【SS】春の乙女たち
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1 名前:カレル[age] 投稿日:2023/02/24 19:59:17 ID:Jq.rYcMUMw
こんにちは、カレルと申すものです
これで16作目ですね。今回はリクエストの「椿が主役のお話」です。
今作は対話形式ではなく三人称視点で物語を進めていくスタイルになっています。初めてこのスタイルに挑戦するので読みにくい点はご容赦ください。
オリジナルキャラクターも登場するのでそちらが苦手な方は注意を!
こちらは「きららファンタジア」と「あんハピ♪」の二次創作になります

注意事項
*キャラクターの独自解釈
*独自設定
*原作との乖離
*妄想
*オリジナルキャラクター
等が含まれるので苦手な方は注意してください

2 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:00:11 ID:Jq.rYcMUMw
【春の乙女たち】

冬の雰囲気が出始めた11月のある朝のことである
ここは“言の葉の樹の下の街”
言の葉の樹という大樹に抱かれる形で形成された街である。
この街はエトワリアで最も大きい街であり昼は方々から人が来て賑わいを見せる。
言の葉の大樹が太陽の光を受けてきらめき、静かに朝を迎えている。
だが、通りは夜の空気を残したように人の往来がほぼなくシンと静まり返っている。

その往来で一人の金色の髪を持った少女が「図書館」と書かれた建物の前でウロウロとしていた。

3 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:00:30 ID:Jq.rYcMUMw
少女は小動物を思わせるように小刻みにも震えており、もしここに通りがかった人がいたのならば、庇護欲により「助けてあげたい」と思ったことだろう。
震えながら建物の方を見ている少女の名前は「狭山椿」クリエメイトである。
彼女は純粋な日本人ではあるが金髪碧眼という日本人離れした容姿を持っており、初対面の人に好奇の目で見られることも少なくない。
そのため人の視線が怖く人とのかかわりを避けている。
「どうしよう…」と椿は半ばあきらめが入ったようなため息を漏らした
彼女は普段「チモシー」という自作のウサギ型のロボットを操作し人と接している。
だが、そのチモシーが魔力の不具合で故障しているので、目的の本を借りるために街の図書館に来たのだがどうにも足が進まない。

4 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:01:14 ID:Jq.rYcMUMw
まだ人の気配はしないがだんだんと街の生気が出てくる時間帯、椿は往来の視線とある人物の視線を天秤にかけ、苦虫をかみつぶした表情で図書館の入り口に向かった。
「もう少し…」
一歩一歩確実に進んでいるが、その表情は一歩進めるごとに確実に悪くなっている。ようやく太陽の光が地面に射すようになっても相変わらず椿は震えている。しまいには涙も出てきたが完全に心が折れる前に何とか図書館の扉の前に来ることができた。
だが問題は中に入ることである、ここまでの移動で精神力をすべて使い果たしてしまったようで柱にもたれかかり、その場にへたり込んでしまった。

―図書館の中ではその様子を見ている人物が、椿のいる玄関へと歩みを進めていた―


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5 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:01:48 ID:Jq.rYcMUMw

図書館の柱は大理石を思わせる乳白色の石造りでひんやりとし、日が当たっていない部分は夜の空気をいまだに残している。そこに柔らかな陽の光が合わさり、ここまでの移動で傾いた天秤が図書館の方へとだんだんと戻ってきた。
「…よしっ あとちょっと…」と体勢を整えて立ち上がる体勢を取ったところ
「あの〜? だいじょうぶですか?」誰かに話しかけられた。
 話しかけられたタイミングに膝をぶつけてしまい体勢が崩れ大きくしりもちをついてしまった。すぐに立ち上がろうと脚に力を入れるが、急に声をかけられたショックと膝を打った衝撃でうまく動かない。
「だいじょうぶ? 立てる? 手、貸そっか?」
声の主はうまく立ち上がれない椿を心配して、手を差し出した。

6 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:02:13 ID:Jq.rYcMUMw
差し出された手は椿の手よりは小さかったが、この手が大きく見えるほど頼もしいと感じた。
「えっ… はい……」
椿は戸惑いながらも顔を上げた。そしてその先を見るとそこには金髪に碧い瞳、そして金色の尻尾、獣のような耳をはやした少女が心配そうな表情で椿をみていた。
「!!」
椿は彼女の姿を認識した瞬間に逃げの体勢を取ろうとしたが、動けないことを忘れていたのでその場で変なポーズをするだけにとどまった。
「あはは、どうしたの? 新しい体操?」と少女は椿の奇行に好意的な解釈を寄せているが、とうの椿は少女の目の前から逃走をしたい一心で立ち上がろうともがいている。
しばらくは傍からは愉快な動きをしている椿を観察するにとどめていた少女だが、いつまでたっても立ち上がろうとしない椿に違和感を持ち、少女の方も焦り始めた

7 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:02:50 ID:Jq.rYcMUMw
「ちょっと!だいじょうぶですか?」と何度も問いかける少女だが、椿はこの場から離れることに夢中で聞いていなかったせいかこの声は届いていなかった。
そしていつまでも椿の反応がないので、「えっ!?どどどどうしよう、なんか変な感じになっちゃった! これって…恐慌状態なのかな? それを鎮めるには、えっと!えっと!あーっと 魔法の、たしか先生が使っていた鎮静魔法…でも私は使えないし、って、どうしよう!!」などと、少女の不安がピークに達したようで異常な早口で独り言を爆発させた。
少女の混乱を目の当たりにした椿は、逆に落ち着いたようで周りの様子を確認できるほど余裕を取り戻していた。落ち着いて周りを観察すると、日がでてから少し経った通りにはこの騒ぎに引き寄せられた人々の好奇の視線が自分と少女に注がれていることに気づいた。
そういった人々のまなざしに耐えられない椿は「ちょっ、ちょっと!きてっ!」と乱暴に少女の腕をつかむと本来の目的もわすれ、一目散に路地裏へと駆け込んだ。

8 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:03:37 ID:Jq.rYcMUMw
椿は目の前の状況を後悔していた。
あの場から離れるためとはいえ強引に連れてきてしまったので、話すことが何も見つからない。そしてこの少女は混乱しているため変な誤解を持たれることもあり得ると頭を抱えた。
椿が一人で悩んでいると「あれ、ここは?」と少女は正気に戻ったようで周りを見渡しながらつぶやいた
それに気づいた椿は少女とこの場を離れようと、背を向けて歩き出そうとしたが、「ちょっと、君!」と少女に呼び止められてしまった。
「えっと、君は… !! そうだ、足は大丈夫!」と少女は、椿の方に駆け寄り足の様子を聞いてきた。

9 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:04:17 ID:Jq.rYcMUMw
「だ、だいじょうぶ…」椿はただそう答えるだけにとどまった。
「でも、君には迷惑をかけちゃったね、焦ると周りが見えなくなっちゃって、ここに運んでくれたんでしょ ありがとう」そう言いながら少女ははじけるような笑顔を椿に向けた。
「うっ…」
自分が逃げようとしたせいでこんなことになったというのに、全く気にしないどころかお礼まで言ってくる少女に罪悪感を覚え、謝ろうとしたがこの時にどんな言葉を切り出そうか考えているうちに、「そういえば君、名前は」と別の話題が飛んできた。

10 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:04:52 ID:Jq.rYcMUMw
椿は言葉の意味を頭の中で反復し「え、え、ぼ、ボクは狭山…椿…です」と言った。
たどたどしいながらも自分の名前を言い終えた椿は「ふぅ…」と安堵のため息を吐き出し壁に寄り掛かった。
椿の名前を聞いた少女は「サヤマツバキ…サヤマツバキ…」と感慨を込めたように何度も繰り返して椿の名前を呼んでいたが「ツバキちゃん! いい名前だね」とまたはじけるような笑顔を椿に向けた。
「あっ、そうだ 私の名前を言っていなかったね」
「私の名前はカメリア よろしくね!」と嬉しそうに言って手を差し出した。
「うん…」

11 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:05:25 ID:Jq.rYcMUMw
椿は差し出された手をしばらく眺めていたが、ここに連れ込んでしまった引け目もあるので、恐る恐るではあるが椿も手を差し出した
「よろしくね! ツバキちゃん!」
「!! は、はいっ!」
カメリアは小さいながらも椿の震える手を包み込むように優しく重ねた。
いきなり手を握られた椿は驚きこそしたが、振りほどく勇気はもちろんないので
「そうだ、ツバキちゃんはどうして図書館の入り口で倒れていたの?」と不思議そうな声でカメリアは言った。

12 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:05:52 ID:Jq.rYcMUMw
「えっと…」それにこたえようと思った椿だが、当初の目的であるチモシーを直すため、ということはカメリアには言いたくないので、「ちょ、ちょっと図書館に用があって…」とぼかして伝えた。
「ふ〜ん」とカメリアもこれ以上は聞かないといったような相槌を打つと「あっ、そういえば…」と何かを思い出したかのよう口ぶりとなって話し出した
「あの図書館でかわいい生き物がいたんだよね、二日前くらいなんだけど」そう言ったカメリアの言葉にぎょっとしたように椿は身を縮めた。しかし、カメリアはその様子に気づかずに話をつづけた。

13 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:06:37 ID:Jq.rYcMUMw
「でね、そのかわいい生き物なんだけどなんと!人の言葉をしゃべっていたんだよ!」とカメリアは興奮した様子で話を続けた。
「それでその子はチモシーっていうんだけど 図書館の館長さんとの人と話していたところを偶然聞いていてね、名前もかわいいんだな〜って思ったの、それでね…って聞いてる?」カメリアは椿の異変に気づいたのか話を止めて問いかけた。
「えっ!? う、うん…」
『そのことは知っている!』と心の中で答えた。
椿は以前チモシーを操作して街の図書館に来たことがあったが、そこで偶然会ったのがカメリアだった。
椿は二日前のある出来事を思い出していた。

――――――

14 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:06:59 ID:Jq.rYcMUMw
〜三日前〜

「コンニチハ、ボクはチモシー、お姉さんヨロシクネ」
「あなたがジンジャー様のお達しにあったチモシー様ですね よろしくお願いします」
「ウン、新しい魔法の試験のために地下を貸してクレてありがとうネ」
「いえいえ、あなたはジンジャー様のご友人ですから 最大級の対応をさせていただきます 鍵を取ってくるので少々お待ちください」と受付の女性は鍵を取りに行くために受付の奥に消えていった。

15 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:07:35 ID:Jq.rYcMUMw
女性が戻ってくるまで少し時間があると思ったので軽く辺りを見回した。話している最中に誰かがこちらを凝視している気配を感じたのでその犯人を見つける目的も含んでいた。
受付のあるホールは天井が吹き抜けになっており二階には天井に届くほどの大きな本棚が堂々と構えており、その中に入っている本はいかにも異世界だといったように巨大で、目測では2m以上の大きさがあるように見えた
そして一階には読書のための机と椅子が並んでいる。入り口方向にはカラフルな一角があり子供向けの内容の本が並んでいる。
またその奥は本棚が並んでいて、様々なジャンルの本がところせましと並べられている。視線を感じた場所はおおよそそのあたりだと推察できる。

16 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:08:07 ID:Jq.rYcMUMw
しかし、視線の主は隠れてしまったのかここからでは見つけることができなかったのでチモシーは受付のデスクに向き直った。
しばらく待っていると女性が古びた大きな鍵を持ってきた。
「お待たせしました、チモシー様 これが地下の鍵です、こちらには古い魔法がかけられているので取扱いに注意してください」とチモシーに鍵を渡しながら言った。
「ウン、気ヲ付けるヨ」
「では、地下にご案内いたしますね 途中までしか案内できませんがよろしいでしょうか?」
「アリガトウ、それでジュウブンだヨ」
「はい、では行きましょうか」
女性はチモシーの返事を聞くと、図書館の奥に向かって歩き出した。

17 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:08:53 ID:Jq.rYcMUMw
しばらく歩いていると周りがだんだんと暗くなっていった。
この図書館の構造は奥まって作られているとジンジャーから聞いていたが、実際に来てみると奥に行くほど暗く、そして異常に深くなっていることがわかる。
ここまではめったに人が来ることはないのか、明かりもなく本棚の縁に大量の埃が積もっている。
また採光用の窓も照明もなく女性が持っている明かりだけが頼りとなっている。
だが、チモシーのカメラには暗視の機能がついているのでそれに切り替えることで問題なく周りを見渡すことができた。

18 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:09:35 ID:Jq.rYcMUMw
「暗くてすみません ここは光が苦手な本がたくさんあって不用意に明かりを置けないんですよ」とチモシーが周りをキョロキョロとしているのに気づいて説明を加えた。
『ここって寒いんだ…』
説明する女性の口からは白い息が漏れていることに気づいた椿は呟いた。
椿は遠距離、ジンジャーの屋敷からチモシーを操作しているので温度はわかるが温度を感じることができない。
その呟きを聞いた女性は「そうですね、温度管理も大事なので結構寒いですね、チモシー様は毛皮に包まれているので暖かそうですね」と冗談めかして言った
「えっト! そうだネ ボクみたいなキュートでふわふわなウサギさんハ寒さなんて感じないんダ」とチモシーはそういうとわざとらしく跳ねてごまかした。

19 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:10:09 ID:Jq.rYcMUMw

〜チモシーたちが話している最中に後ろで動く影があった。その影には耳と尻尾があり、興味津々だというように耳が小刻みに動いていた。まだチモシーたちは気付いていないようだ。〜

20 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:10:53 ID:Jq.rYcMUMw
またしばらく歩いているとまた光が見えてきた。ここからは温度が上がっているようで、モニターで見えている温度計でも1桁度から気温がぐんぐんと上昇していることがわかる。
「もう少しで地下室につきますよ」と女性はホッとした口調で言った。
ここまでの道のりは一本道ではなく小道を複数回曲がったところにあり入り組んでいる。その地形を地図なしで憶えている女性に椿は尊敬の念を覚えた。
「アリガトウ、お姉サン それにしてもスゴイね、何も見ズにココまで案内してくれて」
「いえ、私はここの館長ですから、構造くらいは頭に入っていないと業務が務まらないので」と女性は感情を抑えた平坦な声で言ったが、椿には非常に喜んでいるように聞こえた。
そこからさらに進んでいくと光が差し込む小部屋についた。

21 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:11:16 ID:Jq.rYcMUMw
この部屋には小川が流れ、小さい木も生えており、ここにもし小鳥の鳴き声が合わされれば室外だと一瞬錯覚してしまうほどの景色だ。その奥にはおよそこの景色に似つかわしくないほど錆びついてボロボロな扉があり、ここが地下への扉であろうことが分かる。
「私が案内できるのはここまでです、ここからはチモシー様おひとりです」
「ウン、ありがとうネ お姉サン」
「私も一緒に行けたらよかったのですが、魔力が濃すぎて入れそうにもないです…」と女性は残念な気持ちが混じった声色で言った。

22 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:11:47 ID:Jq.rYcMUMw
「魔力耐性ガ相当高い人カ魔力に対して鈍感ナひとしか耐えられないからシカタナイヨ」
「お気遣いいただきありがとうございます では私はここでお暇させていただきます」
「ジャアね」
チモシーの挨拶が終わると女性は踵を返し来た道を引き返していった。その際に名残惜しそうに何度も振り返りながら闇に消えていった。

23 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:12:10 ID:Jq.rYcMUMw

チモシーは女性から受け取った鍵を手に持つと、扉の鍵穴に差し込んだ。
随分長くこの扉は開けられていないのか、ギリギリと耳障りな金属音がするだけで鍵穴が回らない。
なんどか鍵穴に差し込んでいると錆が取れたのかようやく回り始め、最後にはカチャンと金属の小気味いい音が響き扉の片方が少し動いた。
チモシーはその動いた扉を押したが、こちらも錆びているのか動きが悪い。こちらも不快な金属音が響いている。その扉をなんとか押し終わると、扉を閉め奥の空間に向けて歩き出した。

24 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:12:31 ID:Jq.rYcMUMw
『ふぅ…誰もいないかな?』
椿は誰もいないことを確認すると、マイクをミュート設定にしてつぶやいた。
椿はチモシーの活動性能をテストするためにここに来たのだが、それ以外の収穫があったことに満足していた。しかしこの満足感を持ったまま本来の目的に行ってしまうとミスをしてしまう危険性があるので、モニターから離れクールダウンをしようとモニタールームから退出した。

25 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:12:51 ID:Jq.rYcMUMw

〜椿が席から離れ機能停止したチモシーに近づく影があった、それはチモシーの後をコッソリとつけていた影である。その正体はカメリアであるのだが、半透明で輪郭がぼやけて見える。しかし彼女の碧い瞳だけは揺らがずにチモシーを見すえていた。
カメリアは動かなくなったチモシーの周りを回ってみていたが、恐る恐る近づいていった。最初はちょんちょんと触る程度にとどまっていたが、動かないことが分かると今度は大胆に触りだした〜

26 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:16:01 ID:Jq.rYcMUMw
少し時間が経って椿が戻ると、モニターに警告のマークが出ていた。
『えっ!? どういうこと、魔力への反応が甘くて機能が停止しちゃった?』と不具合の原因を予想しながら椅子に座り、チモシーを再起動した。
<“起動”アクティベーション、チモシー>」と画面に表示されがチモシーのカメラから映像が出力された。
『何!?』
椿はチモシーの視点がいつもより高いことに気づいた、そしてチモシーの状態を表すインターフェイスには80p程度浮かんでいると表示されている。

27 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:16:31 ID:Jq.rYcMUMw
焦りながらカメラを動かすと、華奢な腕がチモシーを抱えていることが分かった。
『誰なの? この腕と浮いてる高さから推察すると140p…くらいの身長の女性…大人だと仮定してもチモシーはかなり重いはずなのに…』
椿は高さと腕の大きさを見て持ち上げている人物の予想を立てたが、その人物に心当たりがない。さっき案内してくれた女性は162pであったし、ここまでの道は入り組んでいて他の人が迷い込むこと可能性も低い。また、この部屋は高濃度の魔力が充満しているので普通の人間がここに入れるはずがない。
『まさか…』

28 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:17:18 ID:Jq.rYcMUMw
椿は図書館の受付で感じた視線を思い出した。その視線の主が今チモシーを持ち上げているのならその姿を確かめる必要がある。そう考えた椿はマイクのボリュームをミュートから上げて話しかけた。
「ヘイ、キミ ボクを降ろしてクレナイかい?」
「わっ!」チモシーを持ち上げている人物は驚いて手を離した
「ボクはチモシー、オット、驚かせちゃっタかな」とチモシーは華麗に地面に着地するとすぐさま持ち上げた人物の姿をカメラに映した

29 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:17:48 ID:Jq.rYcMUMw
声の主は動物の尻尾と耳を生やした少女だった。だがその姿は半透明でありチモシーのカメラではこれ以上の正体がわからない。敵対的な雰囲気こそないが警戒に値する状況だ。
「キミは?」と少女に警戒を与えないようにゆっくりと言った
少女は震えながら「私は…カメリア…です… さっきは持ち上げてしまってごめんなさい…」といたずらがバレ、叱られる子犬のように身を縮こませて言った。
『う〜ん ボクの警戒しすぎかな…』
椿は思っていた反応とは少し違うことに戸惑い、まずは少女の警戒を解く方向で話を進めようと思った。

30 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:21:23 ID:Jq.rYcMUMw
「いきなり触られたのはビックリしたけどキュートなボクにミせられてやったんデショ、気にしていないヨ だから顔をアゲテヨ」と震えるカメリアの肩に腕を伸ばし触れた。半透明だが実体はちゃんとあるようだ。
触れられたカメリアはビクッと体を震わせたが、友好的な雰囲気が伝わったのか「あ、ありがとうございます!」といって顔を上げた
「そんなにかしこまらなくてイイヨ、フツウに話してくれればいいかラ」
それを聞いたカメリアはうつむいて悩んでいたが「わかりまし…わかった!」と少しぎこちない笑顔をチモシーに向けた。

31 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:22:02 ID:Jq.rYcMUMw
「ジャア、カメリアいろいろと聞きたいんダケどいいカナ」
「は… うん!なに!」
「カメリア、ココはどういう場所か分かるカイ?」
チモシーの質問を聞いたカメリアは少し悩んだのちに口を開いた
「え〜っと、ただの地下室…でもティラミスちゃんがいつもより元気だから特別な場所なのかな」
「ティラミスチャン?」
カメリアから人名のような言葉が出たので聞き返した。
「ああ! ティラミスちゃんは私の家族だよ、恥ずかしがり屋さんだから私以外の人がそばにいると実体化してくれないんだけど、チモシーになら姿を見せてくれるかも…」とカメリアはそういうと壁の方を向いて「ねぇ、ティラミスちゃん 姿を現せられるかな? うんうん え〜っ、だめ〜!? そいつの本体になら? うん?それってどういうこと」とティラミスらしき人物がいる虚空に向かって話していたが、話が終わったのか申し訳なさそうにチモシーの方に向き直った。

32 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:22:52 ID:Jq.rYcMUMw
「ごめんなさい、ティラミスちゃんが嫌だって言っていたからまた今度ね…」
「ウン、ダイジョウブだよ 本人の意思は尊重しないと」と言ったが、椿はさっきの「ティラミス」と思しき存在が言ったと思われる“本体”という言葉が引っ掛かった。
冷静に考えればそれが自分の存在を感知しているということになる。だからこそ“本体”という表現を用いたと推察ができる。
この高濃度の魔力が充満している場所でカメリアが元気なのもその“ティラミス”の恩恵である可能性が高い。
そのことを彼女に聞いてもいいが、その前に当初の目的を終わらせないといけないと思ったので「ねぇ、カメリア ボクはココで仕事があるからチョット退出してもらってイイかな?」と言った。
「あっ!ごめんね そんなに大切なことがあるのに私にかまってもらって… うん!すぐに出ていくね!」カメリアはそういうと金色の尻尾を揺らしながら元気よく出て行った。

33 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:23:28 ID:Jq.rYcMUMw

『ふぅ…』
椿は大きく息を吸いながら気持ちを落ち着けた。
『チモシーの操作を誤れば組み込んだ魔力回路が暴走して壊れちゃう、慎重に操作しないと!』と自分にそう言い聞かせると、チモシーの魔法詠唱を開始した。
初級魔法、中級魔法と詠唱を続けていくとモニターにあるチモシーのディスプレイに変化が現れた。チモシーの本体温度が異常に上昇しており、危険域である赤色に近い色になっている。

34 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:23:54 ID:Jq.rYcMUMw
当初の目論見では上級魔法1〜2回程度は耐えることができると試算をしていたのだが、この高濃度の魔力が悪さをしたのか限界が来たようだ。
極限環境でも活動できるように調整したチモシーであったのだが設計を見直す必要が出てきてしまった。
『…残念だけど、ここまでだ はぁ…高濃度の魔力についての理解が甘かった…』

チモシーの損傷具合を目視で確認するために非常用に取り付けたサブカメラを起動した。
このカメラは自立行動ができるようにドローンタイプに変形するとチモシーから離れ静止した。

35 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:24:19 ID:Jq.rYcMUMw
〜1時間後〜

チモシーの応急的な調整が終わったので地下室の扉を開けて外にでた。外は明るく緑にあふれていて地下室の殺風景さと比べると雲泥の差がある。
少しあたりを見渡すと樹の陰に獣の耳が飛び出ているのが見えた。
「ヤァ、カメリア」と木陰に座っているカメリアに声をかけたが反応がない。
気になって彼女の正面に回り込んでみると、穏やかな寝顔がそこにあった。
地下室とは違い半透明ではなくきちんと全体が見える。

36 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:24:40 ID:Jq.rYcMUMw
気持ちよさそうに寝ているのを妨げるのは気が引けるがチモシーの活動時間がそう長くないので「ヘイ、カメリア 朝だよ!」とゆすって起こそうとした。
「う〜ん… お母さんのご飯は世界一… お父さんは強くてかっこいい…ティラミスちゃん…みんなだいすき」とまだ夢の中なのか寝言を言っている。
『起きないなら!』とチモシーの機能から起床用のアラームを選択した。
これはスッキリと目を覚ますために追加した機能だがあまり使うこともなかったので封印していた機能だった。その威力を試せるということで、椿は楽しそうに起動した。

37 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:25:17 ID:Jq.rYcMUMw
音もなく起動したが「ん? あれ、寝てた?」と使った瞬間に目を覚ました。
カメリアは起床直後は周りの景色をボーっと眺めていたが、アラームの効果ですぐに意識が覚醒し「あっ! チモシーおはよう!」と尻尾をピンと立てながら揺起床の挨拶をした。
「ウン、カメリアおはよう! チョット待たせちゃったね」
「ううん、お仕事は大切だもんね、いくらでも待てるよ」とほめてほしそうな得意顔をした。
「ボクの仕事は終わったカラ、いっぱいおシャベリできるよ!」
「ほんと! ならね、チモシーはどこに住んでいるの」と瞳を輝かせながら言った。
「ボクはねジンジャーの屋敷に住んでいるんだよ」
「へぇ〜! ジンジャー様と一緒に住んでいるの! あっ!だからジンジャー様の友人って館長さんがいっていたのね」とカメリアは得心がいったようにうなずいた。

38 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:25:40 ID:Jq.rYcMUMw
「ジンジャーとは結構仲良しだからね、それにボク自身も結構すごいからね」と胸を張って答えた。
「次はカメリアのことを聞いても良いかな?」
「うん!いいよ 何でも聞いてね」
「さっきのティラミスちゃんは家族だって言ってたケド一緒に住んでイルの?」
「そうだね…今はせんせぇ… カルラ先生と二人で一緒に住んでいるよ あっ、カルラ先生は大魔法使いですごい人なんだよ あとティラミスちゃんは私の体に住んでいるみたいな感じかな」
「先生…じゃあ、親元は離れてなんだ、大変ダネ」

39 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:26:06 ID:Jq.rYcMUMw
「そうなの! 先生が私の相手を全くしてくれなくてね、結局弟子入りって形で一緒にいるけどね…実は結婚…したいの」と頬を赤らめながら言った。
「………」椿はいきなり結婚というワードが出たことにびっくりし言葉を失った。
モニターで見る限りカメリアは椿よりも幼く見える、そんな少女がいきなり言い出すことにしては威力が高い。
それに対しての耐性があまりないので「ヘ、ヘェ〜」と微妙な返しをするにとどまった。
カメリアもチモシーの反応に気づいたのか「あっ!ごめんね 急に結婚とか超個人的な話題を出しちゃって驚かせちゃったね そうだ!はい、どうぞ」と失言をごまかすためだろうか装飾品のようなものを差し出した。

40 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:26:47 ID:Jq.rYcMUMw
「コレは?」と受け取り、渡されたものを眺めた。
それは羽ばたく竜の彫刻が施された非常に精巧なものだった。
「大したものじゃないんだけど、カメオっていうらしいよ それでね実家から旅立つときにお母さんからもらったの “お友達ができたら渡しなさい”ってね」と母親らしい声真似をしながらいった
「オトモダチ…」
「あれ…ちがった...?」と碧い瞳を潤ませながらいった。
「アッ!いや ボクたちはオトモダチだよ!!」とカメリアの不安の表情を吹き飛ばすように強調していった。
するとカメリアは輝く笑顔をチモシーに向けた。

41 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:27:20 ID:Jq.rYcMUMw
〜しばらく時間が経った後〜

「オット、そろそろ時間だね」と天井の光を見ながら言った
「そうなの? 残念…」
「マァ、これが今生のお別れじゃないんだから、また会えるヨ」とカメリアから貰ったカメオを掲げた。
「うん!そうだよね じゃあまたね!」とカメリアは立ち上がると元気いっぱいに小部屋の出口に駆け出して行った。

42 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:28:12 ID:Jq.rYcMUMw
「はぁ… カメリアか 騒がしい娘だったけど嫌いじゃないナ」と貰ったカメオを眺めながらつぶやいた。
活動猶予時間もあと30分程度と余裕を持たせてあるのでこのまま何事もなければジンジャーの屋敷に帰還することができる。
カメオを懐にしまうと帰りの地図を呼び出して立ち上がり、カメリアとのおしゃべりで忘れていた地下室の鍵を閉めるために扉に近づいた。
すると、出口の方向から足音がすることに気づいた。足音は真っ直ぐにこちらに向かってってくるような音で、すぐに地下室の鍵を閉めると足音の方向を向いた。

43 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:28:48 ID:Jq.rYcMUMw
椿はチモシーのカメラを望遠レンズに変更し、こちらに来る人影を認識しようとしたがその影は見覚えのある姿だった。
「カメリア!?」と現れたのは数分前に別れた友の姿だった。今日は会うことは無いと思っていたので油断をして大声を出してしまった。
「あれ? チモシー? なんで戻ってきちゃったの?」とカメリアは不思議そうな顔をして周りをキョロキョロと見回している。
「カメリア! 道に迷っちゃっタ?」
「よくわかんないけど適当に進んでたらここに戻ってきちゃったんだけど…」とチモシーのところへトコトコと歩いてきた。

44 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:29:25 ID:Jq.rYcMUMw

椿は残り時間のタイマーを横目で見ながらここまでのことを思い出した。カメリアはチモシーたちの後をついてきただけなので道を覚えていないことを見落としていた。
もし先に帰っていたら彼女がここから脱出することができず永久にここをさ迷ってしまうことだろう。
そんなうすら寒い予想をしたが、最悪の事態は未然に防ぐことができたのでその予想を頭の隅に追いやりカメリアを見た。

45 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:29:45 ID:Jq.rYcMUMw
カメリアは別段焦っている様子もなくむしろこの状況を楽しんでいるようにも見えた
「ねぇ、チモシー ここって迷路みたいだよね?」と椿の予想通りといったような呑気な発言をしている。
「カメリア、一緒に帰ろうヨ」
椿はもうここで話している余裕がないのでカメリアの発言を無視し、切り出した。
「? うん!わかった 帰りも一緒になんて嬉しい♪」と尻尾を振りながら答えた
「帰り道は憶えテルからボクについてきてね」

46 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:30:31 ID:Jq.rYcMUMw

成り行きでカメリアと一緒に帰ることとなった椿だが以外にも表情は明るかった。
『このままいけばギリギリで帰ることができる』とこれまでの道中を鑑みて、間に合うことを確信したことも手伝ってかマイクに流れる音声は弾んでいた。
図書館の出口までは一瞬と感じるほど楽しい時間だった。

――――――

47 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:31:24 ID:Jq.rYcMUMw

こうして思い出してみるとカメリアは非常にいい子だと思うがそれはチモシーがあってのことなので自分は関係ない。
「えっと… ボクは用事があるからここで…」
椿はカメリアの目を見て話すことが不可能だと感じたので背を向けて逃げるように言った。
少し冷たいかなと思う対応だったが、チモシーなしで話すなんて無理だよ!と心の中で精一杯の言い訳をし走り出した。
角を曲がろうとした時、急に「待って!」というカメリアの声とともに手を掴まれた。
「わっ!」
冷たいと感じた瞬間に体がふわりと浮かび上がるような感覚に襲われたがすぐに元の感覚に戻った。
だが急に掴まれた時の体勢が悪かったのだろうか、後ろに引き倒される形でまた転んでしまった。

48 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:31:47 ID:Jq.rYcMUMw
「ごめんね、ツバキちゃん ティラミスちゃんがツバキちゃんを呼び止めろってうるさかったから 怪我はない?」とカメリアは椿の下敷きになっている状態で言った。
「うん…」
カメリアとの顔の距離が近いので顔をそらしながら地面に手をついて立ち上がろうとしたが、倒れた時に帯が緩んだのか懐に入れていたものがカメリアの胸に落ちてしまった。
「あれ? これは…」カメリアは椿が落としたものを拾い上げ確認した。
それは椿が落としたものはカメリアにもらった竜を象ったカメオだった。
「こ、これは…」と言い訳を考えようと激しく視線を泳がせながら言った。

49 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:32:07 ID:Jq.rYcMUMw
これはチモシーが貰ったものなので、いま椿が持っているということはカメリア視点からはチモシーから奪ったと勘違いされて攻撃をされる可能性がある。
そういった最悪の想像を巡らせたが、いまカメリアを押し倒しているようなこの体勢ではまともに攻撃を回避ができないのでカメリアが好意的な解釈をしてくれることに賭けることしかできなかった。
椿は目をつぶり、歯を食いしばることで精一杯最悪の事態に対する自衛の手段を講じた。
一方、カメリアは「ああ〜 そういうこと」と得心がいったように大きくうなずくと椿の顔に手を伸ばした。

50 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:32:50 ID:Jq.rYcMUMw
「もしかして、ツバキちゃんとチモシーっておんなじ?」
「……!!」
「いやね、ティラミスちゃんが前に“本体”って言っていたことが気になっていてね、それに私がチモシーにあげたカメオをツバキちゃんが持っているってことはそういうことなのかな〜って あと魔力の質が似ていたり」と椿の頬を触りながら言った。
頬を触れる手は先ほど椿の手を掴んだ冷気とはうってかわって、やわらかく暖かい感触でこわばった表情を優しくほぐしてくれた。

51 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:33:24 ID:Jq.rYcMUMw
「ボクは…」
「あっ、ごめんね、急に変なこと言って…」とカメリアは手の甲と自分の頬に伝わる雫の存在に気づくとサッと手を引いた。
しばらくのあいだ両者は沈黙を守っていたが、カメリアはポケットからハンカチを取り出すと椿の瞳から頬まで伸びる涙の跡を下から撫でるように拭いた。
乾いたハンカチは水分を吸って少し湿り気を帯び、目尻に到達するころには一点のシミを作っていた。
カメリアはそのシミを愛おしそうに眺めると、「昔ね、お母さんが泣いている私にやってくれたんだ」とハンカチをポケットにしまい微笑んだ。

52 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:33:48 ID:Jq.rYcMUMw
椿は何も言わずに立ち上がった。しかし視線はまっすぐとカメリアを捕らえており彼女に向かって手を伸ばした。そして大きく息を吸い込み、力を込めた。
今度は逃げるために立ち上がったのではなく、友達として向き合うために。
「カメリア! ぼ、ボクとお友達になってください!」
「ツバキちゃん…」カメリアは初めて聞くはっきりとした意思に少し戸惑ったような反応を見せたがすぐに、「うん!ツバキちゃんよろしくね」と元気いっぱいに彼女の手を取った。

53 名前:カレル[sage] 投稿日:2023/02/24 20:34:08 ID:Jq.rYcMUMw

日が出たばかりの早朝の出来事
春の乙女たち、街角に咲いた花は
一輪はまだぎこちない笑顔を
もう一輪ははじけるような笑顔を咲かせていた

[完]

54 名前:カレル[age] 投稿日:2023/02/24 20:37:01 ID:Jq.rYcMUMw
あとがき

ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回はいつもの対話形式ではなく三人称視点で書いてみましたがいかがでしたでしょうか?こういったスタイルで話を進めるのが初めてなので途中で詰まることもありましたが何とか書き終わることができてホッとしています。

本作は椿とカメリア(オリジナルキャラクター)との出会いを描かせていただきました。椿は人見知りが激しいキャラクターなのでどうやって話を動かそうと苦労しました。実際に初対面だったら椿が怯えてしまい仲良くできるビジョンが全く浮かばなかったので、チモシーで慣れたらどうか、と考えて話を書きました。実際その方が自然なので過去編多めで行きました。

次回の予告としてバスケ先輩関連の話を投稿する予定です
さて次回の作品でまたお会いしましょう


あとカメリアのプロフィールもあるのでどんなキャラクターか把握するために活用してください。椿は大体155p位と想定しているので、カメリアとの身長差は結構あります。

――――――

名前:カメリア 歳:16歳 身長:142cm(耳まで含めると148cm)体重:??kg
金髪碧眼の少女
家族構成は母、父、そしてティラミスの4人家族
いまは親元から離れて大魔法使いのカルラと二人暮らしをしている
性格はとても明るく物怖じしないが、焦ると周りが見えなくなってしまうという欠点を持っている。
かわいいものが大好きで、かわいい生物を抱きしめたいと常に考えている。

*イラストはAIに描いてもらいました

――――――


https://kirarabbs.com/upl/1677238621-1.png


55 名前:きららBBSの名無しさん[age] 投稿日:2023/02/25 18:30:01 ID:BwvcqkZzPQ
Wツバキ、季節感もあって良いです。
最後、椿の方から呼びかけるのが良かったです。

別人格持ちの金髪獣少女が好みでしょうか?良いと思います。

56 名前:カレル[age] 投稿日:2023/02/25 23:57:33 ID:Wux/JBIcwj
>>55
コメントありがとうございます

椿が主役のはなしと私のきららファンタジアの物語を進めたいな、という思いが融合して出来上がりました。カメリアは結構最初辺りから名前や姿は登場させてきたので、やっと本格参戦といったところです。

回想の時には成り行きで友達だといわせてしまったので、気持ちをしっかりと伝えられたと思っています。

そうですね… 金髪は好きですし、尻尾も好きなので合っていますね… ただ別人格持ちは偶然です

57 名前:ペンギノン (あおちゃんSSの人、リクエスト主) [age] 投稿日:2023/02/26 21:40:18 ID:ydzP.IfiIt
拝読しました! 椿ちゃん主役のSS、本当に書いてくださって感謝です...! 遅くなってしまい申し訳ございません。あとけもみみかわいい (定期)
椿ちゃん、かわいい友達ができてよかったね...! 友達部のみんなに自慢しちゃおう!
私自身が台本形式か一人称の文章形式ばかり書いてきたこともあり、三人称視点はなかなか印象的でした。
椿ちゃんの特性として、チモシーとのバランスをとるのが難しいという認識を私は勝手に持っているのですが、両者の違いがわかりやすく文章に現れていて読みやすかったです。
しかし、まさかきらファン編となるとは思わなんだ。かわかわなきん!! ぱつ!!けもみみキャラ ・ カメリアちゃんも参戦し、ますます賑やかになってまいりましたね。
しかも、カルラさんの同居人... あれ、この子カリンさんの存在知ったら脳破壊されない? 大丈夫なんですかね?
閑話休題。推しキャラが幸せになっているお話は、やはりいいものですね...!

58 名前:カレル[age] 投稿日:2023/03/01 21:53:11 ID:dsOVVCSYJP
>>57
ペンギノンさんいつもありがとうございます

今後も椿の出番は少なからずあると思うので、お楽しみに!
あと、友達部ってどこのシナリオにありますか?初めて聞いた単語だったのでちょっと気になりました。 

チモシーと椿の関係はかなり考えて書きました。もともと人前に出るのが不可能な椿が使っていた隠れ蓑のような扱いなので、いつか出る必要がある。原作でもチモシーではなく椿として、はなこたちとたどたどしいですが話をすることができるまでに成長できているので、カメリアとお友達になろうと勇気を出した最後に繋がりました。

カメリアとカルラの関係についての話は近いうちにすると思うのでお楽しみに

59 名前:ペンギノン[age] 投稿日:2023/03/01 22:18:03 ID:9mfCA2ChRo
>>58
重ねてコメントいたします。「友達部」は、2022年10月から第2部外伝イベントと同時に開催されていた『ぼっち・ざ・ろっく!』参戦イベントの後日談で登場した謎の部活です。メンバーは椿ちゃんの他に『ハナヤマタ』のなるちゃん、『スロウスタート』の花名ちゃん、『きららファンタジア』のうつつちゃんで構成されており、色々あってぼっちちゃんがそこに参加するというお話が繰り広げられました。
個人的に友達部の雰囲気というか、後日談のエピソードそのものがとても印象に残っていて、今後のイベントでも友達部が登場してくれたらいいなと私は期待を寄せていました (その先の運びについてはご存知のとおりです)
ここだけの話、友達部が主役のSSも執筆していました... が、筆が進まず行き詰まり、没になりかけています。つらい。

カメリアちゃんとカルラさんの関係、とても気になります! しかも、椿ちゃん再登場フラグまで立っているとは... ますます続編が楽しみです!

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名前 age
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