こんにちは!カレルと申すものです
これで9作目ですね。今回は久しぶりにエトワリアを舞台にしたお話です。
タイトルは『変幻万化』です
いろいろな(きららファンタジアの)キャラクターが登場し大変にぎやかになっています
オリジナルキャラクターも登場するのでそちらが苦手な方は注意を!
こちらは「きららファンタジア」と「アニマエール!」の二次創作になります
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
*オリジナルキャラクター
等が含まれるので苦手な方は注意してください
[エトワリア某所]
宇希「こはね、秋だしどこか出かけないか?」
こはね「えっと、宇希ごめん! 今日はきららちゃんの魔物退治に付き合う約束をしてていけないんだ」
宇希「!? こはねひとりで!?」
こはね「ううん ひづめも一緒に行くことになってるけど」
宇希「あっ、んん〜 わかった! 頑張ってきなよ」
こはね「え〜 宇希も来ないの?」
宇希「う〜ん 私はいいや、今は戦いたくない気分だし」
こはね「わかった! じゃあ行ってくるね」
宇希「うん、じゃあまた…」
宇希『はぁ せっかく練習がオフの日でこはねと出かけようと思ってたのに先約があるなんて 仕方ないから一人で行くかな、昨日ひづめ以外は用事があるって言ってたし その前にライネさんのお店によってご飯でも食べてから行こうかな』
………………………
[食堂]
宇希「こんにちは〜」
ライネ「宇希ちゃんいらっしゃい あら、一人なの? 珍しいわね」
宇希「そうですね ちょっとみんな予定があって暇なので、山菜でも採りにいこうかな〜と」
ライネ「そうなのね 席空いてるから自由に座ってね」
宇希「はい」
ライネ「あっ! そうだわ」
宇希「!? なんですか?」
ライネ「えっとね 西の山に変なモンスターが出るっていう話を朝聞いたのよ」
宇希「西の山に現れた変なモンスター? 私が行くのは東の山ですけどそのモンスターの特徴とか何かありますか」
ライネ「え〜っと 私も詳しくはわからないけど、見た目はトカゲにそっくりと言っている人もいたわね。そのモンスターが山に入った人を襲っているみたいで、襲われた人は記憶が曖昧だったりして見た目だけしかわからないの」
宇希「ううん それはなかなか厄介なモンスターみたいですね ありがとうございます気を付けて山に入ろうと思います」
ライネ「あっ! 話に夢中になって忘れていたわ ご注文はなににする?」
宇希「そうですね… え〜っと モーニングをお願いします」
ライネ「は〜い では少々おまちください♪」
宇希『ううん 謎のモンスターかぁ いまの状態でそいつに遭ったら確実にやられてしまうな 相手の特徴も曖昧な見た目しか分かっていないし、山に行くのは控えた方がいいのかな… いや、どうせ閉じこもってもいい事ないし、私が行くのは東の山だから多分大丈夫』
ライネ「お待たせ モーニングセットよ」
宇希「ありがとうございます いただきます!」
宇希『うう〜ん… おいしいけど何かが足りないような』
ライネ「宇希ちゃん、もしかして!卵の殻が入っていたかしら…」
宇希「えっ? あっ… だいじょうぶです! おいしいですよ」
ライネ「はぁ〜よかった 卵焼きを食べた時に苦い顔になってて驚いちゃったわ でもなにか悩みがあるの?」
宇希「え〜っと さっきのモンスターのことが気になっちゃって」
ライネ「う〜ん でも宇希ちゃんが心配することはないわ。私の弟子が西の山に向かったらしいから今日中に討伐するんじゃないかしら」
宇希「ライネさんに弟子がいたんですね」
ライネ「言ってなかったわね 私の勇者の噂を聞いて辺境から来たみたいで、とっても頑張り屋さんな子よ もし山で会ったらちゃんと帰るように言っておいてくれるかしら」
宇希「いいですけど、そのお弟子さんの特徴はありますか?」
ライネ「えっと 彼女曰く、私の勇者時代の格好を再現しているらしくて、かなり軽装なのよね 会えばすぐわかるとおもうわ」
宇希『ライネさんの勇者時代の格好って、温泉宿でみたあの格好かな? だったらすごい格好で山に入っていることになるな そうだったらどうか遭いませんように』
宇希「わ、わかりました 本人にあったら伝えておきます」
ライネ「ありがとう そうだわ、なにかサービスするわよ」
宇希「いいえ、だいじょうぶですよ あったら伝えるだけですし」
ライネ「いいえ お話聞いてくれただけでもありがたいもの」
宇希「はぁ、わかりました ではチーズケーキをおねがいしていいですか」
ライネ「チーズケーキね、少し待っててね」
宇希「はーい」
宇希『チーズケーキを食べれることになったけど、やっぱりわるいな せっかくだし会ったらお弟子さんに声を掛けようかな、どんな人かわからないけどまともな人だったらいいなぁ〜』
??「こんにちはー」カランカラン
宇希『クレアか』
宇希「おはよう! クレア」
クレア「あっ! 宇希さんおはようございます 珍しいですね 今日はおひとりですか?」
宇希「ああ なんかみんな予定があるみたいで今日はひとりで過ごそうかな〜と」
クレア「そうなんですか 私も今日はきららさんの召喚が休みなので、1日中暇なんですよ 奇遇ですね」カツカツ
ライネ「クレアちゃん 遅くなってごめんなさいね、ケーキを切るのに夢中になって気づかなかったわ」バタバタ
クレア「いいえ! 私も宇希さんとお話していて本来の目的を忘れていました」ハワワ
ライネ「あら? 目的って?」
クレア「えーっと 東の山に召喚用の素材を採りにいく予定なのですが、山へ行く装備が壊れてしまって借りに来たんです」
ライネ「あらあら、でも装備ならコルクちゃんやポルカちゃんの方が私に借りるよりもいい装備を借りられるのに」
クレア「そうなんですけど、ポルカもコルクも朝から出かけていていなかったんですよ」
ライネ「そうなのね じゃあここにある好きな装備を持っていってね」
クレア「ありがとうございます!」
ライネ「あっ!そうだわ 忘れないうちに、はいチーズケーキよ」
宇希「わぁ〜 ありがとうございます! おいしそう」
ライネ「これは里の有名店のチーズケーキなの この食堂にも卸してもらってるからいつでも食べられるわよ」
宇希「そうなんですね ではいただきます!」パッ
宇希「うん!おいしい サクサクの生地にしっとりとしたチーズケーキの食感のギャップがたまらない! そして濃厚なチーズの風味とさわやかなレモンの香り、これはなんど食べても飽きない予感がする!」キラーン
ライネ「宇希ちゃん 美味しそうに食べるわね」
クレア「おいしそうですね」ジュルリ
宇希「クレアも食べる? 私一人だと多くて食べられないみたいだから」
クレア「い、いいんですか?」ハワワ
宇希「いいって 一緒に食べたほうがもっとおいしくなるしな」
クレア「では、お言葉に甘えて いただきます♪」ハムッ
クレア「はぁ〜 おいしいです なかなか食べる機会がなくてどんな味か気になっていたんです」
宇希「クレアもおいしそうにたべるな あっ!そうだ クレアも東の山に行くんだっけ?」
クレア「ふぁいそうですね はい!」
宇希「実は私も東の山に行こうと思ってるんだけど、一緒にいかない? ダメかな…」
クレア「はい!それはもう大歓迎です!! 最近西の山が荒れてるという噂を聞いて、山に行くのが少し怖かったんですよ」
宇希「それは良かった、じゃあ食べ終わったら行こうか」
クレア「はーい♪」
〜5分後〜
宇希&クレア「「ごちそうさまでした」」
ライネ「本当にいい食べっぷりだったわね 私もなんだかお腹が空いてきちゃったわ」サッ
クレア「あの…ライネさんが持っているホールは食べる用ですか…」ハワワ
ライネ「展示用の食品サンプルよ もし本物だとしてもそんなにたべれないわよ、ねぇ」ゴゴゴ
クレア「えっと… それはそうと! 装備はどこにありますか?」
ライネ「そうね 店の裏の倉庫にしまってあるわ 色々あるから好きなものを選ぶといいわ」
クレア「はい ありがとうございます では宇希さん少し待っていてくださいね」
宇希「うん わかった じゃあ店の前で待ってるから」
クレア「わかりました」タタタ
宇希『ふぅ 朝ごはんも食べたし、目的も明確になったけどやっぱり何かが欠けているような…いいや気のせいだな クレアが戻ってくるまでに移動しないと』
[食堂前]
クレア「お待たせしました」
宇希「おお 早かったな」
クレア「ライネさんが私に似合う装備を選んでいただいたのですぐに終わりました」
宇希「へぇ〜 さすがライネさん」
クレア「えへへ どうですか?私の格好」クルーン
宇希「ん? クレアにすごい似合ってるけど?」
クレア「いいえ 可愛いかどうかです」
宇希「えっ? かわいいけど、急にどうした?」
クレア「えっと 前にこはねさんと話した時に宇希さんの話題になって、こはねさんが『宇希はかわいいものが好きだから宇希に聞けば間違いないよ』とおっしゃっていたんです」
宇希『こはねめぇ、また変なことしゃべって…』
宇希「まったく〜 しょうがないなぁ ううん 確かに『無骨に見える鉄装備で体を守ることに特化していそうだけど、そこにさし色でアームガードに赤、そして青い髪の色が全体を引き締めていて』かわいいな」ジッ
クレア「わぁ〜い♪ 流石チア部のオシャレ番長と言われている宇希さんです ライネさ〜んありがとうございます!」
ライネ「どういたしまして〜」トオクカラ
宇希『オシャレ番長って、私一回もそんな称号名乗った事ないし、言われたこともないし、また適当なことクレアに話したのか、それにオシャレ云々はこはねの服を選ぶくらいしかやってないぞ こはねが変なセンスしてるからな クレアの私に対するイメージがどんどん変な方に、これは訂正しなくては』
宇希「えっと…」
クレア「ほぇ? なんですか?」キラキラ
宇希『ぐっ なんてキラキラした瞳なんだ』グッ
宇希「うん… そうだな」
クレア「はいっ! では、行きましょうか!」ザッ
………………………..
[山中]
きらら『西の山にモンスターを討伐にでて二時間、こはねさんとひづめさんと別れて探してるけど見つからない』
きらら「どこにいるんだろう?」フゥ
??「おっ!そこにいるのはアメリか?」
きらら『ん?誰の声?』
きらら「いいえ、違います! 私はきららです!!」
??「きらら…? あぁ! アルシーヴと一緒にいた娘か」フワフワ
きらら「もしかして カルラさん?」
カルラ「いかにも 吾輩がカルラじゃ」サッ
きらら「どうしてここにあなたが…」
カルラ「まぁ じつは弟子がモンスターの討伐に向かったんじゃが、ついさっき連絡が取れなくなってしまっての、探しにきたわけじゃ」
カルラ「めんどくさくて探知魔法を使わなかったのが裏目にでたか だがなぁ、あいつなら… う〜ん」ブツブツ
きらら「あの! カルラさん」
カルラ「なんじゃ?」
きらら「一緒にお弟子さんを探しませんか、私たちもたぶん同じモンスターを追っているので協力できるとおもいます」
カルラ「それは良い提案じゃな 見つからなければ虱潰しに探す予定だったし、吾輩からもお願いするぞ」
きらら「はい! おねがいします」
カルラ「よし 探索魔法 『灯』 」
〜1時間後〜
きらら「はぁはぁ なかなか見つかりませんね カルラさん」
カルラ「あぁ そうじゃな 確かお前たちは西の山にいるモンスターを討伐するためにここに来たんじゃったか?」
きらら「そうですね こはねさんとひづめさんと別れて捜索しているとき」
カルラ「ううん ここ西の山の強い魔力の流れはすべて調べたが全然見つかる気配がないのぉ」
きらら「もしかしたら別の場所に移動したのかもしれませんね」
カルラ「そうじゃな なら少し探知範囲を広げて… 探知魔法 『しょうあ…』 」ポッ
カルラ「まて!500メートル先何かがこちらに接近しておるな」ジリジリ
きらら「何かって?」ギュッ
カルラ「わからん『灯』の精度はよくないからな、人型の何かじゃ いつでも動ける準備をしておけ!来るぞ!!」
きらら『ん? この気配は』
きらら「カルラさん、警戒は不要です!」ハッ
カルラ「ん? わかった…が、きららの知り合いか?」シュウ
きらら「そうです! この気配は…」
クレア「きららさん助けてください!」バッ
きらら「クレア!!」
クレア「きららさん 会いたかったです!」ギュッ
カルラ「ほう 真っ直ぐこちらに向かってきたようじゃが、おぬしも探知魔法の類を使えるのか?」
クレア「ええと… きららさんこちらの精霊さんは…?」チラッ
きらら「そうだね クレアははじめましてだったね こちらの方は…」
カルラ「おっと! 吾輩から言わせてもらうぞ “我が名はカルラ、最強の魔法使いじゃ” 以後よろしく!」バーン
クレア「よ、よろしくおねがいします えっと、私は クレアと申します 麓の里で召喚の館を営んでいます こちらこそ、よろしくおねがいします」ペコリ
カルラ「ところでさっきの質問じゃが…」
クレア「え〜っと これは魔法ではなくて、きららさんの位置を教えてくれる魔道具と、カンナさん…えっと里の建築家さんにじーぴーえすという機械を作ってもらって、それで信号を増幅して見つけたんです」ガサゴソ
きらら「え? 私、初耳なんだけど… それをいつも持ち歩いてるの?」ザッ
クレア「え〜っと… えへへ」
カルラ「いや 今はそんなことどうでもいいじゃろ」ワクワク
きらら「…」
きらら『そこは割と重要なんじゃ…』
カルラ「里の建築家か… うむ、感謝する ところでさっき助けてと言っていたが何かあったのか?」
クレア「そうです!! 急にモンスターが襲ってきて宇希さんが私をかばって逃がしてくれたんです」
きらら「えっ! 宇希さんが!? もしかして ガサゴソ こんな見た目のモンスターに襲われたんですか」ピラッ
クレア「そ、そうです 急にそのモンスターが襲ってきて それで…」
きらら「落ち着いて!クレア まずは水でも飲んで状況を詳しく話して」
クレア「ふぅ… そうですね 2時間前、宇希さんと二人で東の山に素材をとりに来ていたんです…」
………………………..
[東の山 山中]
クレア「宇希さ〜ん 待ってください」ハァハァ
宇希「ごめんクレア ちょっと考え事してて…」
クレア「西の山のモンスターのことですか?」
宇希「うん… そうだな!」
クレア「なんだか怖いですよね、実際に遭ってしまったらどうなってしまうのでしょうか」ブルブル
宇希「だいじょうぶだよ! いざとなったら私がクレアを守るからな」
クレア「宇希さん… いいえ! ついてきていただいた上に守ってもらおうなんて厚かましすぎます」
宇希「いいって トラブルなんてこはねで慣れっこだし、頼ってくれると嬉しいかな〜って」チラッ
クレア「いいんですか!」
宇希「おう! 任せとけって」グッ
クレア「ありがとうございます! でも、なんだか宇希さんといると不思議な気持ちになりますね まるで…」
宇希『たぶん…お母さんみたいだとか言われるのかな』
クレア「お姉さんみたいですよね」
宇希「!?」ハッ
宇希「お姉さん、かぁ… よ〜し!! 絶対に私がクレアを守るからな!」ウォー
クレア「うれしいです あっ!もうすぐでつきますよ この花畑を抜けた先が目的地です」
宇希「ふぅ なんとか来たな、目的地までもう少しか それにしてもこれはきれいな花畑だな」
クレア「そうですね! あっ、そうだ 宇希さん、花畑まで競争しませんか?」
宇希「競争?」
クレア「はいっ!負けた方が罰ゲームをする、でどうですか?」
宇希「オッケー 競争だな よっと」タッ
クレア「あっ! ずるいですよ」タッ
〜〜
宇希「くっそ〜負けた〜」ドスン
クレア「はぁはぁ これでもきららさんとたまに はぁはぁ 魔物退治を手伝いますからね」
宇希「まったく 負けたわ」
クレア「では、私が勝ったのですこし目をつぶっていてもらえますか?」
宇希「いいけど…」
宇希『ん〜 何されるんだろう ガサゴソと音がするけど、今のところ何をされるわけでもなくただ突っ立ってるだけだな』
宇希「クレア〜 まだか?」ソッ
クレア「まだです! もう少し待っていてください」
宇希『まぁ 待つのはいいけどうっかり瞼を開いちゃいそうになるな』
クレア「よ〜し 宇希さん少しかがんでもらえますか?」
宇希「わかった」スッ
クレア「う〜んしょっと」
宇希『ん? なんか距離近くないか 息遣いが聞こえるし、フローラルな香りも漂ってきているし』
クレア「よしっ! では目を開けてください」
宇希「ん?」パッ
クレア「お花で冠を作ってみたんです」カガミトリダシ
宇希「うわー きれいだな」パーッ
宇希「ん? でも罰ゲームなんだろ 花冠なんて」
クレア「宇希さん、競争の時全然本気だしていませんでしたよね」
宇希「え〜っと そんなことないけどな〜」チラッ
クレア「まぁ、それはいいですけど宇希さんはあまりかわいい服を着ませんよね、こはねさんに聞きました。というわけで罰ゲームは宇希さんにかわいい服を着てもらおう、に決めました 花の冠はその1つです」
宇希「あーっと…」
宇希『手を抜いたのがバレたのは痛いな 罰ゲームも、素材を持ってください のような感じだと思ってたから完全にミスったぞ』
宇希「え〜っと クレアさん?」
クレア「ほえ? なんですか、宇希さん」ニコニコ
宇希「いいや なんでもない」
クレア「では行きましょうか」テクテク
〜〜
クレア「見えてきましたね、目的地の洞窟です」
宇希「やっと着いたな 時間は…っと お昼には早いけど クレアはどうする? お弁当はもってきたけど」
クレア「ううん… どうしましょう 用事を済ませてから食べるか、今から食べるか… う〜ん」クルクル
宇希「私はライネさんのところで食べてきたからな クレアが選んでくれ」
クレア「…では! いただきましょう」パッ
宇希「よし、任せとけ 食事の準備をするから水が欲しいかな」
クレア「わかりました では近くに湧水がある場所があるので行ってきます」トコトコ
宇希「了解 じゃあ準備ができたら呼びにいくからな」
………………………..
[西の山 はずれ]
クレア「と、襲われる前はこんな感じで宇希さんと来たんです」
カルラ「ほう 行くまでに特に変わったようなところはなかったようじゃな というか、まだ小娘(宇希)とのイチャイチャをただ聞かされているだけなんじゃが…」
クレア「ごめんなさい! 要点だけ話せばよかったですね」シュン
きらら「いえ その話を聞く限りクレアと宇希さんの間には確かな絆ができているはずです、宇希さんのことを思い出せば思い出すほど強固になって探しやすくなるはずです」
クレア「わかりました ではこの続きから… ぐっ…」フラッ
きらら「どうしたの!クレア!?」
クレア「すみません あのことを思い出したら血の気が引いて…思い出さないようにしていたんですが」ドスッ
カルラ「あのこと… うむ、大丈夫じゃ お主が言えるタイミングでいいぞ …あまり時間もなさそうじゃが…」ボソッ
クレア「いえ すみません 早く言わないといけませんよね」
………………………..
[東の山]
私は宇希さんから離れ、近くの泉に歩いていき水を汲みに行きました。
その時点で特に気になったところはなかったですが、いやに山の中が静かだったことが気になった点でしょうか。ですがその時は一切そのことに気にも留めず、私はお弁当に心を奪われ、ほかのことを考える余裕がありませんでした。
泉に着いた時、初めて付近の様子に違和感を抱きました。まえに来た時にはなかった結晶が突き出していて、その付近に夥しいほどのキノコが生えていました。
そのすべてが図鑑でみる毒キノコで、少し不気味に思いながらも泉のほとりに座って休憩しながら、すこし周りを見渡して安全か確認して水を汲みました。
そして、少し待っていたら遠くから宇希さんの声が聞こえました。その声に応え泉に背を向けた時に水の音に紛れて変な音が聞こえ振り向いた時、確かにあの怪物の姿がありました。
あまりに急なことと、恐怖で足がもつれ転んでしまい、あの怪物が私にとびかかってきました。とびかかられるあと一歩のところで急に怪物が身を翻し、宇希さんが助けてくれたと直感でわかりました。
「はぁはぁ 大丈夫か!」
と声をかけていただき、起き上がり体勢を立て直しました。
宇希さんの攻撃に驚いた怪物はいったんは退きましたが、すぐにまた私に襲い掛かろうとしました。
どうやらあの怪物には1度決めた獲物を執拗に狙う習性があるらしく、宇希さんが前にいるにもかからず、怪物の紅く光る眼が私を捉えていました。
怪物の攻撃は私にめがけて何度も続き、そのたびに宇希さんが追い返しの攻防を繰り返し私たちは消耗していきました。もちろん私も攻撃しましたが、すべての攻撃がはじかれてしまい一切ダメージになりませんでした。
その怪物も私をなかなか仕留められないことにいら立っているようで、どんどん攻撃が苛烈になっていき、周りの環境もめちゃめちゃになるぐらい暴れていました。
何度も繰り返される攻撃でも、宇希さんは私を気遣ってひと時も離れないでくださって、励ましの言葉をかけていただき、勇気をもらいました。
しかし、なんど攻撃しても私を襲えない怪物はしびれを切らしたのか、泉の近くの結晶を食べ始めました。
はじめは苛立ちを発散しようと食べているのだと思っていたのですが、怪物が一口食べるごとに体の構造が変化していきました。最初のトカゲのような姿から、真っ黒な狐のような姿に変化し、そのとき宇希さんが
「今のうちだ! クレアだけでも逃げて助けを呼んできてくれ!」といいました
私はその提案を拒否し、一緒に戦うことを伝えましたが
「クレアも気づいていると思うけど、あのモンスターはクレアのことしか見ていない だから見失えば諦めて帰るかもしれない、その可能性を入れた方が二人とも無事に帰れるとおもうんだ だから私を信じてくれ!! それにグズグズしてるとあいつの変異が終わってしまうからはやく!!」
それを聞いた瞬間、考えるよりも早く足が動いていました、宇希さんの覚悟を踏みにじることができないと心が理解したからでしょうか。
背中からは宇希さんの戦う音と怪物の怒声、そして木がなぎ倒される音が響きわたっていました。
その音から逃げ聞こえなくなったあたりでじーぴーえすの事を思い出し、きららさんの場所を追ってここまで来ました。
………………………..
[西の山 はずれ]
カルラ「結晶、黒い狐…ふうむ これはなかなか厄介なことになったかもしれないな…」パッ
きらら「カルラさん どういうことですか?」
カルラ「詳しいはなしはあとじゃ 吾輩は宇希を探しに行く おぬしはクレアの面倒をみてくれ 『転送魔法』 」シュッ
きらら「はい! 私もこはねさんたちに連絡をしないと!」ピカッ
……………………
[東の山]
カルラ『やはり転送魔法は便利じゃな 態々光の翼で飛ぶのが馬鹿らしく思えるほどに…』ハァ
カルラ『はぁ… あの約束は果たせそうにないな、どう頑張っても一般化ができなかったし、今や転送魔法が幅を利かせている。だけど、一度でいいから一緒に空をとびたかったなぁ〜 私じゃ無理だったのかな 』フワフワ
カルラ『…それにしても派手に戦闘したようじゃの ところどころ地面がえぐれて焦げ付いておる 魂の気配はしないから死んだ、なんていうことはまず除外していいだろうが… ん? 宇希か』
??「どこなの? おかあさん、こはねちゃん、ひとりでこわいよぉ」グスン
カルラ「んん? なぜか懐かしい声が…」キョロキョロ
??「おうちでこはねちゃんとあそんでいたのに…」グスン
カルラ『ここら辺から声がするが…』ヒョコ
カルラ『な、カリンちゃん、カリンちゃんなの!? なんでこんなところに っていうか久しぶりにみたけどかわいい』
カルラ「あっ! あの…カリンちゃん」バッ
??「あっ!こはねちゃん!!」パーッ
カルラ「こはね? 私はカルラだよ! カリンちゃん」
??「かりん? ちがうよ わたしはうきだよ さわたりうき こはねちゃんわたしをからかってるの?」フシギ
カルラ『うき? !? まさかカリンじゃない!!』ピーン
カルラ「ごほん… ちょっとはっきりさせたいことがあるのじゃが、いいかね?」ソワソワ
うき「なあに? こはねちゃん」フワッ
カルラ「え〜 わた… 吾輩はこはねじゃなくてカルラじゃ 本当にカリンじゃないのか?」
うき「もう わたしはうきだよ こはねちゃんじゃないの? う〜ん でもさっきよりおっきくなってるし…」コンラン
カルラ『それにしても厄介なことになったな 小娘(宇希)の年齢はおおよそ4〜5歳くらいか、あのモンスター自体、単体での脅威度はそこまででもないが、結晶が悪さをしたようじゃな 原因を突き止めようにも、件のモンスターの気配は消えて 残るのは破壊痕と地底まで続く穴』
カルラ<応答してくれ>ザーザー
きらら<はい こちらきらら 宇希さんを見つけましたか?>ザーザー
カルラ<ああ みつけた>ザーザー
きらら<よかった! 無事なんですね>ザーザー
カルラ<… ひとまずこっちに来てくれ>ザーザー
きらら<はい? わかりました>ザーザー
カルラ<じゃあ切るぞ>ザーザー
きらら<すぐに向かいます>ツーツー
カルラ「はぁ これはまずいことになりそうじゃの」
うき「えっと、かるらちゃん」オズオズ
カルラ「おお なんじゃ?」
うき「かるらちゃんがいってたかりんちゃんって、どんなこ?」
カルラ「カリンのことか、うう〜んそうじゃなぁ、強くてかわいくて優しい子だったな。 特に笑顔がまぶしくて、あの子がいるだけで元気を貰える、そんな子だったよ」
うき「ふ〜ん なんかかりんちゃんってこはねちゃんみたいだね! かわいくてげんきで、えがおがきらきらしててあんなこのようになりたいな〜っておもってるの!」キラキラ
カルラ「ほう、それはきっとこはねも素敵な子なんじゃろうな」シミジミ
うき「そうなの!こはねちゃんはすごいの!」
カルラ「そうじゃな、なんだか懐かしいよ」
カルラ「そうだ、もうすぐおぬしの友達が来るぞ」
うき「おともだち!」パーッ
うき「そっかぁ〜 たのしみだね」ニマニマ
カルラ「ふふっ かわいいヤツじゃのお」
カルラ『それにしても、あの小娘(宇希)が子供の頃はこんな感じなのか… いたずら好きな感じが抜けたカリンみたいな ん? 手に何か持っているな』
カルラ「うきよ」
うき「なあに こ…かるらちゃん!」///
カルラ「その手に持ってるものはなんじゃ?」
うき「? これなんだろうね さいしょからもってたけど、きれいだよ」キラーン
カルラ『これは! 間違いないヤツの出す結晶だ』
カルラ「うき、すまないが この結晶見せてもらってもいいか?」
うき「このきらきらひかるいしを?」ジーッ
カルラ「やはりだめか」
うき「ううん いいよ かるらちゃんにあげる」ニコッ
カルラ「いいのか? ありがとう」
カルラ『この結晶があれば、宇希をもとに戻せるかもしれん』
??「カルラさ〜ん どこにいますか!!」
うき「このこえ かるらちゃんのおともだち?」
カルラ「ああ おーい!こっちじゃ」
カルラ『ふむ 4人か きららとクレアとあとふたり ひとりはこはねであとはだれじゃ?』
こはね「はぁ やっとついたね」
ひづめ「宇希さんが襲われたときいて駆けつけました」
きらら「カルラさん お待たせしました」
カルラ「うむ ごくろうだった」
きらら「えっと そこの子は? ひづめさん、こはねさんご存じですか?」
ひづめ「いえ 私は…」
カルラ「ああ それなら…」
こはね「宇希!」バッ
うき「わっ!」ビクッ
こはね「宇希だよね! なんか小さくなっちゃってるけど大丈夫?」
うき「えっ、えっ…ちょっとおろして」バタバタ
こはね「あっ ごめんね宇希」
うき「はぁはぁ おねえさん、だれですか? ちょっとこはねちゃんににてるけど」イブカシゲ
こはね「え? わたしだよ 鳩谷こはね!忘れちゃったの?」ユサユサ
うき「やめて! こはねちゃんたすけて!」パッ
こはね「…」ギュッ
カルラ「こら! 吾輩に引っ付くな 正真正銘あっちが鳩谷こはねじゃ」
うき「えっ こはねちゃんなの?」ジッ
こはね「はは… しょうがないよね…」グッ
うき「…わかった かるらちゃんがいうなら」ウタガイ
ひづめ「あの… こはねさん」
こはね「ううん…だいじょうぶだよ… 宇希も今の状況に混乱してるもんね ははっ…」
きらら「こはねさん… えっと!カルラさん状況は…」
カルラ「ああ 順を追って説明する まずは…」
〜〜
カルラ「と、まぁそんなところじゃ」
クレア「まさか、私が逃げたせいでこんなことに…」
こはね「ううん クレアちゃんは悪くないよ 悪いのは宇希をこんな姿にしたモンスターだから」ゴゴゴ
ひづめ「こはねさん、待ってください!」
こはね「ひづめ、とめないでね…」
ひづめ「こ、こんなこはねさん初めて…」ゾゾゾ
きらら「こはねさん!怒るのは無理もないですが、モンスターはいまどこにいるのかわかりません、だから」
こはね「だから?」フラッ
うき「おねえちゃん、こわい…」
こはね「宇希…」グッ
カルラ「おい! 小娘落ち着け! 宇希を治す方法があるんじゃが、聞くか? 鎮静魔法『息吹』 」
こはね「うっ…」ザザッ
ひづめ「なっ! こはねさんに何をしたんですか!」
カルラ「案ずるな、ただ落ち着かせただけじゃ まったく、危なっかしくて見ていられん」
きらら「こはねさん大丈夫ですか」
こはね「うん 私、冷静じゃなかったよね」ハァ
カルラ「もう一度質問するがこはねよ、話を聞くか?」
こはね「…はっ! 聞きます」グッ
カルラ「よし! まずはあのモンスターについて、名前は便宜上『UNKNOWN』とでも称しておこうか。やつには特定の姿がなくまさに変幻自在、ダメージを追うごとに能力が厄介になっていく。吾輩もやつが何段階変化するかはわからん。まぁ他の詳しいことは省くがやつは結晶を使い相手の記憶を奪って養分にすることができる。ほかにも属性を変えたり、魔法が効かなかったりとやりたい放題じゃ」
きらら「なら倒すことも難しいですね」
こはね「そんな…」
カルラ「まて! 話は最後まで聞け ヤツ自体は宇希を治すうえでは倒さなくてもよい、この結晶さえあればな」キラキラ
うき「あ! わたしがわたしたきらきらひかるいし!」
ひづめ「その結晶を使えば宇希さんをもとに戻せるのですね!」
カルラ「そうじゃ」
カルラ「しかし、問題もある この結晶の力を使うのに個人の莫大な魔力が必要なんじゃ」
こはね「私がやります!」バッ
カルラ「いや、無理じゃな」バッサリ
こはね「え?」キョトン
カルラ「確かにおぬしはクリエメイト、エトワリアの民と比べかなりの量の魔力はもっているだろう だが必要量には遠く及ばない」
ひづめ「えっと、カルラさん 具体的な量はどのくらいなのですか?」
カルラ「そうじゃな 仮に女神クラスの魔力を注ぐとして、少なく見積もっても1週間以上かかるとみておる」
ひづめ「そんなにかかるのですか」
カルラ「ああ 親友が昔、いまの方法で1週間程度かかっていたからな その間は食事も睡眠も一切取れなくなるらしい」
きらら「ソラ様の力をもってしても、ですか?」
カルラ「厳しいだろう ほかにも問題があって、夢幻魔法を使える術師が最低2人必要なんじゃ 夢幻魔法なんて使える術師が貴重じゃからな、1人は当てがあるが…」
きらら「夢幻魔法… それならハッカと協力してもらえるかわからないけど、神殿で拘束されているリアリストのスズランが使えます!」
カルラ「ハッカは知っておるが、リアリストのスズラン… ああ! 女神に挑んだとかいう面白い奴らか」
カルラ「了解した 今から神殿に戻るが宇希のことをしっかり守っておけよ こはねは特にな」
こはね「はい… でも私には宇希を助けることは無理なのかな」
カルラ「まったく そんなことないぞ、吾輩が提示したことはあくまで治すだけ、精神のケアは入っていない」
こはね「私にもできることがあるの!」
カルラ「そうじゃ この工程で一番重要なところをおぬしに任せる かなり複雑だから直接理解してもらうがよいか?かなりきついぞが…」
こはね「うん、わかった けど、ひづめ!」
ひづめ「はい! こはねさん、何でしょうか?」
こはね「ちょっと宇希を連れて向こうに行ってくれないかな?」
ひづめ「…! わかりました」
カルラ「おっと 配慮が欠けておったな うきよ、あっちのお姉ちゃんと一緒に遊んできなさい」
うき「いや! わたしおねえちゃんといっしょにいる なんかほっとけない」
こはね「宇希…」
うき「おねえちゃん なんかこはねちゃんにそっくりなんだもん てをにぎればこわくないよ」ギュッ
こはね「宇希!ありがとう 勇気がでたよ」ギュッ
カルラ「ははっ 頼もしいな ではやるぞ!思念魔法 『銀糸』 」ドドド
こはね「うっ! 頭にちょくせつ、ぐっ!」ガッ
うき「がんばって こはねちゃん!」ギューッ
カルラ「つらいじゃろうが我慢してくれ」
こはね「こんなの宇希がされたことに比べたら軽い!」ハァハァ
〜〜
カルラ「ふぅ 何とか終わったな」
うき「すごいよ!こはねちゃん」ナデナデ
こはね「宇希がそばにいてくれたから乗り越えられたんだよ」ハハッ
カルラ「まったく心配させおってからに 記憶がなくても心はつながっているのじゃな」ボソッ
カルラ「では、1週間後に里で 『転送魔法」 」バッ
………………………
[神殿]
カルラ「今戻ったぞ アルシーヴよ」シュン
アルシーヴ「カルラ殿、いきなり帰ってきて“戻ったぞ”とはどうでしょうね」ニコッ
カルラ「すまないが、おぬしの小言を聞いている暇はない、内密のはなしじゃ 吾輩の部屋で話そう」
アルシーヴ「!? なにかあったのか?」
カルラ「流石筆頭神官、切り替えがはやいの」
〜〜
[カルラの部屋]
アルシーヴ「なるほど 宇希が…ソラ様に報告しなくては」
カルラ「まて、女神様に報告はやめておけ」
アルシーヴ「何故だ クリエメイトの危機だぞ」
カルラ「だからじゃよ、女神は概ね自己犠牲的だから宇希を助けるために増幅法を必ずやる」
アルシーヴ「だからといって…」
カルラ「おぬしも知っとるはずじゃが、魔力を使い果たすとどうなるか」
アルシーヴ「だが、このままでは宇希が…」
カルラ「案ずるな タイムリミットは10日だが少しは余裕がある」
カルラ「吾輩は精霊 食事も睡眠もあまり必要ないし、魔力はほぼ無尽蔵にある まさにおあつらえ向きじゃ」
アルシーヴ「タイムリミット? そのことを伝えたのか!」
カルラ「伝えるわけなかろう むやみに混乱を大きくするのは小娘(宇希)の精神に無用な負荷がかかる」
アルシーヴ「…承知した リアリストのスズランの移送は私が許可を出しておく」
カルラ「ありがたい では準備する」
………………………
[9日後…]
うき「こはねちゃん、くれあおねえちゃん あそぼ!」キラキラ
こはね「うん いいよ!」
クレア「どんな遊びをしましょうか」
うき「え〜っと おにごっこ!」
ひづめ「あれから8日、いろいろなことがありましたね」
虎徹「ほんと ちっちゃい宇希ちゃんが来た時は狐につままれたようだったよ」
花和「ええ 今の宇希と全然性格が違っているからほんとにびっくりしましたよ」
兎和「私には懐いてくれませんでした」ズ~ン
きらら「あはは… それはそうと、そろそろカルラさんが来ると連絡が来てます」
ひづめ「そうですか もう、うきちゃんさんとはお別れなのですね」シミジミ
うき「つかまえた!」キャッキャ
こはね「つかまっちゃった って」ヘヘ
カルラ「待たせたな!!」シューン
うき「あっ! かるらちゃん うしろのおねえちゃんたちは?」タタッ
カルラ「ハッカとスズラン おぬしを助けてくれる心強い味方じゃ」バーン
うき「ふ〜ん わたしどこもわるくないけど」ジッ
スズラン「おい、このガキがクリエメイトだってのか」ジロジロ
カルラ「おい! 妙な気は起こすなよ いつでも貴様を死体にして操ってもいいんじゃからな」
スズラン「くそっ あんたと繋がれてんだからそんなことできないっての ったく動きにくいったらありゃしない」ジャラジャラ
カルラ「魔力提供も兼ての拘束じゃ 文句を言うでない、成功したら報酬も約束したではないか。 ハッカも指輪を外すでないぞ」
スズラン「はいはい、わかってるって アクセサリー楽しみにしてるぜ」
ハッカ「了解… 準備開始…」ソッ
カルラ「そうじゃったな 宇希とこはねよ そばに来てくれるか」
うき「なぁに」トコトコ
こはね「はーい」
カルラ「催眠呪文 『夜空』 」
うき&こはね「うっ…」パタン
うき&こはね「すーすー」zzz
カルラ「夢幻魔法用意!」
ハッカ「承知… 『夢幻魔法』 」ゴゴゴ
スズラン「ったく しょうがねぇなぁ 『夢幻魔法』 」ゴゴゴ
きらら「空気が震えてる…」ザッ
カルラ「結晶は2つ チャンスは1回、合図をしたら結晶を割ってくれ…」ハァハァ
スズラン「了解!」
ハッカ「…」コクッ
カルラ「いまだ!!」
………………………
宇希「…あれ? いままで何してたんだっけ?」キョロキョロ
こはね「う、宇希!! よかったー!」グスッ
クレア「良かったですぅ」グスン
ひづめ「なんとかなったようですね」ホッ
虎徹「宇希ちゃん…」グスッ
花和「まったく 心配させて…」ホロッ
兎和「いつもの宇希先輩ですね」ホッ
きらら「はぁ ホッとしました あれから3日間眠っていたんですよ」
宇希「みんな… ってそんなに寝てたの!」
宇希「ははっ なんか長い夢をみていたような気がするな、子供のころから今までをこはねと思い出して、ずっと一緒にいて こはねが最後… なんだっけ?」フト
こはね「もう! そんなこといいよ はやく元気になった姿をみんなにみせよ!」グイグイ
宇希「ちょっ、こはね いつもより激しいな」グワグワ
ひづめ「こはねさん、はしゃぎすぎですよ 顔もなんだか赤いし」
こはね「…そうだねっ! ちょっと冷ましてくる」タタタ
宇希「こはね…」
……………………
後から聞いた話だが、私は9日間ほど子供の姿になっていたそうだ。カルラさんが私を助けてくれたようで、その後3日間寝ていたらしい。
助けてくれた彼女たちには近いうちにお礼に行こうと思う。
あの一件のあと、こはねの私に対する言動が少し重くなったがそれはまた別のお話…
……………………
「カルラの姐さん、オレを始末しなくていいのか?」
「あ? そんな必要ないじゃろ」
「いや、死霊術をつかうとかさんざん脅したのに、使うそぶりがなかったんで気になって」
「おぬしは死霊術を使う族に会ったことがあるか?」
「え? ん〜まぁ傭兵として戦場を渡り歩いていれば1人や2人くらいは会ったことあるが…」
「どんな奴が使ってたかわかるか?」
「…? まさか!オレを騙したのか!」
「やっと気づいたようじゃな」
「おい! その事実にあの時気づいてたらどうしたんだよ」
「気づいても裏切れないじゃろ それに目の前にアクセサリーがちらついてそれどころじゃなかったはずだが」
「けっ! 気分わりい」
「まっ、いいじゃないか 結果的に成功したんだ」
「ふん! なんか納得できないけど、この際いいや このアクセサリーちゃんさえあればな」
「現金なやつじゃのう おぬしが価値を感じるものは他にあるのか?」
「はっ! そんなもんお金以外に価値なんてねえよ」
「そうか?おぬしも案外地下牢で和気あいあいとしてたが」
「ふん! そんなもんじゃねぇよ」
「まぁいいや おぬしも大切なもの、早く見つかるといいな」
「おい!オレの大切なもんはアクセサリーちゃんだけだ…」
「ほれ 差し入れだ」
「…ありがと」
「じゃあ 吾輩はそろそろ帰るぞ また差し入れでも持ってきてやるからリアリストどもによろしく伝えてくれ」
「まったく、なんでそんなオレたちリアリストを気にかけるんだ」
「ふっ、ただの気分じゃ」
「チッ! はいはい!」
面会室をでて自室へと向かう途中、ふとスズランの質問が蘇った
『なんで気にかけるんだ?』
心底不思議そうな表情に
「昔の私に似ているからだ」と空に答えた
女神に挑んで負けたあのころの私
差し伸べられた手のぬくもりと、この世の摂理に挑む蛮勇を重ねて…
女神カリン、貴女は今の私をどう思いますか
[完]
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます
ついに過去(うきちゃん)現代(宇希先輩)未来(宇希さん)をすべてコンプリートしました。
はじめは幼女化したうきちゃんを愛でる話が書きたくて始めましたが、目的が結構本筋ではないところに行ってしまいましたね。第4作の『【SS】こはね「大空はばたく翼だよ!」』と地続きの話でオリジナルキャラクター、「カルラ」の設定をいろいろ考えていたのでここで使えたたのはよかったです。
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3845&ukey=0
少し前に行ったアンケートでいただいた「宇希先輩かこはねがヤンデレ化する話」の足掛かりが本作でやっとできたので、近日乞うご期待
本編中、泣く泣くカットした部分も併せて書きたいです
というわけで、次回の作品でお会いましょう!
おまけ
人物紹介
名前:カルラ 種族:精霊
非常に強大な魔力を持った精霊
元は人間で大昔のエトワリアで大魔法使いと呼ばれていた
死後、精霊となり現世をさまよい、こはねに憑いていたところを宇希によって退治された
彼女はもともと魔法の才能に溢れる魔法使いで、数多の魔法を使いこなし、尊敬を集めていた。しかし、彼女の容姿は子供の頃から変わっておらず、初対面の人間になめられることが多かった。それがコンプレックスとなり、人前にもあまり顔を出さなくなり自分を大きく見せるために大仰な喋り方をし、一人称も「吾輩」とした。
人間の頃女神に戦いを挑んだことがあり、三日三晩の戦いの末に敗れた。その際、女神の懐の大きさと強さを目の当たりにし彼女に惚れ込んだ。
女神の前では素が出るようで、一人称が「私」になる
生前の姿は子供の姿の宇希曰く、こはねに似ているらしい。
拝読しました! スレタイトルを見たときに大喜利スレかと思って開いた私をどうか許してください...
クレアちゃんといちゃいちゃしてる宇希さん概念、尊かったし流行ってもおかしくないと思ってるけど、それこそこはねさんがヤンデレ化しそうで怖くもあったり。ていうか、もしかして終盤で既になっt
カルラさんまさかの再登場だ!! 初登場時はわりかしトラブルメーカー寄りだったはずが、いつの間にかエトワリア生活に馴染んでて笑いました。そこは流石になんでもありの世界ことエトワリア、懐が広い。あ、そこで大爆笑してるスズランさん、貴方もですからね。 (スズラン「え゛」)
ロリうきちゃんかわいいかよ。しかし一方で、記憶の欠損が起こるのはつらいことですし、『タイムリミット』の件を鑑みると... ほんと、戻れてよかったね、宇希。
今回も宇希さんの様々な表情が見れてまんぞくです。やっぱり宇希は最高だな!!!!!!!!!!
...あと、これは風の噂ではありますが、スレタイトルの変更などに関しては、BBSのお問い合わせフォームから必要事項を書き込んで管理人様にメールを送ると、気付き次第対応していただけるらしいです。私も、別件 (誤って不完全な状態で立ててしまったスレッドの削除依頼) でメールを送り対応していただいたことがあります。もしタイトルの件を気にしていらっしゃるようでしたら、ご検討のほど。
ペンギノンさんいつもありがとうございます
大喜利スレ、そうですね
スレを建てたあとに一覧をみて一瞬、私も見つけることができなかったのでしょうがない…
そして、面倒だったのでそのまま押し通した私の責任です。
あのこはねがまさか!な感じでなるかなぁ〜
と言ったところです。
カルラは年長キャラとして、話を動かしやすくて重宝しました。
ポジションとしては適度に強いライネさんみたいな役回りですね。
ほかにも最初の方に名前が出てきてその後一切登場しなかったキャラについてのお話を用意しているのでお楽しみに。
本作のうきちゃんはこはねと出会って大体1年後を想定しています。まだ今の宇希先輩のように姉ムーブや世話焼きムーブがなかった頃(予想)を意識しました。
早速管理人さんにメールを送りました。
可能かどうかはわからないので気長に待とうと思います。
変更されたら、ageて報告します
タイムリミットの件を知らされていない状態で、うき(小)を愛でるのではなく戻すことを考えてるこはねはいいこですよね…この時点では大丈夫(何が)のように思います。
タイトルになってるクレうき……じゃなくて「罰ゲーム」が未回収なのがある意味不穏要素のようにも感じますが。
>>63
コメントありがとうございます。
だいじょうぶです、こはねの”おもい”はすべて宇希先輩に向くので周りの心配は一切しなくて、だいじょうぶ(?)です!
本作で回収しなかった要素は次へ…
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