SCENE1 お昼寝
今日はシャロちゃんの家でシャロちゃんと一緒に夏休みの宿題をやっています。
千夜「シャロちゃんが淹れてくれたハーブティー、おいしかったわ。」
シャロ「よかった。千夜にはこれが合うと思ったの。」
シャロ「さて、宿題の続きね。今日は数学を…」
千夜「シャロちゃん…」
千夜「なんだか眠くなってきちゃった。お昼寝してもいいかしら?」
シャロ「何しに来たのよアンタは…。」
千夜「いつも午後の授業とか眠くなるでしょ?少し休みたいわ。」
シャロ「しょうがないわね。」
とはいえ、夏休みでお店が忙しい千夜のためにリラックス効果のあるハーブティーを選んだから眠くなるのは仕方ないのかも。
ずっと頑張ってたから疲れをとってほしかったし。
シャロ「じゃ、じゃあ私のベッド使っていいから、少し休憩しなさい。」
千夜「ありがとう。シャロちゃん。」
そう言って、私はシャロちゃんのベッドで横になる。
安心する匂い。私の大好きな匂い。
千夜「それじゃあ、シャロちゃんも一緒に寝ましょう?」
シャロ「!?」
シャロ「ふぇ!?何言ってるのよアンタは?」
千夜「ダメ?小さい頃はよく一緒に寝てたでしょ?」
シャロ「そ、それはそうだけど…。」
千夜「………」ジッー
千夜がお願いするようにじっと見つめてくる。
な、何よ。別にかわいいなんて思ってないんだから。
シャロ「…分かったわよ。一緒に寝ればいいんでしょ?」
千夜が寝ているベッドに入る。
千夜「嬉しいっ!」
ついシャロちゃんに抱きついちゃった。
シャロ「寝るんじゃなかったの!?」
千夜「………」
シャロ「………」
お互いに見つめ合う。
千夜(ち、近い。)/////
シャロ(もうっ、何か変にドキドキしてきたじゃない。)/////
千夜「シャロちゃん…」
シャロ「な、何よ?」ドキッ
千夜「なんか、すごく暑くなってきたわ…。」
シャロ「真夏なのにぴったりくっつくからでしょー!!」
―――
千夜「………」スヤスヤ
千夜はもう寝たみたいね。
思えば、お泊まりで同じ部屋で寝ることはあっても同じ布団で寝るのは久しぶりね。暖かくて心地いいな…。
シャロ「また、一緒に寝たいな。」
なんて、恥ずかしくて直接言えないから千夜が寝てるときに呟いてみた。
千夜「シャロちゃんおはよう〜」
シャロ「ぴゃっ!?」
千夜、起きてたの!?
シャロ「い、今の聞いてないでしょうね?」
千夜「何が?」
シャロ「何でもない。」
シャロ「それより宿題の続きやるわよ。」
千夜「シャロちゃん、私ね、夢をみたの。」
千夜「小さい頃の私とシャロちゃんが一緒にお昼寝する夢。夢の中でシャロちゃんがまた一緒に寝たいって言ってくれて嬉しかったわ。」
シャロ「…そう。」
シャロ「でも、もしかしたら夢じゃなかったんじゃない?」ボソッ
千夜「シャロちゃん、何か言った?」
シャロ「何も言ってないわ。」
―――
千夜「ありがとう。シャロちゃんのおかげで苦手な数学を終わらせられたわ。」
シャロ「どういたしまして。…なんか嬉しそうね。どうしたの?」
千夜「ふふっ。一緒に勉強したり、お昼寝したり、シャロちゃんと過ごす普通の日常が楽しくて大好きだなあって。」
シャロ(千夜…)
千夜「ところで、美術の宿題があるんだけど…」
千夜「シャロちゃんの寝顔をスケッチしてもいいかしら?」
シャロ「ダメに決まってるでしょー!!」
SCENE1終わりです。
「百合ではないけど大好きな(大切な)人」を意識して書いてみました。
いつになるか分かりませんが、話を思い付いたら続きも書きたいと思います。
読んで頂いた方、本当にありがとうございました。
千夜シャロは尊い。
>>10
早速のコメントありがとうございます。
シャロはリゼ先輩に憧れてはいますが、幼なじみの千夜のこともちゃんと大切に思ってるというのがすごくいいです。
読ませていただきました!
千夜ちゃんかわいいです!
幼馴染だからこその空気感ですね!
>>12
感想ありがとうございます!
千夜シャロに限らず幼なじみの空気感はとても良いものです。
SCENE2 夏祭り
今日は街の夏祭りの日。
ココアちゃん、リゼちゃん、チマメちゃんとの待ち合わせの場所にシャロちゃんと一緒に向かっています。
千夜「シャロちゃん、浴衣よく似合っててかわいいわ。」
シャロ「ありがと。千夜もよく似合ってるわよ。」
千夜「それにしても、人がたくさんいるわね。」
シャロ「年に一度の夏祭りだもんね。まあ、確かにいつもより人は多い気はするけど。」
千夜「シャロちゃん、人混みに揉まれて迷子にならないようにね。」
シャロ「もうっ。子供じゃないんだから。」
からかいも含めて言ってみたけど、離れ離れになるのが嫌なのは本当よ?
本当に千夜は心配性なんだから。
――別に嬉しくなんてないんだから。
せっかくのお祭りだし、手を繋いで歩きたいな。
でも、シャロちゃん恥ずかしがるだろうな。
シャロ「千夜?どうしたの?何か考えごと?」
千夜「え?ううん、何でもない…きゃっ!」
シャロ「千夜!!」
転びそうになった私の手を握ってくれたその手は、私のよりほんの少し小さくて、優しい感じがした。
シャロ「千夜、大丈夫!?」
千夜「大丈夫よ。ありがとう。シャロちゃん。」
繋がれたままの手を二人とも離そうとはしなかった。
シャロ「まったく…ほら、危ないからこのまま歩くわよ。」
千夜「………」///
シャロ「………」///
シャロ「…それで、何か悩んでたんでしょ?」
千夜「シャロちゃん?」
シャロ「千夜ってば、人の心配ばかりするくせに自分のことになるとうまく話せないんだから。」
シャロ「いつか言ったでしょ。素直に直球で言いなさいって。」
嬉しい。
千夜「ありがとう、シャロちゃん。でも、もう大丈夫よ。」
千夜「昔、二人でお祭りに行ったときみたいにね、手を繋いで歩きたかったの。」
シャロ「はあ、しょうがないわね。それくらい、言えばいつでもしてあげるわよ。」
なんか照れるじゃない。でも、千夜に笑顔が戻った。
シャロ「さあ、行くわよ。みんなを待たせちゃう。」
千夜「そうね。今日はいっぱい楽しみましょ。」
――道中。
千夜「あら、コーヒー味のわたあめなんて珍しいわね。シャロちゃん食べてみない?」
シャロ「って、着く前から酔わせようとするなー!」
SCENE2.5 夏祭りの帰り
みんなと別れ、他愛ないおしゃべりをしながら歩いていると、千夜が呟いた。
千夜「シャロちゃん、私いっぱい歩いて疲れちゃった。少し休んでいきたいんだけど、もう遅いからシャロちゃんは先に帰ってて?」
まったく、この娘は…
シャロ「…ほら。」
千夜「え?」
シャロちゃんは私に背中を向けてしゃがんだ。
シャロ「もう遅いのに、千夜を置いて一人で帰れるわけないでしょ?」
―――石畳に響く足音、どこか懐かしい、ゆりかごのような感覚。そして、シャロちゃんの暖かい背中。
この時間がずっと続けばいいのに。
千夜「シャロちゃん。大好き。」
これからもずっと一緒にいてね。
シャロ「……ん。」
振り向いたら唇が触れてしまいそうな距離で私達は会話を交わした。
誰も知らない、二人だけの夏の思い出。
SCENE2と2.5でした。
原作と比べてシャロちゃんが甘々な気がします。
あと、お話を考えるのって難しいですね。こんな短い話を考えるのにほぼ丸一日かかりました。
今回はここで終わりです。ありがとうございました。
「手を繋ぐ」や「おんぶ」などをキャラクターの性格をうまく出しながら細かく表現できてます。
お互いが攻めであり受けでもある千夜シャロはいい。
>>23
読んでいただいてありがとうございました!
キャラクターの性格がうまく出ていましたか。嬉しいです。
「お互いが攻めであり受けでもある」良いフレーズで素敵です!
こう言うSS大好物です!
少ない文字数から情景を鮮明に想起させる技術も見習いたいなと思いました。
3話の予定はありますか?
>>25
感想ありがとうございます!
自分以外の人が読んでも満足できるのかな?と正直不安でしたが、気に入って頂けたみたいで嬉しいです。
見習いたいなんておそれ多いお言葉もありがとうございます。
3話の予定ですが、いつ頃投稿できるかは未定ですがまた書きたいと思っています。
シャロちゃんでれでれ!
最初にしれっとお互いの浴衣を褒めるあたりもいいです!
こんな短いお話と仰っておりますが、とても濃密な作品でしたよ!1日で書き上げるとは…
>>27
自分が書くとどうしてもデレ要素が強くなってしまいますね…
文章量が短い分、できるだけキャラの心情を描いて内容を濃くできたらと思っています。
読んでいただいてありがとうございました!
SCENE3 雨の日
夏休みのある日、私は部活の助っ人として学校に来ていた。そして、用事が終わって帰ろうと思ったら…
シャロ「えっ?」
そういえば、天気予報見てなかったっけ。
リゼ先輩は今日はラビットハウスでバイトしていて、学校にいる娘はまだ部活の途中。
そうだ!千夜に迎えに来てもらうのは…甘兎でお仕事してるのよね。
雨が止むか、クラスの娘が部活終わるのを待つしかないかしら。
千夜「シャロちゃん、お疲れ様。冷たいお茶持ってきたから、飲んで?」
シャロ「ありがと。千夜。」
・・・・・・?
シャロ「って、千夜!?なんでうちの学校にいるの!?」
千夜「シャロちゃん今朝、傘持っていかなかったでしょ?困ってると思って迎えに来ちゃった。」
シャロ「『来ちゃった。』って、甘兎の仕事はどうしたのよ?」
千夜「雨が降ってお客さん少なくなったから、おばあちゃんが代わってくれたの。」
シャロ「そう。でも、正直助かったわ。」
シャロ「ところで、私の傘は?」
千夜「……あ。」
千夜「ごめんね、シャロちゃん。暑いから飲み物があった方が良いかなって考えてたら、傘を二人分用意するの忘れてたわ。」
シャロ「別にいいわよ。元々、クラスの娘が部活終わったら傘に入れてもらおうと思ってたし。」
自然と頬が膨らむ。
シャロ「…ま、私も千夜が他の娘と同じ傘に入ってたらちょっと妬いちゃうかもね。」
千夜「え?」
シャロ「独り言よ。」
シャロ「それより、さっきより雨が強くなってきたし、早く帰りましょ。」
千夜「は〜い。」
シャロちゃんの隣を歩く。
いつもは家も学校も別の屋根の下だけど、今は同じ天井を共有していることがなんだか嬉しい。
千夜「ねえ、シャロちゃん。」
シャロ「ん?どうしたの?」
千夜「こうしてると、なんだか私達恋人みたいね。」
シャロ「ちょっ…な、何言ってるのよ!?」/////
千夜「うふふっ。冗談よ。」
慌てているシャロちゃん、かわいい。
シャロ「もうっ。」
千夜ったら、無邪気に笑って。
ん?千夜の肩、濡れてるじゃない!
傘、ずっと私の方に寄せてくれてたのね…。
シャロ「千夜。」
シャロちゃんは不意に私の腕をつかんで自分の方へと引き寄せた。
千夜「シャロちゃん?」
シャロ「…一人で濡れるの禁止。もっと、私のそばにいなさいよ。」
千夜「シャロちゃん…。」
シャロ「それと、腕疲れたでしょ。私が持つわ。」
千夜「うん…!」
なんか、とろけちゃいそう。
どうかこのまま、家に着くまで雨が止みませんように。
SCENE3.5 10年前の雨の日
ピカッ ゴロゴロゴロ ドーーーーーン。
シャロ「千夜〜!こわいよ〜!」
千夜「だいじょーぶ。シャロちゃんのおへそは、わたしがまもるわ。」
シャロ「ぐすっ。きょうは、ずっといっしょね?」
千夜「もちろんよ。」
かみなりさまがおこると、シャロちゃんこわがっちゃう。
どうかはやく、あめがやみますように。
雨の日のお話、とりあえず終了です。
学校という舞台でリゼちゃんの名前が出てきて、ふと時系列が気になりました。
原作ではリゼちゃんは卒業していますが、今回の話は夏休みという設定なのでもしリゼちゃんが卒業していて、その年の夏休みだったら、時系列が原作より進んでしまうことになるので、このSSではリゼちゃんがまだ在学中の年ということになっています。
長くなりましたが、読んでいただき、ありがとうございました。
>>37
コメントありがとうございます!
百合に達するギリギリのラインを攻めていけたらと思っています。
ナチュラルに学校にいる千夜ちゃん!なんとなく千夜ちゃんは全部わかった上で何も言ってない感じで…でもシャロちゃんの方に寄せてたことはシャロちゃんにバレてしまう、そんな千夜ちゃんの抜けてるところ可愛いです!
>>39
感想ありがとうございます!
シャロちゃんに気づかれないように傘を寄せますが結局気づかれて距離が近くなる。千夜ちゃん的にはきっと嬉しかったんだと思います。
確かに家は近所(ていうかとなりだった気がする)けど、部屋は違うからそれがより、相合傘の『同じ天井』という例えが引き立ってて良かったです。
>>41
感想ありがとうございます!
相合傘という言葉を使わず、相合傘を表現してみたいと思ってたので伝わって良かったです!
フルールのバイトの帰り、公園のベンチでちょっと休憩。風が気持ちいい。そして、私の一番聴き慣れた声。
千夜「シャロちゃん。」
シャロ「千夜、買い物帰り?って、何その量!」
千夜「新作メニューのアイデアがいっぱい浮かんだから、ついたくさん買っちゃって。完成したら、試食よろしくね。」
千夜が隣に座る。袋に入ったフルーツのいい匂い。でも、疲れを癒してくれた匂いはフルーツだけじゃなくて。
サブタイトル忘れてました。
SCENE4 夕暮れ
千夜「シャロちゃん眠そうね。」
シャロ「昨日夜更かししちゃって。涼しいからここでちょっと寝てから帰ろうと思ったんだけど、座ったままの姿勢で眠るのって難しいわね。結局寝付けなかったわ。」
千夜「それなら、」
肌で感じていた千夜の体温が離れて、つぶらな瞳が私を見つめる。
千夜「私が膝枕してあげるから、シャロちゃん横になって?」
シャロ「えっ?膝枕って…恥ずかしいわよ。」
千夜「一緒に夏休みの宿題をしたとき、シャロちゃん私のためにハーブティーを淹れてくれたでしょ?私もシャロちゃんのために何かしてあげたいし、もっと甘えてほしいの。」
千夜はいつもそう。今までずっと優しくしてくれてるし、もう充分甘えてるわよ。
シャロ「しょうがないわね。千夜がそういうなら、少し休ませてもらうわ。」
横になって目を閉じる。
千夜「おやすみ、シャロちゃん。」
柔らかくて、暖かい。昔、ママにしてもらったのを思い出すなあ。
千夜といると、何でこんなに安らぐのかしら。
―――
シャロちゃん、よく寝てるわ。
強がったり、素直に慣れないときもあるけど、少しでも辛かったり悩んでいることがあったらいつでも私やみんなを頼っていいのよ。
私もシャロちゃんのこと、頼りにしてるわ。
シャロちゃんの寝顔、かわいいわね。
もう少し近くで見たくて、顔を近づける。
いけないと思っても、止められない。
シャロちゃんが起きる前に、一度だけ―――
パシャッ
シャロちゃんの寝顔ゲット☆
ふと目が覚める。
千夜「シャロちゃん、起きた?」
シャロ「ん…千夜。もう日が沈んでるわね。私、けっこう寝てた?」
千夜「ぐっすり寝てたけどそんなに時間は経ってないわ。」
シャロ「そう、ありがとね。体がスッキリしたわ。」
千夜「そういえばシャロちゃん、寝言で『ママ』って言ってたわよ。」
シャロ「えっ!?」
千夜「もしかして、私に母性を感じた?」
シャロ「…さあ、どうかしらね。」
あら?からかったつもりだったけど、否定はされなかったわ。
SCENE4終了です。
とりあえず自分の書きたいシチュエーションは一通り書いたという感じです。
読んでいただき、ありがとうございました。
夏の夕暮れ やさしく迎えてくれるのは 和菓子だけなのか?
むしろ千夜がいれば他はいなくてもいいのかもしれませんね。
ママァ…
>>50
読んでいただき、ありがとうございました!
いつか他のキャラも出したいと思いますが、今のところ二人の会話で話が完結してしまいますね…。
いつもなら否定するはずのシャロがぼやかすところが可愛いです。
いつもはボケとツッコミのような2人でも、その中で互いに頼りにしてる関係が良い。
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