[Attention!]
この作品は『スローループ』を題材としたSSです。
あくまで上記原作とは一切無関係な所謂二次創作 (或は三次創作) です。
創作の関係上、大いに独自設定 ・ 捏造 ・ 原作を逸脱した点が存在します。
ネタバレすると、本来命が宿ってすらいないはずの物体が語りかけてきます。言っている意味がわからないとは思いますが、多分読んでいただければわかります。
基本ギャグ路線です (シリアスがないとは言ってない) 。それに伴うキャラ崩壊にはご注意ください。
書き溜めありです。と言うより、既に最後まで完成しています。
最後に、執筆者は釣りに関する知識を一切有しておりません。故に、その辺の要素は期待しないでください。
以上の点を了承してくださる方は、どうかお付き合いください。
小春 「えっ、今誰かに話しかけられた...?」 クルッ
シーーン
小春 「おっかしいなぁ。幻聴かな?」
??? 《諦めないで! 絶対釣れるよ!》
小春 「幻聴じゃない!?」 ビクッ
小春 「え、でもどこから...」
??? 《ぼくはここだよ、小春ちゃんのバッグをよく見て》
小春 「バッグ、って言われてもねぇ」 チラッ
小春 「これ、何の変哲もないバッグだよ。強いて言うなら、最近ひよりちゃんに貰ったシーにゃんのマスコットストラップがついてることくらい...」
シーにゃん 《やっと見つけてくれたね、それがぼくだよ!》
小春 「ふぇっ!?」
シーにゃん 《見ての通り、ぼくはシーにゃん! 今、小春ちゃんの脳に直接語りかけてるよ》
小春 (ファミチキください)
シーにゃん 《こいつ直接脳内に...!》
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小春 「ふぅ。まさか諦めないで続けたら本当に釣れちゃうとは」
シーにゃん 《それも結構な大物だよ。やったね!》
小春 「マスコットストラップに応援された経験を持つ女子高生なんて、世界中探してもわたしくらいだよ」
小春 「ていうかそもそも、どうしてマスコットが意思を持ってるのさ」
シーにゃん 《それは、残念ながらぼくにもわからないんだ。ある日気付いたら自分の意思があったし、そのときには自分がシーにゃんだってことを理解してた》
小春 「釈然としない」
シーにゃん 《そんなこと気にしてもしょうがないよ! それより、もっといっぱい釣ろうよ!》
小春 「魚に釣りを催促された経験を持つ女子高生なんて、世界中探してもわたしくらいだよ」
シーにゃん 《はて、果たしてぼくは魚なのか。それとも猫なのか》
小春 「マスコットに言うのはどう考えても変なんだけど、アイデンティティはちゃんと持とうね?」
ひより 「あ、小春見つけた。おーい、小春...」
小春 「え、わたしがどう思うかって? うーん、やっぱり魚じゃない? 骨格は魚だし、尾びれも胸びれもあるし、泳いでるイメージあるし」 ブツブツ
小春 「猫耳については... まぁ、そういう進化をしてきた種族ってことで! 世界には色んな魚がいるんだもん、猫の耳が生えた魚だっているよ!」 ブツブツ
ひより (ど、どうしよう。小春がシーにゃんのマスコットを見つめながらぶつぶつ独り言を言ってる...。しかもあれわたしがあげたマスコットだし、よく聞いたらなんか会話してるみたいな喋り方だし) ガタガタ
ひより (た、助けて恋ちゃーん!! 小春が壊れたー!!) ダダダ...
小春 「あれ? 今、誰かいたような」 キョロキョロ
シーにゃん 《ぼくもそんな気がする...けど、誰もいないね》
小春 「そっか、じゃあ気のせいか」
シーにゃん 《ほんとかなぁ...?》
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小春 「大漁大漁〜♪」
シーにゃん 《良かったね、小春ちゃん!!》
小春 「うんうん、これも励ましてくれた君のお陰だよ」
シーにゃん 《ぼくは励ましただけだし、一番頑張ったのは小春ちゃんだよ》
小春 「あら、お上手なんだから」
小春 「うふふ」
シーにゃん 《あはは》
ひより 「ほら、恋ちゃん。あれだよあれ」 コソコソ
恋 「えっ、マジじゃん。ひよりとお揃いのマスコットに話しかけてる」 コソコソ
ひより 「べ、別にお揃いとか、関係ないと思うな...///」 テレテレ
恋 「...」 ジェラッ
恋 「... ひよりにも心当たりとかないんだよね? 実は小春のやつだけ音声を流せる仕様だったとか」 コソコソ
ひより 「ううん、何にも。それに、昨日まであんな仕草これっぽっちも見せてなかったし」 コソコソ
恋 「ふむ... もう少し観察を続けるか」 コソコソ
ひより 「そうしよう」 コソコソ
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小春 「このお魚はお刺身が美味しいんだよね〜」
シーにゃん 《そうなんだ! ぼくも食べたいなぁ》
小春 「共喰いかな?」
シーにゃん 《いやいや、フィッシングでも小魚を餌に使うことあるじゃん》
小春 「確かに」
シーにゃん 《だから、お魚がお魚を食べても問題ないんだ。食物網はそうやって形作られているんだよ》
小春 「成程!」
シーにゃん 《...》
小春 「...」
小春 「いやちょっと待って、君そもそもマスコットだよね」
シーにゃん 《そこに気付いてしまうとは、やはり天才か》
小春 「は?」
ひより 「や、やっぱり心配だよ。恋ちゃん、わたしどうしたら」 ガクガク
恋 「ひより、まずは落ち着いて。ほら、深呼吸」
ひより 「ひっひっふー、ひっひっふー」 カヒューカヒュー
恋 「出産でもするの?」
ひより 「違うもんっ!」 カッ
恋 「そこまで食い気味に言わなくても」
ひより 「逆に恋ちゃんは落ち着きすぎだよ...」 ゼェゼェ
恋 「どっちかって言うとシュール過ぎてついていけてない感が勝る」
ひより 「あ、そういう...」
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小春 「ひよりちゃん、びっくりしてくれるかな? わたしがこんなにいっぱいお魚釣ってきたって知ったら」
シーにゃん 《目を丸くして驚いてくれるはすだよ! それで、きっといっぱい褒めてくれるはず》
小春 「やっぱりそうだよね! はぁ〜、早く見せてあげたいなぁ〜〜」
シーにゃん 《恋ちゃんにも見せてあげたらどうかな?》
小春 「勿論そうするつもり! 何せ、いつも恋ちゃんちのお店にはお世話になってるからね」
シーにゃん 《今日使ってた毛ばりも、そこで買ったものだったっけ?》
小春 「そうそう! 使いやすかったからまた買おうかなって思ってる」
シーにゃん 《そしたら、もっともっと釣って、もっともっと喜んでもらえるね!》
小春 「お魚パーティーも夢じゃない!」
小春 「うふふ」
シーにゃん 《あはは》
ひより 「ごねんね小春、わたしたちもう知ってるんだ...」 シュン
恋 「いいんじゃない? 知らないふりして驚いてあげれば」
ひより 「わたし、そういう演技得意じゃないんだけど」
恋 「最悪バレても、別に悪いことをしてたわけじゃないんだし、気にしなくて大丈夫でしょ」
ひより 「... うん、そうだね。そうだよね」
恋 「... ところで、これわたしも巻き込まれてる系?」
ひより 「話の流れ的にそうなんじゃないかな。釣具の話とかしてたし」
恋 「えー、めんどくさ...」
ひより 「まぁまぁ。小春の反応、いつも新鮮そうで面白いからいいじゃん」
恋 「それもそっか」
恋 (このシスコンめ...)
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小春 「さぁて、帰ろうか」
シーにゃん 《そうそう。今日、この後雨が降るって天気予報で言ってたよ》
小春 「えっ、本当!? ていうか何でそんなこと知ってるのさ」
シーにゃん 《だってぼく、小春ちゃんのバッグに付いてるんだよ? 小春ちゃんの生活空間にぼくが居てもおかしくないよ》
小春 「そっか、言われてみれば。じゃあ、テレビか何かで知ったってことか」
シーにゃん 《そういうこと! さぁ、急いで帰ろう!》
小春 「うん!」 ダダダ
ひより 「おっと、小春がこっちに来るよ」 コソコソ
恋 「ちょ、ひより詰めすぎ」 コソコソ
小春 『急げ急げー』 ダダダ
ひより 「... なんか凄い勢いで走り去っていったけど」
恋 「あれは帰ったっぽいね。クーラーボックスも釣竿も他の荷物も、全部持って走ってた」
ひより 「わたしたちはどうする?」
恋 「ま... ゆっくりしてこうよ。折角こんなにいい天気なんだしさ」
ひより 「そーだねー」 ポケー
恋 「ひより、ふにゃふにゃになってるじゃん」
ひより 「だってあったかいんだもーん」 フニャァ
恋 「全く、ひよりったら」 クスッ
ひよ恋 「えへへ〜♪」
[およそ30分後]
ザァァァァァァ
ひよ恋 「...」 ビショビショ
----------
ひより 「散々な目に遭ったよ」 グッショリ
恋 「はぁ... サイアク」 グッショリ
ひより 「恋ちゃん、ごめんね?」
恋 「気にしないでよ。そもそも、わたしが早く帰るって言えば良かった話だし」
ひより 「ううん、そもそも論で言うなら、わたしが恋ちゃんを連れて小春のところに戻らなければ良かったことでもあるし」
恋 「いやいや、わたしが」
ひより 「いやいやいや、わたしが」
ひよ恋 「...」
ひより 「やめようか、この話」
恋 「不毛にも程があるよね」
ひより 「お詫びと言っては何だけどさ。恋ちゃん、うちに寄ってってよ」
恋 「え、どうして?」
ひより 「雨でびしょ濡れになっちゃったからさ、お風呂で温まっていってほしいなって」
恋 「えー、別にいいよぉ」
ひより 「... だめ?」 ウワメヅカイ
恋 「っ...!」 キュン
恋 「わ、わかったからっ! ありがたく寄らせてもらうわよっ!」 カァァァァ
ひより 「ほんと!? やったぁ」 ニコニコ
恋 (もう、ずるいよ。ひよりは) モジモジ
ひより 「なーんて、色々話してたらあっという間にうちに着いたね... あ」
恋 「... ひより?」 クルッ
ひより 「」
恋 「今度はどうしたのさ...」 チラッ
小春 「...」 ← 玄関前で仁王立ち
恋 「」
小春 「ひよりちゃーん? 恋ちゃーん?」 ゴゴゴゴゴ
小春 「 ふ た り き り で 一体何してたのかなーー??」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ひよ恋 「」 (アカン)
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恋 「お風呂ありがとね」 ホカホカ
ひより 「前もって用意してくれてた小春に何より感謝だね」 ホカホカ
小春 「えっへん! もっと褒めてくれちゃってもいいんだよ!!」 ドヤァァ
恋 「やめとくわ、調子乗りそうだし」
小春 「酷いっ!」
ひより 「あはは...」
小春 「ていうか、二人共あの場にいたなんて知らなかったよ。声かけてくれればよかったのに」
ひよ恋 (かけられる雰囲気になかった件について)
小春 「わたしも雨が降るなんて知らなかったから雨具とか持ってなかったけど、帰るときに声かけてくれれば一緒に帰れたと思うなぁ」
ひより 「えっ、ちょっと待って? 小春、事前に雨の予報を知ってたから急いで帰ったんじゃなかったの?」
小春 「これが違うんだなー。話せば長くなるんだけど、教えてくれたんだよ」
恋 「誰にさ。あんたの周り、誰もいなかったでしょうに」
ひより 「あ、それわたしも気になる」
ひよ恋 (実のところ、やっぱりあのシーにゃんが喋ったりするわけがないんだ。この機会に、ちゃんとからくりを聞いておこう)
小春 「この子だよ?」 チャリン
< シーにゃんのマスコットストラップ
ひよ恋 「」
小春 「だから、この子。ひよりちゃんに貰ったシーにゃんの...」
ひより 「ちょ、ちょっと待ってね」
恋 「状況を整理したいから一旦ストップで」
小春 「う、うん」
ひより 「やばいよ」
恋 「やばいね」
ひより 「ストレスとか溜まってたのかな? 癒してあげられるのかな? わたし、どこまでできるのかな?」
恋 「小春に負けず劣らず、君もいちいち台詞が重いな」
ひより 「小春には申し訳ないけど、あれは明らかに異常だって。シーにゃんの、しかもマスコットストラップだよ? 恋ちゃんもよくわかってる通り、それが喋るなんて普通常識的に有り得ないんだよ」
恋 「じゃあ、小春は何の声を聞いたの?」
ひより 「そ、それは...」
ひよ恋 「...」
ひより 「... イマジナリーフレンド?」
恋 「割と可能性ありそうで反応に困る」
小春 「むぅぅ... 二人共わたしとシーにゃんのこと疑ってる...」
シーにゃん 《仕方ないよ。ぼくはそういう存在なんだから》
小春 「そんな悲しいこと言わないでよ。... 確かに最初は、わたし自身もシーにゃんのことを疑ったけどさ」
シーにゃん 《... 仕方ないよ。ぼくはそういう存在なんだから (震え声) 》
小春 「シーにゃん泣かないで... あれ、君って涙腺あるの?」
シーにゃん 《ないよ。だってぼく、マスコットだもん》
小春 「じゃあ問題ないね! いやー、良かった良かった」
シーにゃん 《ぼくの心が泣かないとは限らないのだが?》
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ひより 「ごめんね小春、ちょっと話し込みすぎちゃった」
小春 「いいよいいよ。ところで、ひよりちゃんも恋ちゃんもわたしのこと信じてないでしょ?」
ひより 「そ、そんなことは...」
恋 「うん、ぶっちゃけ滅茶苦茶疑ってる」
ひより 「恋ちゃん!?」
恋 「ここで嘘ついてもしょうがないでしょ。結局、わたしたち明確な答え出せなかったんだし」
ひより 「うぅむ...」
小春 「そうだよね... でも、正直わたしにはどうすることも...」
シーにゃん 《じゃあ、こうしたらいいよね!》
小春 「シーにゃん!?」
シーにゃん 《ひよりちゃん、恋ちゃん、聞こえますか?》
ひよ恋 「!?」
ひより 「小春、今何か言った...?」
小春 「ううん、何も」
恋 「嘘でしょ... ということは、本当に...」
シーにゃん 《良かった、聞こえているみたいだね。改めまして、ぼくはシーにゃん! 今、ひよりちゃんと恋ちゃんの脳に直接語りかけています》
ひより 「それではここでシーにゃんさんにクイズです。イワナが『岩魚』という名前で呼ばれる理由を簡潔に述べよ」
小春 「突然のクイズ!?」
シーにゃん 《岩の隙間に潜んでなかなか出てこないから》
小春 「しかも当たってる!?」
ひより 「正解っ! 見事正解したシーにゃんさんには、スーパーUCHINO神人形を贈呈いたします」
シーにゃん 《スーパーUCHINO神人形!?》
小春 「それさ、贈呈するものじゃなくて回答前にベットするものじゃない? で、間違えるとぼっしゅーt...」
ひより 「それ以上言ったら駄目だよ。怒られちゃうから」
小春 「アッハイ」
恋 (茶番が長い...)
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ひより 「はい、シーにゃん。約束のスーパーUCHINO神人形だよ」 コトッ
シーにゃん 《実在するものだったんだ...》
小春 「マスコットキーホルダーに対して謎の人形を贈呈する女子高校生」
恋 「正気を失いそうな構図だよほんと」
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ひより 「それにしても... まさかシーにゃんとお話できる日が来るなんて、夢にも思わなかったよ」
恋 「わたしとしては、そこよりも先にマスコットストラップと会話する日が来たことに驚くべきだと思うんだけど」
小春 「ねー、わたしの言った通りだったでしょ?」
シーにゃん 《ぼくも、三人とお話できることが嬉しいよ! 偶に小春ちゃんのバッグから見える範囲で三人を観察してたんだけど、本当にいつも仲が良さそうで。だから、見ているだけでも楽しいなって思ってはいたけどね》
小春 「シーにゃんのえっち」
シーにゃん 《どうして!?》 ガーン
恋 「真っ先にそういうことを思い浮かべる辺り、小春の方がえっちだと思うよわたしは」
小春 「なっ!?///」 カァァァ
ひより 「えーと、なんの話?」
小春 「...」 ナデナデ
ひより 「こ、小春っ!?」 ピクッ
小春 「いいんだよ、ひよりちゃんはそのままで」 ナデナデ
ひより 「あわわわわ...///」 プシュー
恋 「ここぞとばかりにお姉ちゃんムーヴすな」
シーにゃん 《ボクハ... エッチ... ダッタ...?》
恋 「しっかりしてよ、あんた意外とまとも枠なんだから」
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小春 「ていうか、二人共わたしが釣りしてるとこ見てたんだよね? てことは、サプライズは失敗かー...」
ひより 「ごめんね...」 シュン
小春 「でもいっか、今日はごちそうだよ!」
ひより 「やったー!」 キラキラ
恋 「おぉ、善き哉善き哉」
小春 「恋ちゃんも一緒、でしょ?」
恋 「わ、わたしはいいって。気にすることないよ...」
ひより 「えー、ゆっくりしていきなよー。恋ちゃんとは長い付き合いなんだし、逆に気にすることなんてないでしょ?」
恋 「ひ、ひよりまで...」
小春 「もしもし隼人くん? ... あ、恋ちゃんのお父さん! どうもです」
恋 「いつの間に電話を!? ていうか、何でこういうときに限って親父が居るのよ!?」
小春 「はい、そうなんです。そういうわけで、ちょっと恋ちゃん借りますね。それではー」 ピッ
小春 「にしし、おうちの許可取れたよ」
恋 「... もう好きにしてよ...」 ハァ
ひより 「あのさ恋ちゃん、まるで物を借りるみたいな言い回しだったことは突っ込まなくていいの?」
恋 「そこまでやってたら過労死するわ...」 ゼェゼェ
シーにゃん 《よーし、これで決定だね! 恋ちゃんも一緒にごはーん♪》
小春 「どうして君が仕切ってるのさ」
シーにゃん 《別にいいじゃあないか》
恋 「むしろ一周回ってこれが最適解まである」
ひより 「流石はまとも枠」
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小春 「じゃーん!! 皆大好きアジフライでーす!!」 バァァァン
ひより 「いつ見ても美味しそう」 ジュルリ
恋 「食いしん坊か」
シーにゃん 《美味しそう...》 ジュルリ
小春 「共喰いかな?」
シーにゃん 《さっきも同じこと訊かれたような》
恋 「二度目はこだまか」
小春 「小春だよっ!!」 カッ
シーにゃん 《なにこれ》
ひより 「あははははっ!! おもしろーい!!」 キャッキャッ
小春 「わたし、たまにひよりちゃんのことがわからなくなるの」
恋 「大丈夫、わたしもだから」
シーにゃん 《あれ? アジフライの他にも何か作ったの?》
小春 「うん! つみれ汁となめろうも作ったんだー」
ひより 「うわぁー!! いっぱい釣ったんだねー!!」 キラキラ
恋 「ひより、小動物みたい」
シーにゃん 《わかる》
ひより 「小動物じゃないもん!」 プクーダラダラ
恋 「いや、君さっきからよだれを隠せてないが」
ひより 「うぇっ!?」
シーにゃん 《ハムスター感あるよね》
小春 「確かに」
ひより 「うぅ...///」
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小春 「それじゃあ...」
ひよこは恋 「いただきまーす!」
ひより 「アジフライおいちいです」 ムシャムシャ
小春 「喜んでもらえてうれしいよぉ」
恋 「ほーれひより、あーん」 スーッ
小春 「なんですと!?」 ビクッ
ひより 「あーん... ぱくっ」 モグモグ
ひより 「ん〜〜♪」 ポワポワ
恋 「へっ、ちょろいもんだぜ」 ニヤッ
小春 「こーいーちゃーんー??」 ゴゴゴゴゴ
恋 「ひぃっ!?」
ひより 「?」 モグモグ
シーにゃん 《...》
小春 「... で、シーにゃんはさっきからどうしたの?」
シーにゃん 《ぼく... 何も食べられない...》
ひより 「そっか、マスコットだから...」
小春 「お供えしたらどうにかなったりしない?」
恋 「どういう仕組みよ」
シーにゃん 《ごめんね、どうしても無理なんだ。ぼくはマスコットだから、食べたものを消化する機構が体内にない。そもそも、口が機能してない》
小春 「じゃあどうやって喋ってるのさ」
シーにゃん 《所謂テレパシーでございます》
小春 「そうだった」
ひより 「ごめんねシーにゃん。シーにゃんの気持ちも知らないで、わたし...」 シュン
シーにゃん 《あぁ違うんだ、別に責めたいわけじゃないんだよ。これはぼく自身の問題なんだし、気にしないで三人でいっぱい食べて》
小春 「で、でも...」
シーにゃん 《ぼくは見てるだけでお腹いっぱいだからさ、ほら》
恋 「シーにゃん、あんた...」
ひより 「... うん、わかった。今はシーにゃんの分まで、皆で味わうね。その代わり!」
シーにゃん 《その代わり?》
ひより 「今度のお休みにわたしたちお出掛けするんだけど、シーにゃんも一緒に行こうよ!」
シーにゃん 《えっ、いいの!? 行き先はやっぱり水族館とか?》
小春 「ううん、動物園だよ」
シーにゃん 《よ、予想外っ!》
恋 「まっ、たまにはいいよねってノリで。因みに、発案者はわたし」
シーにゃん 《な、成程...》
ひより 「ね、どうかな?」
シーにゃん 《...》
ひより 「...シーにゃん...?」
シーにゃん 《うぇっ!? な、何でもないよっ! ぜ、是非とも一緒に!!》
ひより 「良かったぁー、今から楽しみだね!!」
シーにゃん 《...うん》
小春 (...?)
恋 「さ、気を取り直してご飯食べましょ」
ひより 「そうだね! 小春も早くっ」
小春 「えっ、お、おっけー!」
小春 (... 何か引っ掛かる)
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ひより 「ごちそうさまー♪」
恋 「毎度ながら、小春の料理のうまさには驚かさるよ」
ひより 「わたし、なめろうが特にお気に入りかな」
恋 「いやいや、つみれ汁もなかなか捨て難い」
小春「アジフライは!? アジフライは何処 (いずこ) へ!?」
ひよ恋 「殿堂入りです」
小春 「あ、そういうこと」
シーにゃん 《三人共幸せそうでぼくは満足です》 ポワポワ
ひより 「シーにゃん、結構表情豊かだよね」
恋 「表情が動かせないマスコットなのに表情豊かとはこれ如何に」
小春 「まぁまぁ。それにしても... いやー、こんなに褒めてもらえて感無量だよ」
ひより 「また作ってね、小春!!」
恋 「わたしも楽しみにしてるよ」
小春 「おぉ、恋ちゃんが素直だ」 キラキラ
恋 「どういう意味よ」
ひより 「ふふっ、見ていて微笑ましいよ」
恋 「あ、そろそろわたし帰ろうかな」
小春 「じゃあ、ひよりちゃん。恋ちゃんを送ってあげて」
ひよ恋 「えっ!?」
小春 「そ、そんなに驚く!?」
ひより 「だ、だって、ねぇ...」
恋 「わたしたちが帰ってきたときのあの反応を思い出すと、意外すぎる言葉で...」
シーにゃん 《一体何があったのか気になって仕方ない》
小春 「え、えーと... ほら、そのときに二人のことををちょっと怖がらせすぎちゃったからさ。反省の意味も込めて、ね?」
ひより 「別に気にしなくていいんだけどなぁ... でも、わかったよ。恋ちゃん、行こっか」 ガチャッ
恋 「う、うんっ。小春、今日はありがと」 トトト
ひより 「小春、また後でねー!」 トトト
小春 「いってらっしゃーい!!」
バタン
小春 「...」
シーにゃん 《行っちゃったね、二人共》
小春 「... シーにゃん。隠し事無しで、教えてほしいことがあるの」
シーにゃん 《え? 小春ちゃん、どうしたの?》
小春 「さっきから、君の反応が気になっているんだ。具体的には、わたしたちが動物園に君を連れていくって話をしてた辺りから」
シーにゃん 《こ、小春ちゃん? 一体何を》
小春 「最初にひよりちゃんからその話題が出たときの反応から、楽しみに思っていないという線は消える。でも、君はどこか思い詰めたような声色をしていた。まるで、何かどうしようもない事情があるかのように」
シーにゃん 《...それは...》
小春 「わたしはそれで、色々考えた。その結果、一つの可能性が思い浮かんだ。そもそもの話、君はマスコットなんだ。それも、ある日突然話せるようになった。つまりは、逆のことが起こってもおかしくない」
シーにゃん 《...》
小春 「答えて、シーにゃん。君はもしかして、もうすぐ─」
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[週末]
ひより 「えへへー、三人で動物園なんて初めてだからわくわくするよ」
小春 「ひより、はしゃぎすぎ」
ひより 「恋ちゃんこs... え、小春!?」
恋 「残念だったな、わたしはここだ」
ひより 「うぅ... からかわないでよぉ」 モジモジ
小春、恋 (なんだ、このかわいい生き物は)
ひより 「... なんか二人共、わたしのこと変な目で見てない?」 ジトー
小春 「そんなまさか、滅相もない」
恋 「そうだよ、気にしすぎ」
ひより 「...」 プクー
小春 「あーあ、恋ちゃんのせいでひよりちゃん拗ねちゃったー」 ツンツン
恋 「ひよりのほっぺつんつんしないの。ていうか、わたしのせいなの?」
小春 「ううん、わたしも多分に悪い」 ドヤァァ
恋 「ドヤ顔するとこじゃないでしょ、そこは」
ひより 「... さて、行こっか」
小春 「そうだね!」
恋 「全く、慌ただしいったらないんだから。もう」 クスッ
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小春 「うぉぉ!! キリンだよキリン!!」
恋 「はしゃぐなはしゃぐな」
ひより 「お魚、いないの...」 ヨヨヨ
小春 「無茶言うな魚バカ」
ひより 「今日の小春、たまに恋ちゃんになるよね」
恋 「どういう意味だ」
ひより 「でも、動物もなかなかいいね。あそこにいるのは... えーと...」
キリン的な何者か 「...」
恋 「オカピだね。一応キリンの仲間」
小春 「キリ、ン...?」
ひより 「へぇー。シマウマみたいなおしりしてるのに」
恋 「見た目には騙されるなってことだね」
小春 「お魚もそうだけど、生き物って本当に種類が豊富だよね」
ひより 「確かに。魚で言うと、速く泳げたり、周りに紛れる色をしてたり、イソギンチャクに耐性があったり、卵を産むために海から川に移動したり...」
恋 「それは、生きやすいように周りに適応してきた結果ってこと。皆必死なんだよ」
ひより 「生物多様性、だねぇ」
小春 「... じゃあさ」
恋 「小春?」
小春 「喋る猫耳のお魚がどこかにいても、きっと変じゃないよね」
ひより 「!!」
恋 「... それはどーだろうね」
小春 「あはは、ちょっと夢見すぎちゃったかな。折角連れてきたのに」 カチャリ
シーにゃんストラップ 「」
恋 「... 喋らないよね、何度見ても」
ひより 「シーにゃん...」
小春 「...」
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シーにゃん 《ねぇ、小春ちゃん》
小春 「なぁに、シーにゃん」
シーにゃん 《明日は存分に楽しんできてね》
小春 「... 本当にどうにもならないの? 確かに、方法はなんにも思いつかなかったけどさ」
シーにゃん 《いいんだよ、もう。ぼくは、ゲームで喩えるとバグみたいなものなんだ。結局、どうやって生まれたのかはわからずじまいだったけれど、確実に言えることは》
シーにゃん 《ぼくはもうすぐ死ぬんだってこと。それは、君が推理した通りだ》
小春 「...」
シーにゃん 《そして、これは単なる直感だけど... 恐らく今夜が山場だ。この夜を、ぼくは超えられないだろう》
小春 「... そんな」
シーにゃん 《だからこそ、君と過ごせることが嬉しい。本当にありがとう》
シーにゃん 《... 小春ちゃん》
小春 「... 何さ」
シーにゃん 《約束してほしい。ぼくの分まで、いっぱい楽しんで。それが、ぼくの幸せ》
小春 「... やだ」 プクー
シーにゃん 《そんなこと言わないでおくれよ。ぼくだってどうにかしたいのはやまやまなんだ》
小春 「... じゃあ」
シーにゃん 《じゃあ?》
小春 「明日、君を連れて遊びに行く。たとえ君がもういなくなっているのだとしても、わたしは君と行きたい」
シーにゃん 《... それを止めるのはぼくにはできない。いわば、君の自由だ》
小春 「でも、寂しくなるなぁ。もっと色々とお話したかった」
シーにゃん 《ぼくも。我ながら短い時間だったと思うよ》
小春 「... もしかして、眠い?」
シーにゃん 《よくわかったね。どうやら、時間が来たみたいだ》
小春 「シーにゃん、ゆっくりお休み。そして、ありがとう。わたし、楽しかったよ」
シーにゃん 《あぁ。こちらこそ、ありがとう。ひよりちゃんと恋ちゃんにも、ぼくの感謝の言葉を伝えておいてほしいな》
小春 「うん、おっけー」
シーにゃん 《それじゃあ、おやすみ》 zzz...
小春 「... おやすみ、シーにゃん。素敵な夢を」 ウルッ
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小春 「...」
小春 「... わたし、ちゃんと君を連れてきたよ。約束、守ったよ」
小春 「見てて。これからも、色んな場所に連れてくんだから」
ひより 「小春...」
恋 「...」
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ひより 「小春、ここはどこ?」
小春 「お土産コーナーだね。種類も豊富でわくわくする」
恋 「買いすぎないようにね」
小春 「わかってるもん」
ひより 「あ、シーにゃんストラップ」
恋 「流石はひより、食いつきが早い」
小春 「毛ばりをぱくぱくするお魚の真似をしちゃう子だもの」
ひより 「も、もうそれはいいじゃん...///」
恋 「...」 ジェラッ
恋 「... それはそうとして。買うの?」
ひより 「ううん、やめとく。わたしはもう持ってるし」
小春 「わたしも。この子がいるからね」 カチャ
恋 「まるで我が子の紹介のように見せびらかすな」
ひより 「恋ちゃんは?」 チラッ
恋 「うーん... わたしもやめとこうかな」
ひより 「...」 スッ... トテトテ
小春 「え、ひよりちゃん!? 買わないんじゃなかったの?」
恋 「実に激しい心変わりだな... あ、戻ってきた」
ひより 「お待たせ。これ、恋ちゃんにあげるよ」 スッ
恋 「ふぇっ!?」
小春 「!?」
ひより 「恋ちゃん、ちょっとストラップが気になってる様子だったから。もしかしたらって思ってさ」
恋 「... もう、ほんとずるいよ。ひよりは」 カァァァァ
ひより 「えへへ」 ニコッ
恋 「...///」
小春 「...」 ジェラッッ
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ひより 「もう帰る時間かー」
恋 「結構満喫できたね」
小春 「はぁはぁ、待ってぇ...」 ゼェゼェ
ひより 「小春、お土産買いすぎ」
恋 「折角わたしが忠告したというのに」
小春 「後悔はないよっ!!」
恋 「ま、本人が満足ならそれでいいんだけどね」
ひより 「そろそろ行こうか、あんまり遅くなるのも良くないし」
小春 「また来ようね、動物園!」
ひより 「あ、今度は水族館も行きたいです」
恋 「はいはい、また今度ね。そう頻繁には行けないから」
ひよこは 「... はーい」
恋 「息ぴったりだな君たちは」 ナデナデ
小春 「そう言いながら、ひよりちゃんに貰ったストラップの入った袋を優しく撫でる恋ちゃんであった」
恋 「!!??」 ビクッ
ひより 「プレゼントした甲斐があったってものだよ」
恋 「わ、わたし、そんなことしてないしっ」 アセアセ
小春 「恋ちゃんかっわいー」 ツンツン
ひより 「かわいいねー」 ツンツン
恋 「ほっぺつんつんするなー!!」
ひよこは 「恋ちゃんはかわいい、恋ちゃんはかわいい...」 ヒソヒソ
恋 「み、耳元でASMR的なあれをするのやめてぇ」 ゾクゾクッ
ひよこは 「コイチャンカワイイコイチャンカワイイ...」 ヒソヒソ
恋 「ちょ、ちょっと落ち着いて... こわいよ...」
ひよこは 「恋ちゃんぎゅーっ!!」 ギュー
恋 「な、何なのよもーう!!」 グルグルメ
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恋 「そ、それじゃあまた学校で...」 フラフラ
ひより 「またね〜」 ミギテフリフリ
小春 「恋ちゃん、なんかふらふらだね」
ひより 「ちょっとやりすぎたかな?」
小春 「かわいすぎる恋ちゃんが悪い」 ウンウン
ひより 「百理ある」
小春 「ところでさ。恋ちゃんもひよりちゃんにシーにゃんのマスコットストラップを貰ったじゃない?」
ひより 「うんうん。まさに今日の出来事だね」
小春 「急に喋りだしたりしないかな」
ひより 「マスコットが?」
小春 「マスコットが」
ひより 「いやいや、流石にないでしょ」
小春 「やっぱりそうかぁ」
恋 「... うーむ」 ジッ
シーにゃんストラップ 「」
恋 「ない... よね? まさか...」
恋 「...」
ひより 「ふぁぁぁ... なんだか急に眠くなってきちゃった」
小春 「わたしたちも帰ろっか」
ひより 「うん、そうしよ...」 チラッ
ひより 「... あ」
小春 「どしたの?」
ひより 「小春、あれ見て」 ユビサシ
小春 「あれ、って... 空? えぇと...」 チラッ
小春 「うわぁ! おっきな雲」
ひより 「あの雲、何となくシーにゃんに見えない?」
小春 「確かに。あそこが耳で、あそこがしっぽで...」
ひより 「こうして眺めてると、優雅に泳いでるみたいだね」
小春 「シーにゃんは今、もしかするとあそこにいるのかな」
ひより 「ふふっ。そしたら、わたしたちのことも見てるのかもね」
小春 「... シーにゃんのえっち」
ひより 「いやどうしてそうなるのさ」
ひより 「... シーにゃん。わたしは、結局言いそびれちゃったけどさ」
ひより 「せめて、独り言を言わせてほしいんだ。『ありがとう』っていう言葉をね」
ひより 「たとえ届かなくても、わたしは忘れないよ。シーにゃんがいたっていう、不思議な奇跡を」
小春 「ひよりちゃん...」
ひより 「小春...」
小春 「... ごめん。ちょっとイタいよ、今のひよりちゃん」
ひより 「え゛」
小春 (... 良かったね、シーにゃん)
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[とある休日]
恋 「やっほ、来たよ」
ひより 「恋ちゃん、いらっしゃい!」
恋 「今日はどうぞよろしく」 チャリン
ひより 「あ、それもしかしてわたしがあげたやつ?」
恋 「う、うん。そうだよ」 スッ
シーにゃんストラップ 「」
ひより 「付けてくれたんだ。ありがとね」
恋 「そ、そんなお礼言われるほどのことじゃないしっ」
ひより 「いいの、わたしの嬉しい気持ちの表明だから」
恋 「そ、そう...///」
小春 「...」 ズンッ
恋 「...ところで... この仁王立ちでパイを抱えたシェフは何なの?」
ひより 「さぁ...?」
恋 「小春、今度は一体どうしたのさ」
小春 「ぴすt... ビストロ海凪へようこそ」
恋 「は?」
小春 「ビストロ海凪へようこそ」
恋 「いや聞こえなかったわけではないが」
小春 「じゃあいいや。今日は、これを恋ちゃんにおみまいするぞぉ」
ひより 「おみまいて」
恋 「言い方が物騒だな、いつも君は」
小春 「撃ち抜くぞぉー!! 撃ち抜くぞぉー!!」
ひよ恋 「はいアウト」
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ひより 「パイ美味しかったー」
小春 「えっへん、どんなもんだい」 ドヤァ
恋 「でもさ... あの前振りから普通に美味しいって、ある意味駄目じゃなくて?」
小春 「うぐっ」
ひより 「言われてみれば...」
小春 「そ、その辺は気にせずということで...」
恋 「ま、美味しかったのは事実だし、自信持っていいと思うよ」
??? 《そうだよ小春ちゃん! 自信持って!!》
恋 「ひよりもこう言ってることだし...」
ひより 「? わたし、何も言ってないよ?」
恋 「え?」
小春 「恋ちゃん... まさか日頃のストレスの影響で遂に幻聴を...」
恋 「その言い方やめて。おかしいな、確かにひよりそっくりな声だったんだけど」
ひより 「そう言われてもねぇ」
小春 「... これはもしかして」
ひより 「小春?」
小春 「恋ちゃんのストラップが喋ってるパターン、じゃない?」
恋 「!?」
ひより 「うーん、どうなんだろう」
恋 「...」 チャラン
小春 「そんな神妙に確かめなくても」
恋 「う、うるさい」
??? 《違うよ恋ちゃん、ぼくはそこじゃない》 < CV. 久住琳
ひよこは恋 「!?」
ひより 「い、今、確かに聞こえた」
小春 「思ってた十倍はひよりちゃんの声だった」
恋 「じゃ、じゃああんたは一体どこに...」
??? 《ぼくはここだよ! ね、ひよりちゃん》
ひより 「へ、わたし?」 キョトン
小春 「この声の主、妙にひよりちゃんに馴れ馴れしい」
ひより 「うぅ... ちょっと怖いよぉ...」 ギューッ
小春 「あ、それはいつかの釣り大会の景品だった」
ひより 「そう、シーにゃんのぬいぐるみ。おっきくてふわふわしてるから、抱きしめると落ち着くの」 ギューーッ
小春 「ふーん」
??? 《あはは、そんなにぎゅってされると苦しいよ》
ひより 「ひぃぃん!?」 ビクッッ
小春 「も、もしかして、貴方は!?」
シーにゃん (巨大ぬいぐるみ) 《そうだよ! ぼくはシーにゃん!! よろしくね!!》
ひよこは恋 「...」
ひよこは恋 「えぇーーっ!?」
--fin--
[あとがき]
はい、ということで終わりです。ぱくっ!! ぱくっ!!
『スローループ』は、2022年6月現在で刊行されている単行本1〜6巻を所有しており、全て読了済です。
こちらについても作品を知る切っ掛けはアニメだったのですが、ギャグシーンとシリアスなシーンとエモーショナルなシーンの匙加減が絶妙で個人的に大好きです。
シナリオ構成が山田由香氏だったり音楽が伊賀拓郎氏だったり、星空を眺めるひよりと小春のシーンが丁寧に描かれていたりと、どこか恋アスみを感じて同作の大ファンとしても満足の一言でした。
「釣り」という視点で見るのも良いですが、「家族の絆」という視点で見ても味わい深いのが印象的です。恋ちゃん周りのお話も含めて、様々な形で家族の愛を俯瞰できる良作といえましょう。
因みに、当SSのラストに登場したシーにゃんですが、最初に小春のマスコットストラップに宿ったシーにゃんとの関係性は敢えて記載しませんでした。同一の存在なのか、同じではないが似たような存在なのか、それとも全く別なのか...。その辺りは、読者様のご想像にお任せします。
あと、このSSは本来アニメ放映中の期間に出すべきだったということは理解していますが、間に合いませんでした。ゆるして。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
[これまで書いたSSリスト (順次追加) ]
・ 『あお 「くじら座の変光星の女の子」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3596&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29338408.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17271872
・ 『変な生き物 「遂に誰からも本名で呼ばれなくなった」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3602&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29371224.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17272934
・ 『クレア 「わたしは鍵の管理人」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3607&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29421806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17274145
・ 『クロ 「この丘から見える星空は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3619&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29460066.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17278807
・ 『きらら 「ツンツーンください!!!!!!!!」 サンストーン 「いきなりでけぇ声あげんなよ うるせぇよ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3637&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29571518.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17279756
・ 『みさ「みらがかわいすぎて生きるのがつらい」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3650&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29631528.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17280762
・ 『シャミ子 「杏里ちゃん、一緒に帰ろ?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3668&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29760440.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17285569
・ 『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29831832.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
・ 『スズラン 「飯奢ってくれ」 ロベリア 「図々しいわね、呪うわよ...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3702&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29946896.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17289587
・ 『シャロ 「貴方が教えてくれること」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3720&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30014131.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291478
・ 『みら 「あおー、ぼくの着替え知らない?」 あお 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3727&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30053806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291693
・ 『舞 「わたしが歩んできた道は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3742&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30108512.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17293779
・ 『千矢 「山で遊んだお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3754&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17318983
・ 『あお 「みらが知らない女性と仲良く話してる」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3764&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17415852
・ 『ランプ 「うつつさんがきらきらしています」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3770&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474617
・ 『ユウ 「クラスのみんなにおでこぱしーしまくってたら海果がすねた」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3775&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17523413
・ 『桃 「シャミ子、ごめんね...」 シャミ子 「...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3781&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17572005
・ 『あお 「君の心を覗きたいんだ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3793&ukey=0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17654759
・ 『小春 「全然釣れないよー」 ??? 《諦めないで!》 小春 「!?」』: このSS
さて、ここでいくつか訂正。
>>19
『恋 「誰にさ。(以下略)」』→『恋 「誰がさ。(以下略)」』
こちらのほうが文章の流れ的に正しいかと。
>>62
「ぬいぐるみ」と表記しているところを「抱き枕」にします。
ちゃんと直したはずだったのに、投稿用の下書きだけ直っていませんでした...。
色々すみません。Pixiv投稿時には修正しておきます。
どうもペンギノンさァん、知ってるでしょう?
いつものスズロベ推しの人でェございます。
おぉい、クリエ摂らねぇかァ!!!
ぬいぐるみには魂が宿る。マスコットとて例外にあらず……。
ぬいぐるみも家族……ンンーーー、うるわしいねェ、もう胸がいっぱいだ(尊さで)。
……某まちカドまぞくとコラボしたリズムゲームみたくアイテムとして実装されないかな、各イベのクリエメイトのぬいぐるみ(※きららたちきらファンキャラを含む)実装されねえかな。
投稿お疲れ様です
シーにゃんがずっと某空飛ぶ謎の生き物の声で再生されています。どうしたらいいですか(笑)
コモジで動きが表現されているので、直感的にわかり易かったです。感情を文章で表現しないので、ライトに読めましたが、どうやら私はヘビーが好きなようです。
次回も楽しみです
>>69
作者です! いつもコメント感謝です!
私もそのグッズ欲しいです! みらあおちゃんとかもいいけど、あおちゃんのバッグに付いてるクジラの巨大ぬいぐるみとかどうかな!!
(因みに、このSSの出発点のひとつはあおちゃんのクジラキーホルダーです)
「子どもたちもおいでぇ、クリエあるよぉ」
「尊いかぁい? 私はもっと尊いものをぉ、原作者様から頂いているんだよぉ」
「残さず読めよぉ」
>>70
作者です! カレル様、コメントありがとうございます!
空飛ぶ謎の生き物... 一体何者なんだ... (※本当にわかってない)
文章形式じゃないタイプ (台詞形式) のSSは、いつもこんな感じで書いてます。
実のところ、文章形式の方が私の本来の作風なのですが、生産できる量はあまり多くありません。これ、とても時間かかるのですよ... (例えば、3月に出したココシャロのSSは発表する2ヶ月前から書き始めていました) 。
台詞形式は執筆スピードが速くできるのもそうですが、登場人物をいっぱい出しやすいのもいいところです。一方、文章形式は登場人物の心情をダイレクトに記述できたり、詩的な文体を盛り込めたりといった点が気に入っています。要は使い分けですね。
>>72
あ、「某空飛ぶ謎の生き物」ってあいつか、変な生き物か!!
今更になって気付きました。おかしいな、変な生き物主役でSS書いたこともあったくらいなのに...。
確かに一人称が「僕」ですし、白いし、喋り方も似てるかも。
特に意識したつもりはなかったのですが... そう言われてみると、三森氏のボイスで脳内再生余裕すね
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