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『夢喰いメリー』とエトワリア
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1 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:46:42 ID:bhDh85ubnX
メリーが完結したので、ssを三編書いてみました。

若干長いのは最初ので、後の2つは短いです。

拙作ですがつきあってくださると嬉しいです。

2 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:47:19 ID:bhDh85ubnX
『夢魔and夢魔vs夢魔』

「そこの悪い夢魔!!幻界に帰りなさい!」
「まさかこの世界でも夢魔の面汚しがいるとはな。私がここに来る以前にもポルカ殿に取り憑いた不埒な輩がいたらしいが・・・」
「鍛冶女のことね!」
 正義の夢魔、メリーとエンギは悪の夢魔、倉庫(ストレージ)リモメと対峙していた。
「ええ、いやだよ。この子、良子ちゃんはとっても気に入って一生私の倉庫に入れたいのに」
 彼女はとあるクリエメイトを拉致していた。それは吉田良子であった。リモメは幼くてかしこくてかわいい少女が大好きなのだ。姉よりしっかりものな良子は、まさにリモメにとって格好の票的であった。
 リモメの腹にはシャッターのようなものがある。そこにはリモメが気に入ったものがたくさん入っているが、その中になんと良子がいる。
 この倉庫に入れられたものは、古くもならないし年も取らないのだ。まるでusbメモリやインターネットクラウドに保存されているデータのようだ。
「ふふ、こっちには人質がいるうえ大量のモンスターを扱えるこの倉庫(ストレージ)リモメに勝てるかな?」
 リモメは倉庫を開いた。そこから大量のリザー、スケジェルン、ドーダイが現れ、メリーとエンギを攻撃した。リモメはエトワリアのモンスター達を取り込み、それらを解き放つことができるのだ。
 リモメの倉庫は他の夢魔を取り込むこともできる。リモメ自体それほど強くないのでそれほど夢魔を取り込むことができない。(せいぜいランズボローなど夢魔本体はそれほど強くない者に限る)
 しかしエトワリアにはリモメよりも弱いモンスターが大量にいたので、倉庫に幽閉し敵にけしかけることができる。
「く・・・まるで灯台男みたいにタシュタヨウってところかしら?」
「アンタたちなんかに負けたエルクレスと私を一緒にしないでよ。私はね、破壊という無駄で非生産的なことは大っ嫌い」
 リモメは心底不愉快な顔をしていた。彼女もエルクレスの光に導かれてやってきた存在ではあるが、エルクレスに対し仲間意識など一切持っていない。
「そうだな、エルクレスに比べればお前など取るに足らん」

3 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:47:36 ID:bhDh85ubnX
 エンギは紫閃月下三茄子と紫閃風月漉座刀をリモメに向けた。
「あらあらいってくれるわね双月花。でもモンスター達の数は一万匹・・・あなた達2人に倒すことができるかな?」
「誰が2人だけっていったかしら」
「え?」
 メリーの言葉に、リモメは動揺した。
「そうです、私たちもいます!!」
 後ろには召喚士であるきららと女神候補生、ランプ(及びそのお供のマッチも同伴)がいた。
「あなたがこの世界で召喚士と言われているきらら?単なる成長しきったかわいくない人間の小娘の力を借りることしかできないあなたに何ができるっていうの?」
「クリエメイトの皆様を・・・きららさんを愚弄するのは許しません!」
 ランプがリモメの言葉に憤慨した。
「油断大敵だ」
 マッチが四文字熟語をリモメに放った。
「単なる・・・あなたにとってはそうかもしれませんが、私にとっては一人一人が特別です!」
 きららは召喚魔法、コールを行った。呼び出されたのは・・・。
「ふむ、そなたも夢魔なのか。余の方がかっちょいいな」
 魔族の長、リリス。
「痛い目を見たくなければさっさと良子ちゃんを返してもらおうか」
 桃色の魔法少女、千代田桃。
「子供を誘拐するなんて最低な奴ね!」
 オレンジの魔法少女、陽夏木ミカンが召喚された。
 そして最後にコールされたクリエメイト一人は・・・。
「・・・私は今怒り新党魔族です、良子を返してもらいましょう!!」
 闇女帝(シャドウミストレス)吉田優子であった。
「あら、あなた小っちゃいね?それで女帝なんて笑わせるね」
「きららさんとランプちゃんは後方からのサポートを!メリーさんとエンギさんは桃とミカンさんと一緒にモンスターの一掃をお願いします!!私とご先祖であいつの懐に潜り込みます!」

4 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:48:21 ID:bhDh85ubnX
優子は6人に指示をだした。この時の吉田優子は、明らかにいつもの彼女とは違っており、そのことはこの場にいた一同にも理解できた。
「女帝だけに指示だけは得意かな?でもそんなに上手く行くかな?」
 リモメは腹の倉庫から大量のモンスターを吐き出した。ヒカリタマ、砂肝うま太郎、サボンヌなども見受けられる。
「筋肉は全てを解決する」
 桃は魔法を使うまでもなくモンスターを物理的に発生した衝撃波でで吹っ飛ばした。
「あんたの腕力・・・グリッチョより凄まじいわね!」
 メリーは夢魔の自分よりも凄まじいパワーに驚いていた。
「空の敵はアタシがなんとかする!」
 ミカンはボウガンで空にいた敵を攻撃した。
「私も空を飛べる!協力するぞ!!」
 エンギは頭の鷹のような羽で飛び敵を斬撃した。
「むむ・・・どんどん倒されている。やっぱり雑魚ばかりではダメだったか・・・」
 リモメはあっさりやられたので酷く呆れてしまった。
「お前!我が子孫を誘拐するとはいい度胸ではないか!!」
「姉の威厳にかけて、あなたは私の手で倒します!最後はメリーさんに送り返してもらうけど!!」
 リモメの目の前に、もうシャミ子とリリスがいた。
「ふふ、あんたたちみたいな弱そうな奴指一本でもどうにでもなるわ」
「私自身は強くなくてもこれがあります!なんとかの杖!!」
 シャミ子は一本の棒を取り出した。
「なんとかの杖って何!?随分適当ね!!?」
「そう付けざるを得ません!!エンギさんの力をお借りします!」
 なんとかの杖はなんと、エンギの漉座刀に変化していた。
「!あれは姉さまの剣!?」
 シャミ子は漉座刀でリモメのシャッターを切り付けた。
「なんでスリーピースの刀が・・・!?」
「さらにこれ!!」
 なんとかの杖は、今度はメリーがエトワリアに来てから手に入れたホウキに変化した。それをさらにシャッターに叩きつけた。

5 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:48:56 ID:bhDh85ubnX
きららのせんしのオーブの力により、物理攻撃力も上がっている。
「シャミ子ったら、夢路みたいなことができるのかしら?」
 メリーは元の世界の相棒のことを思い出していた。
「・・・あんた自身は弱いのに・・・」
「私自身は弱いかもしれませんが、メリーさんやエンギさんのような強い方々の力を借りることはできます!」
「そうだぞシャミ子!強い者に媚びまくれ!!」
 リリスの言い方に、桃は呆れてしまった。
「うう、こいつのただの馬鹿力を受けると気持ち悪くなってきた・・・。見た目によらずそれなりに力があるわね」
 リモメのシャッターはベコベコになり、開きやすくなっていた。
「私が毎日トレーニングしてやってるからね」
「魔法少女なのに!!?」
 リモメは桃の発言に当然のツッコミをした。
「良子、聞こえますか!!?」
 シャミ子は中にいる良子に呼びかけた。
「うう・・・お姉?」
 リモメの腹の奥から、良子が返事をした。それはまるで真っ暗な闇から光が見えたようであった。妹の声が聞こえた方にシャミ子はリモメの腹に腕を突っ込んだ。
「や、やめなさい!私の宝物に!!」
 リモメは直接シャミ子を殴って攻撃した。弱い夢魔といえども、普通の人間より遥かに強い。だからシャミ子もかなりのダメージを受けているはずである。
「ふん、そんな程度ですか?トラックを止めた桃の方が何倍も上です!」
 シャミ子は良子を勢いよく引っ張り上げた。
「大切なものは返してもらいました・・・。今ですメリーさん!!」
 メリーがリモメに走っていった。幻界にリモメを帰す気なのだ。もし良子が取り込まれたまま幻界に帰すと、良子がエトワリアに戻れなくなるためメリーはシャミ子が妹を助け出すため待っていた。
「この戦いは、文句なしの私たちの勝ちです!」
「ここから先は通行止めよ!」
 メリーの一撃がリモメに直撃し、幻界への扉が開いた。

6 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:49:19 ID:bhDh85ubnX
「くそう!こんな奴らに・・・でも門番、これで勝ったと思わないでね。あなたは元の世界で多くの強い夢魔たちに勝てるのかしら」
 シャミ子は思わず、自分の台詞をリモメに盗られたと思ってしまった。少し悔しさを感じた。
「勝ち続けるわ!たくさんできた仲間と共に!!」
 消えていくリモメの前に、メリーは自信を持っていた。

「皆さん私に協力してくれてありがとうございました!!」
 シャミ子はメリーたちに頭を下げていた。
「いやいや、感謝しなきゃいけないのはアタシらの方よ・・・」
 メリーもシャミ子たちに頭を下げていた。
「夢魔と夢魔・・・お互い別々の世界の夢魔だが、志は同じ・・・か」
「ちょっとちょっと、魔法少女も忘れないでよ」
 エンギの言葉に、ミカンが突っ込んだ。
「さすがはお姉!こんなにも多くの軍勢を率いているなんて!エトワリアでも闇女帝なんだね!」
 良子はメリーとエンギを姉の新しい配下であると勘違いしていた。シャミ子は妹の言葉を聞いてぎょっとしたが、メリーとエンギは笑って応えた。
「そうよ!あんたのお姉ちゃんってすごいわね!」
「ああ、君を救おうとする心は本物だった。君にはよき姉がいて羨ましい」
 シャミ子は心の中で2人に感謝した。

7 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:49:47 ID:bhDh85ubnX
戦いを終えて数日後、シャミ子と桃はいつものトレーニングをしていた。
「シャミ子もやる時はやるんだね」
「当たり前です!何せ私はシャドウミストレス優子なのですから!」
「特にシャミ子は良子ちゃんのことになると本気になるみたいだね」
「私はいつでも本気です!!」
「じゃあ今なら私に余裕で勝てる?」
「そ、それはまたの機会に・・・」
 シャミ子は体が震えあがってしまった。
「メリーさんの相棒の藤原さんは、人間なのに夢魔と戦えているそうじゃないか。しかもそのなんとかの杖みたいにいろいろできると!」
「そんな、高校球児を見習えと息子を叱る親のようなことをいわないでください!」
「そんなにわかりやすく長く言わなくてもいいでしょ?今度エンギさんも呼んで一緒にトレーニングしようか」
「こ、これで勝ったと思うなよ〜!!」

 よく頑張ったシャミ子!それでこそ良子の姉であり夢魔だ!!

8 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:50:04 ID:bhDh85ubnX
『夢路という少年』

 エトワリアのラビットハウス2号店、勇魚は寂しそうな顔をしていた。
「どうしたの、勇魚ちゃん。浮かない顔をして?」
 店で働いていた保登モカが勇魚に声をかけた。
「あ、モカさん。いえ、ここにいると元の世界の、私の父の店を思いだしまして」
「勇魚ちゃんのお父さんも、タカヒロさんみたいなダンディな方らしいね」
「ダンディだなんてそんな」
 勇魚は少し照れてしまった。
「うちの店には、メリーやお父さん以外にももう1人いました」
「メリーちゃんがいつも話している、藤原夢路くんね」
「はい。幼い頃から、いつも側にいるのが当たり前だと思っていました。でもこのエトワリアではなかなか来てくれなくて。それに元の世界ではいつも危ない目にあっていまして」
 モカはそれを聞いて、勇魚は夢路のことが好きだと感づいたが言わないことにした。
「私もココアが木組みの街にいった時、さびしかったわ」
「モカさんはココアちゃんのよいお姉さんですからね」
「でもね、木組みの街でチノちゃん、リゼちゃん、千夜ちゃんシャロちゃん、マヤちゃんメグちゃんのような、優しい人たちと暮らしていると知って、そのさびしさも心の奥底に消えちゃった。ココアは私から離れていったけど、1人になったわけじゃない。藤原くんも1人ぼっちじゃないでしょう」
 モカの言葉を聞いて、夢路も夢魔と1人で戦っているわけではない、メリーたちがいることを思いだした。
「そうですよね。ありがとうございます、モカさん」
「しかし聖典で見てみたけど、藤原くんってかわいいね。弟にしてモフモフしたい」
「え、ええと冗談ですよね」
 モカの台詞は勇魚にとって想定外だった。まさか男の子にまで興味があるとは思わなかった。彼女の守備範囲は広い。
「モフモフはしたいけど、男の子女の子問わないみんなのお姉ちゃんですから」
 モカは本気で夢路を弟にしたいようだ。エトワリアには自分以外にもたくさんの少女がいる、夢路が来たら決して油断できないと勇魚は感じた。

9 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:50:22 ID:bhDh85ubnX
『やすなと由衣』

「こ、このモスグリーンな色合いにハートのような腕・・・。確かにやすなちゃんのいうように幸福をもたらすのかも・・・このつぶらな瞳がそう物語っている・・・」
「でしょでしょ!ソーニャちゃんは全然そのよさがわかってくれないの!!」
 由衣は変な形をしたストラップを見て感動していた。相手は折部やすな。2人とも飄々とした性格である。
「他にもあるの?あるの!?」
 由衣の目は輝いていた。
「こののっぽっぽくんはどう!?」
 やすなは自分の聖典に写っているのっぽっぽくんを見せた。
「こ、この胴の長さがこの子の雄大さを語っているね!子供に好かれるのも納得だよ。この大きな鼻も細い目もひかれる!!」
「私はこれに入ったことがあるの!ソーニャちゃんと」
「ええ!?それは本当なの!?いいなあ」
「ソーニャちゃんがどうしても入りたいって駄々をこねるものだから」
 これは真っ赤な嘘である。
「今度は私が教えてあげよう」
 由衣は自分の聖典で、自分のコレクションを見せた。それは箱のようなものから、バネの腕が飛び出しているものだった。
「え!?これすごいほしい」
「それはね、棺から飛び出すくんだよ」
「ああ、私だったら絶対買うのに」
「今度作ってあげよう。ただで」
「本当に!?」
 こんな異次元な会話をしているのを、エンギとソーニャはこっそりみていた。
「むむ、ユイの親友が増えるのは嬉しいがなぜか少し寂しいな」
 エンギは由衣の心にずっといたが、エトワリアでは別々である。だから少し妬いているのかもしれない。
「いいや、私は助かるぞ。あいつが由衣に夢中になるおかげで、やすなの奴におちょくられずにすむからな」
 ソーニャには微塵にもそんな感情はないようだ。

10 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/12 21:51:09 ID:bhDh85ubnX
これで以上です。読んでいただきありがとうございました。最初の話は、由衣が参戦する前に書いたものなので由衣は存在しません。

11 名前:リゾチウマーΛ[age] 投稿日:2020/12/13 16:53:16 ID:MGQc.ab7EP
妹の良をさらわれてしまい怒るシャミ子。この夢魔はやってはいけないことをことをやってしまいましたね。それからなんとかの杖の力を使いこなすシャミ子がかっこよかったです。

12 名前:阿東[age] 投稿日:2020/12/13 16:57:08 ID:lFKVMfsKix
>>11
感想ありがとうございました。

普段優しい人を怒らせてはいけないのです。

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