こんにちは、この前別のところでココア×胡桃のSSを書いた者です。
前からココア×胡桃のちょっと長めのSSは書きたいと思っていたのですが、今回から取りかかることにしました。
内容は少しシリアス少しネタぐらいの感じです。
まだ文章が稚拙ですが楽しんでいただけたら幸いです。
また、これからSSを書くときは名前を「バベルギヌス」と
名乗っておきたいと思います。
ちなみにタイトルに深い意味はありませんが一応ごちうさ、ぐらし以外からもキャラは出てくる予定です。
よろしくお願いします。
一目で尋常じゃないゾンビだと見抜いたよ
「あれ?リゼちゃん角生えたの?」
「…そう言われるとは思ったが、私はリゼじゃねえよ。」
「ココアさん、髪の形と色だけで判断しないでください。」
私が最初に召喚された時の会話はこんな感じだった。
これは直後に教えられたことなのだが、私は「コールチケット」と呼ばれる、特定のクリエメイトを
必ずコールできるアイテムで召喚されたらしい。そのため、先にエトワリアにコールされていた
一部のクリエメイトたちが召喚の館で私を待っていてくれたのだ。
「私の名前は恵飛須沢胡桃だ。これからよろしくな。」
ココア「なんかいきなり強そうなところ来たけど、だいじょうぶかなあ。」
綾「ちゃんと新芽食べてきたんでしょ?大丈夫だとおもうわ。」
私の初めてのクリエメイトとしての仕事は戦士の修練場でのクレスト集めだった。といっても
実際にクレストが欲しいわけではなく、私と綾ちゃんの技の熟練度を上げるのが主な目的らしいけど。
ちなみに綾ちゃんは夏だというのになぜか冬のクリスマスのような恰好をしていた(暑そう…)
そして私たちを守るために、胡桃もついてきてくれていた。
胡桃「体力がなくなりそうになったらすぐに言えよ。きららに回復のスキルカード貼ってもらうから」
ココア「胡桃ちゃんは自分の技は鍛えなくていいの?」
胡桃「私はもうレベル上げ切っちゃったからなあ。もうこれ以上上がらねえんだ。」
綾「恵飛須沢さんは最初にコールされたクリエメイトだからね。技のレベルも里のクリエメイトの中で
一番高いのよ。」
胡桃「まあ、と言っても一人にしか攻撃しかできないうえ風属性の敵には歯が立たねえから汎用性は
あんまないんだがな。」
ココア「うーん、ただ強いだけじゃこの世界は戦っていけないのか。エトワリア、奥が深いね」
こんなたわいもない話をしながらフワリーを倒していく。初めは攻撃しながら自分を回復しているため
かなり厳しい相手かと思ったが、こっちを回復させてくれることもあるため本当に練習台になってもらっているような感じである。
ココア「綾ちゃんの服はクリスマス仕様っぽいけど、冬の時期にコールされたの?」
綾「そういうわけじゃないわよ。前にたまたまイベントがあったからこの装備で来ているだけよココアのような
普段の衣装に近いものもあればいいのになあ」
ココア「…意外と大変なんだね」
胡桃「聞いた話だと、ココアにも本来限定のクリスマス衣装があるらしいぜ。コールできるタイミングが
あるからわかんないけど」
ココア「そうなんだー。いつかそれも来てみたいなあ」
ココア「胡桃ちゃんの服装は見た感じなんかイベント関係のものじゃなさそうだね。胡桃ちゃんの世界で
こんな衣装着たことあるの?」
ここは胡桃の姿についても聞いておきたいなあ。ここでココアがそう思うのは必然だろう。
しかしなぜか胡桃の口は重くなってしまった。
胡桃「ううん、そういうわけじゃないんだよなあ」
ココア「え?じゃあもしかして胡桃ちゃんの世界にもシャミ子ちゃんみたいな異種族があるってこと?」
胡桃「一応私の世界には人間しかいないけど……。」
ココア「でも人間にはそんなかっこいい角や尻尾は生えてないよ?特に角なんか、カバンとかいろいろ
かけられそうで便利に見えるけど」
胡桃「いやいや、普通自分の角に荷物は掛けねえよ。明らかに邪魔でしょ。」
胡桃「まあ、これはあんまり他の人には言いたくないことなんだ。できればあんまり掘り下げて欲しく
ないなあ。」
ココア「そ、そうなの?」
胡桃「ほ、ほら!ちゃんと技を振らないと、レベル上がらないぞ!もっとがんばれ!」
ココア「わ、分かった。」
なんかうやむやにされたまま、話は終わってしまった。
ココア「綾ちゃんは何か胡桃ちゃんのこと、何か聞いてない?」
綾「うーん、私も何も聞いてないわね。知っているのは向こうの世界で(学園生活部)っていう
部活に所属していたことぐらいね。」
綾「もしかしたら、家庭の事情とかであんな姿になってるかもしれないわよ。無理やり触れないで
あげましょ。」
ココアはクリエメイトについて「自分たちと似たような世界から来た人」という説明を聞いていた。
もちろんそれは魔法などがない世界という意味でありつらい思いをする人が一人もいないという
わけではないであろう。現にココアの妹(?)であるチノは子供の頃にお母さんを失っている。
しかしこの時のココアには胡桃の元居た世界があそこまでつらいものだったとは思いもよらない
ことだった。
この世界にも、ラビットハウスは存在する。チノのお父さんがコールされてないから
(というか多分男はコールされないから)店はチノが完全に運営している。ただ、彼女はなかなか
店にいない。彼女は能力があまりに有用であるためあちこちのクエストに引っ張りだこになる、里
最強クラスのクリエメイトなのだ。
ココア「さっすが私の妹!!お姉ちゃんはこんな妹を持てて誇りに思うよ!」
チノ「私はできればもっと店の経営に尽力したいのですが……ココアさんもリゼさんも申し訳ないです。
店をほとんど任せてしまって。」
リゼ「まあここじゃクエストクリアが最優先事項だからな、仕方ないよ」
チノ「頼ってもらえること自体は、むしろありがたいことなんですがね……」
私たちは三人で夕食にしていた。
(ちなみに千夜とシャロはこっちの世界の甘兎庵の方に住んでいる。)ここで私は今日の胡桃ちゃんとの
会話について話した。
ココア「リゼちゃんは何か胡桃ちゃんについて知ってる?リゼちゃんと胡桃ちゃんってドッペルゲンガー
なんでしょ?」
リゼ「お前ドッペルゲンガーの意味わかってないだろ!!…まあ、私も聞いてみたが結局はぐらかされたな…」
ココア「チノちゃんは?」
チノ「……聞いてないことはないですが、あまり広めないように、と言われているので。」
ココア「知ってるんだ!」
チノ「たまに里で一部のクリエメイトでの重要会議があるので、そこで聞きました。」
チノ「でもいろいろと問題があるので話すわけにはいきません。」
ココア「そ、そうかあ……」
(一体胡桃ちゃんになにがあったんだろうなあ……)
結局ココアはこの日は何も知ることが出来なかった。
今日はここまで投稿します。
これから不定期にお話を進めていこうと思いますが、状況によっては
日付がかなり空いてしまう可能性もあるのでご容赦ください。
もし、文章や内容について意見やアドバイスがあればよろしくお願いします。
この会話から2週間くらいたったある日のこと、ココアとリゼは少し遠くまで買い物に行っていた。
ココア「こっちの世界のコーヒー豆もいい香りがするね。」
リゼ「そうだな。他のものも全部買い終えたし、そろそろ帰るか。」
ココア「にしても少し疲れたなあ。リゼちゃん。おんぶしてってよ。」
リゼ「お前だけならまだしも、他の荷物ごとは無理だよ。」
ココア「まあ、そうだよね。」
リゼ「少しそこのベンチで休憩してから行くか?丁度そこにアイスの出店もあるし。」
ココア「そうしようか」
こうして、外に出て休憩しようとしたとき、
「あ、ココアちゃんとリゼちゃんだ。」「二人で買い物かな?」
「あれ、由紀ちゃんとはなこちゃんだ、二人ともここにきてたの?」
そこには2人の僧侶のクリエメイトがいた。
由紀は胡桃と同じ学園生活部の部員である。また、はなこは天之御船学園というところの生徒である。
(因みにココアははなこちゃんと言っていたが本名は花小泉杏であり多分杏ちゃんと呼ぶのが正しい)
学園生活部と天之御船学園の生徒は結構仲が良く、フリーなときは一緒にいることも
しばしばなのだ。
由紀「私たちはトレーニングの帰りかな。」
はなこ「さっきまでそこで橋の修復してたんだよね。」
リゼ「あれ?そこの橋って前に直したばっかりじゃなかったか?」
由紀「あそこの橋はなぜか定期的に崩れるか損傷するからね。時々状況を見に行かないといけないんだよ。」
ココア「そ、そうなんだ……(なんでそんなに早く崩れるんだろう……)」
由紀「でも体を動かすことは良いことだからね!(健全なる精神は健全なる身体に宿る)ってやつだよ。」
ココア「えらいね、二人とも」
そんなことを話していたときである。
ココアたちが買った荷物が横に倒れてしまった。そしてあろうことかその中の一つであるリンゴが
橋の方へ転がって行ってしまったのだ。
ココア「ちょ!荷物が倒れて!待って、転がっていかないでー!」
はなこ「ココアちゃん、そっちは川の方だよ!?」
リゼ「おいあわてて走るな、危ないって」
……
ココア「ふう、やっと追いついた。」
はなこ「ココアちゃん、買ったもの川に落ちたりしなかった?」
ココア「ギリギリ大丈夫だったよ。今そっちにいくから」 その時である。
ツルっ ココア「え?」
川の近くが湿っていたのか、ココアは滑って転んでしまった。そしてあろうことか
そのまま川にドボンと落ちてしまった。
ココア「ヴェアアアア!!流されるーー!!」
はなこ「ココアちゃん!しっかりつかまって!」
はなこが急いで近くの岸から手を伸ばす。しかしなぜか突然はなこの乗っている地面ががけ崩れを
起こし、はなこも一緒に流されてしまった。
由紀「はなこちゃん、また川に落ちちゃったの?」
リゼ「え?前にも落ちたことあるのか?」
由紀「はなこちゃんは自分は5日に一回の頻度で川に落ちるって言ってたよ」
リゼ「いくら何でも不運すぎるだろ!?」
はなこ「ごめん由紀ちゃん、このままココアちゃんと一緒に流されていくからまた学園生活部の近くで
引き上げてくれない?」
由紀「わかった、じゃあ先に戻って待ってるね」
リゼ「二人ともだいぶこの状況に慣れてるな……」
ココア「はなこちゃん、流されるとしてどのくらい距離あるnブクブク」
(服着たまま泳ぐことに慣れていない)
はなこ「距離はわかんないけど、大体15分ちょっとでいけるよ」
はなこ「しっかり私につかまっていてね!」
こうして胡桃たちの本拠地である学園生活部の出張所へ向けてココアは初めての、はなこは何回目かの
川下りをすることになった…。
ココア「ゲホゲホ、ごめんねはなこちゃん、巻き込んじゃって、」
はなこ「大丈夫だよ、このくらい平気平気!」
由紀「二人とも大丈夫?」
ココア「体はともかく、服がびしょびしょで気持ち悪いよお。」
リゼ「早くラビットハウスに戻って、シャワー浴びないとな」
由紀「せっかくだしうちのとこのシャワー使っていいよ?」
ココア「え?いいの?」由紀「大丈夫!ちゃんとあったかいお湯が出るよ」
ココア「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
ココア(もしかしたら、胡桃ちゃんが秘密にしてることの手がかりが見つかるかもしれない…)
ココア(胡桃ちゃんには申し訳ないけど、やっぱり私気になるよ…。)
こうしてココア達は学園生活部にお邪魔することになった。
今回はここまでとなります。
ちょっと途中過程までの話が長かったような気もしますが
ここから話を深くしていきたいです。
投稿は2〜3日おきに1回を目標にしたいですがこれから少し
忙しくなるので時折投稿できなくなるかもしれませんが完結は
させたいので頑張っていきたいです。また、アドバイスや意見は
いつでも待っていますので書いていただけるとありがたいです。
「あら、由紀ちゃんお客さん?」
迎えてくれてのは学園生活部の部長を務めている若狭悠里だった。親しい仲間の人とは
「りーさん」と呼ばれている。
悠里「私たちの教室の方で会うのは初めてね、ココアさん、リゼさんも」
ココア「すいません、シャワーの方お借りします。」
悠里「いいのよ。ゆっくりしていきなさい。」
由紀「じゃあ2人とも、シャワー室の方に連れていくね。」
ココア「え?住んでる部屋の近くにあるわけじゃないの?」
由紀「ここは学校の施設を模倣して作ったものだからね、プールの近くまで行く必要があるんだよ」
リゼ「本当に学校みたいなんだな、この施設は」
シャワー室にて
はなこ「ふう、さっぱりした」
ココア「はなこちゃんは結構ここにきてるの?」
はなこ「いや、いつもは自分の学校のところまで帰ってるよ。川に落ちること自体いつものことだからね」
ココア「いつものことなんだ…」
はなこ「でもここに来ること自体は結構あるよ?ヒバリちゃんとりーさんが結構仲いいからね」
ココア「そうなんだ。」
はなこ「私も胡桃ちゃんと面白いところいったことあるしね」
ココア「え?そうなの?」
はなこ「夢見の水晶玉ってものを使ってね、自分たちの作った物語の世界に行ったんだよ。」
ココア「なんか面白そう!私も使ってみたいなあ。」
はなこ「あの物語から胡桃ちゃんはあの今の姿を手に入れたんだよね。」
ココア「え!あの姿ってその水晶玉の力によるものってこと?」
はなこ「水晶玉の力っていうよりは胡桃ちゃんがもともと持ってた力なのかな?」
ココア「はあ、やっぱり胡桃ちゃんはなんかすごい人なのかな」
はなこ「そのことはりーさんから聞いた方がいいんじゃないかな?胡桃ちゃん自身は気にしていること
らしいし」
ココア「悠里さんは言っていいと思ってるの?」
はなこ「りーさんは(確かに隠したほうがいいかもしれないけど、クリエメイトたちには正直に
話したほうがいいんじゃないか)って言ってたな。」
ココア「(じゃあ直接聞いてみれば、胡桃ちゃんについてわかるかもしれないなあ。)」
はなこ「私そろそろシャワー出るけど、待ってる?」
ココア「大丈夫だよ、道はちゃんと覚えていったし、」
はなこ「じゃあ、先に部屋に戻ってるね」
一方そのころ、
胡桃「ただいま、帰ってきたぜ」
由紀「あ、胡桃ちゃん早かったね、みーくんは一緒じゃなかったの?」
胡桃「それが修練場でもう少し鍛えてくるってさ。」
胡桃「別に美紀が悪いってわけじゃなくて私が力不足なのがいけないんだがな。」
リゼ「あ、胡桃、こんにちは」
胡桃「あれ?リゼも来てたのか?なんか用事か?」
リゼ「ちょっとココアがシャワー室貸してもらっていてな、私もお邪魔させてもらっていたんだ。」
悠里「ところで今回の敵、そんなに強いの?」
胡桃「ああ、こんなやつなんだが…」
そうして、胡桃は一つの写真を出した。それには二本足の大きな機械らしき魔物が映っていた。
胡桃「鋼鉄の巨人って奴だ。両足と胴体で属性が違うから、魔法使いで一気に粉砕もできない、
かなり厄介な相手だ。」
由紀「胡桃ちゃんの一撃だけじゃダメなの?」
胡桃「まだ完全に防御力を下げられているわけではないからまだ何ともだが、現状では厳しいな」
悠里「あんまり無理はしないでよね」
胡桃「分かってるって…(でもあんな奴、ほっとくわけにもいかねえし、どうしたもんかなあ。)」
はなこ「胡桃ちゃん、シャワー借りたよ」
胡桃「あれ、はなこも借りてたのか、ココアは一緒じゃないのか?」
はなこ「ココアちゃんは道覚えたって言ってたけど」
リゼ「本当にあいつ道覚えているのか?たとえ覚えていたとしてもここに来れないかも」
胡桃「……なんか嫌な予感がするな…」
悠里「由紀ちゃん、ちょっとはなこちゃんとここで待っててくれる?リゼさんは探すの手伝ってくれないかな」
悠里「胡桃ちゃん、ココアちゃんとリゼちゃんにもきちんと教えてあげるべきよ。」
胡桃「やっぱり里のみんなにも伝えておくべきなのかなあ。」
悠里「さすがに全員というわけにもいかないけど、ちゃんと知りたい人には教えておくべきじゃないかしら」
胡桃「それもそうか、よしリゼ一緒に来てくれないか?」
リゼ「分かった。一緒に行くな。」
リゼ(自分もあまり気にしてなかったことだけど、やっぱりこの「学園生活部」はなにか重いものを抱えて
いるのかな……)
ココア「迷った…、道はちゃんと覚えていたはずなのに……。」
一方、ココアははなこに大丈夫と言っていたにもかかわらず、道がわからなくなっていた。
ココア「学校って同じ背景のことが多いからなあ。」
ココア「でもなんというか、ただの学校じゃないんだよね、ここ。」
外側から見てもわかることなのだが、この施設は普通の施設よりも武器などの道具がたくさん
ある。それはまるで何かから身を守るための施設であり、ココアたちの普段行く学校とは
かなり違うものであったのだ。
ココア「あれ、そういえばこのあたりの教室、なんか窓割れてない?」
今回はここまで投稿します。
今回話に出てくる鋼鉄の巨人はストーリー的にココアと胡桃が関わりやすくするため胴体が水属性の設定で進めています。ただし、
今回超高難易度クエストより後に実装されたクリエメイトが出る
予定なので、そこは時間軸がおかしくなってしまいますが、気にしないでいただけるとありがたいです。
あと、次回以降1週間くらい空く可能性がありますので、気長に待っていただけると嬉しいです。
シャワー室に向かっているときは気付かなかったことだが、この学校は窓だけでなく、あちこちの教室
がだいぶ荒らされていたのだ。学園生活部の住む部屋だけがきれいになっているのだ。
まるで暴徒か何かに襲われたのかのように……
ココア「どうなってんのここ…、こんなところ住んでいいところじゃないよ…」
胡桃「そうだな、確かに人が住んじゃいけねえところだな」
ココア「え?胡桃ちゃん?」
胡桃「お前が道わかんなくなると思ってきてたんだが、まあちょっと迷えばこの部屋にはきちゃうよなあ」
リゼ「どうしてこの部屋はこうなってるんだ?」
悠里「本当は他の部屋もこんな感じだったんだけど、みんなで頑張ってきれいにしたのよ。」
それから二人は、胡桃たちの世界で一体何があったのか知らされた。
ある日突然、街に「かれら」と呼ばれるゾンビたちがあふれかえったこと、学園生活部はかれらから
身を守るために緊急でできた部活であるということ、そして……
胡桃「実は私も、向こうの世界で「かれら」になりかけてるんだ」
胡桃「この尻尾と角を持った姿はおそらくそこから来ているんだろうな。」
ココア「え?そんな!胡桃ちゃんもゾンビになっちゃうの!?」
リゼ「何とかして治せないのか?」
悠里「さすがにそれは大丈夫よ、こっちでは向こうの世界のイメージがこっちにも投影されることがあるから、
胡桃のも本物じゃないわ。この荒れた教室みたいなものね。」
胡桃「ただ、他の人が「自分も感染するかもしれない」って勘違いしたら嫌だし、他のクリエメイトにも
心配かけたくなかったからな。あんまり人には言いふらしたくなかったんだ。」
ココア「…ごめんね、本当につらいこと思い出させちゃって……」
リゼ「胡桃たちの世界でこんなことが起こってたなんてな……」
胡桃「こっちこそ、悲しい思いさせて悪いな。まあ、これからもいつも通り接してくれるとありがたいぜ」
由紀「あ、みんなおかえり!」
程なくしてココアたちは胡桃たちの住んでる教室に戻ってきた。
ココア「うん…お帰り……。」
胡桃「由紀、ただいま。はなこも待たせたな」
はなこ「そんなことないよ、こっちもさっきまで由紀ちゃんと遊んでたし。」
この時、「ピンポーン」とインターホンの音が鳴った。
悠里「この時間にお客さんかしら、珍しいわね。」
玄関からは悠里がとても聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「雲雀丘です。はなこの迎えに参りました。」
悠里「あら、瑠璃さん。わざわざありがとうね。」
声の主ははなこと同じ天之御船学園から来た、雲雀丘瑠璃である。悠里とは結構仲が良い。
はなこ「あ、ひばりちゃん来てくれたんだ。」
ひばり「そろそろ夕食の時間だからね。連絡もらったとはいえ、みんな心配したのよ?」
はなこ「えへへごめんね?私はもう大丈夫だよ!」
胡桃「まあでも気をつけろよ?お前とんでもない頻度で川に落ちるんだから。」
ひばり「ココアさんたちも大丈夫?大きなけがとかしてない?」
ココア「私は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」
ひばり「ああ、そういえば持ってきたものがあるんだわ。」
そう言って、ひばりは一つの箱を差し出した。
ひばり「今日丁度クッキーを焼いたのよ。良かったら皆さんもどうぞ。」
胡桃「お、いいのか?ありがとうな」
由紀「ひばりちゃんの作る料理、どれもおいしいんだよね」
由紀の言ったようにひばりの作ったお菓子からは美味しそうな香りがしていた。
帰り道、リゼとココアは少し気持ちが沈んだまま歩いていた。
リゼ「クリエメイトのいる世界には、あんな世界もあるんだな。」
ココア「私、家族とか友達とかみんな失ったら生きていける自信がないよ……」
リゼ「私もあそこまで仲間に気を使う余裕はなくなると思うな…。」
ココア「みんな強いんだね、学園生活部の子たちは」
今回話を聞いたことは、ココアたちより先に知っていたチノも聞いた。
チノ「そうですか、胡桃さん自身から聞きましたか…。」
ココア「チノちゃんもごめんね?こんな言いにくいこと聞こうとして。」
チノ「仕方ないことです。私もあそこまで悲しい世界だとは思いもしませんでした。」
リゼ「チノはどうしてこのことを聞いていたんだ?」
チノ「自然な会話の中で聞いてましたね。おそらく私の家庭の事情で言いやすいと
思ったのではないでしょうか。」
ココア「チノちゃんのお母さんのこと?」
チノ「はい、ただ私は胡桃さんたちのほうがとてもつらいと思います。」
チノ「お母さんはラビットハウスのために制服などいろいろなものを残してくれました。私も最期の
時までお母さんと一緒にいることが出来ました。でも学園生活部の皆さんは大切な人の最期に
立ち会えなかったうえに何も残してもらうことが出来なかったんです。」
リゼ「そうだよな、あのパンデミックは(ある日突然に)起こったんだよな…」
・
・
・
ココア「やっぱりなんかして慰めたいよ、なにかできることないかな?」
今週はここまで投稿します。
チノのお母さんの死ぬ間際の様子については直接の描写がありませんが死期を悟っていたような話は聞くため、今回のような話にしました。
また、今のイベントで胡桃のほうが自分の世界での出来事について
寛容な態度をとっているようですが、ここではかなり自分の世界の
ことについて意識しているという設定にしました。
次回も来週公開したいと思います。よろしくお願いします。
チノ「うーん、胡桃にも普段通りに接してくれればいいって言われてるし不自然になんか渡しても
かえって失礼な気もしますが」
リゼ「なんかの記念とかで渡すのはどうかな?例えば大きなクエスト達成のお礼とかに渡すのは」
チノ「それはいいことかもしれませんね。最近高難易度クエストの攻略もしていますし。」
ココア「なるほど!それはいいね。私、これからいいパンを作ってくるよ!」
チノ「ただその場合、いつ渡せるかわからないことが問題ですね。渡すなら日持ちのいいものでないと。」
ココア「あ、そうか。普通の菓子パンとかだとよくないのか。」
リゼ「クッキーとかチョコレートとかいつでも食べれるようなもののほうがいいということだな。」
ココア「それなら千夜ちゃんやシャロちゃんにも聞いてみようかな。」
千夜「なるほど、それで今日は来たのね。いい考えね。」
シャロ「でも甘兎庵じゃ洋風なお菓子は売ってないわよ?」
ココア「でも二人ならいい作り方知っているかなと思って。」
甘兎庵はラビットハウスよりもお菓子を作る技術にたけているし、シャロのもともと働いていた
フルール・ド・ラパンではクッキーも売っていた。そのため二人に聞くのがいいと思ったのだ。
シャロ「まあ一応作り方とかは知ってるわ。クッキーとかの洋菓子に合っている薄力粉のかわりも
エトワリアにちゃんとあるしね。」
千夜「あんこクッキーていうものも実際に存在するからある程度は手伝えそうかも。」
千夜「ただもっと洋菓子作りについて知識のある人を集めたいわね。」
シャロ「ライネさんには聞かなかったの?」
ココア「他の子たちのトレーニングの手伝いで忙しそうでね……」
シャロ「ああ、なるほどね。」
千夜「ああでも、前にライネさんに洋菓子作りを聞いた子ならいるわね。」
シャロ「本当にここなの?お菓子とほとんど関係なさそうなところだけど。」
ココア「なんというか、建物そのものがギャラクティックな感じだね。」
千夜「大丈夫よ。ここで合っているわ。」
千夜が連れてきたのは何故か地学部のスペースハウスであった。(スペースなのに地学部……?)
千夜「こんにちは。ちょっといいかしら。」
みら「あら千夜ちゃん、いらっしゃい。」
あお「こんにちは。ココアさんは初めまして。」
ココア「あ、千夜ちゃんシャロちゃん!ここにもリゼちゃんがいるよ!」
シャロ「あんたにはツインテールの子全部リゼ先輩に見えるの!?」
あお「まあ来たときは結構間違われたので仕方ないです。」
お迎えしてくれたのは天文班の二人である。イノ先輩がいるときは地学の研究もするが、主に
エトワリアでの星の観察や新星の研究をしているらしい。
千夜「コロシアムの時に二人とも面白い形のチョコの作り方を聞いてたわよね。私たちも実践して
見たいんだけどいいかしら。」
ココア「え?コロシアムでチョコ作ったの?」
あお「バレンタインやホワイトデーにエトワリアの人たちが突然戦い始めたんですよね。そのときにできた
コロシアムが大盛況だったんです。」
みら「私たちは野クルの子とキャンプしてたからいなかったんだけど、かっこいいきららちゃんたちが
見られたって。私も見たかったなあ。」
あお「(むしろみらが怪我しなくてよかったよ…キャンプに連れて行くのは正しかったな)」
千夜「あの時に作ってたチョコを似た感じに再現出来たら、とても素晴らしいと思うの。」
シャロ「確かにあの写真はすごかったわね。始めて見たときびっくりしたわ。」
ココア「わあ!これがみらちゃんたちの作ったお菓子!?すごい!」
みら「えへへ。結構頑張ったんだ。」
ココア「これならとってもいいお菓子が作れそうだね。」
今週はここまで投稿します。
本来はみらあおよりもココアたちにお菓子作りを教えるのに
ふさわしいクリエメイトはたくさんいると思うのですが、
二人のおかげでバレンタインの極クエストをクリアしたこともあって
かなり思い入れが深く出させていただきました。
最近ペースが少し遅いままで申し訳ありませんが、8月中旬に
なったらもう少し早くしていきたいと思います。
次回もまた来週投稿します。
シャロ「さて、どんな形のお菓子を作ればいいかしらね。」
ココア「学園生活部に渡すから、学校の形をした焼き菓子はどうかな。」
あお「あ、あんまり大きくしちゃうと持ち運べなくなりますよ。」
千夜「差し入れとして渡すならやっぱり饅頭とかみたいにほぼ一口サイズのものがいいわね。」
みら「そうだね。学校にあるものでなんかいい題材ないかな?」
千夜「うーん、真っ先に思い当たるものと言ったら……シャベルかしら?」
シャロ「それは学園生活部にしかないわよ、どんな学校にでもあるようなものにしないと。」
ココア「教科書とかカバンとかは?いかにも学校らしくない?」
みら「確かに本とかはどんな学校にもあるね。」
あお「ただその場合食べやすい色にもしないとね。色の配分次第では食欲を減らしてしまうこともあるので」
千夜「赤とかを中心にすればスイーツ感が増していいかもしれないわね。」
お菓子作りは着々と進んでいく。
ココア「うーん、しっかりと材料が混ざらないなあ、」
あお「へらの尖ったほうを下に向けると混ざりやすくなりますよ。」
ココア「あ、本当だ、色が均一になってきた。」
シャロ「形はこんなものでいいのかしら?」
みら「ああ、いい形だね。どっから見てもきれいな本だよ。」
千夜「なんか文字も書いた方がいいかしら、書くための料理用筆ならあるわよ。」
その時である。ピンポーンとスペースハウスのチャイムが鳴った。
ココア「あれ?お客さんかな」
あお「あ、そうだ。いったんお菓子を隠しておいてください。」
シャロ「どうして?お客に見られちゃいけないの?」
あお「最近直樹美紀さんとよくナイトのトレーニングに行くんです。」
みら「ああそうか、美紀も学園生活部だったね。」
千夜「それならしまわないとね。」
はたして青の予想通り、玄関にいたのは美紀であった。
美紀「こんにちは、木ノ幡さん、真中さん。」
あお「こんにちは、直樹先輩。」
美紀「あ、ココアさんたちも来てたんですか。」
ココア「うん、ちょっとおk」シャロ「面白い星を見つけてねー、ちょっと調べてもらってたんだ。」
シャロ(ココアーー!何早速ばらそうとしてんのよー!)
ココア(ごめんごめん、すっかり忘れてた。)
美紀「良かったです。ちょうどココアさんにも用事があったので」
ココア「え?私に?」
美紀「実は今里で攻略を目指している鋼鉄の巨人の撃破の仕事を頼みたいんです。」
あお「あれ?巨人の胴体は水属性ですよね。だから胡桃さんの仮想敵のはずでは。」
美紀「それがですね。今回の敵は胴体より足を先に倒したほうがいいそうなのです。」
シャロ「たしか巨人の両足は、土属性だったわよね。ココアの仮想敵になるってこと?」
千夜「でも超高難易度って極以上の火力が必要よね。足りるかしら。」
ココア「私の武器まだレベル40だよ?とっておきもまだ練習が足りてないし。」
みら「エトワリウムはもうないの?」
千夜「ごめんなさい、私の武器に使い果たしちゃったのよ。」
シャロ「それは仕方ないわよ。そのロッドかなり汎用性高いし。」
ココア「まあでも私でよければ力になるよ。」
美紀「ありがとうございます。修練場とトレーニングルームはいつでも使えるようにしておきますので。」
みら(なんか忙しくなりそうだね、ココアちゃん予定大丈夫?)
ココア(まあ、何とかして頑張ってみるよ。)
ココア「チノちゃんは私の妹だよーー!」
ココアのとっておきは他のクリエメイトに勝るとも劣らぬ奇抜なものである。
まず何故か敵のいる方向からチノがやってくる。そのあと、チノを取られないようにと自称姉の
ココアが突撃しに行く。この時、態勢は剣を掲げたまままっすぐという剣を振り下ろす気のない状態である。
しかも攻撃の直後守る予定のはずのチノにも100%攻撃が入る。こんな感じのがとっておきとしては
普通なのだから実に奇妙な世界である。
チノ「私なんで私のとっておきはおろか、ココアさんのとっておきでもダメージを受ける必要が
あるんでしょうか。」
ココア「ごめんチノちゃん、ちょっと休憩する?」
チノ「まあ大丈夫と言えば大丈夫ですが、なるべく敵に全攻撃を集中させてほしいです。」
ココア「分かった。じゃあもう一回撃ってみるね。」
胡桃「お、ココアじゃないか。練習してるのか。」
ココア「あ、胡桃ちゃんも練習?」
胡桃「練習ってほどでもないけど、なんか体動かしてないと落ち着かなくてな。」
チノ「超高難易度の戦略はどうなりましたか?」
胡桃「やっぱりうちの戦力じゃ胴体をさきにやるのは現実的じゃないな。」
ココア「大丈夫!巨人の足は必ず私が倒すから!」
今回はここまで投稿します。
そろそろ鋼鉄の巨人の巨人との戦いになります。実は鋼鉄の巨人は
今年のものしか経験してないので実際のクリア状況とだいぶ異なることがあるかもしれませんがご容赦ください。
また、先週のものまで速報に載せていただきありがとうございます。
少なくともこの物語はしっかり完結させようと思いますので、
最後まで見ていってもらえると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
胡桃「そうか。まああまり無理な特訓はするなよ、急に体を動かしたりすると怪我したり
することもあるからな。」
ココア「分かった。体調管理もしっかりしないとだね。」
胡桃「じゃあこっちはちょっと飯でも食べながら練習見てるかな。」
そういうと胡桃は持ってきた袋から弁当を取り出した。学園生活部の持ってくる弁当は大体
悠里のお手製のものである。
チノ「ちゃんと栄養バランスの取れた食事ですね。野菜とかもきちんと入っています。」
ココア「トマトとかもきちんと食べれるんだ。偉いね」
胡桃「?ココアたちは野菜嫌いなのか?」
ココア「キャベツとかなら大丈夫だけど、やっぱり苦手な野菜とかも結構あるかな。」
胡桃「まあ実際肉に比べて野菜が好きってことはないよな。」
ココア「パンとかならいくらでも食べれるんだけどなあ。」
チノ「ココアさんの実家はパン屋さんですものね。慣れているが味は大抵みんな好きなものです。」
胡桃「ふーん、なるほどね……。」
ココア「ん?なんか考え事?」
胡桃「いや、特にそんなことはないぜ。」
数日後…
シャロ「ココア大丈夫?あんたとっても眠そうよ、」
ココア「大丈夫だよ。私は平k…( ˘ω˘)スヤァ」
リゼ「明らかに大丈夫じゃないって!昼寝しておいた方がいいぞ」
千夜「明日がちょうど対鋼鉄の巨人の出撃だものね。これが出撃が最後かしらね。」
ココア「あれ?巨人っていつでも挑めるんじゃないの?」
チノ「残念ですが、明日の午後に巨人は挑めなくなります。もちろん次の敵が来るので
里を守るという仕事がなくなることはないですが。」
リゼ「ただ今回はいつもより出撃が少なかったな。何か事情があるのか?」
チノ「時間のほとんどをオーブ育成に使ってましたからね。ついこの前までレベルが10に到達している
オーブが私たちのオーブだけだったので。」
シャロ「ほとんどオーブ育ってないのよねこの里。今までいくつかの極クエストを攻略できたのが
不思議なくらいだわ。」
チノ「ただ今回はもう一つ、胡桃さんたちのオーブがレベル10になっています。」
千夜「このオーブは風、土、水属性の戦士に相性がいいそうよ。この里が学園生活部の仕事が
多いのも合って今回のために育ててたのよ。」
ココア「美紀ちゃんとかが修練場行ってたのもこのためだったんだ。」
リゼ「胡桃たちにあげるお菓子はどんな感じだ?」
ココア「きちんと仕上がっているよ。食べるのがもったいないくらいだよ。」
できあがったお菓子は本物ののような質感をしていた。特に胡桃たちが住んでいる学校の
形をしたクッキーはあらゆる部分が繊細にできていた。ココアたちは普段飲食店で働いているため、
こういったことは得意分野になっているのだろう。
チノ「しかしどうやって持っていくか考える必要がありますね。」
今回はここまで投稿します。
忙しい用事がこれからなくなるので投稿のペースを短くして
いきたいと思います。
物語についてもそろそろ終了に近づいています。ただ終わりに
来るまで話を引き延ばした結果まとまりがうまくいかず、少し
反省もしています。次にSSを書くときは注意しておくべきことだと
考えています。
次回は8月15日を予定しています。楽しみに待っていただければ
ありがたいです。
シャロ「大きい袋を持って行ってばれてしまったら元も子もないわよね。」
ココア「確かにそうだね。こっそりと持っていけたらいいんだけど。」
リゼ「何か戦いにもっていっても自然なものはないかな。」
チノ「それならこっちの袋に入れるのはどうでしょうか。」
そういうと、チノは別のココアの服を持ってきた。実はココアには風属性だけでなく火属性の
袋もあるのだが、これには少しそこの熱いポケットがあるのだ。本来はうさぎの人形が入っているのだが
今回ばかりはラビットハウスにお留守番になりそうだ。
ココア「そうだね。これに入れていけばあんまり違和感ないね。」
チノ「ただし気を付けてください。体の近くにある以上大きな攻撃を受けてしまうとお菓子が
粉々になってしまいます。」
ココア「ああ、そう考えるとこの状態でもってるのも危ないかな。」
千夜「基本的にはナイトが攻撃を受けてくれるわ。ただ、今回は極クエストより難しいから、
どうしてもアルケミストと戦士だけになることがあると思うの。」
ココア「そこは何とかしてお菓子を守るしかないね。」
決戦当日
胡桃「……あいつら遅いな、遅刻したか?」
はなこ「そうだね、遅いね。」
チノ「はあ、はあ、ココアさん急いでください。」
ココア「はあ、はあ、チノちゃんありがと〜。」
胡桃「……なんだあれは、まるで馬の手綱引いてるみたいだな……」
やってきたのは走っているチノとその後ろでチノの髪を引っ張っているココアだった。
チノ「千夜さんと同じように髪をツインテールの形にした甲斐がありました。」
胡桃「まるでそれが正しいツインテールの使い方のように言うなよ。」
「そうよ、乙女がヘアースタイルをそんな雑に使っちゃだめよ。」
ココア「あれ?綾ちゃん?またいつもの格好と違うね。」
そこには前のクリスマスのものとはまた違う格好の綾がいた。
ココア「これはバレンタイン仕様の服かな?」
綾「そうね。この姿だと職業がアルケミストになって相手の防御力がさげられるようになるのよ。」
ココア「そうなんだ。私も別の職業もやってみたいな。」
胡桃「とりあえず、これでこの里のメンバーはそろったかな。じゃあそろそろ他の里の
メンバーも呼ぶかな。」
チノ「ココアさんは実際に他の里の子の召喚を見るのは初めてですか?」
ココア「そうなるね。修練場の時はいつも名前だけ借りて呼んではいなかったからね。」
はなこ「今回は誰を呼ぶのかな?」
胡桃「今回は千夜が呼べなかったから、いつも通りゆのに来てもらうかな。」
ココア「確かひだまり荘の子だね。」
チノ「メンバーに僧侶がいないのでそれが一番だと思います。」
ゆの「こんにちは、手伝いに来ました。」
胡桃「ゆの、久しぶりになるな。また今回もよろしく頼むぜ。」
ココア「ゆのちゃん今回はよろしくね。」
チノ「ちなみにゆのさんのところの里ではもう巨人を倒したんですか?」
ゆの「そうだね、今はもう他の里に必要なメンバーを貸して回ってるね。」
綾「うちも早く貸せる立場になればいいんだけどね。」
はなこ「そこはもっとエトワリウムやクリエメイトを集めていかないといけないね。」
ゆの「……そういえば綾ちゃん、その荷物は何?」
綾「え、ええとこれはね、それは」
ココア「これってチョコづくりに必要な材料たちじゃないの?」
ゆの「でもいつもより多い気がするんだよね。それにもうすでにいいにおいがしてるし。」
ココア(あれ?もしかして私たちの持ってきたお菓子のにおい?)
チノ(ココアさん、悟られてしまうとまずいですよ。)
胡桃「ああ、きっと今回が大一番になるから張り切って大きな準備をしてくれたんだよ。」
ゆの「なるほど、この一戦にかけているんだね。なら私も頑張らないと。」
綾「そ、そうね。ここで巨人に決着をつけるのよ。」
ココア「うん、みんなで頑張ろうね。」
(あれ?なんで胡桃ちゃんが答えたんだろ?)
今日はここまで投稿します。
次回で多分最後の投稿になると思います。もし読んでいる方が
いれば最後まで楽しんでいってもらえるとありがたいです。
次に新しいSSを投稿するかはわかりませんが、その時は
今回より宣伝などもしっかりやっていきたいと思います。
また、意見や感想はいつでもお待ちしています。
よろしくお願いします。
今回の超高難易度ではwave3に至るまでに準備をしておく必要がある。
wave2までは基本的にゲージ回収が主な作業になる。しかし初参加のココアにとっては
この待ち時間がとても短く感じられた。
胡桃「大丈夫かココア、緊張してるか?」
ココア「ダイジョウブダヨ。キンチョウナンテシテナイカラ。」
ゆの「安心して、私たちが全力でサポートするから。」
チノ「ココアさん、そろそろこの前衛の枠をココアさんに譲ります。準備してください。」
胡桃「ちゃんと行動のプランはおぼえているな?」
ココア「えっと、巨人が来る前にバフを2回もってwave3の時に足にデバフを盛ればいいんだっけ?」
胡桃「そんな感じでOKだな。じゃあ、頼んだぜ。」
ココアが盤面に出るとそこにははなこと綾がいた。
ココア「今来たよ。そっちの状況はどんな感じ?」
綾「こっちはちゃんとゲージたまってるわよ。早速スキルを使ってちょうだい。」
ココア「分かった。行くよー!(お姉ちゃんは許しませんよー!)」
ココアのスキルはバフとデバフの両方があるため、武器のレベルが高くなくてもそれなりの火力を
出すことが出来るのだ。
はなこ「じゃあもうこっちの敵も倒しにかかるね。」
もとの戦略のようにはなこも雑魚敵のソルジャーゴーレムを倒しにかかる。すると
後ろから大きな巨体をしたロボットのようなものが現れた。
鋼鉄の巨人である。
ココア「ちょっと、これ大きすぎない?私たちが挑んでいいような相手じゃないよ…。」
巨人の大きな巨体がココアたちに向かって飛んでくる。それを一心に受け止めたのははなこだった。
ココア「ヴェアアアア!はなこちゃん大丈夫!?」
はなこ「私は大丈夫。あと4回くらいは耐えられるよー。」
ココア「もう人間じゃないよその耐久力は……。」
綾「とりあえずココアさんは足を止めることに集中して!私もデバフしに行くから。」
綾が持ってたフラスコを足に投げ入れる。すると巨人の足がどんどんと軟化していった。
ゆの「綾ちゃんあとは任せて!ココアちゃん今からパワーを上げにいくよ。」
ゆのが専用武器の大技、癒しのお絵描き講座を発動させる。途端、ココアにとんでもない力があふれ、
体力もほぼ倍になる。
ココア「おおお、これはすごい力だね。さすが助っ人だね。」
はなこ「じゃあこれから3連とっておきいくよ!」
ゆの「綾ちゃんのデバフは必要じゃない?」
ココア「一応相手をスタンさせるには十分だって。よし、みんなで行こう!」
先にはなことゆののとっておきが来る。そしてココアのとっておきの準備ができた。
ココア「あ、チノちゃん!?もし捕まったらこんなことに……。」
巨人の足に妹を取られるという自分でもわけのわからない想像をしながら力を凝縮させていく。
そして「チノちゃんは私の妹だよー!」
ココア渾身の一撃が巨人の足に、(ついでにチノにも余波が)直撃する。
戦略の通り、巨人の足はスタンし、動かなくなった。
ココア「やったー!足がスタンしたよ!」
チノ「ココアさん、急いで次の準備をしなくては。ココアさんだけで足をすべて壊す必要があるので。」
ココア「そうだね。後二回ぐらい振らなきゃ。次行くよ!」
ココア「チノちゃんは私の妹だよー!」チノ(これ私必要ですか……?)
ココアの連撃が巨人の足を襲う。そしてついに巨人の足は崩れ去った。
胡桃「よし!ありがとうココア、あとは任せてくれ!」
しかしその時である。
巨人の頭部が二人を守っていたはなこの方から離れ、別の方に飛んできた。
はなこ「あ、ヘイトつけてたのにすり抜けちゃった。」
ココア「え?」
ゴシャッ
綾「ココア、大丈夫?」ココア「う〜ふらふらしちゃう〜。」
ゆの「大丈夫、体力を倍に回復していたからスタンで済んだよ。」
胡桃「ココア、大丈夫か?」
ココア「私は大丈夫……、あれ?私の袋は?」
綾「ちょっとスタンが解けた後も倒れてたから手当ての過程で外したわよ。」
ココア「ああ、私ずっと倒れてたんだ。巨人はどうなった?」
胡桃「…ああ、大丈夫だ。結構怪しかったが、ギリギリ倒せたぜ。」
ゆの「僧侶をパーティに入れればもっとよかったね。」
ココア「あー。良かったあ。どうなるかと思ったよ。」
チノ「ココアさん……持ってきた袋についてなのですが、」
ココア「……あ、」
ココアが持ってきていたお菓子は、巨人の攻撃を食らった時の衝撃で粉々に砕けてしまっていたのだ。
胡桃「これ、一緒に戦う仲間のために作ってきてくれたのか?」
ココア「それもあるけど、胡桃ちゃんたち学園生活部にこの前のお礼とかもしたくて…」
胡桃「このクッキーとか、割れてるけど丁寧に作ってくれたんだな……。」
ココア「…せっかくみんなで頑張って作ったのに…ふえええええん。」
今までの努力が無駄になったことと胡桃たちにちゃんとしたお菓子が渡せなかった悲しさで、
ココアは思わず泣き出してしまった。
その時である。
胡桃「ほら。元気出せって。」
胡桃がココアに渡したのは、うさぎの形をしたチョコレートだった。
ココア「え?これって…」胡桃「今回のメンバーのために作ったんだよ。」
綾「私のとっておき用の小道具に隠しておいたのよね。まあ私はあんまり使わなかったけど。」
胡桃「もちろんゆのたちの分もあるぜ。」
ゆの「少しにおいがしていたのはこのためだったんだね。」はなこ「いいの?ありがとう。」
チノ「ココアさん、私たちもいただきましょうか。」
ココア「…うん!」
胡桃「これ悠里たちにもあげるつもりだったんだな。ありがとうな。」
ココア「また今度、きちんとしたものを作って渡すね。」
胡桃「しかしなんでこのタイミングで私たちのために?」
ココア「だって、あんな話を聞いた後だから、普通に渡しても慰めているみたいだからさ、」
胡桃「ああ、それは悪いことしたな。」
ココア「いやそんな、胡桃ちゃんたちは何も悪くないよ。」
胡桃「…まあ確かに他の仲間もあのことは結構気にしているし、自分にとっても少なくとも
面白い記憶はなかったな。」
胡桃「でも、たとえどんなことがあっても生きている人間は前に進んでいかなきゃならない。
つらいことに怯えて立ち止まる訳にはいかないんだ。」
胡桃「だから私は、少なくともこのエトワリアにいるときは一人のクリエメイトとして
みんなの未来を良くしていきたいと思ってるぜ。」
ココア「ありがとう胡桃ちゃん。これからもよろしくね。」
胡桃「こちらこそ、よろしくな。」
胡桃「ところでそのお菓子作り誰に手伝ってもらった?」
ココア「ええと、私たちの世界のみんなと、あとみらちゃんたちにも手伝ってもらったかな。」
胡桃「…実は私もみらたちに作り方聞いたんだが、眠そうにしてたんだ。」
ココア「…みらちゃんたちには申し訳ないことしたね。」
胡桃「他のメンバーに聞くべきだったな。後で謝りに行こうかな。」
ココア「…そうだね。」
みら「私たち、料理の部活じゃないんだけどなあ。」
あお「バレンタインデーとホワイトデー、ちょっと頑張りすぎたかもね。」
Fin
これでこの話の投稿は終了します。
なるべくシリアス要素とネタ要素を半分ずつにするつもりでしたが、
結果的にネタ多めになってしまいました。
また、これの一つ前の投稿で巨人のクエストの内容を少し混同して
しまい、内容に少し矛盾が生じてしまいました。
ただ、一応最後まで書ききることが出来たのは良かったです。
ここまで見てくださった皆様。ありがとうございました。
今後もSSを書くかどうかはともかく、きららファンタジアが
終わらない限りはずっとこのBBSにいたいと思っているので、
よろしくお願いします。
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