10月26日
ココア「10月27日は青山さんの誕生日!ここは華やかにお祝いしなくちゃね!」
シャロ「みんな知ってる。だから今大忙しでパーティーの準備をしてるんでしょ?」
リゼ「おーい、こっちの飾り付け終わったぞ。そっちはどうだ?」
シャロ「もうすぐ終わりそうです。ほらココア、あんたも手を動かしなさい!」
ココア「はーい」
チノ「料理の下ごしらえ、今日できる範囲は済ませました」
千夜「続きは明日ね。ココアちゃん、シャロちゃん、飾り付け手伝うわね」
チノ「私も手伝います」
ココア「ありがとう。じゃあチノちゃんはこれお願い!」
シャロ「千夜はこれをあっちに」
メグ「えーっと、今あるプレゼントは……?」
マヤ「……何だこれ?」
シャロ「『次が誰の誕生日だったとしても私は全力でお祝いするからね!』、だったっけ?。今回もまるでお祭りの準備みたいね」
ココア「それ覚えてたの!?」
シャロ「ええ。私、お祭りは嫌いじゃないのよ?」
ココア「お祭りって、いい響きだよね……!せっかくの誕生日だもん、誕生日の人も、祝う私達も、みんなが楽しめるくらい盛り上げないと!」
シャロ「ココアは準備すらも大盛り上がりで楽しんでるわね」
ココア「えへへ、楽しめるものは全部楽しむよ」
マヤ「チームBeans、プレゼントの確認完了!」
メグ「後は当日に持ち込まれる分だけだよ」
ココア「ありがとう。マヤちゃん、メグちゃん!」
シャロ「……逆に今日持ち込まれてる物があるの?」
マヤ「うん。ココアと千夜の作った巨大ティッピー像とか」
シャロ「……はい?」
シャロ「何これ」
マヤ「すげーよなこれ。私は絶対いらないけど」
メグ「ちょっと大きすぎるよね」
ココア「青山さん、ティッピーのこと気に入ってそうだったから」
千夜「この像があれば、家でもティッピーと一緒だわ!」
シャロ「あんたたちその場のノリで作ったでしょ!準備で盛り上がりすぎよ!」
リゼ「こんなの貰っても困るだろ」
チノ「そもそもこれ一人でどうやって持って帰るんですか」
ココア「……持って帰る時は私も手伝うよ?」
チノ「当たり前です。ところで、今日持ち込まれたものって他にもあるんですか?」
ココア「うん。私が持ってきたのだとこの水晶!夢見の水晶玉っていうんだけどね」
マヤ「胡散臭そうな名前だなー。これもガラクタ?」
ココア「どれもガラクタじゃないよ!?」
シャロ「で、結局これは何なのよ」
ココア「この水晶玉はね、好きな物語の世界を体験できるんだって!」
マヤ「好きな物語ってことは、何でも良いの!?」
ココア「その通り!こんな物語が良いって伝えれば、そのままの世界を楽しめるんだよ」
千夜「まあ、素敵ね!青山さんのアイデアの元にもなりそう」
チノ「ありえません。ただのオカルトグッズじゃ」
マヤ「私、今年はサンタさんにこれ頼もう!」
チノ「……」
メグ「夢があっていいよね〜」
ココア「というわけで!これからみんなで一つ、物語を考えたいと思います!」
シャロ「私達が考えるの?青山さんが考えるんじゃなくて?」
ココア「私達の考えた物語を、青山さんに楽しんでもらいたいなって思ったの。いつもとは逆だね」
リゼ「へぇ、なるほど。確かに、普段は青山さんの作った物語を私達が楽しんでるもんな」
ココア「あとこの水晶私も使ってみたい!」
シャロ「そっちが本音ね」
ココア「とにかく楽しいお話がいいな!最後はもちろんハッピーエンド!」
リゼ「ま、とりあえず青山さんの誕生日祝いになればそれでいいな。おい水晶、ちゃんと当日に動いてくれよ?」
シャロ「青山さんと言えばやっぱり怪盗ラパンよね。ラパンがお宝を青山さんにプレゼントするなんてどう?」
千夜「そうだ、未来の青山さんが考えたキャラも見てみたいわ。きっとラパンのピンチに駆けつけてくるのよ」
マヤ「探偵も出そう!前から思ってたんだけど、やっぱ怪盗には探偵でしょ!」
メグ「私、魔法少女が見たいな〜。魔法少女×怪盗、意外な組み合わせで面白そう」
チノ「どんどん意見が自由になっていく…… 私は、最後に青山さんが───」
10月27日
「お誕生日おめでとう!青山さん」先生!」
青山さん「ふふっ、ありがとうございます」
ココア「もちろんプレゼントも用意しました!というわけでまずはこれ、夢見の水晶玉!」
リゼ「いきなりそれかよ」
凛「夢見の水晶玉?聞いたことないですね」
青山さん「安眠グッズでしょうか?」
シャロ「確かに名前だけ聞くとそう思えるわね……」
千夜「良い夢を見れるのは間違いないんじゃないかしら」
凛「それはないですよ先生!だってこんなに光ってる水晶、どう考えても安眠妨害じゃないですか」
ピカー
ココア「えっ、光ってる……?ほんとだ!?」
凛「へ?」
チノ「……まさかこれ、本当に効果が」
リゼ「なんだこれ、眩しっ」
「「「「「「「「わあああああ!?」」」」」」」」
───────────────────────────────────────
シャロ「……ここは?と言っても、薄々察しはつくけど」
シャロ(どう見ても知らない街……ここが物語の中ってわけね。一人なのは心細いけど、とりあえず雪山じゃないだけマシ)
シャロ(さっき急に光ったのはリゼ先輩の言葉のせいかしら? ……ここがみんなで考えた物語なら、まずは青山さんを探すべきね)
シャロ(ていうかこの衣装、怪盗ラパン?言い出しっぺの私がラパンにさせられたってことなのかも)
シャロ「なら、青山さんという名のお宝を探しに行こうかしら?ラパンらしく、誰にも見つからないようにね」
ドドドドドドドドドドドドドド
シャロ(と思った矢先に凄い足音!とりあえず隠れて……)
「「「「「「「「待てー!ミス・エメラルド!」」」」」」」」
青山さん「だっ誰か、助けてくださいっ!」
シャロ(青山さんが追われてる?なんでよ!?)
シャロ(はっ!?まさかこっちでもセクハラ紛いのことしてそれで…… それだけはないと信じたい)
シャロ(……水晶玉の説明が正しいなら『もちろんハッピーエンド』な物語になるはずよね。でも、このままじゃ)
シャロ(……この格好だもの。やることは一つしかない)
「追い詰めたぞ!」
青山さん「もっ、もう駄目です」
???「本当にそうかしら?」バサァ
青山さん「え?」
「なっ、なんだ!?」
シャロ「こんな時間だけど、怪盗ラパン参上!物語を紡ぎし乙女、ミス・エメラルドは……」ガシッ
シャロ「この私が頂いたわ!」バーン
青山さん「物語を紡ぎし乙女って私のことですか?」
シャロ「そして、ここにいるみんなのハートも当然私のもの。ロイヤルフラッシュアタック!」
「「「「「「「「♡」」」」」」」」
シャロ「私に、盗めないものはないのよ!」
青山さん「素敵です!」
シャロ(……これ、想像してたよりも恥ずかしいわね)
シャロ「ふう、これで一安心ね」
青山さん「ありがとうございます、ラパンさん」
シャロ(ラパンさん!?いや私は……)
『せっかくの誕生日だもん、誕生日の人も、祝う私達も、みんなが楽しめるくらい盛り上げないと!』
シャロ(みんなが楽しめる、ね)
シャロ「……何言ってるの、お宝のためなら当然じゃない。さっきも言ったでしょ?あなたはこの私が頂いたのよ、ミス・エメラルド」
シャロ(これはなるしかないわ。私が、ラパンに!)
青山さん「なるほど。ではラパンさん、この水晶はどうでしょう。素敵なお宝だと思いませんか?」
シャロ「夢見の水晶玉!」
青山さん「ご存知でしたか。実は、さっき逃げている時はこの水晶玉に導かれてあなたに会えたんですよ」
シャロ「導かれて?」
青山さん「はい。ちょうどこんな風に」ピカッ
シャロ「へぇ……」
シャロ(ひょっとしてこの光、目的地を示してるの?)
シャロ「……お宝の匂いがするわね。せっかくだし、その水晶玉のお導きとやらに従ってみようかしら?」
ドドドドドドドドドドドドドド
「待て、怪盗ラパン!」
「ミス・エメラルドを捕らえろ!」
シャロ「……お導きに従ったら追われる羽目になったんですけど!?」
青山さん「びっくりですね」
シャロ「びっくりですね、なんて呑気なこと言ってる場合じゃなーい!大ピンチなのよ!」
青山さん「ロイヤルフラッシュアタックは使わないんですか?」
シャロ「あれの動きは意外と大変なの!こんな状況で悠長にやってられないわ。それに……」
リゼ「怪盗ラパン!この私が必ず捕まえてやる!!」
シャロ「……あの"警部"の前で少しでも隙を見せたら終わりよ。間違いなく」
青山さん「確かに。気迫を感じます」
シャロ(なんでリゼ先輩が警部をやってるのよー!)
リゼ「絶対に奴らを逃がすな!」
シャロ(この追いかけっこ、勝てる気がしない)
リゼ「追いかけっこも終わりにしないか、ラパン?」
シャロ「それはそちらの降参という意味かしら、警部?」
青山さん「ドキドキの展開です」
シャロ(本当にドキドキよ、色んな意味で!そもそも、どうして私はリゼ先輩に追われているのかしら。普段なら嬉しいけど、今の状況じゃ楽しめないわ)
シャロ(ていうか、リゼ先輩もここが水晶玉の物語の世界って気づいてるはずよね?)
シャロ(どうも青山さんも追われているみたいだし、ここで私達が捕まったら駄目ってわかってるはずじゃ……)
リゼ「邪魔しかしない探偵もいないことだ、決着をつけよう」
シャロ「よく言うわね。私が捕まるまで決着つける気なんてないくせに」
シャロ(探偵……?)
リゼ「強がりはよせ。これではもう逃げ場はないだろう」
シャロ「うっ…… 絶体絶命ここで終わるピンチ……\グイッ/ぐいっ!?」
青山さん「\グイッ/あら?」
「ラパンが消えた!?」
リゼ「……よし」
シャロ「うわぁ!?え、何!?」
マヤ「捕まえたぞ、怪盗ラパン」
メグ「捕まえたよ〜」
チノ「これで依頼完了です」
青山さん「探偵さん、ですか?」
シャロ(チノちゃんにマヤちゃんにメグちゃん!?)
シャロ「……ふっ、この程度の拘束じゃ私は」
チノ「静かに。気づかれてしまいます。……リゼ警部が言っていませんでしたか?『邪魔しかしない探偵』って」
シャロ「言ってたけど…… まさかあなた達、私達に協力してくれたの?」
チノ「そういうことです。青山さんにもラパンにも捕まってもらっては困りますから」
シャロ「じゃあ、ひょっとしてリゼ警部も?」
チノ「はい。この作戦はリゼ警部からの依頼という形なんです」
メグ「リゼさん、追いかける時にちゃんと手加減してくれたでしょ?」
シャロ「本気で追いかけられたわ」
マヤ「なんでだよ!」
シャロ(水晶玉がここを示したのは、みんなに会うためだったのね)
リゼ「ラパン!ミス・エメラルド!無事か!?」
シャロ「おかげさまでね、リゼ警部」
青山さん「格好良かったですよ、警部さん」
リゼ「楽しんでもらえて何よりだよ。しかし、何でラパンだけでなくエメラルドまで追われるんだ……」
マヤ「お宝扱いだもん、ミス・エメラルド」
青山さん「そうなんです。追いかけられている時は大変でした。最初はこの水晶が宝物なのかと思ったのですが、宝物なのはどうも私自身みたいで……」
リゼ「なんて面倒な……」
シャロ(適当に言ったあれ、あながち間違いじゃなかったのかも)
メグ「あれ、水晶が光ってる?」
シャロ「次に行くべき場所を示してるみたいね」
チノ「行くなら今です。外でココアさんがラパンのマネをして引っ掻き回してるので」
シャロ「そっ、そうなの?じゃあ行ってくるわ」
ドドドドドドドドドドドドドド
「ミス・エメラルドだ!」
「ついに見つけたぞ!」
シャロ「追手たくさんいるじゃない!ココアー!」
青山さん「よくよく考えれば、私自身がお宝なら世界中の人々から狙われてもおかしくないですね」
シャロ「それ考えないようにしてたのに!まあ、リゼ警部がいないなら楽勝だけど」
青山さん「あ、前から人が。屋根の上にもたくさん人がいますね」
シャロ「やっぱり無理!楽勝なんかじゃなかった!」
???「皆の者!そんなに宝が欲しいなら、これでも食らいなさい!」バッ
シャロ(何これ、小判!?それにこの声って)
千夜「大泥棒イナバ、未来より見参!我が宿敵ラパンは、我以外には触れさせぬ!!」
シャロ「知らない宿敵ー!?」
???「探偵の姿は世を忍ぶ仮の姿…… 今こそ本当の姿で出動です」
シャロ(今度は何!?)
チノ「平和を乱す悪い人たちは私達が許しません!魔法少女チノ、華麗に爆誕です!」
シャロ「別ジャンルのキャラ!?」
チノ「イナバのお陰で隙だらけです。放て!シュガシュガビーム!」
青山さん「可愛らしいですね」
チノ「メロメロ攻撃でどんな人でもバタンQです」
シャロ「技のネタ被ってる!?ええい、こうなったら私も。ロイヤルフラッシュアタック!」
「「「「「「「「」」」」」」」」
シャロ「なんとか助かったみたいね……」
チノ「これでまた貸しが増えましたね」
シャロ「また?」
チノ「ルビーラビットのこと、忘れてないですよね?」
シャロ「待って、そんな設定知らない!」
千夜「二人ともまだ油断しちゃ駄目!追手はまだ来るわ!」
チノ「流石に三人だけで撒くのは厳しいですね」
???「ふっふっふっ、私の出番みたいだね!」
シャロ「まだ何かあるの!?」
???「怪盗を騙る様は世を忍ぶ仮の姿…… 今こそ本当の姿で出動!」
シャロ(さっき似た台詞を聞いたんだけど)
ココア「魔法少女ココア、華麗に爆誕だよ!魔法少女が一人だけとは言ってない!!」
シャロ「あっ、二人目だとインパクトが薄い」
ココア「そんな!?」
青山さん「私はお二人とも素敵だと思います」
チノ「さっさと済ませますよ、ココアさん」
ココア「そうだね。……二人で力を合わせれば!」
チノ「夢と夢を繋げることだってできちゃいます」
ココア・チノ「「カフェラテ・カフェモカ・カプチーノ!」」
ドカーン……
ココア「悪い子は!」
チノ「焙煎しちゃうよ☆」
シャロ「……もう何でもありね、この物語」
シャロ「水晶が示してる場所、近いわね。今度こそお宝があるかしら?」
青山さん「もう追手も来ませんね」
シャロ「……ねぇ、ミス・エメラルド。今日はあなたの誕生日だったわね?」
青山さん「ええ。特に今年は、とても刺激的な誕生日です」
シャロ「あなたはいつも、物語を作り、読者を楽しませてくれる。うさぎになったバリスタ、カフェインファイター、怪盗ラパン…… どれをとっても素敵だわ」
青山さん「ラパンさん本人に言われると照れます」
シャロ「でも、今回はいつもと違うのよ?この水晶の物語はね、私達からあなたへの誕生日プレゼントなの。みんな、あなたに楽しんでもらいたいと思って考えたのよ」
青山さん「……そうだったですね」
シャロ「ねぇ、青山さん。私達との物語、楽しんでもらえたかしら?」
シャロ「ふふっ!良かった。それじゃ最後に私から、もう一つプレゼントね」
青山さん「え?」
シャロ「その水晶の示しているお宝はあなたにあげる。ほら、行ってきなさい」ポンッ
青山さん「え、え?」
「……」
青山さん「これは…… ティッピーさん?」
「……」ピカッ
青山さん「眩しい!?ティッピーさん、光る特技なんてあったんですか……え?」
「この姿で会うのは久しぶりじゃな」
青山さん「その姿とお声…… まさか」
───────────────────────────────────────
シャロ「……ここ、ラビットハウス?やっと帰ってこれたのね」
青山さん「……」
ココア「というわけで以上、夢見の水晶玉の使い方講座でした!」
リゼ「まさかの実戦形式!?」
チノ「ていうかあれじゃ使い方わかりませんから!」
千夜「でも楽しかったわね」
マヤ「あんなにリアルに体験できるなんてすげーよな!」
メグ「魔法少女チノちゃん、私達もこっそり見てたんだけどすごく可愛かったよ〜」
チノ「あれは忘れてください……」
凛「あの、皆さんに何があったんですか?翠ちゃんなんて泣いちゃってる!」
青山さん「大丈夫ですよ、嬉し泣きですから」
シャロ(あの涙もお宝かしら。なんてね)
ココア「さてお次はこれ!巨大ティッピー像!」
青山さん「嬉しいです!!!」
チノ・リゼ・シャロ「「「えぇ!?」」」
青山さん「先程の物語の最後を思い出します!素晴らしいです!」
ココア「青山さんなら気に入ってくれると思ってたよ!」
千夜「このプレゼントは大正解ね♪」
リゼ「一番需要のないプレゼントだと思っていたんだが…… まさかここまで気に入るなんてな!」
チノ「現実も物語も、何が起きるかわかりませんね」
メグ「青山さん、いい笑顔だね」
マヤ「こっちまで笑顔になるよな!」
シャロ「……ふふっ!」
パシャッ
ココア「どうしたのシャロちゃん?急に写真撮るなんて」
シャロ「たまたま目の前に宝物があったから頂いたのよ」
ココア「頂いた?」
シャロ「ええ。……怪盗ラパン参上!みんなの笑顔の写真、頂いたわ!」
〜おわり〜
というわけで青山さんハッピーバースデイ
夢見の水晶玉の設定が便利そうだったからつい使ってしまった
あと投稿テストが不十分で見事に失敗しました(´・ω・`)
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