ノノ 「取り敢えず、これで全員揃ったね」
千矢 「うんっ! 今日は皆に、山の楽しみ方をいっぱい教えてあげるね」
紺 「期待してるわよ」
小梅 「たまにはこういうのもいいわね」
ノノ 「動物さんたちと仲良くなれるかな...?」
臣 「ふふっ。今からわくわくしちゃうわね」
千矢 「それじゃあ...」
千矢、紺、小梅、ノノ、臣 「しゅっぱーつ!!」
[Attention!]
この作品は『うらら迷路帖』を題材としたSSです。
あくまで上記原作とは一切無関係な所謂二次創作 (或は三次創作) です。
創作の関係上、大いに独自設定 ・ 捏造 ・ 原作を逸脱した点が存在します。
本作は、私が以前執筆した『千矢 「風邪を引いたお話」』のアフターストーリーとなっております。もしよろしければ、そちらも併せてご覧ください。
きららBBS版: https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
「やるデース! 速報」版: https://kirarafan.com/archives/29831832.html
Pixiv版: https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
時系列は原作6巻の前半くらいです。7巻を含むアニメ化範囲外のネタバレが容赦無く含まれています。その旨ご注意ください。
臣ちゃんやなつみ屋のことを詳しく知りたい方は、是非原作を全巻 (1巻〜7巻) 読みましょう。更に『夜森の国のソラニ』 (全3巻) も読みましょう。ナカノさんまじかわかわ。
書き溜めありです。と言うより、既に最後まで完成しています。
最後に、本SSを執筆する切っ掛けを与えてくださった名無しの読者様に、この場で感謝申し上げます。誠にありがとうございます。
以上の点を了承してくださる方は、どうかお付き合いください。
千矢 「それにしても、風邪が治って本当に良かったよ」
紺 「あのときはどうなることかと思ったわ」
千矢 「流石に心配しすぎだって」
紺 「そんなことないもん」
小梅 「看病中の紺、魂抜けたって感じの顔してたもんね」
紺 「ふぇっ!?」
臣 「わからなくもない」
紺 「そ、そんな!?」
ノノ 「友達思いだもんね、紺ちゃんは」
千矢 「いつも感謝してるよ、紺っ!」
紺 「も、もうやめてよ...///」
----------
千矢 「そういえば、八番占になってからこうして皆でお出掛けするのって初めてかも?」
紺 「言われてみれば。まぁ、最近忙しかったし」
小梅 「そもそも、今までは棗屋とか九占塾とかに割と拘束気味だったから、完全に自由に動けるようになったこと自体最近なのよね」
ノノ 「あっ、確かにそうかも。あんまり実感湧かないね」
臣 「... わたし、十番占の頃の千矢たちを知らないから... ちょっと羨ましい」
小梅 「あっ! そうよね、迂闊だったわ。ごめんね、臣」
臣 「そ、そんな気にしなくていいわよ」
千矢 「わたしは、十番占のときも楽しかったけど、臣がいる今の方がもっと楽しいよ! だから、臣も今日はいっぱい楽しんでね!!」 ギューッ
臣 「あ、う、うん... ありがと、千矢...///」 プシュー
紺 「」
----------
千矢 「わーい、お山だぁ」 キャッキャッ
紺 「はぁ、はぁ... 千矢はいつになく元気ね...」
小梅 「そういう紺もだいぶ元気な方だと思うわ。そんな大荷物抱えてる割に」
紺 「そうかしら?」
小梅 「ほら、あれを見なさい」 チラッ
紺 「?」 チラッ
ノノ 「置いてかないでぇ...」 ゼェゼェ
臣 「山登り、正直なめてたわ...」 ゼェゼェ
紺 「こ、これは...」
千矢 「うーん、この山は比較的低い方だと思うけどなぁ」
臣 「ということは、場所によってはもっと高く険しい道中になっていた可能性も...」
千矢 「あるね。いくらでも」
ノノ、臣 「ひぇっ...」
紺 「...」
小梅 「紺、大丈夫? 少し持とうか?」
紺 「いいえ、大丈夫。ちょっとした鍛錬だと思って頑張るわ」
小梅 「そういうところ健気よね」
千矢 「さぁー、いっぱい張り切ろー!!」 ダダダ
ノノ 「わたし、疲れたよぉ...」 ゼェゼェ
臣 「休憩... させて...」 ゼェゼェ
小梅 「ちょ、ノノと臣のことも考えてぇー!!」
紺 「はぁはぁ... ま、待ってぇ...」 フラフラ
----------
千矢 「いやぁ、ごめんごめん。元気になったからついはしゃいじゃって」
小梅 「千矢の野生児っぷりには敵わないわね」
千矢 「あっはは。そうかなぁ。紺はどう思う...」 チラッ
紺 「...」
千矢 「...紺、大丈夫...?」
紺? 「千矢ぁ!! 妾のことも構ってくれぇぇ!!」 コォォォン
千矢 「うぉっと」
小梅 「こ、紺!?」
ノノ 「ううん、多分あれは...」
千矢 「くんくん... あ、きつねくさい。お狐様かな?」
小梅 「 き つ ね く さ い 」
臣 「確かめ方それでいいの...?」
お狐様 「如何にも。紺のヤツがなんかバテたから、代わりに妾が出てきたのだ。あと妾はきつねくさくないぞ」
小梅 「まぁ、あの大荷物じゃあね...」
お狐様 「千矢は妾のものじゃ///」 ゴロゴロ
千矢 「あははっ、くすぐったいよぉ」
臣 「こう言っちゃ悪いけど、お狐様っていまいち威厳が足りないわ」
お狐様 「何じゃと貴様」 ギロリ
小梅 「これでも初対面のときは、何か凄いひとって感出してたんだけどねぇ」
ノノ 「あぁ、あのときね...。金縛りとか掛けられたよね」
小梅 「ほんと、どうしてこうなったってくらいの豹変ぶり。まぁ、原因は殆ど千矢だけど」
臣 「...やっぱり、千矢って只者じゃないわ。つくづくそう思う」
千矢 「?」
----------
お狐様 「ん〜〜♪」 ゴロゴロ
千矢 「よしよし」 ナデナデ
臣 「何これ」
小梅 「最早見慣れた光景まである」
紺 「...はッ!?」 ガバッ
ノノ 「あっ、紺ちゃん戻ってきた」
千矢 「紺、おかえり」 ナデナデ
紺 「あばばっ!? なにこれなにこれなにこれぇーー!!」 グルグルメ
臣 「紺、なんか変な人格混ざってるわよ」
----------
ノノ 「見て。道端にもお花いっぱい生えてるよ」
紺 「こんなに色とりどりに咲くものなのねぇ」
千矢 「...」 ムシャムシャ
臣 「... で、千矢は何してるのかしら?」
千矢 「えっとね、この草食べられるから、美味しく食べてるの」
臣 「そ、そう...」
小梅 「道草を食う、とはまさにこのことね」
紺 「...っ」 プルプル
小梅 「やった、ちょっとウケた」
紺 「わ、笑ってなんかないもん」
臣 「ふーん。意外と身近にあるものなのね。じゃあ、これも食べられるのかしら。あーん」 ヒョイ
千矢 「!? お、臣っ!!」 グイッ
臣 「な、何よ急に」
千矢 「あのね、臣。それ毒草」
臣 「!?」
ノノ 「ほんとだ。それ、食べるとお腹壊しちゃう草だよ」
臣 「...」 アセダラダラ
紺 「食べた量によっては最悪の場合、急性中毒で死に至る系のやばい草ね」
臣 「命拾いした...」 ブルブル
小梅 「普通に怖すぎる」
----------
千矢 「ノノ、これあげる」
ノノ 「千矢ちゃん、ありがとう。あ、なずなだね」
千矢 「そうそう。この葉っぱみたいな部分を折って...」 ポキポキ
ノノ 「折って...」 ポキポキ
千矢ノノ 「回す!」 クルクルペチペチ
紺 「...!!」
臣 「あら、いい音」
小梅 「二人共上手いわね。あたしがやるといっつも微妙な感じになっちゃう」
紺 「...」 キラキラ
臣 「紺って何見せても新鮮そうな顔するから、見ていて面白いわ」
紺 「わ、わたしもやってみたい」 ウズウズ
千矢 「はい、紺にもどうぞ」
紺 「ありがと。えーと、これを折ればいいのよね?」
千矢 「そうだよ。折りすぎると取れちゃったりうまく音が鳴らなくなっちゃったりするから、気を付けてね」
紺 「了解。因みに、さっき千矢は『葉っぱみたいな部分』って言ってたけど、実はこれ果実なのよ」 ポキポキ
千矢 「へぇー! そうなんだ、初めて知ったよ」
小梅 「遊びよりも雑学に詳しい紺であった」
紺 「小さい頃からお勉強ばっかりしてきたせいかな?」 ポキポキ
ノノ 「それが今まで途切れずに続いてるってことを考えると、物凄く立派なことだよ」
臣 「間違いなく紺の強みだと思うわ」
紺 「そ、そうかなぁ」 クルクルペチペチ
紺 「あ、できた...♪」
千矢 「やったね、紺!!」 クルクルペチペチ
紺 「うんっ! すっごく楽しい!!」 クルクルペチペチ
ノノ 「紺ちゃん、いい笑顔」 クルクルペチペチ
臣 「たまにはこういう遊びもいいわね」 クルクルペチペチ
小梅 「臣もいつの間に...。よーし、あたしも負けてられないわ。いざっ!!」 クルクル... シーン
小梅 「...」 クルクル... シーン
小梅 「どうして」
----------
小梅 「...」 プクー
ノノ 「小梅ちゃん、いじけちゃった」
千矢 「うじうじしてる。うじむしみたい」
紺 「ちょ、ここで追い打ちかけないで」
小梅 「...」 プクー
臣 「...反応しない」
紺 「これは重症ね」
小梅 「なんであたしだけできないのよ」
千矢 「小梅、右手貸して」
小梅 「え゛っ゛」
千矢 「そこまで驚かれるようなこと言った!?」
小梅 「ち、千矢にそんな趣味が... どうしよう、あたしの右手無くなっちゃう」 ガクブル
千矢 「いや、そういう意味じゃなくてね」 アセアセ
紺 (発想が猟奇的すぎる)
千矢 「多分だけど、こうやって回せば...」 クルクルペチペチ
小梅 「... 鳴った! ありがと、千矢!!」
ノノ 「千矢ちゃん、すごい...!」
千矢 「にしし、ちょっとだけ役に立っちゃった」
臣 「あとは、今のを小梅が一人でできるようになるだけね」
小梅 「ええ! 確かこうやって...」 クルクル...シーン
小梅 「...」
千矢、紺、ノノ、臣 「...」
小梅 「...うん、練習するわ!!」
紺 「先は長そうね...」
千矢 「とはいえ、いつもの調子に戻ってくれてほっとしたよ」
マツコさん 「ワーイ」 クルクルペチペチ
ノノ 「!?」
ノノ 「...マツコさん、小梅ちゃんの前では絶対にやらないようにね」
マツコさん 「?」 クルクルペチペチ
----------
千矢 「おっ、あれは...」
紺 「千矢、なにか見つけたの?」
千矢 「あそこに熊がいるよ」 ユビサシ
紺 「く、熊っ!?」 ビクッ
小梅 「まっさかー。そんなのいるわけ...」 チラッ
熊 「...」 ジーッ
小梅 「!?」 ビクッッ
ノノ 「こ、こっち見てるよ」 ブルブル
臣 「で、でも見てるだけならどうにかなるかも。慎重にこの場を立ち去れば...」
熊 「...」 テクテク
紺、小梅、ノノ、臣 「」
千矢 「近づいてきたね」
熊 「...」 ズモモモ
紺 「あわわわわ、どどどどどうしよう」 ガタガタ
小梅 「あ、あたしたち食べられちゃう? もしかして」 ガタガタ
紺 「お、臣、貴方ならこの状況、どう切り抜ける?」 クルッ
臣 「...」 チーン
紺 「...死んだふりしてる...」
ノノ 「こ、こうなったらわたしの歌で...」 スゥゥゥ
千矢 「おいでおいでー」 クイクイ
紺 「千矢!?」
熊 「...」 ノソノソ
小梅 「な、何やってるのよ!? いくら千矢とはいえ、熊は危険よ!」
ノノ 「...」 (ど、どうしよう... 緊張と怖さで声が出ないよ) ガタガタ
紺 「千矢、だめぇー!!」
千矢 「よぉーしよしよしいいこいいこ」 ナデナデ
熊 「...♪」 スリスリ
紺 「...え」
千矢 「お利口さんだねぇ、よしよーし」 ナデナデ
熊 「くぅぅん...///」 テレテレ
ノノ 「えぇ...」
千矢 「ね? 大丈夫だったでしょ?」
小梅 「千矢、恐ろしい子...!!」
千矢 「?」
----------
千矢 「またねー!!」
熊 「♪」 ノシノシ...
紺 「... 普通に帰っていった...」
ノノ 「人懐っこい熊さんだったね」
小梅 「熊ってあんなにもふもふしてたのね、知らなかったわ」
紺 「つい抱きついちゃったけど、温和な熊で正直助かった」
臣 「... ハッ!? ここはまさか熊の胃袋... あれ?」 キョロキョロ
紺 「死んだふりじゃなくて眠ってたのね、貴方」
臣 「熊はどこ?」
千矢 「帰っちゃったよ。すっごくかわいかったぁ」
臣 「えぇっ!? そ、それは流石に...」
ノノ 「ねー。もしかして、子熊だったのかな?」
臣 「あんなに大きかったのに!? いや、でも熊だったらありうるのかしら...」
小梅 「臣も起きてたら、もふもふできたかもしれないのにねぇ」
紺 「ごめんね、起こす前に帰っちゃったから」
臣 「くっ...」
熊 「...」 ジーッ
熊 「...」 ペコリ
熊 「...」 クルッ... スタスタ...
----------
千矢 「やったー! 頂上についたよー!!」
紺 「ゼェゼェ... の、登りきったのね...」 アセダラダラ
小梅 「死にそうになってる...」
臣 「何だかんだ全部の荷物を運びきる辺り、もう流石としか言いようがない」
ノノ 「...!! み、皆、アレ見て!!」
小梅 「アレってどr...っ!!」
臣 「おぉ...」
紺 「これは...」
千矢 「わぁー、山桜の大樹だぁ」
臣 「見事に満開してる... 綺麗...」
紺 「そっか、もう春だものね」
小梅 「だんだんあったかくなって、過ごしやすくなるかしら」
ノノ 「楽しくなるね」
千矢 「あ、そうだ!! ここでご飯食べよ!」
小梅 「いいわねそれ。お花見もできてお得だし」
ノノ 「丁度場所も広いし景色もいいよ」
臣 「お花畑みたいで素敵...」
紺 「うん、そうしましょ。じゃあ準備しちゃうわね」 ゴソゴソ
小梅 「朝からの大荷物が役に立ってるわね」
紺 「備えあれば憂いなしってね!!」 ドヤァァァ
臣 「その代わり、道中での疲労も尋常じゃないわけだけど」
ノノ 「しかも往復」
紺 「お願い、それ以上言わないで」
----------
千矢 「それでは」
千矢、紺、小梅、ノノ、臣 「いただきまーす」
小梅 「!! これすっごく美味しいわよ! ノノ、なかなかやるわね」
ノノ 「あ、ありがと... よかった、練習の甲斐があったよ」
臣 「なつみ屋の営業にも取り入れたら、もっと儲かるかしら」
紺 「まさに臣って感じ」
臣 「どういう意味よ」
小梅 「商魂逞しいって意味でしょ」
臣 「当たり前でしょ、それがわたしなんだから」 オミィィィン
千矢 「うんうん、よきかなよきかな」 パクッ
千矢 「うわ、ほんとに美味しいや」 パクパクモグモグ
----------
小梅 「あっははー! 追いついてみなさーい!!」 ダダダ
ノノ 「小梅ちゃん、待ってよぉ」 ハァハァ
臣 「追いかけるこっちの身にもなりなさいよ...もう」 クスッ
千矢 「三人とも楽しそう」
紺 「千矢も交ざらなくていいの?」
千矢 「うん、ちょっと疲れちゃったから」
紺 「あはは。ずっと元気にはしゃいでたものね」
千矢 「...今日、ここに来れて本当によかったよ」
紺 「わたしも。まさか、お花見まで楽しめるなんて思わなかった」
千矢 「えへへ。なかなかいい景色だよね」
紺 「そうね...」
紺 「...千矢」
千矢 「ん? どしたの、紺?」
紺 「桜の咲く季節、その何処かに、千矢の誕生日があるのよね」
千矢 「...うん。そういえば、紺はわたしの誕生日を視つけてくれようとしてたっけ」
紺 「どうしてうまくいかないのかしら。悔しいけど、お狐様にもさっぱりわからないみたいで、どうにも歯が立たないわ」
千矢 「わたしが言うのもアレだけど、すっごく難しいんだね。紺がそう言うくらいなら、わたしには到底できそうもないや」
紺 「でもね、千矢」
千矢 「?」
紺 「わたし、約束は絶対守る。千矢の誕生日、絶対視つけてみせる。そのためにも、修行あるのみだわ」
千矢 「あはは。紺は真面目さんだなぁ」
千矢 「えーと... うん。そしたら、わたしはずっと待ってる。忘れないよ、何があっても」
紺 「約束しましょ。お互いに」
千矢 「絶対だよ。忘れたら承知しないから」
紺 「ふふっ。わたし、何されちゃうのかしら」
千矢 「そうだね... 紺の食事全部に油揚げ入れちゃう、とか?」
紺 「ひぃっ!?」 ビクッ
お狐様 (なんじゃそれは、とんだご褒美ではないか) ジュルリ
----------
千矢 「ふぁぁ... ちょっと眠くなってきた」
紺 「今日はあったかいものね、わかるわ」
千矢 「そうだねぇぇ...」
紺 「眠いのなら、眠っちゃっていいのよ」
千矢 「うん... そうする...」
紺 「ふふっ。おやすみ、千矢」
千矢 「紺... みんな... 今日は、ありがとう... zzz」
----------
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千矢 「...zzz...」
紺 「起きて、千矢。もう、幸せそうに眠ってるんだから」
お狐様 「疲れが溜まっておったんじゃろ、そっとしておけ」
ノノ 「千矢ちゃん、どんな夢見てるんだろう」
マツコさん 「マツコモキニナルー」
臣 「わたしの夢占いで視てみる?」
小梅 「それもありだけど、後で訊けば良くない?」
臣 「それもそうか」
紺 「でも、時が経つのは早いわね。あれから何年経ったのかしら」
ノノ 「えーと、ここに遊びに来たのはわたしたちが16の頃だから... ひー、ふー、みー...」
小梅 「やめてノノ、時間の流れは残酷なのよ」
臣 「因みに、プーはどのくらい西洋の占い覚えたの?」 ニヤニヤ
小梅 「プーって呼ぶのやめて」
ノノ 「あっ、ご飯作り置きするの忘れて来ちゃった。椿先生、大丈夫かな?」
小梅 「あの人はきっと大丈夫でしょ、多分」
臣 「適当すぎる」
紺 「でもまぁ、万一の場合はニナ先生とか佐久隊長とかに頼るでしょ」
ノノ 「うーん、そうかなぁ。帰ってきたらお腹の空きすぎで倒れてました、とかななきゃいいけど」
紺 「そこを気にしすぎるときりがないわよ」
椿 「くしゅん」
椿 「うーむ、誰かが噂でもしているのだろうか」
椿 「しかし... お腹すいたぁ。委員長、早く帰ってきてぇ」 グゥゥゥ
千矢 「... むにゃ... あれ? わたし、眠ってた...?」
小梅 「あっ。やっと起きたわね。えぇ、それはもうぐっすりと」
千矢 「も、もしかして寝顔とか、見た...?」
紺、小梅、ノノ、臣 「...」 ニヤニヤ
千矢 「ふぇぇぇっ!? わ、忘れてぇー!!」
お狐様 「そんなこと言われても、無理なものは無理じゃ」
マツコさん 「カワイカッタヨー」
千矢 「お狐様とマツコさんまで!?」
紺 「皆、大好きなのよ。千矢のことが」
千矢 「あぅぅ...///」
----------
紺 「それじゃあ、わたしに合わせて... せーの」
「お誕生日おめでとう、千矢」
千矢 「... うん。皆、ありがとう」 ニコッ
紺 「ということで千矢、音頭お願い」
千矢 「えっ、わたしでいいの?」
臣 「逆に、千矢以外に誰がいるというのよ」
小梅 「そうね、これは千矢の役目よね」
お狐様 「妾も異議無しじゃ」
ノノ 「千矢ちゃんがんばれー」
マツコさん 「ガンバレー」
紺 「ほら。皆もこう言ってることだし、ね?」
千矢 「... わかったよ」
千矢 「それじゃあ、わたしたちの友情を祝って」
「かんぱーい!!」
ノノ 「ほうじ茶、あったまるね」
臣 「風情があるわ」
小梅 「でも、どうしてお酒にしなかったの? あたしたち、もう飲めない歳じゃないはずだけど」
紺 「...うん。それは、その...」 チラッ
千矢 「?」
小梅、ノノ、臣 「...あぁ、成程...」
千矢 「??」
----------
小梅 「千矢っ! これを見なさい!!」 クルクルペチペチ
千矢 「あっ、なずな! 遂に鳴らせるようになったんだね!!」
紺 「懐かしい、そんなこともあったわね」
小梅 「これであたしだけ屈辱を味わわずに済むってわけ」 クルクルペチペチ
千矢 「大袈裟だなぁ」
小梅 「そんなことないわ!」
マツコさん 「スゴイシンポダヨー」
小梅 「ね、マツコさんもそう思うわよね?」 クルッ
マツコさん 「コレデミンナオソロイー」 クルクルペチペチ
小梅 「」
ノノ (あぁ、止める機会を逃した...)
千矢 「マツコさんも鳴らせたんだ!」
マツコさん 「エッヘン」 クルクルペチペチ
小梅 「」
----------
紺 「! 美味しいっ! これ、美味しすぎるわっ!」
小梅 「流石はノノ」
臣 「さすノノ」
ノノ 「あれ? それ作ったの、わたしじゃないよ?」
小梅 「え、それじゃ誰が...」
千矢 「わたしだよ」 ドチヤァァァ
紺 「千矢!? いつの間に料理できるようになったの!?」
千矢 「紺を驚かすつもりで、こっそり練習してたの。結果的に、なつみ屋の皆を驚かすことになったね」
紺 「そっかぁ」
千矢紺 「えへへ〜」 ポワポワ
臣 「当たり前のようにいちゃいちゃしてる...」
小梅 「妬いてる? もしかして」
臣 「そ、そんなことないわ」
ノノ 「もじもじする臣ちゃん、かわいい」
臣 「っ/// や、やめなさいよねそういうの///」
千矢 「相変わらず仲良しだね、三人共」
紺 「ほんと、友情っていいわね」
千矢 「そうだね、まさにその通りだよ」
紺 「... 千矢。わたし、本当に約束を果たせたのね」
千矢 「わたしも、ちゃんと憶えてたよ。ずっとずっと」
紺 「また来年も、ここに集まれたらいいな」
千矢 「もう。紺ったら気が早いんだから」 クスッ
千矢 「でもまぁ。そのときは、またよろしくね」
紺 「えぇ、任せといて」
小梅 「おっと、あたしたちを忘れてもらっちゃ困るわね」
千矢 「あ、小梅。ノノと臣も」
ノノ 「わたしも小梅ちゃんも臣ちゃんも、千矢ちゃんの友達だもん」
臣 「当然、力を貸すわ。千矢のためならいくらでも」
千矢 「皆...」 ウルッ
千矢 (離れ離れになっても、またこうして集まれる。それがどんなに尊いことなのか、今のわたしにはよくわかる)
千矢 (本当は切っ掛けなんて関係なく集まれれば一番いいんだけど、それはなかなか難しいから)
千矢 (だからこそ、わたしが切っ掛けになれて、本当に嬉しいんだ)
千矢 「... さぁて、色々考え事してたら走り回りたくなってきちゃった」
紺 「どんな理由よ」
紺 「でも... うん、そうね。折角の機会なんだし、もっと楽しまなくっちゃ」
小梅 「いっそやりすぎなくらい、思う存分に!」
ノノ 「その前に、ご飯食べてからね」
臣 「もう食べてる」 モグモグ
千矢 「あははっ! まだまだ今日はこれからだよ!」
千矢 「いっぱい遊んで、いっぱい喋って、いっぱい笑顔を作っていこうね!!」
千矢、紺、小梅、ノノ、臣 「おー!!」
--fin--
[あとがき]
はい、ということで終わりです。千矢ちゃん、お誕生日おめでとう!!
今回初めて、以前執筆した作品の続編を書いてみました。
感想としましては... 実に難しかった。誇張抜きで。
前作にあたる作品の執筆段階では続編を書くことは全く考えておらず、その上私自身がインドア気味な人間であるため、幼い頃の思い出と原作単行本の描写を頼りに色々悩みながら書き上げました。結果は... まぁ、この通りです。力不足ですみません。
また、作品後半はなつみ屋メンバーたちの未来のお話を想像して、執筆してみました。
原作最終盤のネタバレをできるだけしないように努めましたが、結局不可能でした。でも、そんな危険を犯してでも、原作終了後の彼女たちの姿を書きたかったんです。
それぞれの道を進みつつも、時にはこんな風に集まって楽しく笑いあっていてほしい。そんな思いを、二次創作として表現させていただいた次第です。
最後になりますが、ここまで読んでくださった方に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
なお、当作品が2022年度に私が投稿する初SSとなります。今年度も引き続きよろしくお願いいたします。
[これまで書いたSSリスト (順次追加) ]
・ 『あお 「くじら座の変光星の女の子」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3596&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29338408.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17271872
・ 『変な生き物 「遂に誰からも本名で呼ばれなくなった」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3602&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29371224.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17272934
・ 『クレア 「わたしは鍵の管理人」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3607&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29421806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17274145
・ 『クロ 「この丘から見える星空は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3619&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29460066.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17278807
・ 『きらら 「ツンツーンください!!!!!!!!」 サンストーン 「いきなりでけぇ声あげんなよ うるせぇよ」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3637&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29571518.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17279756
・ 『みさ「みらがかわいすぎて生きるのがつらい」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3650&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29631528.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17280762
・ 『シャミ子 「杏里ちゃん、一緒に帰ろ?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3668&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29760440.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17285569
・ 『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3681&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29831832.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17286656
・ 『スズラン 「飯奢ってくれ」 ロベリア 「図々しいわね、呪うわよ...」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3702&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/29946896.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17289587
・ 『シャロ 「貴方が教えてくれること」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3720&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30014131.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291478
・ 『みら 「あおー、ぼくの着替え知らない?」 あお 「!?」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3727&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30053806.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17291693
・ 『舞 「わたしが歩んできた道は」』
https://kirarabbs.com/index.cgi?read=3742&ukey=0
https://kirarafan.com/archives/30108512.html
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17293779
・ 『千矢 「山で遊んだお話」』: このSS
さて、ここで本編とは全く関係ないお話をば。
3月終盤の4日間を使って、過去に執筆したSSを全てPixivに投稿しました。
https://www.pixiv.net/users/79648819
基本的にはこちらで投稿したものと同じなのですが、BBSでの投稿後や「やるデース! 速報」掲載後に気付いた誤植や一人称 ・ 二人称のミスなどをこっそり修正したりしています。
また、Pixivアカウントを作成するにあたってアカウント名を付ける必要があったため、BBSでも今回からその名前を名乗らせていただきます。過去にハンドルネームを付けることを提案してくださった読者様、誠にありがとうございます!
なお、名前の由来である「ペンギノン」 (penguinone) は、平面構造式がペンギンのように見えることに因んで名付けられた有機化合物です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%83%8E%E3%83%B3
https://www.chemspider.com/Chemical-Structure.10338857.html?rid=3011b6c0-ede6-41c2-87a3-e20baed511d1
名無しのSS作家改め「ペンギノン」として、私はこれからもSSを書いていきたいと思います。
それから、例によって誤植を見つけたので、ここで訂正します。
>>31
ノノ 「うーん、そうかなぁ。帰ってきたらお腹の空きすぎで倒れてました、とかななきゃいいけど」
↓
ノノ 「うーん、そうかなぁ。帰ってきたらお腹の空きすぎで倒れてました、とかなければいいけど」
読者様におかれましては、たいへんご迷惑をおかけいたします。Pixiv版では差し替えておきます。
山に行く話が来たと思ったら千矢の誕生日と絡めるとは思いませんでした。面白かったです。
>>46
作者です。コメントありがとうございます!!
原作7巻の冒頭によると、千矢たちが八番占になってなつみ屋に住み始めた時期が丁度冬〜春であり、そのシーンには花を咲かせた桜らしき植物も描かれていました。更に、この時点では紺が千矢の誕生日を知らないことも明らかになっています。
これらの要素が前作 (『千矢 「風邪を引いた夜のお話」』) 終盤の展開と矛盾なく馴染むことに気付いたとき、今回のお話の筋書きが自然と思い浮かび、そのまま執筆を開始することができました。綿密に原作をリサーチして良かった。
...などという長々とした裏話は置いておいて。
お褒めに預かり誠に光栄です...! これからも、「面白い」と思っていただけるような作品を書き続けられるよう頑張ります!!
未来になってもみんなの明るさやらしさは変わらず、仲の良さも変わらず…。
その友情をいつまでも持ち続けてくれることを祈りたいです。
>>48
作者です。コメントありがとうございます!!
その点については、まさに仰る通り。
あれだけ強固な友情を築いた五人ですから、きっと何年経っても仲良しであり続けることと思います。
実際、原作最終盤で... おっと、ここから先はネタバレになってしまいますか。
何はともあれ。どんな形でも、千矢ちゃんたちの日々が健やかで幸せなものであることを、願わずにはいられませんね。
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