[Attention!]
この作品は『きららファンタジア 第2部 断ち切られし絆』を題材としたSSです。
あくまで上記原作とは一切無関係な所謂二次創作 (或は三次創作) です。
創作の関係上、大いに独自設定 ・ 捏造 ・ 原作を逸脱した点が存在します。
SSによくある会話形式ではなく、メディアちゃんの語りメインで進行します。
タイトルからお察しの方もいらっしゃると思いますが、本作は以下の楽曲をベースとして書かせていただきました。とても良い曲なので、是非ともお聴きください。
『よければ一緒に』 (by KAN)
https://www.youtube.com/watch?v=JsTbEPYomhA
なお、SS作成にあたって歌詞を改変したり文を増やしたりしています。その点ご了承ください。
また、できるだけ原作に寄せたつもりですが、あまり寄せられてないです。すみません。
書き溜めありです。と言うより、既に最後まで完成しています。
最後に... そう...。
信じることさ。必ず最後に、愛は勝つ。
以上の点を了承してくださる方は、どうかお付き合いください。
「ねぇ、本当にわたしで良かったの?」
紫がかった髪の少女は、自信なさげにそう問いかけます。
「むしろ、うつつさんだからいいんです」
わたしは、即座に答えます。迷いなど微塵もありません。
だって、ほら。わたしの差し出した手を、うつつさんが優しくとるから。
二人でなら、何でもできる気がするんです。
はっきり言って、わたし一人にできることなんてそう多くないけど。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
うつつさんは、記憶を一切失ってしまったといいます。
だから、娯楽を何も知らないことを気にしていました。
あるとき、うつつさんが絵を描くことに興味を持ちました。
それを知ったわたしは、うつつさんにすみれ色のペンをプレゼントしました。
それから、彼女は度々絵を描くようになって。時々、こっそりわたしにだけ見せてくれて。
それがまた、かわいらしい絵柄だから。
何でもいいんです、わたしに手伝えることが何かあるのなら。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
誰かがどこかで呟いていた通りに、雨が降ってきました。
その話を冗談だと思っていたわたしたちは、すぐに近くの軒先に逃げ込みました。
「あはは。ずぶ濡れになっちゃったね」
うつつさんは、わたしの頭をハンカチで拭きながら言います。
うつつさんもずぶ濡れなのに、自分より先にわたしのことを気にかけるのです。
そんなうつつさんに、そっと守られながら。
二人、静かに雨宿りをして。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
いつの間にか雨雲は立ち去り、この街にも夜が訪れました。
足元の水溜りに注意しながら、わたしたちは帰路につきます。
下ばかり見ていても面白くないと思って、ふと空を見上げたら。
きらきらと悠大な星空が煌いていて。
うつつさんも、その光景に目を輝かせていて。
こんなに素敵な帰り道を、もっともっと、貴方と。
だから、ちょっとだけ、遠くの道を行きましょう。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
そうやって、うつつさんと日々を過ごして。
月日はまわり、何度も陽は昇り、沈み。
毎晩、毎晩。わたしは、あの星空に願うんです。
うつつさんと、明日も会えるように。
うつつさんから旅のお話を聞くと、わたしも旅に憧れてしまう瞬間があります。
でも、旅って何だか不安で、一人ぼっちは心細いかな。
そう言うと、うつつさんは俯いて、少し考えて。
「じゃあ、二人で行こっか。いっそ、簡単には行けないくらい遠くの国にでも」
いつになく積極的なうつつさんの、勢いに押されて。
わたしたちは、小さな旅の計画を立てて。
踏み出した一歩は、わたしたちにとって大きな一歩だから。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
歩いて、歩き疲れて。舟に乗って、少し酔って。
地図をなくして、道に迷って。トラブルはなかなか多かったけれど。
旅先で出会った方々は、誰もが優しくて。
いっぱい笑って、楽しい思い出と共に、家へと帰ってこれたのでした。
わたしの人生 (ものがたり) が、どのような作品になるのか。
貴方の人生 (ものがたり) が、どんな彩りを持つのか。
それは、簡単に予測できるはずもない、究極の難題です。
きっと、全知全能の女神様ですら知らないのでしょう。
「くすっ、何よそれ」
うつつさんは、いたずらに笑います。
でもね、わたしは。そんな難題の答えを、敢えて見届けたいんですよ。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
「あの、本当にわたしで良かったのでしょうか?」
紫がかった髪の少女に手を引かれながら、わたしは問いかけます。
「むしろ、メディアだからいいんだよ」
うつつさんは、即座に答えます。迷いなど微塵も感じられません。
わたしがぎゅっと手を強く握ると、うつつさんは優しく握り返してくれて。
それだけで、わたしは、幸せだから。
厄介なこと、面倒なこと、ぜんぶ含めて。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
いい気分になると、ついつい歌でも歌いたくなるものです。
うつつさんが無意識に歌う歌をこっそり聴くのが、ちょっとした楽しみだったり。
まぁ、それはうつつさんには内緒ですけど。兎に角、歌いたい衝動は突然やって来るわけで。
ただ、こういうときに限ってこれといった歌詞が思いつきません。
あぁ、困ったな。困ったけど、別にいいんです。
歌詞がなければ、ラララララララで歌えばいい。
だから、ほら。歌おう、うつつさん。
よければ一緒に。そのほうが楽しい。
よければ一緒に。そのほうが楽しい──
--fin--
[あとがき]
はい、ということで終わりです。ドラ ・ ドラ ・ ドライブ大作戦です。
以前、うつつちゃんがきらきら光るSSのコメント返しにて、メディアちゃんのまともなSSを書こうか検討したことがありましたが、今回それを実現できて満足しています。
私は割と色々な曲を聴くのですが、きらファンしながらこの曲を聴いていたときに、ふと歌詞の内容がメディうつで再生されたことが、そもそもの執筆の切っ掛けでした。
また、カレル様のSS 『御影依子 「司さん.... 人をアヤめてしまいました」』 (https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3796&ukey=0) を読んで、私もそういう形式の話を書いてみたいと思ったことも執筆の原動力になりました。皆さんも是非是非ご一読のほど。シビれますよ。
メディアちゃんの物語って、うつつちゃんと知り合ったことで大きく変わったと思うんです。勿論、うつつちゃんの物語がメディアちゃんの影響を強く受けていることは間違いないですが。
二人が奏でる、メロディー。それは、二人の物語を色濃く映して。
きっと、二人にしか作れない、最高の音楽になっているのでしょう。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
[これまで書いたSSリスト (順次追加) ]
・ 『あお 「くじら座の変光星の女の子」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3596&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29338408.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17271872
・ 『変な生き物 「遂に誰からも本名で呼ばれなくなった」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3602&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29371224.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17272934
・ 『クレア 「わたしは鍵の管理人」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3607&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29421806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17274145
・ 『クロ 「この丘から見える星空は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3619&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29460066.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17278807
・ 『きらら 「ツンツーンください!!!!!!!!」 サンストーン 「いきなりでけぇ声あげんなよ うるせぇよ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3637&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29571518.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17279756
・ 『みさ「みらがかわいすぎて生きるのがつらい」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3650&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29631528.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17280762
・ 『シャミ子 「杏里ちゃん、一緒に帰ろ?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3668&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29760440.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17285569
・ 『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29831832.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
・ 『スズラン 「飯奢ってくれ」 ロベリア 「図々しいわね、呪うわよ...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3702&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29946896.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17289587
・ 『シャロ 「貴方が教えてくれること」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3720&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30014131.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291478
・ 『みら 「あおー、ぼくの着替え知らない?」 あお 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3727&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30053806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291693
・ 『舞 「わたしが歩んできた道は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3742&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30108512.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17293779
・ 『千矢 「山で遊んだお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3754&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17318983
・ 『あお 「みらが知らない女性と仲良く話してる」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3764&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17415852
・ 『ランプ 「うつつさんがきらきらしています」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3770&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474617
・ 『ユウ 「クラスのみんなにおでこぱしーしまくってたら海果がすねた」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3775&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17523413
・ 『桃 「シャミ子、ごめんね...」 シャミ子 「...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3781&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17572005
・ 『あお 「君の心を覗きたいんだ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3793&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17654759
・ 『小春 「全然釣れないよー」 ??? 《諦めないで!》 小春 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3801&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17717125
・ 『みら 「このレンズの向こうには」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3809&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17771186
・ 『あお (幼) 「こんにちは」 ニコッ みら 「えっ...?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3824&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17916835
・ 『メディア 「よければ一緒に」』: このSS
投稿おつかれさまです
最初のうつつの質問から、最後メディアに繋げる構成がめっちゃよかったです。
うつつはメディアの家で今後生活するようなので、いろいろ想像がはかどりますね
P.S.ペンギノンさんに私の処女作を紹介していただくのはうれしいですが少し恥ずかしいですね。
メ デ ィ う つ は 万 病 に 効 く
(※効果には個人差があります。っていうかプラシーボ効果です)
どうもいつもの詠手です。
(真実の手みたいなハンドルネームですが真実の手の一では)ないです。
うつつ、ついにメディアと同棲しましたね。
うつつ「言い方もう少し何とかならない…?」
在りし日のハイプリスが見たら嫉妬するでしょう。
……第3部でハイプリス改心ルート来ないかな。
メディアそう受けが見たいだけだろ?聞こえんなァ!!!(迫真)
P.S.
メディうつ……揃えたかったな……次のチャンスいつだろうな……。
そろえた人はぜひメディうつ主軸パーリィ組んでやってくださいね……。
第6章で、メディアちゃんが近づいて来た時は「太陽が近づいて来た!」と言うくらい、何かしら距離を詰めて来るメディアちゃんにビビッていたうつつが、第2部終了後は、少しずつうつつの方から距離を詰めていると感じられますね
第2部終了後は、うつつとメディアちゃんが同居しているという展開を見て、私の第27作目の話が少し矛盾しております・・・(覚悟していたので問題はないです)
ペンギノンさんから感想レスを頂くのに対して、あまり感想レスを私から返しておりませんが、ここに送らせていただきます。
>>17
作者です! カレル様、いつもコメントありがとうございます! いやー、単純にあのSS大好きなので紹介しちゃいましたよ... ほんと、勝手にすみませんねぇ...
そうなんです、そこが一番見てほしかったところでして。
「自信なさげなうつつちゃんに優しい言葉をかけるメディアちゃん」という構図はきっと簡単に思い浮かびますが、2部のお話を通じてうつつちゃんがメディアちゃんにそうしている姿もまた用意に想像できるようになったのではないでしょうか。
そんな二人が一緒に歩んでいく道のりは、さぞかし彩りに満ちたものでありましょう。
そして、メディうつ同居という衝撃。私もそんな展開を想像したこともありましたが、まさか公式化するとは...。尊い、尊すぎるゥゥ!! (スナァ...
>>18
メ デ ィ う つ は 万 病 に 効 く
作者です! 詠手様、いつもコメントありがとうゴジャイマース! すまんな、私は両者共にお迎え達成済みだ (画像省略。因みに、ハイプリス様との最終決戦はメディうつで挑みました)
大丈夫です、私も真実の手と目されていた身ですから。そういえば『書手』とか呼ばれてたな...。
そうですねぇ、どうs... 同居しましたねぇ。メディうつは末永く幸せになって。
ハイプリス様嫉妬ルートは普通にありそう。私としては、改心とまではいかなくても、エトワリアを取り巻く課題を解決するための協力者くらいにはなってほしいと思う次第です。
きみ、メディア総受けが見たいんだろォ? そうなんだろォ? どうなんだぁい詠村くゥん!? (ペン泉ノン)
>>19
作者です! ピースケ様、コメント誠にありがとうございます!
二人の距離感って絶対変化してますよね。積極的になっていくうつつちゃんかわかわ。
...というか、2部後半のうつつちゃんかっこすぎない? きららさんとは違う意味で主人公してた。
SSと原作の設定乖離はよくあることです。私も例のツンツーンSSでカルダモン周りの設定が矛盾気味ですし。
コメントは「貰えたら嬉しいな」とは思っていますが、「絶対にコメントしてください」というようなことは決して申しません。気が向いたら書いてもいいかな、くらいで大いに結構です。
皆様に楽しんでいただければ、それが一番嬉しいですから。
メディうつ結婚したってマジ!?
…という1割冗談はともかく、これからも、メディアとうつつが末永く幸せに暮らすことを祈っています。
…こっちのSSのメディアがまともな試しがなかったことを思い出してしまった(ボソッ
>>23
作者です! パラガスト下級戦士様、コメントありがとうございます!
えぇ、本当に。二人が幸せを紡ぎ続けることを、願わずにはいられません。
あとがきでも少し触れましたが、次にメディアちゃんのSSを書くときは、絶対にまともな内容にしようと決めていました。私がこれまで書いてきたSSに出てくる彼女も、大概まともではなかったので... (メディアママ、屋外でうつつちゃんの服を脱がす、etc...)
兎に角、メディうつ尊いという事実は変わりません。結婚生活 (誤解を招く言い方) お幸せに!!
先日第2部クリアした者です。
メディうついいですね…ッ!物語が進むにつれてどんどん距離が縮んでゆくのをしっかり表現していて良いSSだと感じました!!
これでまた妄想が広がりングしちゃう…さらに同棲が公式になり…ニヤけが止まんない(´・ω・`)
またメディうつのSS、期待しちゃっていいんですか!?
>>25
作者です! コメント誠にありがとうございます!
そう言っていただけるととても嬉しいです。大筋はKAN様の楽曲に沿いつつ、メディうつならではの「幸せの形」を盛り込めたのかな、と思っています。
メディうつ同居展開は流石にニヤニヤが止まりませんでしたね。なんというか、心ゆくまでいちゃいちゃしていてほしい。うつつちゃんはどれだけ甘やかしても許される気がする (n回目)
メディうつのSS、ご希望ですか!? いい感じのお話が思いついたら書いてみますね!
... ただ、不定期投稿な状態が解消されたわけではないので、いつになるかは不透明ですが...。趣味に存分に打ち込める時間的余裕が欲しい...
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