もしも願いが1つ叶うとすれば、ユタカは何を願えば良いでしょうか?
一攫千金、ご馳走食べ放題、大学で1番の人気者、売れっ子の芸能人、いくらでも思い浮かんできます!
でも、それらを願うつもりはありませんね。だって完璧超人のユタカでしたら、それを実現するのは容易いことですから!
今でしたら、やはり…。
今この街から、ほうき星に乗って会いに行くことですね!
なぜほうき星かって、きっとこれで会いに行けばユタカの家を箒を持って掃除しに帰ってきてくれる、そんな気がするのです。
ユタカは親友のミポリンやトオルンとは別の大学に進学が決まりましたが、ミポリンとは大学は別でも、同じ部屋に住むことで卒業後も一緒にいられました。
しかし、ミポリンは少し前から留学を始め、今はユタカ1人になってしまいました。
部屋を散らかしっぱなしで寝ても、昼夜逆転生活をしても怒られることはなくなりましたが、毎日何か物足りない気持ちです。
それに、ユタカだってずっとダラダラ過ごしている訳ではありませんよ!
ちゃんとバイトでお金をかせいでいるし、最近は料理に凝り始めて、簡単なものだったら作れるようになったんですよ!
ミポリンもこれは苦手でしたから、帰ってきたらきっとビックリすること間違いなしですね!
それから、ユタカが最近ハマっているもう1つの趣味、それは…。
ギターを弾いて歌うことです!
このギターは大学でお世話になっている先輩から譲って貰ったものです。やはりユタカのような可愛げのある子は先輩から気に入られますね!
何でもかなり前にアニメの影響で安めのギター買ってもらったものの、そのまま倉庫入りしていたのが、また始めて新しいのを買ったのでお古をくれたという感じだそうです。
これも十分使えますが、何せ飽きっぽい先輩のようですからその新しい方を貰えるのも時間の問題かもですね!
今日は朝早くからこのギターを持って、近くの海岸で歌っています。
この日の為に、ずっと練習してきたんですから!
では、歌います!
前に発表会で練習が必要と言われた歌も、ずっと練習したから上手くなっているはずだし、この潮の満ち引きのオーケストラに乗せればきっとミポリンも喜んでくれるでしょう!
ミポリン!お誕生日おめでとうございます!
この想い、海の向こうまで…!
留学が始まってから結構経ったこともあり、こっちの生活にもようやく慣れてきた。
留学先には日本人の女の子もいて、その子と親友の金髪の女の子とも仲良くなることが出来た。
少し天然な子としっかり者の子、見ているとるん先輩とトオルさんに似ていると思った。
それなりに充実した日々を送ってはいるけど、それでも何か物足りないような気がしている。
卒業してからも時々会っていたトオルさんに会えないのも勿論だし、それ以上に…。
あの子、ユタカはちゃんと1人で生活出来ているの…?
ラインでは「ちゃんとしています!」「問題ありません!」とか言っているけど、どこまで本当なのか…。
帰った時に部屋が散らかり放題だったらただじゃおかないからね!
それに最近ではラインをあまり見ないのか、既読にもならない時間も長くなっている気がする。
もうすぐ私の誕生日だけど、ユタカはちゃんと覚えてくれているのかな…。
別に祝ってほしい訳じゃなくて、人の記念日を忘れるようじゃダメって言いたいだけだから!
4月4日の夕方、トオルさんから「ちょっと早いかも知れないけど誕生日おめでとう」のメッセージ。
しかもそれだけでなく、いつか3人で出かけた時の写真も一緒に送ってくれた。
喜びでお礼のメッセージを長文で送っちゃったけど、迷惑だったかな…?
それに引き換えあの子は…。
その後いくら待っても、ユタカからは何のメッセージもなかった。
その日の夜、課題をしていたらそのまま寝てしまったようで、起きた時にはもう深夜0時過ぎ、こっちでも私の誕生日になっていた。
するといきなり私に着信が来て、眠気が一気に飛んだ。
「ミポリン!お元気ですか!? ユタカですよー!」
「今はもうそちらでもミポリンのお誕生日ですよね!」
それはユタカからのビデオ通話だった。映っている映像を見るに、スタンドか何かにセットしているみたい。
わざわざこっちの日付に合わせようとしたの?
今何時だと思ってるのよ…。嬉しくないことはないけど。
しかも何その恰好…。それに何で海岸…?
特に大事な所が波音にかき消されちゃってるじゃないのよ…。
それからも、練習したという割に大してギターは上手くないわ、歌も発表会の時から殆ど変わっていないわ、良い感じのことを歌おうとしているパートは波音に消されるわ、通行人に見られているわ…。
本当に何やってんのよ、馬鹿馬鹿しい、下らない、みっともない。
それでも、そのユタカの上手くも何ともない歌が今の私にとっては1番のプレゼントに思えた。
その歌を想いながら眠りにつくと、夢の中では波音に消されてよく聞こえなかった所もはっきりと聞こえた。
何ともユタカらしい、ストレートにまっすぐな想いを歌ってくれていた。
それをいつまでも聴きながら、優しい朝が来た。
その日、誕生日プレゼントに怒っている金髪の子と、何故怒られているのかわかっていない様子の黒髪の子がいた。
あとがき
今年初のSSにして、これで4作目になります。
Aチャンネルで、そして全てのきららで1番好きなキャラの誕生日ということで、今回も書かせて頂きました。
ミポリンは優秀な子なので、留学等もしそうだなあと思い、その設定で書いてみた次第です。
作中に登場する2人組は、別のきらら作品に登場する2人組…、かも知れません。
エトワリアはなくなってしまいましたが、それでもこうして繋がる機会があったら素敵だなあと…。
金髪の方の子と誕生日が同じということもあり、少し登場させて頂きました。
前々回同様、このSSは堀下さゆりさんの曲をモチーフにしており、今回は「浜辺の詩」という曲から来ています。
本当に良い曲なので、今回もお勧めさせて頂きます。
それから、いつもコメントして頂いているのに返信が遅くなり過ぎて本当にすみません。
過去のSSのも遅まきながら返信させて頂きました。
長くなりましたが、お読み頂きどうも有難う御座いました。
>>23
遅くなりましたが、コメント有難う御座います!
はい、一見残念だけどそれでも相手を想う気持ちは強いという感じで書いた為、そう言って頂けて嬉しいです!
ミホもそんなユタカのことが好きなんだろうなあと…。
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