こんにちは、カレルと申すものです
25作目ですね。
こちらは「きららファンタジア」の二次創作になります。
注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
等が含まれるので苦手な方は注意してください
[辺境]
ロベリア「くくく… ついに!完成したわ」
スズラン「なんだよ、気色悪い笑みを浮かべて 何が完成したんだ?」
ロベリア「……まぁいいわ、あなたにも教えてあげるわ、これよ」ババーン
スズラン「なんだこれ、ただの箱じゃないか」ジロジロ
ロベリア「はぁ? これがただの箱なら、私がなんでもない箱に喜ぶ異常者じゃない?」
スズラン「……たしかにな、お前がそんなやつだったら速攻で縁を切っているから、これがすごいものだとはわかるがな ははっ!」
ロベリア「本当に……っ」
スズラン「で、この箱はなんて言う名前なんだ、“箱”って名前じゃないんだろ?」
ロベリア「…………えぇ、これはコトリバコという代物で……」
――――――――
サンストーン(コトリバコ…… 2人の会話を盗み聞きしてしまったが、なかなか可愛らしい名前だな、任務報告ついでにハイプリス様にも知っているか聞いてみてもいいな)
〜〜〜
サンストーン「サンストーン、ただいま戻りました」ガチャ
ハイプリス「ご苦労だったねサンストーン 書類はそこに置いてくれるとありがたい」
サンストーン「はい……」ウズウズ
ハイプリス「ん? なんだい?サンストーン 私になにか言いたいことがあるのかい」
サンストーン「はい、ロベリア達が話しているのを偶然聞いたのですが、コトリバコというものを作ったという話でして、すごいものらしいのです ご存知ですか?」
ハイプリス「!?」ガタッ
サンストーン「どうしましたか?」ポカン
ハイプリス「いや…… なんでもない……」
サンストーン「コトリバコ フフッ、かわいらしい名前だと思います ……では失礼します」ガチャ
ハイプリス「あっ!サンストーン、待ってくれ!」
サンストーン「はい? どうしましたか」
ハイプリス「ええと……ロベリア達はどこにいるのか気になってな…」
サンストーン「そうですか、私が見た時は裏庭でスズランと話していました」
ハイプリス「そうか、裏庭か……」
サンストーン「はい では今度こそ失礼します」ガチャ
ハイプリス「あぁ! ありがとう」
パタン
ハイプリス「まさか……!?ロベリア……」
ハイプリス(確かにロベリアはよく「呪う」と言っているが、あんなものに手を出すなんて…… まだウツカイの影響が残っているのか…… それか私が知らぬ間に、ここでの生活や私への不満が積もりに積もってこんなことに…… いやいや、もしそうだとしたら私はこれを止める責任がある、あんなものが1度発動してしまったらこの辺境の地は地獄と化してしまう 何とかロベリアを説得する文言を考えなければ……)
――――――――
ロベリア「……ハイプリス様にプレゼントしようと思っているのよ」
スズラン「へぇ〜!なかなかいい考えじゃないか で、これってどうやって使うんだ」
ロベリア「あなたでもできるくらい簡単よ ただこれを使うのはハイプリス様にプレゼントする時だから、こっちのプロトタイプの方を使うわ」ガサゴソ
スズラン「……うわっ! 妙に禍々しいな、まるで呪いのアイテムみたいだな……呪われそう」
ロベリア「ふっ、後であなたには私が直接呪いをかけてあげるから心配しないでいいわ 足の小指を1日最大5回ぶつける呪いとかどうかしら?豪華に1週間コースよ」ムスッ
スズラン「ああ、あぁ! すまない、早速見せてくれるか ……もし実際に呪われたらオレの小指は確実に壊死する……」アセアセ
ロベリア「はぁ…… スズランこれをこの木に縛り付けて貰えるかしら」サシダシ
スズラン「……なんでオレが…… ったくわーったよ」ガシッ
グルグル ガサゴソ
スズラン「ほれ、終わったぞ」
ロベリア「上出来じゃない 褒めてあげるわ」
スズラン「そんなガキでもできることを褒められても嬉しくねぇよ メシでも奢ってくれるなら別だが」
ロベリア「ふん! あなたのその姿勢だけは尊敬に値すると思うわ」
スズラン「へっ! 皮肉はいいからさっさとやってくれよな これで何も無かったら本当に奢って貰うからな」
ロベリア「……わかったわよ じゃあ、悪趣味なサングラスを取ってよく見るといいわ!」
スズラン「……悪趣味って 一応お気に入りなんだが……」ボソッ
ロベリア「はぁーっ! …………はつどっ……!?」
タッタッタ ザザー
??「ちょっと待ったー!」ハアハア
ロベリア「えっ!? 誰!?」
スズラン「この声はハイプリス様かぁ? ハハッ、焦ってる声なんて貴重だな」ケラケラ
ハイプリス「はぁはぁ…… ロベリアすまない、君の変化に気付かず放置してしまって」
ロベリア「ハイプリス様!? えっ!夢なの!ハイプリスが!!」
ハイプリス「夢ではないよ とりあえずあの箱の発動は阻止できた感じかな」
スズラン「なぁ、ハイプリス様 いきなり来たけれど何かあったのか?」
ハイプリス「ちょっとこっちに来てくれ」コソコソ
スズラン「あぁ、ロベリアが錯乱しているようだし、ほっておいてもいいか」
ハイプリス「スズラン、あれはコトリバコという代物で間違いはないか?」
スズラン「そうだな、ロベリアはそう言っていたな、ただあれは試作品らしくて完成品はハイプリス様にプレゼントするとも言っていたな」
ハイプリス「!? なんてことを…… 私はロベリアに呪い殺されるのか……」アワアワ
スズラン「呪い殺される……? ん! ピコーン! フフフ ……マジか! ロベリアがそんな恐ろしいものを作っていたなんて……ワタシハキヅキマセンデシタ!」ハクシン
ハイプリス「……恐ろしいことだ だが、これも私の責任だ 何とかロベリアが道を踏み外す前に正さなければ」
スズラン(全く、面白い状況になったじゃねえか 焦るハイプリス様なんてそうそう見れるものじゃない、このまま黙っていよう)
スズラン「と、とりあえずロベリアの所まで戻ろうか あと、ハイプリス様あいつに聞く時はできるだけ回りくどい方がいいと思うぞ」
ハイプリス「わかった 下手なことを言って大事になったらマズイからな、君の指示に従うよ」
スズラン「そうこなくっちゃ さーて、面白……ゴホン! 危険な状態だし慎重に行かないとな」
〜〜〜〜〜〜
ハイプリス「あー、ロベリア?」
ロベリア「ハッ! はい! ハイプリス様」
ハイプリス「今日はとてもいい天気だね ほら、こんな日は誰かを呪いたくなるのかな……?」
スズラン(いや、全く回りくどくないな 本題に突っ込んでるな……)
ロベリア「とんでもないです! こんな日は風に耳を傾けてのんびりとするのがいいですわ」
スズラン(よく言う、さっきオレに呪いをかけるとか言ってたじゃないか)
ハイプリス「そ、そうか…… それにしても、なんだ あの箱のデザインは素晴らしいな…… えっと、所々に極彩色が取り入れられていて個性的だし」
ロベリア「ありがとうございます!!」
ハイプリス「随分嬉しそうだね……」
ロベリア「えぇ、これをスズランは呪われそうだの禍々しいだの言っていて ジロッ! やはりハイプリス様はお目が高いですわ」
スズラン「はぁ? これがオレの素直な感想だ 文句あるかよ?」ギツ
ロベリア「いいえ、文句はないわ ただ芸術とは難儀なものねと思っただけよ」フッ
バチバチ
ハイプリス「はいはい! スズラン、ロベリア じゃれ合うのはそこまでにしなさい」
ロベリア&スズラン「はぁ!? ハイプリス様こいつとは!」
ハイプリス「あと、スズラン 君は私になにか隠しごとをしているね」
スズラン「……んっ!!? さ、さぁ なんのことか……」
ロベリア「なんですって!! スズラン! ハイプリス様に隠し立てなんて、さぁ言いなさい」
スズラン(まずいな……オレだけ楽しもうと思ったら……さすがにハイプリス様は鋭いか、もう気づかれた オレの方から話題をコントロールしていたらもう少し楽しめたかもな 残念)
スズラン「はぁ……降参だ 本当のことを言うよ」
ハイプリス「よろしく頼むよ」
スズラン「ロベリアが作ったコトリバコは呪いのアイテムじゃなくて……うわっ!なんだ!」ゴゴゴゴ
ハイプリス「地面が揺れているのか……」ゴクリ
ロベリア「まさか!」タッ
スズラン「どうしたんだ!ロベリア」
ロベリア「コトリバコに中途半端に魔力を込めたせいで暴走したみたい…… 裏手の山から魔物が呼び寄せられた」
スズラン「くっ!」サッ
ハイプリス「なんだって!? 数は!」
サンストーン「ハイプリス様!」ササッ
ハイプリス「サンストーン、いい所に来てくれた」
サンストーン「はい! 魔物の迎撃ですね」
ハイプリス「あぁ、よろしく頼むよ ここで食い止められなかったら町まで被害が行ってしまう 頼んだよ」
サンストーン「はっ!」サッ
ハイプリス「私はどうしようか…… ロベリアはあの箱の無力化で手一杯…… 武器を取りに行っても間に合わない……っ!!」
スズラン「おーい!ハイプリス様! オレを忘れていないか! ほらアンタの杖だ」ポイツ
ハイプリス「……!?スズラン! やってくれるのか?」ガシッ
スズラン「ハハッ! なに寝ぼけたこと言っているんだ 仲間のピンチじゃないか、それかオレをそんなに薄情だと思っていたか?」
ハイプリス「いや……すまない! お願いできるか」
スズラン「お安い御用さ!」サッ
スズラン「おーっす 待たせたな!」
サンストーン「スズランか」チラッ
スズラン「あぁ、共同戦線だ くれぐれも足を引っ張ることの無いようにな」カチャ
サンストーン「ハッ、こちらの台詞だ」キッ
スズラン「ハハッ、久々のパーリーだ! 乗り遅れんなよ!」
―――――――
ハイプリス「みんな、よくやってくれた 興奮した魔物も全て森に帰ったし、一件落着だ」
スズラン「いゃあ、ハイプリス様の魔法がなけりゃ突破されてたと思うと肝が冷えるぜ」パタパタ
サンストーン「でもなぜ急に魔物がこちらに来たんだ? それが気になる」
ロベリア「……ごめんなさい! 私の責任よ、もったいぶって試作品を使ったからこんなことになってしまって」
ハイプリス「いや、私の責任だ 勘違いをしてコトリバコの発動を阻止してしまったからこんなことになってしまった」
サンストーン「コトリバコ……なら、私がハイプリス様にそのことを聞いたことにも責任がある」バーン
スズラン(なんだこの雰囲気……確かにオレもコトリバコの効果を見たいと言った責任はあるかもしれないが……うーん)
スズラン「お! オレもロベリアと一緒にいたから同じだな、ウン」
サンストーン「なんだ、全員が共犯ということか……」
ハイプリス「ハハッ…… そうだな 被害も出ていないことだし、これは私たち4人の秘密ということにしてはどうだろうか?」
スズラン「へへっ、いいねぇ 真面目なハイプリス様もワルになってきたかぁ!」
ハイプリス「あぁ、この気持ちは少しクセになりそうだな」
サンストーン「私はどんなハイプリス様でもついて行く」キリッ
ロベリア「…………ふっ!……アハハハ!」
スズラン「おい、なんだよ急に笑い出して」
ロベリア「はぁ…… なんだか塩らしくしているのが馬鹿らしいわ ……あと、ありがとうスズラン サンストーン そして、ハイプリス様 あなたたちの力がなかったら、どうなっていたか分からないわ」ニコッ
スズラン「ふぅーっ それじゃあサンストーン、オレ達は森の魔物が近くに残っているか見回りに行かないか?」
サンストーン「そうだな、確かに本隊から外れた魔物もいる可能性もあるし、もし被害が出たらこの秘密は守られない…… わかった同行しよう」
ハイプリス「では、私も同行しよう」
スズラン「おっと! ハイプリス様はここに残った方がいいんじゃないか、プロトコトリバコの処理もあるし、ロベリアからも言いたいことがありそうだしよ」チラッ
ロベリア「もう……気を使って」ボソッ
ハイプリス「そうだな 良き報告を待っている」
スズラン「承知! さっ、サンストーン行くぞ」タタッ
サンストーン「あぁ!」サッ
〜〜〜〜〜
ハイプリス「さて…… あの箱は廃棄でいいなロベリア」
ロベリア「はい…… 申し訳ありませんでした、私が迂闊なばかりに」
ハイプリス「いいんだ さっきも言ったが私の勘違いからこんなことになったんだ 私がロープ切るから箱を受け止めてくれるか」ガサゴソ
ロベリア「はい」
ハイプリス「ところで、完成品のコトリバコはどういったものなんだい? スズランが言おうとしていたが、魔物に邪魔されてしまったからね」
ロベリア「それは……いえ、もう完成品も廃棄するのでその情報はいらないですね……」
ハイプリス「君が私にプレゼントするために作ったものだろう 実際に見てみたいな」
ロベリア「えっ……でも…………ハイプリス様」
ハイプリス「私は君を信頼しているんだ それに先の騒動で箱の構造はある程度把握したから、暴走は起こさせない」
ロベリア「はい…… いえ、はいっ! ハイプリス様これが完成品です 私がロープで木に縛り付けるのでしばらくの間持っていてください」サシダシ
ハイプリス「ほぅ…… なかなかかわいらしい箱なのだな」ジッ
ロベリア「はい! ハイプリス様、箱をこちらに」
ハイプリス「はい、どうぞ」
ロベリア「ありがとうございます ……これで、準備は完了!」
ハイプリス「楽しみだね、果たしてどんな効果か?」
ロベリア「ハァーッ! …………発動!」キラーン
ハイプリス(今のところ変化は無いようだな ……ん?)
チュピチュピ パタパタ チュピチュピ
ロベリア「来ましたわ!」キラキラ
ハイプリス「!? これは小鳥だ ……とても美しい羽根を持っている…… ロベリア、これがあの箱の真の機能だね」
ロベリア「はいっ! 小鳥箱、毎年この時期になると別の大陸から渡ってくる渡り鳥を一時的にここに呼び寄せることの出来るアイテムですわ」
ハイプリス「幸運を運ぶ鳥”ホシワタシ”なんとも綺麗だ」
ロベリア「ご存知でしたの……」
ハイプリス「あぁ、昔辺境に派遣された時に見たきりだったから、存在を忘れていたよ ありがとう ……もっとも私が見ないようにしていただけだと思うがね…… 」
ロベリア「そうだったのですか……! 辛い記憶を思い起こされるようなことをしてしまって」
ハイプリス「……いや! これは独り言だ それに、今ならこの鳥の運んでくる幸福を享受できるような気がするしな」
ロベリア「ハイプリス様……!」
ハイプリス「改めて ロベリア、本当にありがとう!」
[完]
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます!
本作はツバメが飛んでいる風景から連想しました。小鳥→コトリバコ→呪い→ロベリアのような順で3日前に思いついたので早速作品にしました。
ロベリアたちの話を立ち聞きしたサンストーンがハイプリスに報告といい感じに辺境に出発したメンバーを出せて満足です。
ちなみにロベリアとスズランは休みの日で、たまたま立ち寄ったスズランが話しかけてストーリーが始まります。
と言うわけで、次回の作品でお会いしましょう。
余計な知識があると引っかかるタイプの叙述トリック……という解釈でいいんでしょうか
いいですよね、呪いを祝福に変える物語
>>29
コメントありがとうございます!
直近まで忙しかったので返信が遅れました。
トリックというほど大それたものではありませんが、タイトルで「まさか!?」と思ってほしいとは思っていました。
呪いも祝福も個人の深い情念が反映されたものであり、それこそ愛故なのだと思います。
拝読しました! スズロベの悪友感すき。
ハイプリス様に褒めてほしくてうずうずしちゃうサンストーンちゃん、もしかしなくてもわんちゃんですね?? かわいいかよ。
で、そこから始まる壮大な勘違い。そして魔物とのバトル。迫り来る危機をかつての強敵が解決する展開、いいよね。
そして、最後の描写。なんというか、素敵な雰囲気だなって...
ロベリアさん。ハイプリス様に喜んでもらえてよかったね...!
>>31
ペンギノンさんいつもありがとうございます
軽口を言い合う仲って、お互いを信頼しているような感じで前に書いた「げっ! 鳩谷」と同じように会話がすらすらと浮かんできて楽しかったです。
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