助けて)
----------
サンストーン 「へっくし」
サンストーン (ちょっと冷えてきたな。これも雨のせいなのか)
ランプ 「どうぞ」 コトン
サンストーン 「へ? こ、これは...」
ランプ 「お茶、淹れました。偶然茶葉を持っていたので、この小屋の設備を借りて」
サンストーン (彼女が立っている近くの竈には、確かに火が灯っている。これを使ってお茶を淹れたのだろう)
サンストーン 「... 毒とか入っていたり...」
ランプ 「しませんよ! わたし、そんな陰湿に見えますか!?」
サンストーン 「い、いや、そういうわけでは...。ただ、身内の事情もあって気にする癖がついているだけだ」
ランプ 「? は、はぁ...」
サンストーン (ダチュラ...。善かれと思っての行為だとは解っているのだが、毒が染み込んだ茶葉でお茶を淹れるのは止してくれ)
サンストーン (普通に私死んじゃうから)
ランプ 「飲むならさっさと飲んじゃってくだだい、冷めますよ」
サンストーン 「... 頂こう」 ゴクッ
ランプ 「...」 ニヤリ
サンストーン 「はっ!? き、貴様さては図ったなッ!」 ギロリ
ランプ 「嘘やでー」 ← 例の顔
サンストーン 「... 何だって?」
ランプ 「 嘘 や で 〜 〜 」 ← 例の顔ダブル
サンストーン 「キレそう」 プルプル
ランプ 「今の貴方は斬れないのに?ww ざーこざーこww」 プークスクス
サンストーン (このメスガキめ...)
----------
ランプ 「...」
サンストーン 「...」
サンストーン (苦痛だ。敵対している者と同じ空間にいなければならないことが、兎に角苦痛だ)
ランプ 「... 時に」
サンストーン 「... 何だ」
ランプ 「もし、わたしが貴方のことを好きだと言ったら、どうしますか?」
サンストーン 「いや知らないが」
ランプ 「少しくらい話に乗ってくれてもいいじゃないですか」
サンストーン 「少しくらい乗りやすい話題にしてから投げかけてくれないか」
ランプ 「ふんっ。どうしてわたしが貴方なんかに気を遣わなければならないんですか? そもそも、わたしが貴方と一緒にいること自体おかしいんです」
サンストーン 「その言葉、そっくりそのまま返させてもらう」
ランプ 「この際はっきり言いますが、わたしは貴方のことが大嫌いです」
サンストーン 「それは大いに結構だが、それならさっきの台詞は一体何だったんだ」
ランプ 「所謂ハニートラップってやつです」 ドヤァ
サンストーン 「そのハニートラップ、機能不全を起こしていたが」
ランプ 「むきー!! やっぱり貴方とはわかりあえません!!」 プンプン
サンストーン 「はぁ...。もう好きにしてくれ」 ハァ
サンストーン (ハイプリス様...) チラッ
ランプ (きららさん...) チラッ
ザァァァァ
ランプ、サンストーン (早く帰りたいなぁ...)
----------
ランプ 「わたしは、未だに納得していないんです」
サンストーン 「何のことだ」
ランプ 「貴方なんかがきららさんの妹だなんて話に対してですよ」
サンストーン 「黙れ。私は、あの召喚士との繋がりを断ったのだ。今の私は、ハイプリス様の下で働く『真実の手』の右手。それ以外の肩書はないし、全て捨てた」
ランプ 「ふざけないでください」
サンストーン 「は?」
ランプ 「本当に繋がりがないというのなら、あの咄嗟の瞬間にきららさんのことを『姉さん』と呼ぶはずがないんです。つまり、どこかに迷いがあるということ。違いますか?」
サンストーン 「聞いて呆れる。私に迷いなどない。貴様たちのように、絆という軟弱な繋がりに縋って生きているわけではないのだ。その気になれば、貴様の心を殺すことだってできるのだぞ?」
ランプ 「もっと甘えればいいのに」
サンストーン 「誰に対して甘えろと?」
ランプ 「そんなの、きららさんに決まってるじゃないですか」
サンストーン 「ふざけるのも大概にしろ」
ランプ 「ふざけてませんが」
ランプ 「それに、わたしはきららさんより貴方の方が年齢が近いんです。本来なら、もっと話しやすい関係であってもおかしくないはず。なのに、どうしてこんなに壁を感じてしまうのか」
サンストーン 「知ったことか。私とお前はただの敵同士でしかない」
ランプ 「そういうところだと思いますよ、わたしは」
----------
サンストーン 「貴様は女神候補生だと聞く。何故女神などという位に憧れているのか、そこが理解できない」
ランプ 「さっきからわからないことばかりですね、頭よわよわですか?」
サンストーン (後で絶対折檻してやる)
ランプ 「わたしは、昔から聖典が大好きでした。聖典を読み、世界観に触れ、そこに出てくる方々のドラマを味わうのが、何よりの生き甲斐でした」
サンストーン 「ふむ、続けろ」
ランプ 「だからこそ、わたしはその聖典を描いている女神様のような人物になりたいと思ったのです。聖典の世界を直接観測し、それを民たちに伝える。そうやって、エトワリアは希望を循環させてきたのです」
サンストーン 「私には無縁の世界だ、そもそも見ているものが違うのではないかとすら錯覚する」
ランプ 「逆にわたしは、貴方たちリアリストのものの見方が理解できないです」
サンストーン 「私たちに言わせれば、世界を循環しているのは憎悪だ。常に争いが絶えず、ちょっとしたことで罵り合い、恨み、陥れる。そのくせ、都合の悪いことは見て見ぬふりをして、上辺だけ取り繕うとしている」
サンストーン 「私は、そんな世界が憎い。真の姿をひたすらに隠し、綺麗なふりをして平然と流れていく世界の在り方が」
ランプ 「... だから壊すと?」
サンストーン 「そうだ。お前は破壊神というものを知っているか? エトワリアに破壊神がいるという話でもないが、聖典の世界のどこかの国にはそういう神が伝わっているらしい」
ランプ 「いいえ、初耳です」
サンストーン 「破壊の神は同時に再生の神でもある。何故なら、更地になった後なら何にも拘束されず、そこに新しい秩序を構築できるからだ... おっと、少し喋りすぎたか」
ランプ 「幸か不幸か、わたしの脳は理解することを拒んでいましたから。結局、わたしと貴方はわかり合えないということが確実になったくらいしか、得るものはありませんでしたよ」
サンストーン 「何だ、頭よわよわはお前の方じゃないか」
ランプ 「余計なお世話です」
----------
サンストーン (どうにかしてこいつの口を割らせて情報を得たいところだが)
ランプ (どうにかしてこの人の口を割らせて情報を得たいところですが)
ランプ、サンストーン (無理だよこんなの...) ハァ
サンストーン (お互いの考え方をぶつけてるだけだし)
ランプ (お互い絶対的に相容れないし)
ランプ、サンストーン (なんて無意味な時間...) ハァ
ランプ 「... 溜息つくと幸せが逃げますよ」
サンストーン 「同じことが自身にも言えることをよく考えろ」
ランプ 「そういうこと言っちゃうから幸せが逃げるんです」
サンストーン 「私の幸せの形をお前が勝手に定義するな」
ランプ 「じゃあ聞きますが? 貴方にとっての幸せって、どんな形をしているんですか?」
サンストーン 「だから何度も言っているだろう? ハイプリス様と共に在ることのみが私の全てであり、私の幸せだと」
ランプ 「いいえ、それは『真実の手幹部 ・ 右手』としての貴方の幸せです。あくまで貴方自身の、『サンストーン』という単一の存在としての幸せの形を、わたしは尋ねているんです」
サンストーン 「そ、それは...」
サンストーン (な、なんだ...? 私は今、この生意気な幼女に言い負かされようとしているのか? だが、どれだけ考えても思いつかない。私からリアリストを取ったら、何も残らないというのか? いやしかし、私はそれを納得した上で組織に所属しているわけであり...) モヤモヤ
ランプ 「... そんなに悩まないでください、何だか悪いことした気分になっちゃうじゃないですか」
サンストーン (悪いことしてるんだよ、貴様は天然ドSか)
サンストーン 「... 私には、リアリストとしての自分以外存在しない。自分の使命を果たすことのみが私の生きる意味であり、幸福だ」
ランプ 「... うわぁ... 心中お察しいたします...」 ドンビキ
サンストーン 「貴様に同情される謂れなどないことだけは、この場ではっきりと言っておこうか」
----------
サンストーン 「ならば、逆に問おう。貴様の、女神候補生としてではなく『ランプ』という一般エトワリア住人としての幸福とは何だ」
ランプ 「それは勿論、聖典やクリエメイトの皆様と触れ合っている時間で...」
サンストーン 「それは知っている。私が聞きたいのはそういう定型文ではない」
ランプ 「な、何ですと」
サンストーン 「いわば、それは私にとってのハイプリス様やリアリストとしての使命に相当するものといっていい。そういう答えは、聞かずして推測できる」
サンストーン 「貴様は先程、私が出そうとしたそういう答えを封じようとしたんだ。ならば、貴様もそうするべきだ」
サンストーン 「さぁ、何と答える? 聞かせてもらおうか」
ランプ 「きららさんやマッチ、うつつさんと冒険している時間が楽しいです」
サンストーン 「たとえそれが、激しい戦闘や仲間内での衝突を含むものだとしてもか?」
ランプ 「当然です。だって、最終的に皆さんが笑顔でいられる状況を作れているのですから」
サンストーン 「綺麗事を。いつまでもそううまく行くと思うなよ」
ランプ 「宣戦布告、ですか。ありがたく受け取っておきます。必ず、わたしたちは貴方たちリアリストをぶっ潰します。それでハッピーエンドです」
サンストーン 「... だから貴様はおこちゃまなんだ」 ボソッ
ランプ 「何か仰いましたか?」 イラッ
サンストーン 「いや、何も」
----------
ザァァァァァァ
サンストーン 「... しかし、止まないな」
ランプ 「どんどん酷くなっていますね」
サンストーン 「こういうとき、私はたまに思うんだ」
ランプ 「なんですか、藪から棒に」
サンストーン 「いいだろう、他に話す相手もいないのだから。多少の世間話くらい聞いてくれても」
ランプ 「... まぁ、いいですけど」
サンストーン 「... 私はたまに思うんだ。もしも、この雨がずっと止まずに降り続けて、地面が全て海のように水で覆われてしまったら、と」
ランプ 「興味深いですね、続けてください」
サンストーン 「そのとき、この小屋は水に浮かんで、最早海面 (みなも) と化した大地を進む舟になる。どこに向かうかはわからない、むしろいつか沈んでしまうかもしれない。それでも、ただひたすらに、進み続ける」
ランプ 「...」
サンストーン 「そんな話があったとして、だ」
サンストーン 「貴様なら、どこに行きたい? 私が知らない場所を答えてくれても一向に構わない、これは単なる興味本位の質問だ」
ランプ 「神殿に帰って貴方をアルシーヴ先生の下に突き出します」
サンストーン 「いやそういうガチの答えじゃなくて」
ランプ 「そうですねぇ...。案外、あてのない旅に出掛けるのも悪くないかもしれません」
サンストーン 「それは、知らない場所を巡って色々見て回りたいということか?」
ランプ 「それもあります。ただ、わたしが思い浮かべたのは...」
サンストーン 「思い浮かべたのは...?」
ランプ 「先ず、観光地を1枚につき6箇所ずつ、何枚かの紙に書き出します。それぞれの紙に書いた観光地には、1から6の番号を付けておきます」
サンストーン 「ふむ」
ランプ 「そうしたら、徐ろにサイコロを取り出します」
サンストーン 「ほうほう... ん?」
ランプ 「そしてサイコロを振って、出た目に対応する場所に...」
サンストーン 「おいちょっと待て」
ランプ 「何ですか、何か問題でもありましたか?」
サンストーン 「むしろ問題しかないが」
ランプ 「面白いと思ったんですがねぇ」
サンストーン 「あてのない旅に出掛けるってそういう意味だったのか...」
----------
ランプ 「では、貴方はどこに行きたいのですか? 自分が答えられない質問を振るわけないですよね」
サンストーン 「私なら、きっと海に向かうだろう」
ランプ 「海に? さっき、『海面と化した大地を進む舟』とか仰っていたような気がしますが、それでも海なんですか?」
サンストーン 「ああ、それでも海だ。むしろ、敢えて海に行くんだ」
ランプ 「どうしてですか?」
サンストーン 「その世界では、さっきも言ったように地面と水面の区別もつかなくなっている。全部が入り混じり、ぐちゃぐちゃになって、一周回って均一とも言えるかもしれない」
サンストーン 「その中で、元から海だった場所を訪れる。そこには、海だった場所と陸だった場所の境界があるはずだ。恐らく一瞥しただけでは判別できないが」
サンストーン 「私は、正確にはその境界線を探しに行きたいんだ。表面上は見えなくても、そこには確かに境界があったという証がある。海というものと陸というものを、分けていた証が」
ランプ 「...」
サンストーン 「そこは、ある意味で世界の真実だ。私たちがかつて当たり前のように認識し、しかし時の流れとともに忘れていってしまうであろう、古の世界の記憶なんだ」
ランプ 「ちょっとお話が難しいですが... まぁ、言いたいことはわからないでもありません」
サンストーン 「そこで、私は自ら命を絶つだろう」
ランプ 「... えっ?」
サンストーン 「いずれは私自身も忘れてしまうんだ。ならば、真実を遺した土地の記憶を憶えているうちに、私もその記憶の一部になりたい」
ランプ 「サンストーン...」
サンストーン 「先程、お前は『サンストーンとしての私の幸せとは何なのか』と問うたな。これはあくまで世界が一面水に覆われたらという妄想での話だが、きっとそこでの私の幸せの終着点は、こういうことなんだと思う」
ランプ 「自己破滅的な願いですね」
サンストーン 「そうかもしれない。だが、ひとつだけ言えることがある」
ランプ 「何ですか、それは?」
サンストーン 「止まない雨などない。故に、私はそんな弱い姿を晒さない」
ランプ 「ッ!? まさか、もう雨は止んで...」 チラッ
ザァァァァァァァwwww
ランプ 「... 止んでないじゃないですか」
サンストーン 「どうやら、雨が止むか、私たちが病むかの我慢比べと相成ったようだな」
ランプ 「病んでる自覚あったんですね」
サンストーン 「残念ながらただの掛詞 (かけことば) だ」
----------
ランプ 「うーん...」
サンストーン 「どうした?」
ランプ 「いや、悔しいことに貴方の話が思いの外面白かったので、わたしも何かそういう話をした方がいいのかなって」
サンストーン 「別に、無理をしてまで話題を出さなくても良いのだぞ? 先程のは、単なる私の世迷い言なのだからな」
ランプ 「だから、その世迷い言に敗北するのが嫌なんですよ」
サンストーン 「何故張り合う必要があるのか解らない」
サンストーン 「... そういえば」
ランプ 「はい? どうされました?」
サンストーン 「雨が本格的に降りだす前、確かお前は何かを書いていたな。実は、それが少し気になっていて」
ランプ 「っ!?」
サンストーン 「あれは一体何だったのだ? 次はその話でもしようか」
ランプ 「... あれは、日記です。わたしは、日々の出来事を日記に纏めるのが習慣になっているんです」
サンストーン 「殊勝な心掛けだな。リコリス辺りに見習わせたいくらいだ」
ランプ 「そこはヒナゲシじゃないんですか?」
サンストーン 「リコリスは感情のアウトプットが下手だから、日記の形で出来事を纏めれば多少冷静に行動できるのでは、と思ったんだ。私に言わせれば、その辺はヒナゲシの方がよっぽど上手い」
ランプ 「あー... 確かに」
サンストーン 「時たま、ヒナゲシの方が姉に見えることもあるな」
ランプ 「ないないない、そんな馬鹿な話あるわけないですよ」
サンストーン 「お前は私たちの何を知ってると言うんだ」
ランプ 「知りたくもないのでセーフです」
ランプ 「... それで、わたしの日記の何を知りたいと?」
サンストーン 「ふぇっ!?」 ビクッ
ランプ 「変な声出さないでください、貴方が訊いてきたんですよ」
サンストーン 「えーと... その... さ、さっき、姉さんにナニかしたって言ってたから... それが...」 モジモジ
ランプ 「??」
サンストーン 「かわいかったとか...ひ、ひゃんひゃん言ってた、とか...」 ボソッ
ランプ (... ははぁーん、あれのことですか。なーるほど、やっぱりこの人どすけべじゃないですか)
ランプ 「そーですねー、してあげてるときのきららさん... いいえ、きららちゃんは、火照りが抑えられないって感じでたまりませんでしたねぇ」 ニヤニヤ
サンストーン 「!?」
サンストーン 「きららちゃんったら、我慢しても声が出ちゃうのに戸惑いながら、だんだん快感に身を委ねていくんです。あれは自分でもうまくできたと思います」 ニヤニヤ
サンストーン 「〜〜っ!?」 カァァァァ
[ここで補足]
念のためにもう一度補足しますが、ランプちゃんがきららさんにしてあげたのはマッサージです。年齢制限不要でKENZENなマッサージです。... 多分。
何か盛大に勘違いしちゃってるサンストーンちゃん、かわいいね (2回目) 。
それでは、続きをお楽しみください。
サンストーン 「お、お前たちの関係は、そんな穢れたものだったのか!? 欺瞞だ、こんなものは欺瞞だーーっ!!」 ボガーボガー
ランプ 「あっはっは!! 傑作ですよ全く!! わたしはただ、きららさんにマッサージしてあげただけなのに!!」 ケラケラ
サンストーン 「... え?」
ランプ 「きららさんがお疲れだったので、肩とか背中とか ふ と も も とかをもみほぐしてマッサージしてあげたんですよ。それを貴方は... あっはははは!!」 ゲラゲラ
サンストーン 「わ、忘れろー!!」 プシュー
----------
ランプ 「はぁはぁ、笑った笑った... 久々にこんなに大爆笑しましたよ」 ニヤニヤ
サンストーン 「にやにやしながらこっちを見るのやめろ」
サンストーン (... あれ? 『ふともも』...? 肩や背中はまぁありがちだが、そこから何故ふとももに?)
サンストーン (そういえば、ふとももを挙げるときだけ妙に声がねっとりしていたような... いや、これ以上は考えるをやめよう)
ランプ (やっぱりきららさんのふとももは最高です///)
きらら 「くしゅん」 ビクッ
きらら 「ひゃぁんっ! あ、ぁ、またきちゃうぅ///」 ビクンビクンッ
うつつ 「あ、あわわわ///」 カァァァ
マッチ (ランプにマッサージされてからというもの、ずっとこの調子だ。いつになったらきららは元に戻るんだ)
マッチ (このままだと、ランプが戻るより先にきららが壊れるぞ)
うつつ 「変な生き物、ランプはきららに何したのよ!? こんなの絶対普通のマッサージじゃないでしょ!?」
マッチ 「僕が知っているとでも?」
うつつ 「質問を質問で返すなあーっ!!」 ズドォォン
マッチ 「無茶言わないでくれ、本当に知らないんだ」
うつつ 「というか、ランプはどこ行ったのよぉ! 探しに行くにも、この雨じゃ出歩くことすら無謀だし...」
マッチ 「全く、あの子には困ったものだ... いつもいつも...」 ハァ
きらら 「んんっ〜〜っ!! も、もうだめぇ/// げんかいぃぃ!!///」 ビクンビクン
うつつ、マッチ (たすけて)
----------
サンストーン 「貴様、日記にはその日の出来事を全て記録しているのか?」
ランプ 「そうですね。変わった出来事があれば、基本的には」
サンストーン 「... つまり、書かれてしまうのか? 私のことも」
ランプ 「いっそ会わなかったことにしたいくらいですが、まぁ書きますね」
サンストーン 「...」
サンストーン (参ったな。本当ならこういう足取りは残したくないものだが)
サンストーン (ここで書かせまいとするのは、あったことをなかったように誤魔化す行為。真実を顕にする、というリアリストの行動理念と逆行する)
サンストーン (ここは、悔しいが干渉しないのが正しい)
サンストーン 「... そうか」
ランプ 「本当にいいんですか?」
サンストーン 「?」
ランプ 「貴方のえっちで恥ずかしい姿、余すことなく書いちゃいますよぉ〜〜」 ニヤニヤ
サンストーン 「うぇっ!?」
ランプ 「ただのマッサージをいやらしいことと勘違いしちゃって悶絶してるところとか、こんなちっぽけな幼女に武器を押さえられて何もできない間抜けなところとか、あれもこれもぜーんぶ!!」
サンストーン 「くっ... こいつ、調子に乗って...」
ランプ 「... なーんて」
サンストーン 「... え?」
ランプ 「わたしとしても、貴方なんかと一緒に過ごした記憶なんてさっさと忘れてしまいたいんです。だから、貴方のことは『一般エトワリア住人S』 くらいでぼかして書きますよ。それくらいがお似合いです」
サンストーン 「残りの住人A〜Rは一体何なんだ」
ランプ 「そこは引っかからなくていいです」
サンストーン 「... 本来、私は起こった出来事を余すことなく記させる立場だ。だから、決して礼は言わない。ただ、私の存在自体がなかったことになるわけではないのなら... 勝手にするがいい。所詮、出会った人の扱いなど各人の裁量なのだ」
ランプ 「ほんと、どこまでも素直じゃないんですから」
サンストーン 「勝手に言ってろ」
ランプ 「... でも、さっき仰っていた舟の例え話は、多少詳細に書いておきます。それが、わたしが偶然出会った『一般エトワリア住人S』さんに対する、せめてもの敬意の表明です」
サンストーン 「... それはどうも」
ランプ 「はぁ? わたしは『一般エトワリア住人S』さんに対して敬意を表したのであって、貴方のようなわからずやに対しては何とも思ってないんですが!?」
サンストーン 「おっとすまない、そうだった」
ランプ 「もう、全く...」 クスッ
サンストーン (... 複雑な気分だ)
----------
ランプ 「お茶、もう一杯要りますか?」
サンストーン 「いや、もういい。さっきから飲みすぎておなかがたぷんたぷんだ」
ランプ 「なんですか、嫌味ですか? どーせわたしは貧相ですよ...」 スッポコッスッ
サンストーン 「?」
ランプ 「しかし、食事が一切ないのはつらいですね」
サンストーン 「致し方ないことだ。この小屋は初めから無人だったんだ。誰かが最近住んでいたという痕跡も見受けられない。少なくとも、長い間放置されていたのは間違いないだろう」
ランプ 「いっそ、ここに住んじゃいますか? わたしたち」
サンストーン 「たとえ実態として無人でも、それをするのは泥棒と同じだってことわかってるのか?」
ランプ 「冗談ですよ、頭固いんですから」
サンストーン 「それに、よしんば持ち主から許可を貰えたとして、私たちでうまくやっていけるか? 保ってせいぜい2日だろ」
ランプ 「家庭内別居状態からのスピード離婚ですね」
サンストーン 「そもそも結婚すらしてないがな」
ランプ 「うわ... この人ロリコンだ...」 ヒキッ
サンストーン 「意味不明な決めつけやめて」
ランプ 「だってロリコンでしょ? わたしのような幼女を娶ろうとしてるんですから」
サンストーン 「貴様が離婚などと言ったから、補足というか突っ込みを入れただけだ。少しは文脈を考えて発言しろ」
ランプ 「あぁ、ごめんなさいきららさん... わたし、きららさんの奥さんじゃなくて義妹 (いもうと) にされてしまいます...」
サンストーン 「おい聞けよ」
ランプ 「恨むなら幼女趣味な貴方の妹を...」
サンストーン 「誰がどすけべ淫乱ロリコンだ」
ランプ 「いやわたしそこまで言ってませんが」
----------
サンストーン 「認めたくないが、いつの間にある程度話せるようになっていたな、私たち」
ランプ 「わたしも意外でした。貴方とは二度とわかりあえないと思ってましたから。何なら今でも思ってます」
サンストーン 「まぁ... そうだな」
ランプ 「もしかしたら、わたしたちが異様に仲良しな世界線とかもあるかもしれませんね」
サンストーン 「あるわけないだろ」
ランプ 「いえいえ、ありますよ。例えば、わたしと貴方が幼馴染で、貴方は世界を守るために強大な敵と戦ってて、わたしはそれをサポートするポジション、とか」
サンストーン 「妙に具体的なところがとても怖い」
ランプ 「そう、そこでの貴方は『風雲児』と呼ばれる初代ゆうs」
サンストーン 「それ以上何も言うな。消されるぞ」
ランプ 「はい」
----------
ランプ 「ふぁぁ... 暇ですねぇ」
サンストーン 「...」
ランプ 「ねーねー、恋バナしましょーよ恋バナー」
サンストーン 「急に軽いノリで話しかけてくるな」
ランプ 「だって、暇つぶしの代表格と言ったら恋バナじゃないですか」
サンストーン 「修学旅行先の中学生かお前は」
ランプ 「このエトワリアの地で最初にその喩えが出てくることが謎ですが、もうそれでもいいですっ! 兎に角暇が潰せればいいんですから」
サンストーン 「... そうか。ならば」 ダッ!!
ランプ 「なっ!? しまった、油断した!!」
サンストーン 「剣は回収した。これでお前に拘束される理由はなくなった」
ランプ 「し、しかしまだ外は...」
サンストーン 「雨足は多少弱まった。今が退き際だ。特別に、今は何もしないでおいてやる。貴様にそれをしても面倒なだけだ」
ランプ 「ま、待ちなさいっ! わたしが貴方を見逃すはずが...」
サンストーン 「次に鉢合わせたときは、今度こそお前たちを叩き潰してやる。真実を、我が手に」 シュンッ
ランプ 「て、転移魔法... おのれ、卑怯な」
ランプ 「... でも、今日一日でだいぶ印象が変わった気がします。これなら、いつか...」
マッチ 「あー、やっと見つけた!」
うつつ 「ランプ、今すぐ来てっ!」
ランプ 「うつつさん!? それにマッチも」
うつつ 「それはいいから、兎に角急いで! きららを即刻元に戻しなさい!」 グイグイ
ランプ 「ど、どういうことですかー!!」
----------
ランプ 「... ふぅ。結局雨は止みませんでしたね」
ランプ 「今日の日記も完成っと。なんか色々と疲れました」
ランプ 「サンストーン。今は相容れない存在だけど、わたしは信じたいです。また、ああやって下らない世間話ができる日が来ることを」
ランプ 「それが、真の意味での『解決』ですから」
きらら 「ランプ、もうそろそろ眠る時間だよ」
ランプ 「はーい」
ランプ (... まぁ、一先ず難しいことを考えるのはおしまいです。まずは明日をいい日にしましょう。それを毎日繰り返せば、きっと毎日ハッピーです)
ランプ 「それじゃ、おやすみなさい...」 バサッ
ランプ 「...zzz...」
きらら 「おやすみ、ランプ。また明日ね」 ニコッ
ランプ 「... うん...♪」 zzz
--fin--
[あとがき]
はい、ということで終わりです。ワカバチャン!! (CV. 高野麻里佳)
ランプとサンストーン。ある意味正反対の二人ではありましたが、こうしてSSを書いてみると意外と形になるのですから不思議なものです。
書いているうちにサンストーンに感情移入してしまったためか、原作と性格や考え方が乖離してしまったことを改めてお詫び申し上げます。
第2部本編最終盤にて行方不明になってしまったサンストーンですが、私としては生きていて良かったと思っています。この先様々な困難もあるでしょうが、お互いにわかりあえたなら、それはきっとひとつの答えだと思うのです。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
なお、今回はおまけのお話も用意しています。この文の後に続けて投稿しますので、よろしければそちらも併せてお読みください。
[おまけ]
ランプ 『...zzz... 』
ランプ 『... はっ!? あれ、ここは...』 キョロキョロ
ランプ 『何と。辺り一面、水で覆われてるじゃないですか』
きらら 『あ、やっと起きだんだ。おはよう、ランプ』
ランプ 『お、おはようございます。えーと、きららさん、この状況は...』
きらら 『あれ? ランプ忘れちゃったの? もう数ヶ月前からずっとこの調子なのに』
ランプ 『へ?』
きらら 『ランプとはぐれたあの日から雨がずっと止まなくて、気付いたらエトワリア全域が海みたいになっちゃったんだよ。一応、意外と時間的余裕があったのと、カンナさんたち里の皆が頑張ってくれたお陰でどうにかなったんだけどね』
ランプ 『は、はぁ...』
うつつ 『今じゃ、どこもかしこも家みたいな舟ばかり浮かんでるわよ。まぁ、全部元は家だったんだから当たり前だけど』
マッチ 『さながら水上都市だよ。スクライブギルドもコルクの店も、召喚の館やクリエメイトたちの持ち家でさえ漂流している有様さ。唯一、言の葉の樹だけは大きいから比較的上の方が無事だったみたい』
きらら 『あそこはあそこで、逆に下の方が全部水に覆われて使えなくなっちゃったんだけどね。アルシーヴさん、すごく悩んでた』
ランプ 『そ、そうだったんですか』
きらら 『ランプ、本当に全部忘れちゃったんだね...』
ランプ 『ところで、この家... いえ、舟ですけど、なんかさっきから動いてませんか?』
うつつ 『そりゃ動いてるわよ。今わたしたちは、サイコロの旅をしてるんだもの』
ランプ 『えぇっ!?』
マッチ 『おいおいランプ、元はと言えば君が企画したことなんだぞ。変なフリップまで作らされて、準備の段階から大変だったんだから』
ランプ 『すみません、全く記憶にありません...』
きらら 『サイコロはさっきわたしが振っちゃったから、次の目的地まで振るのは待っててね』
ランプ 『は、はい。因みに、どこに向かっているんですか?』
きらら 『えーと、確か「海岸沿いの町」って前まで言われてた場所だね』
ランプ 『海岸沿いの、町...』
うつつ 『もう海も陸もなくなっちゃったから、住人たちは新しい呼び方を全力で募集しているそうよ。世知辛いわね』
マッチ 『まさかこんなことになるなんて、誰も予想できなかっただろうしね』
きらら 『もうそろそろ着くかな... あれ?』
うつつ 『きらら、何か見つけたの?』
きらら 『あそこ、小さなボートが浮かんでる』
マッチ 『ほんとだ。家がそのまま舟として使える今の御時世に珍しい』
ランプ 『!? まさか...』
きらら 『ランプ? 急に声を上げてどうしたの?』
ランプ 『い、いえ。なんでもありません』
うつつ 『あんた、疲れてるんじゃないの? 今日のランプ、色々と変よ』
ランプ 『だ、大丈夫ですよ。ほんとに』
うつつ 『そう? それならいいけど』
ランプ 『...』 チラッ
ボロボロのボート 『』 プカーンプカーン...
ランプ (... サンストーン...)
ランプ 『...!』 タッタッタッ... ザブーン!
マッチ 『ランプ!? 何やってるんだ!?』
ランプ 『ごめんなさい! わたし、行かなきゃ!!』
きらら 『ど、どこに行くっていうの!?』
ランプ 『強いて言うなら、海と陸の境界線です!!』
うつつ 『本格的に何言ってんのかわかんないんだけど!?』
ランプ 『待っていてください! すぐ帰ります!!』
きらうつマッチ 『ランプ...』
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ランプ (わたしは貴方が嫌いです。それは、もう変えようがないレベルの話です)
ランプ (ですが、だからといって見捨てるのは、何だか違う気がするんです)
ランプ (貴方がもしも死にたがっているというのなら、貴方が大嫌いなわたしは、その願いを断ち切ってあげましょう)
ランプ (細かいことは、それから考えても遅くないじゃないですか)
ランプ 『うわぁ... 綺麗...』
キラキラ...
ランプ (潜っていった水の中、そこはかつての陸地と海の生き物たちが共存する不思議な空間でした)
ランプ (少し前までは普通に歩けていたであろう路地が、今では魚たちの通り道。水面から差し込む陽射しが乱反射して、蒼く透き通ったかれらだけの舞台を照らしています)
ランプ (あぁ、そうか。サンストーンが見たかった景色って、きっとこれなんだ。少しずつ朽ちて薄れているけど、人々がそこに生きていた証があって、でも途中からそれは不自然になくなっていて)
ランプ (きっとこれが、境界なんだ。皆が必死に形作って、でもいつしか忘れていってしまう、そんな境界なんだ)
ランプ (そして、この境界が意味するもの。それは、かつてここで陸地と海が分かれていたのだという、真実)
ランプ (風化していくしかない真実を、きっと貴方は独り抱きしめようとしていたんですね)
ランプ 『... あ!』
サンストーン 『...』 ズズズ...
ランプ 『見つけましたよ。わたしの大嫌いな、史上最大級のわからずやさん』 スイーッ
ランプ 『わたし、思うんです。そんなに忘れられてしまうのが怖いなら。忘れてしまうのが怖いのなら』ガシッ
ランプ 『そこに確かに『忘れちゃいけないもの』があったという証言を、きっちり書き記して受け継いでいけばいいんだと』 スイーッ
ランプ『例えば昔話、例えば古文書、例えば研究記録、例えば... 日記』
ランプ 『形なんて、この際何でもいいんです。それが誰かに読まれれば、わたしや貴方が見て体験した『真実』は、もう独りぼっちで漂流することなんてありません』
ランプ 『それをせずに抱え込んだまま朽ちていくなんて、もったいないじゃないですか』
サンストーン 『... それが、私を助けた理由か...?』
ランプ 『... 貴方なんかに答える義理はありません』
サンストーン 『わざわざこんな真似をして、後で後悔しても知らんぞ』
ランプ 『馬鹿なこと言わないでください、貴方のことは回復してから改めてぶちのめします。それがわたしなりの決着です』
サンストーン 『... どこまでもお人好しだな、ランプは』
ランプ 『... サンストーン、見たかったものは見れましたか?』
サンストーン 『... そうだな、貴様が恐らく見たのと同じ程度には』
ランプ 『では... どうでしょう、そのことを日記にでも書いてみては』
サンストーン 『... 真剣に検討しよう』
ランプ 『言えたじゃないですか』 ニコッ
サンストーン 『うるさい、今私は体力がないんだ。放っといてくれ』 グッタリ
ランプ 『はいはい、わかりましたよ。さぁ、もうすぐ海上に出ます』
ランプ (何度だって言えます。わたしは、後悔などしません。こうやって手を差し伸べることが、わたしの出した答えなんです)
ランプ (そこに、敵も味方も必要ないんです。必要な境界線は、楽しいか、楽しくないか。そんな至極簡単なラインでいいんです)
ランプ (楽しさの定義なんて人によって全然違うけど、少なくとも。死んじゃったら、もう楽しいなんて思えないじゃないですか。だから、わたしは無理矢理にでも引っ張っていくんです)
ランプ 『さぁ、越えていきましょう。いっぱい笑うための、境界線を─』
ランプ 「... はっ!? あれ、ここは...」 キョロキョロ
きらら 「あ、やっと起きたんだ。おはよう、ランプ」
ランプ 「お、おはようございます」
ランプ (窓からは、いつもの里の風景が見えます。人々は、自分の足で地面を踏みしめ歩いています)
ランプ (あぁ、あれは全部夢だったんですね。まぁ、考えてみれば夢に決まってますよね、流石に無理がありました)
マッチ 「ランプ、随分とうなされていたようだけど... 大丈夫?」
ランプ 「う、うん。大丈夫だよ」
うつつ 「それと、寝言でしきりに誰かの名前を呼んでいたわ。誰を呼んでいたのかまでは聞き取れなかったけど」
ランプ 「うぇっ!? き、きっと聞き間違いですよぉ、今日も楽しいお散歩の夢を見ていたんです」
きらら 「え、それどんな夢? わたしは出てきた?」
ランプ 「も、勿論ですとも! きららさんはツンツーンせんべいを美味しそうに頬張ってましたね」
きらら 「ツンツーンせんべい!? それは間違いなく美味しいね...げへへ」 ジュルリ
うつつ 「ち、因みにわたしは...」 モジモジ
ランプ 「うつつさんはメディア様とお楽しみだったようなのでよくわかりません、ごめんなさい☆」
うつつ 「ど、どういう意味よそれ///」 カァァァ
ランプ 「あ、マッチはトオル様の下で炭酸2号として飼われてました」
マッチ 「いや訊いてないが」
きらら 「まぁ、何ともないんだったらそれでいいや。今日の朝ご飯はシチューだよ! うつつが作ってくれたんだ〜」
ランプ 「何と! それは本当ですか!?」
うつつ 「や、やっぱりわたしが作った料理なんか食べたくないよね...? ごめんね、こんな虫けら風情がイキって...」 ビクビク
ランプ 「いえいえとんでもない! このランプ、謹んで味わわせていただきますっ!!」 バァァァン
うつつ 「そ、そんなに堂々と宣言されると逆に反応に困る... でもありがと...///」 モジモジ
マッチ 「その素直さを普段から見せてくれればいいのに」
うつつ 「... 変な生き物うるさい」
変な生き物 「」 ガーン
ランプ (... それにしても、不思議な夢だったな)
ランプ (今日の夢の内容を日記に書いておくのも、吝かではないですね)
ランプ (あの夢が、いつか役に立つ日が来ますように。今は、そう願っておきましょう)
きらら 「ランプ、準備できたよー! 早くこっちにおいでー!!」
ランプ 「はーい! 今行きまーす!!」 トトト
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─ ... というのが、ずっと前にわたしが見た夢の話です ─
─ 不気味だな、実は私もその夢を見たことがあるんだ。ずっと前に ─
─ もしかして、溺れていたんですか? ─
─ 溺れていたというより、沈んでいたという方が正しいと思う ─
─ わたしたち、同時に同じ夢を見ていたのかもしれませんね ─
─ さぁ、それはどうかな ─
─ ... 時に、ひとつ訊いてもいいですか? ─
─ 何だ? 手短に頼む ─
─ もし、わたしが貴方のことを好きだと言ったら、どうしますか? ─
─ そうだな、きっと私なら... ─
「聞き間違いということにして、下らない世間話の続きでもするかな」
--fin--
[これまで書いたSSリスト (順次追加) ]
・ 『あお 「くじら座の変光星の女の子」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3596&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29338408.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17271872
・ 『変な生き物 「遂に誰からも本名で呼ばれなくなった」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3602&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29371224.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17272934
・ 『クレア 「わたしは鍵の管理人」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3607&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29421806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17274145
・ 『クロ 「この丘から見える星空は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3619&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29460066.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17278807
・ 『きらら 「ツンツーンください!!!!!!!!」 サンストーン 「いきなりでけぇ声あげんなよ うるせぇよ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3637&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29571518.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17279756
・ 『みさ「みらがかわいすぎて生きるのがつらい」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3650&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29631528.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17280762
・ 『シャミ子 「杏里ちゃん、一緒に帰ろ?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3668&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29760440.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17285569
・ 『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29831832.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
・ 『スズラン 「飯奢ってくれ」 ロベリア 「図々しいわね、呪うわよ...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3702&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29946896.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17289587
・ 『シャロ 「貴方が教えてくれること」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3720&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30014131.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291478
・ 『みら 「あおー、ぼくの着替え知らない?」 あお 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3727&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30053806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291693
・ 『舞 「わたしが歩んできた道は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3742&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30108512.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17293779
・ 『千矢 「山で遊んだお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3754&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17318983
・ 『あお 「みらが知らない女性と仲良く話してる」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3764&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17415852
・ 『ランプ 「うつつさんがきらきらしています」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3770&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474617
・ 『ユウ 「クラスのみんなにおでこぱしーしまくってたら海果がすねた」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3775&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17523413
・ 『桃 「シャミ子、ごめんね...」 シャミ子 「...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3781&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17572005
・ 『あお 「君の心を覗きたいんだ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3793&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17654759
・ 『小春 「全然釣れないよー」 ??? 《諦めないで!》 小春 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3801&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17717125
・ 『みら 「このレンズの向こうには」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3809&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17771186
・ 『あお (幼) 「こんにちは」 ニコッ みら 「えっ...?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3824&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17916835
・ 『メディア 「よければ一緒に」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3830&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17952603
・ 『 琴音 「もふもふ」 ファー 「琴音、どうしたの?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3842&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18057909
・ 『ココア (2部) 「しゃーろちゃんっ♪」 シャロ 「こ、ココア!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3864&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18246741
・ 『 悠「セルリアンブルーの空に」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3888&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18480361
・ 『ランプ 「もし、わたしが貴方のことを好きだと言ったら、どうしますか?」 サンストーン 「いや知らないが」』: このSS
SS拝見しました、月並みな感想しか言えませんが・・・はっきり言って○ソですね、久しぶりに腹抱えて笑うくらいにはク○面白い内容でした(一部不適切な表現があった事を形だけお詫(ry
本編では牙をむき出しにしていた彼女達も本質は年相応の女の子なのかなぁ、なんて保護者面して読んでました互いに譲れないものがある以上分かり合うのは難しい・・・でもお互いに譲歩や妥協が出来ればきっと解決策は見つかる事でしょう(語彙力)
こう言ってはなんですがきららファンタジアが終了してしまったら逆にプレイ時間をSSとかに割けるので自分も妄想詰め込んだSSでも投下しようかと思いました!
投稿お疲れ様です
なんだかんだでランプは第一部の頃から成長して結構強くなっていたので、剣なしでは本当にランプがサンストーンをポコポコにしそう。
ランプのマッサージによる中毒性によって離脱症状に苦しむきらら
このマッサージは「エトワリア法」で規制した方がいいのではないでしょうか?
とおふざけはそこまでにして
ランプとサンストーン、この二人はきららがいなければ巡り合わなかった存在。よくも悪くも戦いの中で2人の間には絆ができて惹かれあったんでしょうね。
>>81
作者です! コメント感謝です!
ま、まさか貴方は... 最近話題沸騰中の、あのえにs... 歌姫様のプロデューサー様!? お目にかかれて光栄です。
保護者面すごくわかります。執筆にあたっても、ランプ ・ サンストーン共に等身大の少女としての姿を織り込むことを意識していました。
ランプとサンストーンの価値観の違いは、第2部本編で繰り広げられた闘いの核心ともいえます。ランプは、聖典の希望を信じ絆の素晴らしさを謳う者の代表。サンストーンは、聖典に異議を唱え絆を否定する者の代表。そんな二人故、当然対立も極めて根深い。
しかし、私が思うに、本当の相互理解というものは、一方をもう一方がねじ伏せることでは得られません。
真実の手の面々の過去からもわかるように、聖典とクリエに依存したエトワリアのシステムが機能不全を起こしていたのは明白です。それを神殿側が把握し当事者を身近に置いた今、エトワリアが抱えていた諸問題は最早ひっそり黙殺されるだけのものではなくなりました。
第2部外伝より先の物語は公式では描かれないと思われますが、皆が笑顔になれるエトワリアを実現するための旅路は、きっとこれからが本番なのでしょう。
P.S.
プロデューサー様の「質問ある?」スレで6番目のレス (https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3916#res6 ) を書き込んだのは、実は私です。その節は、丁寧な返信をいただき誠にありがとうございました。
>>82
作者です! カレル様、いつもコメントありがとうございます! エトワリア法とは。
自分より年下 (推定) の幼女にボコボコにされて公衆の面前でわんわん泣きじゃくるサンストーンちゃん概念... 意外とあり、なのか?
きららさんという共通項で奇妙にも繋がっている、ランプとサンストーン。上の方にも似たようなことを申しましたが、恐らく作中で最も激しく対立していたのは、実はこの二人なのではないかと私は受け止めています。
ランプは良くも悪くも聖典を崇拝しており、聖典を受け入れられない気持ちがさっぱりわからない。一方、サンストーンは聖典や絆というものを信じられず、それに縋って生きる気持ちを排除してきた。明らかに対極に位置する、とても象徴的な関係性です。
だからこそ、そんな二人が「下らない世間話を交わす」ようになれたとしたなら、それは神殿側とリアリスト側の隔たりが寛解したことを、最も力強く指し示すものとなるはずです。
本作は、ある意味で私自身の願望です。皆様も既にご存知のように、「外伝」より先の話は公式に紡がれることはありません。でも... いいじゃないですか。ただのアマチュアの二次創作の中でくらい、そんなしょーもなくて幸せな未来が、あったとしても。
聖典を読んでいればCV. 高野麻里佳が出してくる飲み物は要注意と気付けたのに……(そうじゃない)この場合、妹の方がCV.楠木ともりになるのでややこしい
いいですよね、敵対関係から始まってお互い嫌い合ってるのに気になる存在。きららさんの脳がいろんな意味で破壊されてそうですが。
>>86
作者です! コメントいただきありがとうございます!
まじかよ、CV. 高野麻里佳こわすぎるやろ...。あれ、でもその場合、標的になるのは (CV的な意味で) 恋ちゃんなのでは? 妹なきららちゃんと愛が重いランプちゃんによる仁義なき取り合いに巻き込まれる恋ちゃん...
この二人、あまりにも凸凹すぎる。この凸凹さを逆手に取ってSSを書こうと思ったは良いものの、いざ書き始めると案の定二人の価値観の隔たりの大きさに翻弄されまくりました。
それはさておき。「お互いにお互いのことが大嫌いであるが故の特別な関係」と文字に起こしてみると、確かに何だかとてつもないものを感じますね。大親友と妹がそんなことになってたら、そりゃきららさんでもやみおちしますわ。
そして脳が破壊されたきららさんは、自力では得られない姉のぬくもりを求めて恋ちゃんの元へ... (違)
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