SSは初投稿です
文章など至らない部分はありますが、よろしくお願いします
「これで今日の部活は終わりです。オンリーまであと1週間なので、徹夜も考えてますよ」
「はい…」
「それじゃ、またなー」
部活帰りの道、しーは私に声をかけ、
「あや、シナリオの進捗はどう?」
「ああ、ダメだよ。」
「やっぱりね。仮にもプロジェクトリーダーがそんな様子で大丈夫かしら」
しーは私を言葉で的確に突き刺してくる。まぁ、こんなのいつもの事だ。
「私にも事情があってだなー、しー、今回私はお前たちのことも…」
「とにかく早急に書き上げて。今夜は泊まり込みよ」
「あ、あぁ…分かった」
喉から出かかった言葉は無慈悲にも遮られた。仕方ない。言われた通りにしよう。
しーは黙々とディスプレイに向き合っている。とても私の考えには気付きそうにない。
「あのさ、シナリオなんだけど、しーとしてはどんな風なのがいい?」
「…書き切れる範囲で無理ない内容、ね」
「そりゃそうだよな…」
まるで考えを見透かされたようだった。まぁ、人を思ってのことだから当然だが。
でも、私は思い切って伝えることにした。
「私も、今回はそうしようと思うんだ」
「何で?」
「いつもシナリオは一人で走ってばかりだったから、今回くらい気を遣いたいんだ」
「…突然優しいことを言うのね」
そう言うとしーは席を立ち、私の方へ向かって来た。
「あや、自由に書いていいわ」
「え?」
「あやのそういうところ、私は好きよ」
「!?」
「これで性格が追い付けばいいのに」
「あ…うん」
ムカっとするのと共に、何だかホッとした気分だった。すると次の瞬間、しーは私の方に体を倒してきた。
「こうすればもっと意欲が出るかしら」
「よせ、集中できない」
しばらくシナリオを書き続け、気が付くと夜が明けていた。どうやら寝過ごしたみたいだ。起きたときも、しーとは体を寄せたままだった。
結局、その日にシナリオは書き終わらなかったが、私はどうにも満足感に浸っていた。
いいですねしーあや!
あや側から行くのかと思ったらまさかの椎奈から!いいですね!(語彙力)
感想ありがとうございます!
>>5
今回はあや目線だったので、そっちの方がいいかな…
って考えてました
>>6
尊いですよねー
>>7
本当はもっとやるつもりだったんですが自重しました
>>8
SS自体は細々と書いてきてましたが、ここでは初めてなのです
あやめと椎奈のあやしい関係(ぼそっ)
次はもっと親密になっても良いんですよ?(ちらっちらっ)
>>12
いきなり上がってきてびっくりです!
続き…しいなんの誕生日おめとかで書きましょうかね……
しいなんの誕生日なので書いてきました。
後日談です。(予定にはなかった)
それでは。
あの日から数週間後……。私たちは無事オンリーイベントを乗り切り、次のコミマに向けた作品も計画が決まってきた。
前作のシナリオを悩みに悩んでいたあやは、今回も進捗が良くないらしく、今回も私の家で作業を共にしている。
無言の作業空間。その中で、私は少しの違和感からあやにそれを問いかける。
「随分と集中してるけど、一体どれだけ長くなってるのかしら」
すると、あやは私の質問で集中力が切れたのか、それに答える。
「……前に自重しないでいいって言わなかったか?」
どうやらあの言葉を真に受けているらしい。あれは好意のブラフのつもりだったのだけれど……。
「ええ、まあ、最小限の量で自分らしく作るのが理想よ」
そう言いながら、私はコップにお茶を注ぐ。
「うん、知ってた。だが、これも私らしくあるため……」
あやは格好付けたような言葉で返してくる。
「いい覚悟ね。徹夜のお供ならこれかしら」
私はエナジードリンクを先ほどのコップに注ぎ、それをあやに渡す。
「それエナジードリンクと何か混ぜただろ……。そんなの飲んだら眠気も尚更サッパリだな」
私の行動はあやに見抜かれていた。流石、長い付き合いともなれば上手くはいかないか。
「さて、冷蔵庫行ってくるか」
冷蔵庫から缶を取ってきたあやは、再び作業に戻る。無言に戻った私とは違い、生き生きとした音を立てながら。
やはり、嬉々としてシナリオを書くあやの姿を見ること……、それが私の創作意欲に繋がるのかもしれない。
それから数日後……。
「お邪魔しまーす」
呼んでもいないのに、あやが家を訪れてきた。
「あら、何の用?」
「今日って誕生日だろ?この前部活のほうでも祝ったばかりだけど……」
あやはそう言うと、弁当箱を取り出し……
「これあげるからさ、くれぐれも風邪は引くなよ」
私が都合よく風邪を引くことを知っているなんて……。嬉しいのか残念なのか、自分自身でも分からなくなった。
「それと、これなんだけど……」
あやはそう言うと、数枚の紙を渡してくる。それを見ると、紙いっぱいの文章が書かれている。
「これは……いつ書いたのかしら?」
私がそう言うと、あやは顔を押さえる。
「あっ……。実はシナリオと同時並行で……」
申し訳なさそうに話すあや。それに対して私は……
「これに時間をかけてた訳ね。もっと雑用を任せたかったわ」
何故だろう、お礼の言葉が出てこない。
「それで、誕生日なのに悪いけど、改めて評価してほしいんだ」
あやのその発言は、以前の発言とは矛盾しているように感じる。
「評価されるための創作じゃないんでしょ?」
私の問いに、あやは迷うことなく答える。
「内輪なら話は別だよ。付き合いの長い人間なら尚更さ」
その言葉は果たして私への信頼なのか。そうであれば嬉しいけれど。
「そう、じゃあ読ませてもらうわ」
私は紙を手に取る。するとあやは、恥ずかしがるような仕草をする。
読んでみたところ、内容はシリアスな百合といった感じだった。
『好きなのに伝えることができない』『思いが相手に届かないのが怖い』と、まるで私の心情を読んだように登場人物の心境が書かれている。
そして、私は思わず感傷に浸ってしまう。
(私だって、あやのことを……。口に出せないけれど……。)
それでも私は決心して、素直に伝えようとした。だが……
「……あやは、こういう恋愛をお望みなのね……」
その思いは、声に出る直前に強がりへと変換されてしまった。
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