オリキャラが登場するので注意
というかむしろオリキャラが主役のSSです。
でも本当はオリキャラだけどオリキャラじゃない、ちょっとオリキャラな女の子。
意味が分からんと思ったら読んでいただけたら分かります。
あと時系列も原作とかなり違います。
女の子(私は木組みの街に住む普通の高校生です)
女の子(好きなものはかわいいもの。特にうさぎさんが大好きです!!)
女の子(日々勉強にアルバイトに恋……してる相手は特にいないけど……)
女の子(とにかく毎日楽しく過ごしています!!)
女の子(そんな私にある素敵な出来事が起きました)
――甘兎庵
女の子「バイトを掛け持ちさせてください!!」
千夜さん「掛け持ちを?何か事情があるのかしら?」
女の子「えっと……」
千夜さん「待って、言わなくても分かるわ」
千夜さん「家計が苦しいのよね?」
女の子「違いますよ?」
千夜さん「高校生になって働けるようになったから、少しでも御両親の力になりたいのよね?」
女の子「千夜さん?」
千夜さん「いいわ!!私が一肌脱いであげる!!」
女の子「千夜さん!!千夜さーん!?」
千夜さん「なあに?」
女の子「違いますってば!!」
千夜さん「あら?違ったかしら?」
女の子「そんなお涙頂戴な裏話はありません!!」
千夜さん「そう……」ムムム……
女の子「そうです」
千夜さん「じゃあ父親秘蔵のワインを割ってしまった罪滅ぼしをするためね!?」パァァッ
女の子「なんて!?」
千夜さん「バイトを掛け持ちしてお金を貯めて同じワインをプレゼントしようとするけれど店頭で想像以上の価格に涙を呑むの」
千夜さん「それで別のプレゼントとしてワイングラスを用意して父親に渡すのよ」
千夜さん「当初の予定通りにならずに不本意かもしれないけれど」
千夜さん「でもね?大丈夫よ」
千夜さん「愛する娘からのプレゼントだもの。どんなものでも喜んでくれるワ」
女の子「誰のなんの話ですか!?」
女の子(この人は千夜さん。私が働く甘味チェーン、甘兎庵の若き女社長です)
女の子(最近支店の規模を拡大させつつあるとかないとか、仕事の方はあまり詳しくは分からないけど……)
女の子(でも誰にでも優しくて頼りにもなる、美人でちょっとお茶目な素敵な人なんです)
女の子(ごめんなさい、茶目っ気はちょっとじゃないですね)
女の子「甘兎庵でシフトの空きが無いから外部で働きたいだけです!!」
千夜さん「ふふ……、冗談よ」
女の子「もう……」
千夜さん「そうね。確かにもうシフトはパンパンね」
女の子「はい、そうなんですよ……」
千夜さん「でも掛け持ち……。禁止しているわけじゃないけれど……」
千夜さん「せっかくだからヘルプに回ってもらえないかしら?」
女の子「はい?ヘルプ?」
――ラビットハウス
女の子「素敵な看板……」
女の子「ここがラビットハウス……。千夜さんの御友人が経営している喫茶店……」
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千夜さん『私の昔からの友人が喫茶店で働いているんだけどね』
千夜さん『バイトの子が怪我をしてしまって二ヶ月程休まなくちゃいけなくなってしまったそうなの』
千夜さん『友人としてぜひとも支援要請には応えてあげたくてね』
千夜さん『その間お店を手伝ってあげてもらえないかしら?』
女の子『分かりました!!』
千夜さん『ついでに色々とノウハウを盗んできてね♪』
女の子『産業スパイ!?』
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女の子「そろそろ約束の時間……」
女の子「ゴクリ」
ガチャッ
女の子「失礼しま~す……」ソロ~リ
シーン
女の子(誰もいない?)バタン
「ハーイ」
「すみません、甘兎庵からのヘルプの子ですよね。よくぞお越しくださいました」パタパタ
女の子「こんにちは。店長かお店の人はいるかな?」ナデナデモフモフ
女の子(頭にうさぎさん乗せててかわいいな〜)ナデナデモフモフ
「うさぎ越しに頭を撫でないでください」
「オホン。私がマスターの娘の香風智乃です」
女の子「こんにちは。甘兎庵から派遣されてきました!!」ビシッ
チノちゃん「それでは早速面接を始めますのでそちらにお掛け下さい」
女の子「うん、ありがとう」
女の子(小さいのにしっかりした子だなあ〜)
女の子(それにシックな制服も背伸びして選んだ感じがしてカワイイ)クスッ
女の子(でも何でだろう……?何か既視感が……)
チノちゃん「それではまず持参した履歴書をお願いします」
女の子「えっ!?え〜と……」ゴソゴソ
女の子「はい、どうぞ」
チノちゃん「はい、ありがとうございます」
チノちゃん「ちなみにこちらとしては甘兎庵に人員を派遣してもらっている立場なので形だけの面接になります」
チノちゃん「よほどのことが無い限りは不採用にすることは無いので、質問にはありのままに答えて下さい」
女の子「……………………」ポカーン
チノちゃん「?」
チノちゃん「どうかしましたか?」
女の子「えっと……、マスターさんは何処に?」
チノちゃん「父は今寝ています。ラビットハウスにはバータイムというのがあって、夜間にお酒を提供しているんです」
女の子「なるほど……。それでお酒も置いてあるんだね……」
女の子「あれ?じゃあ昼間の営業はアルバイトだけでの営業ってことになるの?」
チノちゃん「いえ、私がいますから」
女の子「こんなに小さいのにもう働いているなんて……、そんなにも人員不足だなんて……」ホロリ
チノちゃん「…………ごです……」プルプル
女の子「え?」
チノちゃん「私……、25です……」プルプルプル
女の子「……………………」チッチッチッチッチッチッチッチン
女の子「マジですか……?」
チノさん?「マジですよ?」
女の子「すみませんでした〜〜〜〜!!!!」
チノさん「道理でなにかおかしいと思いました。やたらとため口でしたし」
女の子「なんかもう、はい、すみません!!身長で判断しました、すみません!!とてもかわいいです!!」
チノさん「もういいです。中学生に間違われるのも一度や二度じゃないですから」
女の子(小学生だと思ってましたとは言ってはいけないよね……)
チノさん「まあ、改めて面接と自己紹介を。マスターの娘の……25歳の香風智乃です。昼間の営業を担当しています」
女の子「よろしくお願いします!!」ペコリ
チノさん「さてと……、えっと、名前に生年月日に住所に経歴に……」
チノさん「あっ、高校が私の母校ですね」
女の子「えっ!?本当ですか!?」
チノさん「まあ、でもこの木組みの街での高校被りはさして珍しくないですから」
チノさん「千夜さんも私の先輩ですし」
女の子「あっ!!そうなりますよね!?」
女の子「もしかして同時期に学校に通ってたりしてました?」
チノさん「はい。私が一年生の時に千夜さんは三年生でした」
女の子「結構以前からの付き合いなんですね。出会いはやっぱり高校生になってからですか?」
チノさん「いえ、千夜さんと知り合ったのは私が中学生の時に……。あれはたしかココアさん……」
女の子「ココア?」
チノさん「いえ、何でもありません。私のことはいいんです。面接中なんですから」
チノさん(下手にココアさんのことを話すとボロが出てしまうかもしれませんからね)
女の子「あっ、そうですよね」
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チノさん「では私からは以上です。何か質問はありますか?」
女の子「ハイ!!なぜ頭にうさぎさんを乗せているんですか!?」
チノさん「仕様です。他には」
女の子「ハイ!!私も頭にうさぎさんを乗せた方がいいですか!?」
チノさん「強制はしません。自由です。他には」
女の子「ハイ!!いつから頭にうさぎさんを」
チノさん「頭にうさぎさんから離れて下さい」
女の子「えへへ、すみません。私もうさぎさんが大好きでして」
女の子「甘兎庵で働きだしたのも店頭に鎮座しているうさぎさんに見惚れてしまったからでして……」テレテレ
チノさん「確かに全店舗にいますよね。なぜ照れてるんです?」
女の子「このお店もラビットハウスですし、なんかこの街ってうさぎさんに関わり深いですよね」
女の子「野良うさぎとかもそこら中闊歩してますし。何でですかね?」
チノさん「世の中には知らない方がいいこともあるんです。(私も知りません)」
チノさん「それでは質問が無いのなら面接は以上ということで」
女の子「ありがとうございました」ペコリ
チノさん「それじゃあ明日から業務にあたってもらうにあたり色々と説明をしますのでついてきてください」
女の子「あっ、本当にあっさり採用なんですね」
チノさん「千夜さんからの紹介に疑う余地はありませんから」
女の子(わーお、千夜さんの信頼スゴイ)
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チノさん「まずはここが更衣室になります」
チノさん「制服が七色ありますから好きな物を選んでください」
チノさん「といっても今空いてる制服で背丈に合わせたものとなると」
チノさん「このピンクか緑辺りが……」
チノさん「……………………」
女の子「どうしました?」
チノさん「ああ、いえ……。ちょうど緑が千夜さんも着ていた色だったなあと……」
女の子「え!?千夜さんってここでバイトしてたんですか!?」
チノさん「はい。といってもクリスマスとかの書き入れ時に臨時で手伝ってもらっただけですけど」
女の子「てっきり甘兎庵一本でやってきたのかと……」
女の子「ていうか色々とノウハウを盗んで来いって言われてるんですけど……」
チノさん「恐らく不要です」
チノさん「というかそういうことを雇い主の前で言わないでください」
女の子「あっ、こっちの一回り小さいのはチノさんのですよね?」
女の子「三色ありますけど、店長特権ですか?」
チノさん「いえ、この水色の制服だけですね。もう着てませんが」
女の子「チノさん、嘘ついちゃダメです」
女の子「この制服のサイズの女の子が複数人働いてるなんて違法です」
チノさん「合法です。多分」
女の子「じゃあどうして着なくなっちゃったんですか?」
女の子「その制服もシックで素敵ですけど、こっちのかわいい制服の方がチノさんに似合うと思うんですけど……」
チノさん「私は大人のれでぃなんです。着こなしにはとしそーおーというものがあるんです」
女の子(妹にしたいなあ)ホンワァ……
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チノさん「以上がホールの仕事ですね」
チノさん「これでおおよそのことは説明し終えましたが何か質問はありますか?」
女の子「ハイ!!」
チノさん「頭にうさぎはもう禁止ですよ?」
女の子「あっいえ、そうじゃなくてですね」
女の子「私コーヒーのこととか詳しくなくてですね」
女の子「各コーヒーの味の特徴とか大体でいいので教えていただきたいなあと」
チノさん「なるほど、勉強熱心ですね。じゃあメモを用意するので少し覚えておいてください」
女の子「ありがとうございます!!」
チノさん「せっかくですから一杯飲んでみますか?」
女の子「あー、ええっと……、苦いのが苦手なので……、その……」
チノさん「分かりました。任せてください」
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チノさん「こちらをどうぞ」
女の子「カワイイ!!お花が乗ってますね!!」
チノさん「スペシャルブレンドコーヒーです。お花はホイップです」
女の子「素敵……」ゴク
女の子「!!」
女の子「美味しい!!」
チノさん「コーヒーが苦手な人にも飲んでもらえるように作ったんですよ」ニコッ
女の子「スゴイです!!私苦いのダメなのに!!本当に美味しいですよ!!」ゴクゴク
通りすがりの小説家「ええ。本当に美味しいですね〜」ゴクリ
女の子「ウグッ……。ゲホッ、ガハッ、ゴホッ……」
チノ「ええっ!?大丈夫ですか!?」
通りすがりの小説家「美味しいからって焦って飲むと危ないですよ?」
女の子(この人……、いつの間に隣に……?)ゲホッゴホッ
通りすがりの小説家「それにしてもすみません。休業中に押しかけてきてしまって」
チノさん「いえ、気にしないでください。青山さんは従業員みたいなものですから」
女の子(チノさんも普通に会話してる……)
女の子「私が気付いてなかっただけ……?そんなはずは……」グルグルグル
通りすがりの小説家「面白い子ですね」
チノさん「臨時の従業員です。ちょっと変わった子かもしれません」
通りすがりの編集者「青山先生はいますか!?」ガチャッ!!
女の子「ひゃぁっ!?」
チノさん「青山さんならここに……。あれ、いませんね」
女の子「消えた!?」
通りすがりの編集者「ああっ!!あんな所に!!」マドノソトユビサシ
通りすがりの小説家「フリフリ」
通りすがりの編集者「待てーっ!!」バタン
女の子(……………………)
女の子(あっ!!あの人たち甘兎庵にもよく来る人たちだ!!)ハッ!!
チノさん「じゃあメモを用意するのでちょっと待っててください」
女の子「あっ、はい。ありがとうございます……」
女の子(……………………)
女の子(いや、この状況で動じないのって変じゃないですか!?)
――夜 女の子の家
女の子「お母さん、新しいバイト先の面接通ったよ。何か変な所かもしれない」
女の子の母親「いつの間にバイト辞めたの!?」
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女の子の母親「そう……、ヘルプにねえ……」
女の子「うん。休んでる人の怪我が治るまでね」
女の子「それでそのお店にも看板うさぎがいてね?もう小っちゃくてもふもふで可愛くて〜〜」
女の子「ついでに店長さんも小っちゃくて可愛いの」
女の子の母親「あなたは本当にうさぎが好きよねえ」
女の子「えへへ。何でかな?」
女の子の母親「あれでしょ。昔ブロカントに出かけた時にうさぎのおもちゃを貰ったじゃない」
女の子の母親「あのおもちゃで毎日のように遊んで。その時くらいじゃなかったかしら?」
女の子「……そっか……」
――女の子の部屋
女の子「君が私のうさぎさん好きの原点だったのか〜」ツンツン
うさぎのおもちゃ「カタカタカタカタ」
女の子(思い返してみれば当然かな。昔から今までこの子はずうっと私の宝物だもん)
女の子(確かブロカントにお母さんと出かけた時に私は迷子になっちゃったんだよね)
女の子(その時にとても親切で素敵なお姉ちゃんが私を元気づけてくれたんだっけ)
女の子(この子もその時に貰ったんだよね)
女の子「でもそのお姉ちゃんがどんな人だったかとか、どんな話をしたかとか」
女の子「上手く思い出せなくなっちゃった……」
女の子(あれ?でもたしか……)
女の子(……そう。こう言って私を落ち着かせてくれたんだっけ)
女の子(確かその後にこの子を見せてくれたんだ)
女の子(不思議だな……。さっきまでは思い出せなかったのに……)
女の子(なんだか少しずつ思い出してきた……)
女の子(この子、最初は少し怖いなって思ったけど)
女の子(そう言って私を楽しい気持ちにさせてくれたんだっけ)
女の子(そしてこの子を私に譲ってくれた……)
女の子(でもこの子を譲ってくれたお姉ちゃんのことが思い出せない……)
女の子(頭に何かもやがかかったような……)ウーン
女の子(もやが……。もやもやが……頭に……)
女の子(もやもや……、もこもこ……、もふもふ……)
女の子(頭にもふもふ……?)ウーン?
女の子「…………………………」チッチッチッチッチッ
女の子「……………………」チッチッチッチッ
女の子「………………」チッチッチッ
女の子「…………」チッチッ
女の子「……」チン
女の子「ハッ!!」
女の子「ああアあぁああぁ〜〜〜〜〜〜!!」
女の子「まるで成長していない……!!」
女の子(これが私の身に起きた素敵な出来事です)
女の子(幼少期の大切な思い出との思いがけない再開を果たすことができました)
女の子(まさかあの時と今とで全く姿が変わってないとは思いませんでしたけど……)
女の子(それはともかく。短い間ですけど、これからラビットハウスでチノさんと働くのが楽しみで仕方がありません!!)
女の子(あの時のことを話したら、チノさんも私のことを思い出してくれるかなあ……)
――翌日 ラビットハウス
女の子「こんにちは〜」ガチャッバタン
チノさん「こんにちは。ふぁぁ……」
女の子「どうしたんですか?随分眠そうですけど」
チノさん「昨日夜中に自称姉から電話がかかってきたんですけど、つい夜更けまで話し込んでしまって……」ゴシコシ
女の子「はあ……、それはまた楽しそうな……。(自称とは?)」
チノさん(眠い……)ゴシゴシ
女の子「……………………」
女の子「!!」
女の子「そんなに目をこすってると、目がうさぎさんみたいになっちゃいますよ」ニコッ
チノさん「そ……、そうですね。程々にしときます……」
女の子「それじゃあ着替えてきま〜す♪」
女の子「〜〜♪♪」
チノさん「…………?」
チノさん「さてと……、空いてるうちに軽く掃除でも……」
チノさん「うさぎさんみたい……」ボソッ
チノさん「……………………」
チノさん「!?」
チノさん「あの!?今のセリフ何処で!?」
拝見いたしました。なんて素敵な未来...。
女の子とチノちゃん (「チノさん」と呼ぶべきか...?) たちとの微笑ましいやりとりで笑顔になりつつ、一方で主人公ちゃんの正体について思考を巡らすという、なかなかアクロバティックで楽しい時間を過ごさせていただきました。
そして、話が進むにつれてその正体を理解し、「あぁー、そういうお話だったのか。凄いなこれ」と感心いたしました。最初の但書の意味も含めて。月並な感想ではありますが、総じてとても面白かったです。
若干私事で恐縮ですが、きららBBSで同じくSSを書いている立場としては、こうしてSSを投稿してくださる方が増えていくのが嬉しくてたまりません。願わくば、再びお会いできることを。
>>48
丁寧なご感想ありがとうございます。
半オリキャラだし時系列違うしで入り口入りにくいかなぁ〜読んでもらえるかなぁ〜と思ってたんで上がります。
あとSSに関してはですね。これでも緩いペースながら以前から継続して書き続けてるんですね。前に投稿した作品が3ヶ月前というクソペースなだけで……。
なのでまたひっそりと投稿しますし、その時に目を通していただけることを心から願うばかり……
>>49
!? たいへん申し訳ございませんでした...。完全に失言でした、撤回します。イキってごめんなさい...。
しかし、本当にいい作品だと感じます。何というか、文章から話の内容が映像として思い浮かべられるような、何ならそこから声優さんの声も聞こえてくるような、そういった印象を受けます。こういう文章書けるようになりたいなぁ...
>>50
あ、そんなにお気になさらずに
名無しでやってますし一ヶ月に三本投稿するような離れ業をしているわけではないので言われないと分かんないのは当然かと思います。
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